(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】回転装置及びコンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/248 20060101AFI20240312BHJP
B65G 7/08 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B65G47/248 F
B65G7/08 C
(21)【出願番号】P 2020156355
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 康弘
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-252812(JP,A)
【文献】特開昭57-38211(JP,A)
【文献】特開2017-122001(JP,A)
【文献】特開昭54-146373(JP,A)
【文献】実開昭62-194608(JP,U)
【文献】特表2013-517950(JP,A)
【文献】国際公開第2016/036842(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22-47/32
B65G 7/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の荷物を水平方向に延びる回転中心軸の回りに90度回転させる回転装置であって、
90度に開いた第1支持部及び第2支持部を有しており、回転中心軸回りに90度回転することで前記第1支持部が水平になる第1位置と前記第2支持部が水平になる第2位置との間で移動可能な回転支持部と、
荷物を載置可能な第1台と、
前記第1台を前記第1支持部に対してスライド移動する第1スライド駆動装置と、
荷物を載置可能な第2台と、
前記第2台を前記第2支持部に対してスライド移動する第2スライド駆動装置と、
前記荷物の縦姿勢を取っているときの荷物の上下寸法を把握する荷物上下寸法把握部と、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記回転支持部が前記第1位置にあって前記第1台に荷物が縦姿勢で載置される状態において、荷物上下寸法に基づいて前記第2スライド駆動装置を制御することで前記第2台を前記荷物に対して適切な位置に移動させ、
前記第1スライド駆動装置を制御することで前記荷物を前記第2台に当接させ、
前記回転支持部を前記第1位置から前記第2位置まで90度回転させることで、前記荷物を横姿勢で前記第2台の上に載置させる、
回転装置。
【請求項2】
前記荷物は、パレットに載った状態で回転装置に搬入され、
前記第1台に配置され、パレットを前記第1台に保持及び保持解除可能な第1パレット保持装置と、
前記第2台に配置され、パレットを前記第2台に保持及び保持解除可能な第2パレット保持装置と、をさらに備える、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記第1台の上に配置され、前記回転中心軸の方向に延びて前記荷物を搬送可能な第1コンベヤと、
前記第2台の上に配置され、前記回転中心軸の方向に延びて前記荷物を搬送可能な第2コンベヤと、をさらに備え、
前記コントローラは、上流のコンベヤと連動させて前記第1コンベヤを制御し、下流のコンベヤと連動させて前記第2コンベヤを制御する、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の前記回転装置と、
前記回転装置の荷物搬送方向上流側に設けられた上流側コンベヤと、
前記上流側コンベヤにおいて、前記荷物を前記回転装置に向けて搬送するか又は他の方向に搬送するかを選択可能な搬送方向選択部と、
を備えた、コンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置、特に、直方体状の荷物を90度回転させて姿勢を変更する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫に収納される荷物が長方体の場合は、自動倉庫内では縦長姿勢で保管される。そして、上記の荷物が自動倉庫から出庫されるときは、自動倉庫の外で荷物は反転させられて(90度回転させられて)横姿勢にさせられる。
荷物を縦姿勢から水平姿勢に回動する載置装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置では、荷物を90度回転する載置装置では、荷物の位置決めや保持の問題を具体的に提案していない。
【0005】
本発明の目的は、回転装置において、縦姿勢の荷物を横姿勢に変更するときに正確に位置決めすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る回転装置は、直方体状の荷物を水平方向に延びる回転中心軸の回りに90度回転させる装置である。回転装置は、回転支持部と、第1台と、第1スライド駆動装置と、第2台と、第2スライド駆動装置と、荷物上下寸法把握部と、コントローラと、を備えている。
回転支持部は、90度に開いた第1支持部及び第2支持部を有しており、回転中心軸回りに90度回転することで第1支持部が水平になる第1位置と第2支持部が水平になる第2位置との間で移動可能である。
第1台は、荷物を載置可能である。
第1スライド駆動装置は、第1台を第1支持部に対してスライド移動する。
第2台は、荷物を載置可能である。
第2スライド駆動装置は、第2台を第2支持部に対してスライド移動する。
荷物上下寸法把握部は、荷物が縦姿勢を取っているときの荷物の上下寸法を把握する。
コントローラは、
回転支持部が第1位置にあって第1台に荷物が縦姿勢で載置される状態において、荷物上下寸法に基づいて第2スライド駆動装置を制御することで第2台を荷物に対して適切な位置に配置させ、
第1スライド駆動装置を制御することで荷物を第2台に当接させ、
回転支持部を第1位置から第2位置まで90度回転させることで、荷物を横姿勢で第2台の上に載置させる。
ここで、「直方体」とは、一般的な直方体のうち長辺と短辺を有しており、縦姿勢(長辺が上下方向に延びた姿勢)と横姿勢(短辺が上下方向に延びた状態)を取ることができるものをいう。
また、第1台及び第2台が荷物を「載置可能」とは、荷物が直接的に又は間接的に第1台及び第2台に載置されることを意味する。
【0008】
この装置では、荷物は、縦姿勢で第1台に載置され、続いて回転支持部が第1位置から第2位置まで回転することで、横姿勢で第2台に載置される。このように、荷物は、回転支持部の回転によって姿勢を変更される。
上記動作において、回転支持部が回転する前に、荷物の上限寸法に基づいて第2台が適切な位置に移動させられる。したがって、荷物を第2台に正確に位置決めできる。
【0009】
荷物は、パレットに載った状態で回転装置に搬入されてもよい。
回転装置は、第1パレット保持装置と、第2パレット保持装置をさらに備えていてもよい。第1パレット保持装置は、第1台に配置され、パレットを第1台に保持及び保持解除可能である。第2パレット保持装置は、第2台に配置され、荷物を第2台に保持及び保持解除可能であってもよい。
この装置では、例えば、パレットを回転装置の第2台に供給して第2パレット保持装置によって保持してから、パレットに載った荷物が第1台に載置される。そして、第1パレット保持装置がパレットを保持する。この状態で回転支持部が回転すると、荷物は第2台にあるパレットに載せられる。
この装置では、回転支持部が回転するときに第1パレット保持装置及び第2パレット保持装置によりパレットの落下を防止できる。
【0010】
回転装置は、第1コンベヤと、第2コンベヤとをさらに備えていてもよい。
第1コンベヤは、第1台の上に配置され、回転中心軸の方向に延びて荷物を搬送可能である。
第2コンベヤは、第2台の上に配置され、回転中心軸の方向に延びて荷物を搬送可能である。
コントローラは、上流のコンベヤと連動させて第1コンベヤを制御し、下流のコンベヤと連動させて第2コンベヤを制御してもよい。
この装置では、荷物は、上流のコンベヤと第1コンベヤによって、第1台に搬入される。続いて、回転支持部によって横姿勢になった後に、荷物は、第2コンベヤと下流のコンベヤによって第2台から搬出される。
【0011】
本発明の他の見地に係るコンベヤ装置は、上述の回転装置と、上流側コンベヤと、搬送方向選択部とを備えている。
上流側コンベヤは、回転装置の荷物搬送方向上流側に設けられている。
搬送方向選択部は、コンベヤにおいて、荷物を回転装置に向けて搬送するか又は他の方向に搬送するかを選択可能である。
この装置では、例えば、自動倉庫から出庫された荷物は、コンベヤによって搬送され、搬送方向選択部によって搬送方向を選択される。荷物は搬送方向選択部において一旦停止して作業者の判断によって姿勢変更か又はそのままかが端末で設定される。姿勢変更の場合は、荷物は回転装置側へ搬送される。
したがって、荷物の姿勢を簡単に選択できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回転装置では、縦姿勢の荷物を横姿勢に変更するときに荷物を正確に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の回転装置が採用された搬送システムの模式的平面図。
【
図4】回転装置の回転制御動作を示すフローチャート。
【
図5】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図6】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図7】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図8】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図9】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図10】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図11】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図12】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図13】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図14】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図15】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図16】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【
図17】回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
(1)コンベヤ装置の全体構成
図1を用いて、コンベヤ装置1を説明する。
図1は、第1実施形態の回転装置が採用された搬送システムの模式的平面図である。
コンベヤ装置1は、荷物を搬送する装置である。荷物は、2種類の直方体であり、種類は大荷物の荷物W1と、小荷物の荷物W2である。つまり、縦姿勢(直立姿勢)では、荷物W1は荷物W2より上下寸法が長い。荷物W1、荷物W2は、パレットに載った状態で搬送され、縦姿勢及び横姿勢のいずれでもパレットに載置可能である。
【0015】
コンベヤ装置1は、上流側コンベヤ3、下流側コンベヤ5と、回転装置7と、搬送方向選択装置9とを有している。
上流側コンベヤ3は、回転装置7の荷物搬送方向上流側に設けられている。上流側コンベヤ3は、例えば、自動倉庫13から荷物W1、荷物W2を搬出する。具体的には、上流側コンベヤ3は、第1部分3aと、そこから分岐する第2部分3b及び第3部分3cとを有している。第2部分3bは、回転装置7に向かって延びている。
下流側コンベヤ5は、回転装置7の荷物搬送方向下流側に設けられている。
回転装置7は、上流側コンベヤ3と下流側コンベヤ5の間に配置されている。回転装置7は、荷物W1、荷物W2の姿勢を変更する(後述)。
【0016】
搬送方向選択装置9は、上流側コンベヤ3において、自動倉庫13から出庫された荷物W1、荷物W2を、姿勢変更を行って出庫するために回転装置7に向けて搬送するか又は他の方向に搬送するかを選択可能である。具体的には、搬送方向選択装置9は、第1部分3aから搬送されてきた荷物W1、荷物W2を停止させ、作業者の操作によって第2部分3b又は第3部分3cのいずれに搬送するかを選択する。搬送方向選択装置9は、操作装置65(
図3)を有している。作業者は、操作装置65を用いて搬送方向を選択できる。
なお、搬送方向選択装置9は、公知の技術であって、荷物を直交方向に送り出して分岐する機能を有していればよい。搬送方向選択装置9は、例えば、ローラーコンベヤにおいて隣り合うローラの間から進退可能な横送り機構等を有していてもよい。
【0017】
以上より、荷物W1、荷物W2の姿勢を簡単に選択できる。
なお、以下の説明では、荷物W1、荷物W2が上流側コンベヤ3から回転装置7に搬入されて、さらに下流側コンベヤ5から搬出される方向を第1水平方向(矢印X)とする。また、第1水平方向に直交する方向を第2水平方向(矢印Y)とする。さらに、鉛直方向は矢印Zで表す。
【0018】
(2)回転装置の構成
図2を用いて、回転装置7を説明する。
図2は、回転装置の模式的正面図である。
回転装置7は、第1水平方向から搬送されてきた縦姿勢の荷物W1、W2を、第1水平方向に延びる回転中心軸Cの回りに90度回転させることで横姿勢にする装置である。
【0019】
回転装置7は、回転支持部11を有している。回転支持部11は、L字型回動傾斜台であり、90度に開いたL字型のそれぞれの辺に配置された第1支持部11a及び第2支持部11bを有している。回転支持部11は、回転中心軸C回りに90度回転することで第1支持部11aが水平になり第2支持部11bが直立する第1位置(第1姿勢)と、第2支持部11bが水平になり第1支持部11aが直立する第2位置(第2姿勢)との間で移動可能である。これにより、回転支持部11は、受け台としての第1支持部11a又は第2支持部11bに荷物W1、荷物W2を載置したまま回動傾斜させ、荷物W1、W2の姿勢を90度変更する。
回転支持部11は、第1支持部11a及び第2支持部11bを固定連結する円弧状の回動ガイド11cを有している。回動ガイド11cは、外周面を円弧状に形成した転動面を有しており、転動面は複数のローラによって回動可能に支持されている。
回転装置7は、回転支持部11を駆動するモータ15、動力伝達部(図示せず)を有している。
【0020】
(2-1)第1支持部における構成
第1支持部11aは、L字型の一辺を構成する第1フレーム20を有しており、第1フレーム20の上に、第1台21、第1スライド駆動装置23、第1パレット保持装置25が設けられている。第1フレーム20は、平面視で矩形の部材である。以下、これら装置を、順番に説明する。
第1台21は、パレット及び荷物W1、荷物W2を載置可能である。
第1スライド駆動装置23は、第1台21を第1フレームに対してスライド移動する。第1スライド駆動装置23は、例えばシリンダからなる。スライド移動方向は、第1水平方向に直交する方向であり、実際にスライド移動方向が行われるのは回転支持部11が第1位置を取っているときなので、第2水平方向になる。
【0021】
第1パレット保持装置25は、第1台21に配置され、パレットを第1台21に保持及び保持解除可能である。第1パレット保持装置25は、エアシリンダを含むプッシャ25aと、スライド方向反対側の支持部25bとからなる。
第1コンベヤ27は、第1台21の上に配置され、第1方向に延びて、パレット及び荷物W1、荷物W2を第1方向に搬送可能である。第1コンベヤ27は、具体的には、チェーンコンベヤである。
【0022】
(2-2)第2支持部における構成
第2支持部11bは、L字型の一辺を構成する第2フレーム30を有しており、第2フレーム30の上に、第2台31、第2スライド駆動装置33、第2パレット保持装置35が設けられている。第2フレーム30は、平面視で矩形の部材であり、第1フレーム20に固定されている。以下、これら装置を順番に説明する。
第2台31は、パレット及び荷物W1、荷物W2を載置可能である。
第2スライド駆動装置33は、第2台31を第2フレームに対してスライド移動する。第2スライド駆動装置33は、例えばシリンダからなる。スライド移動方向は、第1水平方向に直交する方向であり、実際にスライド移動方向が行われるのは回転支持部11が第2位置を取っているときなので、第2水平方向になる。
【0023】
第2パレット保持装置35は、第2台31に配置され、荷物W1、荷物W2を第2台31に保持及び保持解除可能である。第2パレット保持装置35は、エアシリンダを含むプッシャ35aと、スライド方向反対側の支持部35bとからなる。
第2コンベヤ37は、第2台31の上に配置され、第1方向に延びて、パレット及び荷物W1、荷物W2を第1方向に搬送可能である。第2コンベヤ37は、具体的には、チェーンコンベヤである。
【0024】
(3)回転装置の制御構成
図3を用いて、回転装置7の制御構成を説明する。
図3は、回転装置の制御構成を示すブロック図である。
回転装置7は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0025】
コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ51の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0026】
コントローラ51には、回転支持部11、第1スライド駆動装置23、第1パレット保持装置25、第1コンベヤ27、第2スライド駆動装置33、第2パレット保持装置35、第2コンベヤ37、搬送方向選択装置9が接続されている。コントローラ51は、これら装置を制御可能である。
コントローラ51には、載置センサ63及び操作装置65が接続されている。
【0027】
載置センサ63は、パレットが回転装置7の第1台21又は第2台31に搬入されたことを検出する。載置センサ63は、第1台21及び第2台31の各々に設けられている。載置センサ63は、光学式センサ又は機械式センサである。
【0028】
操作装置65は、前述のように、搬送方向選択装置9において搬送方向を選択するための入力装置である。
コントローラ51には、図示しないが、荷物W1、荷物W2やパレットの大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0029】
(4)荷物の姿勢変更
図2、
図4~
図17を用いて、荷物W1、荷物W2の回転装置7における姿勢変更動作を説明する。
図4は、回転装置の回転制御動作を示すフローチャートである。
図5~
図17は、回転装置の動作中の一状態を示す模式的正面図である。なお、
図5~
図11が荷物W1に関する一連の動作を示しており、
図12~
図17が荷物W2に関する一連の動作を示している。
最初の状態では、
図2に示すように、回転支持部11が第2位置にあって、第2支持部11bが水平姿勢になっており、第1支持部11aが直立姿勢になっている。具体的には、第1支持部11aは、
図2において第2支持部11bの左側に配置されている。
【0030】
(4-1)パレットP1を第2台31に保持
パレットP1が回転装置7の第2台31に供給されて、第2パレット保持装置35によって保持される。以下、具体的に説明する。
【0031】
ステップS1では、
図2に示すように、パレットP1(荷物搬出用パレット)が第2台31に搬入される。具体的には、コントローラ51が第1コンベヤ27を制御することで上記動作を実行させる。このとき、第1コンベヤ27は、上流側コンベヤ3の第3部分3cと連動するように制御される。
【0032】
ステップS2では、
図5に示すように、第2パレット保持装置35がパレットP1を第2台31に保持する。具体的には、コントローラ51が第2パレット保持装置35を制御することで上記動作を実行させる。
【0033】
ステップS3では、
図6に示すように、回転支持部11が
図6において反時計回りに90度回転させられ、第1位置に移動する。具体的には、コントローラ51が回転支持部11を制御することで上記動作を実行させる。その結果、第1支持部11aが水平姿勢になり、第2支持部11bが第1支持部11aの図右側において直立姿勢になる。つまり、パレットP1は、第2台31に保持された状態で直立姿勢になる。なお、上記の回転支持部11が回転するときに第2パレット保持装置35によりパレットP1の落下が防止されている。
【0034】
(4-2)荷物W1、荷物W2及びパレットP2を第1台21に保持
パレットP2及び荷物W1、荷物W2が回転装置7の第1台21に供給されて、第1パレット保持装置25によって保持される。以下、具体的に説明する。
【0035】
ステップS4では、
図7(荷物W1)及び
図12(荷物W2)に示すように、パレットP2及び縦姿勢の荷物W1、荷物W2が第1台21に搬入される。具体的には、コントローラ51が第1コンベヤ27を制御することで上記動作を実行させる。このとき、第1コンベヤ27は、上流側コンベヤ3の第3部分3cと連動するように制御される。
【0036】
ステップS5では、
図8(荷物W1)及び
図13(荷物W2)に示すように、第1パレット保持装置25がパレットP2を第1台21に保持する。具体的には、コントローラ51が第1パレット保持装置25を制御することで上記動作を実行させる。
【0037】
(4-3)第2台31の高さ調整
ステップS6では、回転支持部11が第1位置にあって第1台21に荷物W1、荷物W2が縦姿勢で載置される状態において、荷物上下寸法に基づいて第2スライド駆動装置33を制御することで第2台31を荷物W1、荷物W2に対して適切な位置に配置させる。具体的には、コントローラ51が第2スライド駆動装置33を制御することで、第2スライド駆動装置33が荷物を第2フレーム30に対して移動させる。
なお、荷物の上下寸法情報(高さ情報)は、上位のコントローラ(荷物上限寸法把握部の一例)からコントローラ51にあらかじめ送信されている。
【0038】
具体的には、荷物W1、荷物W2の上下方向中心がパレットP1の上下方向中心に一致するように移動させる。なお、この装置では、荷物W1の上下方向中心がパレットP1の上下方向中心が一致するようにあらかじめ設定されているので、荷物W1の場合は上記動作は省略される。
【0039】
荷物W2に関しては、
図14に示すように、荷物W2の上下方向中心がパレットP1の上下方向中心に一致するように移動させる。ただし、両者の上下方向中心は必ずしも一致しなくてもよく、わずかに離れていてもよい。後述するように荷物W2が横姿勢になったときに、荷物W2がパレットP1の上で第2水平方向にバランスがとれていれば十分である。
【0040】
(4-4)荷物W1、荷物W2のスライド移動
ステップS7では、
図9(荷物W1)及び
図15(荷物W2)に示すように、第1スライド駆動装置23が、第1台21を第1フレーム20に対して移動させることで、荷物を第2台31に保持されたパレットP1に当接させる。具体的には、コントローラ51が第1スライド駆動装置23を制御することで上記動作を実行させる。
【0041】
(4-5)90度の回転による荷物W1、荷物W2の横倒し動作
ステップS8では、
図10(荷物W1)及び
図16(荷物W2)に示すように、回転支持部11が第1位置から第2位置まで図で時計回りに90度回転する。具体的には、コントローラ51が回転支持部11を制御することで上記動作を実行させる。これにより、荷物W1、W2は、縦姿勢から横姿勢に変更され、第2台31の上のパレットP1に横姿勢で載置される。このように、荷物W1は、回転支持部11の回転によって姿勢を変更される。なお、上記の回転支持部11が回転するときに第1パレット保持装置25によりパレットP2の落下が防止される。
【0042】
ステップS9では、
図11(荷物W1)及び
図17(荷物W2)に示すように、第2パレット保持装置35がパレットP1を第2台31から保持解除する。具体的には、コントローラ51が第2パレット保持装置35を制御することで上記動作を実行させる。
この状態で、
図11及び
図17に示すように、荷物W1、荷物W2は、パレットP1に対して第2方向に両端がはみ出た状態で載置されている。ただし、荷物W1、荷物W2の第2方向中心は、パレットP1の第2方向中心に一致している又はその近傍にある。したがって、この状態から荷物W1、荷物W2がパレットP1ととともに搬送されるときに、荷物W1、荷物W2の姿勢が安定している。
【0043】
(4-6)搬出動作
ステップS10では、荷物W1及びパレットP1は、第2台31から搬出される。具体的には、コントローラ51が第2コンベヤ37を制御することで上記動作を実行させる。このとき、第2コンベヤ37は、下流側コンベヤ5と連動するように制御される。
なお、パレットP2は、その後、回転支持部11が第1姿勢に変更された後に、回転装置7から搬出される。
【0044】
2.実施形態の特徴
上記実施形態は、下記のようにも説明できる。
回転装置7(回転装置の一例)は、直方体状の荷物W1、W2(荷物の一例)を水平方向に延びる回転中心軸C(回転中心軸の一例)の回りに90度回転させる装置である。回転装置7は、回転支持部11と、第1台21と、第1スライド駆動装置23と、第2台31と、第2スライド駆動装置33と、コントローラと、を備えている。
回転支持部11(回転支持部の一例)は、90度に開いた第1支持部11a(第1支持部の一例)及び第2支持部11b(第2支持部の一例)を有しており、回転中心軸回りに90度回転することで第1支持部11aが水平になる第1位置と第2支持部が水平になる第2位置との間で移動可能である。
第1台21(第1台の一例)は、荷物W1、W2を載置可能である。
第1スライド駆動装置23(第1スライド駆動装置の一例)は、第1台21を第1支持部11aに対してスライド移動する。
第2台31は、荷物W1、W2を載置可能である。
第2スライド駆動装置33は、第2台31を第2支持部11bに対してスライド移動する。
コントローラ51は、上位コントローラから、荷物W1、W2が縦姿勢を取っているときの荷物W1、荷物W2の上下寸法を把握する。
コントローラ51(コントローラの一例)は、
回転支持部11が第1位置にあって第1台21に荷物W1、W2が縦姿勢で載置される状態において、荷物上下寸法に基づいて第2スライド駆動装置33を制御することで第2台31を荷物W1、荷物W2に対して適切な位置に配置させ、
第1スライド駆動装置23を制御することで荷物W1、W2を第2台31に当接させ、
回転支持部11を第1位置から第2位置まで90度回転させることで、荷物W1、荷物W2を横姿勢で第2台31の上に載置させる。
【0045】
この回転装置7では、荷物W1、荷物W2は、縦姿勢で第1台21に載置され、続いて回転支持部11が第1位置から第2位置まで回転することで、横姿勢で第2台31に載置される。このように、荷物W1、荷物W2は、回転支持部11の回転によって姿勢を変更される。
上記動作において、回転支持部11が回転する前に、荷物W1、荷物W2の上限寸法に基づいて第2台31が適切な位置に移動させられる。したがって、荷物W1、荷物W2を第2台31に正確に位置決めできる。
【0046】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
荷物上下寸法把握部の他の例として、荷物高さセンサが設けられていてもよい。荷物高さセンサは、荷物が縦姿勢を取っているときの荷物の上下寸法を検出する。荷物高さセンサは、例えば、回転支持部11又は上流側コンベヤ3に設けられている。荷物高さセンサは、光学式センサであり、具体的には、荷物W1、荷物W2が載置されている状態で、荷物高さを複数の光電センサにより検出する。なお、荷物高さセンサは、荷物の上方に配置されたレーザー距離計であってもよい。
【0047】
異なる高さの荷物は3種類以上でもよい。
コンベヤ装置において、上流側コンベヤ及び下流側コンベヤの配置や種類は、特に限定されない。
コンベヤ装置において、搬送方向選択部は省略されてもよい。
回転装置において、パレット保持装置は省略されてもよい。その場合は、荷物はコンベヤに直接載置される。
回転装置において、コンベヤは省略されてもよい。その場合、例えば、パレットがパレット保持装置によって位置決めされ、そのパレットがフォークリフト等で搬送される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、直方体状の荷物を90度回転させて姿勢を変更する装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 :コンベヤ装置
3 :第1コンベヤ
3a :第1部分
3b :第2部分
3c :第3部分
5 :第2コンベヤ
7 :回転装置
9 :搬送方向選択部
9a :端末
11 :回転支持部
11a :第1支持部
11b :第2支持部
11c :回動ガイド
15 :モータ
21 :第1台
23 :第1スライド駆動装置
25 :第1パレット保持装置
25a :プッシャ
25b :支持部
27 :第1コンベヤ
31 :第2台
33 :第2スライド駆動装置
35 :第2パレット保持装置
35a :プッシャ
35b :支持部
37 :第2コンベヤ
51 :コントローラ
63 :載置センサ
C :回転中心軸
P1 :パレット
P2 :パレット
W1 :荷物
W2 :荷物