(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240312BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240312BHJP
B60L 58/21 20190101ALI20240312BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 K
H02J7/00 P
B60L3/00 S
B60L58/21
(21)【出願番号】P 2020172105
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 慎司
(72)【発明者】
【氏名】林 紀佳
(72)【発明者】
【氏名】三宅 圭二
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
(72)【発明者】
【氏名】前 伸一
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054677(JP,A)
【文献】特開2008-043009(JP,A)
【文献】特開2020-150618(JP,A)
【文献】特開2019-165583(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049338(WO,A1)
【文献】特開平06-062530(JP,A)
【文献】特開平05-336601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
前記複数の二次電池の正極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第1出力部スイッチと、
前記複数の二次電池の負極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第2出力部スイッチと、
隣り合う前記二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子と、
前記複数の二次電池のうちの一方端の二次電池と、前記一方端の二次電池に接続される前記第1出力部スイッチとの接続点に接続される正極側充電端子と、
前記複数の二次電池のうちの他方端の二次電池と、前記他方端の二次電池に接続される前記第2出力部スイッチとの接続点に接続される負極側充電端子と、
前記複数の第1出力部スイッチのそれぞれの他方端子に接続される正極側放電端子と、
前記複数の第2出力部スイッチのそれぞれの他方端子に接続される負極側放電端子と、
前記複数の二次電池を互いに直列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを遮断させるとともに前記複数の直列接続用素子を導通させ、前記複数の二次電池を互いに並列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを導通させるとともに前記複数の直列接続用素子を遮断させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、隣り合う前記第1出力部スイッチを導通させ
るとともに隣り合う前記第1出力部スイッチ以外の全ての前記第1出力部スイッチ、全ての前記第2出力部スイッチ、及び全ての前記直列接続用素子を遮断させるように制御しているとき、隣り合う前記第1出力部スイッチと、隣り合う前記第1出力部スイッチのうちの一方の第1出力部スイッチに接続される故障チェック対象の直列接続用素子と、隣り合う前記第1出力部スイッチのうちの他方の第1出力部スイッチに接続される二次電池とを含む第1の故障チェック経路に流れる電流が第1の閾値以上である場合、または、隣り合う前記第2出力部スイッチを導通させ
るとともに全ての前記第1出力部スイッチ、前記隣り合う第2出力部スイッチ以外の全ての前記第2出力部スイッチ、及び全ての前記直列接続用素子を遮断させるように制御しているとき、隣り合う前記第2出力部スイッチと、隣り合う前記第2出力部スイッチのうちの一方の第2出力部スイッチに接続される故障チェック対象の直列接続用素子と、隣り合う前記第2出力部スイッチのうちの他方の第2出力部スイッチに接続される二次電池とを含む第2の故障チェック経路に流れる電流が第2の閾値以上である場合、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障していると判断する
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記複数の二次電池それぞれにヒューズが直列接続されている
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障していると判断した場合、前記第1の故障チェック経路に含まれるヒューズが溶断する前に、前記第1の故障チェック経路に含まれる第1出力部を遮断させる、または、前記第2の故障チェック経路に含まれるヒューズが溶断する前に、前記第2の故障チェック経路に含まれる第2出力部スイッチを遮断させる
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障していると判断した場合、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障している旨を、当該二次電池システムが搭載される産業車両のユーザに通知する
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池の接続状態を直列接続状態から並列接続状態に移行する場合、前記第1の故障チェック経路に流れる電流が前記第1の閾値以上であるか否かを判断する、または、前記第2の故障チェック経路に流れる電流が前記第2の閾値以上であるか否かを判断する
ことを特徴とする二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池システムとして、それぞれの一方端子が各二次電池の正極端子に接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第1出力部スイッチと、それぞれの一方端子が各二次電池の負極端子に接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第2出力部スイッチと、隣り合う二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子とを備えるものがある。上記二次電池システムでは、各二次電池を互いに直列接続させる場合、各第1出力部スイッチ及び各第2出力部スイッチを遮断させるとともに各直列接続用素子を導通させ、各二次電池を互いに並列接続させる場合、各第1出力部スイッチ及び各第2出力部スイッチを導通させるとともに各直列接続用素子を遮断させる。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
しかしながら、上記二次電池システムでは、少なくとも1つの直列接続用素子が短絡故障している状態において、各第1出力部スイッチ及び各第2出力部スイッチを導通させてしまうと、短絡故障している直列接続用素子を介して各二次電池の両端が短絡し各二次電池に比較的大きな電流が流れるため、各二次電池が故障したり各二次電池にそれぞれ直列接続されるヒューズが溶断したりするおそれがある。
【0004】
そのため、上記二次電池システムでは、各二次電池を互いに並列接続させる際、短絡故障している直列接続用素子を特定し、その直列接続用素子に接続されていない第1出力部スイッチ及び第2出力部スイッチのみを導通させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、隣り合う二次電池の間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子のうち、短絡故障している直列接続用素子を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である二次電池システムは、複数の二次電池と、前記複数の二次電池の正極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第1出力部スイッチと、前記複数の二次電池の負極端子にそれぞれの一方端子が接続され、それぞれの他方端子が互いに接続される複数の第2出力部スイッチと、隣り合う前記二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子と、前記複数の二次電池を互いに直列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを遮断させるとともに前記複数の直列接続用素子を導通させ、前記複数の二次電池を互いに並列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを導通させるとともに前記複数の直列接続用素子を遮断させる制御部とを備える。
【0008】
前記制御部は、隣り合う前記第1出力部スイッチを導通させているとき、隣り合う前記第1出力部スイッチと、隣り合う前記第1出力部スイッチのうちの一方の第1出力部スイッチに接続される故障チェック対象の直列接続用素子と、隣り合う前記第1出力部スイッチのうちの他方の第1出力部スイッチに接続される二次電池とを含む第1の故障チェック経路に流れる電流が第1の閾値以上である場合、または、隣り合う前記第2出力部スイッチを導通させているとき、隣り合う前記第2出力部スイッチと、隣り合う前記第2出力部スイッチのうちの一方の第2出力部スイッチに接続される故障チェック対象の直列接続用素子と、隣り合う前記第2出力部スイッチのうちの他方の第2出力部スイッチに接続される二次電池とを含む第2の故障チェック経路に流れる電流が第2の閾値以上である場合、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障していると判断する。
【0009】
これにより、すべての直列接続用素子を故障チェック対象とすることにより、短絡故障している直列接続用素子を特定することができる。
【0010】
また、前記複数の二次電池それぞれにヒューズが直列接続されていてもよい。
【0011】
これにより、直列接続用素子が短絡故障している状態において、隣り合う第1出力部スイッチまたは隣り合う第2出力部スイッチを導通させる際に故障チェック経路に流れる比較的大きな電流によりヒューズが溶断し二次電池に比較的大きな電流が流れることを防止することができるため、二次電池が故障することを抑制することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障していると判断した場合、前記第1の故障チェック経路に含まれるヒューズが溶断する前に、前記第1の故障チェック経路に含まれる第1出力部を遮断させる、または、前記第2の故障チェック経路に含まれるヒューズが溶断する前に、前記第2の故障チェック経路に含まれる第2出力部スイッチを遮断させるように構成してもよい。
【0013】
これにより、直列接続用素子が短絡故障している場合、ヒューズが溶断することを防止することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障していると判断した場合、前記故障チェック対象の直列接続用素子が短絡故障している旨を、当該二次電池システムが搭載される産業車両のユーザに通知するように構成してもよい。
【0015】
これにより、短絡故障している直列接続用素子の交換作業をユーザに促すことができる。
【0016】
前記制御部は、前記複数の二次電池の接続状態を直列接続状態から並列接続状態に移行する場合、前記第1の故障チェック経路に流れる電流が前記第1の閾値以上であるか否かを判断する、または、前記第2の故障チェック経路に流れる電流が前記第2の閾値以上であるか否かを判断するように構成してもよい。
【0017】
これにより、各二次電池を互いに並列接続させる際、短絡故障している直列接続用素子に接続される二次電池の両端に接続される第1出力部スイッチ及び第2出力部スイッチを遮断させることができるため、短絡故障している直列接続用素子を介して各二次電池に比較的大きな電流が流れることを防止することができ、各二次電池が故障したり各二次電池にそれぞれ直列接続されるヒューズが溶解したりすることを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、隣り合う二次電池の間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子のうち、短絡故障している直列接続用素子を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
【
図2】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態の二次電池システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0021】
図1は、実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
【0022】
図1に示す二次電池システム1は、フォークリフトやトーイングトラクタなどの産業車両Veに搭載される。なお、産業車両Veは、二次電池システム1の他に、走行用モータなどの負荷Loを備える。
【0023】
また、二次電池システム1は、負荷Loに電力を供給し、外部の充電器Chから電力が供給される。なお、充電器Chは、産業車両Veの内部に設けられていてもよい。
【0024】
また、二次電池システム1は、二次電池B1~B3と、正極側充電端子Tipと、負極側充電端子Tinと、正極側放電端子Topと、負極側放電端子Tonと、第1出力部スイッチS11~S13と、第2出力部スイッチS21~S23と、直列接続用素子S31、S32と、ヒューズF1~F3と、電流計Si1~Si3と、制御部2とを備える。
【0025】
また、二次電池B1~B3を特に区別しない場合、単に、二次電池Bとする。また、第1出力部スイッチS11~S13を特に区別しない場合、単に、第1出力部スイッチS1とする。また、第2出力部スイッチS21~S23を特に区別しない場合、単に、第2出力部スイッチS2とする。また、直列接続用素子S31、S32を特に区別しない場合、単に、直列接続用素子S3とする。また、ヒューズF1~F3を特に区別しない場合、単に、ヒューズFとする。
【0026】
また、二次電池B、第1出力部スイッチS1、及び第2出力部スイッチS2のそれぞれの数は3つに限定されない。また、直列接続用素子S3の数は2つに限定されない。例えば、二次電池B、第1出力部スイッチS1、及び第2出力部スイッチS2のそれぞれの数を2つとし、直列接続用素子S3を1つとする場合、二次電池システム1は、二次電池B1、B2と、第1出力部スイッチS11、S12と、第2出力部スイッチS21、S22と、直列接続用素子S31とを備える。このように構成する場合、負極側充電端子Tinは、二次電池B2の負極端子に接続されるとともに第2出力部スイッチS22に接続されるものとする。
【0027】
二次電池Bは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの1つ以上の充放電可能な電池(モジュール)により構成される。
【0028】
第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は、それぞれ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチまたは機械式スイッチ(電磁式リレー)により構成される。なお、直列接続用素子S3は、ダイオードにより構成されてもよい。
【0029】
ヒューズF1は、二次電池B1に流れる電流が定格電流より大きくなると溶断し、許容電流を超える電流が二次電池B1に流れることを防止する。また、ヒューズF2は、二次電池B2に流れる電流が定格電流より大きくなると溶断し、許容電流を超える電流が二次電池B2に流れることを防止する。また、ヒューズF3は、二次電池B3に流れる電流が定格電流より大きくなると溶断し、許容電流を超える電流が二次電池B3に流れることを防止する。
【0030】
電流計Si1は、二次電池B1に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部2に送る。また、電流計Si2は、二次電池B2に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部2に送る。また、電流計Si3は、二次電池B3に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部2に送る。
【0031】
すなわち、第1出力部スイッチS11の一方端子が二次電池B1の正極端子に接続されているとともに正極側充電端子Tipを介して充電器Chの正極端子に接続され、第1出力部スイッチS12の一方端子が二次電池B2の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS13の一方端子が二次電池B3の正極端子に接続されている。また、第1出力部スイッチS11~S13のそれぞれの他方端子が互いに接続されているとともに正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に接続されている。また、第2出力部スイッチS21の一方端子がヒューズF1及び電流計Si1を介して二次電池B1の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS22の一方端子がヒューズF2及び電流計Si2を介して二次電池B2の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS23の一方端子がヒューズF3及び電流計Si3を介して二次電池B3の負極端子に接続されている。また、第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの他方端子が互いに接続されているとともに負極側放電端子Tonを介して負荷Loの負極端子に接続されている。また、直列接続用素子S31の一方端子が隣り合う二次電池B1、B2のうちの二次電池B2の正極端子に接続され、直列接続用素子S31の他方端子がヒューズF1及び電流計Si1を介して二次電池B1の負極端子に接続されている。また、直列接続用素子S32の一方端子が隣り合う二次電池B2、B3のうちの二次電池B3の正極端子に接続され、直列接続用素子S32の他方端子がヒューズF2及び電流計Si2を介して二次電池B2の負極端子に接続されている。なお、直列接続用素子S31、S32をダイオードにより構成する場合、直列接続用素子S31、S32のそれぞれの一方端子がカソード端子に対応し、直列接続用素子S31、S32のそれぞれの他方端子がアノード端子に対応する。
【0032】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、二次電池B1~B3の充電または放電に応じて、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31、S32のそれぞれの動作を制御する。直列接続用素子S31、S32がダイオードにより構成される場合、直列接続用素子S31、S32が半導体スイッチまたは機械式スイッチにより構成される場合に比べて、直列接続用素子S31、S32の動作を制御する必要がない分、制御部2にかかる負荷を軽減することができる。
【0033】
<二次電池B1~B3の充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0034】
制御部2は、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させるとともに直列接続用素子S31、S32を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1~B3が充電される。このように、二次電池B1~B3を充電させる場合、二次電池B1~B3を互いに直列接続させることにより、二次電池B1~B3全体にかかる電圧を比較的高くすることができるため、二次電池B1~B3に流れる電流を低減することができる。そのため、充電器Chと産業車両Veとを互いにつなぐ充電ケーブルを小型化することができるため、充電作業性を向上させることができる。
【0035】
<二次電池B1~B3のうちの一部の二次電池Bの充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子3は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0036】
制御部2は、二次電池B1を充電させるとともに二次電池B2、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS22、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S23を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1のみが充電される。
【0037】
制御部2は、二次電池B2を充電させるとともに二次電池B1、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び第2出力部スイッチS22、S23を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2のみが充電される。
【0038】
制御部2は、二次電池B3を充電させるとともに二次電池B1、B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B3のみが充電される。
【0039】
また、制御部2は、二次電池B1、B2を充電させるとともに二次電池B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS22、S23及び直列接続用素子S31を導通させる。これにより、二次電池B1、B2を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、第2出力部スイッチS23、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B2のみが充電される。
【0040】
また、制御部2は、二次電池B2、B3を充電させるとともに二次電池B1を充電させない場合、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び直列接続用素子S32を導通させる。これにより、二次電池B2、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2、B3のみが充電される。
【0041】
また、二次電池B1、B3を充電させるとともに二次電池B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、S13及び直列接続用素子S31を導通させる。これにより、二次電池B1、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、第1出力部スイッチS12、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B3のみが充電される。
【0042】
または、二次電池B1、B3を充電させるとともに二次電池B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S22及び直列接続用素子S32を導通させる。これにより、二次電池B1、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B3のみが充電される。
【0043】
<二次電池B1~B3の放電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び直列接続用素子S3は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0044】
制御部2は、直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに並列接続させることができる。そして、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、第2出力部スイッチS21、ヒューズF1、電流計Si1、二次電池B1、第1出力部スイッチS11、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、第2出力部スイッチS22、ヒューズF2、電流計Si2、二次電池B2、第1出力部スイッチS12、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、第2出力部スイッチS23、ヒューズF3、電流計Si3、二次電池B3、第1出力部スイッチS13、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が放電される。このように、二次電池B1~B3を放電させる場合、二次電池B1~B3を並列接続することにより、二次電池B1~B3の全体の容量を増加させることができる。
【0045】
<故障チェック経路の形成時>
制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S31を選択する場合、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12を導通させることにより、第1出力部スイッチS11、S12と、直列接続用素子S31と、二次電池B1と、電流計Si1と、ヒューズF1とを含む故障チェック経路L11(第1の故障チェック経路)を形成する。なお、直列接続用素子S31が短絡故障(ショート故障)していると、故障チェック経路L11に比較的大きな電流が流れるものとする。また、短絡故障とは、直列接続用素子S3の両端が互いに接続されている状態とする。または、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S31を選択する場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS23、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS21、S22を導通させることにより、第2出力部スイッチS21、S22と、直列接続用素子S31と、二次電池B2と、電流計Si2と、ヒューズF2とを含む故障チェック経路L21(第2の故障チェック経路)を形成する。なお、直列接続用素子S31が短絡故障していると、故障チェック経路L21に比較的大きな電流が流れるものとする。
【0046】
また、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S32を選択する場合、第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21~S23、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、S13を導通させることにより、第1出力部スイッチS12、S13と、直列接続用素子S32と、二次電池B2と、電流計Si2と、ヒューズF2とを含む故障チェック経路L12(第1の故障チェック経路)を形成する。なお、直列接続用素子S32が短絡故障していると、故障チェック経路L12に比較的大きな電流が流れるものとする。または、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3として、直列接続用素子S32を選択する場合、第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S31、S32を遮断させるとともに第2出力部スイッチS22、S23を導通させることにより、第2出力部スイッチS22、S23と、直列接続用素子S32と、二次電池B3と、電流計Si3と、ヒューズF3とを含む故障チェック経路L22(第2の故障チェック経路)を形成する。なお、直列接続用素子S32が短絡故障していると、故障チェック経路L22に比較的大きな電流が流れるものとする。
【0047】
<直列接続用素子S3の故障判断時>
制御部2は、故障チェック経路L11に含まれる電流計Si1により計測される電流が閾値Ith1(第1の閾値)以上である場合、直列接続用素子S31が短絡故障していると判断する。また、閾値Ith1は、第1出力部スイッチS11、S12及び直列接続用素子S31が導通しているときに故障チェック経路L11に流れる電流の最小値とする。また、制御部2は、電流計Si1により計測される電流が閾値Ith1以上である場合、ヒューズF1が溶断する前に第1出力部スイッチS11、S12のうちの少なくとも1つを遮断するように構成してもよい。これにより、直列接続用素子S31が短絡故障している場合、故障チェック経路L11の形成時にヒューズF1が溶断することを防止することができる。
【0048】
また、制御部2は、故障チェック経路L21に含まれる電流計Si2により計測される電流が閾値Ith2(第2の閾値)以上である場合、直列接続用素子S31が短絡故障していると判断する。なお、閾値Ith2は、第2出力部スイッチS21、S22及び直列接続用素子S31が導通しているときに故障チェック経路L21に流れる電流の最小値とする。また、制御部2は、電流計Si2により計測される電流が閾値Ith2以上である場合、ヒューズF2が溶断する前に第2出力部スイッチS21、S22のうちの少なくとも1つを遮断するように構成してもよい。これにより、直列接続用素子S31が短絡故障している場合、故障チェック経路L21の形成時にヒューズF2が溶断することを防止することができる。
【0049】
また、制御部2は、故障チェック経路L12に含まれる電流計Si2により計測される電流が閾値Ith3(第1の閾値)以上である場合、直列接続用素子S32が短絡故障していると判断する。なお、閾値Ith3は、第1出力部スイッチS12、S13及び直列接続用素子S32が遮断しているときに故障チェック経路L12に流れる電流の最小値とする。また、制御部2は、電流計Si2により計測される電流が閾値Ith3以上である場合、ヒューズF2が溶断する前に第1出力部スイッチS12、S13のうちの少なくとも1つを遮断するように構成してもよい。これにより、直列接続用素子S32が短絡故障している場合、故障チェック経路L12の形成時にヒューズF2が溶断することを防止することができる。
【0050】
また、制御部2は、故障チェック経路L22に含まれる電流計Si3により計測される電流が閾値Ith4(第2の閾値)以上である場合、直列接続用素子S32が短絡故障していると判断する。なお、閾値Ith4は、第2出力部スイッチS22、S23及び直列接続用素子S32が遮断しているときに故障チェック経路L22に流れる電流の最小値とする。また、制御部2は、電流計Si3により計測される電流が閾値Ith4以上である場合、ヒューズF3が溶断する前に第2出力部スイッチS22、S23のうちの少なくとも1つを遮断するように構成してもよい。これにより、直列接続用素子S32が短絡故障している場合、故障チェック経路L22の形成時にヒューズF3が溶断することを防止することができる。
【0051】
すなわち、制御部2は、隣り合う2つの第1出力部スイッチS1または隣り合う2つの第2出力部スイッチS2を導通させるとともに故障チェック対象の直列接続用素子S3を遮断させているときに故障チェック経路に流れる電流が閾値以上である場合、故障チェック対象の直列接続用素子S3が短絡故障していると判断する。
【0052】
<直列接続用素子S3が短絡故障している場合における二次電池Bの放電時>
なお、第1出力部スイッチS1及び第2出力部スイッチS2は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0053】
制御部2は、直列接続用素子S31が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、S13及び第2出力部スイッチS22、S23を導通させることにより二次電池B2、B3を互いに並列接続させる。
【0054】
または、制御部2は、直列接続用素子S31が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS22、及び直列接続用素子S32を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13及び第2出力部スイッチS21、S23を導通させることにより二次電池B1、B3を互いに並列接続させる。
【0055】
また、制御部2は、直列接続用素子S32が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS22、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13及び第2出力部スイッチS21、S23を導通させることにより二次電池B1、B3を互いに並列接続させる。
【0056】
または、制御部2は、直列接続用素子S32が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS23、及び直列接続用素子S31を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12及び第2出力部スイッチS21、S22を導通させることにより二次電池B1、B2を互いに並列接続させる。
【0057】
このように、直列接続用素子S3が短絡故障している場合、その直列接続用素子S3に接続される二次電池Bに接続される第1出力部スイッチS1及び第2出力部スイッチS2を遮断させることにより、残りの二次電池Bを互いに並列接続させても、残りの二次電池Bの両端が短絡せず残りの二次電池Bに比較的大きな電流が流れることを防止することができる。
【0058】
図2は、充電時の制御部2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、制御部2は、二次電池Bの接続状態を直列接続状態から並列接続状態に移行する場合(ステップS1:Yes)、故障チェック経路を形成する(ステップS2)。例えば、制御部2は、二次電池B1~B3の充電が終了したと判断すると、二次電池Bの接続状態を直列接続状態から並列接続状態に移行する。
【0060】
次に、制御部2は、故障チェック経路に流れる電流が閾値Ith以上である場合(ステップS3:Yes)、故障チェック対象の直列接続用素子S3が短絡故障していると判断し(ステップS4)、直列接続用素子S3が故障している旨を産業車両Veのユーザに通知する(ステップS5)。例えば、制御部2は、故障チェック対象の直列接続用素子S3が短絡故障していると判断すると、産業車両Veに搭載されるメータ付近のランプを点灯させたり、ブザーを鳴らしたりする。これにより、故障している直列接続用素子S3の交換作業をユーザに促すことができる。なお、故障チェック経路に流れる電流が閾値Ith以上になった後、故障チェック経路に含まれるヒューズFを溶断させるように構成しても、故障チェック経路に含まれる二次電池Bが二次電池システム1から分離されるため、残りの二次電池Bを互いに並列接続させても、残りの二次電池Bの両端が短絡せず残りの二次電池Bに比較的大きな電流が流れることを防止することができる。
【0061】
一方、制御部2は、故障チェック経路に流れる電流が閾値Ithより小さい場合(ステップS3:No)、ステップS6の処理に進む。
【0062】
次に、制御部2は、すべての直列接続用素子S3を故障チェックしていないと判断した場合(ステップS6:No)、故障チェックしていない次の故障チェック対象の直列接続用素子S3を選択した後(ステップS7)、ステップS2の処理に戻り、ステップS7の処理で選択した故障チェック対象の直列接続用素子S3を含む故障チェック経路を形成する。
【0063】
一方、制御部2は、すべての直列接続用素子S3を故障チェックしたと判断すると(ステップS6:Yes)、短絡故障している直列接続用素子S3に接続される二次電池B以外の二次電池Bを並列接続させる(ステップS8)。
【0064】
このように、実施形態の二次電池システム1では、隣り合う2つの第1出力部スイッチS1または隣り合う2つの第2出力部スイッチS2を導通させるとともに故障チェック対象の直列接続用素子S3を遮断させているときに故障チェック経路に流れる電流が閾値Ith以上である場合、故障チェック対象の直列接続用素子S3が短絡故障していると判断することができるため、すべての直列接続用素子S3を故障チェック対象とすることにより、短絡故障している直列接続用素子S3を特定することができる。
【0065】
また、実施形態の二次電池システム1では、短絡故障している直列接続用素子S3を特定することができるため、その短絡故障している直列接続用素子S3に接続される二次電池Bを除いた残りの二次電池Bを並列接続させることができる。そのため、短絡故障している直列接続用素子S3を介して残りの二次電池Bの両端が短絡し残りの二次電池Bに比較的大きな電流が流れることを防止することができるため、残りの二次電池Bが故障したり残りの二次電池Bに直列接続されるヒューズFが溶解したりすることを防止することができる。これにより、直列接続用素子S3が故障しても、すべての二次電池Bが使用できなくなる状況にならないため、二次電池システム1から負荷Loに継続して電力を供給することができる。
【0066】
また、実施形態の二次電池システム1では、短絡故障している直列接続用素子S3を特定するために、新たに故障検知回路を設ける必要がないため、製造コストの増大を低減することができる。
【0067】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0068】
<変形例>
図3は、実施形態の二次電池システムの変形例を示す図である。なお、
図3に示す二次電池システム1において、
図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図3に示す二次電池システム1において、
図1に示す二次電池システム1と異なる点は、正極側充電端子Tipが第1出力部スイッチS11~S13のそれぞれの他方端子の接続点に接続されている点と、スイッチS41が第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの他方端子の接続点と負極側充電端子Tinとの間に接続されている点と、スイッチS42が第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの他方端子の接続点と負極側放電端子Tonとの間に接続されている点である。なお、スイッチS41、S42は半導体スイッチまたは機械式スイッチにより構成される。また、
図3に示す二次電池システム1における故障チェック経路の形成方法及び短絡故障チェック方法は、
図1に示す二次電池システム1における故障チェック経路の形成方法及び短絡故障チェック方法と同等であるため、その説明を省略する。
【0070】
<二次電池B1~B3の充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、直列接続用素子S3、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0071】
制御部2は、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS21、S22、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1~B3が充電される。
【0072】
<二次電池B1~B3のうちの一部の二次電池Bの充電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、直列接続用素子S3、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0073】
制御部2は、二次電池B1を充電させるとともに二次電池B2、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS22、S23、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21、及びスイッチS41を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、第2出力部スイッチS21、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1のみが充電される。
【0074】
制御部2は、二次電池B2を充電させるとともに二次電池B1、B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S23、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS22、及びスイッチS41を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2のみが充電される。
【0075】
制御部2は、二次電池B3を充電させるとともに二次電池B1、B2を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、S12、第2出力部スイッチS21、S22、直列接続用素子S31、S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS23、及びスイッチS41を導通させる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B3のみが充電される。
【0076】
また、制御部2は、二次電池B1、B2を充電させるとともに二次電池B3を充電させない場合、第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS21、S23、直列接続用素子S32、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S31、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B1、B2を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、ヒューズF1、直列接続用素子S31、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、第2出力部スイッチS22、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B1、B2のみが充電される。
【0077】
また、制御部2は、二次電池B2、B3を充電させるとともに二次電池B1を充電させない場合、第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S22、直列接続用素子S31、及びスイッチS42を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を導通させる。これにより、二次電池B2、B3を互いに直列接続させることができる。そして、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、ヒューズF2、直列接続用素子S32、二次電池B3、電流計Si3、ヒューズF3、第2出力部スイッチS23、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に電流が流れ、二次電池B2、B3のみが充電される。
【0078】
<二次電池B1~B3の放電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0079】
制御部2は、直列接続用素子S31、S32及びスイッチS41を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11~S13、第2出力部スイッチS21~S23、及びスイッチS42を導通させる。これにより、二次電池B1~B3を互いに並列接続させることができる。そして、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS21、ヒューズF1、電流計Si1、二次電池B1、第1出力部スイッチS11、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS22、ヒューズF2、電流計Si2、二次電池B2、第1出力部スイッチS12、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。また、負荷Loの負極端子から負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS23、ヒューズF3、電流計Si3、二次電池B3、第1出力部スイッチS13、及び正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に電流が流れる。これにより、二次電池B1~B3が放電される。
【0080】
<直列接続用素子S3が短絡故障している場合における二次電池Bの放電時>
なお、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及びスイッチS41、S42は故障していないものとする。また、ヒューズFは溶断していないものとする。
【0081】
制御部2は、直列接続用素子S31が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS11、第2出力部スイッチS21、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を遮断させるとともに第1出力部スイッチS12、S13、第2出力部スイッチS22、S23、及びスイッチS42を導通させることにより二次電池B2、B3を互いに並列接続させる。
【0082】
または、制御部2は、直列接続用素子S31が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S23、及びスイッチS42を導通させることにより二次電池B1、B3を互いに並列接続させる。
【0083】
制御部2は、直列接続用素子S32が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS12、第2出力部スイッチS22、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S13、第2出力部スイッチS21、S23、及びスイッチS42を導通させることにより二次電池B1、B3を互いに並列接続させる。
【0084】
または、制御部2は、直列接続用素子S32が短絡故障していると判断すると、第1出力部スイッチS13、第2出力部スイッチS23、直列接続用素子S32、及びスイッチS41を遮断させるとともに第1出力部スイッチS11、S12、第2出力部スイッチS21、S22、及びスイッチS42を導通させることにより二次電池B1、B2を互いに並列接続させる。
【0085】
このように、変形例の二次電池システム1においても、すべての直列接続用素子S3を故障チェック対象とすることにより、短絡故障している直列接続用素子S3を特定することができる。また、直列接続用素子S3が故障しても、すべての二次電池Bが使用できなくなる状況にならないため、二次電池システム1から負荷Loに継続して電力を供給することができる。また、短絡故障している直列接続用素子S3を特定するために、新たに故障検知回路を設ける必要がないため、製造コストの増大を低減することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 二次電池システム
2 制御部
Tip 正極側充電端子
Tin 負極側充電端子
Top 正極側放電端子
Ton 負極側放電端子
S11~S13 第1出力部スイッチ
S21~S23 第2出力部スイッチ
S31、S32 直列接続用素子
S41、S42 スイッチ
B1~B3 二次電池
Lo 負荷
Ch 充電器