(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20240312BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240312BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01L23/40 E
H02M7/48 Z
H05K7/20 E
(21)【出願番号】P 2020175607
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸憲
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-013884(JP,A)
【文献】国際公開第2019/215805(WO,A1)
【文献】特開2014-225571(JP,A)
【文献】特開2014-203892(JP,A)
【文献】特開2009-043863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
H02M 7/48
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器(670)を備えるケース(610)と、
前記冷却器の一面(670a)に設けられ、前記一面に沿う第1方向に並んで配置された複数の半導体モジュール(530)と、
前記一面に直交する直交方向において複数の前記半導体モジュールそれぞれに前記冷却器に向かう弾性力を付与するバネ(700)と、
前記ケースに連結されることで、前記バネを複数の前記半導体モジュールそれぞれとの間で圧縮するブラケット(800)と、を有し、
前記ブラケットは、
前記直交方向で前記バネと対向する平板部(810)と、
前記平板部の前記第1方向における両端を前記ケースに連結する複数の第1連結部(831,832)と、
前記平板部の前記一面に沿いつつ前記第1方向に直交する第2方向における両端(810c,810d)を前記ケースに連結する複数の第2連結部(833,834,835,836)と、を有
し、
前記半導体モジュールは、半導体素子(541,541a,542,542a)と、前記半導体素子を封止する封止樹脂(550)と、前記第2方向における前記封止樹脂の一端(550c)から前記第2方向に延びる複数の端子(540a,540b,540c)と、を備え、
前記第2連結部における前記ケースと連結される接続部(833a,834a,835a,836a)の前記第2方向における位置は、前記一端と複数の前記端子の先端との間になっており、
前記接続部の前記第1方向における位置は、複数の前記封止樹脂のうち前記第1方向で隣接する2つの前記封止樹脂の間になっている電力変換装置。
【請求項2】
冷却器(670)を備えるケース(610)と、
前記冷却器の一面(670a)に設けられ、前記一面に沿う第1方向に並んで配置された複数の半導体モジュール(530)と、
前記一面に直交する直交方向において複数の前記半導体モジュールそれぞれに前記冷却器に向かう弾性力を付与するバネ(700)と、
前記ケースに連結されることで、前記バネを複数の前記半導体モジュールそれぞれとの間で圧縮するブラケット(800)と、を有し、
前記ブラケットは、
前記直交方向で前記バネと対向する平板部(810)と、
前記平板部の前記第1方向における両端を前記ケースに連結する複数の第1連結部(831,832)と、
前記平板部の前記一面に沿いつつ前記第1方向に直交する第2方向における両端(810c,810d)を前記ケースに連結する複数の第2連結部(833,834,835,836)と、を有し、
前記第2連結部における前記ケースと連結される接続部(833a,834a,835a,836a)の前記第2方向における位置は、複数の前記半導体モジュールそれぞれの前記第2方向の位置とは異なり、
前記接続部の前記第1方向における位置は、前記第1方向で並ぶ複数の前記半導体モジュールのうちの両端に位置する2つの前記半導体モジュールの間になっている電力変換装置。
【請求項3】
前記第2連結部と前記平板部との接続部位の前記第1方向における位置は、前記第1方向で並ぶ複数の前記半導体モジュールの間である請求項1
または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記平板部の他に、前記平板部の前記直交方向の厚みが局所的に厚い肉厚部(840)を有し、
前記肉厚部は、前記平板部における前記第2方向の両端の一方の前記第2連結部との接続部位と前記平板部における前記第2方向の両端の他方の前記第2連結部との接続部位との間で連続して延びる経路に設けられている請求項
3に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、複数の半導体モジュールと冷却器とを有する電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、冷却器と、複数の半導体モジュールと、板バネと、バネ押えブラケットと、を備える電力変換装置が知られている。冷却器の上に、複数の半導体モジュール、板バネ、バネ押えブラケットが順に設けられている。板バネは複数の半導体モジュールとバネ押えブラケットとの間で圧縮されている。圧縮された板バネで生じた弾性力によって複数の半導体モジュールそれぞれが冷却器に押圧されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される電力変換装置において、板バネ(バネ)の弾性力は複数の半導体モジュールそれぞれだけではなく、バネ押えブラケット(ブラケット)にも作用する。この弾性力によってブラケットが湾曲すると、複数の半導体モジュールそれぞれに作用する弾性力にばらつきが生じる。この結果、複数の半導体モジュールそれぞれと冷却器との間の熱抵抗にばらつきが生じる。複数の半導体モジュールの冷却性能にばらつきが生じる虞がある。
【0005】
本開示の目的は、バネの弾性力によるブラケットの湾曲が抑制された電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電力変換装置は、冷却器(670)を備えるケース(610)と、
冷却器の一面(670a)に設けられ、一面に沿う第1方向に並んで配置された複数の半導体モジュール(530)と、
一面に直交する直交方向において複数の半導体モジュールそれぞれに冷却器に向かう弾性力を付与するバネ(700)と、
ケースに連結されることで、バネを複数の半導体モジュールそれぞれとの間で圧縮するブラケット(800)と、を有し、
ブラケットは、
直交方向でバネと対向する平板部(810)と、
平板部の第1方向における両端をケースに連結する複数の第1連結部(831,832)と、
平板部の一面に沿いつつ第1方向に直交する第2方向における両端(810c,810d)をケースに連結する複数の第2連結部(833,834,835,836)と、を有する。
その上で、第1の態様による電力変換装置では、
半導体モジュールは、半導体素子(541,541a,542,542a)と、半導体素子を封止する封止樹脂(550)と、第2方向における封止樹脂の一端(550c)から第2方向に延びる複数の端子(540a,540b,540c)と、を備え、
第2連結部におけるケースと連結される接続部(833a,834a,835a,836a)の第2方向における位置は、一端と複数の端子の先端との間になっており、
接続部の第1方向における位置は、複数の封止樹脂のうち第1方向で隣接する2つの封止樹脂の間になっている。
また、第2の態様による電力変換装置では、第2連結部におけるケースと連結される接続部(833a,834a,835a,836a)の第2方向における位置は、複数の半導体モジュールそれぞれの第2方向の位置とは異なり、
接続部の第1方向における位置は、第1方向で並ぶ複数の半導体モジュールのうちの両端に位置する2つの半導体モジュールの間になっている。
【0007】
上記第1の態様および第2の態様によれば、バネ(700)の弾性力によってブラケット(800)が湾曲することが抑制される。そのため、複数の半導体モジュール(530)の冷却性能にばらつきが生じることが抑制される。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】電力変換装置の内部構成を説明するための上面図である。
【
図4】外底面側の凹部を説明するための下面図である。
【
図5】内底面側の凹部を説明するための上面図である。
【
図8】プレートに載置板とスイッチモジュールが設けられた状態を説明するための上面図である。
【
図9】スイッチモジュールにバネが設けられた状態を説明するための上面図である。
【
図10】バネにブラケットが設けられた状態を説明するための上面図である。
【
図12】V相バスバと第4結合部の相対位置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせが可能である。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、組み合わせが可能であることを明示していなくても、実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、
図1に基づいて電力変換装置300の設けられる車載システム100を説明する。車載システム100はバッテリ200、電力変換装置300、および、モータ400を有する。
【0013】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0014】
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。また、電力変換装置300はモータ400の回生によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0015】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0016】
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより推進力が走行輪に付与される。また、モータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0017】
<電力変換装置の概説>
次に電力変換装置300を説明する。電力変換装置300は
図1に示す電力変換回路500と
図2に示すハウジング600を有する。電力変換回路500はインバータを含んでいる。ハウジング600は電力変換回路500を収納している。
【0018】
インバータはバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。また、インバータはモータ400の回生で生じた交流電力を直流電力に変換する。この直流電力がバッテリ200に供給されて、バッテリ200が充電される。
【0019】
なお、電力変換回路500はコンバータを含んでいてもよい。コンバータはバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルに昇圧する。また、コンバータはモータ400で生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
【0020】
電力変換回路500はバスバ510、平滑コンデンサ520、および、スイッチモジュール530を有する。
【0021】
バスバ510はPバスバ511とNバスバ512を備える。Pバスバ511はバッテリ200の正極に接続され、Nバスバ512はバッテリ200の負極に接続される。
【0022】
バスバ510はU相バスバ513、V相バスバ514、および、W相バスバ515を備える。U相バスバ513、V相バスバ514、および、W相バスバ515はモータ400に接続されている。
図1では、各種バスバの接続部位を白丸で示している。これら接続部位は例えばボルトや溶接などによって電気的に接続されている。
【0023】
平滑コンデンサ520は2つの電極を備える。これら2つの電極のうちの一方にPバスバ511が接続されている。2つの電極のうちの他方にNバスバ512が接続されている。
【0024】
スイッチモジュール530はU相スイッチモジュール531、V相スイッチモジュール532、および、W相スイッチモジュール533を備える。これらU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533が半導体モジュールに相当する。
【0025】
U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533はハイサイドスイッチ541、ローサイドスイッチ542、ハイサイドダイオード541a、および、ローサイドダイオード542aをそれぞれ有する。また、後で詳説するように、U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれはこれらの半導体素子を被覆保護する封止樹脂550を有する。
【0026】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542としてnチャネル型のIGBTを採用している。
図1に示すようにハイサイドスイッチ541のエミッタ電極とローサイドスイッチ542のコレクタ電極とが接続されている。これによりハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542とが直列接続されている。
【0027】
また、ハイサイドスイッチ541のコレクタ電極にハイサイドダイオード541aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ541のエミッタ電極にハイサイドダイオード541aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ541とハイサイドダイオード541aとが逆並列接続されている。
【0028】
同様にして、ローサイドスイッチ542のコレクタ電極にローサイドダイオード542aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ542のエミッタ電極にローサイドダイオード542aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ542とローサイドダイオード542aとが逆並列接続されている。
【0029】
上記したようにハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542は封止樹脂550によって被覆保護されている。この封止樹脂550から、ハイサイドスイッチ541のコレクタ電極、ハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542との間の中点、および、ローサイドスイッチ542のエミッタ電極それぞれに接続された端子の先端が露出されている。ハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542それぞれのゲート電極に接続された端子の先端が封止樹脂550から露出されている。以下においてはこれら端子を、コレクタ端子540a、中点端子540c、エミッタ端子540b、および、ゲート端子540dと示す。
【0030】
コレクタ端子540aがPバスバ511に接続される。エミッタ端子540bがNバスバ512に接続される。コレクタ端子540aはPバスバ511と電気的に接続されている。エミッタ端子540bはNバスバ512と電気的に接続されている。これによりハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542とがPバスバ511からNバスバ512へ向かって順に直列接続されている。
【0031】
U相スイッチモジュール531の中点端子540cがU相バスバ513を介してモータ400のU相ステータコイルに接続されている。U相スイッチモジュール531の中点端子540cはU相バスバ513と電気的に接続されている。
【0032】
V相スイッチモジュール532の中点端子540cがV相バスバ514を介してモータ400のV相ステータコイルに接続されている。V相スイッチモジュール532の中点端子540cはV相バスバ514と電気的に接続されている。
【0033】
W相スイッチモジュール533の中点端子540cがW相バスバ515を介してモータ400のW相ステータコイルに接続されている。W相スイッチモジュール533の中点端子540cがW相バスバ515と電気的に接続されている。
【0034】
そしてU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533に含まれるハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542それぞれのゲート端子540dがゲートドライバに接続されている。
【0035】
ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅し、それをゲート端子540dに出力する。これによりハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542はECUによって開閉制御される。ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整している。
【0036】
なお、ECUは
図2に示すECU基板544に搭載されている。ゲートドライバは
図3に示すドライバ基板543に搭載されている。ECU基板544はz方向でドライバ基板543と並んで配置されている。これら2つの基板は図示しないワイヤハーネスなどによって電気的に接続されている。
【0037】
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号の出力によってU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の備えるハイサイドスイッチ541とローサイドスイッチ542それぞれがPWM制御される。これにより電力変換回路500で3相交流が生成される。モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これにより発電によって生成された交流電流がU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0038】
なお、U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれの備えるスイッチ素子の種類としては特に限定されず、例えばMOSFETを採用することもできる。そしてU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533に含まれるスイッチやダイオードなどの半導体素子は、Siなどの半導体、SiCなどのワイドキャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0039】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ541、ローサイドスイッチ542、ハイサイドダイオード541a、および、ローサイドダイオード542aが封止樹脂550に被覆保護される。このようにしてU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533が構成される例を示した。しかしながら、例えばハイサイドスイッチ541とハイサイドダイオード541aとが樹脂封止され、ローサイドスイッチ542とローサイドダイオード542aとが樹脂封止された構成を採用することもできる。半導体素子の封止形態としては特に限定されない。
【0040】
ハウジング600には液体の冷媒が通っている。そのため、ハウジング600に収納される電力変換回路500の昇温が抑制されている。
【0041】
<電力変換装置の構成要素>
次に電力変換装置300の構成要素を個別に説明する。それにあたって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。x方向が第1方向に相当する。y方向が第2方向に相当する。z方向が直交方向に相当する。
【0042】
これまで説明した構成要素の他に、電力変換装置300は
図2~
図12に示す各種構成要素を備えている。これら各種構成要素には、例えば
図9と
図10に示すバネ700とブラケット800が含まれる。これらバネ700とブラケット800は電力変換回路500とともに、冷却機能を備えるハウジング600に収納されている。
【0043】
図9と
図10に示すように、ハウジング600の中において、スイッチモジュール530、バネ700、および、ブラケット800が順にz方向で積層されている。ブラケット800がハウジング600に連結されている。これによりバネ700がブラケット800とスイッチモジュール530との間で圧縮されている。
【0044】
スイッチモジュール530の備えるU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれは圧縮されたバネ700によってハウジング600に押圧されている。そのため、スイッチモジュール530とハウジング600との間の熱抵抗が低まっている。スイッチモジュール530とハウジング600との間で熱交換が積極的に行われやすくなっている。スイッチモジュール530で発生した熱がハウジング600を通して冷媒に放熱されやすくなっている。
【0045】
<ハウジング>
図2、
図3に基づいてハウジング600を詳説する。ハウジング600はケース610と上カバー620を有する。また、図示しないが、ハウジング600はケース610に連結される下カバーを有する。
【0046】
ケース610は底部630と側壁部640を有する。底部630はz方向で並ぶ内底面630aとその裏側の外底面630bを有する。また、底部630は内底面630aと外底面630bとの間に位置して、内底面630aと外底面630bとを連結する環状の側面630cを有する。
【0047】
側壁部640は内底面630aの縁部からz方向に起立している。そして側壁部640はz方向まわりの周方向において環状を成している。これにより、内底面630aが側壁部640によって囲まれている。この側壁部640によって囲まれた収納空間に、電力変換回路500が収納されている。
【0048】
構成要素を細分化して説明すると、側壁部640はy方向に延びる第1側壁641と第2側壁642、および、x方向に延びる第3側壁643と第4側壁644を備える。第1側壁641と第2側壁642はx方向で離間して対向している。第3側壁643と第4側壁644はy方向で離間して対向している。z方向まわりの周方向で、第1側壁641、第3側壁643、第2側壁642、第4側壁644の順番で環状に連結されている。これら4つの側壁の先端側によって開口が区画されている。
【0049】
上カバー620は上記した側壁部640の開口の一部を覆っている。上カバー620には、バッテリ200やモータ400などの車載機器と電力変換回路500とを電気的に接続するための連通窓621が形成されている。この連通窓621は上記の車載機器のケースやワイヤハーネスの先端側に設けられたコネクタなどによって閉塞される。これにより電力変換回路500が外部環境から保護されている。
【0050】
<外底面側の冷却水路>
図4に示すように、底部630には外底面630bから内底面630aに向かって局所的に凹む第1凹部630dと第2凹部630eが形成されている。第1凹部630dと第2凹部630eはy方向で並んでいる。第1凹部630dは第2凹部630eよりもz方向に直交する平面面積が小さくなっている。
【0051】
これら第1凹部630dと第2凹部630eそれぞれの開口の全ては上記した下カバーによって閉塞される。第1凹部630dを区画する区画面と下カバーの凹部側の閉塞面とによって第1冷却水路661が構成(区画)されている。第2凹部630eを区画する区画面と下カバーの閉塞面とによって第2冷却水路662が構成されている。これら第1冷却水路661と第2冷却水路662はy方向で並んでいる。
【0052】
図5に示すように、底部630には内底面630aから外底面630bに向かって局所的に凹む第3凹部630f、第4凹部630g、および、第5凹部630hが形成されている。これら第3凹部630f~第5凹部630hはx方向において順に並んでいる。
【0053】
底部630の第3凹部630fと第4凹部630gとの間には、これら2つの凹部を2つに分ける第1凸部630iが形成されている。同様にして、底部630の第4凹部630gと第5凹部630hとの間には、これら2つの凹部を2つに分ける第2凸部630jが形成されている。
【0054】
なお、本実施形態では、底部630に第3凹部630f~第5凹部630hと第1凸部630i~第2凸部630jそれぞれが形成されている例を示した。しかしながら、これら凹部と凸部を備える部品が底部630に連結された構成を採用することもできる。
【0055】
<内底面側の冷却水路>
図6に示すように、第3凹部630f~第5凹部630hそれぞれの開口がプレート670によって閉塞される。これら3つの凹部を区画する区画面とプレート670の凹部側の冷却面670bとによって第3冷却水路663、第4冷却水路664、および、第5冷却水路665が構成されている。
【0056】
プレート670はz方向で第1凸部630iと第2凸部630jそれぞれと接している。これら2つの凸部によって第3冷却水路663、第4冷却水路664、および、第5冷却水路665それぞれが独立した水路に分けられている。これら内底面630a側の3つの冷却水路それぞれは、外底面630b側の第1冷却水路661と第2冷却水路662それぞれとz方向で並んでいる。
【0057】
なお、厳密に言うと、第1凸部630iと第2凸部630jそれぞれとプレート670とはz方向で接触していない。両者の間には微小ながら隙間がある。そのためにこの隙間を介して内底面630a側の3つの冷却水路の間での冷媒の流動が可能になっている。しかしながら、この隙間を介した冷媒の流量は微量である。そのため、内底面630a側の3つの冷却水路それぞれは、実質的に独立した水路とみなすことができる。
【0058】
<貫通孔>
底部630には、内底面630aと外底面630bとを貫通する第1貫通孔631と第2貫通孔632それぞれが3つ形成されている。3つの第1貫通孔631はそれぞれx方向で離間して並んでいる。3つの第2貫通孔632それぞれはx方向で離間して並んでいる。
【0059】
x方向で並ぶ3つの第1貫通孔631とx方向で並ぶ3つの第2貫通孔632はy方向で離間している。3つの第1貫通孔631それぞれはz方向における第1冷却水路661の投影領域に位置している。3つの第2貫通孔632それぞれはz方向における第2冷却水路662の投影領域に位置している。底部630における第3凹部630f~第5凹部630hそれぞれの形成領域に第1貫通孔631と第2貫通孔632それぞれが1つずつ形成されている。
【0060】
底部630における第3凹部630fの形成領域に形成された第1貫通孔631は第1冷却水路661と第3冷却水路663とをz方向で連通している。底部630における第3凹部630fの形成領域に形成された第2貫通孔632は第3冷却水路663と第2冷却水路662とをz方向で連通している。
【0061】
底部630における第4凹部630gの形成領域に形成された第1貫通孔631は第1冷却水路661と第4冷却水路664とをz方向で連通している。底部630における第4凹部630gの形成領域に形成された第2貫通孔632は第4冷却水路664と第2冷却水路662とをz方向で連通している。
【0062】
底部630における第5凹部630hの形成領域に形成された第1貫通孔631は第1冷却水路661と第5冷却水路665とをz方向で連通している。底部630における第5凹部630hの形成領域に形成された第2貫通孔632は第5冷却水路665と第2冷却水路662とをz方向で連通している。
【0063】
<冷媒の流動>
側面630cにおける第1側壁641側には、第1冷却水路661に通ずる供給口が形成されている。この供給口に供給管666が設けられている。この供給管666から第1冷却水路661に冷媒が供給される。
【0064】
第1冷却水路661に供給された冷媒は、第1冷却水路661内を流動した後、3つの第1貫通孔631を介して、第3冷却水路663~第5冷却水路665それぞれに分かれて流入する。この冷媒は第3冷却水路663~第5冷却水路665内をそれぞれ流動した後、3つの第2貫通孔632を介して、第2冷却水路662に流入する。
【0065】
側面630cにおける第1側壁641側には、第2冷却水路662に通ずる排出口が形成されている。この排出口に排出管667が設けられている。第2冷却水路662を流動した冷媒はこの排出管667に排出される。
【0066】
<プレート>
上記したように、プレート670は第3冷却水路663~第5冷却水路665の一部を冷却面670bで区画している。
図6に示すように、この冷却面670bには、冷却面670bから内底面630a側に突起した複数の冷却ピン680が形成されている。これら複数の冷却ピン680の間を冷媒が通る。冷媒は冷却面670bと冷却ピン680の表面それぞれに接触しながら流動する。このようにプレート670と冷媒との接触面積が増大し、プレート670と冷媒とが熱交換しやすくなっている。
【0067】
冷却ピン680の形成された冷却面670bの裏側の配置面670aは平坦になっている。この配置面670aは上記した冷媒との積極的な熱交換のために昇温しがたくなっている。プレート670が冷却器に相当する。配置面670aが一面に相当する。
【0068】
<載置板>
プレート670の配置面670a側には、
図7に示す載置板560が設けられる。載置板560はボルトなどによって内底面630aに固定される。
図7に示すように、載置板560はU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の位置決めをする3つの開口部561と、バネ700の位置決めをする突起562と、を有する。
【0069】
3つの開口部561はx方向に離間して並んでいる。これら3つの開口部561はz方向に開口している。載置板560が配置面670aに設けられると、これら3つの開口部561から配置面670aの一部が露出する。これら配置面670aにおける3つの開口部561から露出した3つの領域は、z方向における第3冷却水路663~第5冷却水路665の投影領域に位置している。これら3つの領域にU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533が個別に設けられる。
【0070】
突起562は載置板560のx方向における両端に設けられている。突起562はバネ700の位置を仮止めする機能を果たす。
【0071】
<スイッチモジュール>
上記したようにU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれは半導体素子を被覆保護する封止樹脂550を有する。
図8と
図11に示すように封止樹脂550はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。封止樹脂550は6面を有する。
【0072】
6面には、z方向で並ぶ下面550aと上面550b、y方向で並ぶ後面550cと前面550d、および、x方向で並ぶ左面550eと右面550fが含まれている。下面550aと上面550bはz方向に面している。後面550cと前面550dはy方向に面している。左面550eと右面550fはx方向に面している。
【0073】
図8に示すように、U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれの封止樹脂550が、配置面670aにおける3つの開口部561から露出した3つの領域に設けられる。
【0074】
z方向において封止樹脂550の下面550aはプレート670の配置面670aと対向している。y方向において後面550cは側壁部640の第4側壁644側に位置し、前面550dは第3側壁643側に位置している。x方向において左面550eは第1側壁641側に位置し、右面550fは第2側壁642側に位置している。
【0075】
U相スイッチモジュール531の封止樹脂550の右面550fとV相スイッチモジュール532の封止樹脂550の左面550eとがx方向で離間しつつ対向している。V相スイッチモジュール532の封止樹脂550の右面550fとW相スイッチモジュール533の封止樹脂550の左面550eとがx方向で離間しつつ対向している。
【0076】
なお、下面550aと配置面670aとの間には図示しないグリースが介在されている。このグリースによって、下面550aと配置面670aとの間の伝熱経路が増えている。下面550aと配置面670aとの間の熱抵抗が低められている。
【0077】
下面550aと配置面670aはz方向に面している。これら2つの面は平坦になっている。そのため、下面550aと配置面670aとを直に接触した構成でも、下面550aと配置面670aとの間の熱抵抗が低められる。したがって、グリースを用いない構成を採用することもできる。
【0078】
図8に示すように、後面550cからコレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bそれぞれが突出している。前面550dからゲート端子540dが突出している。これら複数の端子はそれぞれy方向に延びている。後面550cが一端に相当する。
【0079】
コレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bそれぞれのy方向の延長方向と、ゲート端子540dのy方向の延長方向とは逆向きになっている。コレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bそれぞれは第3側壁643に向かって延びている。ゲート端子540dは第4側壁644に向かって延びている。
【0080】
U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の備えるコレクタ端子540a、エミッタ端子540b、および、中点端子540cそれぞれの先端側にはz方向に連通する孔が形成されている。
【0081】
3つのコレクタ端子540aに接続されるPバスバ511にも3つの孔が形成されている。コレクタ端子540aとPバスバ511とは通電ボルト570によって電気的に接続されている。
【0082】
3つのエミッタ端子540bに接続されるNバスバ512にも3つの孔が形成されている。エミッタ端子540bとNバスバ512とは通電ボルト570によって電気的に接続されている。
【0083】
U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の中点端子540cに接続されるU相バスバ513、V相バスバ514、および、W相バスバ515それぞれにも孔が形成されている。3つの中点端子540cと3つの相バスバとは通電ボルト570によって電気的に接続されている。
【0084】
図11に示すようにゲート端子540dは側壁部640の開口に向かってz方向にも延びている。このゲート端子540dの先端側は
図3に示すドライバ基板543に半田などによって電気的に接続される。
【0085】
<バネ>
バネ700は板バネである。
図9に示すようにバネ700は、押圧部710、位置決め部720、および、繋ぎ部730それぞれを複数有する。押圧部710は弾性力によってスイッチモジュール530を押圧する。位置決め部720はバネ700のx方向の位置を決める。繋ぎ部730は押圧部710同士を連結している。
【0086】
押圧部710は第1押圧部711、第2押圧部712、および、第3押圧部713を有する。第1押圧部711~第3押圧部713それぞれは3つの相スイッチモジュールの封止樹脂550それぞれの上面550bに接触する弾性部714と、ブラケット800と接触する圧縮部715を有する。第1押圧部711~第3押圧部713それぞれのxy平面における幾何学的中心は3つの封止樹脂550の上面550bそれぞれのxy平面における幾何学的中心と一致している。
【0087】
繋ぎ部730は第1繋ぎ部731と第2繋ぎ部732を有する。第1繋ぎ部731は第1押圧部711と第2押圧部712とを連結している。第2繋ぎ部732は第2押圧部712と第3押圧部713とを連結している。第1押圧部711、第1繋ぎ部731、第2押圧部712、第2繋ぎ部732、第3押圧部713それぞれのブラケット800との接触面700aは面一になっている。接触面700aはz方向に面している。
【0088】
位置決め部720は第1位置決め部721と第2位置決め部722を有する。第1位置決め部721は第1押圧部711の圧縮部715に連結されている。第2位置決め部722は第3押圧部713の圧縮部715に連結されている。以上に示した連結形態により、x方向において、第1位置決め部721、第1押圧部711、第1繋ぎ部731、第2押圧部712、第2繋ぎ部732、第3押圧部713、第2位置決め部722が順番に並んでいる。
【0089】
第1位置決め部721と第2位置決め部722それぞれには切り欠きが形成されている。位置決め部720に形成された切り欠きを区画する壁面と、内底面630aに固定された載置板560の突起562とがx方向とy方向とで対向している。両者はx方向とy方向のうちの少なくとも一方で接触している。係る接触により、バネ700の内底面630aに対する位置が決められている。
【0090】
本実施形態では、バネ700が板バネである例を示した。しかしながらバネ700はコイルバネでもよい。バネ700はU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれに弾性力を付与できる構造であれば特に限定されるものではない。
【0091】
<ブラケット>
図10に示すように、ブラケット800はバネ700の押圧部710、位置決め部720、および、繋ぎ部730それぞれとz方向で対向配置される。ブラケット800は締結ボルト850によってケース610の内底面630aに連結される。
【0092】
内底面630aに連結されることで、ブラケット800はバネ700の圧縮部715と繋ぎ部730を内底面630a側に押圧する。これにより弾性部714がz方向に圧縮される。圧縮された弾性部714はスイッチモジュール530に弾性力を付与する。また弾性部714はブラケット800にも弾性力を付与する。
【0093】
ブラケット800はバネ700を圧縮する本体部810、ケース610と連結される連結部830、および、本体部810と連結部830それぞれの強度を高めるリブ840を有する。
【0094】
図10に示すように本体部810はz方向に面する平面においてy方向よりもx方向に長い長方形状になっている。そして
図11に示すように本体部810はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。本体部810が平板部に相当する。
【0095】
本体部810はバネ700の接触する面である裏本体面810bと、裏本体面810bの裏側である表本体面810aを有する。また、本体部810はy方向における両端のうち封止樹脂550の後面550c側の本体後面810cと、本体後面810cとy方向で並ぶ本体前面810dを有する。本体後面810cと本体前面810dが第2方向の両端に相当する。
【0096】
本体部810には裏本体面810bから表本体面810aに向かって凹む窪みが形成されている。この窪みにバネ700の圧縮部715と繋ぎ部730それぞれが収納されている。裏本体面810bにおける窪みの一部を区画する領域が圧縮部715と繋ぎ部730それぞれとz方向で対向する態様で接触している。また窪みを区画する面の一部が圧縮部715と繋ぎ部730それぞれとx方向およびy方向で対向している。
【0097】
図10に示すように、連結部830は本体部810のx方向における両端とケース610の内底面630aとを連結する第1結合部831と第2結合部832を有する。これら第1結合部831と第2結合部832が第1連結部に相当する。
【0098】
また、連結部830は本体部810のy方向における両端とケース610の内底面630aとを連結する第3結合部833、第4結合部834、第5結合部835、および、第6結合部836を有する。これら第3結合部833~第6結合部836が第2連結部に相当する。
【0099】
第3結合部833は内底面630aと連結される第3締結部833aと、本体部810と第3締結部833aとを接続する第3延長部833bを有する。第4結合部834は内底面630aと連結される第4締結部834aと、本体部810と第4締結部834aとを接続する第4延長部834bを有する。
【0100】
第5結合部835は内底面630aと連結される第5締結部835aと、本体部810と第5締結部835aとを接続する第5延長部835bを有する。第6結合部836は内底面630aと連結される第6締結部836aと、本体部810と第6締結部836aとを接続する第6延長部836bを有する。
【0101】
<締結部>
第3締結部833aはx方向において、U相スイッチモジュール531の封止樹脂550の右面550fとV相スイッチモジュール532の封止樹脂550の左面550eとの間に設けられている。第3締結部833aの一部はy方向において、封止樹脂550の後面550cとコレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bの先端との間に設けられている。
【0102】
第4締結部834aはx方向において、V相スイッチモジュール532の封止樹脂550の右面550fとW相スイッチモジュール533の封止樹脂550の左面550eとの間に設けられている。第4締結部834aの一部はy方向において、封止樹脂550の後面550cとコレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bの先端との間に設けられている。
【0103】
図11に示すように、第3締結部833aはz方向においてコレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bと離間して設けられている。同様にして、第4締結部834aもz方向においてコレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bと離間して設けられている。これにより第3締結部833aとこれらの端子との絶縁距離が確保されている。第4締結部834aとこれらの端子との絶縁距離が確保されている。
【0104】
第5締結部835aはx方向において、U相スイッチモジュール531の封止樹脂550の右面550fとV相スイッチモジュール532の封止樹脂550の左面550eとの間に設けられている。第5締結部835aはy方向において、ゲート端子540dの先端と第4側壁644との間に設けられている。
【0105】
第6締結部836aはx方向において、V相スイッチモジュール532の封止樹脂550の右面550fとW相スイッチモジュール533の封止樹脂550の左面550eとの間に設けられている。第6締結部836aはy方向において、ゲート端子540dの先端と第4側壁644との間に設けられている。
【0106】
これら第3締結部833a~第6締結部836aが接続部に相当する。
【0107】
<延長部>
第3延長部833bと第4延長部834bは本体後面810cに連結される。第3延長部833bと本体後面810cとの接続部位は、U相スイッチモジュール531とV相スイッチモジュール532との間になっている。第4延長部834bと本体後面810cとの接続部位は、V相スイッチモジュール532とW相スイッチモジュール533との間になっている。
【0108】
以上により、第3延長部833bと第4延長部834bそれぞれの本体後面810cとの連結部位はx方向で離間して並んでいる。これら2つの延長部の本体後面810cとの連結部位の離間距離は、V相スイッチモジュール532の封止樹脂550のx方向の横幅よりも長くなっている。
【0109】
また、第3延長部833bにおける本体後面810cとの連結部位と第1結合部831との離間距離は、U相スイッチモジュール531の封止樹脂550のx方向の横幅よりも長くなっている。第4延長部834bにおける本体後面810cとの連結部位と第2結合部832との離間距離は、W相スイッチモジュール533の封止樹脂550のx方向の横幅よりも長くなっている。
【0110】
第1結合部831と第3延長部833bとの間の離間距離、第3延長部833bと第4延長部834bとの間の離間距離、第4延長部834bと第2結合部832との間の離間距離それぞれが、1つの封止樹脂550のx方向の横幅程度になっている。
【0111】
第5延長部835bと第6延長部836bは本体前面810dに連結される。第5延長部835bと本体前面810dとの連結部位は、U相スイッチモジュール531とV相スイッチモジュール532との間になっている。第6延長部836bと本体前面810dとの連結部位は、V相スイッチモジュール532とW相スイッチモジュール533との間になっている。
【0112】
以上により、第5延長部835bと第6延長部836bそれぞれの本体前面810dとの連結部位はx方向で離間して並んでいる。これら2つの延長部の本体前面810dとの連結部位の離間距離は、V相スイッチモジュール532の封止樹脂550のx方向の横幅よりも長くなっている。
【0113】
また、第5延長部835bにおける本体前面810dとの連結部位と第1結合部831との離間距離は、U相スイッチモジュール531の封止樹脂550のx方向の横幅よりも長くなっている。第6延長部836bにおける本体前面810dとの連結部位と第2結合部832との離間距離は、W相スイッチモジュール533の封止樹脂550のx方向の横幅よりも長くなっている。
【0114】
第1結合部831と第5延長部835bとの間の離間距離、第5延長部835bと第6延長部836bとの間の離間距離、第6延長部836bと第2結合部832との間の離間距離それぞれが、1つの封止樹脂550のx方向の横幅程度になっている。
【0115】
図10に示すように、第3延長部833bにおける本体後面810cとの連結部位と第5延長部835bにおける本体前面810dとの連結部位はy方向で並んでいる。同様にして、第4延長部834bにおける本体後面810cとの連結部位と第6延長部836bにおける本体前面810dとの連結部位はy方向で並んでいる。リブ840はこれら延長部の連結される本体後面810cと本体前面810dとの間で延びている。
【0116】
<リブ>
リブ840は表本体面810aから凸状に設けられている。リブ840によって本体部810のz方向における厚みが局所的に厚くなっている。本実施形態では本体部810に2つのリブ840が設けられている。これら2つのリブ840はy方向に延びている。リブ840が肉厚部に相当する。
【0117】
2つのリブ840のうちの1つは本体部810における第3延長部833bと第5延長部835bそれぞれの連結部位の間を連続して結ぶ経路に設けられている。このリブ840はこの経路に一体的に連結されるとともに、第3延長部833bと第5延長部835bそれぞれとも一体的に連結されている。
【0118】
2つのリブ840のうちの残り1つは本体部810における第4延長部834bと第6延長部836bそれぞれの連結部位の間を連続して結ぶ経路に設けられている。このリブ840はこの経路に一体的に連結されるとともに、第4延長部834bと第6延長部836bそれぞれとも一体的に連結されている。
【0119】
これら2つのリブ840はバネ700の圧縮部715と繋ぎ部730を収納する窪みとz方向で並んでいる。これら2つのリブ840によって窪みの形成によるブラケット800の強度の低下が抑制されている。
【0120】
本実施形態では、第3結合部833と第4結合部834がブラケット800の本体後面810cに連結された例を示した。第5結合部835と第6結合部836が本体前面810dに連結された例を示した。しかしながら、本体後面810cと本体前面810dに連結される連結部830の数は特に限定されない。これら2面に連結される連結部830の数は単数でもよいし、3つ以上でもよい。
【0121】
本実施形態では、第1結合部831と第2結合部832それぞれがブラケット800のx方向における両端に設けられた例を示した。しかしながら、ブラケット800のx方向における両端それぞれに複数の連結部830が設けられた構成を採用することもできる。
【0122】
本実施形態では、第5締結部835aと第6締結部836aはy方向において、ゲート端子540dの先端と第4側壁644との間に設けられた例を示した。しかしながら、第5締結部835aと第6締結部836aの位置はこれに限定されない。第5締結部835aと第6締結部836aはy方向において、封止樹脂550の前面550dとゲート端子540dとの間に設けられていてもよい。
【0123】
<作用効果>
上記したように第3結合部833~第6結合部836は、y方向における本体部810の両端それぞれに連結されている。そのため、本体部810がバネ700の弾性力によってz方向に湾曲することが抑制される。この湾曲によってバネ700からU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533それぞれに作用する弾性力にばらつきが生じることが抑制される。この結果、U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の冷却性能にばらつきが生じることが抑制される。
【0124】
特に本実施形態では、本体部810はz方向に面する平面においてx方向に長い長方形状をしている。そのため、本体部810のx方向における中央付近がバネ700の弾性力によって撓みやすくなっている。
【0125】
これに対して、本体部810のx方向の端部が第1結合部831と第2結合部832とによって底部630に連結されている。それとともに、本体部810のy方向の端部が第3結合部833~第6結合部836それぞれによって底部630に連結されている。本体部810のy方向の端部と連結される複数の結合部の本体部810との連結位置の隣接間隔が封止樹脂550のx方向の横幅程度になっている。そのため、本体部810がバネ700の弾性力によってz方向に湾曲することが抑制されている。
【0126】
ブラケット800はリブ840によって強度が高められている。そのため、ブラケット800がバネ700の弾性力によってz方向に湾曲することが効果的に抑制される。U相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533の冷却性能にばらつきが生じることが抑制される。
【0127】
特に本実施形態では、リブ840はバネ700の繋ぎ部730を収納する窪みとz方向で並んでいる。また、リブ840は第3延長部833bと第5延長部835bとを連続して結ぶ経路と、第4延長部834bと第6延長部836bとを連続して結ぶ経路それぞれに設けられている。リブ840によってブラケット800における応力集中の発生の懸念される箇所が補強されている。そのため、ブラケット800がバネ700の弾性力によってz方向に湾曲することが効果的に抑制されるとともに、ブラケット800に破損の生じることが抑制される。
【0128】
第3締結部833aと第5締結部835aはx方向において、U相スイッチモジュール531とV相スイッチモジュール532との間に設けられている。第4締結部834aと第6締結部836aはx方向において、V相スイッチモジュール532とW相スイッチモジュール533との間に設けられている。
【0129】
このように第3締結部833a~第6締結部836aはx方向で離間して並ぶスイッチモジュールの間のデッドスペースに設けられている。そのため、これら第3締結部833a~第6締結部836aのために、ハウジング600(電力変換装置300)の体格が増大することが抑制される。
【0130】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0131】
(第1の変形例)
y方向における第3締結部833aと第4締結部834aの位置が、封止樹脂550の後面550cとコレクタ端子540a、中点端子540c、および、エミッタ端子540bの先端との間になっている。x方向における第3締結部833aの位置が、U相スイッチモジュール531の封止樹脂550の右面550fとV相スイッチモジュール532の封止樹脂550の左面550eとの間になっている。x方向における第4締結部834aの位置が、V相スイッチモジュール532の封止樹脂550の右面550fとW相スイッチモジュール533の封止樹脂550の左面550eとの間になっている。本実施形態では上記のような例を示した。しかしながら第3締結部833aと第4締結部834aの位置は上記例に限定されない。
【0132】
第3締結部833a~第6締結部836aのy方向における位置は、スイッチモジュール530のy方向における位置とは異なる位置に設けられている。第3締結部833a~第6締結部836aのx方向における位置は、U相スイッチモジュール531の封止樹脂550の左面550eとW相スイッチモジュール533の封止樹脂550の右面550fとの間に設けられていてもよい。
【0133】
このような構成によると、スイッチモジュール530のx方向における配置スペースは第3締結部833a~第6締結部836aに依存することがない。x方向におけるU相スイッチモジュール531~W相スイッチモジュール533同士の間隔が縮小される。そのため、スイッチモジュール530の体格がx方向において大型化することが抑制される。
【0134】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0135】
100…車載システム、200…バッテリ、300…電力変換装置、400…モータ、500…電力変換回路、530…スイッチモジュール、540a…コレクタ端子、540b…エミッタ端子、540c…中点端子、541…ハイサイドスイッチ、541a…ハイサイドダイオード、542…ローサイドスイッチ、542a…ローサイドダイオード、550…封止樹脂、550c…後面、610…ケース、670…プレート、670a…配置面、700…バネ、800…ブラケット、810…本体部、810c…本体後面、810d…本体前面、831…第1結合部、832…第2結合部、833…第3結合部、833a…第3締結部、834…第4結合部、834a…第4締結部、835…第5結合部、835a…第5締結部、836…第6結合部、836a…第6締結部、840…リブ