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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】多軸慣性力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5783 20120101AFI20240312BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20240312BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01C19/5783
G01P15/18
G01P15/08 102Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020185625
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075075
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 照久
(72)【発明者】
【氏名】原田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】畑 良幸
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-337197(JP,A)
【文献】特開2013-44645(JP,A)
【文献】特表2003-502644(JP,A)
【文献】米国特許第7253079(US,B2)
【文献】特開2008-51628(JP,A)
【文献】特開2003-28646(JP,A)
【文献】米国特許第5610431(US,A)
【文献】特開2014-48107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/5783
G01P 15/18
G01P 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面(106、165、178)を有する実装材(101、159、172)と、
前記実装材の前記設置面に配置されると共に、前記設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する複数のブロック(102、103、129、130)と、
前記複数のブロックの前記傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する複数のセンサ(104、105、131、132)と、
を含み、
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有し、前記位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、前記傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成し、
前記複数のセンサは、前記台座の前記傾斜面にそれぞれ配置されることで前記主軸がそれぞれ異なる方向に向けられると共に、前記主軸に対応する前記慣性力のベクトル成分をそれぞれ検出し、
前記複数のブロックは、前記傾斜面に接続された直角三角形の形状の一対の端面(108、109、113、114、134、135、139、140)と、前記傾斜面と前記端面とに接続された一対の側面(110、111、115、116、136、137、141、142)と、をそれぞれ有する三角柱状の第1ブロック(102)、第2ブロック(103)、第3ブロック(129)、第4ブロック(130)であり、
前記傾斜面は、前記直角三角形の斜辺に対応する面であり、
前記第1ブロックの一方の側面(110)、前記第2ブロックの一方の側面(115)、前記第3ブロックの一方の側面(136)、前記第4ブロックの一方の側面(141)が前記設置面に配置され、
前記台座は、
前記第1ブロックの他方の側面(111)と第2ブロックの他方の側面(116)とが向き合うと共に接触することで互いに隙間無く配置され、
前記第2ブロックの一方の端面(113)及び前記第1ブロックの他方の端面(109)と、前記第3ブロックの傾斜面(133)と、が向き合うように前記第1ブロック、前記第2ブロック、前記第3ブロックが接触することで互いに隙間無く配置され、
前記第1ブロックの一方の端面(108)及び前記第2ブロックの他方の端面(114)と、前記第4ブロックの傾斜面(138)と、が向き合うように第1ブロック、前記第2ブロック、前記第4ブロックが接触することで互いに隙間無く配置されることで、組み立てられている、多軸慣性力センサ。
【請求項2】
設置面(106、165、178)を有する実装材(101、159、172)と、
前記実装材の前記設置面に配置されると共に、前記設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する複数のブロック(102、103、129、130)と、
前記複数のブロックの前記傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する複数のセンサ(104、105、131、132)と、
を含み、
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有し、前記位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、前記傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成し、
前記複数のセンサは、前記台座の前記傾斜面にそれぞれ配置されることで前記主軸がそれぞれ異なる方向に向けられると共に、前記主軸に対応する前記慣性力のベクトル成分をそれぞれ検出し、
前記台座は、
前記複数のブロックは、前記傾斜面に接続された直角三角形の形状の一対の端面(108、109、113、114、134、135、139、140)と、前記傾斜面と前記端面とに接続された一対の側面(110、111、115、116、136、137、141、142)と、をそれぞれ有する三角柱状の第1ブロック(102)、第2ブロック(103)、第3ブロック(129)、第4ブロック(130)であり、
前記傾斜面は、前記直角三角形の斜辺に対応する面であり、
前記第1ブロックの一方の側面(110)、前記第2ブロックの一方の側面(115)、前記第3ブロックの一方の側面(136)、前記第4ブロックの一方の側面(141)が前記設置面に配置され、
前記台座は、
前記第3ブロックの傾斜面(133)と前記第4ブロックの傾斜面(138)とが向き合うと共に、前記第3ブロックの傾斜面と前記第3ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端と、前記第4ブロックの傾斜面と前記第4ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端と、が接触することで前記第3ブロックと前記第4ブロックとが互いに隙間無く配置され、
前記第4ブロックの一方の端面(139)及び前記第3ブロックの他方の端面(135)と、前記第1ブロックの他方の側面(111)と、が向き合うと共に互いに隙間無く配置され、
前記第2ブロックの他方の側面(116)と、前記第3ブロックの一方の端面(134)及び前記第4ブロックの他方の端面(140)と、が向き合うと共に互いに隙間無く配置されることで、組み立てられている、多軸慣性力センサ。
【請求項3】
設置面(106、165、178)を有する実装材(101、159、172)と、
前記実装材の前記設置面に配置されると共に、前記設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する複数のブロック(102、103、129、130)と、
前記複数のブロックの前記傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する複数のセンサ(104、105、131、132)と、
を含み、
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有し、前記位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、前記傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成し、
前記複数のセンサは、前記台座の前記傾斜面にそれぞれ配置されることで前記主軸がそれぞれ異なる方向に向けられると共に、前記主軸に対応する前記慣性力のベクトル成分をそれぞれ検出し、
前記複数のブロックは、前記傾斜面に接続された直角三角形の形状の一対の端面(108、109、113、114、134、135、139、140)と、前記傾斜面と前記端面とに接続された一対の側面(110、111、115、116、136、137、141、142)と、をそれぞれ有する三角柱状の第1ブロック(102)、第2ブロック(103)、第3ブロック(129)、第4ブロック(130)であり、
前記傾斜面は、前記直角三角形の斜辺に対応する面であり、
前記第1ブロックの一方の側面(110)、前記第2ブロックの一方の側面(115)、前記第3ブロックの一方の側面(136)、前記第4ブロックの一方の側面(141)が前記設置面に配置され、
前記第1ブロックの傾斜面(107)と前記第2ブロックの傾斜面(112)とが向き合うと共に、前記第1ブロックと前記第2ブロックとがスペースを持って配置され、
前記第3ブロックの傾斜面(133)と前記第4ブロックの傾斜面(138)とが向き合うと共に、前記第3ブロックと前記第4ブロックとがスペースを持って配置され、
前記台座は、
前記第3ブロックの傾斜面と前記第3ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの前記第3ブロックの一方の端面(134)側の一方の端部(143)が、前記第2ブロックの他方の端面(114)に突き当てられ、
前記第3ブロックの傾斜面と前記第3ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの前記第3ブロックの他方の端面(135)側の他方の端部(144)が、前記第1ブロックの一方の端面(108)に突き当てられ、
前記第4ブロックの傾斜面と前記第4ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの前記第4ブロックの一方の端面(139)側の一方の端部(145)が、前記第1ブロックの他方の端面(109)に突き当てられ、
前記第4ブロックの傾斜面と前記第4ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの前記第4ブロックの他方の端面(140)側の他方の端部(146)が、前記第2ブロックの一方の端面(113)に突き当てられることで、組み立てられている、多軸慣性力センサ。
【請求項4】
設置面(106、165、178)を有する実装材(101、159、172)と、
前記実装材の前記設置面に配置されると共に、前記設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する複数のブロック(102、103、129、130)と、
前記複数のブロックの前記傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する複数のセンサ(104、105、131、132)と、
を含み、
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有し、前記位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、前記傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成し、
前記複数のセンサは、前記台座の前記傾斜面にそれぞれ配置されることで前記主軸がそれぞれ異なる方向に向けられると共に、前記主軸に対応する前記慣性力のベクトル成分をそれぞれ検出し、
前記複数のブロックは、前記傾斜面に接続された直角三角形の形状の一対の端面(108、109、113、114、134、135、139、140)と、前記傾斜面と前記端面とに接続された一対の側面(110、111、115、116、136、137、141、142)と、をそれぞれ有する三角柱状の第1ブロック(102)、第2ブロック(103)、第3ブロック(129)、第4ブロック(130)であり、
前記傾斜面は、前記直角三角形の斜辺に対応する面であり、
前記第1ブロックの一方の側面(110)、前記第2ブロックの一方の側面(115)、前記第3ブロックの一方の側面(136)、前記第4ブロックの一方の側面(141)が前記設置面に配置され、
前記設置面に垂直な軸をz軸とすると、
前記第1ブロックは、前記第1ブロックの傾斜面、前記第1ブロックの一方の側面(110)、前記第1ブロックの一方の端面(108)で構成される一方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた一方の切断面(147)と、前記第1ブロックの傾斜面、前記第1ブロックの一方の側面、前記第1ブロックの他方の端面(109)で構成される他方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた他方の切断面(148)と、を有し、
前記第2ブロックは、前記第2ブロックの傾斜面、前記第2ブロックの一方の側面(115)、前記第2ブロックの一方の端面(113)で構成される一方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた一方の切断面(149)と、前記第2ブロックの傾斜面、前記第2ブロックの一方の側面、前記第2ブロックの他方の端面(114)で構成される他方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた他方の切断面(150)と、を有し、
前記第3ブロックは、前記第3ブロックの傾斜面、前記第3ブロックの一方の側面(136)、前記第3ブロックの一方の端面(134)で構成される一方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた一方の切断面(151)と、前記第3ブロックの傾斜面、前記第3ブロックの一方の側面、前記第3ブロックの他方の端面(135)で構成される他方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた他方の切断面(152)と、を有し、
前記第4ブロックは、前記第4ブロックの傾斜面、前記第4ブロックの一方の側面(141)、前記第4ブロックの一方の端面(139)で構成される一方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた一方の切断面(153)と、前記第4ブロックの傾斜面、前記第4ブロックの一方の側面、前記第4ブロックの他方の端面(140)で構成される他方の端部が前記z軸に沿って切り落とされた他方の切断面(154)と、を有し、
前記台座は、
前記第1ブロックの傾斜面(107)と前記第2ブロックの傾斜面(112)とが向き合うと共に、前記第1ブロックと前記第2ブロックとがスペースを持って配置され、
前記第3ブロックの傾斜面(133)と前記第4ブロックの傾斜面(138)とが向き合うと共に、前記第3ブロックと前記第4ブロックとがスペースを持って配置され、
前記第1ブロックの一方の切断面と前記第3ブロックの他方の切断面とが接触し、前記第1ブロックの他方の切断面と前記第4ブロックの一方の切断面とが接触し、
前記第2ブロックの一方の切断面と前記第4ブロックの他方の切断面とが接触し、前記第2ブロックの他方の切断面と前記第3ブロックの一方の切断面とが接触することで、組み立てられている、多軸慣性力センサ。
【請求項5】
前記台座は、前記複数のブロックが前記実装材の前記設置面のうちの基準点を基準とした点対称に配置されることで構成される、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【請求項6】
前記傾斜面に垂直な方向をZ軸と定義すると、
前記複数のセンサは、前記主軸が前記Z軸に平行に配置されると共に、前記慣性力としてZ軸回りの角速度を検出する1軸のジャイロセンサである、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【請求項7】
前記傾斜面に垂直な方向をZ軸と定義すると、
前記複数のセンサは、前記主軸が前記Z軸に平行に配置されると共に、前記慣性力としてZ軸方向の加速度を検出する1軸の加速度センサである、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【請求項8】
前記複数のブロックの前記端面は、直角二等辺三角形の形状である、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【請求項9】
前記傾斜面は、前記直角二等辺三角形の斜辺に対応する面である、請求項に記載の多軸慣性力センサ。
【請求項10】
前記複数のブロックは、全て同じ形状である、請求項1ないしのいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【請求項11】
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して前記接触相手に連結されるための連結部(155)を有する、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【請求項12】
前記複数のブロックは、前記傾斜面に設けられた電子部品(117)を有する、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸慣性力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のセンサが台座に搭載された装置が、例えば特許文献1で提案されている。具体的には、台座は、基板の設置面に固定される。台座は、複数の取り付け面を含む角錐台状である。各取り付け面は、基板の設置面に対して傾斜している。各センサは、各取り付け面にそれぞれ配置される。これにより、複数の検出軸の運動が検出可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2014/0013843号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、台座の各取り付け面に対してセンサをそれぞれ実装しなければならない。各取り付け面はそれぞれ異なる方向を向いているので、1つの台座に複数のセンサを実装することが困難であると共に煩雑になる。
【0005】
また、台座は複数の取り付け面を備えるので、台座の形状が複雑であると共に、台座の加工に手間が掛かる。このため、装置のコストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、台座に対する複数のセンサの設置を容易にすることができると共に、コストを低減することができる構成を備えた多軸慣性力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1~4に記載の発明では、多軸慣性力センサは、実装材(101、159、172)、複数のブロック(102、103、129、130)、及び複数のセンサ(104、105、131、132)を含む。
【0008】
実装材は、設置面(106、165、178)を有する。複数のブロックは、実装材の設置面に配置されると共に、設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する。複数のセンサは、複数のブロックの傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する。
【0009】
複数のブロックは、複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有する。複数のブロックは、位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成する。
【0010】
複数のセンサは、台座の傾斜面にそれぞれ配置されることで主軸がそれぞれ異なる方向に向けられると共に、主軸に対応する慣性力のベクトル成分をそれぞれ検出する。
複数のブロックは、傾斜面に接続された直角三角形の形状の一対の端面(108、109、113、114、134、135、139、140)と、傾斜面と一対の端面とに接続された一対の側面(110、111、115、116、136、137、141、142)と、をそれぞれ有する三角柱状の第1ブロック(102)、第2ブロック(103)、第3ブロック(129)、第4ブロック(130)である。
傾斜面は、直角三角形の斜辺に対応する面である。
第1ブロックの一方の側面(110)、第2ブロックの一方の側面(115)、第3ブロックの一方の側面(136)、第4ブロックの一方の側面(141)が設置面に配置される。
請求項1に記載の発明では、台座は、第1ブロックの他方の側面(111)と第2ブロックの他方の側面(116)とが向き合うと共に接触することで互いに隙間無く配置され、第2ブロックの一方の端面(113)と第3ブロックの傾斜面(133)とが向き合うと共に、第1ブロックの他方の端面(109)と第3ブロックの傾斜面とが向き合うように、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロックが接触することで互いに隙間無く配置され、第1ブロックの一方の端面(108)と第4ブロックの傾斜面(138)とが向き合うと共に、第2ブロックの他方の端面(114)と第4ブロックの傾斜面とが向き合うように、第1ブロック、第2ブロック、第4ブロックが接触することで互いに隙間無く配置されることで、組み立てられている。
請求項2に記載の発明では、台座は、第3ブロックの傾斜面(133)と第4ブロックの傾斜面(138)とが向き合うと共に、第3ブロックの傾斜面と第3ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端と、第4ブロックの傾斜面と第4ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端と、が接触することで第3ブロックと第4ブロックとが互いに隙間無く配置され、第3ブロックの一方の端面(134)と第2ブロックの他方の側面(116)とが向き合うと共に、第4ブロックの他方の端面(140)と第2ブロックの他方の側面とが向き合うように、第2ブロック、第3ブロック、第4ブロックが接触することで互いに隙間無く配置され、第4ブロックの一方の端面(139)と第1ブロックの他方の側面(111)とが向き合うと共に、第3ブロックの他方の端面(135)と第1ブロックの他方の側面とが向き合うように、第1ブロック、第3ブロック、第4ブロックが接触することで互いに隙間無く配置されることで、組み立てられている。
請求項3に記載の発明では、第1ブロックの傾斜面(107)と第2ブロックの傾斜面(112)とが向き合うと共に、第1ブロックと第2ブロックとがスペースを持って配置される。第3ブロックの傾斜面(133)と第4ブロックの傾斜面(138)とが向き合うと共に、第3ブロックと第4ブロックとがスペースを持って配置される。台座は、第3ブロックの傾斜面と第3ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの第3ブロックの一方の端面(134)側の一方の端部(143)が、第2ブロックの他方の端面(114)に突き当てられ、第3ブロックの傾斜面と第3ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの第3ブロックの他方の端面(135)側の他方の端部(144)が、第1ブロックの一方の端面(108)に突き当てられ、第4ブロックの傾斜面と第4ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの第4ブロックの一方の端面(139)側の一方の端部(145)が、第1ブロックの他方の端面(109)に突き当てられ、第4ブロックの傾斜面と第4ブロックの一方の側面とで構成される角部の先端のうちの第4ブロックの他方の端面(140)側の他方の端部(146)が、第2ブロックの一方の端面(113)に突き当てられることで、組み立てられている。
請求項4に記載の発明では、設置面に垂直な軸をz軸とする。第1ブロックは、第1ブロックの傾斜面(107)、第1ブロックの一方の側面、第1ブロックの一方の端面(108)で構成される一方の端部がz軸に沿って切り落とされた一方の切断面(147)と、第1ブロックの傾斜面、第1ブロックの一方の側面、第1ブロックの他方の端面(109)で構成される他方の端部がz軸に沿って切り落とされた他方の切断面(148)と、を有する。第2ブロックは、第2ブロックの傾斜面(112)、第2ブロックの一方の側面(115)、第2ブロックの一方の端面(113)で構成される一方の端部がz軸に沿って切り落とされた一方の切断面(149)と、第2ブロックの傾斜面、第2ブロックの一方の側面、第2ブロックの他方の端面(114)で構成される他方の端部がz軸に沿って切り落とされた他方の切断面(150)と、を有する。第3ブロックは、第3ブロックの傾斜面(133)、第3ブロックの一方の側面(136)、第3ブロックの一方の端面(134)で構成される一方の端部がz軸に沿って切り落とされた一方の切断面(151)と、第3ブロックの傾斜面、第3ブロックの一方の側面、第3ブロックの他方の端面(135)で構成される他方の端部がz軸に沿って切り落とされた他方の切断面(152)と、を有する。第4ブロックは、第4ブロックの傾斜面(138)、第4ブロックの一方の側面(141)、第4ブロックの一方の端面(139)で構成される一方の端部がz軸に沿って切り落とされた一方の切断面(153)と、第4ブロックの傾斜面、第4ブロックの一方の側面、第4ブロックの他方の端面(140)で構成される他方の端部がz軸に沿って切り落とされた他方の切断面(154)と、を有する。台座は、第1ブロックの傾斜面と第2ブロックの傾斜面とが向き合うと共に、第1ブロックと第2ブロックとがスペースを持って配置され、第3ブロックの傾斜面と第4ブロックの傾斜面とが向き合うと共に、第3ブロックと第4ブロックとがスペースを持って配置され、第1ブロックの一方の切断面と第3ブロックの他方の切断面とが接触し、第1ブロックの他方の切断面と第4ブロックの一方の切断面とが接触し、第2ブロックの一方の切断面と第4ブロックの他方の切断面とが接触し、第2ブロックの他方の切断面と第3ブロックの一方の切断面とが接触することで、組み立てられている。
【0011】
これによると、1つのブロックに対して1つのセンサが設置されるので、ブロックに対するセンサの設置を容易にすることができる。多軸化は、複数のブロックが組み合わされた台座が構成されることで実現することができる。また、1つのブロックに複数の傾斜面を形成する必要が無いので、ブロックの形成や加工が容易になる。したがって、多軸慣性力センサのコストを低減することができる。
【0012】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図2図1に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図3】第1センサが第1ブロックに設置された状態を示した斜視図である。
図4】第1ブロックが嵌め込み板に設置された様子を示した一部断面図である。
図5】ヨーが各センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
図6】ロールが各センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
図7】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
図8】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
図9】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
図10】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
図11】第2実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図12図11に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図13】第3実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図14図13に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図15】ヨーが第3センサ及び第4センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
図16】ロールが第3センサ及び第4センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
図17】ピッチが第1センサ及び第2センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
図18】ピッチが第3センサ及び第4センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
図19】第4実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図20図19に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図21】第5実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図22図21に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図23】第6実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図24図23に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図25】第7実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図26図25に示された多軸慣性力センサの上面図である。
図27】第8実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
図28】第9実施形態に係る第1ブロックの斜視図である。
図29】第9実施形態に係る第1ブロックの斜視図である。
図30】第9実施形態に係る第1ブロックの斜視図である。
図31】第9実施形態に係る第1ブロックの変形例を示した図である。
図32】第9実施形態に係る第1ブロックの変形例を示した図である。
図33】第10実施形態に係るIMUの分解斜視図である。
図34】第11実施形態に係るIMUの分解斜視図である。
図35】第12実施形態に係る多軸慣性力センサの上面図である。
図36】第13実施形態に係る多軸慣性力センサの上面図である。
図37】第14実施形態に係る多軸慣性力センサの上面図である。
図38】第15実施形態に係る多軸慣性力センサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図を参照して説明する。図1及び図2に示されるように、多軸慣性力センサ100は、実装材101、第1ブロック102、第2ブロック103、及び第1センサ104、及び第2センサ105を含む。
【0016】
実装材101は、設置面106を有する。設置面106は、平面である。実装材101は、例えば、単層あるいは多層のプリント基板である。実装材101には、マイクロコンピュータやLSI(Large Scale Integration)等の電子部品が実装される。実装材101は、図示しない筐体に収容される。
【0017】
各ブロック102、103は、各センサ104、105がそれぞれ配置される土台である。各ブロック102、103は、実装材101の設置面106に配置される。各ブロック102、103は、同じサイズ及び同じ形状である。各ブロック102、103は、中実部材である必要は無い。各ブロック102、103は、一部がくり抜かれていたり、内部が空洞になっていても良い。各ブロック102、103は、金属、樹脂、セラミックス等の材料によって形成される。
【0018】
図1に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107、一対の端面108、109、及び一対の側面110、111を有する三角柱である。傾斜面107は、実装材101の設置面106に対して傾斜した面である。一対の端面108、109は、傾斜面107に接続された三角形状の面である。一対の側面110、111は、傾斜面107と一対の端面108、109とに接続された四角形状の面である。一対の側面110、111のうちの一方の側面110が実装材101の設置面106に配置される。
【0019】
一対の端面108、109は、直角二等辺三角形の形状である。傾斜面107は、直角二等辺三角形の各端面108、109の斜辺に対応する面である。したがって、傾斜面107は実装材101の設置面106に対して45°の角度で傾斜する。
【0020】
第2ブロック103は、第1ブロック102と同様に、傾斜面112、一対の端面113、114、及び一対の側面115、116を有する三角柱である。このように、各ブロック102、103の形状が単純な三角柱であることから、射出成型による量産が可能である。よって、各ブロック102、103の製造コストを抑えることが可能である。
【0021】
また、図3に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107に設けられた複数の電子部品117を有する。電子部品117は、実装基板118、外付部品119、外部配線120、引出部121を有する。
【0022】
実装基板118は、例えばプリント基板である。実装基板118には第1センサ104が半田により実装される。実装基板118は接着剤等で傾斜面107に固定される。
【0023】
外付部品119は、チップ抵抗等の部品である。外部配線120は、実装基板118の表面に形成されると共に、第1センサ104や外付部品119に接続される。
【0024】
引出部121は、外部配線120に接続される。引出部121は、第1センサ104の信号を外部に取り出すと共に、外部から第1センサ104に電源供給するための電気接続部である。引出部121は、実装材101の電気回路に接続される。引出部121としてフレキシブル基板用のソケットを用いても良い。
【0025】
上記と同様に、第2ブロック103には、電子部品117及び第2センサ105が実装される。すなわち、各センサ104、105は、各ブロック102、103の各傾斜面107、112にそれぞれ配置される。つまり、第1ブロック102に1個の第1センサ104が配置され、第2ブロック103に1個の第2センサ105が配置される。
【0026】
なお、図1及び図2では、各ブロック102、103に配置された電子部品117を省略している。以下の各図においても、適宜、各ブロック102、103に配置された電子部品117を省略している。
【0027】
各センサ104、105は、主軸に対応する慣性力として角速度を検出する1軸のジャイロセンサである。各ブロック102、103の各傾斜面107、112に垂直な方向をZ軸と定義すると、各センサ104、105は、主軸がZ軸に平行に配置される。したがって、各センサ104、105は、慣性力としてZ軸回りの角速度を検出する。
【0028】
各センサ104、105は、例えば、樹脂モールドパッケージとして構成される。パッケージの中には、センサ素子とASIC(Application Specific Integrated Circuit)とが内包される。センサ素子はWLP(Wafer Level Packaging) として構成されることが好ましい。つまり、センサ素子とセンサ素子を動作させて信号を読み出すIC(Integrated Circuit)とを合わせてジャイロセンサと言う。なお、各センサ104、105は、セラミックパッケージとして構成されていても良い。また、パッケージがオープンになっていても良い。
【0029】
図4に示されるように、第1センサ104が実装された実装基板118は、嵌め込み板122を用いて第1ブロック102に固定される。嵌め込み板122は、平面123及び溝部124を有する。溝部124は、嵌め込み板122のうちの平面123の一部が凹んだ部分である。溝部124は、第1ブロック102の外形とほぼ同じ形状である。溝部124は、少なくとも、第1ブロック102の各側面110、111が接触する壁面125、126を有する。
【0030】
第1ブロック102は、各側面110、111が溝部124の各壁面125、126に接触するように、溝部124に嵌め込まれる。これにより、第1ブロック102の傾斜面107が嵌め込み板122の平面123と平行になる。嵌め込み板122の平面123が予め水平に固定されることで、第1ブロック102の傾斜面107が水平に配置される。この状態で、基板実装技術やリフロー実装技術等によって実装基板118及び第1センサ104が第1ブロック102に実装される。
【0031】
第1センサ104はZ軸ジャイロセンサである。よって、第1ブロック102に対する第1センサ104の実装において、主軸に垂直な第1他軸と、主軸及び第1他軸に垂直な第2他軸と、の両方向のずれを精密に制御せずとも、傾斜面107に対する主軸すなわちZ軸方向の軸ずれが大きくなることはない。第1他軸はX軸である。第2他軸はY軸である。第2ブロック103についても、上記と同様に、電子部品117及び第2センサ105が嵌め込み板122を用いて実装される。
【0032】
なお、各センサ104、105がX軸やY軸を主軸とする場合、各ブロック102、103に対して各センサ104、105の位置を制御した状態で実装する必要がある。
【0033】
上記の構成において、図1及び図2に示されるように、各ブロック102、103は実装材101の設置面106に組み立てられる。ここで、実装材101の設置面106に垂直な軸をz軸とする。z軸に直交すると共に設置面106に平行な方向をx軸とする。z軸及びx軸に直交すると共に設置面106に平行な方向をy軸とする。x軸及びy軸は、設置面106に平行な軸である。各ブロック102、103は、x軸に沿って並べられる。
【0034】
各ブロック102、103は、互いに接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部127を有する。位置決め部127は、各ブロック102、103のうちの接触相手との突き当て部である。位置決め部127は、接触相手との接触部分である。
【0035】
各ブロック102、103は、位置決め部127に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態に組み立てられる。また、各ブロック102、103は、各傾斜面107、112がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられる。これにより、各ブロック102、103は台座128を構成する。各ブロック102、103は、接着剤によって連結される。
【0036】
多軸化は、各ブロック102、103の組み立てによって達成される。つまり、多軸慣性力センサ100は、2軸のジャイロセンサである。位置決め部127によって、各センサ104、105の相対位置の精度が規定される。各ブロック102、103の加工形状が管理されると共に、各ブロック102、103の形状精度が確保されることで、両センサ104、105の軸直交性が十分保証される。
【0037】
各センサ104、105は、台座128の各傾斜面107、112にそれぞれ配置されることで主軸がそれぞれ異なる方向に向けられる。つまり、各センサ104、105の主軸は、実装材101の設置面106に対して傾斜する。したがって、各センサ104、105は、主軸に対応する角速度のベクトル成分をそれぞれ検出する。
【0038】
本実施形態では、台座128は、各ブロック102、103が実装材101の設置面106のうちの基準点を基準とした点対称に配置されることで構成される。台座128は、第1ブロック102の他方の側面111と第2ブロック103の他方の側面116とが向き合うように組み立てられる。これにより、台座128は、山形形状を構成する。また、各ブロック102、103は、各側面111、116が接触することで、互いに隙間無く組み立てられる。以上が、多軸慣性力センサ100の全体構成である。
【0039】
次に、2軸の角速度を検知する原理を説明する。まず、z軸回りの角速度をヨーとし、x軸回りの角速度をロールとする。各センサ104、105は、角速度が加わる方向から、角速度の回転方向を判別する。
【0040】
具体的には、図5に示されるように、ヨーが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ωが各センサ104、105に印加される。各ブロック102、103の各傾斜面107、112はz軸に対して45°の角度で傾斜しているので、角速度ωをベクトル分解すると、各センサ104、105のZ軸には√2ω/2のベクトル成分が印加される。√2ω/2の角速度が各他軸に加わるものの、各センサ104、105の主軸感度には影響がない。
【0041】
図6に示されるように、ロールが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ωが各センサ104、105に印加される。上記と同様に、角速度ωをベクトル分解すると、各センサ104、105のZ軸には√2ω/2のベクトル成分が印加される。√2ω/2の角速度が各他軸に加わるものの、各センサ104、105の主軸感度には影響がない。
【0042】
本実施形態では、各ブロック102、103はx軸に沿って配置されている。よって、上記のように、x軸回り及びz軸回りにそれぞれ加わる角速度をベクトル分解すれば、Z軸回りの角速度として検知できると共に、角速度の方向も検知できる。すなわち、各センサ104、105はZ軸ジャイロセンサであるので、x軸とz軸ジャイロセンサとして機能する。よって、x軸回り及びz軸回りの2軸の角速度を検知することができる。
【0043】
なお、各ブロック102、103がy軸に沿って配置される場合、y軸回り及びz軸回りの2軸の角速度を検知することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、各ブロック102、103に各センサ104、105が設置される構成である。すなわち、1個のブロック102、103に1個のセンサ104、105を実装するのみで良い。このため、台座128に対する複数のセンサ104、105の実装が非常に容易になる。また、1つのブロック102、103に複数の傾斜面を形成する必要が無い。このため、各ブロック102、103の形成や加工が容易になり、ひいては多軸慣性力センサ100のコストを低減することができる。
【0045】
そして、1軸のセンサ104、105が実装された各ブロック102、103が組み立てられるので、x軸回り及びz軸回りの角速度を2個のセンサ104、105によってそれぞれ検知することができる。
【0046】
また、台座128は各ブロック102、103が組み立てられて構成される。このため、各センサ104、105の各主軸の直交性を高い確度で維持することができる。つまり、各検出軸のセンサ精度を維持することができる。各ブロック102、103の各傾斜面107、112の傾斜角度が45°であることから、精度低下の要因であるマトリックス演算が等分になることもメリットである。
【0047】
さらに、各ブロック102、103の強度が高いので、実装材101に発生したひずみが各ブロック102、103を介して各センサ104、105に伝わりにくい。このため、外部で発生したひずみ、すなわち応力に対して各センサ104、105のロバスト性を向上させることができる。
【0048】
変形例として、各センサ104、105は、主軸がZ軸に平行に配置されると共に、慣性力としてZ軸方向の加速度を検出する1軸の加速度センサとして構成されていても良い。加速度センサは、X軸やY軸を主軸として構成されても構わない。各ブロック102、103に対する各センサ104、105の実装は、図4に示された方法と同じである。センサ104、105が2個の場合、2軸の加速度センサが構成される。上記と同様に、x軸及びz軸の2軸の加速度を検知することができる。
【0049】
変形例として、図7に示されるように、第1ブロック102の傾斜面107には、第1センサ104、外付部品119、外部配線120、及び引出部121が直接実装されていても良い。この場合、実装基板118は電子部品117に含まれない。第2ブロック103についても同様である。各ブロック102、103は、熱可塑性樹脂の射出成型によって製造される。外部配線120や電極は、MID(Molded Interconnect Device)工法によって形成される。つまり、各ブロック102、103が実装基板118を兼ねる。
【0050】
変形例として、図8に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107と一方の側面110とによって構成される角部の先端が面取りされた形状でも構わない。第2ブロック103についても同様である。
【0051】
変形例として、図9に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107と各側面110、111とによって構成される2箇所の角部の先端が面取りされた形状でも構わない。第2ブロック103についても同様である。
【0052】
変形例として、図10に示されるように、図9に示された第1ブロック102の形状において、傾斜面107、一方の端面108、及び一方の側面110で構成される角部が面取りされた形状でも構わない。また、第1ブロック102は、傾斜面107、他方の端面109、及び一方の側面110で構成される角部が面取りされた形状でも構わない。第2ブロック103についても同様である。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。図11及び図12に示されるように、各ブロック102、103は、形状が同じであるが、サイズが異なる。
【0054】
具体的には、第1ブロック102が第2ブロック103よりも大きい。y軸方向において、第1ブロック102の中心位置と第2ブロック103の中心位置とは同じ位置に配置される。したがって、位置決め部127は、第1ブロック102の他方の側面111のうちの第2ブロック103が接触する部分と、第2ブロック103の他方の側面116の全体と、で構成される。
【0055】
以上のように、各ブロック102、103のサイズが異なっていても、第1実施形態と同様にx軸回り及びz軸回りの角速度を検知することができる。
【0056】
変形例として、第1ブロック102が第2ブロック103よりも小さくても良い。また、y軸方向において、第1ブロック102の中心位置と第2ブロック103の中心位置とは異なる位置に配置されていても良い。例えば、第1ブロック102の一方の端面108と、第2ブロック103の他方の端面114と、が同一面に位置するように各ブロック102、103が配置されても構わない。なお、各センサ104、105は、x軸に沿った直線上に配置されることが好ましい。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図13及び図14に示されるように、多軸慣性力センサ100は、各ブロック102、103及び各センサ104、105の他に、第3ブロック129、第4ブロック130、第3センサ131、及び第4センサ132を含む。
【0058】
第3ブロック129は、傾斜面133、一対の端面134、135、及び一対の側面136、137を有する三角柱である。第4ブロック130は、傾斜面138、一対の端面139、140、及び一対の側面141、142を有する三角柱である。
【0059】
各ブロック102、103、129、130は、全て同じサイズ及び同じ形状である。上記各実施形態と同様に、第3センサ131は電子部品117と共に第3ブロック129の傾斜面133に配置され、第4センサ132は電子部品117と共に第4ブロック130の傾斜面138に配置される。
【0060】
台座128は、第1ブロック102及び第2ブロック103が第3ブロック129と第4ブロック130とに挟まれることで、山形形状に組み立てられる。具体的には、第1ブロック102及び第2ブロック103は、x軸に沿って配置される。また、第1ブロック102の他方の側面111と第2ブロック103の他方の側面116とが向き合うと共に隙間無く配置される。
【0061】
第3ブロック129及び第4ブロック130は、y軸に沿って配置される。第3ブロック129の他方の側面137と、第1ブロック102の他方の端面109及び第2ブロック103の一方の端面113と、が向き合うと共に隙間無く配置される。第4ブロック130の他方の側面142と、第1ブロック102の一方の端面108及び第2ブロック103の他方の端面114と、が向き合うと共に隙間無く配置される。
【0062】
各センサ104、105、131、132は、台座128の傾斜面107、112、133、138にそれぞれ配置されることで主軸がそれぞれ異なる方向に向けられる。第1ブロック102のうちの各端面108、109の一部及び他方の側面111、第2ブロック103のうちの各端面113、114の一部及び他方の側面116が位置決め部127となる。また、第3ブロック129のうちの他方の側面137の一部、第4ブロック130のうちの他方の側面142の一部が位置決め部127となる。これにより、各センサ104、105、131、132の主軸の直交精度は各ブロック102、103、129、130の形状精度によって保証される。
【0063】
次に、3軸の角速度を検知する原理を説明する。まず、y軸回りの角速度をピッチとする。各センサ104、105、131、132は、Z軸回りの角速度を検知する1軸ジャイロセンサである。
【0064】
まず、ヨーが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ωが各センサ104、105、131、132に印加される。図5に示される場合と同様に、角速度ωをベクトル分解すると、第1センサ104及び第2センサ105のZ軸には√2ω/2のベクトル成分が印加される。
【0065】
また、図15に示されるように、第3センサ131及び第4センサ132のZ軸には√2ω/2のベクトル成分が印加される。すなわち、√2ω/2の角速度が、4個のセンサ104、105、131、132のZ軸に印加される。第3センサ131及び第4センサ132の各傾斜面133、138は実装材101の設置面106に対して45°の角度で傾斜しているので、各センサ131、132の等分の角速度が各他軸に加わるものの、各センサ131、132の主軸感度には影響がない。
【0066】
ロールが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ωが各センサ104、105、131、132に印加される。図6に示される場合と同様に、角速度ωをベクトル分解すると、第1センサ104及び第2センサ105のZ軸には√2ω/2のベクトル成分が印加される。よって、角速度ωが加わる方向から角速度ωの回転方向を判別することができる。
【0067】
一方、図16に示されるように、第3センサ131及び第4センサ132には角速度ωが第2他軸に印加される。このため、第3センサ131及び第4センサ132の主軸感度は変化しない。
【0068】
ピッチが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ωが各センサ104、105、131、132に印加される。図17に示されるように、角速度ωをベクトル分解すると、第1センサ104及び第2センサ105には角速度ωが第2他軸に印加される。このため、第1センサ104及び第2センサ105の主軸感度は変化しない。
【0069】
一方、図18に示されるように、角速度ωをベクトル分解すると、第3センサ131及び第4センサ132のZ軸には√2ω/2のベクトル成分が印加される。√2ω/2の角速度が各他軸に加わるものの、第3センサ131及び第4センサ132の主軸感度には影響がない。よって、角速度ωが加わる方向から角速度ωの回転方向を判別することができる。
【0070】
以上の原理から、3軸の角速度を検知することができる。また、仮に、各センサ104、105、131、132のうちの1個が壊れたとしても、残りの3個を用いて3軸の角速度を検知することができる。すなわち、冗長性を確保することができる。
【0071】
変形例として、各センサ104、105、131、132としてZ軸を主軸とする加速度センサを採用しても良い。この場合も上記と同様の原理で3軸方向の加速度を検知することができる。
【0072】
(第4実施形態)
本実施形態では、主に第3実施形態と異なる部分について説明する。図19及び図20に示されるように、台座128は、第1ブロック102の他方の端面109及び第2ブロック103の一方の端面113と、第3ブロック129の傾斜面133と、が向き合うように組み立てられる。第3ブロック129のうちの傾斜面133と一方の側面136とで構成される角部の先端、第1ブロック102の他方の端面109の一部、及び第2ブロック103の一方の端面113の一部が、位置決め部127となる。
【0073】
また、台座128は、第1ブロック102の一方の端面108及び第2ブロック103の他方の端面114と第4ブロック130の傾斜面138とが向き合うように組み立てられる。第4ブロック130のうちの傾斜面138と一方の側面141とで構成される角部の先端、第1ブロック102の一方の端面108の一部、及び第2ブロック103の他方の端面114の一部が位置決め部127となる。
【0074】
以上のように、各ブロック102、103、129、130は隙間無く組み立てられる。また、台座128は、第3ブロック129及び第4ブロック130が第1ブロック102及び第2ブロック103に対して線で接触するように構成される。
【0075】
(第5実施形態)
本実施形態では、主に第3、第4実施形態と異なる部分について説明する。図21及び図22に示されるように、台座128は、第3ブロック129の傾斜面133と第4ブロック130の傾斜面138とが向き合うように組み立てられる。第3ブロック129のうちの傾斜面133と一方の側面136とで構成される角部の先端と、第4ブロック130のうちの傾斜面138と一方の側面141とで構成される角部の先端と、が位置決め部127となり、互いに突き当てられる。
【0076】
また、台座128は、第3ブロック129及び第4ブロック130が第1ブロック102と第2ブロック103とに挟まれた状態に組み立てられる。第1ブロック102の他方の側面111と、第3ブロック129の他方の端面135及び第4ブロック130の一方の端面139と、が向き合うと共に隙間無く配置される。第1ブロック102の他方の側面111の一部、第3ブロック129の他方の端面135の一部、及び第4ブロック130の一方の端面139の一部が位置決め部127となる。
【0077】
第2ブロック103の他方の側面116と、第3ブロック129の一方の端面134及び第4ブロック130の他方の端面140と、が向き合うと共に隙間無く配置される。第2ブロック103の他方の側面116の一部、第3ブロック129の一方の端面134の一部、及び第4ブロック130の他方の端面140の一部が位置決め部127となる。
【0078】
(第6実施形態)
本実施形態では、主に第3~第5実施形態と異なる部分について説明する。図23及び図24に示されるように、第1ブロック102及び第2ブロック103は、第1ブロック102の傾斜面107と第2ブロック103の傾斜面112とが向き合うと共に、スペースを持って配置される。第3ブロック129及び第4ブロック130は、第3ブロック129の傾斜面133と第4ブロック130の傾斜面138とが向き合うと共に、スペースを持って配置される。
【0079】
第3ブロック129のうちの傾斜面133と一方の側面136とで構成される角部の先端で、一方の端面134側の一方の端部143が、第2ブロック103の他方の端面114に突き当てられる。第3ブロック129のうちの傾斜面133と一方の側面136とで構成される角部の先端で、他方の端面135側の他方の端部144が、第1ブロック102の一方の端面108に突き当てられる。第3ブロック129の各端部143、144、第1ブロック102の一方の端面108の一部、及び第2ブロック103の他方の端面114の一部が位置決め部127となる。
【0080】
第4ブロック130のうちの傾斜面138と一方の側面141とで構成される角部の先端で、一方の端面139側の一方の端部145が、第1ブロック102の他方の端面109に突き当てられる。第4ブロック130のうちの傾斜面138と一方の側面141とで構成される角部の先端で、他方の端面140側の他方の端部146が、第2ブロック103の一方の端面113に突き当てられる。第4ブロック130の各端部145、146、第2ブロック103の一方の端面113の一部、及び第1ブロック102の他方の端面109の一部が位置決め部127となる。
【0081】
以上のように、台座128は、中央部にスペースを有するように組み立てられていても良い。このような台座128であっても、各センサ104、105、131、132の軸直交性は位置決め部127によって担保される。
【0082】
(第7実施形態)
本実施形態では、主に第6実施形態と異なる部分について説明する。図25及び図26に示されるように、第1ブロック102は、第1ブロック102のうちの傾斜面107、一方の側面110、及び一方の端面108で構成される一方の端部がz軸に沿って切り落とされた一方の切断面147を有する。
【0083】
また、第1ブロック102は、第1ブロック102のうちの傾斜面107、一方の側面110、及び他方の端面109で構成される他方の端部がz軸に沿って切り落とされた他方の切断面148を有する。
【0084】
同様に、第2ブロック103は、一方の切断面149及び他方の切断面150を有する。第3ブロック129は、一方の切断面151及び他方の切断面152を有する。第4ブロック130は、一方の切断面153及び他方の切断面154を有する。
【0085】
第1ブロック102の一方の切断面147と、第3ブロック129の他方の切断面152と、が接触する。第1ブロック102の他方の切断面148と、第4ブロック130の一方の切断面153と、が接触する。したがって、第1ブロック102の各切断面147、148、第3ブロック129の他方の切断面152、及び第4ブロック130の一方の切断面153が位置決め部127となる。
【0086】
第2ブロック103の一方の切断面149と、第4ブロック130の他方の切断面154と、が接触する。第2ブロック103の他方の切断面150と、第3ブロック129の一方の切断面151と、が接触する。したがって、第2ブロック103の各切断面149、150、第4ブロック130の他方の切断面154、及び第3ブロック129の一方の切断面151が位置決め部127となる。
【0087】
以上のように、台座128は、第6実施形態の場合よりも中央部のスペースが小さくなるように組み立てられていても良い。これにより、台座128を小型化することができる。
【0088】
(第8実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図27に示されるように、第1ブロック102の一方の側面110と、第3ブロック129の他方の側面137と、が接触する。第1ブロック102の他方の側面111と、第4ブロック130の一方の側面141と、が接触する。
【0089】
また、第2ブロック103の一方の側面115と、第4ブロック130の他方の側面142と、が接触する。第2ブロック103の他方の側面116と、第3ブロック129の一方の側面136と、が接触する。
【0090】
したがって、第1ブロック102の各側面110、111、第2ブロック103の各側面115、116、第3ブロック129の各側面136、137、及び第4ブロック130の各側面141、142が位置決め部127となる。各センサ104、105、131、132の各軸の直交精度は各ブロック102、103、129、130の形状精度によって保証される。
【0091】
なお、各センサ104、105、131、132は第1他軸及び第2他軸に対して軸ずれが起きないように各ブロック102、103、129、130に実装される。各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138の直交精度は加工精度で規定されるので、充分な直交精度を担保できる。よって、高い軸直交性を達成できる。
【0092】
以上により、台座128は、各ブロック102、103、129、130が直方体状に組み立てられて構成される。台座128は、各ブロック102、103、129、130の一方の端面108、113、134、139が上面に位置するように、実装材101の設置面106に設置される。
【0093】
各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138は、実装材101の設置面106に対して垂直に配置される。各傾斜面107、112、133、138の傾斜は、各傾斜面107、112、133、138が設置面106に対して垂直の場合も含む。
【0094】
本実施形態では、各センサ104、105、131、132は、2軸の加速度センサである。第1センサ104及び第2センサ105は、x軸方向に沿って配置される。第3センサ131及び第4センサ132は、y軸方向に沿って配置される。
【0095】
x軸方向の加速度は、第3センサ131及び第4センサ132によって検知される。y軸方向の加速度は、第1センサ104及び第2センサ105によって検知される。z軸方向の加速度は、4個のセンサ104、105、131、132によって検知される。仮に、各センサ104、105、131、132のうちの1個が壊れたとしても残りの3個を用いて3軸の加速度を検知することができる。
【0096】
(第9実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図28図30に示されるように、第1ブロック102は、連結部155を有する。連結部155は、接触相手と接触するに際して接触相手に連結されるための部分である。
【0097】
連結部155は、例えば嵌合部である。図29に示されるように、連結部155は、第1ブロック102の一方の側面110に形成された凸部である。また、図30に示されるように、連結部155は、第1ブロック102の他方の側面111に形成された凹部である。他のブロック103、129、130も同様に連結部155を有する。
【0098】
各ブロック102、103、129、130のうちの一方の凸部が他方の凹部に差し込まれることで各ブロック102、103、129、130が連結される。また、台座128を固定するための実装材101に溝を設けておけば、台座128が傾くことなく実装材101に実装される。
【0099】
変形例として、図31に示されるように、連結部155として磁石を採用しても良い。磁石は、S極が第1ブロック102の一方の側面110に位置するように、予め形成された溝に埋め込まれる。また、磁石は、N極が第1ブロック102の他方の側面111に位置するように、予め形成された溝に埋め込まれる。あるいは、図32に示されるように、磁石は、第1ブロック102にインサート成形されても良い。他のブロック103、129、130にも同様に磁石が設けられる。台座128は、各磁石の引力によって組み立てられる。インサート成形によって、第1ブロック102を肉抜きして形成しても良い。
【0100】
(第10実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、多軸慣性力センサ100は、IMU(Inertial Measurement Unit)に適用される。
【0101】
具体的には、図33に示されるように、IMU156は、台座128及び各センサ104、105、131、132の他に、封止台座157、封止蓋158、及びプリント基板159を備える。
【0102】
台座128は、例えば、図25に示された構成が採用される。各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138には、MID工法によって配線や電極が形成されると共に、外付部品119、各センサ104、105、131、132、各ソケット160~163が実装される。
【0103】
各センサ104、105、131、132は、真空封止されたZ軸ジャイロセンサとして構成される。したがって、上述のように、4個のセンサ104、105、131、132によってx軸、y軸、及びz軸の角速度が検知される。各ソケット160~163は、各センサ104、105、131、132の信号を取り出すと共に、電源供給のための接続ポートである。
【0104】
封止台座157及び封止蓋158は、金属製の筐体である。封止台座157及び封止蓋158は、高剛性である。封止蓋158は、封止台座157に設けられたねじ孔164を通してねじ固定される。よって、封止台座157及び封止蓋158は、外乱による影響を受けにくい構造である。
【0105】
プリント基板159の一面165には、台座128、加速度センサ166、複数のLSI167、複数の電子部品168、複数のソケット169、及び外部用ソケット170が実装される。
【0106】
加速度センサ166は、例えば3軸の加速度センサである。加速度センサ166は、プリント基板159に2個搭載される。したがって、IMU156は、6軸慣性力の高精度検知ができる。
【0107】
複数のLSI167は、演算用のものや、信号補正用アルゴリズムが書き込まれたものがプリント基板159に実装される。複数の電子部品168は、ICや回路部品等である。
【0108】
複数のソケット169は、各ブロック102、103、129、130の各ソケット160~163に対応して実装される。各ソケット169は、FPC(Flexible printed circuits)によって各ソケット160~163に接続される。これにより、プリント基板159と各ブロック102、103、129、130の各センサ104、105、131、132等との電気的接続を取る。
【0109】
外部用ソケット170は、IMU156のデジタル信号を外部装置に取り出すためのアウトプットポートである。プリント基板159は、封止台座157に設けられたねじ孔171にねじを通して封止台座157に固定される。
【0110】
以上のように、多軸慣性力センサ100をIMU156の一部として構成することができる。なお、加速度センサ166は、プリント基板159ではなく、各ブロック102、103、129、130に実装されても構わない。また、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、プリント基板159が特許請求の範囲の「実装材」に対応し、一面165が特許請求の範囲の「設置面」に対応する。
【0111】
(第11実施形態)
本実施形態では、主に第10実施形態と異なる部分について説明する。図34に示されるように、IMU156は、セラミックパッケージ172及びリッド173を備える。
【0112】
セラミックパッケージ172は、リッド173が固定されることで気密封止される。気密封止は、セラミックパッケージ172の開口端174に設けられた枠状の半田175が溶かされることによって行われる。セラミックパッケージ172の内部は、真空に気密封止される。なお、セラミックパッケージ172の内部を真空に維持するため、リッド173の裏面にゲッター膜を設けても良い。あるいは、セラミックパッケージ172に固形のゲッターを設置しても良い。
【0113】
セラミックパッケージ172は、複数の内部端子176及び複数の外部端子177を有する。複数の内部端子176は、セラミックパッケージ172の内部に設けられる。複数の外部端子177は、セラミックパッケージ172の壁面に設けられる。各外部端子177は、各センサ104、105、131、132のセンサ信号の出力用であると共に、各センサ104、105、131、132の電源用である。各内部端子176と各外部端子177とは内部配線によってセラミックパッケージ172の内部で電気的に接続される。
【0114】
台座128は、セラミックパッケージ172の底面178に直接実装される。第1ブロック102は、傾斜面107と他方の側面111とで構成される角部が面取りされると共に、ワイヤボンディング用の電極パッド179が配置される。他のブロック103、129、130も同様である。例えば、第2ブロック103の各電極パッド180が、セラミックパッケージ172の各内部端子176にワイヤボンディングで電気的に接続される。これにより、第2センサ105は電源供給されると共に、センサ信号の出力が可能になる。
【0115】
第2センサ105は、センサ素子181とASIC182とで構成される。第3センサ131は、センサ素子183とASIC184とで構成される。各センサ素子181、183は、Z軸ジャイロセンサ素子である。各センサ素子181、183はオープンパッケージとして構成される。各センサ素子181、183は、WLP構造を取り、チップレベルで真空に気密封止された形態であっても良い。この場合、セラミックパッケージ172の内部は気密封止されているだけで良く、真空である必要はない。ゲッター膜も不要である。
【0116】
各ASIC182、184は、各センサ素子181、183を動作させて信号生成する。各センサ素子181、183及び各ASIC182、184は、ワイヤボンディングで傾斜面112、133の電極に電気的接続されている。第1センサ104及び第4センサ132の構成も上記と同様である。
【0117】
なお、セラミックパッケージ172の内部にはx軸、y軸、z軸の加速度センサが設けられる。3軸加速度センサを実現するための手段として、Z軸加速度センサを各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138に実装しても良い。あるいは、3軸加速度センサをセラミックパッケージ172の底面178に2個実装しても良い。その他の構成でも、3軸の加速度を検知するセンサがあれば良い。いずれの形態でも、加速度センサ素子はWLPによって大気圧に近い状態で気密封止される。電気配線は、ジャイロセンサ素子と同様に、ワイヤボンディングで行われる。
【0118】
以上の構成により、6軸の慣性力を検知できるIMU156が構成される。IMU156は、例えば、自己位置推定システムのプリント基板に半田を介して実装される。IMU156は、各ブロック102、103、129、130だけでなく、高剛性のセラミックパッケージ172の相乗効果によって、外部からの応力影響をより遮断することができる。そのため、0点が応力によって変動しにくく、6軸慣性力の高精度検知ができる。
【0119】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、セラミックパッケージ172が特許請求の範囲の「実装材」に対応し、底面178が特許請求の範囲の「設置面」に対応する。
【0120】
(第12実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図35に示されるように、台座128は、第3ブロック129の他方の側面137及び一方の端面134を基準として山形形状に組み立てられる。
【0121】
具体的には、第2ブロック103の一方の端面113は、第3ブロック129の他方の側面137に接触する。第3ブロック129の一方の端面134と、第2ブロック103の他方の側面116と、は同一面に配置される。
【0122】
したがって、第2ブロック103の一方の端面113の一部と、第3ブロック129の他方の側面137の一部と、が位置決め部127となる。
【0123】
第1ブロック102の他方の側面111は、第3ブロック129の一方の端面134と、第2ブロック103の他方の側面116と、の両方に接触する。第4ブロック130の他方の側面142の一部は、第1ブロック102の一方の端面108に接触する。第4ブロック130の一方の端面139の一部は、第2ブロック103の他方の側面116一部に接触する。
【0124】
したがって、第1ブロック102の他方の側面111の一部及び一方の端面108一部と、第2ブロック103の他方の側面116の一部と、が位置決め部127となる。また、第3ブロック129の一方の端面134の一部と、第4ブロック130の他方の側面142の一部及び一方の端面139の一部と、が位置決め部127となる。
【0125】
以上のように、第1ブロック102及び第2ブロック103は、一直線上に配置されていなくても良い。同様に、第3ブロック129及び第4ブロック130は、一直線上に配置されていなくても良い。
【0126】
変形例として、図35に示された各ブロック102、103、129、130の配置において、第1ブロック102の傾斜面107と第2ブロック103の傾斜面112とが向き合うように配置されても良い。この場合、第3ブロック129の傾斜面133は、第2ブロック103に向き合うように配置されると共に、第4ブロック130の傾斜面138は、第1ブロック102に向き合うように配置されても良い。
【0127】
(第13実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図36に示されるように、各ブロック102、103、129、130のサイズがそれぞれ異なる。例えば、第1ブロック102、第2ブロック103、第3ブロック129、第4ブロック130の順にサイズが大きい。台座128は、例えば、第1ブロック102を基準に組み立てられる。なお、各ブロック102、103、129、130のサイズは適宜決定すれば良い。
【0128】
(第14実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図37に示されるように、各ブロック102、103、129、130のサイズが同じ場合において、台座128は、第2ブロック103を基準として組み立てられる。この場合、第1ブロック102、第3ブロック129、及び第4ブロック130は、互いに接触しない。なお、各ブロック102、103、129、130のサイズは異なっていても構わない。
【0129】
(第15実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図38に示されるように、各ブロック102、103、129、130のサイズが異なる場合において、台座128は、第1ブロック102を基準として組み立てられる。この場合、第2ブロック103、第3ブロック129、及び第4ブロック130は、互いに接触しない。
【0130】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された多軸慣性力センサ100の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、各センサ104、105、131、132は、1軸センサではなく、複数軸のセンサとして構成されていても良い。
【0131】
各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138に配置されるセンサは1個に限られない。各ブロック102、103、129、130には、Z軸ジャイロセンサだけでなく、Z軸加速度センサを配置しても良い。これにより、6軸慣性力センサを構成することも可能である。
【0132】
第1ブロック102の各端面108、109は、直角二等辺三角形の形状でなくても良い。すなわち、第1ブロック102の傾斜面107は、実装材101の設置面106に対して45°の角度で傾斜していなくても良い。
【0133】
各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138は、設置面106に対して傾斜していれば良い。したがって、各ブロック102、103、129、130は、各傾斜面107、112、133、138が設置面106に対して鋭角及び垂直に傾斜する場合だけでなく、鈍角に傾斜する形状でも構わない。
つまり、各ブロック102、103、129、130は三角柱ではなく、台形状や任意の形状に形成されていても構わない。
【0134】
台座128は、各ブロック102、103、129、130のうちの一方の端面と他方の端面とが向き合うように組み立てられていても良い。あるいは、台座128は、各ブロック102、103、129、130のうちの一方の傾斜面と他方の側面とが向き合うように組み立てられていても良い。
【0135】
台座128を構成するブロックの数は、2個あるいは4個に限られず、2個以上であれば良い。台座128は、偶数個のブロックによって組み立てられる場合だけでなく、奇数個のブロックによって組み立てられても良い。
【0136】
台座128は、傾斜面の向きが同じ方向に向けられているブロックを含んでいても構わない。
【符号の説明】
【0137】
101、159、172 実装材
102、103、129、130 ブロック
104、105、131、132 センサ
106、165、178 設置面
107、112、133、138 傾斜面
127 位置決め部
128 台座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38