(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】多軸慣性力センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01C 19/00 20130101AFI20240312BHJP
G01P 21/00 20060101ALI20240312BHJP
G01C 19/5783 20120101ALI20240312BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20240312BHJP
【FI】
G01C19/00 Z
G01P21/00
G01C19/5783
G01P15/18
(21)【出願番号】P 2020185626
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 照久
(72)【発明者】
【氏名】原田 翔太
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-337197(JP,A)
【文献】特開2013-44645(JP,A)
【文献】特表2003-502644(JP,A)
【文献】米国特許第7253079(US,B2)
【文献】特開2008-51628(JP,A)
【文献】特開2003-28646(JP,A)
【文献】米国特許第5610431(US,A)
【文献】特開2014-48107(JP,A)
【文献】特開2012-154848(JP,A)
【文献】特開平7-243856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00
G01C 19/5783
G01P 15/18
G01P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面(106)を有する実装材(101)と、
前記実装材の前記設置面に配置されると共に、前記設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する複数のブロック(102、103、129、130)と、
前記複数のブロックの前記傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する複数のセンサ(104、105、131、132)と、
を含み、
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有し、前記位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、前記傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成する、多軸慣性力センサの製造方法であって、
前記台座を組み立てる前に、前記複数のブロックにそれぞれ配置された前記複数のセンサそれぞれの感度を検査する検査工程を含み、
前記検査工程は、
前記複数のセンサがそれぞれ配置された前記複数のブロックを用意する、第1工程と、
複数の主軸用溝部(224)が形成された主軸用トレイ(212)を用意すると共に、前記主軸用トレイとして、前記複数の主軸用溝部は、前記複数のブロックが接触すると共に、前記主軸用溝部の深さ方向に対応する前記主軸用トレイの厚み方向と前記センサの前記主軸とが平行になるように位置決めするための主軸用位置決め面(227)を有するものを用意する、第2工程と、
前記複数のブロックを前記主軸用トレイの前記複数の主軸用溝部に嵌め込むと共に、前記複数のブロックを前記複数の主軸用溝部の前記主軸用位置決め面に接触させることで、前記主軸用トレイの厚み方向と前記センサの前記主軸とを平行に配置する、第3工程と、
ターンテーブル(231)を備えた検査装置(229)を用意し、前記ターンテーブルに前記主軸用トレイを設置することで、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記主軸用トレイの厚み方向とを平行に配置すると共に、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記複数のセンサの前記主軸とを平行に配置する、第4工程と、
前記ターンテーブルを回動あるいは揺動させることにより、前記複数のセンサの前記主軸の感度を検査する、第5工程と、
を含む、多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項2】
前記主軸に垂直な軸を第1他軸と定義し、前記主軸及び前記第1他軸に垂直な軸を第2他軸と定義すると、
前記第2工程では、複数の第1他軸用溝部(213)が形成された第1他軸用トレイ(210)と、複数の第2他軸用溝部(219)が形成された第2他軸用トレイ(211)と、を用意すると共に、前記第1他軸用トレイとして、前記複数の第1他軸用溝部は、前記複数のブロックが接触すると共に、前記第1他軸用溝部の深さ方向に対応する前記第1他軸用トレイの厚み方向と前記センサの前記第1他軸とが平行になるように位置決めするための第1他軸用位置決め面(216)を有するものを用意し、前記第2他軸用トレイとして、前記複数の第2他軸用溝部は、前記複数のブロックが接触すると共に、前記第2他軸用溝部の深さ方向に対応する前記第2他軸用トレイの厚み方向と前記センサの前記第2他軸とが平行になるように位置決めするための第2他軸用位置決め面(222)を有するものを用意し、
前記第3工程では、前記複数のブロックを前記第1他軸用トレイの前記複数の第1他軸用溝部に嵌め込むと共に、前記複数のブロックを前記複数の第1他軸用溝部の前記第1他軸用位置決め面に接触させることで、前記第1他軸用トレイの厚み方向と前記センサの前記第1他軸とを平行に配置し、また、前記複数のブロックを前記第2他軸用トレイの前記複数の第2他軸用溝部に嵌め込むと共に、前記複数のブロックを前記複数の第2他軸用溝部の前記第2他軸用位置決め面に接触させることで、前記第2他軸用トレイの厚み方向と前記センサの前記第2他軸とを平行に配置し、
前記第4工程では、前記ターンテーブルに前記第1他軸用トレイを設置することで、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記第1他軸用トレイの厚み方向とを平行に配置すると共に、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記複数のセンサの前記第1他軸とを平行に配置し、また、前記ターンテーブルに前記第2他軸用トレイを設置することで、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記第2他軸用トレイの厚み方向とを平行に配置すると共に、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記複数のセンサの前記第2他軸とを平行に配置し、
前記第5工程では、前記ターンテーブルを回動あるいは揺動させることにより、前記複数のセンサの前記第1他軸の感度を検査し、また、前記ターンテーブルを回動あるいは揺動させることにより、前記複数のセンサの前記第2他軸の感度を検査し、
さらに、
前記第3工程では、前記主軸用トレイ、前記第1他軸用トレイ、及び前記第2他軸用トレイのいずれかに前記複数のブロックを嵌め込み、
前記第4工程では、前記主軸用トレイ、前記第1他軸用トレイ、及び前記第2他軸用トレイのうちの前記複数のブロックが嵌め込まれたトレイを前記ターンテーブルに設置し、
前記第3工程、前記第4工程、及び前記第5工程を繰り返すことにより、前記複数のセンサの前記主軸、前記第1他軸、及び前記第2他軸の感度を検査する、請求項1に記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項3】
設置面(106)を有する実装材(101)と、
前記実装材の前記設置面に配置されると共に、前記設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する複数のブロック(102、103、129、130)と、
前記複数のブロックの前記傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する複数のセンサ(104、105、131、132)と、
を含み、
前記複数のブロックは、前記複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有し、前記位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、前記傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成する、多軸慣性力センサの製造方法であって、
前記台座を組み立てる前に、前記複数のブロックにそれぞれ配置された前記複数のセンサそれぞれの感度を検査する検査工程を含み、
前記検査工程は、
前記複数のセンサがそれぞれ配置された前記複数のブロックを用意する、第1工程と、
複数の溝部(213、219、224)が形成された検査トレイ(210~212)を用意すると共に、前記検査トレイとして、前記複数の溝部は、前記複数のブロックが接触すると共に、前記溝部の深さ方向に対応する前記検査トレイの厚み方向と前記センサの前記主軸とが平行になるように位置決めするための位置決め面(216、222、227)を有するものを用意する、第2工程と、
前記複数のブロックを前記検査トレイの前記複数の溝部に嵌め込むと共に、前記複数のブロックを前記複数の溝部の前記位置決め面に接触させることで、前記検査トレイの厚み方向と前記センサの前記主軸とを平行に配置する、第3工程と、
ジンバル機構(235)を有するターンテーブル(231)を備えた検査装置(229)を用意し、前記ジンバル機構に前記検査トレイを設置することで、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記検査トレイの厚み方向とを平行に配置すると共に、前記ターンテーブルの回転中心軸と前記複数のセンサの前記主軸とを平行に配置する、第4工程と、
前記ターンテーブルを回動あるいは揺動させることにより、前記複数のセンサの前記主軸、前記主軸に垂直な軸である第1他軸、前記主軸及び前記第1他軸に垂直な軸である第2他軸の3軸の感度を検査する、第5工程と、
を含み、
前記第5工程では、前記ジンバル機構によって前記ターンテーブルの回転中心軸と前記複数のセンサの前記第1他軸とを平行に配置した状態で前記主軸、前記第1他軸、及び前記第2他軸の3軸の感度を検査すると共に、前記ジンバル機構によって前記ターンテーブルの回転中心軸と前記複数のセンサの前記第2他軸とを平行に配置した状態で前記主軸、前記第1他軸、及び前記第2他軸の3軸の感度を検査する、多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項4】
前記検査工程の後、前記複数のブロックを前記実装材の前記設置面に配置すると共に、前記複数のブロックを前記実装材の前記設置面のうちの基準点を基準とした点対称に配置することで前記台座を組み立てる、組み立て工程を含む、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項5】
前記傾斜面に垂直な方向をZ軸と定義すると、
前記第1工程では、前記複数のセンサとして、前記主軸が前記Z軸に平行に配置されると共に、前記慣性力としてZ軸回りの角速度を検出する1軸のジャイロセンサとして構成されたものを用いる、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項6】
前記傾斜面に垂直な方向をZ軸と定義すると、
前記第1工程では、前記複数のセンサとして、前記主軸が前記Z軸に平行に配置されると共に、前記慣性力としてZ軸方向の加速度を検出する1軸の加速度センサとして構成されたものを用いる、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項7】
前記第1工程では、前記複数のブロックとして、前記傾斜面に接続された三角形状の端面(108、109、113、114、134、135、139、140)を有すると共に、前記端面は直角二等辺三角形の形状であるものを用意する、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項8】
前記傾斜面は、前記直角二等辺三角形の斜辺に対応する面である、請求項7に記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【請求項9】
前記第1工程では、前記複数のブロックとして、全て同じ形状であるものを用意する、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の多軸慣性力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸慣性力センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のボードが組み合わされた基板に複数のセンサが設置された多軸慣性力システムが、例えば特許文献1で提案されている。基板は、各センサが配置されると共に互いに離れて配置される複数のブロックを有する。各ブロックは、センサが配置される傾斜面を有する。各傾斜面は、各センサの検出軸が直交するように傾けられる。これにより、多軸の慣性力の測定が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、各ブロックが互いに離れて配置される構成である。このため、各ブロックの相対位置決めに誤差が生じやすい。よって、各センサの検出軸の直交性が低下する可能性がある。
【0005】
また、各センサが各ブロックに搭載された状態で全てのセンサについて検出軸の感度測定を行う必要がある。つまり、ブロックが基板に搭載される前後に感度測定を実施する必要がある。よって、検査工程が非常に多くなってしまう。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、各センサの主軸の直交性を確保すると共に、検査工程の工数を低減することができる多軸慣性力センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1、3に記載の発明では、多軸慣性力センサは、実装材(101)、複数のブロック(102、103、129、130)、及び複数のセンサ(104、105、131、132)を含む、多軸慣性力センサの製造方法である。
【0008】
実装材は、設置面(106)を有する。複数のブロックは、実装材の設置面に配置されると共に、設置面に対して傾斜した傾斜面(107、112、133、138)を有する。複数のセンサは、複数のブロックの傾斜面にそれぞれ配置されると共に、主軸に対応する慣性力を検出する。
【0009】
複数のブロックは、複数のブロックのうちの少なくとも1つあるいは複数と接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部(127)を有する。複数のブロックは、位置決め部に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態、及び、傾斜面がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられることで台座(128)を構成する。
【0010】
多軸慣性力センサの製造方法は、台座を組み立てる前に、複数のブロックにそれぞれ配置された複数のセンサそれぞれの感度を検査する検査工程を含む。
【0011】
請求項1に記載の発明では、検査工程は、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、及び第5工程を含む。
【0012】
第1工程では、複数のセンサがそれぞれ配置された複数のブロックを用意する。
【0013】
第2工程では、複数の主軸用溝部(224)が形成された主軸用トレイ(212)を用意する。主軸用トレイとして、複数の主軸用溝部は、主軸用位置決め面(227)を有するものを用意する。主軸用位置決め面は、複数のブロックが接触すると共に、主軸用溝部の深さ方向に対応する主軸用トレイの厚み方向とセンサの主軸とが平行になるように位置決めする。
【0014】
第3工程では、複数のブロックを主軸用トレイの複数の主軸用溝部に嵌め込む。複数のブロックを複数の主軸用溝部の主軸用位置決め面に接触させることで、主軸用トレイの厚み方向とセンサの主軸とを平行に配置する。
【0015】
第4工程では、ターンテーブル(231)を備えた検査装置(229)を用意する。ターンテーブルに主軸用トレイを設置することで、ターンテーブルの回転中心軸と主軸用トレイの厚み方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブルの回転中心軸と複数のセンサの主軸とを平行に配置する。
【0016】
第5工程では、ターンテーブルを回動あるいは揺動させることにより、複数のセンサの主軸の感度を検査する。
【0017】
請求項3に記載の発明では、検査工程は、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、及び第5工程を含む。
【0018】
第1工程では、複数のセンサがそれぞれ配置された複数のブロックを用意する。
【0019】
第2工程では、複数の溝部(213、219、224)が形成された検査トレイ(210~212)を用意する。検査トレイとして、複数の溝部は、位置決め面(216、222、227)を有するものを用意する。位置決め面は、複数のブロックが接触すると共に、溝部の深さ方向に対応する検査トレイの厚み方向とセンサの主軸とが平行になるように位置決めする。
【0020】
第3工程では、複数のブロックを検査トレイの複数の溝部に嵌め込む。複数のブロックを複数の溝部の位置決め面に接触させることで、検査トレイの厚み方向とセンサの主軸とを平行に配置する。
【0021】
第4工程では、ジンバル機構(235)を有するターンテーブル(231)を備えた検査装置(229)を用意する。ジンバル機構に検査トレイを設置することで、ターンテーブルの回転中心軸と検査トレイの厚み方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブルの回転中心軸と複数のセンサの主軸とを平行に配置する。
【0022】
第5工程では、ターンテーブルを回動あるいは揺動させることにより、複数のセンサの主軸、主軸に垂直な軸である第1他軸、主軸及び第1他軸に垂直な軸である第2他軸の3軸の感度を検査する。
【0023】
また、第5工程では、ジンバル機構によってターンテーブルの回転中心軸と複数のセンサの第1他軸とを平行に配置した状態で主軸、第1他軸、及び第2他軸の3軸の感度を検査する。ジンバル機構によってターンテーブルの回転中心軸と複数のセンサの第2他軸とを平行に配置した状態で主軸、第1他軸、及び第2他軸の3軸の感度を検査する。
【0024】
これによると、各センサの相対位置の精度は、複数のブロックの位置決め部によって確保される。このため、台座を組み立てることで各センサの軸直交性が高精度に規定される。したがって、各センサの主軸の直交性を確保することができる。
【0025】
また、台座の状態で各センサの軸直交性は確保される。このため、台座を組み立てる前に各ブロックの単位で各センサの感度の検査を行った後、台座の状態で各センサの感度の検査を再度行う必要が無い。したがって、検査工程の工数を低減することができる。
【0026】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態に係る多軸慣性力センサの斜視図である。
【
図2】
図1に示された多軸慣性力センサの上面図である。
【
図3】第1センサが第1ブロックに設置された状態を示した斜視図である。
【
図4】第1ブロックが嵌め込み板に設置された様子を示した一部断面図である。
【
図5】ヨーが第1センサ及び第2センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
【
図6】ヨーが第3センサ及び第4センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
【
図7】ロールが第1センサ及び第2センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
【
図8】ロールが第3センサ及び第4センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
【
図9】ピッチが第1センサ及び第2センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
【
図10】ピッチが第3センサ及び第4センサに印加されたときのベクトル成分を示した図である。
【
図11】第1実施形態に係る検査工程を示したフローチャートである。
【
図18】複数のブロックを検査トレイに嵌め込む様子を示した図である。
【
図19】ブロックが第1他軸用溝部に嵌め込まれた様子を示した一部断面図である。
【
図20】第1実施形態に係る検査装置の一部示した斜視図である。
【
図21】ブロックが第2他軸用溝部に嵌め込まれた様子を示した一部断面図である。
【
図22】ブロックが主軸用溝部に嵌め込まれた様子を示した一部断面図である。
【
図23】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
【
図24】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
【
図25】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
【
図26】第1実施形態に係る各ブロックの変形例を示した図である。
【
図27】第2実施形態に係る検査工程を示したフローチャートである。
【
図28】第2実施形態に係る検査装置の一部示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0029】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図を参照して説明する。
図1及び
図2に示されるように、多軸慣性力センサ100は、実装材101、第1ブロック102、第2ブロック103、及び第1センサ104、及び第2センサ105を含む。
【0030】
実装材101は、設置面106を有する。実装材101は、例えば、単層あるいは多層のプリント基板である。実装材101には、マイクロコンピュータやLSI(Large Scale Integration)等の電子部品が実装される。実装材101は、図示しない筐体に収容される。
【0031】
各ブロック102、103は、各センサ104、105がそれぞれ配置される土台である。各ブロック102、103は、実装材101の設置面106に配置される。各ブロック102、103は、同じサイズ及び同じ形状である。各ブロック102、103は、内部が空洞になっていても良い。各ブロック102、103は、金属、樹脂、セラミックス等の材料によって形成される。
【0032】
図1に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107、一対の端面108、109、及び一対の側面110、111を有する三角柱である。傾斜面107は、実装材101の設置面106に対して傾斜した面である。一対の端面108、109は、傾斜面107に接続された三角形状の面である。一対の側面110、111は、傾斜面107と一対の端面108、109とに接続された四角形状の面である。一対の側面110、111のうちの一方の側面110が実装材101の設置面106に配置される。
【0033】
一対の端面108、109は、直角二等辺三角形の形状である。傾斜面107は、直角二等辺三角形の各端面108、109の斜辺に対応する面である。したがって、傾斜面107は実装材101の設置面106に対して45°の角度で傾斜する。
【0034】
第2ブロック103は、第1ブロック102と同様に、傾斜面112、一対の端面113、114、及び一対の側面115、116を有する三角柱である。このように、各ブロック102、103の形状が単純な三角柱であることから、射出成型による量産が可能である。よって、各ブロック102、103の製造コストを抑えることが可能である。
【0035】
また、
図3に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107に設けられた複数の電子部品117を有する。電子部品117は、実装基板118、外付部品119、外部配線120、引出部121を有する。
【0036】
実装基板118は、例えばプリント基板である。実装基板118には第1センサ104が半田により実装される。実装基板118は接着剤等で傾斜面107に固定される。
【0037】
外付部品119は、チップ抵抗等の部品である。外部配線120は、実装基板118の表面に形成されると共に、第1センサ104や外付部品119に接続される。
【0038】
引出部121は、外部配線120に接続される。引出部121は、第1センサ104の信号を外部に取り出すと共に、外部から第1センサ104に電源供給するための電気接続部である。引出部121は、実装材101の電気回路に接続される。引出部121としてフレキシブル基板用のソケットを用いても良い。
【0039】
上記と同様に、第2ブロック103には、電子部品117及び第2センサ105が実装される。すなわち、各センサ104、105は、各ブロック102、103の各傾斜面107、112にそれぞれ配置される。つまり、第1ブロック102に1個の第1センサ104が配置され、第2ブロック103に1個の第2センサ105が配置される。
【0040】
なお、
図1及び
図2では、各ブロック102、103に配置された電子部品117を省略している。以下の各図においても、適宜、各ブロック102、103に配置された電子部品117を省略している。
【0041】
各センサ104、105は、主軸に対応する慣性力として角速度を検出する1軸のジャイロセンサである。各ブロック102、103の各傾斜面107、112に垂直な方向をZ軸と定義すると、各センサ104、105は、主軸がZ軸に平行に配置される。したがって、各センサ104、105は、慣性力としてZ軸回りの角速度を検出する。
【0042】
各センサ104、105は、例えば、樹脂モールドパッケージとして構成される。パッケージの中には、センサ素子とASIC(Application Specific Integrated Circuit)とが内包される。センサ素子はWLP(Wafer Level Packaging) として構成されることが好ましい。つまり、センサ素子とセンサ素子を動作させて信号を読み出すIC(Integrated Circuit)とを合わせてジャイロセンサと言う。なお、各センサ104、105は、セラミックパッケージとして構成されていても良い。また、パッケージがオープンになっていても良い。
【0043】
図4に示されるように、第1センサ104が実装された実装基板118は、嵌め込み板122を用いて第1ブロック102に固定される。嵌め込み板122は、平面123及び溝部124を有する。溝部124は、嵌め込み板122のうちの平面123の一部が凹んだ部分である。溝部124は、外形とほぼ同じ形状である。溝部124は、少なくとも、第1ブロック102の各側面110、111が接触する壁面125、126を有する。
【0044】
第1ブロック102は、第1ブロック102の各側面110、111が溝部124の各壁面125、126に接触するように、溝部124に嵌め込まれる。これにより、第1ブロック102の傾斜面107が嵌め込み板122の平面123と平行になる。嵌め込み板122の平面123が予め水平に固定されることで、第1ブロック102の傾斜面107が水平に配置される。この状態で、基板実装技術やリフロー実装技術等によって実装基板118及び第1センサ104が第1ブロック102に実装される。
【0045】
第1センサ104はZ軸ジャイロセンサである。よって、第1ブロック102に対する第1センサ104の実装において、主軸に垂直な第1他軸と、主軸及び第1他軸に垂直な第2他軸と、の両方向のずれを精密に制御せずとも、傾斜面107に対する主軸すなわちZ軸方向の軸ずれが大きくなることはない。第1他軸はX軸である。第2他軸はY軸である。第2ブロック103についても、上記と同様に、電子部品117及び第2センサ105が嵌め込み板122を用いて実装される。
【0046】
なお、各センサ104、105がX軸やY軸を主軸とする場合、各ブロック102、103に対して各センサ104、105の位置を制御した状態で実装する必要がある。
【0047】
上記の構成において、
図1及び
図2に示されるように、各ブロック102、103は実装材101の設置面106に組み立てられる。ここで、実装材101の設置面106に垂直な軸をz軸とする。z軸に直交すると共に設置面106に平行な方向をx軸とする。z軸及びx軸に直交すると共に設置面106に平行な方向をy軸とする。x軸及びy軸は、設置面106に平行な軸である。各ブロック102、103は、x軸に沿って並べられる。
【0048】
各ブロック102、103は、互いに接触するに際して接触相手との位置を相対的に決める位置決め部127を有する。位置決め部127は、各ブロック102、103のうちの接触相手との突き当て部である。位置決め部127は、接触相手との接触部分である。
【0049】
各ブロック102、103は、位置決め部127に基づいて互いに相対的な位置が決まった状態に組み立てられる。また、各ブロック102、103は、各傾斜面107、112がそれぞれ異なる方向に向けられた状態に組み立てられる。これにより、各ブロック102、103は台座128の一部を構成する。各ブロック102、103は、接着剤によって連結される。
【0050】
また、多軸慣性力センサ100は、各ブロック102、103及び各センサ104、105の他に、第3ブロック129、第4ブロック130、第3センサ131、及び第4センサ132を含む。
【0051】
第3ブロック129は、傾斜面133、一対の端面134、135、及び一対の側面136、137を有する三角柱である。第4ブロック130は、傾斜面138、一対の端面139、140、及び一対の側面141、142を有する三角柱である。
【0052】
各ブロック102、103、129、130は、全て同じサイズ及び同じ形状である。第3センサ131及び第4センサ132は、主軸に対応する慣性力として角速度を検出する1軸のジャイロセンサである。第3センサ131は電子部品117と共に第3ブロック129の傾斜面133に配置され、第4センサ132は電子部品117と共に第4ブロック130の傾斜面138に配置される。
【0053】
台座128は、各ブロック102、103、129、130が実装材101の設置面106のうちの基準点を基準とした点対称に配置されることで構成される。台座128は、第1ブロック102及び第2ブロック103が第3ブロック129と第4ブロック130とに挟まれることで、山形形状に組み立てられる。
【0054】
具体的には、台座128は、第1ブロック102の他方の側面111と第2ブロック103の他方の側面116とが向き合うと共に隙間無く配置される。また、各ブロック102、103は、各側面111、116が接触することで、互いに隙間無く組み立てられる。
【0055】
第3ブロック129及び第4ブロック130は、y軸に沿って配置される。第3ブロック129の他方の側面137と、第1ブロック102の他方の端面109及び第2ブロック103の一方の端面113と、が向き合うと共に隙間無く配置される。第4ブロック130の他方の側面142と、第1ブロック102の一方の端面108及び第2ブロック103の他方の端面114と、が向き合うと共に隙間無く配置される。これにより、台座128は、山形形状を構成する。
【0056】
各センサ104、105、131、132は、台座128の傾斜面107、112、133、138にそれぞれ配置されることで主軸がそれぞれ異なる方向に向けられる。第1ブロック102のうちの各端面108、109の一部及び他方の側面111、第2ブロック103のうちの各端面113、114の一部及び他方の側面116が位置決め部127となる。また、第3ブロック129のうちの他方の側面137の一部、第4ブロック130のうちの他方の側面142の一部が位置決め部127となる。これにより、各センサ104、105、131、132の主軸の直交精度は各ブロック102、103、129、130の形状精度によって保証される。
【0057】
多軸化は、各ブロック102、103、129、130の組み立てによって達成される。つまり、多軸慣性力センサ100は、3軸のジャイロセンサである。位置決め部127によって、各センサ104、105、131、132の相対位置の精度が規定される。各ブロック102、103、129、130の加工形状が管理されると共に、各ブロック102、103、129、130の形状精度が確保されることで、各センサ104、105、131、132の軸直交性が十分保証される。
【0058】
各センサ104、105、131、132は、台座128の各傾斜面107、112、133、138にそれぞれ配置されることで主軸がそれぞれ異なる方向に向けられる。つまり、各センサ104、105、131、132の主軸は、実装材101の設置面106に対して傾斜する。したがって、各センサ104、105、131、132は、主軸に対応する角速度のベクトル成分をそれぞれ検出する。以上が、多軸慣性力センサ100の全体構成である。
【0059】
次に、3軸の角速度を検知する原理を説明する。まず、z軸回りの角速度をヨーとし、x軸回りの角速度をロールとし、y軸回りの角速度をピッチとする。各センサ104、105、131、132は、角速度が加わる方向から、角速度の回転方向を判別することができる。
【0060】
まず、ヨーが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ω
zが各センサ104、105、131、132に印加される。第1ブロック102及び第2ブロック103の各傾斜面107、112はz軸に対して45°の角度で傾斜している。よって、角速度ω
zをベクトル分解すると、
図5に示されるように、第1センサ104及び第2センサ105のZ軸には√2ω
z/2のベクトル成分が印加される。√2ω
z/2の角速度が各他軸に加わるものの、第1センサ104及び第2センサ105の主軸感度には影響がない。
【0061】
また、
図6に示されるように、第3センサ131及び第4センサ132のZ軸には√2ω
z/2のベクトル成分が印加される。すなわち、√2ω
z/2の角速度が、4個のセンサ104、105、131、132のZ軸に印加される。第3センサ131及び第4センサ132の各傾斜面133、138は実装材101の設置面106に対して45°の角度で傾斜している。よって、第3センサ131及び第4センサ132の等分の角速度が各他軸に加わるものの、第3センサ131及び第4センサ132の主軸感度には影響がない。
【0062】
ロールが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ω
xが各センサ104、105、131、132に印加される。
図7に示されるように、角速度ω
xをベクトル分解すると、第1センサ104及び第2センサ105のZ軸には√2ω
x/2のベクトル成分が印加される。
【0063】
一方、
図8に示されるように、第3センサ131及び第4センサ132には角速度ω
xが第2他軸に印加される。このため、第3センサ131及び第4センサ132の主軸感度は変化しない。
【0064】
ピッチが多軸慣性力センサ100に印加された場合、角速度ω
yが各センサ104、105、131、132に印加される。
図9に示されるように、角速度ω
yをベクトル分解すると、第1センサ104及び第2センサ105には角速度ω
yが第2他軸に印加される。このため、第1センサ104及び第2センサ105の主軸感度は変化しない。
【0065】
一方、
図10に示されるように、角速度ω
yをベクトル分解すると、第3センサ131及び第4センサ132のZ軸には√2ω
y/2のベクトル成分が印加される。√2ω
y/2の角速度が各他軸に加わるものの、第3センサ131及び第4センサ132の主軸感度には影響がない。
【0066】
以上の原理から、x軸回り、y軸回り、及びz軸回りにそれぞれ加わる角速度をベクトル分解すれば、Z軸回りの角速度として検知できると共に、角速度の方向も検知できる。すなわち、各センサ104、105、131、132はZ軸ジャイロセンサであるので、x軸、y軸、及びz軸のジャイロセンサとして機能する。したがって、3軸の角速度を検知することができる。
【0067】
また、第1センサ104及び第2センサ105は、角速度のベクトル成分をそれぞれ検出するので、いずれか一方が検出不能になったとしても、他方の主軸に対応した角速度のベクトル成分として検出することができる。すなわち、冗長性を確保することができる。したがって、第1センサ104及び第2センサ105のうちの一方が検出不能になったとしても、検出不能になった第1センサ104及び第2センサ105の主軸に対応した運動を検出することができる。第3センサ131及び第4センサ132についても同様である。
【0068】
次に、多軸慣性力センサ100の製造方法について説明する。まず、各ブロック102、103、129、130、電子部品117、及び各センサ104、105、131、132を用意する。そして、
図4に示されるように、嵌め込み板122を用いて、各ブロック102、103、129、130に電子部品117や各センサ104、105、131、132を実装する。
【0069】
続いて、
図11に示されたフローチャートに従って検査工程を行う。検査工程は、台座128を組み立てる前に、各ブロック102、103、129、130にそれぞれ配置された各センサ104、105、131、132それぞれの感度を検査する工程である。
【0070】
検査工程では、各ブロック102、103、129、130を3軸それぞれで回転させて主軸及び各他軸の感度測定を行う。これにより、主軸感度、他軸感度、スケールファクタ、感度の直線性、非直線性が分かる。
【0071】
各センサ104、105、131、132は、各ブロック102、103、129、130を突き当てて位置決めすることで軸直交性が確保される。そのため、各ブロック102、103、129、130の形状精度が軸直交性を決める。このように、軸直交性が各ブロック102、103、129、130の外形形状精度に依存するので、各センサ104、105、131、132の検査では、各ブロック102、103、129、130を回転させてジャイロセンサの特性を検査することが好ましい。
【0072】
そこで、各ブロック102、103、129、130を嵌め込むことができる溝を持ち、検査装置のターンテーブルに載り回転させることが可能な検査トレイを準備する。各ブロック102、103、129、130を搭載した検査トレイをターンテーブルで回転させることにより、各センサ104、105、131、132の検査を行うことができる。
【0073】
具体的には、ステップS200では、第1工程を行う。第1工程では、センサ104、105、131、132がそれぞれ配置された複数のブロック102、103、129、130を用意する。各センサ104、105、131、132として、主軸がZ軸に平行に配置されると共に、慣性力としてZ軸回りの角速度を検出する1軸のジャイロセンサとして構成されたものを用意する。
【0074】
複数のブロック102、103、129、130として、
図3に示された形状のものを用意する。また、複数のブロック102、103、129、130として、全て同じ形状であるものを用意する。
【0075】
なお、この段階では、複数のブロック102、103、129、130は、第1ブロック102や第2ブロック103のような区別は無い。単純に、センサ104、105、131、132等がブロック102、103、129、130に実装されたものを多数用意する。
【0076】
ステップS201では、第2工程を行う。第2工程では、検査トレイとして、
図12~
図14に示された第1他軸用トレイ210、第2他軸用トレイ211、及び主軸用トレイ212をそれぞれ用意する。各トレイ210~212は、例えば円板形状である。
【0077】
図12に示されるように、第1他軸用トレイ210は、複数の第1他軸用溝部213、配線ソケット214及び、ねじ孔215を有する。複数の第1他軸用溝部213は、X軸の感度に対応する。
図15に示されるように、複数の第1他軸用溝部213は、第1他軸用位置決め面216、抜き溝217、及び段付き溝218を有する。
【0078】
第1他軸用位置決め面216は、各ブロック102、103、129、130が接触する面である。また、第1他軸用位置決め面216は、第1他軸用溝部213の深さ方向に対応する第1他軸用トレイ210の厚み方向とセンサ104、105、131、132の第1他軸とが平行になるように位置決めするための面である。
【0079】
抜き溝217は、例えば、第1ブロック102の傾斜面107と側面110、111とで構成される角部が配置される空間部を構成する。第2~第4ブロック103、129、130も同様である。段付き溝218は、各傾斜面107、112、133、138の電子部品117や各センサ104、105、131、132が第1他軸用溝部213の壁面に接触しないようにするための空間部を構成する。
図12に示されるように、抜き溝217は、第1他軸用トレイ210の外縁部に達している。なお、抜き溝217の形状は一例であり、第1他軸用トレイ210の外縁部に達していなくても良い。ねじ孔215は、ねじ固定されるための孔である。
【0080】
図13に示されるように、第2他軸用トレイ211は、複数の第2他軸用溝部219、配線ソケット220、及びねじ孔221を有する。複数の第2他軸用溝部219は、Y軸の感度に対応する。
図16に示されるように、複数の第2他軸用溝部219は、第2他軸用位置決め面222及び抜き溝223を有する。
【0081】
第2他軸用位置決め面222は、各ブロック102、103、129、130が接触する面である。また、第2他軸用位置決め面222は、第2他軸用溝部219の深さ方向に対応する第2他軸用トレイ211の厚み方向とセンサ104、105、131、132の第2他軸とが平行になるように位置決めするための面である。
【0082】
抜き溝223は、例えば、第1ブロック102の傾斜面107と側面110、111とで構成される角部と、一方の側面110と他方の側面111とで構成される角部と、が配置される空間部を構成する。第2~第4ブロック103、129、130も同様である。ねじ孔221は、ねじ固定されるための孔である。
【0083】
図14に示されるように、主軸用トレイ212は、複数の主軸用溝部224、配線ソケット225、及びねじ孔226を有する。複数の主軸用溝部224は、Z軸の感度に対応する。
図17に示されるように、複数の主軸用溝部224は、主軸用位置決め面227及び抜き溝228を有する。
【0084】
主軸用位置決め面227は、各ブロック102、103、129、130が接触する面である。また、主軸用位置決め面227は、主軸用溝部224の深さ方向に対応する主軸用トレイ212の厚み方向とセンサ104、105、131、132の主軸とが平行になるように位置決めするための面である。
【0085】
抜き溝228は、第1ブロック102の各側面110、111で構成される角部が配置される空間部を構成する。
図14に示されるように、抜き溝228は、主軸用トレイ212の外縁部に達している。なお、抜き溝228の形状は一例であり、主軸用トレイ212の外縁部に達していなくても良い。ねじ孔226は、ねじ固定されるための孔である
各トレイ210~212は、各溝部213、219、224に対応してブロック102、103、129、130を固定すると共に、配線を引き出すためのアタッチメントである図示しない配線機構を有する。各配線機構から配線が引き出されていると共に、各配線ソケット214、220、225に電気的に接続される。
【0086】
各トレイ210~212は、金属製あるいは樹脂製である。各溝部213、219、224は、例えば機械加工によって形成される。各トレイ210~212が樹脂製の場合、各溝部213、219、224は樹脂成型によって形成されても良い。
【0087】
ステップS202及びステップS203では、第3工程を行う。第3工程では、各トレイ210~212のいずれかにブロック102、103、129、130を嵌め込む。
【0088】
ステップS202では、
図18に示されるように、複数のブロック102、103、129、130を第1他軸用トレイ210の各第1他軸用溝部213に嵌め込む。
図19に示されるように、複数のブロック102、103、129、130を各第1他軸用溝部213の第1他軸用位置決め面216に接触させる。これにより、第1他軸用トレイ210の厚み方向とセンサ104、105、131、132の第1他軸とを平行に配置する。
【0089】
ステップS203では、各第1他軸用溝部213に複数のブロック102、103、129、130を嵌め込んで位置決めした後、各ブロック102、103、129、130と各配線機構とを電気的に接続する。これにより、第1他軸用トレイ210と複数のブロック102、103、129、130を電気的に接続する。
【0090】
ステップS204では、第4工程を行う。第4工程では、
図20に示されるように、検査装置229を用意する。
【0091】
検査装置229は、回転軸230、ターンテーブル231、及び図示しない制御装置を備える。回転軸230は、一端側がターンテーブル231を支持する。回転軸230は、他端側が図示しない回転機構に収容される。回転機構は制御装置によって制御される。
【0092】
ターンテーブル231は、各トレイ210~212が搭載される円板状の土台である。各トレイ210~212は、ターンテーブル231の軸中心に配置されると共に、ねじ232で固定される。なお、
図20では、主軸用トレイ212がターンテーブル231に固定された様子を示している。
【0093】
また、ターンテーブル231は、配線接続部233を有する。配線接続部233は、検査配線234を介して各トレイ210~212の各配線ソケット214、220、225に接続される。これにより、各トレイ210~212とターンテーブル231とが電気的に接続される。
【0094】
配線接続部233は、検査装置229の制御装置に電気的に接続される。配線接続部233は、ターンテーブル231の内部及び回転軸230の内部を通って検査装置229の検査部に接続される。回転軸230の回転中は、スリップリングによって配線と検査部とが電気的に接続される。よって、検査用の配線がターンテーブル231の回転によって絡まることはない。なお、スリップリングではなく、無線通信を採用しても良い。
【0095】
そして、ターンテーブル231に第1他軸用トレイ210をねじ232によって設置する。これにより、ターンテーブル231の回転中心軸と第1他軸用トレイ210の厚み方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブル231の回転中心軸と各センサ104、105、131、132の第1他軸とを平行に配置する。
【0096】
ステップS205及びステップS206では、第5工程を行う。第5工程では、各センサ104、105、131、132の感度を検査する。
【0097】
ステップS205では、ターンテーブル231を回動あるいは揺動させることにより、3軸方向の特性測定を行う。回動は、一方向の回転と、逆方向の回転と、の両方を含む。これにより、多数個のセンサ104、105、131、132の主軸、第1他軸、及び第2他軸の感度、スケールファクタ、非直線性等を同時に検査する。
【0098】
なお、検査装置229が恒温槽の設備を備える場合、各センサ104、105、131、132に温度を与えた状態で各センサ104、105、131、132の特性を測定することができる。このため、感度の温度特性の評価等を行うことができる。
【0099】
ステップS206では、ターンテーブル231から第1他軸用トレイ210を外す。また、第1他軸用トレイ210の各第1他軸用溝部213から各ブロック102、103、129、130を外す。
【0100】
ステップS207では、3種類のトレイ210~212で測定を行ったか否かが判定される。3種類のトレイ210~212での測定が完了していない場合、ステップS202に戻る。第2他軸用トレイ211及び主軸用トレイ212の測定が完了していないので、ステップS202に戻る。
【0101】
ステップS202及びステップS203では、複数のブロック102、103、129、130を第2他軸用トレイ211の複数の第2他軸用溝部219に嵌め込む。また、
図21に示されるように、複数のブロック102、103、129、130を各第2他軸用溝部219の第2他軸用位置決め面222に接触させて、第2他軸用トレイ211の厚み方向とセンサ104、105、131、132の第2他軸とを平行に配置する。各ブロック102、103、129、130と第2他軸用トレイ211の各配線機構とを電気的に接続する。
【0102】
続いて、ステップS204では、ターンテーブル231に第2他軸用トレイ211を設置する。これにより、ターンテーブル231の回転中心軸と第2他軸用トレイ211の厚み方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブル231の回転中心軸と各センサ104、105、131、132の第2他軸とを平行に配置する。
【0103】
ステップS205及びステップS206では、ターンテーブル231を回動あるいは揺動させることにより、各センサ104、105、131、132の第2他軸の感度等を検査する。また、ターンテーブル231から第2他軸用トレイ211を外す。
【0104】
そして、ステップS207では、主軸用トレイ212の測定が完了していないので、再びステップS202に戻る。
【0105】
ステップS202及びステップS203では、複数のブロック102、103、129、130を主軸用トレイ212の各主軸用溝部224に嵌め込む。また、
図22に示されるように、複数のブロック102、103、129、130を各主軸用溝部224の主軸用位置決め面227に接触させることで、主軸用トレイ212の厚み方向とセンサ104、105、131、132の主軸とを平行に配置する。各ブロック102、103、129、130と主軸用トレイ212の各配線機構とを電気的に接続する。
【0106】
ステップS204では、ターンテーブル231に主軸用トレイ212を設置する。これにより、ターンテーブル231の回転中心軸と主軸用トレイ212の厚み方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブル231の回転中心軸と各センサ104、105、131、132の主軸とを平行に配置する。
【0107】
ステップS205及びステップS206では、ターンテーブル231を回動あるいは揺動させることにより、各センサ104、105、131、132の主軸の感度等を検査する。また、ターンテーブル231から主軸用トレイ212を外す。
【0108】
そして、ステップS207では、全てのトレイ210~212の測定が完了しているので、検査は終了する。
【0109】
以上のように、ステップS202及びステップS203の第3工程では、主軸用トレイ212、第1他軸用トレイ210、及び第2他軸用トレイ211のいずれかに各ブロック102、103、129、130を嵌め込む。また、ステップS204の第4工程では、主軸用トレイ212、第1他軸用トレイ210、及び第2他軸用トレイ211のうちの複数のブロック102、103、129、130が嵌め込まれたトレイをターンテーブル231に設置する。そして、ステップS205及びステップS206の第5工程では、ターンテーブル231に設置された検査トレイにおける各センサ104、105、131、132を検査する。
【0110】
このように、ステップS202からステップS206における第3工程、第4工程、及び第5工程を繰り返すことにより、各センサ104、105、131、132の主軸、第1他軸、及び第2他軸の感度等を検査する。
【0111】
検査工程の後、組み立て工程を行う。実装材101及び検査済みの各ブロック102、103、129、130を用意する。各ブロック102、103、129、130を実装材101の設置面106に配置する。また、各ブロック102、103、129、130を実装材101の設置面106のうちの基準点を基準とした点対称に配置すると共に、位置決め部127によって相対位置を決めた状態で台座128を組み立てる。こうして、多軸慣性力センサ100が完成する。
【0112】
以上説明したように、本実施形態では、台座128は各ブロック102、103、129、130が組み立てられて構成される。そして、各センサ104、105、131、132の相対位置の精度は、各ブロック102、103、129、130の位置決め部127によって確保されるので、各センサ104、105、131、132の軸直交性を高精度に規定することができる。したがって、各センサ104、105、131、132の主軸の直交性を確保することができる。
【0113】
また、台座128の状態で各センサ104、105、131、132の軸直交性は確保される。すなわち、各センサ104、105、131、132の軸直交性は各ブロック102、103、129、130の機械加工精度で保証される。このため、台座128を組み立てる前に各ブロック102、103、129、130の単位で各センサ104、105、131、132の感度の検査を行った後、台座128の状態で各センサ104、105、131、132の感度の検査を再度行う必要が無い。例えば、台座128を組み立てた後、マトリクス演算子の値に各ブロック102、103、129、130で得られた検査値を代入することでアルゴリズム調整が可能である。したがって、検査工程の工数を低減することができる。
【0114】
さらに、検査工程では、各ブロック102、103、129、130の単位で検査が可能である。このため、台座128に組み立てられた状態での検査が不要であると共に、台座128の単位で検査を行うための大型の装置も不要である。検査工程のコストだけでなく、装置のコストも低減できる。ひいては、低コストの多軸慣性力センサ100を提供することができる。
【0115】
変形例として、検査工程では、少なくとも各センサ104、105、131、132の主軸のみの感度等の検査を行っても良い。
【0116】
変形例として、各溝部213、219、224の形状は
図15~
図17に示された形状ではなく、他の形状でも構わない。1つの溝の形状で主軸、第1他軸、及び第2他軸の全ての軸の感度等を検査できるようにしても構わない。この場合、検査トレイは1つで済む。さらに、検査トレイは円板形状に限られず、矩形板等の他の形状でも構わない。
【0117】
変形例として、第1工程では、各センサ104、105、131、132として、1軸の加速度センサとして構成されたものを用意しても良い。1軸の加速度センサは、主軸がZ軸に平行に配置されると共に、慣性力としてZ軸方向の加速度を検出するように構成される。各ブロック102、103、129、130に対する各センサ104、105、131、132の実装は、
図4に示された方法と同じである。センサ104、105、131、132が4個の場合、3軸の加速度センサが構成される。上記と同様に、x軸、y軸、及びz軸の3軸の加速度を検知することができる。
【0118】
変形例として、
図23に示されるように、第1ブロック102の傾斜面107には、第1センサ104、外付部品119、外部配線120、及び引出部121が直接実装されていても良い。この場合、実装基板118は電子部品117に含まれない。第2~第4ブロック103、129、130についても同様である。各ブロック102、103、129、130は、熱可塑性樹脂の射出成型によって製造される。外部配線120や電極は、MID(Molded Interconnect Device)工法によって形成される。つまり、各ブロック102、103、129、130が実装基板118を兼ねる。
【0119】
変形例として、
図24に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107と一方の側面110とによって構成される角部の先端が面取りされた形状でも構わない。第2~第4ブロック103、129、130についても同様である。
【0120】
変形例として、
図25に示されるように、第1ブロック102は、傾斜面107と各側面110、111とによって構成される2箇所の角部の先端が面取りされた形状でも構わない。第2~第4ブロック103、129、130についても同様である。
【0121】
変形例として、
図26に示されるように、
図25に示された第1ブロック102の形状において、傾斜面107、一方の端面108、及び一方の側面110で構成される角部が面取りされた形状でも構わない。また、第1ブロック102は、傾斜面107、他方の端面109、及び一方の側面110で構成される角部が面取りされた形状でも構わない。第2~第4ブロック103、129、130についても同様である。
【0122】
(第2実施形態)
本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、
図27に示されたフローチャートに従って検査工程を行う。
【0123】
ステップS250では、ステップS200と同様に、第1工程を行う。すなわち、センサ104、105、131、132等が実装されたブロック102、103、129、130を複数用意する。
【0124】
ステップS251では、ステップS201と同様に、第2工程を行う。第2工程では、検査トレイとして、
図14に示された主軸用トレイ212を用意する。なお、検査トレイとして、第1他軸用トレイ210あるいは第2他軸用トレイ211を用意しても良い。
【0125】
ステップS252及びステップS253では、ステップS202及びステップS203と同様に、第3工程を行う。ステップS252では、複数のブロック102、103、129、130を主軸用トレイ212の各主軸用溝部224に嵌め込む。これにより、主軸用トレイ212の厚み方向とセンサ104、105、131、132の主軸とを平行に配置する。
【0126】
ステップS253では、各主軸用溝部224に複数のブロック102、103、129、130を嵌め込んで位置決めした後、各ブロック102、103、129、130と各配線機構とを電気的に接続する。これにより、主軸用トレイ212と複数のブロック102、103、129、130を電気的に接続する。
【0127】
ステップS254では、ステップS204と同様に、第4工程を行う。第4工程では、
図28に示されるように、検査装置229を用意すると共に、ターンテーブル231として、ジンバル機構235を有するものを用意する。
【0128】
ジンバル機構235は、1つの軸を中心として物体を回転させる回転台である。本実施形態に係るジンバル機構235は、2軸が直交するように構成される。ジンバル機構235は、テーブル236を有する。テーブル236は、2個の対向するx軸回り回転軸237によって支持されると共に、支持枠238に機械的に接続される。支持枠238は2個の対向するy軸回り回転軸239によって支持されると共に、支柱240に機械的に接続される。支柱240は、ターンテーブル231に固定される。
【0129】
そして、テーブル236に主軸用トレイ212をねじ固定する。これにより、ターンテーブル231の回転中心軸と主軸用トレイ212の厚み方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブル231の回転中心軸と複数のセンサ104、105、131、132の主軸とを平行に配置する。なお、第1実施形態と同様に、各ブロック102、103、129、130と各配線機構とを電気的に接続する。
【0130】
上記のターンテーブル231によるとテーブル236をx軸回り及びy軸回りに回転させることができる。また、主軸用トレイ212をx軸回り、y軸回りに90°回転させて位置決めすることができる。例えば、主軸用トレイ212をx軸回りに90°回転させて固定した状態でターンテーブル231を回転あるいは揺動させることができる。上記のターンテーブル231を用いることにより、主軸用トレイ212を変更することなくセンサ104、105、131、132を主軸、第1他軸、及び第2他軸の全ての方向に回転させることができる。このため、主軸用トレイ212を交換する煩わしさが無い。
【0131】
ステップS255では、ステップS205と同様に、第5工程を行う。ステップS205では、ターンテーブル231を回動あるいは揺動させることにより、多数個のセンサ104、105、131、132の主軸、第1他軸、及び第2他軸の感度、スケールファクタ、非直線性等を同時に検査する。
【0132】
ステップS256では、主軸用トレイ212の設置角度を変更する。ジンバル機構235のテーブル236をx軸回り回転軸237を使ってx軸回りに90°回転させる。これにより、例えば、ターンテーブル231の回転中心軸と主軸用トレイ212の厚み方向に対する直交方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブル231の回転中心軸と各センサ104、105、131、132の第1他軸とを平行に配置する。
【0133】
ステップS257では、ジンバル機構235におけるテーブル236の設置角度を2回変更したか否かが判定される。テーブル236の設置角度を2回変更していない場合、ステップS255に戻る。第1他軸及び第2他軸をメインとする測定が完了していないので、ステップS255に戻る。
【0134】
したがって、ステップS255からステップS257を繰り返す。これにより、ジンバル機構235によってターンテーブル231の回転中心軸と複数のセンサ104、105、131、132の第1他軸とを平行に配置した状態で、多数個のセンサ104、105、131、132の3軸の感度等を同時に検査する。
【0135】
また、ジンバル機構235のテーブル236を元に戻し、別の1軸について90°回転させる。テーブル236の設置角度の変更は2回目である。これにより、ターンテーブル231の回転中心軸と主軸用トレイ212の厚み方向に対する直交方向とを平行に配置すると共に、ターンテーブル231の回転中心軸と各センサ104、105、131、132の第2他軸とを平行に配置する。そして、ジンバル機構235によってターンテーブル231の回転中心軸と複数のセンサ104、105、131、132の第2他軸とを平行に配置した状態で、多数個のセンサ104、105、131、132の3軸の感度を同時に検査する。
【0136】
なお、ステップS255からステップS257を繰り返す際、主軸、第1他軸、及び第2他軸のうちのどの軸を最初にターンテーブル231の回転中心軸と平行に配置しても構わない。
【0137】
ステップS257で設置角度を2回変更したと判定された場合、ステップS258では、テーブル236から主軸用トレイ212を外す。また、主軸用トレイ212の各主軸用溝部224から各ブロック102、103、129、130を外す。
【0138】
検査工程の後、第1実施形態と同様に、組み立て工程を行う。こうして、多軸慣性力センサ100が完成する。
【0139】
以上説明したように、ジンバル機構235を適宜回転させてターンテーブル231を回転させることができる。これにより、1つの検査トレイを用いて主軸及び各他軸の3軸全てについて検査を行うことができる。
【0140】
変形例として、センサ104、105、131、132として加速度センサを用いても良い。この場合、テーブル236を回転させ、地球の重力を使って検査を行うことができる。
【0141】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1他軸用トレイ210、第2他軸用トレイ211、及び主軸用トレイ212が特許請求の範囲の「検査トレイ」に対応する。第1他軸用溝部213、第2他軸用溝部219、及び主軸用溝部224が特許請求の範囲の「溝部」に対応する。また、第1他軸用位置決め面216、第2他軸用位置決め面222、及び主軸用位置決め面227が特許請求の範囲の「位置決め面」に対応する。
【0142】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された多軸慣性力センサ100の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、各センサ104、105、131、132は、1軸センサではなく、複数軸のセンサとして構成されていても良い。
【0143】
また、多軸慣性力センサ100は2軸のジャイロセンサあるいは加速度センサとして構成されていても良い。この場合、台座128は第1ブロック102及び第2ブロック103によって構成される。
【0144】
各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138に配置されるセンサは1個に限られない。各ブロック102、103、129、130には、Z軸ジャイロセンサだけでなく、Z軸加速度センサを配置しても良い。これにより、6軸慣性力センサを構成することも可能である。
【0145】
第1ブロック102の各端面108、109は、直角二等辺三角形の形状でなくても良い。すなわち、第1ブロック102の傾斜面107は、実装材101の設置面106に対して45°の角度で傾斜していなくても良い。
【0146】
各ブロック102、103、129、130の各傾斜面107、112、133、138は、設置面106に対して傾斜していれば良い。したがって、各ブロック102、103、129、130は、各傾斜面107、112、133、138が設置面106に対して鋭角及び垂直に傾斜する場合だけでなく、鈍角に傾斜する形状でも構わない。つまり、各ブロック102、103、129、130は三角柱ではなく、台形状や任意の形状に形成されていても構わない。
【0147】
台座128を構成するブロックの数は、2個あるいは4個に限られず、2個以上であれば良い。台座128は、偶数個のブロックによって組み立てられる場合だけでなく、奇数個のブロックによって組み立てられても良い。
【0148】
台座128は、傾斜面の向きが同じ方向に向けられているブロックを含んでいても構わない。
【符号の説明】
【0149】
101 実装材、102、103、129、130 ブロック、104、105、131、132 センサ、106 設置面、107、112、133、138 傾斜面、127 位置決め部、128 台座、213、219、224 溝部、210~212 トレイ、216、222、227 位置決め面、229 検査装置、231 ターンテーブル、235 ジンバル機構