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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H02K9/19 B
H02K9/19 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020535776
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2019030835
(87)【国際公開番号】W WO2020031999
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2018148692
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018148693
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 康夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久嗣
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/030322(WO,A1)
【文献】特開2004-248402(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008390(WO,A1)
【文献】特開2017-085830(JP,A)
【文献】特開2008-186820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる中心軸に沿って配置されるモータシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを収容する収容部を有するハウジングと、
を備え、
前記収容部は、オイルが内部に貯留される部分であり、
前記ステータは、ステータコアを有し、
前記ハウジングは、前記ステータコアを径方向外側から支持する筒部を有し、
前記筒部は、
冷媒が流れる冷却流路と、
前記ステータを径方向外側から支持する筒状の第1筒部と、
前記第1筒部の径方向外側に位置する筒状の第2筒部と、を有し、
前記冷却流路は、前記ステータコアの径方向外側において、前記第1筒部と前記第2筒部との径方向の間され
前記ハウジングは、前記収容部内に突出するフィン部を有し、
前記フィン部は、前記筒部のうち下側の部分に設けられ、前記第1筒部および前記第2筒部の少なくとも一方に設けられる、モータ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記筒部の軸方向一方側の端部を塞ぐ蓋部を有し、
前記フィン部は、前記蓋部に向かって軸方向一方側に突出し、前記蓋部と軸方向に対向する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記蓋部には、第1油路が設けられ、
前記第1油路は、前記収容部内に開口する開口部を有し、
前記フィン部の少なくとも一部は、前記開口部に臨む、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ステータは、前記ステータコアに装着されるコイルを有し、
前記コイルは、前記ステータコアよりも軸方向一方側に突出するコイルエンドを有し、
前記フィン部は、前記筒部から前記コイルエンドよりも軸方向一方側に突出する、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
一方向に延びる中心軸に沿って配置されるモータシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを収容するとともにオイルを貯留可能な収容部を有するハウジングと、
前記モータシャフトを介して駆動されるポンプ部と、
を備え、
前記ハウジングは、
前記ステータを径方向外側から支持する筒部と、
前記筒部の軸方向一方側の端部を塞ぐ蓋部と、
を有し、
前記筒部は、冷媒が流れる冷却流路を有し、
前記ハウジングは、前記収容部内に突出するフィン部を有し、
前記ポンプ部は、
ポンプ室と、
前記収容部内から前記ポンプ室内にオイルを吸込可能な吸込口と、
前記ポンプ室内からオイルを吐出可能な吐出口と、
を有し、
前記蓋部は、前記収容部内と前記吸込口とを繋ぐ第1油路を有し、
前記モータシャフトは、
前記モータシャフトの内部に設けられ、前記吐出口と繋がる第2油路と、
前記第2油路と前記モータシャフトの外周面とを繋ぐ貫通孔と、
を有し、
前記フィン部は、前記蓋部に向かって軸方向一方側に突出し、前記蓋部と軸方向に対向する、モータ。
【請求項6】
前記第1油路は、前記収容部内に開口する開口部を有し、
前記フィン部の少なくとも一部は、前記開口部に臨む、請求項に記載のモータ。
【請求項7】
前記筒部は、
前記ステータを径方向外側から支持する筒状の第1筒部と、
前記第1筒部の径方向外側に位置する筒状の第2筒部と、
を有し、
前記冷却流路は、前記第1筒部と前記第2筒部との径方向の間に配置される、請求項5または6に記載のモータ。
【請求項8】
前記フィン部は、前記第1筒部および前記第2筒部の少なくとも一方に設けられる、請求項に記載のモータ。
【請求項9】
前記冷却流路は、周方向に延びる、請求項1からのいずれか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記冷却流路は、周方向において波形状に延びる、請求項に記載のモータ。
【請求項11】
前記冷却流路の少なくとも一部は、前記収容部内に収容されるオイルの油面よりも上側に位置する、請求項または10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。本願は、2018年08月07日に出願された日本国特許出願第2018-148692号および2018年08月07日に出願された日本国特許出願第2018-148693号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ステータおよびロータ等の潤滑および冷却のための潤滑用流体を貯留するケースを備える回転電機が知られる。例えば、特許文献1では、車両に搭載される回転電機が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-055728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような潤滑用流体は、例えば、ケースの外部に導出されて冷却される。しかし、この場合、ケースから外部に潤滑用流体を導出するための流路を設ける必要があり、回転電機の構造が複雑化する問題があった。また、ケースの気密性を確保するために、潤滑用流体を外部に導出する流路とケースとの接続部分を精度よく密封する必要があり、回転電機を製造する工数およびコストが増大する場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、簡単な構造で、ステータ、および、ハウジングに貯留されるオイルを好適に冷却できるモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、一方向に延びる中心軸に沿って配置されるモータシャフトを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、ロータおよびステータを収容するとともにオイルを貯留可能な収容部を有するハウジングと、を備える。ハウジングは、ステータを径方向外側から支持する筒部を有する。筒部は、冷媒が流れる冷却流路を有する。ハウジングは、収容部内に突出するフィン部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、モータにおいて、簡単な構造で、ステータ、および、ハウジングに貯留されるオイルを好適に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のモータを示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態のモータを示す図であって、図1におけるII-II断面図である。
図3図3は、本実施形態のポンプ部を軸方向他方側から視た図である。
図4図4は、本実施形態のウォータジャケットを軸方向一方側から視た図である。
図5図5は、本実施形態のウォータジャケットの一部を示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態のモータの一部を示す図であって、図2における部分拡大図である。
図7図7は、本実施形態の冷却流路を示す斜視図である。
図8図8は、本実施形態のモータが搭載された駆動装置を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図に示すZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする鉛直方向Zである。本実施形態では、鉛直方向Zは、各図の上下方向である。以下の説明においては、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。
【0010】
図1および図2に示すように、本実施形態のモータ1は、ハウジング10と、一方向に延びる中心軸J1に沿って配置されるモータシャフト20aを有するロータ20と、回転検出部80と、ステータ30と、ポンプ部40と、ベアリング70,71と、を備える。
【0011】
図2に示すように、中心軸J1は、図2の左右方向に延びる。すなわち、本実施形態においては、図2の左右方向が一方向に相当する。各図に示すY軸方向は、中心軸J1と平行な方向である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Y」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向R」と呼ぶ。軸方向Yは、鉛直方向Zと直交する方向である。また、軸方向Yのうち図2の左側、すなわちY軸方向の正の側を、「軸方向一方側」と呼び、軸方向Yのうち図2の右側、すなわちY軸方向の負の側を、「軸方向他方側」と呼ぶ。また、各図に示すX軸方向は、軸方向Yおよび鉛直方向Zの両方と直交する方向である。以下の説明においては、X軸方向と平行な方向を「幅方向X」と呼ぶ。
【0012】
ハウジング10は、本体部11と、蓋部13と、ウォータジャケット60と、板部材12と、を有する。本実施形態において本体部11と蓋部13とウォータジャケット60と板部材12とは、互いに別部材である。本体部11は、軸方向一方側に開口する有底の筒状である。本体部11は、底部11aと、第2筒部11bと、ベアリング保持部11cと、配線収容部11eと、を有する。底部11aは、径方向に拡がる円環板状である。
【0013】
第2筒部11bは、底部11aの径方向外縁部から軸方向一方側に延びる筒状である。本実施形態において第2筒部11bは、中心軸J1を中心とする円筒状である。第2筒部11bは、流路構成部11dを有する。流路構成部11dは、第2筒部11bの径方向内側面のうち後述する冷却流路90の内部に面する部分である。ベアリング保持部11cは、底部11aの径方向内縁部から軸方向一方側に突出する円筒状である。ベアリング保持部11cは、内周面にベアリング71を保持する。
【0014】
配線収容部11eは、第2筒部11bの上側部分に設けられる。配線収容部11eは、第2筒部11bの径方向外側面から上側に突出する。本実施形態において配線収容部11eは、軸方向一方側に開口する箱状である。配線収容部11eは、軸方向視において台形状である。本実施形態において本体部11の軸方向一方側の開口は、第2筒部11bの軸方向一方側の開口と、配線収容部11eの軸方向一方側の開口とによって構成される。配線収容部11eは、コネクタ壁部11fと、天壁部11gと、を有する。
【0015】
コネクタ壁部11fは、箱状の配線収容部11eを構成する壁部のうち軸方向他方側に位置する壁部である。コネクタ壁部11fには、複数のコネクタ100が設けられる。図1に示すように、複数のコネクタ100は、コネクタ壁部11fから軸方向他方側に突出する。複数のコネクタ100は、幅方向Xに沿って並んで配置される。コネクタ100は、例えば、3つ設けられる。天壁部11gは、箱状の配線収容部11eを構成する壁部のうち上側に位置する壁部である。図2に示すように、天壁部11gには、天壁部11gを鉛直方向Zに貫通する貫通孔11hが設けられる。貫通孔11hは、板部材12が天壁部11gにネジ等で固定されることで閉塞される。
【0016】
図2に示すように、蓋部13は、本体部11の軸方向一方側に取り付けられる。蓋部13は、本体部11の軸方向一方側の開口を塞ぐ。本体部11と蓋部13とが互いに固定されることで、本体部11と蓋部13とによって囲まれた収容部17が構成される。すなわち、ハウジング10は、収容部17を有する。収容部17は、ロータ20およびステータ30を収容するとともにオイルOを貯留可能である。オイルOは、収容部17の内部における鉛直方向下側領域に貯留される。本明細書において「収容部の内部における鉛直方向下側領域」とは、収容部17の内部における鉛直方向Zの中心よりも下側に位置する部分を含む。
【0017】
収容部17に貯留されるオイルOの液面OSは、ポンプ部40によってオイルOが吸い上げられることで変動するが、少なくともロータ20の回転時において、ロータ20よりも下側に配置される。これにより、ロータ20が回転する際に、オイルOがロータ20の回転抵抗となることを抑制できる。
【0018】
オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0019】
蓋部13は、側壁部13dと、外筒部13eと、ベアリング保持部13gと、栓体部14と、を有する。側壁部13dは、ステータ30の軸方向一方側に位置し、径方向に拡がる。側壁部13dは、ステータ30の軸方向一方側を覆う。すなわち、蓋部13は、ステータ30の軸方向一方側を覆う。側壁部13dには、側壁部13dの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む凹部13iが設けられる。凹部13iの底部には、凹部13iの底部を軸方向Yに貫通する第1貫通孔13jが設けられる。第1貫通孔13jは、後述するポンプ室46の内部とハウジング10の内部とを繋ぐ。外筒部13eは、側壁部13dの径方向外縁部から軸方向他方側に延びる筒状である。
【0020】
蓋部13には、ポンプ室46が設けられる。ポンプ室46は、側壁部13dに設けられた凹部13iが軸方向一方側から栓体部14によって塞がれることで構成される。栓体部14は、側壁部13dの軸方向一方側の面に、例えばネジで固定される。側壁部13dと栓体部14との軸方向の間には、円環状のシール14aが配置される。図示は省略するが、シール14aは、軸方向視において、凹部13iを囲む。これにより、ポンプ室46内のオイルOがハウジング10の外部に漏れることを抑制できる。ポンプ室46には、中心軸J1が通る。図3に示すように、軸方向視において、ポンプ室46の外形は、円形状である。ポンプ室46は、後述する内歯歯車43および外歯歯車42を収容する。
【0021】
ポンプ室46には、収容部17内からポンプ室46内にオイルO吸入可能な吸入口44と、ポンプ室46内からオイルOを吐出可能な吐出口45と、が設けられる。吸入口44および吐出口45は、例えば、円形状である。吸入口44は、吐出口45よりも下側に配置される。吸入口44は、中心軸J1よりも下側に配置される。吐出口45は、中心軸J1よりも上側に配置される。
【0022】
図示は省略するが、栓体部14は、凹部13i内に挿入される部分を有する。図3に示すように、栓体部14のうち凹部13i内に挿入された部分には、吐出口45からのオイルOが流入する接続油路13nが設けられる。接続油路13nは、接続口13pを介して後述する第2油路20bに接続される。接続口13pは、例えば、円形状である。
【0023】
図2に示すように、蓋部13は、第1油路13aを有する。本実施形態において第1油路13aは、側壁部13dに設けられる。より詳細には、第1油路13aは、側壁部13
dのうち下側部分に設けられる。第1油路13aは、鉛直方向延伸部13kと、軸方向延伸部13mと、を有する。
【0024】
鉛直方向延伸部13kは、側壁部13dの下側の端部から上側に延びる部分である。鉛直方向延伸部13kの上側の端部は、ポンプ室46の軸方向他方側において、ポンプ室46と繋がる。ポンプ室46における鉛直方向延伸部13kが繋がる部分は、吸入口44である。鉛直方向延伸部13kの下側の端部には、シールボルト13cが設けられる。シールボルト13cは、鉛直方向延伸部13kの下側の端部を閉塞し、シールする。これにより、収容部17内のオイルOがハウジング10の外部に漏れることを抑制できる。
【0025】
軸方向延伸部13mは、側壁部13dの軸方向他方側の面から軸方向一方側に延びて、鉛直方向延伸部13kに繋がる。軸方向延伸部13mの軸方向他方側の端部は、収容部17内に開口する開口部13hである。すなわち、第1油路13aは、開口部13hを有する。これにより、第1油路13aは、収容部17に露出して開口し、収容部17内と吸入口44とを繋ぐ。
【0026】
本実施形態において開口部13hは、収容部17内に貯留されるオイルOの液面OSよりも下側に位置する。これにより、開口部13hは、収容部17内に貯留されるオイルOに露出する。本実施形態では、ポンプ部40が駆動することで、収容部17内のオイルOが開口部13hから第1油路13a内に流入する。第1油路13a内に流入したオイルOは、ポンプ室46、接続油路13n、および後述する第2油路20bを介して、ロータ20およびステータ30に送られる。
【0027】
第1油路13a内には、ストレーナ13bが設けられる。本実施形態においてストレーナ13bは、鉛直方向延伸部13kのうち軸方向延伸部13mよりも上側に位置する部分の内部に設けられる。収容部17内から第1油路13aを通ってポンプ室46に送られるオイルOは、ストレーナ13bを通過する。ストレーナ13bによって、収容部17内からポンプ室46へと送られるオイルO内に含まれた異物を取り除くことができる。したがって、ポンプ室46に異物が侵入することを抑制できる。
【0028】
ベアリング保持部13gは、側壁部13dの径方向の中央部分に設けられる。ベアリング保持部13gは、内側にベアリング70を保持する。すなわち、蓋部13は、ベアリング70を保持する。ベアリング保持部13gの軸方向一方側にはポンプ室46が設けられる。
【0029】
図2図4、および図5に示すように、ウォータジャケット60は、全体として中心軸J1を囲む筒状の部材である。ウォータジャケット60は、ハウジング10の一部である。ウォータジャケット60の外周面は、本体部11の第2筒部11bの内周面と接する。ウォータジャケット60の内周面にはステータ30が固定される。
【0030】
ウォータジャケット60は、第1筒部61と、取付部62と、フィン部63と、を有する。すなわち、ハウジング10は、第1筒部61と、取付部62と、フィン部63と、を有する。図2に示すように、第1筒部61は、ステータ30を径方向外側から支持する。本実施形態において第1筒部61は、中心軸J1を中心とし、軸方向Yの両側に開口する円筒状である。第1筒部61は、第2筒部11bの径方向内側に位置する。第1筒部61の外周面は、ウォータジャケット60の外周面である。第1筒部61の外周面には、周方向Rに延びる溝61aが設けられる。図示は省略するが、溝61aは、軸方向視において、C字形状である。溝61aは、後述する冷却流路90を構成する。
【0031】
本実施形態においては、ウォータジャケット60の第1筒部61と本体部11の第2筒
部11bとが径方向に重ねられて、ステータ30を径方向外側から支持する筒部10aが構成される。すなわち、本実施形態においてハウジング10は、第1筒部61、および第1筒部61の径方向外側に位置する第2筒部11bを有する筒部10aを有する。筒部10aは、軸方向一方側に開口する筒状である。筒部10aの軸方向一方側の開口は、蓋部13によって塞がれる。筒部10aは、収容部17の一部を構成する。
【0032】
取付部62は、第1筒部61の軸方向一方側の端部から径方向外側に広がるフランジ状である。図4に示すように、取付部62は、中心軸J1を囲む。取付部62は、上側に台形状に突出する突出部62aを有する。突出部62aは、取付部62のうち上側に位置する部分である。突出部62aには、突出部62aを軸方向Yに貫通する孔部62cが設けられる。図2に示すように、孔部62cは、配線収容部11eの軸方向一方側の開口と対向する。取付部62は、本体部11の開口縁部と蓋部13の開口縁部とに軸方向Yに挟まれる。
【0033】
図4に示すように、取付部62には、周方向Rに間隔を置いて複数の取付孔62bが設けられる。取付孔62bは、取付部62を軸方向Yに貫通する。取付孔62bのそれぞれには、軸方向一方側からビスが通される。取付孔62bに通されるビスは、蓋部13に設けられたフランジ部を貫通し、本体部11の開口縁部に締め込まれる。これにより、ウォータジャケット60と蓋部13とが本体部11に対してビスで共締めされて固定される。
【0034】
図5に示すように、フィン部63は、第1筒部61の軸方向一方側の端部から軸方向一方側に突出する。図2に示すように、フィン部63は、蓋部13に向かって軸方向一方側に突出し、蓋部13と軸方向Yに対向する。図5に示すように、本実施形態においてフィン部63は、中心軸J1を中心とする周方向Rに沿って複数設けられる。フィン部63は、例えば、板面が周方向Rを向く略矩形板状である。
【0035】
本実施形態において複数のフィン部63は、第1筒部61のうち下側の部分に設けられる。複数のフィン部63は、中心軸J1よりも下側に位置する。複数のフィン部63は、例えば、円筒状の第1筒部61の最下端を通る円弧状に沿って等間隔に並んで配置される。複数のフィン部63のうち最も周方向一方側に位置するフィン部63と最も周方向他方側に位置するフィン部63とは、例えば、鉛直方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0036】
図2に示すように、フィン部63は、収容部17内に突出する。フィン部63は、収容部17内に貯留されるオイルOの液面OSよりも下側に位置する。すなわち、フィン部63は、収容部17内に貯留されるオイルOに浸漬される。フィン部63は、ステータ30の後述するコイルエンド32aよりも軸方向一方側に突出する。フィン部63の軸方向一方側の端部と蓋部13との間の軸方向Yの距離は、コイルエンド32aと蓋部13との間の軸方向Yの距離よりも短い。
【0037】
本実施形態においてフィン部63の少なくとも一部は、開口部13hに臨む。なお、本明細書において「フィン部の少なくとも一部が開口部に臨む」とは、少なくとも1つのフィン部の少なくとも一部が開口部に臨んでいればよい。本実施形態では、複数のフィン部63のうち、第1筒部61の下側の端部に設けられた数本のフィン部63の一部が、開口部13hに臨む。
【0038】
ロータ20は、モータシャフト20aと、ロータコア22と、マグネット23と、第1エンドプレート24と、第2エンドプレート25と、を有する。モータシャフト20aは、モータシャフト本体21と、取付部材50と、を有する。モータシャフト本体21には、ロータコア22が取り付けられる。モータシャフト本体21のうちロータコア22が取り付けられる部分は、大径部21aである。
【0039】
モータシャフト本体21の軸方向一方側の端部は、ベアリング70に回転可能に支持される。また、モータシャフト本体21のうちロータコア22よりも軸方向他方側に位置する部分は、ベアリング71に回転可能に支持される。したがって、ベアリング70,71は、モータシャフト20aを回転可能に支持する。ベアリング70,71は、例えば、ボールベアリングである。モータシャフト本体21の軸方向他方側の端部は、底部11aを軸方向Yに貫通してハウジング10の外部に突出する出力軸部21bである。出力軸部21bの外径は、大径部21aの外径よりも小さい。
【0040】
モータシャフト本体21は、フランジ部21fを有する。フランジ部21fは、モータシャフト本体21のうちロータコア22よりも軸方向他方側に位置する部分に設けられる。フランジ部21fは、モータシャフト本体21のうちロータコア22が固定されている大径部21aよりも径方向外側に突出する。フランジ部21fは、円環板状である。モータシャフト本体21は、モータシャフト本体21の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に延びる穴部21gを有する。穴部21gは、軸方向一方側に開口する有底の穴である。すなわち、穴部21gの軸方向他方側の端部は、閉塞される。
【0041】
取付部材50は、モータシャフト本体21の軸方向一方側に固定される。取付部材50は、穴部21gに嵌め合わされて固定される。取付部材50は、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態において取付部材50は、中心軸J1と中心とする円筒状である。取付部材50は、モータシャフト本体21よりも軸方向一方側に延びて、第1貫通孔13jに通される。
【0042】
取付部材50は、嵌合部51と、固定部52と、を有する。嵌合部51は、穴部21gに嵌め合わされる部分である。嵌合部51は、穴部21gの軸方向一方側の端部の内周面に固定され、穴部21g内からモータシャフト本体21よりも軸方向一方側まで延びる。嵌合部51の軸方向一方側の端部は、第1貫通孔13jに挿入される。すなわち、嵌合部51の少なくとも一部は、第1貫通孔13jに挿入される。そのため、取付部材50の外周面と第1貫通孔13jの内周面との径方向の隙間を大きくできる。これにより、振動等によって取付部材50の位置が径方向にずれた場合であっても、取付部材50が第1貫通孔13jの内周面と接触することを抑制できる。
【0043】
固定部52は、嵌合部51の軸方向一方側に位置する。固定部52は、嵌合部51の軸方向一方側の端部に繋がる。固定部52の外径は、嵌合部51の外径よりも大きく、第1貫通孔13jの内径よりも小さい。固定部52は、ポンプ室46内に挿入される。嵌合部51の内径と固定部52の内径とは、例えば、同じである。
【0044】
取付部材50には、後述する外歯歯車42が固定される。本実施形態では、外歯歯車42は、固定部52の径方向外側面に固定される。より詳細には、図3に示すように、外歯歯車42を軸方向Yに貫通する固定孔部42bに、固定部52が嵌め合わされて固定される。このように、本実施形態によれば、固定部52より外径が小さい嵌合部51を穴部21gに嵌め合わせ、嵌合部51よりも外径が大きい固定部52に外歯歯車42を固定する。そのため、穴部21gの内径を外歯歯車42の固定孔部42bの内径よりも小さくできる。これにより、穴部21gの内径を比較的小さくしやすく、モータシャフト20aの剛性が低下することを抑制できる。
【0045】
図2に示すように、モータシャフト20aは、モータシャフト20aの内部に設けられる第2油路20bを有する。第2油路20bは、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪んで延びる有底の穴部である。第2油路20bは、軸方向一方側に開口する。第2油路20bは、取付部材50の軸方向一方側の端部から軸方向他方側
の端部側に延びて設けられる。第2油路20bは、取付部材50の内部と穴部21gとが軸方向Yに繋がって構成される。すなわち、取付部材50の径方向内側面は、第2油路20bの径方向内側面の一部を構成する。
【0046】
本実施形態において軸方向Yと直交する断面において第2油路20bの内縁は、中心軸J1を中心とする円形状である。第2油路20bにおける取付部材50に設けられる部分の内径は、第2油路20bにおけるモータシャフト20aに設けられる部分の内径よりも小さい。すなわち、取付部材50の内径は、穴部21gの内径よりも小さい。取付部材50の軸方向一方側の開口が接続口13pと繋がることで、第2油路20bは、接続油路13nと繋がる。すなわち、第2油路20bは、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部において接続油路13nに開口する。第2油路20bは、接続油路13nを介して吐出口45と繋がる。
【0047】
モータシャフト20aは、第2油路20bとモータシャフト20aの外周面とを繋ぐ第2貫通孔26a~26dを有する。第2貫通孔26a~26dは、径方向に延びる。第2貫通孔26a,26bは、大径部21aに設けられる。第2貫通孔26a,26bは、軸方向Yにおいて、第1エンドプレート24および第2エンドプレート25を固定するナット27とフランジ部21fとの間に配置される。第2貫通孔26aの径方向外側の端部は、第1エンドプレート24とロータコア22との軸方向Yの隙間に開口する。第2貫通孔26bの径方向外側の端部は、第2エンドプレート25とロータコア22との軸方向Yの隙間に開口する。
【0048】
第2貫通孔26cの径方向外側の端部は、モータシャフト20aのうちベアリング70と後述する被検出部81との軸方向Yの間に位置する部分の径方向外側面に開口する。第2貫通孔26dの径方向外側の端部は、ベアリング71の軸方向他方側においてベアリング保持部11cの径方向内側に開口する。第2貫通孔26a~26dは、例えば、それぞれ周方向Rに沿って複数設けられる。なお、第2貫通孔26cは、ベアリング70の軸方向一方側においてベアリング保持部13gの径方向内側に開口してもよい。
【0049】
ロータコア22は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。ロータコア22は、ロータコア22を軸方向Yに貫通するマグネット挿入孔22aを有する。マグネット挿入孔22aは、例えば、周方向Rに沿って複数設けられる。複数のマグネット挿入孔22aには、マグネット23がそれぞれ挿入される。マグネット23は、例えば、接着剤等によりロータコア22に接着される。なお、マグネット23の固定方法は接着に限られない。
【0050】
第1エンドプレート24および第2エンドプレート25は、径方向に拡がる円環板状である。第1エンドプレート24および第2エンドプレート25には、モータシャフト20aが通される。第1エンドプレート24と第2エンドプレート25とは、ロータコア22と接触した状態で、ロータコア22を軸方向Yに挟む。第1エンドプレート24は、ロータコア22の軸方向一方側に配置される。第1エンドプレート24は、図示しない噴出溝を有する。第2エンドプレート25は、ロータコア22の軸方向他方側に配置される。第2エンドプレート25は、噴出溝を有する。第1エンドプレート24および第2エンドプレート25にそれぞれ設けられた噴出溝は、径方向に延びる。
【0051】
第1エンドプレート24とロータコア22と第2エンドプレート25とは、ナット27とフランジ部21fとによって軸方向Yに挟持される。ナット27がモータシャフト20aの外周面に設けられた雄ネジ部に締め込まれることで、ナット27が第1エンドプレート24とロータコア22と第2エンドプレート25とをフランジ部21fに押し付ける。これにより、第1エンドプレート24とロータコア22と第2エンドプレート25とは、
モータシャフト20aに固定される。
【0052】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31に装着される複数のコイル32と、を有する。ステータコア31は、中心軸J1を中心とした円環状である。ステータコア31の径方向外側面は、ウォータジャケット60の内周面に固定される。ステータコア31は、ロータコア22の径方向外側に隙間を介して対向する。
【0053】
本実施形態においてステータ30の径方向外側面は、ステータコア31の径方向外側面に相当する。ステータコア31の径方向外側面は、ウォータジャケット60の第1筒部61の内周面と接触する。より具体的には、ステータコア31は、ウォータジャケット60に対して、例えば、圧入または焼き嵌めにて固定される。
【0054】
コイル32は、ステータコア31に巻回される。コイル32の軸方向一方向側の端部は、コイルエンド32aであり、ステータコア31の軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に突出する。すなわち、コイル32は、ステータコア31よりも軸方向一方側に突出するコイルエンド32aを有する。また、コイル32の軸方向他方側の端部は、コイルエンド32bであり、ステータコア31の軸方向他方側の端部よりも軸方向他方側に突出する。
【0055】
コイルエンド32aに隣接する位置には、導電性のバスバ101およびバスバホルダ33が配置される。バスバ101は、バスバホルダ33に保持され、コイルエンド32aに隣接する位置から、ケーブル接続部102に隣接する位置に亘って設けられる。バスバ101は、バスバ101の一端にコイル32の端部が接続され、バスバ101の他端にケーブル接続部102が接続されることにより、コイル32とケーブル接続部102とを導通する。ケーブル接続部102は、配線収容部11e内に配置される。図示は省略するが、ケーブル接続部102は、コネクタ100と接続される。コネクタ100には図示しない電源から電力が供給される。これにより、コネクタ100からケーブル接続部102およびバスバ101を介して、コイル32に電力が供給される。
【0056】
図2に示す回転検出部80は、ロータ20の回転を検出する。本実施形態において回転検出部80は、例えば、VR(Variable Reluctance)型レゾルバである。回転検出部80は、外筒部13eの径方向内側に配置される。回転検出部80は、被検出部81と、センサ部82と、を有する。被検出部81は、周方向Rに延びる環状である。被検出部81は、モータシャフト20aに嵌め合わされて固定される。被検出部81は、磁性体製である。
【0057】
センサ部82は、ロータコア22と蓋部13との軸方向Yの間に配置される。センサ部82は、被検出部81の径方向外側を囲む環状である。センサ部82は、周方向Rに沿って複数のコイルを有する。モータシャフト20aとともに被検出部81が回転することによって、センサ部82のコイルには、被検出部81の周方向位置に応じた誘起電圧が生じる。センサ部82は、誘起電圧を検出することで、被検出部81の回転を検出する。これにより、回転検出部80は、モータシャフト20aの回転を検出して、ロータ20の回転を検出する。
【0058】
ポンプ部40は、蓋部13の中央部に設けられる。ポンプ部40は、モータシャフト20aの軸方向一方側に配置される。本実施形態におけるポンプ部40は、いわゆる機械式オイルポンプである。ポンプ部40は、外歯歯車42と、内歯歯車43と、上述したポンプ室46と、吸入口44と、吐出口45と、貯留部48と、を有する。外歯歯車42は、中心軸J1周りに回転可能な歯車である。外歯歯車42は、モータシャフト20aの軸方
向一方側の端部に固定される。外歯歯車42は、ポンプ室46内に収容される。図3に示すように、外歯歯車42は、外周面に複数の歯部42aを有する。外歯歯車42の歯部42aの歯形は、トロコイド歯形である。
【0059】
内歯歯車43は、中心軸J1に対して偏心する回転軸J2周りに回転可能な円環状の歯車である。内歯歯車43は、ポンプ室46内に収容される。内歯歯車43は、外歯歯車42の径方向外側を囲み、外歯歯車42と噛み合う。内歯歯車43は、内周面に複数の歯部43aを有する。内歯歯車43の歯部43aの歯形は、トロコイド歯形である。このように、外歯歯車42の歯部42aの歯形および内歯歯車43の歯部43aの歯形がトロコイド歯形であるため、トロコイドポンプを構成することができる。したがって、ポンプ部40から生じる騒音を低減でき、ポンプ部40から吐出されるオイルOの圧力および量を安定させやすい。
【0060】
本実施形態では、凹部13iの軸方向一方側の開口から内歯歯車43および外歯歯車42を挿入した後に、栓体部14によって凹部13iの軸方向一方側の開口を閉塞することで、ポンプ室46を構成することができるとともに、内歯歯車43および外歯歯車42をポンプ室46に収容できる。そのため、ポンプ部40の組み立てを容易にできる。
【0061】
上述したように吸入口44は、第1油路13aと繋がる。図6に示すように、吸入口44は、ポンプ室46の軸方向他方側に開口する。吸入口44は、外歯歯車42と内歯歯車43との隙間と繋がる。吸入口44は、開口部13hから第1油路13aを介して、収容部17に貯留されるオイルOを、ポンプ室46内、より詳細には外歯歯車42と内歯歯車43との隙間内に吸入可能である。図3に示すように、吸入口44は、貯留部48の下側の端部よりも上側、かつ、外歯歯車42の下側の端部よりも上側に配置される。
【0062】
上述したように吐出口45は、接続油路13nを介して第2油路20bと繋がる。図6に示すように、吐出口45は、ポンプ室46の軸方向一方側に開口する。吐出口45は、外歯歯車42と内歯歯車43との隙間と繋がる。吐出口45は、ポンプ室46内、より詳細には外歯歯車42と内歯歯車43との隙間内からオイルOを吐出可能である。
【0063】
貯留部48は、ポンプ室46の鉛直方向下側領域の軸方向一方側においてポンプ室46と繋がる。図3に示すように、軸方向視において貯留部48の形状は、下側に凸となる弓形状である。貯留部48には、吸入口44からポンプ室46内に吸入されたオイルOの一部が流入する。
【0064】
吸入口44は、貯留部48の下側の端部よりも上側に配置されるため、ポンプ部40が停止しても、貯留部48に流入したオイルOの少なくとも一部は、吸入口44から収容部17内に戻らずに、貯留部48内に貯留される。これにより、ポンプ部40が停止している際に、ポンプ室46内の外歯歯車42の下側の部分および内歯歯車43の下側の部分を貯留部48内のオイルOと接触した状態にすることができる。したがって、ポンプ部40を再度駆動した際に、外歯歯車42の歯部42aと内歯歯車43の歯部43aとの間、およびポンプ室46の内周面と内歯歯車43の外周面との間にオイルOを介在させることができ、焼き付きが生じることを抑制できる。
【0065】
ロータ20が回転してモータシャフト20aが回転すると、モータシャフト20aに固定された外歯歯車42が回転する。これにより、外歯歯車42と噛み合う内歯歯車43が回転して、吸入口44からポンプ室46内に吸入されるオイルOが、外歯歯車42と内歯歯車43との間を介して、吐出口45へと送られる。このようにして、ポンプ部40は、モータシャフト20aを介して駆動される。吐出口45から吐出されたオイルOは、接続油路13nに流入し、接続口13pから第2油路20bへと流入する。図6に矢印で示す
ように、第2油路20bに流入したオイルOは、回転するモータシャフト20aの遠心力によって、径方向外側に力を受け、第2貫通孔26a~26dを通ってモータシャフト20aの外部へと流出する。
【0066】
本実施形態では、第2貫通孔26a,26bは第1エンドプレート24とロータコア22との隙間と、第2エンドプレート25とロータコア22との隙間とのそれぞれに向かって開口するため、第2貫通孔26a,26bから流出したオイルOはそれぞれ各エンドプレートに設けられた図示しない噴出溝から径方向外側に向けて噴出される。
【0067】
噴出溝から径方向外側に噴出されたオイルOは、コイル32に吹き付けられる。これにより、オイルOによってコイル32を冷却することができる。本実施形態では、第2油路20bは、モータシャフト20aの内部に設けられるため、噴出溝から噴出されるまでのオイルOによって、ロータ20を冷却することもできる。このように、本実施形態において吐出口45から吐出されるオイルOは、ロータ20とステータ30とに導かれる。
【0068】
第2貫通孔26c,26dはそれぞれベアリング70,71の近傍において径方向内側に開口するため、第2貫通孔26c,26dから流出したオイルOは、ベアリング70,71にそれぞれ供給される。これにより、オイルOをベアリング70,71の潤滑剤として利用できる。
【0069】
以上のようにして、モータシャフト20aの回転によってポンプ部40を駆動することができ、ポンプ部40によってハウジング10に貯留されるオイルOを吸い上げてロータ20、ステータ30およびベアリング70,71に供給することができる。すなわち、ポンプ部40は、収容部17に収容されたオイルOをステータ30およびロータ20の少なくとも一方に送る。これにより、ハウジング10に貯留されるオイルOを利用して、ロータ20およびステータ30を冷却することができるとともに、ベアリング70,71とモータシャフト本体21との間の潤滑性を向上できる。
【0070】
このように本実施形態によれば、接続油路13nおよび第2油路20bが設けられることで、吐出口45から吐出されたオイルOをモータシャフト20aの内部に送ることができる。また、第2貫通孔26a~26dが設けられるため、第2油路20b内に流入したオイルOをステータ30およびベアリング70,71に供給することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、モータシャフト20a内に設けられた第2油路20bは、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部において、吐出口45と繋がる接続油路13nに開口する。モータシャフト20aの軸方向一方側の端部には、外歯歯車42が固定されるため、モータシャフト20aの軸方向一方側の端部は、吐出口45と比較的近い位置に配置される。したがって、吐出口45と第2油路20bとを繋ぐ接続油路13nの長さを短くできる。そのため、本実施形態によれば、開口部13hから第2油路20bまでの油路の全長を短くしやすい。これにより、モータシャフト20aの内部に設けられる第2油路20bへとオイルOを送りやすい。また、モータ1の構造を簡単化しやすく、モータ1の製造を容易にできる。
【0072】
ステータ30およびベアリング70,71に供給されたオイルOは、収容部17内を落下して、再び収容部17の下側の領域に貯留される。これにより、ポンプ部40によって収容部17内のオイルOを循環させることができる。
【0073】
モータ1には、冷媒が流れる冷却流路90がさらに設けられる。冷却流路90は、筒部10aに設けられる。すなわち、ステータ30を径方向外側から支持する筒部10aは、冷媒が流れる冷却流路90を有する。ここで、上述したように、ステータ30が収容され
る収容部17の内部には、オイルOが貯留される。そのため、筒部10aに設けられた冷却流路90に冷媒を流すことで、収容部17に貯留されたオイルOを冷却することができる。これにより、オイルOをハウジング10の外部に導出することなく冷却することができる。したがって、オイルOをハウジング10の外部に導出するための油路等をハウジング10に設ける必要がなく、モータ1の構造が複雑化することを抑制できる。また、ハウジング10の外部にオイルOを導出する必要がないため、ハウジング10を密封しやすい。
【0074】
このように、本実施形態によれば、簡単な構造で、ハウジング10に貯留されるオイルOを好適に冷却できるモータ1が得られる。これにより、上述したようにポンプ部40によってオイルOをステータ30およびロータ20等に供給することで、好適に冷却されたオイルOによってステータ30およびロータ20等を好適に冷却することができる。冷却流路90を流れる冷媒は、オイルOを冷却できる流体ならば、特に限定されない。冷媒は、水であってもよいし、水以外の液体であってもよいし、気体であってもよい。
【0075】
また、本実施形態によれば、冷却流路90がステータ30を径方向外側から支持する筒部10aに設けられる。そのため、冷却流路90を流れる冷媒により、ステータ30を直接的に冷却できる。また、オイルOはハウジング10に貯留されるため、オイルOをハウジング10内において循環させることで、ロータ20も冷却しやすい。また、図2に示すように、貯留されるオイルOにステータ30の一部を浸けることができるため、ステータ30をより冷却しやすい。特に、貯留されるオイルOに、発熱体であるコイル32の一部を浸けて冷却できるため、ステータ30を好適に冷却できる。
【0076】
また、本実施形態では、軸方向Yは、鉛直方向Zと直交する。そのため、例えば軸方向Yが鉛直方向Zと平行である場合に比べて、貯留されるオイルOに浸かるステータ30の部分を大きくしやすく、ステータ30を冷却しやすい。また、オイルOの液面OSを、少なくともロータ20の回転時において、ロータ20よりも下側に配置しやすく、ロータ20が回転する際に、オイルOがロータ20の回転抵抗となることを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、ハウジング10は、収容部17内に突出するフィン部63を有する。そのため、フィン部63を収容部17内に貯留されるオイルOに接触させることが可能である。これにより、ハウジング10とオイルOとの接触面積を大きくすることができる。したがって、フィン部63を介して、オイルOの熱をハウジング10に移動させやすく、オイルOを冷却しやすい。特に本実施形態では、ハウジング10の筒部10aに冷却流路90が設けられるため、フィン部63を介してオイルOからハウジング10に移動した熱を、冷却流路90を流れる冷媒に移動させやすい。したがって、より効率的にオイルOを冷却できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、フィン部63は、筒部10aを構成する第1筒部61に設けられる。そのため、フィン部63を介してハウジング10に移動された熱を、筒部10aに設けられた冷却流路90を流れる冷媒に移動させやすい。これにより、フィン部63を介してオイルOをより効率的に冷却できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、複数のフィン部63は、筒部10aのうち下側の部分に設けられる。そのため、フィン部63を、オイルOの液面OSよりも下側に配置しやすく、フィン部63をオイルOと接触させやすい。これにより、フィン部63を介して、オイルOをより好適に冷却できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、フィン部63は、蓋部13に向かって軸方向一方側に突出し、蓋部13と軸方向に対向する。そのため、蓋部13に設けられた第1油路13aに向
かう収容部17内のオイルOをフィン部63に接触させやすい。これにより、第1油路13aに向かうオイルOを好適に冷却することができる。したがって、第1油路13aを通ってハウジング10内に噴出されるオイルOの温度を好適に低くでき、モータ1全体を効率よく冷却することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、フィン部63の少なくとも一部は、第1油路13aの開口部13hに臨んでいる。そのため、第1油路13aに向かうオイルOをより好適にフィン部63に接触させることができる。これにより、開口部13hから第1油路13a内に流入されるオイルOをより効率よく冷却することができる。したがって、第1油路13aを通ってハウジング10内に噴出されるオイルOの温度を好適に低くでき、モータ1全体をより効率よく冷却することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、フィン部63は、筒部10aからステータ30のコイルエンド32aよりも軸方向一方側に突出する。そのため、フィン部63の軸方向Yの長さを大きくしやすく、フィン部63とオイルOとの接触面積を大きくしやすい。これにより、オイルOの熱をハウジング10に効率よく移動させることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、フィン部63の軸方向一方側の端部と蓋部13との間の軸方向Yの距離は、コイルエンド32aと蓋部13との間の軸方向Yの距離よりも短い。このように構成することで、フィン部63の軸方向Yの長さを大きくしやすく、フィン部63とオイルOとの接触面積を大きくしやすい。したがって、オイルOの熱をハウジング10に効率よく移動させることができる。
【0084】
本実施形態において冷却流路90は、第1筒部61と第2筒部11bとの径方向の間に配置される。そのため、2つの筒状の部材を組み合わせることで、容易に冷却流路90を構成できる。本実施形態において冷却流路90は、第1筒部61の外周面に設けられた溝61aの径方向外側の開口が第2筒部11bの流路構成部11dによって塞がれることで構成される。
【0085】
図7に示すように、冷却流路90は、周方向Rに延びる。そのため、冷却流路90によってステータ30の周りを囲みやすく、冷却流路90を流れる冷媒によってステータ30をより好適に冷却できる。本実施形態において冷却流路90は、周方向Rにおいて波形状に延びる。これにより、冷却流路90を流れる冷媒を軸方向Yに移動させつつ周方向Rに流すことができ、ステータ30およびオイルOをより好適に冷却することができる。また、冷却流路90の少なくとも一部は、収容部17内に収容されるオイルOの液面OSよりも上側に位置する。そのため、冷却流路90を流れる冷媒によって、ステータ30のうち収容部17内においてオイルOに浸漬していない部分を冷却することができる。
【0086】
冷却流路90は、軸方向Yに延びる複数の第1流路部91a,91b,91c,91d,91e,91fと、ステータ30の周方向Rに延びる複数の第2流路部92a,92b,92c,92d,92eと、を有する。複数の第1流路部91a~91fは、周方向Rに沿って並んで配置される。複数の第1流路部91a,91b,91c,91d,91e,91fは、第1流路部91aを起点とする周方向一方側から周方向他方側に向かってこの順に並ぶ。第1流路部91aの軸方向一方側の端部は、第1流路部91b~91fの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に配置される。第1流路部91a~91fの軸方向他方側の端部は、軸方向Yにおいて同じ位置に配置される。
【0087】
第2流路部92aは、第1流路部91aの軸方向他方側の端部と第1流路部91bの軸方向他方側の端部とを繋ぐ。第2流路部92bは、第1流路部91bの軸方向一方側の端部と第1流路部91cの軸方向一方側の端部とを繋ぐ。第2流路部92cは、第1流路部
91cの軸方向他方側の端部と第1流路部91dの軸方向他方側の端部とを繋ぐ。第2流路部92dは、第1流路部91dの軸方向一方側の端部と第1流路部91eの軸方向一方側の端部とを繋ぐ。第2流路部92eは、第1流路部91eの軸方向他方側の端部と第1流路部91fの軸方向他方側の端部とを繋ぐ。
【0088】
以上のように、複数の第1流路部91a~91fは、互いに繋がる。そのため、第1流路部91a~91fの内部において冷媒を軸方向Yに流しながら、冷却流路90を波形状に構成することができる。複数の第2流路部92a~92eはステータ30の径方向外側に沿って周方向Rに延びる。これにより、冷却流路90を流れる冷媒によって、ステータ30およびオイルOをより好適に冷却することができる。なお、周方向Rに隣り合う第1流路部91a~91f同士において、内部を流れる冷媒の向きは、互いに逆向きである。
【0089】
図2に示すように、冷却流路90は、鉛直方向Zに沿って視て、ステータ30およびロータ20と重なる。冷却流路90の軸方向一方側の端部、および、冷却流路90の軸方向他方側の端部は、鉛直方向Zに沿って視て、ステータコア31と重なる。
【0090】
本実施形態において冷却流路90は、ステータ30のステータコア31の径方向外側において周方向Rに沿って延びる。また、ステータコア31の径方向外側の略全周がウォータジャケット60に接触する。これにより、冷却流路90を流れる冷媒によってステータコア31をより効率的に冷却することができる。また、例えばステータコアの内部に冷却流路を作る場合に比べて、冷却流路90の作製が容易である。
【0091】
図7に示すように、冷却流路90は、流入流路93aと、流出流路93bと、を有する。流入流路93aは、第2筒部11bの幅方向他方側の面から第1流路部91aの軸方向一方側の端部まで幅方向Xに延びる。流入流路93aの幅方向他方側の開口は、冷媒が流入される流入口93cである。すなわち、冷却流路90は、流入口93cを有する。流入口93cは、第2筒部11bの幅方向他方側の面に開口する。図1に示すように、流入口93cには、第2筒部11bから幅方向他方側に突出する流入ノズル部15が設けられる。
【0092】
図7に示すように、流出流路93bは、第2筒部11bの幅方向他方側の面から第1流路部91fの軸方向一方側の端部まで幅方向Xに延びる。流出流路93bの幅方向他方側の開口は、冷媒が流出される流出口93dである。すなわち、冷却流路90は、流出口93dを有する。流出口93dは、第2筒部11bの幅方向他方側の面に開口する。図1に示すように、流出口93dには、第2筒部11bから幅方向他方側に突出する流出ノズル部16が設けられる。
【0093】
上述したように、流入口93cおよび流出口93dは、幅方向Xに開口する。そのため、流入口および流出口が軸方向Yあるいは鉛直方向Zに開口するような場合に比べて、流入口93cおよび流出口93dを設けやすい。本実施形態では、流入口93cおよび流出口93dは、ハウジング10における幅方向Xの同じ側に設けられるため、冷却流路90への冷媒の流入および流出を容易にできる。流入口93cと流出口93dとは、鉛直方向Zに並んで配置される。流入口93cは、流出口93dの上側に位置する。なお、流入口93cの鉛直方向位置と流出口93dの鉛直方向位置とは、同じであってもよい。
【0094】
流入ノズル部15から流入口93cを介して流入流路93aに流入した冷媒は、第1流路部91aから各第1流路部および各第2流路部を順に介して、第1流路部91fから流出流路93bに流入する。そして、流出流路93bに流入した冷媒は、流出口93dを介して流出ノズル部16から冷却流路90の外部に流出する。このようにして、冷却流路90内を冷媒が循環する。
【0095】
上述した本実施形態のモータ1は、例えば、図8に示す駆動装置2に搭載される。駆動装置2は、車両に搭載され、車両の車輪を回転させる。駆動装置2は、モータ1と、減速装置3と、差動装置4と、ギヤハウジング6と、を備える。ギヤハウジング6は、減速装置3と差動装置4とを内部に収容する。ギヤハウジング6は、モータ1のハウジング10に固定される。ギヤハウジング6の内部には、オイルOが貯留される。
【0096】
減速装置3は、モータ1に接続される。減速装置3は、モータシャフト20aの出力軸部21bに接続される。減速装置3は、モータ1の回転速度を減じて、モータ1から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置3は、モータ1から出力されるトルクを差動装置4へ伝達する。減速装置3は、第1のギヤ3aと、第2のギヤ3bと、第3のギヤ3cと、中間シャフト3dと、を有する。
【0097】
第1のギヤ3aは、出力軸部21bにおける外周面に固定される。中間シャフト3dは、中心軸J1から径方向外側に離れた位置に配置され、軸方向Yに延びる。第2のギヤ3bおよび第3のギヤ3cは、中間シャフト3dの外周面に固定される。第2のギヤ3bと第3のギヤ3cは、中間シャフト3dを介して接続される。第2のギヤ3bおよび第3のギヤ3cは、中間シャフト3dの中心軸を中心として回転する。第2のギヤ3bは、第1のギヤ3aに噛み合う。第3のギヤ3cは、差動装置4の後述するリングギヤ4aと噛み合う。
【0098】
モータ1から出力されるトルクは、減速装置3を介して差動装置4に伝達される。より詳細には、モータ1から出力されるトルクは、モータシャフト20a、第1のギヤ3a、第2のギヤ3b、中間シャフト3dおよび第3のギヤ3cをこの順に介して差動装置4のリングギヤ4aへ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置3は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0099】
差動装置4は、減速装置3に接続される。これにより、差動装置4は、減速装置3を介してモータ1に接続される。差動装置4は、モータ1から出力されるトルクを車両の車輪に伝達する装置である。差動装置4は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸5に同トルクを伝える。これにより、差動装置4は、車軸5を回転させる。
【0100】
差動装置4は、リングギヤ4aと、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ4aは、第3のギヤ3cと噛み合う。これにより、リングギヤ4aには、モータ1から出力されるトルクが減速装置3を介して伝えられる。リングギヤ4aの下側の端部は、ギヤハウジング6に貯留されたオイルOに浸漬する。これにより、リングギヤ4aが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置3および差動装置4に潤滑油として供給される。
【0101】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。フィン部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。フィン部は、ハウジングに設けられればよい。例えば、フィン部は、第2筒部に設けられてもよいし、第1筒部と第2筒部との両方に設けられてもよい。フィン部は、筒部の上側部分に設けられてもよい。また、フィン部は、筒部以外の部分に設けられてもよい。この場合、例えば、フィン部は、上述した実施形態の蓋部13に設けられてもよいし、底部11aに設けられてもよい。フィン部の形状は、特に限定されない。フィン部は、円柱状であってもよいし、多角柱状であってもよい。複数のフィン部は、互いに形状が異なってもよい。複数のフィン部は、突出する方向が互
いに異なるフィン部を含んでもよい。
【0102】
冷却流路90の形状は、特に限定されない。冷却流路90は、波形状でなくてもよく、例えば、幅方向Xに直線的に延びる幅広の流路であってもよいし、軸方向Yに直線的に延びる幅広の流路であってもよい。また、冷却流路90は、複数設けられてもよい。第1流路部91a~91fの流路断面は、互いに同じ寸法および同じ形状であってもよい。冷却流路90の流路断面積は、全体に亘って均一であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
【0103】
また、流入口93cと流出口93dとは、互いに幅方向Xの逆側に開口してもよい。また、流入口93cおよび流出口93dのそれぞれが、ハウジングの本体部とウォータジャケットとのうちの一方に、本体部とウォータジャケットとのうちの他方から離れて設けられる構成を採用できる。すなわち、例えば、流入口93cおよび流出口93dは、ハウジングの本体部に、ウォータジャケットから離れて設けられてもよい。この場合、流入口93cおよび流出口93dは、本体部のうち第2筒部以外の部分に設けられてもよい。
【0104】
また、上述した実施形態ではウォータジャケット60の外周面に溝61aが設けられて冷却流路90が構成されているが、これに限られない。例えば、第2筒部11bの内周面に溝が設けられ、その溝がウォータジャケット60の外周面によって塞がれることで冷却流路が構成されていてもよい。この場合、ウォータジャケット60の外周面には、溝が設けられていなくてもよいし、第2筒部11bの内周面に設けられた溝と対向する溝が設けられていてもよい。冷却流路を構成する部材が、ステータコアと接していればよい。
【0105】
中心軸が延びる一方向、すなわちモータシャフト20aが延びる軸方向は、特に限定されず、鉛直方向Zと直交せずに交差してもよいし、鉛直方向Zと平行であってもよい。ロータコア22は、モータシャフト本体21の外周面に圧入等により固定されてもよい。この場合、第1エンドプレート24および第2エンドプレート25は設けられなくてもよい。また、この場合、第2貫通孔26a,26bから流出したオイルOが直接的にコイル32に供給されてもよいし、第2貫通孔26a,26bと繋がる孔がロータコア22に設けられ、ロータコア22の孔を介してオイルOがコイル32に供給されてもよい。また、モータシャフト20aから噴出されるオイルOは、ステータコア31に供給されてもよい。
【0106】
また、吐出口45から吐出されるオイルOが供給される箇所は、特に限定されず、例えば、ロータ20、ステータ30およびベアリング70,71のいずれか1つあるいは2つのみに供給されてもよいし、いずれにも供給されなくてもよい。吐出口45から吐出されるオイルOは、例えば、収容部17の鉛直方向上側領域の内側面に供給されてもよい。この場合、ハウジング10が冷却されることで、間接的にステータ30を冷却することができる。また、第2貫通孔26a~26dのうちのいずれか1つ以上が設けられなくてもよい。外歯歯車42の歯部42aの歯形および内歯歯車43の歯部43aの歯形は、サイクロイド歯形であってもよいし、インボリュート歯形であってもよい。また、ポンプ部40は、ステータ30およびロータ20のいずれか一方にオイルOを送る構成でもよい。また、ポンプ部40は、設けられなくてもよい。
【0107】
なお、上述した実施形態のモータの用途は、特に限定されない。上述した実施形態のモータは、例えば、車両に搭載される。また、モータとしてではなく、発電機として用いられてもよい。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0108】
1…モータ、10…ハウジング、10a…筒部、11b…第2筒部、13…蓋部、13
a…第1油路、13h…開口部、17…収容部、20…ロータ、20a…モータシャフト、20b…第2油路、26a,26b,26c,26d…第2貫通孔(貫通孔)、30…ステータ、31…ステータコア、32…コイル、32a,32b…コイルエンド、40…ポンプ部、45…吐出口、46…ポンプ室、61…第1筒部、63…フィン部、90…冷却流路、J1…中心軸、O…オイル、R…周方向、Y…軸方向、Z…鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8