(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ウェアラブル装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/222 20060101AFI20240312BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240312BHJP
H04R 1/06 20060101ALI20240312BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240312BHJP
【FI】
H04N5/222 100
H04R1/00 318Z
H04R1/00 328Z
H04R1/06 310
H04R1/06 320
G03B17/56 A
(21)【出願番号】P 2020567724
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2020002576
(87)【国際公開番号】W WO2020153489
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019010546
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】荻野 孝士
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161934(JP,A)
【文献】特開2007-013873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
H04R 1/00
H04R 1/06
G03B 17/56-17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状を有する本体部であって、湾曲部と、前記湾曲部の2つの端部の一方から延びる第1側部と、前記2つの端部の他方から延びる第2側部とを備え、前記湾曲部が利用者の後頸部に掛けられて前記第1側部および前記第2側部が前記利用者の肩部から下げられる態様での装着が可能に構成された前記本体部を備え、
前記本体部は、前記第1側部の端部である第1端と、前記第2側部の端部である第2端とを有し、前記第1端と前記第2端と
の一方に、撮影機能と通信機能とを有する端末を取付可能に構成されて
おり、
前記第1側部および前記第2側部のうち、前記端末が取り付けられる端部を有しない方に、前記端末に電力を供給するバッテリーを収容するための収容部を備える
ウェアラブル装置。
【請求項2】
U字状を有する本体部であって、湾曲部と、前記湾曲部の2つの端部の一方から延びる第1側部と、前記2つの端部の他方から延びる第2側部とを備え、前記湾曲部が利用者の後頸部に掛けられて前記第1側部および前記第2側部が前記利用者の肩部から下げられる態様での装着が可能に構成された前記本体部を備え、
前記本体部は、前記第1側部の端部である第1端と、前記第2側部の端部である第2端とを有し、前記第1端と前記第2端との少なくとも一方に、撮影機能と通信機能とを有する端末を取付可能に構成されて
おり、
前記端末からの信号に基づいて音声を出力する音声出力部、および、入力された音声を信号に変換して前記端末に出力する音声入力部の少なくとも一方をさらに備える
ウェアラブル装置。
【請求項3】
前記第1端と前記第2端と
のうちの前記端末が取り付けられる端部に接続される支持部であって、前記本体部に対する前記端末の位置および向きの少なくとも一方を変更可能に前記端末を支持するように構成された前記支持部を備える
請求項
1または2に記載のウェアラブル装置。
【請求項4】
前記端末を支持するように構成された支持部であって、前記第1端と前記第2端との各々に対する着脱が可能に構成された前記支持部を備える
請求項
2に記載のウェアラブル装置。
【請求項5】
前記本体部における単位体積当たりの重さは、前記本体部の延びる方向における中央部にて最も大きい
請求項1~
4のいずれか一項に記載のウェアラブル装置。
【請求項6】
前記本体部における単位体積当たりの重さは、前記中央部から前記第1端と前記第2端との各々にむけて小さくなる
請求項
5に記載のウェアラブル装置。
【請求項7】
前記本体部の延びる方向における中央部および両端部の重さが、前記本体部の他の部分よりも重い
請求項1~
4のいずれか一項に記載のウェアラブル装置。
【請求項8】
前記湾曲部は、当該湾曲部の中央部を含む突出部を有し、前記突出部は、当該突出部の周囲よりも下方に突出している
請求項1~
7のいずれか一項に記載のウェアラブル装置。
【請求項9】
前記ウェアラブル装置を水平面に静置した状態で、前記ウェアラブル装置の真上から前記ウェアラブル装置を見た平面視において、
前記第1側部および前記第2側部の延びる方向を基準方向とし、前記基準方向における前記本体部の両端のうち、前記第1端および前記第2端が位置する方の端部を前端とし、前記湾曲部が位置する方の端部を後端とするとともに、前記ウェアラブル装置の重心の位置を重心位置とするとき、前記基準方向における前記前端から前記重心位置までの距離は、前記基準方向における前記前端から前記後端までの距離の0.5倍より大きく0.8倍未満である
請求項1~
8のいずれか一項に記載のウェアラブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人体等に装着されるウェアラブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人体の頭部や首部等に装着されるウェアラブル装置が多く開発されている。こうしたウェアラブル装置の一例は、撮影機能を有し、ウェアラブル装置の装着者の周囲を撮影可能に構成されている。さらに、上記ウェアラブル装置は、通信機能を有し、外部の装置との間で撮影データ等のデータを送受信することが可能に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、通信基盤が整備された環境下では通信技術の進歩が速まる一途であり、撮影技術もまた、その多様性が拡大する一途であるため、通信機能や撮影機能が付加されたウェアラブル装置においては、通信技術や撮影技術の変動に追従可能な柔軟性が新たに求められている。
【0005】
本開示は、技術の変動に対し柔軟に対応可能なウェアラブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するウェアラブル装置は、U字状を有する本体部であって、湾曲部と、前記湾曲部の2つの端部の一方から延びる第1側部と、前記2つの端部の他方から延びる第2側部とを備え、前記湾曲部が利用者の後頸部に掛けられて前記第1側部および前記第2側部が前記利用者の肩部から下げられる態様での装着が可能に構成された前記本体部を備え、前記本体部は、前記第1側部の端部である第1端と、前記第2側部の端部である第2端とを有し、前記第1端と前記第2端との少なくとも一方に、撮影機能と通信機能とを有する端末を取付可能に構成されている。
【0007】
上記構成によれば、ウェアラブル装置自身が撮影機能と送信機能とを有する場合と比較して、取り付ける端末の選択によって機能の向上等の技術の変更が可能であるため、技術の変動に対し柔軟に対応することができる。
【0008】
上記構成において、前記第1端と前記第2端との少なくとも一方に接続される支持部であって、前記本体部に対する前記端末の位置および向きの少なくとも一方を変更可能に前記端末を支持する前記支持部を備えてもよい。
【0009】
上記構成によれば、支持部を利用して端末の位置や向きを調整することで、端末の撮影領域を調整することができるため、利用者の利便性が高められる。
上記構成において、前記端末を支持する支持部であって、前記第1端と前記第2端との各々に対する着脱が可能に構成された前記支持部を備えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、ウェアラブル装置の利用者は、正面に対して右側と左側とのいずれの端部に端末を取り付けるかを状況に応じて選択できるため、利便性が高められる。
上記構成において、前記第1側部および前記第2側部のうち、前記端末が取り付けられる端部を有しない方に、前記端末に電力を供給するバッテリーを収容するための収容部を備えてもよい。
【0011】
上記構成によれば、端末とバッテリーとがウェアラブル装置に組み付けられた状態において、重心が左右のいずれかに偏ることが抑えられる。したがって、装着時におけるウェアラブル装置の位置が安定しやすくなる。
【0012】
上記構成において、前記端末からの信号に基づいて音声を出力する音声出力部、および、入力された音声を信号に変換して前記端末に出力する音声入力部の少なくとも一方を備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、端末を用いた音声情報の授受を通じて、ウェアラブル装置の利用者が外部と音声によるコミュニケーションを取ることができるようになる。
上記構成において、前記本体部における単位体積当たりの重さは、前記本体部の延びる方向における中央部にて最も大きくてもよい。
【0014】
上記構成によれば、端末とバッテリーとがウェアラブル装置に組み付けられた状態において、重心が利用者の前方に偏ることが抑えられる。したがって、装着時におけるウェアラブル装置の位置が安定しやすくなるとともに、利用者の後頸部にかかる負担も軽減できる。
【0015】
上記構成において、前記本体部における単位体積当たりの重さは、前記中央部から前記第1端と前記第2端との各々にむけて小さくなってもよい。
上記構成によれば、端末とバッテリーとがウェアラブル装置に組み付けられた状態において、重心が利用者の前方に偏ることがより的確に抑えられる。
【0016】
上記構成において、前記本体部の延びる方向における中央部および両端部の重さが、前記本体部の他の部分よりも重くてもよい。
上記構成によれば、本体部が、中央部と両端部との3点で利用者に密着しやすいため、利用者に対するウェアラブル装置の位置が安定しやすい。また、本体部のなかで重い部分が、利用者の前方と後方とに配置されるため、ウェアラブル装置の重心が利用者の前方と後方との一方に偏ることが抑えられる。したがって、ウェアラブル装置の位置が安定するとともに、ウェアラブル装置の荷重が利用者の前や後に集中してかかることが抑えられるため、ウェアラブル装置の装着時における利用者の負担も軽減できる。
【0017】
上記構成において、前記湾曲部は、当該湾曲部の中央部を含む突出部を有し、前記突出部は、当該突出部の周囲よりも下方に突出していてもよい。
上記構成によれば、利用者の後頚部の下部付近で、湾曲部が利用者に接する領域を大きく確保しやすい。したがって、ウェアラブル装置の位置が安定しやすい。
【0018】
上記構成において、前記ウェアラブル装置を水平面に静置した状態で、前記ウェアラブル装置の真上から前記ウェアラブル装置を見た平面視において、前記第1側部および前記第2側部の延びる方向を基準方向とし、前記基準方向における前記本体部の両端のうち、前記第1端および前記第2端が位置する方の端部を前端とし、前記湾曲部が位置する方の端部を後端とするとともに、前記ウェアラブル装置の重心の位置を重心位置とするとき、前記基準方向における前記前端から前記重心位置までの距離は、前記基準方向における前記前端から前記後端までの距離の0.5倍より大きく0.8倍未満であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、ウェアラブル装置の重心が利用者の前と後との一方に偏ることが抑えられるため、ウェアラブル装置の位置が安定しやすい。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、ウェアラブル装置において、技術の変動に対し柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ウェアラブル装置の一実施形態について、ウェアラブル装置の斜視構造を示す図。
【
図2】一実施形態のウェアラブル装置における支持部付近の側面構造を示す図。
【
図3】一実施形態のウェアラブル装置に撮影端末を取り付けた状態の支持部付近の構造を示す図。
【
図4】一実施形態のウェアラブル装置の正面構造を示す図。
【
図5】一実施形態のウェアラブル装置における本体部の密度分布の例を示す図。
【
図6】一実施形態のウェアラブル装置および撮影端末の電気的構成を示す図。
【
図7】一実施形態のウェアラブル装置が利用者に装着された状態を示す図。
【
図8】一実施形態のウェアラブル装置における利用環境の例を示す図。
【
図9】変形例のウェアラブル装置の斜視構造を示す図。
【
図10】変形例のウェアラブル装置における本体部の斜視構造を分解して示す図。
【
図11】変形例のウェアラブル装置の斜視構造を示す図。
【
図12】変形例のウェアラブル装置の断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1~
図8を参照して、ウェアラブル装置の一実施形態を説明する。なお、以下の説明における上下左右前後の各方向は、ウェアラブル装置が利用者に装着された状態における方向である。
【0023】
[全体構成]
図1が示すように、ウェアラブル装置10は、利用者の首部の周りに装着される本体部20と、撮影端末を支持可能に構成された支持部30とを備えている。
【0024】
本体部20は、U字状の構造体であり、その延びる方向における2つの端部として第1端20aと第2端20bとを有する。本体部20は、電子部品等を収容する筐体として機能する部分が、第1端20aから第2端20bへアーチ状に延びる構造を有する。
【0025】
支持部30は、本体部20の第1端20aに接続されている。支持部30に撮影端末を支持させることで、第1端20aに撮影端末が支持部30を介して取り付けられる。撮影端末は、撮影機能および通信機能を有する端末であり、例えば、スマートフォンである。
【0026】
[支持部]
支持部30の詳細な構成について説明する。
図2が示すように、支持部30は、撮影端末を保持するための保持部31と、保持部31から延びて本体部20に接続されるとともに、保持部31の位置および向きの調整機能を有する接続部32とを備えている。
【0027】
保持部31は、例えば、撮影端末を挟むことにより、撮影端末を保持可能に構成されている。接続部32は、第1端20aに対する保持部31の位置および向きを調整可能に構成されている。具体的には、接続部32は、例えばスライド機構を含み、接続部32の延びる方向、すなわち、第1端20aから保持部31に向かう方向における接続部32自身の長さを変更可能に構成されている。なお、接続部32の長さの変更のための構造は、スライド機構に限らず、例えば、接続部32は、複数回折れ曲がった構造を有し、その屈曲を伸ばすことによって、第1端20aから保持部31に向かう方向における接続部32の長さを伸ばすことが可能に構成されていてもよい。接続部32の長さを変更することによって、第1端20aから保持部31までの距離が変更され、これにより、第1端20aに対する保持部31の位置が変更される。
【0028】
また、接続部32は回転機構を含み、接続部32の延びる方向を軸方向として、第1端20aに対して保持部31が回転可能に構成されている。さらに、上記軸方向に直交する平面に対する保持部31の角度が変更可能とされていてもよい。これらの構成から、第1端20aに対する保持部31の向きが調整可能とされる。
【0029】
図3は、撮影端末50が支持部30に組み付けられた状態を示す。撮影端末50は、撮影部を構成するカメラが、支持部30に対して本体部20とは反対側に向けられるように、組み付けられる。第1端20aに対する保持部31の位置および向きが変更されることによって、第1端20aに対する撮影端末50の位置および向きが変更される。
【0030】
[本体部]
本体部20および本体部20が収容する各部の詳細について説明する。
図4が示すように、本体部20は、第1端20aを含み第1端20aから延びる第1側部21と、第2端20bを含み第2端20bから延びる第2側部22と、第1側部21と第2側部22とを繋ぐ弧状に延びる湾曲部23とを有している。すなわち、湾曲部23は、U字状の本体部20のなかの湾曲している部分であり、湾曲部23の両端の一方から、第1側部21が略直線状に延び、上記両端の他方から第2側部22が略直線状に延びている。本体部20を、その上面と対向する位置から見たとき、撮影端末50が取り付けられる第1側部21は、湾曲部23の右側の端部から延びていてもよいし、左側の端部から延びていてもよい。
【0031】
本体部20の材質は特に限定されず、本体部20の一部もしくは全部は、例えば、樹脂、金属、革、木、ガラス、段ボールなどの紙等から構成される。また、装飾や肌触りの向上のために、本体部20の表面が布やゴム等で覆われていてもよい。湾曲部23におけるその延びる方向の中央領域は、湾曲部23の形状を湾曲の曲率半径が大きくなるように広げることが可能に構成されていることが好ましい。例えば、上記中央領域は、弾性部材から構成されていてもよいし、伸縮が可能な蛇腹状の構造を有していてもよい。利用者がウェアラブル装置10を装着する際に、湾曲部23を広げてから本体部20を首部の周りに配置し、その後、湾曲部23を狭めて元の形状に戻すことで、装着が容易になる。
【0032】
ウェアラブル装置10は、第2側部22の内部に、撮影端末50に電力を供給するバッテリーを収容するための収容部24を有している。収容部24は、バッテリーを収容する空間を区画するとともに、バッテリーにおけるUSB等の端子が接続される端子接続部を有している。端子接続部から延びる配線は、湾曲部23の内部を通り、第1端20aの付近から本体部20の外部に出て、撮影端末50に接続される。もしくは、第1端20aの付近に、上記配線が接続された端子接続部が設けられ、当該端子接続部と撮影端末50とが任意のケーブル等の配線で接続されることによって、収容部24に収容されたバッテリーと撮影端末50とが電気的に接続される。
【0033】
収容部24は、複数の大きさのバッテリーを収容可能なように、バッテリーを収容する空間の大きさを調整するための付属部材を取り付け可能に構成されていてもよい。なお、収容部24は、第2側部22の内部にバッテリーを収容することに代えて、第2側部22の表面にバッテリーを収容可能に構成されていてもよい。例えば、収容部24は、第2側部22の表面に設けられた凹部を有し、当該凹部にバッテリーが嵌められることによって、バッテリーが収容部24に収容されてもよい。
【0034】
ウェアラブル装置10は、音声出力部25および音声入力部26を備えている。音声出力部25は、スピーカーユニットを含み、撮影端末50からの信号に基づいて音声を出力する。音声入力部26は、マイクユニットを含み、外部から入力された音声を信号に変換して撮影端末50に出力する。
【0035】
音声出力部25は、本体部20のなかで、ウェアラブル装置10の装着時に利用者の耳部の付近に位置する部分に配置されることが好ましい。例えば、音声出力部25は第1側部21と湾曲部23との境界の付近、および、第2側部22と湾曲部23との境界の付近の少なくとも一方に位置して本体部20に収容されている。
【0036】
音声入力部26は、本体部20のなかで、ウェアラブル装置10の装着時に利用者の口部の付近に位置する部分に配置されてもよいし、使用時に利用者の口部近傍まで引き出されるように本体部20の内部に収容されていてもよい。例えば、音声入力部26は、第2側部22における第2端20bの付近に配置される。
【0037】
音声出力部25および音声入力部26と撮影端末50との信号の授受のための配線は、本体部20の内部を通り、第1端20aの付近から本体部20の外部に出て、撮影端末50におけるイヤホンジャック等に接続される。もしくは、第1端20aの付近に、上記配線が接続された端子接続部が設けられ、当該端子接続部と撮影端末50とが任意のケーブル等の配線で接続されることによって、音声出力部25および音声入力部26と撮影端末50とが電気的に接続される。音声出力部25と撮影端末50とを接続するための配線および端子接続部と、音声入力部26と撮影端末50とを接続するための配線および端子接続部とは、共通であってもよいし、別々であってもよい。
【0038】
なお、音声出力部25および音声入力部26の各々は、Bluetooth(登録商標)等の近距離での無線通信によって、撮影端末50と信号の授受を行ってもよい。この場合、ウェアラブル装置10は、上記無線通信によって音声出力部25および音声入力部26と撮影端末50とを接続して通信およびその制御を行う無線通信部(無線通信回路)と、無線通信部に電力を供給する電力供給部とを備える。無線通信部および電力供給部は、本体部20に収容される。電力供給部は、一次電池、二次電池、キャパシタ等であればよい。
【0039】
ウェアラブル装置10は、上述の各部に加えて、本体部20に振動を発生させる振動発生部、本体部20から利用者に向けて風を発生させる風発生部、および、香りを発生させる香り発生部の少なくとも1つを備えていてもよい。振動発生部は、撮影端末50からの信号に応じて振動する振動体を含む。風発生部は、撮影端末50からの信号に応じて回転するファンを含み、香り発生部は、香料を保持する。例えば、風発生部からの風の通り道に香り発生部が位置することにより、撮影端末50からの信号に応じて香り付きの風を発生させることができる。このように、ウェアラブル装置10が振動や風や香りを発生させることにより、利用者が撮影端末50を通じて情報を授受する際に、臨場感や興趣が高められる。
【0040】
また、ウェアラブル装置10は、太陽電池を含む電力生成部を備えていてもよい。太陽電池は、例えば、本体部20の上面に配置される。電力生成部が生成した電力は、配線を通じて撮影端末50や、上述の電力供給部に供給される。
【0041】
本体部20の内部において、上述の各部の収容のための空間以外の部分は、空洞であってもよいし、任意の材料によって充填されていてもよい。ここで、本体部20は、収容する各種の電子部品を含まない本体部20のみの単位体積当たりの重さ、すなわち密度が、本体部20の延びる方向における中央部にて最も大きくなるように構成されていることが好ましい。さらに、本体部20は、上記密度が、上記中央部から第1端20aおよび第2端20bの各々に向けて小さくなるように構成されていることが好ましい。
【0042】
例えば、
図5が示すように、本体部20は、上記密度が異なる4種類の領域である重領域R1、中領域R2、低領域R3、軽領域R4を有する。重領域R1の密度が最も大きく、重領域R1、中領域R2、低領域R3、軽領域R4の順に、密度が小さくなる。
【0043】
重領域R1は、本体部20が延びる方向における湾曲部23の中央を含む領域に位置する。重領域R1から第1端20aに向けて、中領域R2、低領域R3、軽領域R4がこの順に位置し、重領域R1から第2端20bに向けても、中領域R2、低領域R3、軽領域R4がこの順に位置する。
【0044】
各領域R1~R4における密度の違いは、例えば、本体部20の内部をハニカム構造により構成し、ハニカム構造の目、すなわち、ハニカム構造を構成する単位領域の断面積を、重領域R1にて最も小さく、重領域R1、中領域R2、低領域R3の順に大きくなるように構成することで実現できる。また、軽領域R4は中空とされ、軽領域R4に収容部24が配置されることが好ましい。
【0045】
本体部20の密度が均等であると、第1端20aに撮影端末50が取り付けられ、収容部24にバッテリーが収容された状態において、ウェアラブル装置10の重心が、第1端20aや第2端20bが位置する本体部20の端部付近に位置しやすい。その結果、ウェアラブル装置10の装着時に、ウェアラブル装置10が前方に下がりやすくなり、利用者の後頸部にかかる荷重が大きくなって利用者の負担が大きくなりやすい。これに対し、首部の後ろに配置される湾曲部23の中央領域から第1端20aおよび第2端20bの各々に向けて密度が小さくなれば、装着時におけるウェアラブル装置10の重心が端部寄りになることが抑えられる。したがって、ウェアラブル装置10の位置が安定しやすくなるとともに、利用者の後頸部にかかる負担も軽減される。
【0046】
各領域R1~R4の割合や密度の差は、取り付けられる撮影端末50およびバッテリーの重さ等に応じて設定されればよい。
また、撮影端末50が取り付けられる端部である第1端20aとは反対側の端部である第2端20bの付近にバッテリーが収容されることで、ウェアラブル装置10の重心が、左右のいずれかに偏ることも抑えられる。これによっても、装着時におけるウェアラブル装置10の位置が安定しやすくなる。なお、撮影端末50とバッテリーとの重量の差が大きく、撮影端末50と反対側の端部にバッテリーを収容することのみによっては、左右の重さのバランスが取れない場合には、第1側部21および第2側部22の一方の内部に、他方との重量の差を形成するための重りが付加されてもよい。また、前後の重量のバランスについても、上述のように本体部20の密度を変えることに代えて、あるいは、密度を変えることに加えて、湾曲部23と側部21,22との太さを変えたり、湾曲部23に重りを付加したりすることによって、湾曲部23の中央領域が重くなるように本体部20の重さが調整されてもよい。
【0047】
[電気的構成]
ウェアラブル装置10および撮影端末50の電気的な構成を説明する。
図6が示すように、撮影端末50は、ネットワークに接続され、例えばサーバ60である外部装置とネットワークを通じて相互にデータの送信および受信を行う。上記ネットワークは、インターネット等の汎用通信回線であってもよいし、撮影端末50の通信のための専用通信回線であってもよい。
【0048】
撮影端末50は、通信部51、撮影部52、表示部53、制御部54、および、記憶部55を備えている。
通信部51は、ネットワークを通じて、撮影端末50と、サーバ60との接続処理を実行し、撮影端末50とサーバ60との間でデータの送信および受信を行う。
【0049】
撮影部52は、カメラを含み、撮影端末50の周囲を撮影して、静止画または動画のデータである撮影データを生成する。撮影データは、通信部51を介して、サーバ60へ送信される。
【0050】
表示部53は、液晶パネル等の表示パネルを含み、画像を表示する。例えば、表示部53は、撮影部52が撮影している画像、および、通信部51がサーバ60から受信した画像の少なくとも一方を表示する。
【0051】
制御部54は、CPUや、RAM等の揮発性メモリを含む構成を有し、記憶部55に記憶されたプログラムやデータに基づいて、通信部51、撮影部52、表示部53の処理の制御、および、ウェアラブル装置10への信号の出力の制御を行う。
【0052】
記憶部55は、不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部54が実行する処理に必要なプログラムやデータを記憶している。
撮影端末50と、ウェアラブル装置10が備える音声出力部25および音声入力部26とは、上述のように、有線または無線で接続されている。撮影端末50と音声出力部25および音声入力部26との信号の授受が無線通信によって行われる場合には、撮影端末50は、無線通信によって撮影端末50とウェアラブル装置10とを接続して信号の送受信を行う無線通信部を備える。
【0053】
ウェアラブル装置10の音声出力部25は、撮影端末50の制御部54からの信号に基づいて音声を出力し、音声入力部26は、外部から入力された音声を信号に変換して制御部54に出力する。
【0054】
サーバ60は、撮影端末50から受信した撮影データに対して、所定の処理を行う。例えば、サーバ60は、撮影データを、大型のディスプレイ等の表示装置に送信して、撮影データに基づく画像を表示装置に表示させる。また例えば、サーバ60は、上記表示装置の周辺の画像等のデータを撮影端末50に送信し、当該データに基づいた画像が撮影端末50の表示部53に表示されてもよい。
【0055】
なお、撮影端末50が撮影データを送信する外部装置は、サーバ60に限らず、表示装置やパーソナルコンピュータ等であってもよい。
[利用態様]
ウェアラブル装置10の利用態様について説明する。
図7は、撮影端末50としてスマートフォンを用いた場合について、撮影端末50が取り付けられたウェアラブル装置10を装着した状態の利用者Urを示す。本体部20は利用者Urの肩部に乗り、首部の周りを囲む。湾曲部23は後頸部に掛けられ、第1側部21と第2側部22とは、肩部から胸部の前方に下げられる。本体部20の下面は、肩部の形状に沿った曲面形状を有していることが好ましい。こうした構成によれば、本体部20が肩部に沿いやすいため、装着時にウェアラブル装置10の位置が安定しやすい。
【0056】
撮影端末50は、第1端20aに接続された支持部30に組み付けられる。撮影端末50の撮影部52を構成するカメラが、利用者Urの前方に向けられ、表示部53が、利用者Urに向けられる。すなわち、表示部53は、利用者Urによって視認可能な位置に配置される。撮影端末50にはさらに、撮影部52の画角を調整するためのレンズが取り付けられてもよい。
【0057】
本実施形態のウェアラブル装置10は、撮影機能と通信機能とを有する撮影端末50を取付可能に構成されており、撮影端末50の機能を利用して、撮影および撮影データの送信が行われる。すなわち、ウェアラブル装置10そのものは、撮影機能と撮影データの送信機能とを有していない。こうした構成によれば、例えば新しい技術に対応した撮影端末50を取り付けることで、撮影機能と通信機能とを向上させることが可能である。そのため、技術の変動に対し柔軟に対応することができる。撮影端末50としては、スマートフォンのように、普及度が高く技術変動に対応した機種を手に入れやすい端末が用いられるため、ウェアラブル装置10そのものを買い替えることと比較して、利用者の負担は小さい。
【0058】
図8を参照して、ウェアラブル装置10の利用環境の一例を説明する。ウェアラブル装置10は、例えば、遠隔でのコミュニケーションに用いられる。具体例としては、会議等の就労、診療、観光等が挙げられる。
【0059】
図8が示すように、撮影端末50が周囲を撮影すること基づき生成された撮影データは、サーバ60を介して、利用者Urの位置する第1空間S1とは離れた第2空間S2に位置する表示装置70に送信される。そして、受信した撮影データに基づく画像が表示装置70に表示される。表示装置70の視聴者Prは、表示装置70を見ることで、第1空間S1の状況を知ることができる。
【0060】
特に、撮影端末50による撮影領域は、利用者Urの胸部の前方付近を中心とする領域となり、利用者Urの移動に伴って移動する。したがって、視聴者Prは、表示装置70を見ることで、利用者Urの視点に近い位置から第1空間S1の状況を把握することが可能であり、視聴者Prが第1空間S1に居るかのような体験をすることができる。
【0061】
また、利用者Urが発した音声が、ウェアラブル装置10の音声入力部26に入力され、サーバ60を介して、第2空間S2に位置するスピーカーを通じて視聴者Prに伝えられる。一方、視聴者Prの発した音声は、第2空間S2に位置するマイクに入力され、サーバ60を介して、ウェアラブル装置10の音声出力部25から出力されて利用者Urに伝えられる。これにより、離れた空間に位置する利用者Urと視聴者Prとが音声によってコミュニケーションを取ることが可能である。例えば、視聴者Prが、利用者Urに対して、撮影端末50による撮影領域の指示を行うこともできる。
【0062】
また、ウェアラブル装置10が振動発生部を備える場合、利用者Urへの指示が、振動体の振動を利用して行われてもよい。例えば、第1側部21の内部と第2側部22の内部との各々に振動体が配置される。そして、視聴者Prが、撮影端末50による撮影領域を右に動かしたい場合は、視聴者Prが第2空間S2に位置する操作機を操作すること等に基づいて、撮影端末50に信号が送られ、第1側部21と第2側部22とのうち右に位置する側部の振動体を振動させるように、撮影端末50からウェアラブル装置10に信号が送られる。撮影端末50とウェアラブル装置10との信号の授受は有線または無線にて行われればよい。これにより、本体部20のなかの右部分が振動し、この振動が利用者Urに伝わる。利用者Urが、振動を感じた方向へ移動することで、撮影端末50による撮影領域が、視聴者Prの意図に沿って移動する。こうした構成によれば、利用者Urへの指示が、利用者Urに直感的に伝わりやすい。
【0063】
また、第2空間S2に位置する撮影装置が第2空間S2を撮影したデータが、サーバ60を介して、撮影端末50に送信され、表示部53に表示される形態であれば、利用者Urは、第2空間S2の状況を知ることができるため、視聴者Prとより円滑なコミュニケーションが可能である。また、撮影端末50の撮影している画像が表示部53に表示される形態であれば、撮影端末50による撮影状況を利用者Urが確認できる。したがって、撮影端末50による撮影領域の調整に際して利便性が高い。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のウェアラブル装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)ウェアラブル装置10が、端部に撮影端末50を取付可能に構成されている。したがって、撮影端末50の交換によって撮影機能と通信機能とを変動させることができるため、技術の変動に対し柔軟に対応することができる。
【0065】
(2)支持部30が、本体部20に対する撮影端末50の位置および向きを変更可能に撮影端末50を支持する。こうした構成によれば、支持部30を利用して撮影端末50の位置および向きを調整することで、撮影端末50の撮影領域を調整することができるため、利用者の利便性が高められる。
【0066】
(3)本体部20が、撮影端末50が取り付けられる端部とは反対側の端部から延びる第2側部22に、バッテリーを収容するための収容部24を備えている。こうした構成によれば、撮影端末50とバッテリーとがウェアラブル装置10に組み付けられたとき、すなわち、ウェアラブル装置10の使用時において、重心が左右のいずれかに偏ることが抑えられる。したがって、装着時におけるウェアラブル装置10の位置が安定しやすくなる。
【0067】
(4)ウェアラブル装置10が、音声出力部25および音声入力部26を備えているため、撮影端末50を用いた音声情報の授受を通じて、音声によるコミュニケーションが可能である。
【0068】
(5)本体部20の密度が、本体部20の延びる方向における中央部にて最も大きければ、撮影端末50とバッテリーとがウェアラブル装置10に組み付けられたとき、すなわち、ウェアラブル装置10の使用時において、重心が利用者の前方に偏ることが抑えられる。したがって、装着時におけるウェアラブル装置10の位置が安定しやすくなるとともに、利用者の後頸部にかかる負担も軽減できる。さらに、本体部20の密度が、上記中央部から第1端20aおよび第2端20bの各々に向けて小さくなれば、重心が利用者の前方に偏ることがより的確に抑えられるため、上記効果がさらに高められる。
【0069】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
(変形例1)
図9が示すように、支持部30は、ハンドル部33を備えていてもよい。ハンドル部33は、ウェアラブル装置の使用時に、利用者によって掴まれる。利用者がハンドル部33を掴むことで、支持部30および撮影端末50の位置が安定し、撮影端末50による撮影が円滑に進む。また、支持部30の向きや長さを変更する場合にも、ハンドル部33を支持しながら当該変更のための操作を行うことで、当該変更が容易になる。ハンドル部33は、利用者が掴むことの可能な位置に設けられていればよい。例えば、ハンドル部33は、接続部32から下方に延びる。
【0070】
また、本体部20は、フレームに外装が組み付けられた構造を有していてもよい。例えば、
図10が示すように、本体部20は、上部外装部40と、フレーム部41と、下部外装部42とを備える。そして、上部外装部40と下部外装部42とで囲まれる空間内にフレーム部41が収容されるように、これらが組み付けられることにより、本体部20が構成される。上部外装部40と下部外装部42とは、例えば樹脂製であり、フレーム部41は例えば金属製である。下部外装部42は、フレーム部41を収容する凹部を有し、当該凹部を上部外装部40が塞ぐことで、フレーム部41を囲む空間が区画される。
【0071】
フレーム部41は、本体部20の形状に対応するU字状を有する。フレーム部41は、本体部20のうちの湾曲部23の中央部に配置される錘部43を有している。錘部43が湾曲部23の中央部、すなわち、本体部20の延びる方向における中央部に配置されることにより、当該中央部にて、本体部20における単位体積当たりの重さが他の部分よりも大きくなる。なお、例えば、フレーム部41の延びる方向においてフレーム部41の太さが変化することにより、本体部20における単位体積当たりの重さが本体部20の延びる方向において変化するように、本体部20が構成されていてもよい。
【0072】
以上のように、本体部20が、本体部20の延びる方向における重量が調整されたフレームに、外装が組み付けられた構造を有しているため、本体部20がその延びる方向に沿って複数のパーツが接続されることにより形成される場合と比較して、本体部20の形成が容易である。また、フレームと外装とを別々に製造してこれらを組み付けることで本体部20を形成することができるため、ウェアラブル装置の量産も容易である。
【0073】
また、本体部20の重さは、本体部20の延びる方向における中央部と端部、すなわち、湾曲部23の中央部と、第1側部21における第1端20a付近と、第2側部22における第2端20b付近と、の3点において、他の部分よりも重くなっていてもよい。例えば、本体部20のなかで、湾曲部23の中央部と、第1側部21における第1端20a付近と、第2側部22における第2端20b付近とに、重りが付加されていてもよい。
【0074】
こうした構成によれば、ウェアラブル装置のなかで、利用者の後側で後頚部の下部付近に接する部分と、利用者の前側で利用者の胸に接する部分の端部とが利用者の身体から浮き上がりにくい。すなわち、本体部20が、本体部20の延びる方向における中央部と両端部との3点、言い換えれば、前後方向の両端で利用者に密着しやすいため、利用者に対するウェアラブル装置の位置が安定しやすい。また、本体部20のなかで重い部分が、利用者の前方と後方とに配置されるため、ウェアラブル装置の重心が利用者の前と後との一方に偏ることが抑えられる。したがって、ウェアラブル装置の位置が安定するとともに、ウェアラブル装置の荷重が利用者の前や後の一点に集中してかかることが抑えられるため、ウェアラブル装置の装着時における利用者の負担も軽減できる。こうした構成は、ウェアラブル装置の重量に対して撮影端末50およびバッテリーの重量が小さく、撮影端末50およびバッテリーの重量の影響が小さいときに特に有益である。
【0075】
上記構成においては、本体部20の重心は、前後方向における本体部20の中央部の付近、すなわち、湾曲部23と第1側部21との境界部分、および、湾曲部23と第2側部22との境界部分の付近に配置される。言い換えれば、本体部20の重心は、本体部20のなかで、利用者の肩部付近に接する部分に配置される。一方で、本体部20なかの重い部分は、上記重心の位置とは異なり、前後方向における本体部20の端に位置する。このように、重心を、前後方向における本体部20の中央部に配置しつつ、本体部20のなかの重い部分は、前後方向における本体部20の端に配置することで、上述のように、ウェアラブル装置の位置が安定するとともに、ウェアラブル装置の装着時における利用者の負担が軽減できる。
【0076】
なお、ウェアラブル装置の重心は、以下の範囲に位置することが好ましい。当該重心は、本体部20と支持部30とからなる構造体の重心であって、撮影端末50やバッテリーを取り付けない状態での重心である。
【0077】
ウェアラブル装置を水平面に静置した状態で、ウェアラブル装置の真上からウェアラブル装置を見た平面視において、第1側部21および第2側部22の延びる方向を基準方向とし、基準方向における本体部20の両端のうち、第1端20aおよび第2端20bが位置する方の端部を前端とし、湾曲部23が位置する方の端部を後端とする。上記平面視でのウェアラブル装置の重心の位置を重心位置とするとき、基準方向における前端から重心位置までの距離は、基準方向における前端から後端までの距離の0.5倍より大きく0.8倍未満であることが好ましく、0.6倍以上0.7倍以下であることがより好ましい。重心が当該範囲に位置すれば、装着時におけるウェアラブル装置の位置が安定しやすい。
【0078】
(変形例2)
本体部20のうち、ウェアラブル装置が利用者に装着された場合に利用者に接触する部分は、柔軟性を有する素材から構成されていてもよい。例えば、
図11が示すように、本体部20は、クッション部48を備えていてもよい。クッション部48は、第1側部21および第2側部22の下面と湾曲部23の前面とに位置する。クッション部48は、ウレタンやメッシュ素材から形成されており、弾性を有する。
【0079】
図11に示す例では、本体部20は、本体部20の上面を構成する上面部46と、上面部46に接続された心材部47と、クッション部48とを備えている。心材部47は、第1側部21、第2側部22、および、湾曲部23の外形に対応する形状を有し、心材部47の表面にクッション部48が取り付けられている。上面部46および心材部47は、例えば樹脂製あるいは金属製である。なお、クッション部48は、利用者に接触する部分に限らず、心材部47の表面の全体を覆っていてもよい。
【0080】
上記構成によれば、本体部20のなかで利用者に接触する部分が柔軟性を有することにより利用者の身体に沿って変形しやすいため、ウェアラブル装置の装着時に利用者に対するウェアラブル装置の位置が安定しやすい。また、本体部20のなかで利用者に接触する部分が硬い場合と比較して、ウェアラブル装置が身体に当たることに起因した違和感を利用者が覚えることが抑えられる。
【0081】
また、湾曲部23の中央部を含む部分は、その周囲よりも下方に突出していることが好ましい。すなわち、湾曲部23は、他の部分よりも下方に突出した部分である突出部45を有し、突出部45には、湾曲部23の延びる方向における中央部が含まれていることが好ましい。例えば、上下方向における突出部45の長さは、第1側部21および第2側部22における上面から下面までの厚さの平均値の2倍以上であることが好ましい。こうした構成によれば、利用者の後頚部の下部付近で、湾曲部23が利用者に接する領域を大きく確保しやすい。したがって、ウェアラブル装置の位置が安定しやすい。また、湾曲部23の中央部の体積が大きくなるため、湾曲部23の中央部を重くするように本体部20に重りを付加することも容易である。
【0082】
さらに、
図12が示すように、突出部45は、その前面に段差49を有していることが好ましい。すなわち、段差49は、利用者に接する面に形成されている。突出部45の前後方向における厚みは、段差49よりも下方において、段差49の上方よりも薄くなっている。したがって、突出部45の下部と利用者との間には、隙間が形成されやすくなる。
【0083】
利用者の後頚部の下部付近の形状、言い換えれば、利用者の首付近の背中の形状は、利用者によって様々であり、突出部45における利用者に接する面である前面を単純な曲面や平面とする場合、当該前面を多くの利用者に密着しやすい形状に形成することは困難である。結果として、突出部45と利用者との間の隙間の形成位置が利用者ごとに異なり、また、突出部45のなかで利用者に接する部分が利用者ごとに異なるようになるため、多くの利用者に対して本体部20の位置を安定させるには限界がある。
【0084】
これに対し、突出部45に段差49を設けることにより、利用者ごとの体型の差異に関わらず、段差49の角部等、突出部45の特定の位置が利用者に接しやすくなり、また、突出部45の下部等、突出部45の特定の位置と利用者との間に隙間が形成されやすくなる。すなわち、突出部45のなかで利用者に接する部分が利用者ごとにばらつくことが抑えられ、当該利用者に接する部分を予め規定しやすいため、多くの利用者に対して本体部20の位置を安定させやすい。
【0085】
また、利用者の後頚部および背中には背骨が通っているため、突出部45が段差49を有することにより、段差49が背骨に支持されて本体部20の位置が安定しやすい。
なお、こうした突出部45の構成は、本体部20の材料や組み立ての方式に関わらず適用可能であり、上記実施形態や変形例1にも適用できる。
【0086】
(他の変形例)
・第1端20aと第2端20bとの双方に撮影端末50を取り付けることが可能であって、いずれの端部に撮影端末50を取り付けるかを利用者が選択可能であってもよい。例えば、支持部30が第1端20aと第2端20bとのいずれにも着脱可能に構成されていてもよい。もしくは、第1端20aと第2端20bとの双方に支持部30が接続されていてもよい。こうした構成によれば、利用者は、ウェアラブル装置における右側と左側とのいずれの端部に撮影端末50を取り付けるかを状況に応じて選択できるため、利便性が高められる。
【0087】
第1端20aと第2端20bとの双方に撮影端末50を取付可能である場合、ウェアラブル装置は、第1側部21と第2側部22とのいずれにもバッテリーを収容可能であることが好ましい。すなわち、ウェアラブル装置は、第1側部21と第2側部22との双方に収容部24を備えていることが好ましい。そして、第1側部21と第2側部22とのうち、撮影端末50が取り付けられた端部とは反対側の端部から延びる部分に位置する収容部24にバッテリーが収容されればよい。これにより、撮影端末50が取り付けられる端部が任意に選択される場合であっても、撮影端末50とバッテリーとを互いに異なる端部付近に配置することができるため、左右における重心の偏りが抑えられる。
【0088】
なお、第1端20aと第2端20bとの双方に撮影端末50が同時に取り付けられ、第1側部21と第2側部22との双方にバッテリーが同時に収容されてもよい。
・撮影端末50がいずれの端部に取付可能であるかに関わらず、支持部30は本体部20に対して着脱可能であってもよく、さらに、本体部20に接続される支持部30が、撮影端末50の機種等に応じた構造の保持部31を有する支持部30に交換可能であってもよい。また、支持部30は、接続部32の長さを調整するための着脱可能な付属部材を含み、ウェアラブル装置の用途や使用環境等に応じて、上記付属部材が着脱されてもよい。要は、ウェアラブル装置は、本体部20に固定もしくは着脱可能とされた支持部30を介して、第1端20aと第2端20bとの少なくとも一方に撮影端末50が取り付け可能に構成されていればよい。
【0089】
・支持部30において、接続部32は、保持部31の位置および向きの一方のみを調整可能に構成されていてもよい。さらに、支持部30において、保持部31の位置および向きは固定されていてもよい。すなわち、支持部30は、少なくとも撮影端末50を支持して撮影端末50と本体部20との接続を中継する機能を有していればよい。
【0090】
・利用者の体型に応じて、第1側部21の長さ、第2側部22の長さ、および、湾曲部23の長さの少なくとも1つが調整可能であってもよい。また、利用者に対する第1側部21および第2側部22の下面の角度や、利用者に対する湾曲部23の前面の角度が調整可能であってもよい。
【0091】
・本体部20のなかで湾曲部23等に付加される重りは、着脱可能であってもよい。
・収容部24の位置は、上記実施形態とは異なっていてもよい。また、ウェアラブル装置が複数の収容部24を備え、1つの撮影端末50に対して複数のバッテリーを収容可能であってもよい。こうした場合、少なくとも1つの収容部24は、湾曲部23に位置していてもよい。あるいは、ウェアラブル装置の用途等に応じて、例えばウェアラブル装置の連続使用時間が短い場合等、バッテリーによる撮影端末50への電力の供給が不要である場合には、ウェアラブル装置は収容部24を備えていなくてもよい。
【0092】
・ウェアラブル装置が振動発生部や無線通信部等を備える場合に、ウェアラブル装置は、ウェアラブル装置における電子的構成を制御する制御部を備えていてもよい。制御部は、例えば、CPU、RAM、ROMなどのコンピュータに用いられるハードウェア要素、および、ソフトウェアを備えてもよい。制御部は、各種の処理を全てソフトウェアで処理するものに限らない。例えば、制御部は、各種の処理のうちの少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアである特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。制御部は、ASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラムであるソフトウェアに従って動作する1つ以上のプロセッサであるマイクロコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせ、を含む回路を備えてもよい。
【0093】
・ウェアラブル装置の用途や使用環境等に応じて、音声による情報の伝達が不要である場合や、撮影端末50自身での音声の入出力を利用者が利用できる場合には、ウェアラブル装置10は、音声出力部25および音声入力部26の少なくとも一方を備えていなくてもよい。
【0094】
・撮影端末50は、少なくとも撮影機能と通信機能とを備えていればよく、その他の機能は特に限定されない。例えば、撮影端末50は表示部53を備えなくてもよいし、撮影端末50がウェアラブル装置に取り付けられて使用されている間には、表示部53への画像の表示が行われなくてもよい。
【0095】
・ウェアラブル装置は、人体に限らず、人型のロボットに装着されて用いられてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…ウェアラブル装置、20…本体部、20a…第1端、20b…第2端、21…第1側部、22…第2側部、23…湾曲部、24…収容部、25…音声出力部、26…音声入力部、30…支持部、31…保持部、32…接続部、33…ハンドル部、40…上部外装部、41…フレーム部、42…下部外装部、43…錘部、45…突出部、46…上面部、47…心材部、48…クッション部、49…段差、50…撮影端末。