(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H01H50/54 D
(21)【出願番号】P 2021035746
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-022984(JP,A)
【文献】国際公開第2020/045859(WO,A1)
【文献】特表2021-536100(JP,A)
【文献】特開2014-132595(JP,A)
【文献】特開2014-110165(JP,A)
【文献】特表2019-505973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
第2固定接点を含む第2固定端子と、
前記第1固定接点に対向して配置される第1可動接点と、前記第2固定接点に対向して配置される第2可動接点とを含み、前記第1可動接点から前記第1固定接点に向かう第1方向と、前記第1固定接点から前記第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能な可動接触片と、
前記移動方向に延びる軸部と、前記軸部から張り出した鍔部とを含み、前記可動接触片から前記第2方向に離れて配置される駆動軸と、
絶縁材で形成され、前記可動接触片と前記駆動軸との間に配置されるスペーサと、
前記スペーサと前記駆動軸との間に配置され、前記移動方向において前記スペーサと前記駆動軸とを互いに離れる方向に付勢する接点バネと、
前記スペーサとで前記可動接触片を前記移動方向から挟持する挟持部と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離した状態において、前記駆動軸の前記鍔部によって前記第2方向に押圧される押圧部とを含み、前記スペーサに結合されるストッパと、
前記駆動軸を前記移動方向に移動させる駆動装置と、
を備えた、電磁継電器。
【請求項2】
前記スペーサは、前記可動接触片の長手方向及び短手方向において前記可動接触片を位置決めする位置決め部を含み
前記可動接触片は、前記位置決め部に係合する係合部を含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記ストッパは、スナップフィットにより前記スペーサに結合される、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
第2固定接点を含む第2固定端子と、
前記第1固定接点に対向して配置される第1可動接点と、前記第2固定接点に対向して配置される第2可動接点とを含み、前記第1可動接点から前記第1固定接点に向かう第1方向と、前記第1固定接点から前記第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能な可動接触片と、
前記移動方向に延びる軸部と、前記軸部から張り出した鍔部とを含み、前記可動接触片から前記第2方向に離れて配置される駆動軸と、
前記可動接触片と前記駆動軸との間に配置されるスペーサと、
前記スペーサと前記駆動軸との間に配置され、前記移動方向において前記スペーサと前記駆動軸とを互いに離れる方向に付勢する接点バネと、
前記スペーサとで前記可動接触片を前記移動方向から挟持する挟持部と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離した状態において、前記駆動軸の前記鍔部によって前記第2方向に押圧される押圧部とを含み、前記スペーサに結合されるストッパと、
前記駆動軸を前記移動方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記スペーサは、前記ストッパによって前記可動接触片の短手方向から挟持される1対の被挟持部を含み、
前記ストッパは、前記1対の被挟持部を挟持する1対の側部と、前記1対の被挟持部の前記第2方向の端部と係合する1対の爪部と、をさらに含む、
電磁継電器。
【請求項5】
前記1対の爪部は、前記第2方向の面が内側から外側に向かって前記第2方向に傾斜する、
請求項4に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記可動接触片の短手方向から前記1対の側部を囲むように配置された壁部をさらに備えた、
請求項4又は5に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記ストッパの前記押圧部は、前記1対の爪部に形成されている、
請求項4から6のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記ストッパは、絶縁材で形成されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記スペーサは、前記スペーサの成形時に樹脂が注入されるゲート口を含み、
前記スペーサの前記ゲート口は、前記可動接触片に覆われている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項10】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
第2固定接点を含む第2固定端子と、
前記第1固定接点に対向して配置される第1可動接点と、前記第2固定接点に対向して配置される第2可動接点とを含み、前記第1可動接点から前記第1固定接点に向かう第1方向と、前記第1固定接点から前記第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能な可動接触片と、
前記移動方向に延びる軸部と、前記軸部から張り出した鍔部とを含み、前記可動接触片から前記第2方向に離れて配置される駆動軸と、
前記可動接触片と前記駆動軸との間に配置されるスペーサと、
前記スペーサと前記駆動軸との間に配置され、前記移動方向において前記スペーサと前記駆動軸とを互いに離れる方向に付勢する接点バネと、
前記スペーサとで前記可動接触片を前記移動方向から挟持する挟持部と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離した状態において、前記駆動軸の前記鍔部によって前記第2方向に押圧される押圧部とを含み、前記スペーサに結合されるストッパと、
前記駆動軸を前記移動方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記ストッパは、前記ストッパの成形時に樹脂が注入されるゲート口を含み、
前記ストッパの前記ゲート口は、前記可動接触片に覆われている、
電磁継電器。
【請求項11】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
第2固定接点を含む第2固定端子と、
前記第1固定接点に対向して配置される第1可動接点と、前記第2固定接点に対向して配置される第2可動接点とを含み、前記第1可動接点から前記第1固定接点に向かう第1方向と、前記第1固定接点から前記第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能な可動接触片と、
前記移動方向に延びる軸部と、前記軸部から張り出した鍔部とを含み、前記可動接触片から前記第2方向に離れて配置される駆動軸と、
前記可動接触片と前記駆動軸との間に配置されるスペーサと、
前記スペーサと前記駆動軸との間に配置され、前記移動方向において前記スペーサと前記駆動軸とを互いに離れる方向に付勢する接点バネと、
前記スペーサとで前記可動接触片を前記移動方向から挟持する挟持部と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離した状態において、前記駆動軸の前記鍔部によって前記第2方向に押圧される押圧部とを含み、前記スペーサに結合されるストッパと、
前記駆動軸を前記移動方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記スペーサは、前記第2方向に開口する
有底筒状のバネ収容部を含み、
前記鍔部は、前記バネ収容部に配置されている、
電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固定接点を含む固定端子と、固定接点に接触可能な可動接点を含む可動接触片と、駆動軸と、接点バネと、駆動装置とを備えた電磁継電器が開示されている。駆動装置は、電磁力によって駆動軸を移動させる。駆動軸の移動に伴い、可動接触片が移動することで、可動接点が固定接点に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電磁継電器では、駆動軸及び接点バネが可動接触片に接触して配置されているため、駆動軸が移動したときに可動接触片が駆動軸及び接点バネと摺動して、摩耗粉が発生するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、電磁継電器において、可動接触片の摩耗粉の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、第1固定端子と、第2固定端子と、可動接触片と、駆動軸と、スペーサと、接点バネと、ストッパと、駆動装置とを備える。第1固定端子は、第1固定接点を含む。第2固定端子は、第2固定接点を含む。可動接触片は、第1固定接点に対向して配置される第1可動接点と、第2固定接点に対向して配置される第2可動接点とを含む。可動接触片は、第1可動接点から第1固定接点に向かう第1方向と、第1固定接点から第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能である。駆動軸は、可動接触片から第2方向に離れて配置される。駆動軸は、移動方向に延びる軸部と、軸部から張り出した鍔部とを含む。スペーサは、可動接触片と駆動軸との間に配置される。接点バネは、スペーサと駆動軸との間に配置され、移動方向においてスペーサと駆動軸とを互いに離れる方向に付勢する。ストッパは、スペーサに結合される。ストッパは、挟持部と、押圧部とを含む。挟持部は、スペーサとで可動接触片を移動方向から挟持する。押圧部は、第1可動接点が第1固定接点から開離した状態において、駆動軸の鍔部によって第2方向に押圧される。駆動装置は、駆動軸を移動方向に移動させる。
【0007】
この電磁継電器では、駆動軸が可動接触片から離れて配置され、接点バネがスペーサと駆動軸との間に配置される。すなわち、可動接触片は、駆動軸及び接点バネと直接接触していないので、可動接触片の駆動軸及び接点バネとの摺動による摩耗粉が発生しない。これにより、可動接触片の摩耗粉の発生を抑制できる。また、ストッパは、第1可動接点が第1固定接点から開離した状態において、駆動軸の鍔部によって第2方向に押圧される。これにより、移動方向において、可動接触片をストッパによってスペーサに強固に固定できる。
【0008】
スペーサは、可動接触片の長手方向及び短手方向において可動接触片を位置決めする位置決め部を含んでもよい。可動接触片は、位置決め部に係合する係合部を含んでもよい。この場合は、スペーサに対する可動接触片の短手方向及び長手方向へのずれを抑制できる。
【0009】
ストッパは、スナップフィットによりスペーサに結合されてもよい。この場合は、簡単な方法で可動接触片をスペーサに固定できる。また、インサート成形などの方法でスペーサと可動接触片とを固定する場合に比べて、製造コストを削減できる。
【0010】
スペーサは、ストッパによって可動接触片の短手方向から挟持される1対の被挟持部を含んでもよい。ストッパは、1対の被挟持部を挟持する1対の側部と、1対の被挟持部の第2方向の端部と係合する1対の爪部と、をさらに含んでもよい。この場合は、ストッパとスペーサとのスナップフィットによる結合を簡単な構成で実現できる。
【0011】
1対の爪部は、第2方向の面が内側から外側に向かって第2方向に傾斜してもよい。この場合は、ストッパとスペーサとのスナップフィットによる結合がし易くなる。
【0012】
電磁継電器は、可動接触片の短手方向から1対の側部を囲むように配置された壁部をさらに備えてもよい。この場合は、壁部によってストッパとスペーサとの結合が外れることを抑制できる。
【0013】
ストッパの押圧部は、1対の爪部に形成されてもよい。この場合は、1対の爪部を押圧部として機能させることができるので、ストッパの構成が簡易になる。
【0014】
ストッパは、絶縁材で形成されてもよい。この場合は、ストッパによって接点装置と駆動装置との間の絶縁性を確保することができる。
【0015】
スペーサは、スペーサの成形時に樹脂が注入されるゲート口を含んでもよい。スペーサのゲート口は、可動接触片に覆われてもよい。この場合は、スペーサのゲート口から発生した屑が接点に付着することを抑制できる。
【0016】
ストッパは、ストッパの成形時に樹脂が注入されるゲート口を含んでもよい。ストッパのゲート口は、可動接触片に覆われてもよい。この場合は、ストッパのゲート口から発生した屑が接点に付着することを抑制できる。
【0017】
スペーサは、第2方向に開口するバネ収容部を含んでもよい。鍔部は、バネ収容部に配置されてもよい。この場合は、鍔部によってバネ収容部の開口を塞ぐことができるので、接点バネの摺動によって発生した摩耗紛が接点に付着することを抑制できる。
【0018】
本発明によれば、電磁継電器において、可動接触片の摩耗粉の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】電磁継電器を前後方向と直交する平面で切断した断面図である。
【
図4】可動接触片周辺を左右方向と直交する平面で切断した断面図である。
【
図8】変形例に係る可動接触片周辺の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器100の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、X1方向を左方向、X2方向を右方向、Y1方向を前方向、Y2方向を後方向、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器100の配置方向を限定するものではない。なお、本実施形態において、Z1方向は、第1方向の一例であり、Z2方向は、第2方向の一例である。また、上下方向は、移動方向の一例である。
【0021】
図1に示すように、電磁継電器100は、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4と、を備えている。
【0022】
ケース2は、略四角形の箱型であり、樹脂などの絶縁材で形成されている。ケース2は、左壁2aと、右壁2bと、上壁2cと、下壁2dと、図示しない前壁及び後壁とを含む。各壁部は、ケース2における外壁である。また、ケース2は、内側支持部21,22と、外側支持部23,24とを含む。
【0023】
内側支持部21は、左壁2aの内面から右方向に突出して形成されている。内側支持部22は、右壁2bの内面から左方向に突出して形成されている。内側支持部21,22の上面は、平坦に形成されている。
【0024】
外側支持部23は、左壁2aの外面から左方向に突出して形成されている。外側支持部24は、内側支持部21よりも下方に配置されている。外側支持部24は、右壁2bの外面から右方向に突出して形成されている。外側支持部24は、内側支持部22よりも下方に配置されている。外側支持部23,24の上面は、平坦に形成されている。
【0025】
接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、可動機構11とを含む。
【0026】
第1固定端子6及び第2固定端子7は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子6及び第2固定端子7は、左右方向に延びるとともに、屈曲した形状を有している。第1固定端子6及び第2固定端子7は、ケース2の内部と外部とに亘って延びている。
【0027】
第1固定端子6は、第1固定接点6aと、接点支持部6bと、延伸部6cと、外部接続部6eとを含む。第1固定接点6aは、ケース2の内部に配置されている。接点支持部6bは、第1固定接点6aを支持する。延伸部6cは、接点支持部6bから左方向に延びている。延伸部6cは、内側支持部21の上面に支持されている。外部接続部6eは、左壁2aから外部に露出している。配置されている。外部接続部6eは、左右方向に延びており、外側支持部23の上面に支持されている。外部接続部6eは、バスバーなどの図示しない外部端子に接続される。
【0028】
第2固定端子7は、第1固定端子6と左右方向に離れて配置されている。第2固定端子7は、第2固定接点7aと、接点支持部7bと、延伸部7cと、外部接続部7eとを含む。第2固定端子7は、第1固定端子6と左右対称形状であるため詳細な説明は省略する。
【0029】
可動接触片8は、一方向に長い板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片8は、ケース2の内部に配置されている。可動接触片8は、ケース2の内部で左右方向に延びている。可動接触片8の長手方向は、左右方向と一致する。可動接触片8の短手方向は、前後方向と一致する。
【0030】
可動接触片8は、第1可動接点8aと、第2可動接点8bと、係合部8cとを含む。第1可動接点8aは、第1固定接点6aに対向して配置されている。第2可動接点8bは、第2固定接点7aに対向して配置されている。係合部8cは、可動接触片8の長手方向の中心付近において、可動接触片8の短手方向の両端から内側に凹むように形成されている。
【0031】
可動接触片8は、上下方向に移動可能である。詳細には、可動接触片8は、第1方向と第2方向とを含む移動方向に移動可能である。第1方向は、第1可動接点8aから第1固定接点6aに向かう方向であり、本実施形態では上方向(Z1方向)である。第2方向は、第1固定接点6aから第1可動接点8aに向かう方向であり、本実施形態では下方向(Z2方向)である。
【0032】
可動機構11は、
図1から
図5に示すように、駆動軸31と、スペーサ32と、接点バネ33と、ストッパ34とを含む。
【0033】
駆動軸31は、樹脂などの絶縁材、或いは金属で形成されている。
図1及び
図4に示すように、駆動軸31は、可動接触片8から下方向に離れて配置されており、可動接触片8と直接接触していない。駆動軸31は、上下方向から見て、可動接触片8と重なる。駆動軸31は、可動接触片8、スペーサ32及びストッパ34に対して上下方向に相対移動可能である。
【0034】
駆動軸31は、軸部31aと、鍔部31bと、支持突起31cとを含む。軸部31aは、上下方向に延びている。鍔部31bは、駆動軸31の上端に形成されている。鍔部31bは、軸部31aから張り出しており、軸部31aよりも外径が大きい。鍔部31bは、軸部31aと直交する方向に延びている。支持突起31cは、鍔部31bの中央から上方に突出して形成されている。支持突起31cの外径は、鍔部31bの外径よりも小さい。
【0035】
スペーサ32は、下方に開口する略四角形の箱型であり、樹脂などの絶縁材で形成されている。スペーサ32は、可動接触片8と駆動軸31との間に配置されている。スペーサ32の上面は、可動接触片8の下面に接触して配置されており、下方向において可動接触片8を支持する。
【0036】
スペーサ32は、位置決め部32aと、1対の被挟持部32bと、1対の突起32c,32dと、バネ収容部32e、支持突起32fとを含む。位置決め部32aは、スペーサ32の上面に形成されている。位置決め部32aは、可動接触片8の係合部8cと係合する。これにより、スペーサ32に対する可動接触片8の短手方向及び長手方向へのずれが抑制されている。1対の被挟持部32bは、スペーサ32の前面及び後面に配置されており、ストッパ34によって前後方向から挟持される。1対の突起32c,32dは、1対の被挟持部32bの左右方向の両端に形成されている。1対の突起32c,32dは、上下方向に延びている。1対の突起32c,32dは、ストッパ34の左右方向のずれを抑制する。なお、
図5に示すように、スペーサ32は、スペーサ32の成形時に樹脂が注入されるゲート口32gを含む。ゲート口32gは、外部に露出しない位置に設けられている。本実施形態では、ゲート口32gは、可動接触片8と上下方向に重なる位置に設けられており、可動接触片8に覆われている。
【0037】
バネ収容部32eは、
図4に示すように、下方に開口しており、接点バネ33が収容される。駆動軸31の鍔部31b及び支持突起31cは、バネ収容部32eに配置されている。支持突起32fは、バネ収容部32eの底部から下方に突出して形成されている。支持突起32fは、駆動軸31の支持突起31cと上下方向に対向している。
【0038】
接点バネ33は、上下方向に圧縮された状態で、スペーサ32と駆動軸31の鍔部31bとの間に配置されている。接点バネ33は、上下方向においてスペーサ32と駆動軸31とを互いに離れる方向に付勢する。接点バネ33は、バネ収容部32eに収容されている。接点バネ33は、駆動軸31の鍔部31bとバネ収容部32eの底部に接触して配置されている。接点バネ33は、上端がスペーサ32の支持突起32fに装着され、下端が駆動軸31の支持突起31cに装着されている。
【0039】
ストッパ34は、スペーサ32に結合されている。ストッパ34は、スナップフィットによりスペーサ32に結合されている。本実施形態では、ストッパ34は、樹脂などの絶縁材で形成されている。ストッパ34は、バネ性を有している。
【0040】
ストッパ34は、
図6に示すように、挟持部34aと、1対の側部34bと、1対の爪部34cと、1対の押圧部34dとを含む。挟持部34aは、前後方向に延びている。挟持部34aは、可動接触片8の長手方向の中心に配置されている。挟持部34aは、可動接触片8の上部において、可動接触片8を前後方向に横断して配置されている。挟持部34aは、上下方向において、係合部8c及び位置決め部32aと重なる。挟持部34aは、スペーサ32とで可動接触片8を前後方向から挟持する。すなわち、可動接触片8は、スペーサ32の上面とストッパ34の挟持部34aとによって上下方向から挟持されている。これにより、可動接触片8は、スペーサ32及びストッパ34に対して固定される。
【0041】
1対の側部34bは、挟持部34aの左右方向の両端から下方に延びている。1対の側部34bは、互いに前後方向に対向して配置されている。1対の側部34bは、スペーサ32の1対の被挟持部32bを前後方向から挟持する。1対の側部34bは、左右方向において、1対の突起32c,32dに係合する。すなわち、1対の側部34bは、1対の突起32c,32dによって左右方向から挟まれている。
【0042】
1対の爪部34cは、1対の側部34bの下端に形成されている。1対の爪部34cは、1対の側部34bの下端から駆動軸31に向かって延びている。1対の爪部34cは、1対の被挟持部32bの下端と係合する。これにより、ストッパ34は、スペーサ32に結合されている。1対の爪部34cは、上面が平坦に形成されている。1対の爪部34cは、下面がテーパ状に形成されており、内側から外側に向かって下方に傾斜している。
【0043】
1対の押圧部34dは、1対の爪部34cの上面に形成されている。1対の押圧部34dは、第1可動接点8aが第1固定接点6aから開離した状態(
図1に示す状態)において、駆動軸31の鍔部31bによって下方向に押圧されている。1対の押圧部34dは、第1可動接点8aが第1固定接点6aに接触した状態では、駆動軸31の鍔部31bによって下方向に押圧されていない。
【0044】
図6に示すように、ストッパ34は、ストッパ34の成形時に樹脂が注入されるゲート口34eを含む。ゲート口34eは、外部に露出しない位置に設けられている。本実施形態では、ゲート口34eは、挟持部34aの下面において、可動接触片8と上下方向に重なる位置に設けられており、可動接触片8に覆われている。
【0045】
駆動装置4は、ケース2に収容されている。駆動装置4は、可動機構11を介して可動接触片8を上下方向に移動させる。駆動装置4は、駆動軸31を上下方向に移動させることで、可動接触片8を上下方向に移動させる。駆動装置4は、コイル12と、可動鉄心13と、固定鉄心14と、ヨーク15と、復帰バネ16とを含む。
【0046】
コイル12は、電圧が印加されて励磁されると、可動鉄心13を上方向に移動させる電磁力を発生させる。可動鉄心13は、駆動軸31の軸部31aに一体移動可能に固定されている。固定鉄心14は、可動鉄心13の上方で可動鉄心13と対向して配置されている。ヨーク15は、コイル12を囲むように配置されている。ヨーク15は、固定鉄心14に接続されている。復帰バネ16は、可動鉄心13を下方向に付勢する。
【0047】
電磁継電器100の動作は、概ね従来と同様であるため簡略に説明する。
図3は、コイル12が励磁されていない状態を示している。この状態では、第1可動接点8aが第1固定接点6aから離れており、第2可動接点8bが第2固定接点7aから離れている。コイル12が励磁されると、可動鉄心13が復帰バネ16の付勢力に抗して駆動軸31とともに上方向に移動する。駆動軸31の移動により、可動接触片8が接点バネ33及びスペーサ32を介して上方向に押圧されて、可動接触片8が上方向に移動する。これにより、第1可動接点8aが第1固定接点6aに接触し、第2可動接点8bが第2固定接点7aに接触する。
【0048】
コイル12への電圧の印加が停止されると、復帰バネ16の付勢力によって可動鉄心13とともに駆動軸31が下方向に移動する。これにより、駆動軸31の鍔部31bがストッパ34の1対の押圧部34dを押圧することで、可動接触片8が下方向に移動し、第1可動接点8aが第1固定接点6aから開離し、第2可動接点8bが第2固定接点7aから開離する。
【0049】
電磁継電器100は、インナー部材40をさらに備えている。インナー部材40は、可動機構11の移動を案内する。インナー部材40は、コイル12の上方に配置されている。インナー部材40は、上方向に開口する略四角形の箱型であり、一部或いは全体が樹脂などの絶縁材で形成されている。インナー部材40は、
図7に示すように、1対の側部34bを前後方向から囲むように配置された壁部40aを含む。壁部40aは、1対の側部34bと前後方向に対向して配置されている。壁部40aは、1対の被挟持部32bから離れる方向に1対の側部34bが開くことを抑制する。すなわち、1対の爪部34cが1対の被挟持部32bから外れて、スナップフィットによるストッパ34とスペーサ32との結合が外れることを抑制する。
【0050】
上記構成の電磁継電器100では、駆動軸31が可動接触片8から離れて配置され、接点バネ33がスペーサ32と駆動軸31との間に配置される。すなわち、可動接触片8は、駆動軸31及び接点バネ33と直接接触していないので、可動接触片8の駆動軸31及び接点バネ33との摺動による摩耗粉が発生しない。これにより、可動接触片8の摩耗粉の発生を抑制できる。また、ストッパ34は、第1可動接点8aが第1固定接点6aから開離した状態において、駆動軸31の鍔部31bによって下方向に押圧される。これにより、上下方向において、可動接触片8をストッパ34によってスペーサ32に強固に固定できる。
【0051】
また、スナップフィットによるストッパ34とスペーサ32との結合によって、可動接触片8がスペーサ32に固定されるので、簡単な方法で可動接触片8をスペーサ32に固定できる。また、インサート成形などの方法でスペーサ32と可動接触片8とを固定する場合に比べて、製造コストを削減できる。また、ストッパ34を絶縁材が絶縁材で形成されているので、ストッパ34によって接点装置3と駆動装置4との間の絶縁性を確保することが可能になる。
【0052】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
図8に示すように、例えば、スペーサ32、ストッパ34の形状が変更されてもよい。
図8では、ストッパ34が金属で形成されている。スペーサ32は、1対の爪部50を含む。1対の爪部50は、1対の被挟持部32bの下端に形成されている。1対の爪部50は、内側から外側に向かって突出している。ストッパ34は、1対の爪部50が係合する係合部52と、駆動軸31の鍔部31bに押圧される1対の押圧部54とを含む。係合部52は、1対の側部34bを前後方向に貫通して形成された開口である。1対の押圧部54は、係合部52の下部に配置されている。1対の押圧部54は、1対の側部34bの一部を切り曲げて形成されている。
【符号の説明】
【0054】
4 駆動装置
6 第1固定端子
6a 第1固定接点
7 第2固定端子
7a 第2固定接点
8 可動接触片
8a 第1可動接点
8b 第2可動接点
31 駆動軸
31a 軸部
31b 鍔部
32 スペーサ
33 接点バネ
34 ストッパ
34a 挟持部
34d 1対の押圧部(押圧部の一例)
100 電磁継電器