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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】容器計測システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240312BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E02F9/26 B
G01B11/24 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021036652
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136849
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】細 幸広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
(72)【発明者】
【氏名】邱 進軍
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035380(JP,A)
【文献】特開2017-157016(JP,A)
【文献】特開2016-089388(JP,A)
【文献】特開2001-055762(JP,A)
【文献】特開2000-192514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0040555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器への積込作業を行う作業機械に設けられ、前記容器の距離画像を取得可能な距離画像取得手段と、
取得された前記距離画像に基づいて、前記容器の三次元位置および三次元形状を含む三次元情報を算出する算出手段と、
複数種類の前記容器の三次元形状を記憶する記憶手段と、
算出された前記容器の三次元形状と、前記記憶手段が記憶する複数種類の前記容器の三次元形状とに基づいて、算出された前記容器の種類を特定する特定手段と、
特定された種類の前記容器の三次元形状に基づいて、算出された前記容器の三次元情報を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする容器計測システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記記憶手段が記憶する複数種類の前記容器の三次元形状の中から、算出された前記容器の三次元形状に最も近い三次元形状の前記容器を選択することで、算出された前記容器の種類を特定することを特徴とする請求項1に記載の容器計測システム。
【請求項3】
表示装置と、
取得された前記容器の前記距離画像と、補正された前記容器の三次元位置とを位置合わせした上で、補正された前記容器の三次元情報を前記距離画像に重畳させて重畳画像にする重畳手段と、
前記重畳画像を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器計測システム。
【請求項4】
前記距離画像に含まれるように前記容器に設けられた目印を有し、
前記重畳手段は、前記目印を基準にして、前記距離画像と、補正された前記容器の三次元位置とを位置合わせすることを特徴とする請求項3に記載の容器計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の三次元情報を算出する容器計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、容器の三次元情報を算出する技術が記載されている。同文献に記載の技術では、容器の4つの特徴点をカメラで撮影し、各特徴点の三次元位置が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-064359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、特徴点をカメラで適切に撮影できない場合などにおいて、特徴点の三次元情報を安定して算出することが困難である。その結果、容器の三次元情報を安定して算出することが困難である。
【0005】
そこで、ディープラーニングを用いて特徴点の抽出を行うことで、特徴点をカメラで適切に撮影できない場合であっても、特徴点の三次元情報を安定して算出することができる。しかし、ディープラーニングを用いても、特徴点を正確に抽出することができない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、容器の三次元情報を正確に算出することが可能な容器計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器への積込作業を行う作業機械に設けられ、前記容器の距離画像を取得可能な距離画像取得手段と、取得された前記距離画像に基づいて、前記容器の三次元位置および三次元形状を含む三次元情報を算出する算出手段と、複数種類の前記容器の三次元形状を記憶する記憶手段と、算出された前記容器の三次元形状と、前記記憶手段が記憶する複数種類の前記容器の三次元形状とに基づいて、算出された前記容器の種類を特定する特定手段と、特定された種類の前記容器の三次元形状に基づいて、算出された前記容器の三次元情報を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、取得された容器の距離画像に基づいて、容器の三次元位置および三次元形状を含む三次元情報が算出される。そして、算出された容器の三次元形状と、記憶手段が記憶する複数種類の容器の三次元形状とに基づいて、算出された容器の種類が特定される。容器の種類が特定されると、特定された種類の容器の三次元形状に基づいて、算出された容器の三次元情報が補正される。このように、容器の三次元情報を補正することで、容器の距離画像から算出された容器の三次元情報に誤りがあっても、容器の三次元情報を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】輸送車および作業機械の側面図である。
図2】作業機械から輸送車を見た図である。
図3】容器計測システムのブロック図である。
図4】容器の三次元情報を示す図である。
図5】特徴点のチェック方法の説明図である。
図6】第1重畳画像を示す図である。
図7】第2重畳画像を示す図である。
図8】容器計測処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(輸送車の構成)
本発明の実施形態による容器計測システムは、容器の三次元情報を算出するものである。輸送車10および作業機械20の側面図である図1に示すように、輸送車10は、容器12を有する車両である。輸送車10は、作業機械20によって積み込まれた物(積込対象物)を輸送するための車両であり、ダンプカーでもよく、トラックでもよい。
【0012】
輸送車10は、本体部11と、容器12と、を備える。本体部11は、走行可能であり、容器12を支持する。本体部11は、運転室11aを備える。容器12は、運転室11aよりも、輸送車10における後側に配置される。
【0013】
容器12は、輸送車10の荷台である。容器12は、例えば蓋を有さない箱形などである(図2参照)。容器12は、平面部13を備える。容器12は、積込対象物を収容する。容器12に収容される積込対象物は、例えば、土砂でもよく、廃棄物(産業廃棄物など)でもよい。容器12は、本体部11に対して可動でもよく、本体部11に固定されてもよい。なお、容器12は、輸送車10の荷台でなくてもよく、例えば地面などに直接置かれていてもよい。
【0014】
以下では、輸送車10に関する方向について、運転室11aから容器12に向かう側を「輸送車後側」、容器12から運転室11aに向かう側を「輸送車前側」という。
【0015】
作業機械20から輸送車10を見た図である図2に示すように、平面部13は、容器12のうち、平面状または略平面状の部分である。平面部13は、全体として平面状または略平面状であればよい。平面部13は、凹凸を有してもよく、緩やかな曲面を有してもよい。
【0016】
平面部13は、床面13aと、後部あおり板面13bと、側部あおり板面13cと、鳥居面13dと、を備える。床面13aは、容器12の底面(下側の面)である。後部あおり板面13bは、容器12の輸送車後側の面であり、床面13aの輸送車後側の部分から上に突出する。側部あおり板面13cは、容器12の左右の面であり、床面13aの左右の端部から上に突出する。鳥居面13dは、容器12の輸送車前側の面であり、床面13aの輸送車前側の部分から上に突出する。鳥居面13dは、側部あおり板面13cよりも上に突出し、後部あおり板面13bよりも上に突出する。
【0017】
(作業機械の構成)
図1に示すように、作業機械20は、容器12に積込対象物を積み込む作業(積込作業)を行う機械である。作業機械20は、例えば、積込対象物をすくうことが可能でもよく、積込対象物を挟んで掴むことが可能でもよい。作業機械20は、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えば油圧ショベルなどである。
【0018】
作業機械20は、下部走行体21と、上部旋回体23と、アタッチメント25と、を備える。下部走行体21は、作業機械20を走行させる。下部走行体21は、例えばクローラを備える。上部旋回体23は、下部走行体21に旋回可能に搭載される。上部旋回体23は、キャブ23aを備える。
【0019】
アタッチメント25は、積込対象物を移動させる部分である。アタッチメント25は、ブーム25aと、アーム25bと、先端アタッチメント25cと、を備える。ブーム25aは、上部旋回体23に起伏可能(上下に回転可能)に取り付けられる。アーム25bは、ブーム25aに回転可能(押し引き可能)に取り付けられる。先端アタッチメント25cは、アタッチメント25の先端部に設けられ、アーム25bに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント25cは、積込対象物(例えば土砂)をすくうバケットでもよく、積込対象物を挟んで掴む装置(グラップルなど)でもよい。
【0020】
(容器計測システムの構成)
容器計測システムは、容器12の三次元の情報(三次元情報)を計測するシステムである。「容器12の三次元情報」は、三次元位置(三次元座標)および三次元形状を含む情報である。容器計測システムは、作業機械20に対する容器12の位置、方向、および形状を計測する。
【0021】
容器計測システム30のブロック図である図3に示すように、容器計測システム30は、距離画像取得部40と、ディスプレイ(表示装置)50と、コントローラ60と、データ格納部70と、を備える。
【0022】
距離画像取得部(距離画像取得手段)40は、図2に示すような、容器12を含む距離画像Dを取得する。距離画像Dは、距離の情報(奥行の情報)を含む画像である。距離画像取得部40は、作業機械20に設けられる。距離画像取得部40は、作業機械20が積込作業を行う際に、容器12および容器12の周辺部の距離画像Dを取得可能となる位置に配置される。距離画像取得部40は、例えば、キャブ23aの内部に配置(設置)されてもよく、キャブ23aの外部に配置されてもよく、図1に示す例ではキャブ23aの上面に配置される。なお、距離画像取得部40は、容器12の距離画像Dを取得できるように、容器12を自動追尾してもよい。
【0023】
図3に示すように、距離画像取得部40は、二次元情報取得部42と、三次元情報取得部43と、を備える。二次元情報取得部42は、容器12を含む二次元の情報(画像)を取得する(撮像する)。二次元情報取得部42は、カメラなどである。
【0024】
三次元情報取得部43は、容器12の三次元の情報(点群データ)を取得する。三次元情報取得部43は、三次元情報取得部43から容器12の各部(詳細は後述)までの距離を計測する。具体的には例えば、三次元情報取得部43は、LiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)を備えてもよく、ステレオカメラを備えてもよく、TOF(Time Of Flight)センサを備えてもよい。
【0025】
ディスプレイ50は、輸送車10の運転室11aに設けられてもよく、作業機械20のキャブ23aに設けられてもよく、輸送車10の外部かつ作業機械20の外部に設けられてもよい。
【0026】
コントローラ60は、信号の入出力、判定、算出などの演算、情報の記憶などを行う。コントローラ60は、画像処理部61と、位置座標推定部62と、三次元座標取得部63と、座標変換部64と、第1重畳部65と、特徴点位置検出部66と、を有している。
【0027】
画像処理部61は、二次元情報取得部42が取得した画像の前処理を行う。前処理は、画像からノイズを除去したり、画像内のエッジを強調したりする処理である。
【0028】
位置座標推定部62は、画像処理部61で前処理された画像から、容器12の形状を推定する。具体的には、図2に示すように、位置座標推定部62は、特徴点F(F1~F8)の画像における位置、および、リンクL(L1~L9)の画像における位置を抽出(認識、推定)する。位置座標推定部62は、例えば、画像から特定の形状を抽出するソフトウェアを実行することで、特徴点FおよびリンクLを抽出する。例えば、このソフトウェアは、ディープラーニング技術を用いたものなどである。これにより、位置座標推定部62は、容器12を含む画像、特徴点Fの画像における位置、および、リンクLの画像における位置を含む二次元情報を取得する。
【0029】
図2に示すように、特徴点Fは、平面部13の角に対応する点である。リンクLは、特徴点F同士を結んだ線分であり、例えば平面部13の辺に対応する。図2に示す例では、特徴点Fの位置は、鳥居面13dの上端の2点の位置(F1、F2)、側部あおり板面13c・13cの輸送車前側の上端の2点の位置(F3、F4)、および、後部あおり板面13bの角の4点の位置(F5~F8)にそれぞれ対応する。例えば鳥居面13dの下端が画像に映っている場合は、鳥居面13d下端の位置が特徴点Fとして抽出されてもよい(図1参照)。
【0030】
図2に示す例では、リンクLの位置は、鳥居面13dのうち側部あおり板面13cよりも上側部分の四角形の4辺の位置(L1~L4)の位置にそれぞれ対応する。また、リンクLの位置は、側部あおり板面13cの上辺の位置(L5、L6)、および、後部あおり板面13bの4辺(さらに詳しくは、後部あおり板面13bとほぼ重なる四角形の4辺)(L7~L10)にそれぞれ対応する。
【0031】
図3に戻って、三次元座標取得部63は、三次元情報取得部43が撮像した点群データの各々の三次元座標を取得する。座標変換部64は、点群データの各々の三次元座標を透視投影変換して、点群データの各々の二次元座標を取得する。この二次元座標の座標系は、二次元情報取得部42が取得した画像の座標系と一致する。
【0032】
第1重畳部65は、座標変換部64が取得した点群データの各々の二次元座標と、位置座標推定部62が推定した容器12の形状とを重畳させる。これにより、点群データの中から、図2に示す特徴点Fに対応する点がわかる。
【0033】
なお、機械座標などの座標系を用いて、点群データの各々の二次元座標と、推定した容器12の形状とを重畳させてもよい。機械座標は、作業機械20の特定の位置を原点とした座標である。機械座標の座標系を用いる場合、点群データの各々の二次元座標の座標系を、機械座標の座標系に一致させるとともに、二次元情報取得部42が取得した画像の座標系を、機械座標の座標系に一致させる。
【0034】
特徴点位置検出部(算出手段)66は、図2に示す特徴点FおよびリンクLの三次元座標を検出(算出)する。具体的には、特徴点位置検出部66は、第1重畳部65で容器12の形状と重畳された点群データのうち、図2に示す特徴点Fに対応する点の三次元座標を検出することで、特徴点Fの位置に対応する平面部13の角の三次元座標を算出する。その結果、特徴点FをつなぐリンクLの三次元情報も算出される。この算出により、容器12(具体的には特徴点FおよびリンクL)の三次元情報が得られる。
【0035】
特徴点位置検出部66が検出した容器12の三次元情報を図4に示す。図4に示す例では、〇で囲ったように、8つの特徴点F(F1~F8)のうち、特徴点F1の三次元情報に誤りがある。このように、ディープラーニング技術などを用いても、特徴点を正確に抽出することができない場合がある。
【0036】
また、図3に示すように、コントローラ60は、容器形状検出部67と、容器特定部68と、特徴点補正部69と、第2重畳部71と、第3重畳部72と、表示制御部73と、を有している。
【0037】
容器形状検出部67は、特徴点位置検出部66が算出した特徴点Fの三次元座標、および、リンクLの三次元情報から、容器12の三次元形状を検出する。
【0038】
容器形状検出部67は、検出した容器12の三次元形状において、8つの特徴点F(F1~F8)の各々をチェックする。そして、容器形状検出部67は、三次元座標が正しい特徴点Fが3つ以上であれば、検出した容器12の三次元形状を採用する。一方、容器形状検出部67は、三次元座標が正しい特徴点Fが3つ未満であれば、検出した容器12の三次元形状を不採用とする。この場合、特徴点位置検出部66による、特徴点FおよびリンクLの三次元座標の検出(算出)をやり直す。
【0039】
8つの特徴点Fをそれぞれチェックする方法は、以下のとおりである。まず、特徴点のチェック方法の説明図である図5に示すように、特徴点F1を基準とし、特徴点F1から特徴点F2に向かうベクトルAと、特徴点F1から特徴点F3に向かうベクトルBとの内積をとる。そして、ベクトル同士の角度をθとすると、cosθが0か否かを判定する。そして、cosθが0であれば、特徴点F1の三次元座標は正しいと判定し、cosθが0でなければ、特徴点F1の三次元座標は誤っていると判定する。なお、8つの特徴点Fの各々の三次元座標の原点は、作業機械20の任意の位置に設定される。
【0040】
次に、特徴点F2を基準とし、特徴点F2から特徴点F4に向かうベクトルCと、特徴点F2から特徴点F1に向かうベクトル(-A)(ベクトルAとは逆方向のベクトル)との内積をとる。そして、同様の判定を行う。このような判定を、8つの特徴点F1~F8の各々で行う。
【0041】
図3に戻って、データ格納部(記憶手段)70は、複数種類の容器の三次元形状を予め記憶している。容器特定部(特定手段)68は、算出された容器12の三次元形状と、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状とに基づいて、算出された容器12の種類を特定する。
【0042】
ここで、容器特定部68は、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状の中から、算出された容器12の三次元形状に最も近い三次元形状の容器を選択することで、容器の種類を特定する。
【0043】
距離画像から算出された容器の三次元情報に誤りがある場合、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状の中に、距離画像から算出された容器12の三次元形状に一致する三次元形状の容器がない場合がある。このような場合であっても、算出された容器12の三次元形状に最も近い三次元形状の容器を選択することで、容器12の種類を好適に特定することができる。
【0044】
特徴点補正部(補正手段)69は、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状のうち、特定された種類の容器の三次元形状に基づいて、算出された容器12の三次元情報を補正する。このように、容器12の三次元情報を補正することで、距離画像から算出された容器12の三次元情報に誤りがあっても、容器12の三次元情報を正確に算出することができる。
【0045】
容器12の三次元情報は、様々な制御に用いることができる。例えば、作業機械20の自動操縦に用いられてもよく、作業機械20の操作のアシストに用いられてもよい。また、作業機械20と容器12との衝突を回避するための制御や、作業機械20と容器12との相対位置を自動的に変える制御、作業機械20と容器12との相対位置をオペレータなどに知らせる制御などに用いられてもよい。また、先端アタッチメント25cの現在の位置から、積込対象物を解放する位置(解放位置(例えば排土位置))までの先端アタッチメント25cの軌跡の計算に用いられてもよい。
【0046】
第2重畳部(重畳手段)71は、画像処理部61で前処理された画像と、補正された容器12の三次元情報とを重畳させて第1重畳画像とする。ここで、図2に示すように、特徴点F5の位置に対応する平面部13の角には、ARマーカ80が目印として設けられている。第2重畳部71は、ARマーカ80を基準にして、画像と、補正された容器12の三次元位置とを位置合わせする。そして、位置合わせした両者を重畳させて第1重畳画像とする。なお、位置合わせのための目印は、点灯するライト(LEDなど)などであってもよい。
【0047】
このように、ARマーカ80を基準にして、画像と、補正された容器12の三次元位置とが位置合わせされる。これにより、位置合わせの精度を向上させることができるとともに、位置合わせを行う処理に要する負荷を軽減させることができる。
【0048】
図3に戻って、第3重畳部(重畳手段)72は、三次元座標取得部63が取得した点群データと、補正された容器12の三次元情報とを重畳させて第2重畳画像とする。第3重畳部72は、点群データと、補正された容器12の三次元情報とを位置合わせした上で、両者を重畳させて第2重畳画像とする。なお、ARマーカなどを目印にして位置合わせを行ってもよい。
【0049】
表示制御部(表示制御手段)73は、第2重畳部で71で作成された第1重畳画像を、ディスプレイ50に表示させる。第1重畳画像を図6に示す。また、表示制御部73は、第3重畳部で72で作成された第2重畳画像を、ディスプレイ50に表示させる。第2重畳画像を図7に示す。
【0050】
例えば、オペレータが作業機械20を遠隔操作している場合に、オペレータは、第1重畳画像や第2重畳画像を視認することで、容器12までの奥行き感を認識することができる。
【0051】
(容器計測システムの動作)
次に、容器計測処理のフローチャートである図8を参照して、容器計測システム30の動作を説明する。
【0052】
まず、コントローラ60は、二次元情報取得部42から画像を取得し(ステップS1)、取得した画像の前処理を行う(ステップS2)。そして、コントローラ60は、前処理された画像から、ディープラーニング技術などを用いて、容器12の形状を推定する(ステップS3)。
【0053】
ステップS1~S3と同時に、コントローラ60は、三次元情報取得部43から点群データを取得し(ステップS4)、取得した点群データの各々の三次元座標を取得する(ステップS5)。そして、コントローラ60は、点群データの各々の三次元座標を透視投影変換して、点群データの各々の二次元座標を取得する(ステップS6)。
【0054】
次に、コントローラ60は、点群データの各々の二次元座標と、容器12の形状とを重畳させる(ステップS7)。そして、コントローラ60は、特徴点FおよびリンクLの三次元座標を算出する(ステップS8)。そして、コントローラ60は、特徴点Fの三次元座標、および、リンクLの三次元情報から、容器12の三次元形状を検出する(ステップS9)。
【0055】
次に、コントローラ60は、8つの特徴点F(F1~F8)の各々をチェックする(ステップS10)。そして、コントローラ60は、三次元座標が正しい特徴点Fが3つ以上であるか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において、三次元座標が正しい特徴点Fが3つ以上でないと判定した場合には(S11:NO)、コントローラ60は、ステップS8に戻って、特徴点FおよびリンクLの三次元座標の算出をやり直す。
【0056】
一方、ステップS11において、三次元座標が正しい特徴点Fが3つ以上であると判定した場合には(S11:YES)、コントローラ60は、算出された容器12の三次元形状と、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状とに基づいて、容器12の種類を特定する(ステップS12)。そして、コントローラ60は、特定された種類の容器の三次元形状に基づいて、算出された容器12の三次元情報を補正する(ステップS13)。
【0057】
次に、コントローラ60は、第1重畳画像と、第2重畳画像とを作成する(ステップS14)。具体的には、コントローラ60は、前処理された画像と、補正された容器12の三次元情報とを重畳させて第1重畳画像とする。また、コントローラ60は、取得した点群データと、補正された容器12の三次元情報とを重畳させて第2重畳画像とする。
【0058】
次に、コントローラ60は、第1重畳画像や、第2重畳画像をディスプレイ50に表示させる(ステップS15)。そして、本フローを終了する。
【0059】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る容器計測システム30によれば、取得された容器12の距離画像に基づいて、容器12の三次元位置および三次元形状を含む三次元情報が算出される。そして、算出された容器12の三次元形状と、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状とに基づいて、算出された容器12の種類が特定される。容器12の種類が特定されると、特定された種類の容器の三次元形状に基づいて、算出された容器12の三次元情報が補正される。このように、容器12の三次元情報を補正することで、容器12の距離画像から算出された容器12の三次元情報に誤りがあっても、容器12の三次元情報を正確に算出することができる。
【0060】
また、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状の中から、算出された容器12の三次元形状に最も近い三次元形状の容器が選択されることで、算出された容器12の種類が特定される。容器12の距離画像から算出された容器12の三次元情報に誤りがある場合、データ格納部70が記憶する複数種類の容器の三次元形状の中に、距離画像から算出された容器12の三次元形状に一致する三次元形状の容器がない場合がある。このような場合であっても、算出された容器12の三次元形状に最も近い三次元形状の容器を選択することで、算出された容器12の種類を好適に特定することができる。
【0061】
また、取得された容器12の距離画像と、補正された容器12の三次元位置とが位置合わせされた上で、補正された容器12の三次元情報が距離画像に重畳されて重畳画像(第1重畳画像、第2重畳画像)にされる。そして、重畳画像がディスプレイ50に表示される。例えば、オペレータが作業機械20を遠隔操作している場合に、オペレータは、重畳画像を視認することで、容器12までの奥行き感を認識することができる。
【0062】
また、容器12に設けられた目印(ARマーカ80)を基準にして、容器12の距離画像と、補正された容器12の三次元位置とが位置合わせされる。これにより、位置合わせの精度を向上させることができるとともに、位置合わせを行う処理に要する負荷を軽減させることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
10 輸送車
11 本体部
12 容器
13 平面部
20 作業機械
21 下部走行体
23 上部旋回体
25 アタッチメント
30 容器計測システム
40 距離画像取得部(距離画像取得手段)
42 二次元情報取得部
43 三次元情報取得部
50 ディスプレイ(表示装置)
60 コントローラ
61 画像処理部
62 位置座標推定部
63 三次元座標取得部
64 座標変換部
65 第1重畳部
66 特徴点位置検出部(算出手段)
67 容器形状検出部
68 容器特定部(特定手段)
69 特徴点補正部(補正手段)
70 データ格納部(記憶手段)
71 第2重畳部(重畳手段)
72 第3重畳部(重畳手段)
73 表示制御部(表示制御手段)
80 ARマーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8