(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】車両用収容装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20240312BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20240312BHJP
B60Q 3/225 20170101ALI20240312BHJP
B60Q 3/76 20170101ALI20240312BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N3/00 Z
B60Q3/225
B60Q3/76
(21)【出願番号】P 2021036780
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 直行
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-120472(JP,A)
【文献】特開2006-283415(JP,A)
【文献】特開2010-132031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/00 - 7/14
B60Q 3/00 - 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に連絡する開口を有するケースと、前記ケースの前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、前記内部空間を照らす光源と、前記光源よりも前記内部空間側に配置されたシャッター機構と、を具備し、
前記シャッター機構は、
前記光源と前記内部空間との間の光路を開放する開放位置と、前記光路を遮蔽する遮蔽位置と、の間を位置変化するシャッター部材と、
前記シャッター部材と前記リッドとを連絡し、前記リッドが前記開位置にあるときに前記シャッター部材を前記開放位置に配置し、前記リッドが前記閉位置にあるときに前記シャッター部材を前記遮蔽位置に配置するリンク部と、を有
し、
前記リッドは、互いに独立して動作する第1リッド部および第2リッド部を有し、
前記第1リッド部と前記第2リッド部との一方が前記開口の一部を覆い、前記第1リッド部と前記第2リッド部との他方が前記開口の残部を開く半開位置において、
前記リンク部は前記シャッター部材を前記遮蔽位置に配置する、車両用収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を有するケースと当該ケースを開閉するリッドとを有し車両に搭載される車両用収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口を有するケースと当該ケースを開閉するリッドとを有し車両に搭載される、センターコンソールボックス等の車両用収容装置として、開口を開く開位置と開口を閉じる閉位置との間をリッドが位置変化するものが知られている。この種の車両用収容装置の一種として、その内部空間を照らす光源を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に紹介されている車両用収容装置は、リッドを開閉することにより発電し、当該電力によって光源を点灯し、電力が消費されると消灯する。このような車両用収容装置においては、リッドが閉位置にあるときにも光源が点灯したままであり、リッドとケースとの隙間から車両用収容装置の外部に光が漏れる場合がある。夜間の走行時等には外部に漏れた光がドライバーの注意を惹く虞があり、また、当該光が車両室内の美観を損なう虞もある。このため、内部空間を照らす光源を有し、かつ、リッドが閉位置にあるときの光漏れを抑制できる車両用収容装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内部空間を照らす光源を有し、かつ、リッドが閉位置にあるときの光漏れを抑制できる車両用収容装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の車両用収容装置は、
内部空間に連絡する開口を有するケースと、前記ケースの前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、前記内部空間を照らす光源と、前記光源よりも前記内部空間側に配置されたシャッター機構と、を具備し、
前記シャッター機構は、
前記光源と前記内部空間との間の光路を開放する開放位置と、前記光路を遮蔽する遮蔽位置と、の間を位置変化するシャッター部材と、
前記シャッター部材と前記リッドとを連絡し、前記リッドが前記開位置にあるときに前記シャッター部材を前記開放位置に配置し、前記リッドが前記閉位置にあるときに前記シャッター部材を前記遮蔽位置に配置するリンク部と、を有する、車両用収容装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用収容装置におけるロック機構は、内部空間を照らす光源を有するものであり、リッドが閉位置にあるときの光漏れを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の両用収容装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
【
図2】実施例1の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。
【
図3】実施例1の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。
【
図4】実施例1の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図5】実施例1の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図6】実施例1の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図7】実施例1の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図8】実施例1の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図9】実施例2の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図10】実施例2の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図11】実施例2の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図12】実施例2の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【
図13】実施例2の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の車両用収容装置は、車両に搭載される収容装置であれば良く、例えば、運転席と助手席との間に配設されるセンターコンソールボックス、サイドコンソールボックス、後部座席において乗員席の側方に配置され飲料用の容器を収容保持する容器ホルダ装置等として具現化することができる。
【0010】
本発明の車両用収容装置は、開口を上方に向けた内部空間を有するケースと、当該ケースの開口を閉じる閉位置と開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、内部空間を照らす光源と、光源よりも内部空間側に配置されたシャッター機構と、を具備する。
【0011】
このうちシャッター機構は、シャッター部材およびリンク部を有する。シャッター部材は、光源と内部空間との間の光路を開放する開放位置と、当該光路を遮蔽する遮蔽位置と、の間を位置変化する。リンク部は、シャッター部材とリッドとを連絡し、リッドが開位置にあるときにシャッター部材を開放位置に配置し、リッドが閉位置にあるときにシャッター部材を遮蔽位置に配置する。本発明の車両用収容装置では、リッドが閉位置にある時に光路をシャッター部材により遮蔽し、光源を隠すことにより、リッドが閉位置にあるときの光漏れを抑制することが可能である。
以下、本発明の車両用収容装置を構成要素毎に説明する。
【0012】
本発明の車両用収容装置におけるケースは、既述したように、内部空間を有し、当該内部空間と外界との境界となる開口を上方に向ける。したがってケースの内部空間は、少なくとも側方において外界から区画される。本明細書では、ケースの内部空間と外界とを区画する当該側方の部分を、ケースの周壁と称する。
【0013】
ケースの周壁は、ケースの内部空間を全周にわたって連続的に取り囲んでも良いし、断続的に取り囲んでも良い。
ケースの内部空間の用途は特に問わず、ケースの形状や、内部空間および開口の形状は特に限定されず、これらは必要とされる用途に応じて適宜適切に設計すれば良い。例えば、ケースの内部空間は、物品を収容するための収容室としても利用可能であるし、オーディオ機器等を配設するための空間としても利用可能である。
【0014】
リッドはケースの開口を覆う閉位置と当該開口を開く開位置との間を位置変化する。
リッドは、開位置と閉位置との間を位置変化できれば良く、その動作機序は特に問わない。例えばリッドは、回動することによって開位置と閉位置との間を位置変化しても良いし、スライドすることによって開位置と閉位置との間を位置変化しても良い。
【0015】
ここで、本発明の車両用収容装置は1つのみのリッドを有しても良いし、2つのリッドを有しても良い。つまり、本発明の車両用収容装置は1つのリッドで開口の全体を覆っても良いし、2つのリッドで開口を覆っても良い。本発明の車両用収容装置が2つのリッドを有する場合、当該リッドの一方を第1リッド部と称し、他方を第2リッド部と称する。第1リッド部および第2リッド部を有する本発明の車両用収容装置においては、第1リッド部および第2リッド部が各々閉位置と開位置との間を位置変化する。つまり、この場合の本発明の車両用収容装置は、所謂スプリットオープン型の収容装置といえる。
【0016】
本発明の車両用収容装置が上記したスプリットオープン型の収容装置である場合、第1リッド部および第2リッド部は独立して動作しても良いし、同期して動作しても良い。第1リッド部および第2リッド部が同期して動作する場合、本発明の車両用収容装置は、上記したケース、リッドおよびロック機構以外に、第2リッド部および第2リッド部を同期させるためのリンク機構を有すれば良い。当該リンク機構としては、ギヤやクランク機構等の既知の機構を採用すれば良い。第1リッド部および第2リッド部が独立して動作する場合には当該リンク機構は不要である。
【0017】
以下、特に説明なく単にリッドという場合には、本発明の車両用収容装置が1つのみのリッドを有する場合のリッドと、本発明の車両用収容装置が第1リッド部および第2リッド部を有する場合の第1リッド部および第2リッド部の各々とを総称するものとする。
【0018】
本発明の車両用収容装置が上記したスプリットオープン型の収容装置である場合、第1リッド部が開口の一部を開閉し、第2リッド部が開口の残部を開閉する。この場合、リッドが閉位置にあるとき、すなわち、第1リッド部が開口の一部を覆い第2リッド部が開口の残部を覆うときに、第1リッド部と第2リッド部との境目が開口上に配置される。このため、上記した光漏れは、リッドとケースとの隙間以外にも、第1リッド部と第2リッド部との境目にも生じ得る。当該境目にダンパやシール等を設けることにより当該境目における光漏れを抑制することも可能であるが、この場合、第1リッドや第2リッドの動作性が損なわれる虞がある。
【0019】
本発明の車両用収容装置によると、光源と内部空間との間の光路をシャッター部材で遮蔽し、光源を隠すことで、光源から内部空間への光漏れを抑制する。このため、光路のさらに下流側である第1リッドと第2リッドとの境目には、上記したダンパやシール等を設ける必要はない。これにより、本発明の車両用収容装置によると、スプリットオープン型の収容装置であっても、第1リッドや第2リッドの動作性を損なうことなく、光漏れを抑制できる利点がある。
【0020】
本発明の車両用収容装置がスプリットオープン型の収容装置である場合、開位置においては第1リッド部および第2リッド部がともに開口を開き、閉位置においては第1リッド部および第2リッド部がともに開口を覆う。
さらに、第1リッド部および第2リッド部が独立して動作する場合には、第1リッド部と第2リッド部との一方が開口の一部を覆い、第1リッド部と第2リッド部との他方が開口の残部を開く場合がある。このときの第1リッド部および第2リッド部の位置を半開位置と称する。本発明の車両用収容装置では、当該半開位置において、シャッター機構のシャッター部材を開放位置に配置しても良いし、遮蔽位置に配置しても良い。すなわち、半開位置においては、光源により内部空間を照らしても良いし、光源の光を遮っても良い。
【0021】
本発明の車両用収容装置における光源としては、LEDランプ、ハロゲンランプ、白熱灯等の公知のものを使用できるが、本発明の車両用収容装置が車両に搭載される都合上、消費電力の少ないLEDランプを選択するのが好適である。
【0022】
光源の電源は特に限定されず、車両用電源から光源に給電しても良し、特許文献1に紹介されている技術のように、発電機で発電した電力を光源に供給しても良い。
【0023】
シャッター機構のシャッター部材は、光源と前記内部空間との間の光路を開放および遮蔽できるものであれば良く、その形状や動作機構は特に限定されない。例えば、シャッター部材としては、遮光性を有する樹脂板や金属板等を用いれば良い。
【0024】
シャッター機構のリンク部は、シャッター部材とリッドとを連絡し、リッドが開位置にあるときにシャッター部材を開放位置に配置し、リッドが閉位置にあるときにシャッター部材を遮蔽位置に配置する。本発明の車両用収容装置は、このようなリンク部を有することにより、リッドが位置変化すると、自動的に、光路を開放しまたは遮蔽する。これにより、光漏れの抑制を自動的に行うことが可能である。
【0025】
リンク部の作動機序は特に限定せず、例えばクランク機構やギヤ等の一般的な機構を適用すれば良い。
【0026】
リンク部は、シャッター部材を開放位置または遮蔽位置に付勢するシャッター付勢部材を有するのが好ましい。シャッター付勢部材がシャッター部材を開放位置に付勢する場合、光源により内部空間が照らされる状態が定常状態となる。また、シャッター付勢部材がシャッター部材を遮蔽位置に付勢する場合、光源が隠された状態が定常状態となる。シャッター付勢部材によりシャッター部材を開放位置または遮蔽位置に付勢することで、シャッター部材の動作の信頼性を高めることができる。
シャッター付勢部材としては、ねじりコイルバネやつる巻きバネ等の既知構造のバネを選択するのが好適である。
【0027】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用収容装置を説明する。
【0028】
(実施例1)
実施例1の車両用収容装置は、本発明の車両用収容装置を運転席と助手席との間に配置されるセンターコンソールボックスとして具現化したものである。
図1は実施例1の両用収容装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
図2および
図3は実施例1の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。なお、
図2はリッドが閉位置にある様子を表し、
図3はリッドが開位置にある様子を表す。
図4~
図8は実施例1の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。このうち
図4はリッドが閉位置にありシャッター部材が遮蔽位置にある様子を表す。
図5はシャッター部材が開放位置にある様子を表す。
図6はリッドが半開位置にありシャッター部材が開放位置にある様子を表す。
図7はリッドが開位置にありシャッター部材が開放位置にある様子を表す。
図8はシャッター部材が開放位置にある様子を表す。
以下、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。上下方向は鉛直方向であり、左右方向は車幅方向であり、前後方向は車両進行方向である。
【0029】
実施例1の車両用収容装置1は、リッド2、ケース3、光源60およびシャッター機構7を具備する。
【0030】
図1に示すように、ケース3は長手方向を前後に向けた箱状をなす。ケース3は、開口30を上方に向けた内部空間31を有し、当該内部空間31はケース3の周壁32及び底壁33によって、側方及び下方において外界と区画されている。ケース3の周壁32のうち前側に位置する部分を前周壁32fと称し、後側に位置する部分を後周壁32rと称する。
【0031】
前周壁32f及び後周壁32rは、各々、2つの第2回動軸支部34および二つのガイドラック35を有する。2つの第2回動軸支部34は、各々、後述する第2回動軸部27sを枢支する。2つのガイドラック35は、各々、後述する第1脚部24に設けられているガイド歯列26gに噛み合う。各ガイドラック35は第2回動軸支部34を中心とする円弧状をなす。
【0032】
更に、前周壁32fの前側及び後周壁32rの後側は、各々、カバー39によって覆われている。カバー39は、各々対応する前周壁32f又は後周壁32rに固定されている。
【0033】
カバー39と前周壁32fとの間、及びカバー39と後周壁32rとの間には、各々、第2回動軸支部34およびガイドラック35、並びに、後述する第1脚部24、第2脚部25および開付勢部材85等の収容装置構成部材が収容される。
【0034】
リッド2は、互いに独立して動作する第1リッド部21および第2リッド部22を有する。第1リッド部21は、
図1に示すように左側に配置されて開口30の左半分を開閉する。第2リッド部22は右側に配置されて開口30の右半分を開閉する。以下、単にリッド2という場合には、第1リッド部21および第2リッド部22を総称するものとする。
リッド2は、各々、リッド本体部23、2つの第1脚部24、及び、2つの第2脚部25を有する。
【0035】
各リッド本体部23は、
図1~
図3に示すように、略矩形の薄い箱状をなし、その長手方向を前後に向ける。
【0036】
各リッド本体部23の前端部および後端部には、各々、第1脚部24が一体化されている。第1脚部24は、リッド本体部23から延びる略板状をなし、上記したガイドラック35に噛み合うガイド歯列26gと、凸状をなす第1回動軸部26fとを有する。ガイドラック35とガイド歯列26gとによってリッド本体部23の位置がガイドされる。
各第2脚部25は、略棹状をなし、凹状をなし第1回動軸部26fを枢支する第1回動軸支部27fと、凸状をなす第2回動軸部27sとを有する。第2脚部25の第2回動軸部27sは、ケース3に設けられている第2回動軸支部34に枢支される。したがって、第1リッド部21および第2リッド部22は、第1回動軸部26fおよび第2回動軸部27sを中心として、二軸的に回動し、
図2に示す閉位置と
図3に示す開位置との間を位置変化する。
【0037】
図1に示すように、第2脚部25の第2回動軸部27sには、各々、ねじりコイルバネからなる開付勢部材85が外装される。各開付勢部材85の一端は第2脚部25に固定され、他端はケース3の前周壁32fに固定されている。開付勢部材85は圧縮状態でリッド2の第2脚部25とケース3との間に介装され、第1リッド部21および第2リッド部22を各々
図3に示す開位置に向けて付勢する。
【0038】
シャッター機構7は、ベース部材70、シャッター部材72およびリンク部76を有する。
【0039】
ベース部材70は、枠状をなすシャッターガイド部70gを有し、ケース3の後周壁32rとこれを後側から覆うカバー39との間に配置され、このうちカバー39に固定されている。
カバー39と後周壁32rとの間には、さらに、LEDランプからなる光源60が取り付けられている。光源60はカバー39に取り付けられ、ベース部材70の後側に配置される。光源60は前方かつ下方を向く。
【0040】
シャッター部材72は、略矩形の金属板からなり、上側に配置され略矩形をなすリンク窓部73と、中央部に配置され弧を下方に向けた略半月形をなす透過窓部74と、下側に配置されている取り付け部75と、を有する。
シャッター部材72は、光源60の前側に配置され、ベース部材70のシャッターガイド部70gに保持され、ベース部材70および当該ベース部材70を固定するケース3に対して上下にスライドする。
【0041】
シャッター部材72のリンク窓部73には、2つのリンクピン77が差し込まれている。各リンクピン77は、第2脚部25のうち後側に位置する2つの第2脚部25rに各々1つずつ設けられている。
【0042】
シャッター機構7は、さらに、シャッター付勢部材78を有する。シャッター付勢部材78は、つる巻きバネからなり、その一端がベース部材70に固定され他端がシャッター部材72の取り付け部75に固定されている。シャッター付勢部材78は伸長して付勢力を蓄積し、シャッター部材72を下方に付勢する。当該シャッター付勢部材78の付勢力によって、シャッター部材72は遮蔽位置に付勢される。リンク窓部73、2つのリンクピン77およびシャッター付勢部材78によって、リンク部76が構成されている。
【0043】
以下、実施例1の車両用収容装置1の動作を説明する。
【0044】
先ず、第1リッド部21および第2リッド部22が
図2および
図4に示す閉位置にあるときには、
図4に示すように、シャッター付勢部材78はその付勢力によってシャッター部材72を下側に引き下げている。
【0045】
このとき光源60は、
図4および
図5に示すように、透過窓部74よりも上側にあり、光路65はシャッター部材72によって遮蔽されている。つまりこのときシャッター部材72はシャッター付勢部材78によって遮蔽位置に付勢されている。これにより、シャッター部材72は安定的に遮蔽位置に維持され、シャッター部材72は光源60を安定的に隠し、光路65を遮る。よって、車両用収容装置からの光漏れが信頼性高く抑制される。
【0046】
図6に示すように、第1リッド部21が開口30の左側部分を開き第2リッド部22が開口30の右側部分を覆う半開位置においては、第1リッド部21の第2脚部25が、第2回動軸部27sを中心として反時計回りに回動する。
【0047】
このとき、第2脚部25における第1回動軸支部27f側の部分が下向する。リンクピン77は、第2回動軸部27sに対して第1回動軸支部27fの逆側に位置するために、このとき上向し、シャッター付勢部材78の付勢力に抗してリンク窓部73を上方に押し上げる。これにより、シャッター部材72は
図6に示す開放位置に配置される。つまりこのとき、リンク部76はシャッター部材72を開放位置に配置する。
【0048】
図6および
図8に示すように、このとき透過窓部74は光源60に対面し、光路65を開放する。これにより、光源60が内部空間31を照らす。なお、シャッター部材72は、第1リッド部21が開口30の左側部分を覆い第2リッド部22が開口30の右側部分を開く半開位置においても同様に、開放位置に配置される。
【0049】
図7に示すように、第1リッド部21が開口30の左側部分を開き第2リッド部22が開口30の右側部分を開く半開位置においては、各第2脚部25に各々設けられたリンクピン77がともに上向する。このためリンク窓部73は2つのリンクピン77によって上方に押し上げられる。したがって、この場合にもシャッター部材72は
図6に示す開放位置に配置され光路65を開放する。
【0050】
実施例1の車両用収容装置1によると、リッド2が閉位置にある時に光路をシャッター部材72により遮蔽し、光源60を隠すことにより、リッド2が閉位置にあるときの光漏れを抑制することが可能である。
【0051】
(実施例2)
実施例2の車両用収容装置は、第2脚部およびリンクピンとシャッター部材との位置関係、および、シャッター部材とシャッター付勢部材との位置関係において実施例1の車両用収容装置と相違し、その余においては実施例1の車両用収容装置と概略同じである。以下、実施例1の車両用収容装置との相違点を中心に、実施例2の車両用収容装置を説明する。
図9~
図13は実施例2の車両用収容装置におけるシャッター機構の動作を模式的に表す説明図である。このうち
図9はリッドが閉位置にありシャッター部材が遮蔽位置にある様子を表す。
図10はリッドが半開位置にありシャッター部材が遮蔽位置にある様子を表す。
図11はシャッター部材が遮蔽位置にある様子を表す。
図12はリッドが開位置にありシャッター部材が開放位置にある様子を表す。
図13はシャッター部材が開放位置にある様子を表す。
【0052】
図9に示すように、実施例2の車両用収容装置1においては、シャッター付勢部材78がシャッター部材72の上側に配置される。当該シャッター付勢部材78は、伸長して付勢力を蓄えるとともに当該付勢力によってシャッター部材72を上方に付勢する。
【0053】
図9に示すように、リッド2が閉位置にあるときに、2つのリンクピン77はともに下向し、シャッター付勢部材78の付勢力に抗してリンク窓部73を下方に押し下げる。
図9および
図11に示すように、このとき透過窓部74は光源60よりも下方に配置されるためにシャッター部材72は光路65を遮る。つまりこのときシャッター部材72は遮蔽位置に配置される。
したがって、このとき車両用収容装置1からの光漏れが抑制される。なお、実施例2の車両用収容装置1においては、遮蔽位置において、シャッター部材72にシャッター付勢部材78の付勢力が作用している。これによりシャッター部材72は安定的に遮蔽位置に維持され、光路65を安定的に遮る。よって、車両用収容装置1からの光漏れが信頼性高く抑制される。
【0054】
図10に示すように、リッド2が半開位置にあるときには、一方のリンクピン77が上向するものの、他方のリンクピン77は下向する。このとき、シャッター部材72は、下向するリンクピン77によって下方に押し下げられたままである。したがって、この場合にもシャッター部材72は遮蔽位置に配置される。つまり、実施例2の車両用収容装置1においては、閉位置においても、半開位置においても、シャッター部材72は遮蔽位置に配置され、光路65を遮蔽する。
【0055】
図12に示すように、リッド2が開位置にあるときに、2つのリンクピン77はともに上向する。このためシャッター部材72は、シャッター付勢部材78の付勢力によって上方に引き上げられる。
図12および
図13に示すように、このとき透過窓部74は光源60に対面し、シャッター部材72は光路65を開放する。つまりこのときシャッター部材72は開放位置に配置される。したがって、このとき光源60は内部空間31を照らす。
【0056】
実施例2の車両用収容装置1によると、リッド2が閉位置および半開位置にあるときに光路65をシャッター部材72により遮蔽することにより、リッド2が閉位置および半開位置にあるときの光漏れを抑制することが可能である。
【0057】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0058】
1:車両用収容装置
2:リッド
21:第1リッド部
22:第2リッド部
3:ケース
30:開口
31:内部空間
60:光源
7:シャッター機構
72:シャッター部材
76:リンク部