(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240312BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20240312BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F16H57/04 E
F16H57/04 J
B60K17/12
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2021161897
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-178273(JP,U)
【文献】特開2004-180477(JP,A)
【文献】特開2020-159360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
B60K 17/12
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の軸を有する第1回転機構と、
前記第1回転機構に対して軸方向の一方側に配置された第2回転機構と、
前記第1回転機構を収納する第1空間と前記第2回転機構を収納する第2空間とを仕切る壁部を有するケースと、を備え、
前記壁部は、前記第2空間から前記第1空間に油を流す貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記第1空間に開口する開口部を有し、
前記第1回転機構は、中心が前記開口部よりも鉛直上方に配置され、前記軸方向から視て前記開口部の一部の領域である第1領域に重なる歯車を有し、
前記歯車が第1回転速度で回転する場合に前記第1空間における油面の高さが前記歯車の下端より上方にあり、前記開口部の第1領域でも前記第2空間から前記第1空間に油が流れ、
前記歯車が前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転する場合に前記第1空間における油面の高さが前記歯車の下端より下方にあり、前記開口部の第1領域よりも下方にある第2領域で前記第2空間から前記第1空間に油が流れる、
駆動装置。
【請求項2】
前記第1回転機構は、駆動源の回転を変速する変速部であり、
前記第2回転機構は、前記変速部に駆動連結される回転電機である、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2空間の下端は、前記第1空間の下端よりも上方にあり、
前記貫通孔は、その底面が前記第2空間から前記第1空間に向けて下方となるように傾斜している、
請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記歯車は、軸方向に対して傾斜した歯が外周側に形成されたはすば歯車からなり、
前記はすば歯車の歯の傾斜方向は、車両の前進走行時における前記はすば歯車の回転により油を前記開口部に向けて流す方向である、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1回転機構に駆動連結されて駆動されるオイルポンプと、
前記オイルポンプから吐出される油を前記第2回転機構に供給する供給油路と、を備える、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1回転機構が収納される第1空間と第2回転機構が収納される第2空間とを有する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される駆動装置にあって、軸方向に並んだ2つの空間(油室)を有しており、それらの空間を仕切る壁(隔壁、仕切壁)に貫通孔を形成して、一方の空間から他方の空間に油を流すものがある(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1のものは、軸方向から視て貫通孔の開口と歯車とが重ならないように配置され、油の流れを妨げないように構成されている。また、特許文献2のものは、貫通孔の開口付近にはすば歯車を配置し、そのはすば歯車の歯の傾斜によってはすば歯車の回転時に油が流れるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-64214号公報
【文献】特開2020-159360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように軸方向から視て貫通孔と歯車とが重ならないように構成したものは、駆動装置の径方向にスペースが必要であり、コンパクト化の妨げになるという問題がある。また、上記特許文献2のようにはすば歯車の歯の傾斜によって油を流そうとするものは、特にはすば歯車の回転速度が低下した状態では油が流れ難くなるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、コンパクト化を可能とするものでありながら、歯車の回転速度に関らず貫通孔によって油を流すことが可能な駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様としての駆動装置は、
複数の軸を有する第1回転機構と、
前記第1回転機構に対して軸方向の一方側に配置された第2回転機構と、
前記第1回転機構を収納する第1空間と前記第2回転機構を収納する第2空間とを仕切る壁部を有するケースと、を備え、
前記壁部は、前記第2空間から前記第1空間に油を流す貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記第1空間に開口する開口部を有し、
前記第1回転機構は、中心が前記開口部よりも鉛直上方に配置され、前記軸方向から視て前記開口部の一部の領域である第1領域に重なる歯車を有し、
前記歯車が第1回転速度で回転する場合に前記第1空間における油面の高さが前記歯車の下端より上方にあり、前記開口部の第1領域でも前記第2空間から前記第1空間に油が流れ、
前記歯車が前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転する場合に前記第1空間における油面の高さが前記歯車の下端より下方にあり、前記開口部の第1領域よりも下方にある第2領域で前記第2空間から前記第1空間に油が流れる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、コンパクト化を可能とするものでありながら、歯車の回転速度に関わらず貫通孔によって油を流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施の形態に係るトランスファ装置を示すスケルトン図。
【
図3】本実施の形態に係る油路構造を示す一部省略断面図。
【
図4】本実施の形態に係るトランスファ装置における貫通孔の部分を示す一部省略断面図。
【
図5】本実施の形態に係るトランスファ装置におけるセンターケースの部分を軸方向の前方から視た状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態を
図1乃至
図5に沿って説明する。まず、
図1を用い、本実施の形態に係るハイブリッド車両の一例を説明する。
【0010】
[ハイブリット車両の構成]
図1に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド車両である車両100は、四輪駆動の車両であり、矢印Aで示す前方側にエンジン(E/G)(駆動源)10と、該エンジン10の回転を変速する変速機(T/M)11とを搭載している。また、その変速機11の出力軸11aには、詳しくは後述する、変速機11の出力回転を変速しつつ、後輪側プロペラシャフト13に、又は前輪側プロペラシャフト12及び後輪側プロペラシャフト13の両方に、エンジン10の駆動力を伝達する駆動装置としてのトランスファ装置1が備えられている。トランスファ装置1は、詳しくは後述するように変速部であるトランスファ機構2と、回転電機であるモータジェネレータ(以下、単に「モータ」という)3とを、ケース5に収納する形で備えている。モータ3は、図示を省略したバッテリに接続され、バッテリの電力により力行可能であり、かつ回生してバッテリに充電することも可能に構成されている。
【0011】
なお、変速機11は、本実施の形態では、例えばシフト操作を電動で行うことで変速を行う自動変速機を用いているが、これに限らず、プラネタリギヤと摩擦クラッチを用いて変速する有段式の自動変速機、ベルト式無段変速機(CVT)等であってもよく、さらには、手動変速機であってもよく、要するにどのような変速機であってもよい。
【0012】
上記前輪側プロペラシャフト12は、ディファレンシャル装置であるフロントデフ14に駆動連結され、さらにフロントデフ14から左右ドライブシャフト16L,16Rを介して左右の車輪である前輪17L,17Rに駆動連結されている。一方の後輪側プロペラシャフト13は、ディファレンシャル装置であるリヤデフ15に駆動連結され、さらにリヤデフ15から左右ドライブシャフト18L,18Rを介して左右の車輪である後輪19L,19Rに駆動連結されている。
【0013】
従って、本車両100では、エンジン10の駆動回転を変速機11で変速し、さらに、トランスファ装置1で変速しつつモータ3によりアシスト或いは回生し、そのトランスファ装置1の出力回転を、後輪19L,19Rだけに伝達する所謂FR(フロントエンジン・リヤドライブ)状態での二輪駆動のハイブリッド走行、或いは前輪17L,17R及び後輪19L,19Rに伝達する四輪駆動のハイブリッド走行を可能としている。さらに、エンジン10を停止し、変速機11をニュートラル状態にすることで、トランスファ装置1のモータ3の出力回転を、後輪19L,19Rだけに伝達する二輪駆動のEV走行、或いは前輪17L,17R及び後輪19L,19Rに伝達する四輪駆動のEV走行も可能としている。なお、例えば手動変速機において、エンジン10と変速機構との間にあるクラッチをアクチュエータで駆動して解放し、それによりニュートラル状態を形成することでEV走行を可能にするものであっても構わない。
【0014】
[トランスファ装置の構成]
続いて、本実施の形態に係るトランスファ装置1の構成について
図2を用いて説明する。トランスファ装置1は、上述したようにトランスファ機構2と、モータ3と、モータ3の回転をトランスファ機構2に伝達するモータ回転伝達部4とを備えて構成されている。トランスファ機構2とモータ3とは、該トランスファ機構2が有する複数の軸の軸方向に並んで配置され、つまりモータ3は、トランスファ機構2に対して軸方向の一方側に配置され、トランスファ機構2に駆動連結されていることになる。また、上記エンジン10は、トランスファ機構2に対して軸方向の他方側に配置されていることになる。
【0015】
第1回転機構であり変速部としてのトランスファ機構2には、第1速段としての低速段(Lo)と、第1変速段よりも高速な第2速段としての高速段(Hi)とを形成可能な変速機構28が備えられている。また、トランスファ機構2には、係合することで前輪側プロペラシャフト12及び後輪側プロペラシャフト13を駆動連結して四輪駆動の状態に、解放することで後輪側プロペラシャフト13から前輪側プロペラシャフト12の駆動連結を切離して二輪駆動の状態に、切替可能な係合機構29を備えている。
【0016】
なお、トランスファ装置1は、そのケース5が車両100の運転席と助手席との間の下方にあるフロアトンネル(不図示)に収まるように、かつケース5の最下端が車両100に設定された設計上の最低地上高よりも上方となるように配置されている。
【0017】
詳細には、
図2に示すように、トランスファ機構2において、第1軸AX1上には、上記変速機11の出力軸11aに駆動連結される入力軸21が回転自在に配置されている。この入力軸21には、ドライブギヤG1が回転不能に固定されており、該ドライブギヤG1は、後述のカウンタ軸22のドリブンギヤG2に噛合して、ギヤ列31を構成している。
【0018】
上記第1軸AX1と平行で、かつ第1軸AX1よりも下方に配置された第2軸AX2上には、上記ギヤ列31を介して入力軸21の回転により回転されるカウンタ軸22が回転自在に配置されている。カウンタ軸22には、ドリブンギヤG2が回転不能に固定されており、さらに、大径ギヤG3及び小径ギヤG5も回転不能に固定されている。大径ギヤG3は、後述の変速機構28の高速段ギヤG4に噛合してギヤ列32を構成しており、小径ギヤG5は、後述の変速機構28の低速段ギヤG6に噛合してギヤ列33を構成している。
【0019】
上記第1軸AX1及び上記第2軸AX2と平行で、かつ第2軸AX2よりも下方に配置された第3軸AX3上には、後輪側出力軸23Rと、その同軸上に前輪側出力軸23Fと、変速機構28と、係合機構29とが配置されている。後輪側出力軸23Rには、変速機構28の出力ドッグDOが回転不能に固定されている。そして、後輪側出力軸23Rには後輪側プロペラシャフト13が駆動連結され、前輪側出力軸23Fには前輪側プロペラシャフト12が駆動連結されている。即ち、後輪側出力軸23Rは車輪としての左右の後輪19L,19Rに駆動連結され、前輪側出力軸23Fは車輪としての左右の前輪17L,17Rに駆動連結されている。
【0020】
変速機構28は、上記高速段ギヤG4と、その高速段ギヤG4に固定された高速段ドッグDHと、上記低速段ギヤG6と、その低速段ギヤG6に固定された低速段ドッグDLと、上記出力ドッグDOと、出力ドッグDOに噛合して軸方向に移動可能な第1スリーブSL1と、を備えており、低速段ドッグDLと出力ドッグDOと第1スリーブSL1とで低速段ドッグクラッチCLを、高速段ドッグDHと出力ドッグDOと第1スリーブSL1とで高速段ドッグクラッチCHを、それぞれ構成している。即ち、第1スリーブSL1は、不図示の切替機構によって、低速段ドッグDLと出力ドッグDOとの両方に噛合する低速段位置に移動されることで低速段ドッグクラッチCLを係合し、ギヤ列33を用いた大きいギヤ比の動力伝達経路である低速段を形成し、高速段ドッグDHと出力ドッグDOとの両方に噛合する高速段位置に移動されることで高速段ドッグクラッチCHを係合し、ギヤ列32を用いたギヤ列33より小さいギヤ比の動力伝達経路である高速段を形成する。従って、変速機構28は、カウンタ軸22の回転を低速段又は高速段で変速して後輪側出力軸23Rに伝達し、或いは後述の係合機構29の係合により後輪側出力軸23R及び前輪側出力軸23Fに伝達する。
【0021】
係合機構29は、後輪側出力軸23Rに固定された後輪側ドッグDRと、前輪側出力軸23Fに固定された前輪側ドッグDFと、軸方向に移動可能な第2スリーブSL2と、を備えて、四輪駆動クラッチCAを構成している。即ち、第2スリーブSL2は、図示を省略した切替機構によって、後輪側ドッグDRだけに噛合して四輪駆動クラッチCAを解放した二輪駆動位置と、後輪側ドッグDR及び前輪側ドッグDFの両方に噛合して四輪駆動クラッチCAを係合した四輪駆動位置と、に移動されることで、後輪側出力軸23Rと前輪側出力軸23Fとを係合可能(係合又は解放可能)に構成され、つまり二輪駆動の状態と四輪駆動の状態とを切替える。
【0022】
例えば運転席に配置されたトランスファレバー(不図示)が二輪駆動かつ高速段の位置に操作されると、不図示の切替機構によって、第1スリーブSL1を
図2中右側の上記高速段ドッグクラッチCHを係合する位置に、かつ第2スリーブSL2も
図2中右側の上記四輪駆動クラッチCAを解放する位置に、それぞれの位置を設定する。これにより、トランスファ装置1は、高速段かつ二輪駆動の状態に設定される。つまり、この状態では、エンジン10の駆動力を変速機11で変速し、さらにトランスファ装置1で高速段に変速しつつ後輪19L,19Rに伝達する。なお、詳しくは後述するモータ3の駆動回転も、高速段かつ二輪駆動の状態で後輪19L,19Rに伝達し、非駆動時(コースト時)には、高速段かつ二輪駆動の状態で後輪19L,19Rからの回転を回生する。
【0023】
また、上記トランスファレバーが四輪駆動かつ高速段の位置に操作されると、不図示の切替機構によって、第1スリーブSL1を
図2中右側の上記高速段ドッグクラッチCHを係合する位置に、かつ第2スリーブSL2は
図2中左側の上記四輪駆動クラッチCAを係合する位置に、それぞれの位置を設定する。これにより、トランスファ装置1は、高速段かつ四輪駆動の状態に設定される。つまり、この状態では、エンジン10の駆動力を変速機11で変速し、さらにトランスファ装置1で高速段に変速しつつ後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達する。なお、詳しくは後述するモータ3の駆動回転も、高速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達し、非駆動時(コースト時)には、高速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rからの回転を回生する。
【0024】
そして、上記トランスファレバーが四輪駆動かつ低速段の位置に操作されると、不図示の切替機構によって、第1スリーブSL1を
図2中左側の上記低速段ドッグクラッチCLを係合する位置に、かつ第2スリーブSL2を
図2中左側の上記四輪駆動クラッチCAを係合する位置に、それぞれの位置を設定する。これにより、トランスファ装置1は、低速段かつ四輪駆動の状態に設定される。つまり、この状態では、エンジン10の駆動力を変速機11で変速し、さらにトランスファ装置1で低速段に変速しつつ後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達する。なお、詳しくは後述するモータ3の駆動回転も、低速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rに伝達し、非駆動時(コースト時)には、低速段かつ四輪駆動の状態で後輪19L,19R及び前輪17L,17Rからの回転を回生する。
【0025】
[モータ及びモータ回転伝達部の構成]
ついで、本実施の形態におけるモータ3と、その回転をトランスファ機構2に伝達するモータ回転伝達部4との構成について
図2及び
図3を用いて説明する。第2回転機構としてのモータ3は、
図3に示すように、ケース5に固定されたステータ3Sと、その内部に回転自在に配置されたロータ3Rとを有している。モータ3は、トランスファ機構2にモータ回転伝達部4によって駆動連結されており、モータ回転伝達部4は、モータ出力軸24、モータ出力ギヤG7、モータカウンタ軸25、歯車(はすば歯車)としての大径ギヤG8、及び小径ギヤG9を有して構成されている。
【0026】
詳細には、上記第1軸AX1乃至第3軸AX3と平行で、かつ第1軸AX1よりも下方で第2軸AXの側方に配置された第4軸AX4上には、モータ3と、その同軸上に、モータ3のロータ3R(
図3参照)に駆動連結され、モータ3により駆動されるモータ出力軸24と、モータ出力軸24に回転不能に固定されたモータ出力ギヤG7とが配置されている。該モータ出力ギヤG7は、後述のモータカウンタ軸25の大径ギヤG8に噛合して、ギヤ列34を構成している。
【0027】
上記第1軸AX1乃至第4軸AX4と平行で、かつ第2軸AX2及び第4軸AX4よりも下方に配置された第5軸AX5上には(
図3参照)、上記ギヤ列34を介してモータ3の回転により回転されるモータカウンタ軸25が回転自在に配置されている。モータカウンタ軸25には、上記モータ出力ギヤG7よりも歯数が多い大径ギヤG8が回転不能に固定されており、さらに、小径ギヤG9も回転不能に固定されている。大径ギヤG8は、上記モータ出力ギヤG7に噛合してギヤ列34を構成しており、小径ギヤG9は、上記カウンタ軸22に固定され、小径ギヤG9よりも歯数が多い第4ギヤとしてのドリブンギヤG2に噛合してギヤ列35を構成している。
【0028】
即ち、本実施の形態に係るトランスファ装置1では、モータ出力ギヤG7と大径ギヤG8とで構成されるギヤ列34は、モータ3の回転(モータ出力軸24の回転)を減速してモータカウンタ軸25に伝達し、さらに、小径ギヤG9とドリブンギヤG2とで構成されるギヤ列35は、モータカウンタ軸25の回転を減速してカウンタ軸22に伝達する。従って、モータ3の回転は、ギヤ列34とギヤ列35との2段で減速されて、カウンタ軸22に伝達される。
【0029】
なお、
図2においては、入力軸21に固定されたドライブギヤG1と、モータカウンタ軸25に固定された小径ギヤG9とが軸方向に異なる位置に配置された形で示されているが、これらドライブギヤG1と小径ギヤG9とは、ドリブンギヤG2に対してそれぞれ異なる位相で噛合し、かつ径方向から視て軸方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。これにより、トランスファ装置1の軸方向の短縮化が図られている。
【0030】
また、トランスファ装置1が車両100に搭載された状態において、モータ3及びモータ回転伝達部4は、入力軸21に対してエンジン10とは軸方向の反対側に配置されていることになる。これにより、モータ3及びモータ回転伝達部4が、入力軸21と径方向に干渉することなく、軸方向に並べて配置することができ、コンパクト化が図られている。
【0031】
[ケースの構成]
次に、トランスファ装置1のケース5の詳細について
図3を用いて説明する。トランスファ装置1のケース5は、
図3に示すように、フロントケース5Aと、センターケース5Bと、リヤケース5Cとを有して構成されている。なお、トランスファ装置1が車両100に搭載された状態において、フロントケース5Aがエンジン10及び変速機11に対向配置され、つまり車両進行方向における前方側である(
図1参照)。また反対に、リヤケース5Cが車両進行方向における後方側である。
【0032】
図3に示すように、センターケース5Bには、軸方向に対して交差(直交)する方向に延びる壁部としてのセンター壁部5BWが形成されており、フロントケース5Aとセンターケース5Bのセンター壁部5BWとの間にある第1空間SP1に第1回転機構としての上記トランスファ機構2が収納され、センターケース5Bのセンター壁部5BWとリヤケース5Cとの間にある第2空間SP2に第2回転機構としての上記モータ3が収納される。
【0033】
なお、フロントケース5Aには、変速機11の出力軸11aに固定されるフランジ部材11Fが回転自在に支持されていると共に、前輪側プロペラシャフト12に固定されるフランジ部材12Fが回転自在に支持されている。また、センターケース5Bには、後輪側プロペラシャフト13に固定されるフランジ部材13Fが回転自在に支持されている。
【0034】
上記モータ3が収納される第2空間SP2は、モータ3に対して軸方向の一方側(前方側)が上記センター壁部5BWに、モータ3に対して周方向の外周側が外周外壁5PWに、モータ3に対して軸方向の他方側(後方側)がリヤケース5Cの側方外壁5SWに、それぞれ囲まれて覆われる形で形成されている。このうち、外周外壁5PWは、センターケース5Bのセンター壁部5BWから軸方向の一方側に筒状に延びる第1筒部5Baと、リヤケース5Cの側方外壁5SWから軸方向の他方側に筒状に延びる第2筒部5Caとが接合される形で構成されている。
【0035】
そして、このように形成された第2空間SP2の径方向中心付近には、上記モータ出力軸24がセンター壁部5BWと外周外壁5PWとによって両持ちされる形で回転自在に支持され、このモータ出力軸24の外周にモータ3のロータ3Rが固定されている。なお、モータ出力軸24は、本実施の形態では、2本の軸がスプライン嵌合によって連結されて構成されており、
図3では、そのうちのロータ3Rが固定される側の軸だけが図示されている。
【0036】
[オイルポンプ及び油路の構成]
ついで、オイルポンプと油路の構成について
図3を用いて説明する。
図3に示すように、上記センターケース5Bにおけるセンター壁部5BWには、詳しくは後述するオイルポンプ50が配置されており、つまりオイルポンプ50は軸方向におけるトランスファ機構2とモータ3との間に配置されている。
【0037】
このオイルポンプ50は、上記カウンタ軸22(
図2参照)に駆動連結されるドライブギヤ51と、そのドライブギヤ51に対して偏心した位置でセンター壁部5BWの穴に嵌合しつつ、ドライブギヤ51に噛合しているドリブンギヤ52と、を有しており、これらドライブギヤ51とドリブンギヤ52とが、ポンプカバー54がボルト55で閉塞されつつ固定されて構成されている。そして、オイルポンプ50は、上記カウンタ軸22が回転することによってドライブギヤ51が回転し、ドリブンギヤ52が連れ回ることで、それらドライブギヤ51の歯とドリブンギヤ52の歯との間の空間が伸縮し、吸入ポート50aから油を吸入して吐出ポート50bに油圧を発生させつつ油を排出する。
【0038】
上記トランスファ機構2が収納される第1空間SP1と、上記モータ3が収納される第2空間SP2とは、センター壁部5BWによって隔離されているが、センター壁部5BWには、詳しくは後述するように、第2空間SP2の下方から第1空間SP1に連通する貫通孔90(
図4及び
図5参照)が形成されており、第2空間SP2に供給された油は第1空間SP1の下方に戻されるように構成されている。
【0039】
第1空間SP1の下方には、ストレーナ60が配置されており、ストレーナ60には内部に油路L1が形成されたパイプ61の一端が接続され、さらにパイプ61の他端がセンター壁部5BWに軸方向に形成された油路L2に接続されている。そして、油路L2にはセンター壁部5BWに径方向に形成された油路L3に接続され、オイルポンプ50の吸入ポート50aに接続されている。従って、オイルポンプ50が回転駆動されることで、第1空間SP1の下方に溜まっている油を吸入ポート50aに吸入する。
【0040】
オイルポンプ50の吐出ポート50bは、センターケース5Bの第1筒部5Baに軸方向に形成された油路L4に接続され、油路L4は、リヤケース5Cの第2筒部5Caに軸方向に形成された油路L5に接続されている。また、油路L5は、リヤケース5Cの側方外壁5SWに径方向に形成された油路L6に接続され、油路L6は、リヤケース5Cの側方外壁5SWに固定された直線形状で筒状のパイプ80の内部に形成された油路L7に接続されている。そして、この油路L7は、モータ出力軸24の内部に軸方向に形成された軸方向孔24aに開口しており、この軸方向孔24aは径方向に向けてモータ出力軸24の外周側まで連通する径方向孔24b,24cに連通している。なお、上記モータ出力軸24は、図示を省略した軸が軸方向孔24aにスプライン嵌合し、それによって閉塞されることで軸方向孔24aに供給された油が溜まり、径方向孔24b,24cに導入される。
【0041】
従って、オイルポンプ50の吐出ポート50bから吐出された冷却油としての油は、供給油路としての油路L4,L5,L6,L7、軸方向孔24a、径方向孔24b,24cを通って、モータ3(特にステータ3Sのコイルエンド)に向けて供給される。
【0042】
なお、上記油路L4及び油路L5は、センターケース5Bとリヤケース5Cとを接合する前に、それぞれ軸方向に穿設して形成し、センターケース5Bとリヤケース5Cとを接合することで一本の油路として構成される。また、油路L6は、リヤケース5Cの側方外壁5SWの外径側からモータ3の中心である第4軸AX4に向かって穿設し、その後、キャップ71で閉塞することで構成される。また、パイプ80は、側方外壁5SWにおける第4軸AX4上において軸方向に穿設した孔に雌ネジを形成し、パイプ80の外周に形成した雄ネジを軸方向の後方側から前方側に向かって挿入しつつ螺合させることで固定するように構成されている。そして、パイプ80を挿入した孔は、キャップ72によって閉塞することで油路L7を構成することができる。
【0043】
ところで、例えば油路L6のように径方向の外側から中心に向かって延びる油路から、モータ出力軸24の外周面に向かって油を供給し、シールリング等でシールしつつモータ出力軸24に形成した径方向の油孔を介して軸方向孔24aに油を導入することが一般的である。しかしながら、このような構成であると、シールリングによってリヤケース5Cとモータ出力軸24との間における摺動抵抗が大きくなってしまい、燃費(電費)向上の妨げを招く。また、モータ3を小型化するために、モータ3の回転を減速してトランスファ機構2に伝達するので、モータ3が高回転になり易く、つまりモータ出力軸24が高回転となって大きな遠心油圧が生じるため、軸方向孔24aに油を導入するためには、オイルポンプ50を大型化して大きな油圧を生じさせる必要があり、油圧損失による燃費(電費)向上の妨げも問題となる。
【0044】
本実施の形態では、油路L6からパイプ80の油路L7を用いて軸方向孔24aに油を供給するので、上述のようなシールリングを不要とすることができると共に、遠心油圧が油路L6に生じることもない。これにより、オイルポンプ50の小型化が可能となると共に、燃費(電費)向上の向上を図ることができている。
【0045】
[貫通孔及びモータカウンタ軸の大径ギヤの詳細]
ついで、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する貫通孔90の詳細と、その貫通孔90における油の流れについて
図4及び
図5を用いて説明する。
図4に示すように、センターケース5Bとリヤケース5Cとによって形成されたモータ3を収納する第2空間SP2は、フロントケース5Aとセンターケース5Bとによって形成されたトランスファ機構2を収容する第1空間SP1よりも鉛直上方に配置されている。従って、第2空間SP2の底面となる下端SP2Uは、第1空間SP1の底面となる下端SP1Uよりも上方にある。
【0046】
貫通孔90は、第2空間SP2の下方部分に開口する開口部90AP2から第1空間SP1の下方部分に開口する開口部90AP1を有するように貫通形成されており、貫通孔90の下端である底面90aが第2空間SP2から第1空間SP1に向けて下方となるように傾斜している。この貫通孔90は、
図5に示すように、軸方向から視て略矩形状に形成され、つまり底面90aは略平面状に形成されている。このように傾斜した貫通孔90の底面90aは、センターケース5Bの下方部5BUの内側に形成されており、換言すると、貫通孔90を傾斜させるために、センターケース5Bの下方部5BUが後方から前方に向けて下がるように傾斜している。
【0047】
上記第1空間SP1におけるセンター壁部5BWの前方側にあっては、貫通孔90よりも鉛直上方にある第5軸AX5上を中心としてモータカウンタ軸25の大径ギヤG8が配置されており、
図5に示すように、大径ギヤG8は、軸方向から視て貫通孔90の開口部90AP1の一部の領域である第1領域90Xに重なるように配置されている。換言すると、大径ギヤG8は、軸方向から視て第1領域90Xよりも下方にある(大径ギヤG8の下端よりも下方にある)第2領域90Yに重ならないように配置されている。従って、第1領域90Xは、第2領域90Yよりも上方にあることになる。なお、モータカウンタ軸25の小径ギヤG9は、軸方向から視て開口部90AP1には重ならず、換言すると、開口部90AP1の上部の形状は、小径ギヤG9の外径に沿って内側が凸状の円弧形状に形成されている。
【0048】
また、上記モータカウンタ軸25の大径ギヤG8は、外径側に形成された歯G8aが軸方向に対して傾斜した、はすば歯車で構成されている。このモータカウンタ軸25の大径ギヤG8は、後輪側出力軸23Rに(四輪駆動の走行状態では前輪側出力軸23Fにも)連動するカウンタ軸22に噛合して連動するため、車両100の前進走行時には、矢印B方向に回転する。大径ギヤG8の歯G8aの傾斜方向、換言すると、大径ギヤG8の歯G8a同士の間に形成された歯溝G8bの傾斜方向は、前方側から後方側に向けて矢印B方向の上流に向いており、つまり車両の前進走行時における大径ギヤG8の回転により油を開口部90AP1に向けて流す方向となっている。
【0049】
なお、本実施の形態に係るトランスファ装置1では、大径ギヤG8及びそれに噛合するモータ出力ギヤG7に限らず、各ギヤのノイズ低減のため、全てのギヤがはすば歯車で構成されている。
【0050】
[貫通孔における油の流れについて]
前述したように、エンジン10の駆動及び/又はモータ3の駆動により、車両100が走行状態となると、カウンタ軸22が回転されてオイルポンプ50が駆動され、第1空間SPの下方に配置されたストレーナ60から油を吸い上げて、モータ3に油を冷却油として供給する。モータ3を冷却した油は、第2空間SP2の下方に流下し、第2空間SP2の下方に溜まり、貫通孔90を介して第2空間SP2から第1空間SP1に流れて戻される。また、第1空間SP1の内部では、下方に位置する高速段ギヤG4、低速段ギヤG6、及び大径ギヤG8(
図2、
図5参照)が第1空間SP1の下方に溜まっている油を掻き上げて、トランスファ機構2における各軸や各ギヤを潤滑する。
【0051】
このとき、車両100の車速が低く、トランスファ機構2における各軸の回転速度が低速度であり、特にモータカウンタ軸25が低速度である第1回転速度である場合は、オイルポンプ50の回転速度が低速度であって吸引する油量が少なく、また、高速段ギヤG4、低速段ギヤG6、及び大径ギヤG8により掻き上げる油量も少ないため、第1空間SP1の下方に溜まっている油の油面は、
図4及び
図5における油面OS1で示す高さとなる。この場合の油面OS1の高さは、大径ギヤG8の下端よりも上方にある。そして、大径ギヤG8は、上述したように、はすば歯車の歯溝G8bにより貫通孔90の開口部90AP1の第1領域90Xに向けて油を流そうとするが、その大径ギヤG8の回転速度が低速度のため、第1領域90Xにおける第2空間SP2から第1空間SP1への油の流れを大きく阻害せず、つまり貫通孔90の開口部90AP1からは、第1領域90Xと第2領域90Yとの両方の領域で、第1空間SP1に向けて良好に油が流れる。
【0052】
一方、車両100の車速が速くなり、トランスファ機構2における各軸の回転速度が高速度となり、特にモータカウンタ軸25が第1回転速度よりも速い第2回転速度である場合は、オイルポンプ50の回転速度が高速度であって吸引する油量が多く、また、高速段ギヤG4、低速段ギヤG6、及び大径ギヤG8により掻き上げる油量も多くなるため、第1空間SP1の下方に溜まっている油の油面は、
図4及び
図5における油面OS2で示すように油面OS1よりも低い高さとなる。この場合の油面OS2の高さは、大径ギヤG8の下端よりも下方にある。すると、大径ギヤG8は、高速度で回転するが油には浸かっていないため、貫通孔90の開口部90AP1に向けた油の流れを作ることはない。そのため、貫通孔90の開口部90AP1からは、大径ギヤG8に流れを阻害されることなく、第2領域90Yから第1空間SP1に向けて良好に油が流れる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係るトランスファ装置1においては、大径ギヤG8と貫通孔90の開口部90AP1とが軸方向から視て一部が重なるように配置したので、コンパクト化を図ることができる。また、大径ギヤG8が低速度の第1回転速度であっても、それよりも速い高速度の第2回転速度であっても、貫通孔90による第2空間SP2から第1空間SP1へ良好に油を流すことができ、つまり大径ギヤG8の回転速度に関らず貫通孔90によって油を第2空間SP2から第1空間SP1に流すことができる。
【0054】
<他の実施の形態の可能性>
なお、以上説明した本実施の形態においては、第1空間SP1に変速を行う変速部としてのトランスファ機構2が配置され、第2空間SP2にモータ3を配置してものを説明したが、これに限らず、反対に、第1空間にモータを配置し、第2空間にトランスファ機構2を配置するものでもよく、さらには、トランスファ装置以外の駆動装置において、2つの変速部のような第1回転機構と第2回転機構とが第1空間と第2空間とのそれぞれに配置されるようなものでもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、第1空間SP1の下端SP1Uよりも第2空間SP2の下端SP2Uが上方に位置し、貫通孔90の底面90aが第2空間SPから第1空間SPに向けて下方となるように傾斜しているものを説明したが、これに限らず、例えば第1空間SP1の下端SP1Uと第2空間SP2の下端SP2Uとが同じ高さにあって、貫通孔90が傾斜していないものであっても構わない。
【0056】
また、本実施の形態では、大径ギヤG8及びそれに噛合するモータ出力ギヤG7がはすば歯車で構成されているものを説明したが、これに限らず、大径ギヤG8及びそれに噛合するモータ出力ギヤG7が平歯車で構成されたものであっても構わない。
【0057】
また、本実施の形態では、カウンタ軸22に駆動連結されて駆動されるオイルポンプ50によって、第1空間SP1からモータ3がある第2空間SP2に油を供給するものを説明したが、これに限らず、ギヤやファンなどで油をモータ3に供給したり、電動オイルポンプを別途設けて油をモータ3に供給したりするものでもよく、つまり第1空間SP1から第2空間SP2に油を供給する構成はどのようなものであっても構わない。
【0058】
また、本実施の形態では、入力軸21がカウンタ軸22及び変速機構28を介して後輪側出力軸23Rに駆動連結された所謂FRタイプをベースとするためのトランスファ装置1を説明したが、これに限らず、入力軸21がカウンタ軸22及び変速機構28を介して前輪側出力軸23Fに駆動連結された所謂FFタイプをベースとするためのトランスファ装置であってもよい。
【0059】
また、本実施の形態において説明した第1軸AX1~第4軸AX4の配置は、本実施の形態に限らず、適宜に配置換えしても構わない。
【0060】
また、本実施の形態は、トランスファ装置1を一例とするものであったが、これに限らず、変速部(変速機)とモータとを備えるハイブリッド駆動装置、電気自動車用の駆動装置など、どのような駆動装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0061】
1…駆動装置(トランスファ装置)/2…第1回転機構、変速部(トランスファ機構)/3…第2回転機構、回転電機(モータ)/5…ケース/5BW…壁部(センター壁部)/10…駆動源(エンジン)/50…オイルポンプ/90…貫通孔/90a…底面/90AP1…開口部/90X…第1領域/90Y…第2領域/G8…歯車(大径ギヤ)/G8a…歯/L4,L5,L6,L7…供給油路(油路)/SP1…第1空間/SP2…第2空間