(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】インダクタ部品および実装部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/28 20060101AFI20240312BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240312BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240312BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01F27/28 104
H01F17/00 A
H01F27/29 P
H01F27/29 123
H01F17/04 A
H01F17/04 F
(21)【出願番号】P 2021180474
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-040043(JP,A)
【文献】特開2021-061275(JP,A)
【文献】特開2016-189451(JP,A)
【文献】特開2019-079844(JP,A)
【文献】特開2001-176725(JP,A)
【文献】特開2019-004082(JP,A)
【文献】特開2012-015158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0212919(US,A1)
【文献】特開2012-186440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/28
H01F 27/29
H01F 17/00
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する素体と、
前記素体内に配置され、前記主面に沿って延在するコイルと、
前記素体の前記主面から端面が露出するように前記素体内に設けられ、前記コイルの両端のそれぞれに接続された第1垂直配線および第2垂直配線と
を備え、
前記コイルは、
第1端部および第2端部を有し、周方向に沿って1ターン以下に延在するコイル配線部と、
前記第1垂直配線が接続された部分であって、前記第1端部に接続された第1パッド部と、
前記第2垂直配線が接続された部分であって、前記第2端部に接続された第2パッド部と
を有し、
前記第1パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、少なくとも一部が前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在し、
前記第2パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、少なくとも一部が前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在する、インダクタ部品。
【請求項2】
さらに、前記主面および前記第1垂直配線の前記端面に接触する第1外部端子と、前記主面および前記第2垂直配線の前記端面に接触する第2外部端子とを備える、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記素体は、磁性粉を含み、
前記第1外部端子および前記第2外部端子は、前記磁性粉に接触する、請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
さらに、前記主面に設けられた被覆膜を備え、前記被覆膜は、黒色着色剤を含む、請求項1から3の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記主面に直交する方向からみて、
前記第1パッド部は、前記第1パッド部の延在方向の先端面であって前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第1平面を有し、
前記第1平面と前記コイル配線部の内周面との間の最短距離は、前記第1パッド部の外面と前記コイル配線部の内周面との間の距離において、最も小さくならない、請求項1から4の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記主面に直交する方向からみて、
前記第1パッド部は、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第1平面と、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に直交する方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第2平面とを有し、
前記第1平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第1平面に対向する部分に接する面を第1仮想面とし、前記第2平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第2平面に対向する部分に接する面を第2仮想面としたとき、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aは、前記第1仮想面と前記第1平面との間の距離bよりも小さい、請求項1から5の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記主面に直交する方向からみて、
前記第1パッド部は、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第1平面と、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に直交する方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第2平面とを有し、
前記第1平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第1平面に対向する部分に接する面を第1仮想面とし、前記第2平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第2平面に対向する部分に接する面を第2仮想面としたとき、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aは、前記第1仮想面と前記第1平面との間の距離bと同じかそれよりも大きい、請求項1から4の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記素体は、磁性粉を含み、
前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aは、前記磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい、請求項6または7に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記主面に直交する方向からみて、前記第1パッド部と前記第2パッド部の間の最短距離cは、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aよりも大きい、請求項6から8の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記主面に直交する方向からみて、前記第1パッド部と前記第2パッド部の間の最短距離cは、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aと同じがそれよりも小さい、請求項6から8の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記素体は、磁性粉を含み、
前記第1パッド部と前記第2パッド部の間の最短距離cは、前記磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい、請求項9または10に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記第1パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、前記第1端部から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在する第1部分と、前記第1部分側から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在する第2部分とを有し、
前記第2パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、前記第2端部から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在する第1部分と、前記第1部分側から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在する第2部分とを有する、請求項1から11の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記主面に直交する方向からみて、前記第1パッド部の前記第1部分は、前記コイル配線部の内周面よりも内側に突出していない、請求項12に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記コイルの厚みは、前記第1垂直配線および前記第2垂直配線のそれぞれの厚みよりも薄い、請求項1から13の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記素体は、前記主面に直交する第1方向に順に積層された第1磁性層および第2磁性層を有し、
前記第1垂直配線および前記第2垂直配線は、前記コイルの両端から前記第1方向に延在し、
前記第1磁性層は、前記コイルの前記第1方向と逆方向に存在し、
前記第2磁性層は、前記コイルの前記第1方向および前記第1方向に直交する方向に存在し、前記第1垂直配線および前記第2垂直配線は、前記第2磁性層を貫通し、
前記第1磁性層の厚みは、前記第2磁性層の厚みよりも厚い、請求項1から14の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項16】
基板と、
前記基板内に配置される請求項1から15の何れか一つに記載のインダクタ部品と
を備える、実装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品および実装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ部品としては、特開2014-13815号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このインダクタ部品は、基板と、基板の両面に設けられたスパイラル導体と、スパイラル導体を覆う磁性層と、磁性層の表面に設けられた外部電極と、スパイラル導体の外周端に接続された引出導体と、引出導体と外部電極を接続する接続導体とを備える。スパイラル導体と引出導体は、コイルを構成する。引出導体は、スパイラル導体の径方向外側に配置され、基板の辺に沿って延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のようなインダクタ部品において、大電流を流すために直流重畳許容電流を高くする場合、磁気飽和を抑制するためにスパイラル導体を1ターン以下とする。このようなインダクタ部品を実際に製造しようとすると、次の問題があることを見出した。
【0005】
スパイラル導体の両端が接近するため、スパイラル導体の両端のそれぞれに接続される2つの引出導体も互いに接近して、コイルの中で最も電位差のある2つの引出導体が短絡するおそれがある。また、2つの引出導体がスパイラル導体の径方向外側に配置されるため、インダクタ部品が大型になるおそれがある。
【0006】
そこで、本開示は、コイルの短絡の可能性を低減し、インダクタ部品の小型化を図ることができるインダクタ部品および実装部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
主面を有する素体と、
前記素体内に配置され、前記主面に沿って延在するコイルと、
前記素体の前記主面から端面が露出するように前記素体内に設けられ、前記コイルの両端のそれぞれに接続された第1垂直配線および第2垂直配線と
を備え、
前記コイルは、
第1端部および第2端部を有し、周方向に沿って1ターン以下に延在するコイル配線部と、
前記第1垂直配線が接続された部分であって、前記第1端部に接続された第1パッド部と、
前記第2垂直配線が接続された部分であって、前記第2端部に接続された第2パッド部と
を有し、
前記第1パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、少なくとも一部が前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在し、
前記第2パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、少なくとも一部が前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在する。
【0008】
ここで、コイル配線部が1ターンよりも小さいとは、主面に直交する方向からみて、コイル配線部が、コイルの径方向に隣り合って巻回方向に並走する部分(つまり、径方向に隣り合って重なる部分)を有さない状態をいう。コイル配線部が1ターン以上であるとは、主面に直交する方向からみて、コイル配線部が、コイルの径方向に隣り合って巻回方向に並走する部分を有する状態をいう。つまり、コイル配線部が1ターン以下であるとは、上記並走する部分が存在しないか、もしくは、コイルの軸方向からみてコイル配線部の両端面がコイルの径方向に沿った同一平面に接する状態をいう。
【0009】
また、主面に直交する方向からみて第1端部と第2端部とを結ぶ方向とは、主面に直交する方向からみて、第1端部の端縁の幅方向の中心と第2端部の端縁の幅方向の中心とを結ぶ方向である。
【0010】
前記態様によれば、第1パッド部は、第1端部と第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつコイル配線部の内周面に近づく方向に延在し、第2パッド部は、第1端部と第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつコイル配線部の内周面に近づく方向に延在する。これによれば、第1パッド部と第2パッド部の互いの接近を抑制して、コイルの中で最も電位差のある第1パッド部と第2パッド部の間において短絡の可能性を低減できる。また、第1パッド部と第2パッド部のコイルの径方向外側への延在を抑制して、インダクタ部品の小型化を図ることができる。
【0011】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、前記素体は、磁性粉と、当該磁性粉を含有する樹脂とを含む。
【0012】
前記実施形態によれば、インダクタンスを高くすることができる。
【0013】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、さらに、前記主面および前記第1垂直配線の前記端面に接触する第1外部端子と、前記主面および前記第2垂直配線の前記端面に接触する第2外部端子とを備える。
【0014】
前記実施形態によれば、第1外部端子は、主面および第1垂直配線に跨り、第2外部端子は、主面および第2垂直配線に跨るので、第1、第2外部端子の大きさを制御でき、実装性や機械的に強度の観点から第1、第2外部端子の設計を選択できる。
【0015】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記素体は、磁性粉を含み、
前記第1外部端子および前記第2外部端子は、前記磁性粉に接触する。
【0016】
前記実施形態によれば、第1外部端子および前記第2外部端子と素体との密着強度が向上する。
【0017】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、さらに、前記主面に設けられた被覆膜を備え、前記被覆膜は、黒色着色剤を含む。
【0018】
前記実施形態によれば、主面に被覆膜を設けることで、主面に複数の外部端子を設ける場合、外部端子の間の絶縁を確実に確保することができる。また、被覆膜は黒色であるので、素体の表面の傷を隠すことができ、外観の良品率を向上することができる。
【0019】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記主面に直交する方向からみて、
前記第1パッド部は、前記第1パッド部の延在方向の先端面であって前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第1平面を有し、
前記第1平面と前記コイル配線部の内周面との間の最短距離は、前記第1パッド部の外面と前記コイル配線部の内周面との間の距離において、最も小さくならない。
【0020】
ここで、第1パッド部の外面とコイル配線部の内周面との間の距離とは、第1パッド部の外面を構成する複数の面のそれぞれの面とコイル配線部の内周面との間の最短距離をいう。
【0021】
前記実施形態によれば、第1パッド部の第1平面とコイル配線部の内周面との間において短絡の可能性を低減できる。
【0022】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記主面に直交する方向からみて、
前記第1パッド部は、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第1平面と、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に直交する方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第2平面とを有し、
前記第1平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第1平面に対向する部分に接する面を第1仮想面とし、前記第2平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第2平面に対向する部分に接する面を第2仮想面としたとき、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aは、前記第1仮想面と前記第1平面との間の距離bよりも小さい。
【0023】
前記実施形態によれば、距離aは距離bよりも小さいので、第1パッド部の第1平面とコイル配線部の内周面のうちの第1平面に対向する部分との間において短絡の可能性を低減できる。仮に、第2仮想面と第2平面との間で短絡しても、第1仮想面と第1平面との間で短絡するよりもコイル長の変動が抑制されるため、レイヤーショートの影響を抑制することができる。
【0024】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記主面に直交する方向からみて、
前記第1パッド部は、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第1平面と、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に直交する方向に延在し前記コイル配線部の内周面に対向する直線状の第2平面とを有し、
前記第1平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第1平面に対向する部分に接する面を第1仮想面とし、前記第2平面に平行であって前記コイル配線部の内周面のうちの前記第2平面に対向する部分に接する面を第2仮想面としたとき、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aは、前記第1仮想面と前記第1平面との間の距離bと同じかそれよりも大きい。
【0025】
前記実施形態によれば、距離aは距離bと同じかそれよりも大きいので、第1パッド部をその延在方向に大きくすることができる。これにより、第1パッド部の大きさを大きくでき、第1パッド部と第1垂直配線との接続信頼性を向上することができる。
【0026】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記素体は、磁性粉を含み、
前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aは、前記磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい。
【0027】
前記実施形態によれば、第2仮想面と第2平面との間の距離を磁性紛よりも広くすることで、第2仮想面と第2平面との間において短絡の可能性をより低減できる。
【0028】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、前記主面に直交する方向からみて、前記第1パッド部と前記第2パッド部の間の最短距離cは、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aよりも大きい。
【0029】
前記実施形態によれば、コイルの中で最も電位差のある第1パッド部と第2パッド部の短絡の可能性をより低減できる。仮に、第2仮想面と第2平面との間で短絡しても、第1パッド部と第2パッド部との間で短絡するよりもコイル長の変動が抑制されるため、レイヤーショートの影響を抑制することができる。
【0030】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、前記主面に直交する方向からみて、前記第1パッド部と前記第2パッド部の間の最短距離cは、前記第2仮想面と前記第2平面との間の距離aと同じがそれよりも小さい。
【0031】
前記実施形態によれば、第1パッド部と第2パッド部を接近することができるので、コイル配線部の長さを長くできる。これにより、コイル長を長くできて、インダクタンスを高くできる。
【0032】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記素体は、磁性粉を含み、
前記第1パッド部と前記第2パッド部の間の最短距離cは、前記磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい。
【0033】
前記実施形態によれば、第1パッド部と第2パッド部との間の距離を磁性紛よりも広くすることで、第1パッド部と第2パッド部との間において短絡の可能性をより低減できる。
【0034】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記第1パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、前記第1端部から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在する第1部分と、前記第1部分側から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在する第2部分とを有し、
前記第2パッド部は、前記主面に直交する方向からみて、前記第2端部から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に延在する第1部分と、前記第1部分側から前記第1端部と前記第2端部とを結ぶ方向に交差する方向でかつ前記コイル配線部の内周面に近づく方向に延在する第2部分とを有する。
【0035】
前記実施形態によれば、第1パッド部の面積を大きくでき、第1パッド部と第1垂直配線との接続信頼性を向上することができる。第2パッド部の面積を大きくでき、第2パッド部と第2垂直配線との接続信頼性を向上することができる。
【0036】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、前記主面に直交する方向からみて、前記第1パッド部の前記第1部分は、前記コイル配線部の内周面よりも内側に突出していない。
【0037】
前記実施形態によれば、第1端部と第2端部とを結ぶ方向におけるコイル配線部の内周面と第1パッド部との間の距離を広げることができ、第1端部と第2端部とを結ぶ方向におけるコイル配線部と第1パッド部との短絡の可能性を低減できる。
【0038】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、前記コイルの厚みは、前記第1垂直配線および前記第2垂直配線のそれぞれの厚みよりも薄い。
【0039】
前記実施形態によれば、素体の体積を増加でき、インダクタンスを高くできる。
【0040】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、さらに、前記コイルの少なくとも一部を覆う非磁性体の絶縁層を備える。
【0041】
前記実施形態によれば、コイルの絶縁性を向上できる。
【0042】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、
前記素体は、前記主面に直交する第1方向に順に積層された第1磁性層および第2磁性層を有し、
前記第1垂直配線および前記第2垂直配線は、前記コイルの両端から前記第1方向に延在し、
前記第1磁性層は、前記コイルの前記第1方向と逆方向に存在し、
前記第2磁性層は、前記コイルの前記第1方向および前記第1方向に直交する方向に存在し、前記第1垂直配線および前記第2垂直配線は、前記第2磁性層を貫通し、
前記第1磁性層の厚みは、前記第2磁性層の厚みよりも厚い。
【0043】
前記実施形態によれば、第1垂直配線および第2垂直配線がレジスト厚みなどの工法上の厚みに限界があるため、第2磁性層の厚みに限界がある。これに対して、第1磁性層を厚くすることで、インダクタンスを高くすることができる。
【0044】
好ましくは、実装部品の一実施形態では、
基板と、
前記基板内に配置される前記実施形態のインダクタ部品と
を備える。
【0045】
前記実施形態によれば、インダクタ部品は、基板に内蔵されるので、基板の表面の実装面積を増やすことできる。
【発明の効果】
【0046】
本開示の一態様であるインダクタ部品および実装部品によれば、コイルの短絡の可能性を低減し、インダクタ部品の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】インダクタ部品の第1実施形態を示す平面図である。
【
図4A】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4B】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4C】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4D】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4E】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4F】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4G】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4H】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4I】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4J】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4K】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4L】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図4M】インダクタ部品の製法を説明する説明図である。
【
図5A】第1比較例のインダクタ部品を示す平面図である。
【
図5B】第2比較例のインダクタ部品を示す平面図である。
【
図5C】第1実施例のインダクタ部品を示す平面図である。
【
図5D】第2実施例のインダクタ部品を示す平面図である。
【
図6】第1比較例、第2比較例、第1実施例、第2実施例において、L値の相対値とパッド部の延在量との関係を示すグラフである。
【
図8】インダクタ部品の第2実施形態を示す平面図である。
【
図9】インダクタ部品の第3実施形態を示す平面図である。
【
図10】実装部品の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本開示の一態様であるインダクタ部品および実装部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0049】
<第1実施形態>
(構成)
図1は、インダクタ部品の第1実施形態を示す平面図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
【0050】
インダクタ部品1は、例えば、パソコン、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に搭載され、例えば全体として直方体形状の部品である。ただし、インダクタ部品1の形状は、特に限定されず、円柱状や多角形柱状、円錐台形状、多角形錐台形状であってもよい。
【0051】
図1と
図2に示すように、インダクタ部品1は、素体10と、素体10内に配置されたコイル15と、コイル15の少なくとも一部を覆う非磁性体の絶縁層60と、素体10の第1主面10aから端面が露出するように素体10内に設けられコイル15の両端のそれぞれに接続された第1柱状配線31および第2柱状配線32と、素体10の第1主面10aにおいて露出し第1柱状配線31に接続された第1外部端子41と、素体10の第1主面10aにおいて露出し第2柱状配線32に接続された第2外部端子42と、素体10の第1主面10aおよび第2主面10bに設けられた被覆膜50と、を備える。
【0052】
図中、インダクタ部品1の厚み方向をZ方向とし、順Z方向を上側、逆Z方向を下側とする。インダクタ部品1のZ方向に直交する平面において、インダクタ部品1の長手方向であり、第1外部端子41および第2外部端子42が並ぶ方向である長さ方向をX方向とし、長さ方向に直交する方向であるインダクタ部品1の幅方向をY方向とする。
【0053】
素体10は、第1主面10aおよび第2主面10bと、第1主面10aと第2主面10bの間に位置し第1主面10aと第2主面10bを接続する第1側面10c、第2側面10d、第3側面10eおよび第4側面10fとを有する。
【0054】
第1主面10aおよび第2主面10bは、Z方向に互いに反対側に配置され、第1主面10aは、順Z方向に配置され、第2主面10bは、逆Z方向に配置される。第1側面10cおよび第2側面10dは、X方向に互いに反対側に配置され、第1側面10cは、逆X方向に配置され、第2側面10dは、順X方向に配置される。第3側面10eおよび第4側面10fは、Y方向に互いに反対側に配置され、第3側面10eは、逆Y方向に配置され、第4側面10fは、順Y方向に配置される。
【0055】
素体10は、順Z方向に沿って順に積層された第1磁性層11および第2磁性層12を有する。この「順に」とは、単に第1磁性層11および第2磁性層12の位置関係を示すだけであり、第1磁性層11および第2磁性層12の形成順とは関係ない。順Z方向は、特許請求の範囲に記載の「主面に直交する第1方向」の一例である。
【0056】
第1磁性層11および第2磁性層12は、それぞれ、磁性粉と当該磁性粉を含有する樹脂とを含む。磁性粉により、インダクタンスを高くすることができる。樹脂は、例えば、エポキシ系、フェノール系、液晶ポリマー系、ポリイミド系、アクリル系もしくはそれらを含む混合物からなる有機絶縁材料である。磁性粉は、例えば、FeSiCrなどのFeSi系合金、FeCo系合金、NiFeなどのFe系合金、または、それらのアモルファス合金である。したがって、フェライトからなる磁性層と比較して、磁性粉により直流重畳特性を向上でき、樹脂により磁性粉間が絶縁されるので、高周波でのロス(鉄損)が低減される。なお、磁性層は、フェライトや磁性粉の焼結体など、有機樹脂を含まない場合であってもよい。
【0057】
コイル15は、第1磁性層11と第2磁性層12の間で第1主面10aに沿って延在する。具体的に述べると、第1磁性層11は、コイル15の逆Z方向に存在し、第2磁性層12は、コイル15の順Z方向および順Z方向に直交する方向に存在する。
【0058】
コイル15は、コイル配線部20と第1パッド部21と第2パッド部22とを有する。コイル配線部20は、第1端部20aおよび第2端部20bを有する。第1パッド部21は、第1端部20aに接続される。第2パッド部22は、第2端部20bに接続される。
【0059】
コイル配線部20は、周方向に沿って1ターン以下に延在する。このようにコイル配線部20は、1ターン以下であるので、磁気飽和を抑制でき、直流重畳許容電流を高くできて、大電流を流すことができる。コイル配線部20は、好ましくは、0.5ターン以上である。コイル配線部20は、素体10のX方向の中心線に対して対称となるように配置されている。第1端部20aは、素体10の第1側面10c側および第3側面10e側に配置され、第2端部20bは、素体10の第2側面10d側および第3側面10e側に配置されている。この実施形態では、コイル配線部20は、略C字状に形成されている。
【0060】
コイル配線部20は、延在方向に沿って同一幅となる。幅とは、延在方向に直交する方向の寸法である。第1端部20aは、第1パッド部21に接続される部分である。第2端部20bは、第2パッド部22に接続される部分である。コイル配線部20の線幅は、第1パッド部21の線幅および第2パッド部22の線幅よりも小さい。なお、第1パッド部21の線幅および第2パッド部22の線幅は、コイル配線部の20線幅と同じであってもよい。
【0061】
第1パッド部21は、第1柱状配線31が接続される部分である。第1パッド部21は、第1主面10aに直交する方向からみて、第1柱状配線31に重なる部分であり、第1柱状配線31の外周面に対応した形状を有し、第1柱状配線31よりも僅かに大きい。第1パッド部21は、第1主面10aに直交する方向からみて、第1端部20aと第2端部20bとを結ぶ方向L(以下、連結方向Lともいう。)に交差する方向でかつコイル配線部20の内周面20cに近づく方向に延在する。連結方向Lとは、第1主面10aに直交する方向からみて、第1端部20aの端縁の幅方向の中心と第2端部20bの端縁の幅方向の中心とを結ぶ方向である。第1端部20aの端縁および第2端部20bの端縁は、
図1において点線で示す。
【0062】
この実施形態では、第1パッド部21は、連結方向Lに直交する方向に延在する。連結方向Lとは、X方向に平行となり、連結方向Lに直交する方向とは、Y方向に平行となる。つまり、第1パッド部21は、素体10の第1側面10c側に配置され、素体10の第1側面10cに沿って延在する。第1パッド部21は、第1主面10aに直交する方向からみて、直線状に形成されている。なお、第1パッド部21は、連結方向Lに対して垂直以外の角度で交差する方向に延在してもよい。
【0063】
第1パッド部21の幅は、コイル配線部20の幅よりも大きい。第1パッド部21の幅は、コイル配線部20の第1端部20aと連結する端部を除いて、同一幅となる。第1パッド部21の端部の幅は、第1パッド部21の延在方向に沿って次第に大きくなる。
【0064】
第2パッド部22は、第2柱状配線32が接続される部分である。第2パッド部22は、第1主面10aに直交する方向からみて、第2柱状配線32に重なる部分であり、第2柱状配線32の外周面に対応した形状を有し、第2柱状配線32よりも僅かに大きい。第2パッド部22は、第1主面10aに直交する方向からみて、第1端部20aと第2端部20bとを結ぶ方向L(以下、連結方向Lともいう。)に交差する方向でかつコイル配線部20の内周面20cに近づく方向に延在する。
【0065】
この実施形態では、第2パッド部22は、連結方向Lに直交する方向に延在する。つまり、第2パッド部22は、素体10の第2側面10d側に配置され、素体10の第2側面10dに沿って延在する。第2パッド部22は、第1主面10aに直交する方向からみて、直線状に形成されている。なお、第2パッド部22は、連結方向Lに対して垂直以外の角度で交差する方向に延在してもよい。
【0066】
第2パッド部22の幅は、第1パッド部21の幅と同じで、コイル配線部20の幅よりも大きい。第2パッド部22の幅は、コイル配線部20の第2端部20bと連結する端部を除いて、同一幅となる。第2パッド部22の端部の幅は、第2パッド部22の延在方向に沿って次第に大きくなる。
【0067】
第1パッド部21は、第1柱状配線31に接続され、第2パッド部22は、第2柱状配線32に接続される。第1柱状配線31および第2柱状配線32は、それぞれ、コイル15の両端から第1主面10aに直交する方向に延在する。
【0068】
ここで、この実施形態では、第1パッド部21および第2パッド部22をコイル15のターンに含めない。これは、第1、第2パッド部21,22はコイル15の配線長に影響する部分でないためである。具体的に述べると、第1、第2パッド部21,22を流れる電流はそのまま第1、第2柱状配線31,32を流れる。つまり、第1、第2パッド部21,22を流れる電流は、コイル配線部20の周方向に沿って流れず、第1、第2柱状配線31,32に沿って第1主面10aに直交する方向に流れる。
【0069】
コイル配線部20、第1パッド部21および第2パッド部22の厚みは、例えば、40μm以上120μm以下であることが好ましい。コイル配線部20の実施例として、厚みが35μm、配線幅が50μmである。
【0070】
コイル配線部20、第1パッド部21および第2パッド部22は、導電性材料からなり、例えばCu、Ag、Au、Alなどの低電気抵抗な金属材料からなる。本実施形態では、インダクタ部品1は、コイル配線部20を1層のみ備えており、インダクタ部品1の低背化を実現できる。なお、コイル配線部は、シード層と電解めっき層との2層構成であってもよく、シード層として、TiやNiを含んでいてもよい。
【0071】
コイル配線部20の逆X方向側の一部に、第1引出配線201が接続され、第1引出配線201は、第1側面10cから露出する。コイル配線部20の順X方向側の一部に、第2引出配線202が接続され、第2引出配線202は、第2側面10dから露出する。
【0072】
第1引出配線201および第2引出配線202は、インダクタ部品1の製造過程において、コイル配線部20の形状を形成後、追加で電解めっきを行う際の給電配線と接続される配線である。この給電配線によりインダクタ部品1を個片化する前のインダクタ基板状態において、追加で電解めっきを容易に行うことができ、コイル15の線幅の太さを調整することができる。また、第1引出配線201および第2引出配線202を設けることで、インダクタ部品1の個片化の際の素体10の切断時に、強度を確保することができ、製造時の歩留まりを向上することができる。
【0073】
第1柱状配線31および第2柱状配線32は、それぞれ、コイル15からZ方向に延在し、第2磁性層12の内部を貫通している。柱状配線は、特許請求の範囲に記載の「垂直配線」の一例である。
【0074】
第1柱状配線31は、第1パッド部21の上面から素体10の第1主面10aまで延在し、第1柱状配線31の端面は、素体10の第1主面10aから露出する。第2柱状配線32は、第2パッド部22の上面から素体10の第1主面10aまで延在し、第2柱状配線32の端面は、素体10の第1主面10aから露出する。
【0075】
したがって、第1柱状配線31および第2柱状配線32は、コイル15から第1主面10aまで、第1主面10aに直交する方向に直線状に伸びる。これにより、第1外部端子41、第2外部端子42と、コイル15とをより短い距離で接続することができ、インダクタ部品1の低抵抗化や高インダクタンス化を実現できる。第1柱状配線31および第2柱状配線32は、導電性材料からなり、例えば、コイル15と同様の材料からなる。
【0076】
第1主面10aに直交する方向からみて、第1柱状配線31は、第1パッド部21とほぼ同じ大きさであり、第1パッド部21に対応した形状である。第2柱状配線32は、第2パッド部22とほぼ同じ大きさであり、第2パッド部22に対応した形状である。
【0077】
なお、コイル15の上面を絶縁層60で覆う場合、第1柱状配線31および第2柱状配線32は、絶縁層60を貫通するビア配線を介して、コイル15に電気的に接続されていてもよい。ビア配線は、柱状配線よりも線幅(径、断面積)が小さい導体である。この場合、特許請求の範囲に記載の「垂直配線」は、ビア配線と柱状配線とから構成される。
このとき、第1パッド部21は、第1垂直配線(第1柱状配線31とビア配線)が接続される部分である。第1パッド部21は、ビア配線と接続される部分のみならず、第1主面10aに直交する方向からみて、第1柱状配線31に重なる部分も含む。つまり、第1パッド部21は、第1主面10aに直交する方向からみて、第1垂直配線の外周面に対応した形状を有し、第1垂直配線よりも僅かに大きい。
第2パッド部22は、第2垂直配線(第2柱状配線32とビア配線)が接続される部分である。第2パッド部22は、ビア配線と接続される部分のみならず、第1主面10aに直交する方向からみて、第2柱状配線32に重なる部分も含む。つまり、第2パッド部22は、第1主面10aに直交する方向からみて、第2垂直配線の外周面に対応した形状を有し、第2垂直配線よりも僅かに大きい。
【0078】
好ましくは、コイル15の厚みは、第1柱状配線31および第2柱状配線32のそれぞれの厚みよりも薄い。これによれば、素体10の体積を増加でき、インダクタンスを高くできる。
【0079】
好ましくは、第1磁性層11の厚みは、第2磁性層12の厚みよりも厚い。これによれば、第1柱状配線31および第2柱状配線32がレジスト厚みなどの工法上の厚みに限界があるため、第2磁性層12の厚みに限界がある。これに対して、第1磁性層11を厚くすることで、インダクタンスを高くすることができる。
【0080】
第1外部端子41および第2外部端子42は、素体10の第1主面10aに設けられている。第1外部端子41および第2外部端子42は、導電性材料からなり、例えば、低電気抵抗かつ耐応力性に優れたCu、耐食性に優れたNi、はんだ濡れ性と信頼性に優れたAuが内側から外側に向かってこの順に並ぶ3層構成である。
【0081】
第1外部端子41は、第1柱状配線31の素体10の第1主面10aから露出する端面に接触し、第1柱状配線31と電気的に接続されている。これにより、第1外部端子41は、コイル15の第1端(第1パッド部21)に電気的に接続される。第2外部端子42は、第2柱状配線32の素体10の第1主面10aから露出する端面に接触し、第2柱状配線32と電気的に接続されている。これにより、第2外部端子42は、コイル15の第2端(第2パッド部22)に電気的に接続される。
【0082】
第1外部端子41は、第1主面10aおよび第1柱状配線31の端面に接触する。第2外部端子42は、第1主面10aおよび第2柱状配線32の端面に接触する。これによれば、第1外部端子41は、第1主面10aおよび第1柱状配線31に跨り、第2外部端子42は、第1主面10aおよび第2柱状配線32に跨るので、第1、第2外部端子41,42の大きさを制御でき、実装性や機械的に強度の観点から第1、第2外部端子41,42の設計を選択できる。
【0083】
第1外部端子41および第2外部端子42は、好ましくは、素体10の磁性粉に接触する。これによれば、第1外部端子41および第2外部端子42と素体10との密着強度が向上する。
【0084】
絶縁層60は、コイル15の下面を覆う。これにより、コイル15の絶縁性を向上できる。絶縁層60は、磁性体を含まない絶縁性材料からなる。絶縁層60は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマーやこれらの組み合わせなどの有機樹脂や、ガラスやアルミナなどの焼結体、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などの薄膜などである。
【0085】
被覆膜50は、絶縁性材料からなる。被覆膜50の材料は、例えば、絶縁層60の材料と同じである。被覆膜50は、第1、第2外部端子41、42の端面を露出させている。被覆膜50によって、第1外部端子41と第2外部端子42との間で短絡することを抑制することができる。好ましくは、被覆膜50は、黒色着色剤を含む。これにより、素体10の表面の傷を隠すことができ、外観の良品率を向上することができる。黒色着色剤とは、例えば、カラーインデックスで黒を含む番号を付与されているものであり、具体的には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ペリレンブラック、酸化チタンのようなカーボンブラック系顔料、黒鉛系顔料、酸化鉄系顔料、酸化コバルト系顔料、アンスラキノン系顔料などである。
【0086】
上記構成によれば、第1パッド部21は、連結方向Lに交差する方向でかつコイル配線部20の内周面20cに近づく方向に延在し、第2パッド部22は、連結方向Lに交差する方向でかつコイル配線部20の内周面20cに近づく方向に延在する。これによれば、第1パッド部21と第2パッド部22の互いの接近を抑制して、コイル15の中で最も電位差のある第1パッド部21と第2パッド部22の間において短絡の可能性を低減できる。また、第1パッド部21と第2パッド部22のコイル15の径方向外側への延在を抑制して、インダクタ部品1の小型化を図ることができる。また、第1パッド部21の面積を大きくでき、第1パッド部21と第1柱状配線31との接続信頼性を向上することができる。
【0087】
これに対して、例えば、第1パッド部および第2パッド部を連結方向Lに延在すると、第1パッド部と第2パッド部は互いに接近して、短絡する可能性が高くなる。また、第1パッド部および第2パッド部をコイルの径方向外側に向かって延在すると、素体を大きくする必要があり、インダクタ部品が大型になる。
【0088】
図3は、インダクタ部品の平面図である。
図3では、便宜上、素体10とコイル15のみを描いており、それらを実線で示す。
図3に示すように、第1主面10aに直交する方向からみて、第1パッド部21は、第1パッド部21の延在方向の先端面であってコイル配線部20の内周面20cに対向する直線状の第1平面211を有する。第1平面211とコイル配線部20の内周面20cとの間の最短距離は、第1パッド部21の外面とコイル配線部20の内周面20cとの間の距離において、最も小さくならない。これによれば、第1パッド部21の第1平面211とコイル配線部20の内周面20cとの間において短絡の可能性を低減できる。
【0089】
具体的に述べると、第1主面10aに直交する方向からみて、第1パッド部21は、連結方向Lに延在しコイル配線部20の内周面20cに対向する直線状の第1平面211と、連結方向Lに直交する方向に延在しコイル配線部20の内周面20cに対向する直線状の第2平面212とを有する。第1平面211とは、連結方向Lに平行に延在する複数の面のうち、コイル配線部20の内周面20cに最も近い位置にある面をいう。第2平面212とは、連結方向Lに直交する方向に延在する複数の面のうち、コイル配線部20の内周面20cに最も近い位置にある面をいう。
【0090】
第1平面211に平行であってコイル配線部20の内周面20cのうちの第1平面211に対向する部分に接する面を第1仮想面S211とし、第2平面212に平行であってコイル配線部20の内周面20cのうちの第2平面212に対向する部分に接する面を第2仮想面S212とする。このとき、第2仮想面S212と第2平面212との間の距離aは、第1仮想面S211と第1平面211との間の距離bよりも小さい。
【0091】
上記構成によれば、距離aは距離bよりも小さいので、第1パッド部21の第1平面211とコイル配線部20の内周面20cのうちの第1平面211に対向する部分との間において短絡の可能性を低減できる。仮に、第2仮想面S212と第2平面212との間で短絡しても、第1仮想面S211と第1平面211との間で短絡するよりもコイル長の変動が抑制されるため、レイヤーショートの影響を抑制することができる。
【0092】
なお、距離aは距離bと同じかそれよりも大きくてもよい。この場合、第1パッド部21をその延在方向に大きくすることができる。これにより、第1パッド部21の大きさを大きくでき、第1パッド部21と第1柱状配線31との接続信頼性を向上することができる。
【0093】
また、第2パッド部22についても、第1パッド部21と同様の構成であってもよく、第1パッド部21と同様の効果を有する。つまり、第1主面10aに直交する方向からみて、第2パッド部22は、第2パッド部22の延在方向の先端面であってコイル配線部20の内周面20cに対向する直線状の第1平面221を有する。第1平面221とコイル配線部20の内周面20cとの間の最短距離は、第2パッド部22の外面とコイル配線部20の内周面20cとの間の距離において、最も小さくならない。
【0094】
具体的に述べると、第2パッド部22は、連結方向Lに延在しコイル配線部20の内周面20cに対向する直線状の第1平面221と、連結方向Lに直交する方向に延在しコイル配線部20の内周面20cに対向する直線状の第2平面222とを有する。第1平面221に平行であってコイル配線部20の内周面20cのうちの第1平面221に対向する部分に接する面を第1仮想面S221とし、第2平面222に平行であってコイル配線部20の内周面20cのうちの第2平面222に対向する部分に接する面を第2仮想面S222とする。このとき、第2仮想面S222と第2平面222との間の距離aは、第1仮想面S221と第1平面221との間の距離bよりも小さい。なお、距離aは距離bと同じかそれよりも大きくてもよい。
【0095】
図3に示すように、好ましくは、第1パッド部21において、第2仮想面S212と第2平面212との間の距離aは、磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい。
【0096】
ここで、磁性粉の粒径のD50は、特に断りのない限り、インダクタ部品1の素体10の長手方向の中央部の横断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像から測定する。この際SEM画像には、磁性粉が10個以上含まれていることが好ましく、例えば2000倍の倍率で取得する。以上のようなSEM画像を上記横断面から3カ所以上取得し、磁性粉とそれ以外を2値化などにより分類し、SEM画像内の各磁性粉の円相当径を算出し、円相当径の大きさ順に並べたときの中間値(メディアン径)を磁性粉の粒径のD50とする。
【0097】
上記構成によれば、第2仮想面S212と第2平面212との間の距離を磁性紛よりも広くすることで、第2仮想面S212と第2平面212との間において短絡の可能性をより低減できる。
【0098】
また、第2パッド部22についても、第1パッド部21と同様の構成であってもよく、第1パッド部21と同様の効果を有する。つまり、第2パッド部22において、第2仮想面S222と第2平面222との間の距離aは、磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい。
【0099】
図3に示すように、好ましくは、第1パッド部21において、第1主面10aに直交する方向からみて、第1パッド部21と第2パッド部22の間の最短距離cは、第2仮想面S212と第2平面212との間の距離aよりも大きい。
【0100】
上記構成によれば、コイル15の中で最も電位差のある第1パッド部21と第2パッド部22の短絡の可能性をより低減できる。仮に、第2仮想面S212と第2平面212との間で短絡しても、第1パッド部21と第2パッド部22との間で短絡するよりもコイル長の変動が抑制されるため、レイヤーショートの影響を抑制することができる。
【0101】
なお、最短距離cは距離aと同じがそれよりも小さくてもよい。この場合、第1パッド部21と第2パッド部22を接近することができるので、コイル配線部20の長さを長くできる。これにより、コイル長を長くできて、インダクタンスを高くできる。
【0102】
また、第2パッド部22についても、第1パッド部21と同様の構成であってもよく、第1パッド部21と同様の効果を有する。つまり、第2パッド部22において、最短距離cは距離aよりも大きい。なお、最短距離cは距離aと同じがそれよりも小さくてもよい。
【0103】
図3に示すように、好ましくは、第1パッド部21と第2パッド部22の間の最短距離cは、磁性粉の粒径のD50の2倍と同じかそれよりも大きい。上記構成によれば、第1パッド部21と第2パッド部22との間の距離を磁性紛よりも広くすることで、第1パッド部21と第2パッド部22との間において短絡の可能性をより低減できる。
【0104】
図3に示すように、好ましくは、第1パッド部21において、距離aは距離bよりも小さく、かつ、距離bは最短距離cよりも小さい。例えば、距離aは200μmであり、距離bは210μmであり、最短距離cは720μmである。上記構成によれば、最短距離cが距離aや距離bよりも大きくなるので、最も電位差のある第1パッド部21と第2パッド部22との間において短絡の可能性をより低減できる。なお、距離aと距離bの大小に関係なく、距離bは最短距離cよりも小さくてもよい。
【0105】
また、第2パッド部22についても、第1パッド部21と同様の構成であってもよく、第1パッド部21と同様の効果を有する。
【0106】
(製造方法)
次に、インダクタ部品1の製造方法について説明する。
図4Aから
図4Mは、
図1のA-A断面(
図2)に対応する。
【0107】
図4Aに示すように、ベース基板70を準備する。ベース基板70は、例えば、セラミックやガラス、シリコンなどの無機材料からなる。ベース基板70上に絶縁層71を塗布する。
図4Bに示すように、絶縁層71にフォトリソグラフィ工法を用いて所定パターンを形成して硬化し、絶縁層60を形成する。
【0108】
図4Cに示すように、絶縁層60上を含むベース基板70の主面上に、スパッタ法もしくは蒸着法などの公知の方法により、図示しないシード層(Ti/Cu)を形成する。その後、DFR(ドライフィルムレジスト)75を貼付け、フォトリソグラフィ工法を用いてDFR75に所定形状の開口を形成する。そして、シード層に給電しつつ、電解めっき法を用いて絶縁層60上にコイル配線部20と第1パッド部21と第2パッド部22とを形成する。
【0109】
図4Dに示すように、DFR75を剥離する。このとき、シード層をエッチングしないで、シード層を柱状配線の電解めっきに使用してもよく、または、シード層をエッチングして、再度、柱状配線を形成するためのシード層を形成してもよい。
【0110】
図4Eに示すように、再度、DFR75を貼付け、フォトリソグラフィ工法を用いてDFR75に所定形状の開口を形成する。開口は、第1パッド部21上の第1柱状配線31と、第2パッド部22上の第2柱状配線32とを設ける位置に対応した貫通孔である。電解めっきを用いて、第1パッド部21上に第1柱状配線31を設け、第2パッド部22上に第2柱状配線32を設ける。
図4Fに示すように、DFR75を剥離し、シード層をエッチングする。
【0111】
図4Gに示すように、第2磁性層12となる磁性シートを、ベース基板70の主面の上方からコイル配線部20に向けて圧着して、コイル配線部20、第1パッド部21、第2パッド部22、第1柱状配線31、第2柱状配線32を第2磁性層12により覆う。その後、第2磁性層12の上面を研削し、第1柱状配線31の端面および第2柱状配線32の端面を第2磁性層12の上面から露出させる。
【0112】
図4Hに示すように、第2磁性層12の上面に被覆膜50を塗布する。そして、フォトリソグラフィ工法を用いて被覆膜50を所定パターンに形成して硬化する。所定パターンは、第1と第2外部端子41、42に対応した位置に開口を有する形状である。
【0113】
図4Iに示すように、ベース基板70を研磨により除去する。このとき、絶縁層60の一部または全部を除去してもよい。
図4Jに示すように、コイル配線部20の下方からコイル配線部20に向けて第1磁性層11となる他の磁性シートを圧着して、コイル配線部20を第1磁性層11により覆う。その後、第1磁性層11を所定の厚みに研削する。
【0114】
図4Kに示すように、被覆膜50の開口部に第1外部端子41と第2外部端子42を形成する。第1外部端子41は、第1柱状配線31の端面と第2磁性層12の上面に接触する。第2外部端子42は、第2柱状配線32の端面と第2磁性層12の上面に接触する。また、第1磁性層11の下面に被覆膜50を塗布して硬化する。
【0115】
図4Lに示すように、切断線Dにてインダクタ部品を個片化し、
図4Mに示すように、インダクタ部品1を製造する。
【0116】
(実施例)
次に、実施例について説明する。
【0117】
図5Aは、第1比較例のインダクタ部品100Aを示し、
図5Bは、第2比較例のインダクタ部品100Bを示す。
図5Cは、第1実施例のインダクタ部品1Aを示し、
図5Dは、第2実施例のインダクタ部品1Bを示す。
図5Aから
図5Dでは、便宜上、素体とコイルと外部端子のみを描いており、素体とコイルを実線で示し、外部端子を二点鎖線で示す。柱状配線は省略するが、柱状配線は、Z方向からみてパッド部とほぼ同じ大きさでありパッド部に対応した形状である。
【0118】
図5Aに示すように、第1比較例のインダクタ部品100Aでは、第1パッド部121Aおよび第2パッド部122Aは、四角形であり、100μm×100μmの大きさを有する。第1外部端子141Aと第2外部端子142Aの間の距離は、200μmである。
【0119】
図5Bに示すように、第2比較例のインダクタ部品100Bでは、第1パッド部121Bは、
図5Aの第1パッド部121Aに比べて、順X方向に延在し、第2パッド部122Bは、
図5Aの第2パッド部122Aに比べて、逆X方向に延在している。以下、第1パッド部121Bの第1パッド部121Aに対するX方向の長さの差と、第2パッド部122Bの第2パッド部122Aに対するX方向の長さの差を、パッド部の延在量という。第1外部端子141Bと第2外部端子142Bの間の距離は、
図5Aの第1外部端子141Aと第2外部端子142Aの間の距離と同じである。
【0120】
図5Cに示すように、第1実施例のインダクタ部品1Aでは、第1パッド部21Aは、
図5Aの第1パッド部121Aに比べて、順Y方向に延在し、第2パッド部22Aは、
図5Aの第2パッド部122Aに比べて、順Y方向に延在している。以下、第1パッド部21Aの第1パッド部121Aに対するY方向の長さの差と、第2パッド部22Aの第2パッド部122Aに対するY方向の長さの差を、パッド部の延在量という。第1外部端子41Aと第2外部端子42Aの間の距離は、
図5Aの第1外部端子141Aと第2外部端子142Aの間の距離と同じである。
【0121】
図5Dに示すように、第2実施例のインダクタ部品1Bでは、第1パッド部21Bは、
図5Cの第1パッド部21Aと同じ形状であり、第2パッド部22Bは、
図5Cの第2パッド部22Aと同じ形状である。第1外部端子41Bと第2外部端子42Bの間の距離は、600μmであり、
図5Cの第1外部端子41Aと第2外部端子42Aの間の距離よりも広い。
【0122】
図6は、上記第1比較例、上記第2比較例、上記第1実施例、上記第2実施例において、L値の相対値とパッド部の延在量との関係を示す。
図7は、
図6の一部を拡大したグラフである。
【0123】
図6と
図7において、×印は第1比較例を表し、三角印は第2比較例を表し、四角印は第1実施例を表し、丸印は第2実施例を表す。L値の相対値とは、第1比較例のL値を1としたときの相対値を示す。パッド部の延在量とは、上述したように、第1比較例のパッド部との長さの差をいう。
【0124】
図6と
図7に示すように、第2比較例および第1実施例では、パッド部の延在量が大きくなるにつれて、L値の相対値が僅かに低下した。これは、磁性層の体積が減少するためであると考えられる。このL値の相対値の低下は、製造時の許容範囲であり、品質に問題はない。一方、第2比較例および第1実施例では、パッド部の延在量が大きくなるにつれて、柱状配線の面積も大きくなり、この結果、外部端子との接触面積が大きくなって、接続信頼性は向上する。
【0125】
第2実施例では、第1実施例と比べて、L値の相対値が大きくなっている。これは、第2実施例の2つの外部端子の間の距離が、第1実施例の2つの外部端子の間の距離よりも広いため、第2実施例では、外部端子によるコイルの磁束の流れの妨げを低減できるからである。
【0126】
以上、第1比較例、第2比較例、第1実施例、第2実施例では、L値を確保できる。しかし、第1比較例では、パッド部が小さいため、外部端子との接触面積が小さくなって、接続信頼性は低下する。また、第2比較例では、2つのパッド部が接近して短絡する可能性が高くなる。一方、第1実施例および第2実施例では、外部端子との接触面積が大きくなって、接続信頼性は向上し、かつ、2つのパッド部は接近しないため、短絡する可能性を低減できる。さらに、第2実施例では、磁束の流れの妨げを低減できて、L値の低下を抑制できる。
【0127】
<第2実施形態>
図8は、インダクタ部品の第2実施形態を示す平面図である。
図8では、便宜上、素体とコイルのみを描いており、それらを実線で示す。第2実施形態は、第1実施形態とは、コイルのパッド部の構成が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0128】
図8に示すように、第2実施形態のインダクタ部品1Cでは、コイル15Cの第1パッド部21Cは、第1主面10aに直交する方向からみて、第1部分21aと、第2部分21bと、第1部分21aと第2部分21bの間の角部21cとを有する。
【0129】
第1部分21aは、第1端部20aから連結方向Lに延在する。第2部分21bは、第1部分21a側から連結方向Lに交差する方向でかつコイル配線部20の内周面20cに近づく方向に延在する。第1部分21aおよび第2部分21bは、それぞれ、同一幅で延在する部分である。
図8では、便宜上、第1部分21a、第2部分21bおよび角部21cの境界を二点鎖線で示す。この実施形態では、第2部分21bは、連結方向Lに直交する方向に延在する。つまり、第1パッド部21Cは、第1主面10aに直交する方向からみて、L字状に形成されている。
【0130】
第1パッド部21Cに接続される第1柱状配線は、第1主面10aに直交する方向からみて、第1パッド部21Cに対応した形状である。したがって、第1パッド部21Cの面積を大きくでき、第1パッド部21Cと第1柱状配線との接続信頼性を向上することができる。
【0131】
第1主面10aに直交する方向からみて、第1パッド部21Cの第1部分21aは、コイル配線部20の内周面20cよりもコイル15Cの径方向内側に突出している。第1平面211は、第1パッド部21Cの連結方向Lに平行に延在する複数の面のうち、コイル配線部20の内周面20cに最も近い位置にある面であるため、第2部分21bの先端側の面に相当する。第2平面212は、第1パッド部21Cの連結方向Lに直交する方向に延在する複数の面のうち、コイル配線部20の内周面20cに最も近い位置にある面であるため、第1部分21aの基端側(第1端部20a側)の面に相当する。このとき、第2仮想面S212と第2平面212との間の距離aを、第1仮想面S211と第1平面211との間の距離bよりも容易に小さくできる。距離aは距離bと同じであってもよく、例えば、距離aは100μmであり、距離bは100μmであり、最短距離cは200μmである。
【0132】
同様に、コイル15Cの第2パッド部22Cは、第1主面10aに直交する方向からみて、第1部分22aと、第2部分22bと、第1部分22aと第2部分22bの間の角部22cとを有する。
【0133】
第1部分22aは、第2端部20bから連結方向Lに延在する。第2部分22bは、第1部分22a側から連結方向Lに交差する方向でかつコイル配線部20の内周面20cに近づく方向に延在する。この実施形態では、第2部分21bは、連結方向Lに直交する方向に延在する。つまり、第2パッド部22Cは、第1主面10aに直交する方向からみて、L字状に形成され、第1パッド部21Cと左右対称に形成されている。
【0134】
第2パッド部22Cに接続される第2柱状配線は、第1主面10aに直交する方向からみて、第2パッド部22Cに対応した形状である。したがって、第2パッド部22Cの面積を大きくでき、第2パッド部22Cと第2柱状配線との接続信頼性を向上することができる。
【0135】
第1主面10aに直交する方向からみて、第2パッド部22Cの第1部分22aは、コイル配線部20の内周面20cよりもコイル15Cの径方向内側に突出している。第1平面221は、第2部分22bの先端側の面に相当する。第2平面222は、第1部分22aの基端側(第2端部20b側)の面に相当する。
【0136】
<第3実施形態>
図9は、インダクタ部品の第3実施形態を示す平面図である。
図9では、便宜上、素体とコイルのみを描いており、それらを実線で示す。第3実施形態は、第2実施形態とは、コイルのパッド部の構成が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態とはパッド部の構成が相違するものの、パッド部の第1部分、第2部分については、第2実施形態と同じ定義である。
【0137】
図9に示すように、第3実施形態のインダクタ部品1Dでは、コイル15Dの第1パッド部21Dの第1部分21aは、第1主面10aに直交する方向からみて、コイル配線部20の内周面20cよりもコイル15Dの径方向内側に突出していない。つまり、第1部分21aは、コイル配線部20の外周面よりも径方向外側に突出している。このとき、第1平面211は、第2部分21bの先端側の面に相当し、第2平面212は、第2部分21bの側面に相当する。
【0138】
上記構成によれば、連結方向Lにおけるコイル配線部20の内周面20cと第1パッド部21Dとの間の距離を広げることができ、連結方向Lにおけるコイル配線部20と第1パッド部21Dとの短絡の可能性をより低減できる。例えば、第2仮想面S212と第2平面212との間の距離aを、第1仮想面S211と第1平面211との間の距離bよりも容易に大きくできる。例えば、距離aは200μmであり、距離bは100μmであり、最短距離cは200μmである。
【0139】
同様に、コイル15Dの第2パッド部22Dの第1部分22aは、第1主面10aに直交する方向からみて、コイル配線部20の内周面20cよりもコイル15Dの径方向内側に突出していない。つまり、第1部分22aは、コイル配線部20の外周面よりも径方向外側に突出している。このとき、第1平面221は、第2部分22bの先端側の面に相当し、第2平面222は、第2部分22bの側面に相当する。
【0140】
上記構成によれば、連結方向Lにおけるコイル配線部20の内周面20cと第2パッド部22Dとの間の距離を広げることができ、連結方向Lにおけるコイル配線部20と第2パッド部22Dとの短絡の可能性をより低減できる。
【0141】
<第4実施形態>
図10は、実装部品の一実施形態を示す断面図である。
図10に示すように、実装部品3は、基板300と基板300内に配置されるインダクタ部品1Eとを有する。
【0142】
インダクタ部品1Eは、第1実施形態に示すインダクタ部品1において第1外部端子41と第2外部端子42と被覆膜50とを備えない構成である。
【0143】
基板300は、本体部310と内部配線320と外部配線330とを有する。本体部310は、例えば、絶縁材料から構成されている。内部配線320は、本体部310内に設けられている。外部配線330は、本体部310の主面310aに設けられている。内部配線320は、インダクタ部品1Eの第1柱状配線31および第2柱状配線32に接続されている。内部配線320は、外部配線330に接続されている。これにより、インダクタ部品1Eは、外部配線330に電気的に接続されている。
【0144】
上記構成によれば、インダクタ部品1Eは、基板300に内蔵されるので、基板300の表面の実装面積を増やすことできる。
【0145】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第4実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0146】
前記実施形態では、第1パッド部の少なくとも一部は、連結方向Lに直交する方向に延在しているが、連結方向Lに対して垂直以外の角度で交差する方向に延在してもよい。同様に、第2パッド部の少なくとも一部は、連結方向Lに直交する方向に延在しているが、連結方向Lに対して垂直以外の角度で交差する方向に延在してもよい。
【0147】
前記実施形態では、第1パッド部および第2パッド部の形状は、それぞれ、直線状またはL字状に形成されているが、連結方向Lに交差する方向でかつコイル配線部の内周面に近づく方向に延在する部分を有していれば、如何なる形状であってもよい。
【符号の説明】
【0148】
1、1A~1E インダクタ部品
3 実装部品
10 素体
10a 第1主面
10b 第2主面
11 第1磁性層
12 第2磁性層
15、15C、15D コイル
20 コイル配線部
20a 第1端部
20b 第2端部
20c 内周面
21、21A~21D 第1パッド部
21a 第1部分
21b 第2部分
211 第1平面
212 第2平面
22、22A~22D 第2パッド部
22a 第1部分
22b 第2部分
221 第1平面
222 第2平面
31 第1柱状配線(垂直配線)
32 第2柱状配線(垂直配線)
41、41A 第1外部端子
42、42A 第2外部端子
50 被覆膜
60 絶縁層
300 基板
L 第1端部と第2端部とを結ぶ方向(連結方向)
S211、S221 第1仮想面
S212、S222 第2仮想面