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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電池監視システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240312BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q21/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021181186
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2020000361の分割
【原出願日】2020-01-06
(65)【公開番号】P2022010101
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2022-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】青木 公甫
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103008(WO,A1)
【文献】特開2000-196338(JP,A)
【文献】特開2000-165959(JP,A)
【文献】特開2010-142083(JP,A)
【文献】特開2012-085491(JP,A)
【文献】国際公開第2019/059568(WO,A1)
【文献】Matthias SCHNEIDERet al.,“Automotive battery monitoring by wireless cell sensors”,2012 IEEE International Instrumentation and Measurement Technology Conference Proceedings,2012年07月02日,DOI: 10.1109/I2MTC.2012.6229439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 21/06
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(10)と、前記筐体内に設置されている複数の組電池(20)と、前記筐体内において前記組電池毎に設置されており、自身に対応する前記組電池から当該組電池に関する情報である電池情報を取得する取得装置(30)と、各前記取得装置と無線通信をして前記電池情報を取得する監視装置(40)と、を有し、
前記取得装置は、前記無線通信のための子機アンテナ(36)を備え、前記監視装置は、前記無線通信のための親機アンテナ(46)を備える、電池監視システムにおいて、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうちの少なくとも一方は、所定の非指向方向に比べて所定の指向方向に強く電波を照射し、前記所定の非指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に対して垂直な方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に沿った方向であり、
前記取得装置は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の長手方向に延びており、
前記所定の非指向方向は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の長手方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の短手方向である、電池監視システム。
【請求項2】
前記取得装置は、前記組電池の上面に設置され、
前記監視装置は、前記筐体内において前記組電池の側面側に設置されている、請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項3】
アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、少なくとも所定の前記子機アンテナ及び前記親機アンテナは、互いに相手方の直接波が届かない位置に配置されており、
前記筐体内に、電波を反射させる反射部(16)が設けられており、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうち、一方のアンテナの前記所定の指向方向は、前記一方のアンテナから前記反射部に向けた方向であり、他方のアンテナは、前記反射部により反射した電波を受信する、請求項に記載の電池監視システム。
【請求項4】
前記組電池の外面のうち前記取得装置の設置面に対して、前記筐体の内面又は前記組電池の外面のうち前記監視装置の設置面が垂直である、請求項に記載の電池監視システム。
【請求項5】
前記組電池の外面のうち前記取得装置の設置面に対して、前記筐体の内面又は前記組電池の外面のうち前記監視装置の設置面が垂直であり、
アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、少なくとも所定の前記子機アンテナ及び前記親機アンテナは、互いに相手方の直接波が届かない位置に配置されており、
前記筐体内に、電波を反射させる反射部(16)が設けられており、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうち、一方のアンテナの前記所定の指向方向は、前記一方のアンテナから前記反射部に向けた方向であり、他方のアンテナは、前記反射部により反射した電波を受信する、請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項6】
筐体(10)と、前記筐体内に設置されている複数の組電池(20)と、前記筐体内において前記組電池毎に設置されており、自身に対応する前記組電池から当該組電池に関する情報である電池情報を取得する取得装置(30)と、各前記取得装置と無線通信をして前記電池情報を取得する監視装置(40)と、を有し、
前記取得装置は、前記無線通信のための子機アンテナ(36)を備え、前記監視装置は、前記無線通信のための親機アンテナ(46)を備える、電池監視システムにおいて、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうちの少なくとも一方は、所定の非指向方向に比べて所定の指向方向に強く電波を照射し、前記所定の非指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に対して垂直な方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に沿った方向であり、
前記取得装置は、前記組電池の上面に設置され、
前記監視装置は、前記筐体内において前記組電池の側面側に設置されており、
アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、少なくとも所定の前記子機アンテナ及び前記親機アンテナは、互いに相手方の直接波が届かない位置に配置されており、
前記筐体内に、電波を反射させる反射部(16)が設けられており、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうち、一方のアンテナの前記所定の指向方向は、前記一方のアンテナから前記反射部に向けた方向であり、他方のアンテナは、前記反射部により反射した電波を受信し、
前記所定の非指向方向は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の長手方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の短手方向である、電池監視システム。
【請求項7】
前記組電池の外面のうち前記取得装置の設置面に対して、前記筐体の内面又は前記組電池の外面のうち前記監視装置の設置面が垂直である、請求項6に記載の電池監視システム。
【請求項8】
筐体(10)と、前記筐体内に設置されている複数の組電池(20)と、前記筐体内において前記組電池毎に設置されており、自身に対応する前記組電池から当該組電池に関する情報である電池情報を取得する取得装置(30)と、各前記取得装置と無線通信をして前記電池情報を取得する監視装置(40)と、を有し、
前記取得装置は、前記無線通信のための子機アンテナ(36)を備え、前記監視装置は、前記無線通信のための親機アンテナ(46)を備える、電池監視システムにおいて、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうちの少なくとも一方は、所定の非指向方向に比べて所定の指向方向に強く電波を照射し、前記所定の非指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に対して垂直な方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に沿った方向であり、
前記組電池の外面のうち前記取得装置の設置面に対して、前記筐体の内面又は前記組電池の外面のうち前記監視装置の設置面が垂直であり、
アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、少なくとも所定の前記子機アンテナ及び前記親機アンテナは、互いに相手方の直接波が届かない位置に配置されており、
前記筐体内に、電波を反射させる反射部(16)が設けられており、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうち、一方のアンテナの前記所定の指向方向は、前記一方のアンテナから前記反射部に向けた方向であり、他方のアンテナは、前記反射部により反射した電波を受信し、
前記所定の非指向方向は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の長手方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置が設置される前記組電池の面の短手方向である、電池監視システム。
【請求項9】
前記親機アンテナと前記子機アンテナとの間に導電体が存在する、請求項1~のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項10】
筐体(10)と、前記筐体内に設置されている複数の組電池(20)と、前記筐体内において前記組電池毎に設置されており、自身に対応する前記組電池から当該組電池に関する情報である電池情報を取得する取得装置(30)と、各前記取得装置と無線通信をして前記電池情報を取得する監視装置(40)と、を有し、
前記取得装置は、前記無線通信のための子機アンテナ(36)を備え、前記監視装置は、前記無線通信のための親機アンテナ(46)を備える、電池監視システムにおいて、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうちの少なくとも一方は、所定の非指向方向に比べて所定の指向方向に強く電波を照射し、前記所定の非指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に対して垂直な方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に沿った方向であり、
前記親機アンテナと前記子機アンテナとの間に導電体が存在する、電池監視システム。
【請求項11】
前記子機アンテナの数が前記親機アンテナの数よりも多い、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項12】
前記子機アンテナ及び前記親機アンテナは、前記筐体内に収容されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池監視システムの中には、次のように構成されたものがある。電池監視システムは、金属製の筐体と、その筐体内に設置されている複数の組電池と複数の取得装置と監視装置とを有する。取得装置は、組電池毎に設置されており、自身に対応する組電池から電池情報を取得する。監視装置は、各取得装置と無線通信をして電池情報を取得する。
【0003】
監視装置及び各取得装置は、無線通信用のアンテナを備える。それらのアンテナから発信される電波は、金属製の筐体の内面で反射することで多数の反射波が生成される。そのため、受信側のアンテナに複数の電波が重畳することがある。その重畳による電波干渉により通信障害が生じて、無線通信が成立しなくなったり通信途絶が発生したりすることがある。
【0004】
そして、電波干渉による通信障害の大小は、通信周波数により変化する。そのため、ある通信周波数において、通信不成立や通信途絶が発生した場合、通信周波数を変更して無線通信を行う。そして、このような技術を示す文献としては、次の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6228552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術によれば、通信周波数を変更することにより、無線通信を成立させることはできる。しかしながら、通信不成立や通信途絶の発生自体を抑制するものではない。そのため、通信不成立や通信途絶が頻発して、その都度、通信周波数の変更に迫られる、といった状況等が起こり得る。そして、このように通信不成立や通信途絶が頻発すれば、データの更新頻度が下がる。そのため、このような通信システムは、電池監視システム等のリアルタイム性を重視する装置に対しては、適さないものとなってしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電池監視システムにおける無線通信において、電波干渉による通信障害を抑制することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池監視システムは、筐体と、前記筐体内に設置されている複数の組電池と、前記筐体内において前記組電池毎に設置されており、自身に対応する前記組電池から当該組電池に関する情報である電池情報を取得する取得装置と、各前記取得装置と無線通信をして前記電池情報を取得する監視装置と、を有する。
【0009】
前記取得装置は、前記無線通信のための子機アンテナを備え、前記監視装置は、前記無線通信のための親機アンテナを備える。前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうちの少なくとも一方は、所定の非指向方向に比べて所定の指向方向に強く電波を照射し、前記所定の非指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に対して垂直な方向であり、前記所定の指向方向は、前記取得装置又は前記監視装置が設置される前記組電池の面に沿った方向である
【0010】
本発明によれば、電波の照射を意図する指向方向へは電波を強く照射しつつも、電波の照射を意図しない非指向方向への電波の照射を抑えて、電波の乱反射を抑制することができる。そのため、受信側のアンテナに意図しない反射波が重畳するのを抑制できる。そのため、電池監視システムにおける無線通信において、電波干渉による通信障害を抑制できる。
なお、電池監視システムとしては、例えば以下のような構成をとることができる。
第1の構成は、筐体と、前記筐体内に設置されている複数の組電池と、前記組電池毎に設置されており、自身に対応する前記組電池から当該組電池に関する情報である電池情報を取得する取得装置と、前記筐体内において各前記取得装置と無線通信をして前記電池情報を取得する監視装置と、を有し、
前記取得装置は、前記無線通信のための子機アンテナを備え、前記監視装置は、前記無線通信のための親機アンテナを備える、電池監視システムにおいて、
前記親機アンテナ及び前記子機アンテナのうちの少なくとも一方は、所定の非指向方向に比べて所定の指向方向に強く電波を照射する指向性アンテナである。
第2の構成は、第1の構成において、
複数の前記子機アンテナは、導電体により3次元的に囲まれている所定の通信領域内に設置されており、3次元の各方向のうち前記通信領域の寸法が最も小さい方向を領域幅方向として、前記指向性アンテナからの電波は、前記通信領域内において、前記領域幅方向に比べて、前記領域幅方向に直交する方向に強く照射される。
第3の構成は、第2の構成において、
前記領域幅方向に直交する所定の方向を第1領域長方向とし、前記領域幅方向及び前記第1領域長方向に直交する方向を第2領域長方向として、
前記指向性アンテナからの電波は、前記通信領域内において、前記領域幅方向及び前記第1領域長方向に比べて、前記第2領域長方向に強く照射される。
第4の構成は、第2又は第3の構成において、
前記指向性アンテナからの電波は、前記通信領域内において、前記領域幅方向に直交するいずれの方向よりも前記領域幅方向に照射範囲が狭い指向性を有する。
第5の構成は、第2~第4のいずれか1つの構成において、
前記通信領域は、前記組電池の外面と前記筐体の内面との間隔に形成されており、前記領域幅方向は、前記間隔の大きさ方向である。
第6の構成は、第2~第5のいずれか1つの構成において、
前記指向性アンテナから発信された電波の強度が発信当初よりも3db以上小さくなる領域を非指向領域とし、前記強度が発信当初よりも3db以上小さくならない領域を指向領域とし、前記指向性アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、
少なくとも前記親機アンテナは前記指向性アンテナであり、前記親機アンテナは、自身の少なくとも前記直接波の前記指向領域が、前記通信領域における前記領域幅方向の少なくとも一方の端に届かない指向性を有する。
第7の構成は、第1~第6のいずれか1つの構成において、
前記指向性アンテナから発信された電波の強度が発信当初よりも3db以上小さくなる領域を非指向領域とし、前記強度が発信当初よりも3db以上小さくならない領域を指向領域として、
少なくとも前記親機アンテナは前記指向性アンテナであり、各前記子機アンテナは、前記親機アンテナの前記指向領域内に配置されている。
第8の構成は、第1~第7のいずれか1つの構成において、
前記子機アンテナは、前記非指向方向に交差する方向に並設されている。
第9の構成は、第1~第8のいずれか1つの構成において、
アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、少なくとも所定の前記子機アンテナ及び前記親機アンテナは、互いに相手方の直接波が届かない位置に配置されており、
前記筐体内に、電波を反射させる反射部が設けられており、前記指向性アンテナは前記反射部に前記指向方向を向けて電波を発信するものであり、前記反射部により反射した電波が相手方のアンテナに届き受信される。
第10の構成は、第1~第9のいずれか1つの構成において、
前記監視装置は、前記指向性アンテナである前記親機アンテナを複数有する。
第11の構成は、第10の構成において、
前記親機アンテナから発信された電波の強度が発信当初よりも3db以上小さくなる領域を非指向領域とし、前記強度が発信当初よりも3db以上小さくならない領域を指向領域とし、前記親機アンテナから発信された電波のうち反射していないものを直接波として、
各前記親機アンテナは、他の前記親機アンテナと少なくとも前記直接波の前記指向領域どうしが重なり合わない指向性を有する。
第12の構成は、第10又は第11の構成において、
前記監視装置は、前記親機アンテナを前記子機アンテナ毎に有する。
第13の構成は、第10~第12のいずれか1つの構成において、
前記監視装置は、電波を発信する前記親機アンテナを切り替える切替部を有しており、前記切替部による切替により、複数の前記親機アンテナが順に時間差で電波を照射する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の電池パックを示す斜視図
図2】電池パックを示す平面断面図
図3】電池パックを示す正面断面図
図4】比較例の電池パックを示す正面断面図
図5】第2実施形態の電池パックを示す平面断面図
図6】電池パックを示す正面断面図
図7】第3実施形態の電池パックを示す正面断面図
図8】電池パック内における電波の様子を示す正面断面図
図9】第4実施形態の電池パックを示す正面断面図
図10】第5実施形態の電池パックを示す斜視図
図11】電池パックを示す平面断面図
図12】電池パックを示す正面断面図
図13】第6実施形態の電池パックを示す平面断面図
図14】電池パックを示す正面断面図
図15】第7実施形態の電池パックを示す平面断面図
図16】第8実施形態の電池パックを示す平面断面図
図17】第9実施形態の電池パックを示す平面断面図
図18】第10実施形態の電池パックを示す平面断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電池パック101を示す斜視図である。電池パック101は、車両等に搭載されている。電池パック101は、金属等の導電体製の筐体10と、筐体10内に設置されている複数の組電池20と複数の取得装置30と監視装置40とを有する。各取得装置30及び監視装置40は、各組電池20を監視する電池監視システムを構成している。
【0014】
以下では、図に合わせて、互いに直交し合う所定の3方向を、それぞれ「左右方向X」「前後方向Y」「上下方向Z」という。ただし、例えば、以下でいう「上下方向Z」を左右や前後にして設置したり、以下でいう「左右方向X」を前後にして設置したりする等、電池パック101は任意の方向に設置することができる。
【0015】
複数の組電池20は、左右方向Xに並設されている。そして、各組電池20は、複数の電池セル22を前後方向Yに並べて有している。それら複数の電池セル22は、電気的に直列に接続されている。
【0016】
複数の取得装置30は、組電池20毎に設置されている。具体的には、各取得装置30は、自身に対応する組電池20の上面に設置されている。そして、各取得装置30は、自身に対応する組電池20から、当該組電池20に関する情報である電池情報を取得する。その電池情報は、例えば、当該組電池20が有する複数の各電池セル22の電圧情報及び温度情報や、当該組電池20に流れる電流情報等を含む。
【0017】
監視装置40は、筐体10内において筐体10の右内側面に取り付けられている。その監視装置40は、上位ECU(図示略)に無線又は有線により通信可能に接続されている。
【0018】
筐体10は、親機アンテナ46及び各子機アンテナ36を3次元的に囲む箱型の形状をしている。ただし、本明細書でいう「3次元的に囲む」とは、互いに直交し合う3つの各方向のプラス側及びマイナス側からなる6つの方向を「6方向」として、囲まれる対象の6方向側に囲む対象があること、すなわち、ここでは、各アンテナ46,36の6方向側に筐体10があることをいう。よって、筐体10に、例えばネジ穴や通気口やコネクタ挿通孔等の開口部があってもよいし、その他の隙間があってもよい。
【0019】
組電池20の上面と筐体10の天井面との間には、導電体により3次元的に囲まれている通信領域Sが形成されている。具体的には、この通信領域Sは、本実施形態では、取得装置30の上面と筐体10の上部の5つの内面とにより3次元的に囲まれている領域である。その筐体10の上部の5つの内面は、筐体10の天井面と、筐体10の上部の左右前後の4つの各内側面との5面である。この通信領域Sの寸法は、3次元の各方向のうち上下方向Zに最も小さい。よって、この通信領域Sの領域幅方向は、上下方向Zであり、この通信領域Sの領域長方向は、上下方向Zに直交する方向、すなわち水平方向(X,Y)である。
【0020】
図2は、電池パック101を示す平面断面図であり、図3は、電池パック101を示す正面断面図である。各取得装置30は、監視装置40と無線通信するための子機アンテナ36を有する。各子機アンテナ36は、自身に対応する取得装置30の上面から上方に突出している。それにより、各子機アンテナ36が、通信領域S内に設置されている。
【0021】
監視装置40は、各子機アンテナ36と無線通信をするための親機アンテナ46を有する。監視装置40は、その無線通信により、取得装置30に電池情報を取得させる取得指令を送信したり、各取得装置30から電池情報を受信したり、取得装置30に各電池セル22の電圧を均等化させる均等化指令を送信したりする。
【0022】
以下では、アンテナ46,36から発信されてから一度も反射していない電波を「直接波」といい、一度でも反射した電波を「反射波」という。親機アンテナ46は、右端の組電池20よりも右方における組電池20の上面よりも上方に設置されている。それにより、親機アンテナ46も、各子機アンテナ36と同じく、通信領域S内に設置されている。この配置上、親機アンテナ46は、自身の直接波を各子機アンテナ36に送信することができ、各子機アンテナ36は、自身の直接波を親機アンテナ46に送信することができる。
【0023】
通信領域Sの上下方向Zの寸法、すなわち、組電池20の上面と筐体10の天井面との上下方向Zの間隔は、小さく、例えば3cm以下や、2cm以下や、1cm以下等である。そのため、通信領域S内で、電波Wが上下方向Zに乱反射し易い。そのため、親機アンテナ46及び各子機アンテナ36として、上下方向Zに比べて水平方向(X,Y)に強く電波Wを照射する指向性アンテナが用いられている。
【0024】
具体的には、各アンテナ46,36は、上下方向Zを電波Wの照射を意図しない非指向方向とし、水平方向(X,Y)を電波Wの照射を意図する指向方向としている。そのため、親機アンテナ46は、図2に示すように、指向方向である水平方向(X,Y)に向けては電波Wを2次元的に全方位照射する一方、図3に示すように、非指向方向である上下方向Zに向けては電波Wを照射しない。よって、親機アンテナ46は、3次元的には電波Wを全方位照射しない。
【0025】
また、各子機アンテナ36についても、電波は図示しないが、親機アンテナ46の場合と同様に、指向方向である水平方向(X,Y)に向けては電波を2次元的に全方位照射する一方、非指向方向である上下方向Zに向けては電波を照射しない。よって、子機アンテナ36も、3次元的には電波を全方位照射しない。
【0026】
以下では、アンテナ46,36から発信された電波の強度が発信当初よりも3db以上小さくなる領域を「非指向領域」とし、当該強度が発信当初よりも3db以上小さくならない領域を「指向領域」という。親機アンテナ46は、自身の少なくとも直接波の指向領域R1が、通信領域Sにおける上下方向Zの少なくとも一方の端に届かない指向性を有する。
【0027】
具体的には、本実施形態では、親機アンテナ46は、自身の直接波の指向領域R1が、通信領域Sの上端、すなわち筐体10の天井面に届かない指向性を有している。よって、通信領域S内において、当該指向領域R1の上方には、非指向領域R2が形成される。そして、各子機アンテナ36は、親機アンテナ46の指向領域R1内に配置されている。また、各子機アンテナ36も、電波等は図示しないが、自身の直接波の指向領域が、通信領域Sの上端、すなわち筐体10の天井面に届かない指向性を有している。そして、親機アンテナ46は、各子機アンテナ36の指向領域内に配置されている。
【0028】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。図4は、親機アンテナ46及び各子機アンテナ36が、指向性を有しない通常のアンテナである場合の比較例を示している。前述のとおり、各アンテナ46,36は、上下方向Zに狭い通信領域S内に設置されている。そのため、このように各アンテナ46,36が通常のアンテナである場合、各アンテナ46,36から相手方のアンテナ36,46に向けて発信された電波Wが、通信領域Sの上端と下端との間で、すなわち筐体10の天井面と組電池20の上面との間で激しく乱反射し易い。そのため、各アンテナ46,36に複数の反射波が重畳し易く、電波干渉による電波障害が発生し易い。
【0029】
その点、本実施形態では、図3に示すように、子機アンテナ36及び親機アンテナ46は指向性アンテナであり、各アンテナ36,46からの電波Wは、通信領域S内において、上下方向Zよりも水平方向(X,Y)に強く照射される。そのため、上下方向Zにも強く照射される場合に比べて、電波Wが通信領域Sの上下方向Zの端に強く照射され難く、通信領域S内における電波Wの乱反射が抑制される。そのため、各子機アンテナ36や親機アンテナ46に意図しない反射波が重畳するのを抑制でき、電波干渉による電波障害を抑制できる。
【0030】
具体的には、各アンテナ46,36からの電波Wは、上下方向Zに狭い通信領域S内において、水平面(X,Y)内のいずれの方向よりも上下方向Zに照射範囲が狭い指向性を有する。そのため、効率的に上下方向Zへの乱反射を抑制できる。
【0031】
また、親機アンテナ46は、自身の少なくとも直接波の指向領域R1が通信領域Sにおける上下方向Zの少なくとも一方の端に届かない指向性を有する。そのため、当該直接波の指向領域R1が、通信領域Sにおける上下方向Zの両端に届く場合に比べて、効率的に上下方向Zの乱反射を抑制できる。
【0032】
また、各子機アンテナ36は、親機アンテナ46の指向領域R1内に配置されているため、各子機アンテナ36は、親機アンテナ46から強い電波Wを受信することができる。また、親機アンテナ46は、各子機アンテナ36の指向領域内に配置されているため、親機アンテナ46は、各子機アンテナ36から強い電波を受信することができる。
【0033】
また、子機アンテナ36は、左右方向Xに並設されているが、その左右方向Xは親機アンテナ46の非指向方向(Z)に交差する方向であり、非指向方向(Z)ではないため、親機アンテナ46は、各子機アンテナ36に効率的に電波Wを照射することができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。以下の実施形態においては、それ以前の実施形態のものと同一の又は対応する部材等について、同一の符号を付する。ただし、電池パック自体については、実施形態毎に異なる符号を付する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0035】
図5は、本実施形態の電池パック102を示す平面断面図であり、図6は、その電池パック102を示す正面断面図である。本実施形態では、各組電池20の配置が、第1実施形態での配置から上下方向Zを軸に90°回転させた配置になっている。よって、組電池20は、左右方向Xにではなく前後方向Yに並設されている。そのため、取得装置30及びその子機アンテナ36も前後方向Yに並設されている。そして、子機アンテナ36は、自身の属する取得装置30から右方に突出している。なお、親機アンテナ46の配置や、各アンテナ46,36の指向方向(X,Y)及び非指向方向(Z)等については、第1実施形態の場合と同様である。
【0036】
本実施形態では、子機アンテナ36が、左右方向Xにではなく前後方向Yに並設されているが、その前後方向Yも親機アンテナ46の非指向方向(Z)に交差する方向(Y)であり、非指向方向(Z)ではないため、親機アンテナ46は、各子機アンテナ36に効率的に電波Wを照射することができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。本実施形態については、第2実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0038】
図7は、第3実施形態の電池パック103を示す平面断面図である。本実施形態では、監視装置40が、第2実施形態の場合よりも下方に設置されている。それにより、親機アンテナ46は、各組電池20よりも右方において、組電池20の上面よりも上方ではなく下方に設置されている。そのため、親機アンテナ46は、通信領域S内にではなく、通信領域Sの下方に設けられている。そのため、親機アンテナ46が発信した直接波は、各子機アンテナ36には届かず、また、各子機アンテナ36が発信した直接波は、親機アンテナ46には届かない。
【0039】
そのため、図8に示すように、筐体10内に、電波Wを反射させるための反射部16が設けられている。親機アンテナ46はその反射部16に指向方向を向けて電波Wを発信する。その反射部16により反射した電波Wが各子機アンテナ36に届き受信される。また、各子機アンテナ36も反射部16に指向方向を向けて電波Wを発信する。その反射部16により反射した電波Wが親機アンテナ46に届き受信される。
【0040】
具体的には、本実施形態では、導電体製の筐体10の天井面の一部が反射部16を構成している。そして、親機アンテナ46から発信された電波Wにおける1回反射波が、各子機アンテナ36に届く。また、各子機アンテナ36から発信された電波Wにおける1回反射波が、親機アンテナ46に届く。
【0041】
通信領域S内においては、第2実施形態の場合と同様に、各アンテナ46,36からの電波Wが、すなわち親機アンテナ46からの1回反射波及び各子機アンテナ36からの直接波が、上下方向Zよりも水平方向(X,Y)に強く照射される。
【0042】
本実施形態よれば、反射部16があるため、親機アンテナ46と子機アンテナ36との間に導電体等の障害物がある場合にも無線通信が可能になる。そのため、筐体10内における各アンテナ46,36の配置の自由度が上がり、それに伴い、監視装置40及び取得装置30の配置の自由度が上がる。
【0043】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。本実施形態については、第3実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0044】
図9は、第4実施形態の電池パック104を示す正面図である。本実施形態では、親機アンテナ46が、組電池20よりも右方において、第3実施形態の場合よりも左寄りに配置されている。そのため、親機アンテナ46は、1回反射波を各子機アンテナ36に送信することはできず、また、各子機アンテナ36も、1回反射波を親機アンテナ46に送信することはできない。そのため、筐体10の天井面の一部に加えて筐体10の右側面の一部も、電波Wを反射させるための反射部16を構成している。
【0045】
そして、親機アンテナ46は、筐体10の右側面の反射部16に指向方向を向けて電波Wを照射する。その電波Wは、筐体10の右側面の反射部16と、筐体10の天井面の反射部16とに反射して、各子機アンテナ36に届く。すなわち、親機アンテナ46からの2回反射波が、各子機アンテナ36に届く。また、各子機アンテナ36は、筐体10の天井面の反射部16に指向方向を向けて電波Wを照射する。その電波Wは、筐体10の天井面の反射部16と、筐体10の右内側面の反射部16とに反射して、各親機アンテナ46に届く。すなわち、各子機アンテナ36からの2回反射波が、親機アンテナ46に届く。
【0046】
本実施形態によれば、親機アンテナ46及び各子機アンテナ36の各方から他方に1回反射波を送信することができない場合にも、2回反射波により無線通信が可能になる。そのため、筐体10内における各アンテナ46,36の配置の自由度がさらに上がり、それに伴い、監視装置40及び取得装置30の配置の自由度がさらに上がる。
【0047】
[第5実施形態]
次に第5実施形態について説明する。本実施形態については、第2実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0048】
図10は、第5実施形態の電池パック105を示す斜視図である。本実施形態では、第2実施形態に比べて、組電池20が前後方向Yに一列にではなく、2列等の複数列で並設されている点で相違する。そのため、本実施形態では、第2実施形態に比べて、筐体10及び通信領域Sが前後方向Yに短い。また、本実施形態では、第2実施形態に比べて、筐体10及び通信領域Sが上下方向Zに長い。そのため、通信領域Sの寸法は、上下方向Zにではなく前後方向Yに最も小さい。そのため、通信領域Sの領域幅方向は、前後方向Yであり、通信領域Sの領域長方向は、前後方向Yに直交する方向(X,Z)である。以下では、この前後方向Yに直交する方向(X,Z)を、単に「前後直交方向(X,Z)」という。
【0049】
図11は、電池パック105を示す平面断面図であり、図12は、電池パック105を示す正面断面図である。各アンテナ46,36は、領域幅方向である前後方向Yを、電波Wの照射を意図しない非指向方向とし、領域長方向である前後直交方向(X,Z)を、電波Wの照射を意図する指向方向としている。そのため、親機アンテナ46は、図12に示すように、指向方向である前後直交方向(X,Z)に向けては電波Wを2次元的に全方位照射する一方、図11に示すように、非指向方向である前後方向Yに向けては電波Wを照射しない。また、各子機アンテナ36についても、電波は図示しないが、親機アンテナ46の場合と同様に、前後直交方向(X,Z)に向けては電波を2次元的に全方位照射する一方、前後方向Yに向けては電波を照射しない。
【0050】
本実施形態によれば、通信領域Sの領域幅方向が上下方向Zではなく前後方向Yである場合において、電波Wの乱反射を効率的に抑制することができる。
【0051】
[第6実施形態]
次に第6実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0052】
図13は、電池パック106を示す平面断面図であり、図14は、電池パック106を示す正面断面図である。本実施形態は、第1実施形態と比べて、各アンテナ46,36が、上下方向Zのみならず、前後方向Yにも狭い照射範囲の指向性を有する点で相違している。
【0053】
詳しくは、親機アンテナ46は、領域幅方向である上下方向Zと一の領域長方向である前後方向Yとを電波Wの照射を意図しない非指向方向とし、前後方向Yと直交する領域長方向である左右方向Xを電波Wの照射を意図する指向方向としている。より具体的には、親機アンテナ46は、図13図14に示すように、左方に向けては電波Wを所定の広がりで照射する一方、非指向方向である前後方向Yや上下方向Zや右方に向けては電波Wを照射しない。また、各子機アンテナ36は、親機アンテナ46とは正反対に、右方に向けては電波Wを所定の広がりで照射する一方、親機アンテナ46と同様に、非指向方向である前後方向Yや上下方向Zや左方に向けては電波Wを照射しない。
【0054】
本実施形態によれば、各アンテナ36,46からの電波Wは、通信領域S内において、上下方向Zのみならず前後方向Yに比べても、左右方向Xに強く照射される。そのため、各アンテナ36,46からの電波Wを、通信領域Sの上下方向Zの端のみならず、前後方向Yの端にも届き難くすることができ、通信領域S内における電波Wの乱反射をより強固に抑制することができる。
【0055】
[第7実施形態]
次に第7実施形態について説明する。本実施形態については、第6実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0056】
図15は、第7実施形態の電池パック107を示す平面図である。本実施形態は、第6実施形態と比べて、監視装置40が筐体10の右内側面ではなく、筐体10の後内側面の左右中央部に設置されている点で相違している。そして、監視装置40は、左右2つの親機アンテナ46を有する。
【0057】
左側の親機アンテナ46は、左斜め前に電波Wを発信することにより、左半分の子機アンテナ36に電波Wを送信する。また、左半分の子機アンテナ36も左側の親機アンテナ46に電波を送信する。他方、右側の親機アンテナ46は、右斜め前に電波Wを発信することにより、右半分の子機アンテナ36に電波Wを送信する。また、右半分の子機アンテナ36も右側の親機アンテナ46に電波を送信する。左右の各親機アンテナ46は、他方の親機アンテナ46と少なくとも直接波の指向領域R1どうしが重なり合わない指向性を有する。
【0058】
本実施形態によれば、監視装置40は、指向性アンテナである親機アンテナ46を複数有するため、1つしか有しない場合に比べて、各親機アンテナ46の指向領域R1を狭く絞ることができる。そのため、乱反射をより強固に抑制できる。
【0059】
また、各親機アンテナ46は、他の親機アンテナ46と少なくとも直接波の指向領域R1どうしが重なり合わない指向性を有するので、重なり合う場合に比べて、電波干渉による電波障害を抑制できる。
【0060】
また、左右中央部に親機アンテナ46があるので、例えば第6実施形態のように右端に親機アンテナ46が有る場合に比べて、左端の子機アンテナ36に電波Wが届き易い。そのため、電波Wの強度を小さくすることができ、親機アンテナ46に最も近い子機アンテナ36付近での電波Wの乱反射を抑えることができる。また、このように電波Wの強度を小さくできることにより、省電力にも繋がる。
【0061】
[第8実施形態]
次に第8実施形態について説明する。本実施形態については、第7実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0062】
図16は、第8実施形態の電池パック108を示す平面図である。本実施形態は、第7実施形態と比べて、監視装置40が親機アンテナ46を子機アンテナ36毎に有している点で相違する。
【0063】
本実施形態によれば、監視装置40が、指向性アンテナである親機アンテナ46を子機アンテナ36毎に有するため、より狭く各親機アンテナ46の指向領域R1を絞ることができる。そのため、乱反射をより強固に抑制できる。
【0064】
また、次の効果も得られる。通常、親機アンテナ46は、複数の子機アンテナ36と無線通信する場合、各子機アンテナ36にIDを割り付けて各子機アンテナ36を他の子機アンテナ36から区別する。そのため、例えば同時に2つの子機アンテナ36と1つの親機アンテナ46との通信が途絶すると、それら2つの子機アンテナ36のIDが互いに入れ替わってしまうおそれがある。その点、本実施例では、各親機アンテナ46は、特定の子機アンテナ36と一対一で無線通信することになるため、そのような問題は解消される。
【0065】
[第9実施形態]
次に第9実施形態について説明する。本実施形態については、第8実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0066】
図17は、第9実施形態の電池パック109を示す平面図である。本実施形態は、第8実施形態と比較して、監視装置40が、電波Wを発信する親機アンテナ46を切り替える切替部45を有する点で相違している。その切替部45による切替により、複数の親機アンテナ46が順に時間差で電波Wを照射する。そして、親機アンテナ46の指向領域R1どうしは、部分的に重なっていてもよい。
【0067】
本実施形態によれば、複数の親機アンテナ46は、順に時間差で電波Wを照射するため、複数の親機アンテナ46が一斉に電波Wを照射する場合に比べて、電波干渉による通信障害を抑制できる。具体的には、上記のように各親機アンテナ46の指向領域R1どうしが部分的に重なり合う場合でも、上記のとおり時間差で電波Wを照射することにより、電波干渉による通信障害を抑制できる。
【0068】
[第10実施形態]
次に第10実施形態について説明する。本実施形態については、第9実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明する。
【0069】
図18は、第10実施形態の電池パック110を示す平面図である。本実施形態は、第9実施形態と比べて、監視装置40が子機アンテナ36毎に親機アンテナ46を有しておらず、各1つの親機アンテナ46が複数の子機アンテナ36と無線通信を行う点で相違している。
【0070】
本実施形態によれば、第9実施形態に比べて、親機アンテナ46を減らすことができる。
【0071】
[他の実施形態]
以上の実施形態は、次のように変更して実施することもできる。例えば、各実施形態では、親機アンテナ46及び各子機アンテナ36が指向性アンテナであるが、親機アンテナ46のみや、一部又は全部の子機アンテナ36のみを指向性アンテナにしてもよい。この場合にも、全てのアンテナ46,36が通常のアンテナである場合に比べて、乱反射を抑制することができる。
【0072】
また例えば、各実施形態において、通信領域Sは、組電池20の上面と筐体10の内面とに3次元的に囲まれている領域であるが、組電池20の上面以外の導電体製の面と、筐体10の内面とにより3次元的に囲まれている領域であってもよい。また例えば、各実施形態において、筐体10は樹脂等の非導電体製であり、通信領域Sは、筐体内に搭載されている導電体により3次元的に囲まれている領域であってもよい。
【0073】
また例えば、第1実施形態等では、図3等に示すように、各アンテナ46,36は、直接波の指向領域R1が、通信領域Sの上端にのみ届かず、通信領域Sの下端には届く指向性を有するが、これとは逆に、通信領域Sの下端にのみ届かず、通信領域Sの上端には届く指向性を有していてもよい。また例えば、各アンテナ46,36は、直接波の指向領域R1が、通信領域Sの上端及び下端の両方に届かない指向性を有していてもよい。この場合には、より強固に乱反射を抑制できる。また例えば、各アンテナ46,36は、直接波の指向領域R1が、通信領域Sの上端及び下端の両方に届く指向性を有していてもよい。この場合でも、指向性を有しない通常のアンテナに比べて、乱反射を抑制することができる。
【0074】
また例えば、第1実施形態等では、各アンテナ46,36は、少なくとも直接波の指向領域R1が、通信領域Sの上端等に届かない指向性を有するが、直接波のみならず、反射波を含む全ての電波Wの指向領域R1が、通信領域Sの上端等に届かない指向性を有するようにしてもよい。この場合には、より強固に乱反射を抑制できる。また、図15に示す第7実施形態や、図18に示す第10実施形態では、親機アンテナ46が2つであるが、3つ以上にしてもよい。また、各図では、組電池20、取得装置30及び子機アンテナ36は、4つずつ等であるが、幾つずつであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…筐体、20…組電池、30…取得装置、36…子機アンテナ、40…監視装置、46…親機アンテナ、101~110…電池パック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18