(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240312BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2021185143
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2022-02-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 正英
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-064410(JP,A)
【文献】特開2009-244167(JP,A)
【文献】特開2014-229255(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077204(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/163287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共車両優先システムが、公共車両の進行方向前方に存在する信号機の信号の残点灯時間を変更して前記公共車両を通行させる優先制御を行っている場合に、前記信号機の点灯状態を取得する点灯状態取得部と、
前記点灯状態取得部が取得した前記点灯状態が、前記公共車両が進行できないことを示す赤信号が点灯している進行禁止状態である場合、前記公共車両の減速を促す情報と、前記公共車両優先システムが前記赤信号の残点灯時間を短縮して前記公共車両を通行させる優先制御を行っていることを示す情報とを前記公共車両の表示部に表示させ、前記点灯状態が、前記公共車両が進行できることを示す青信号が点灯している進行許可状態である場合、前記公共車両優先システムが前記青信号の残点灯時間を延長して前記公共車両を通行させる優先制御を行っていることを示す情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備え
、
前記点灯状態取得部は、前記信号機で点灯中の信号の残点灯時間を所定間隔毎に順次取得し、
前記表示制御部は、前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間と、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間との差が、前記所定間隔と異なる場合、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行って前記残点灯時間を変更したことを示す情報を表示させる、
運転支援装置。
【請求項2】
前記点灯状態取得部は、前記信号機で点灯中の前記青信号の前記残点灯時間を所定間隔毎に順次取得し、
前記表示制御部は、前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間から、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間を減算した値が、前記所定間隔よりも小さい場合、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行って前記残点灯時間を延長したことを示す情報を表示させる、
請求項
1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記点灯状態取得部は、前記信号機で点灯中の前記赤信号の前記残点灯時間を所定間隔毎に順次取得し、
前記表示制御部は、前記点灯状態が前記進行禁止状態である場合、前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間から、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間を減算した値が、前記所定間隔よりも大きいとき、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行って前記残点灯時間を短縮したことを示す情報を表示させ、前記減算した値が前記所定間隔と等しいとき、前記減速を促す情報を前記表示部に表示させる、
請求項
1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記信号機に対応する停止線と、前記公共車両との距離を取得する距離取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記点灯状態が前記進行許可状態であり、前記距離取得部が取得した前記距離が所定距離以上である場合、前記優先制御を行っていることを示す情報を表示させる、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
公共車両に搭載されたコンピュータのプロセッサが、
公共車両優先システムが、前記公共車両の進行方向前方に存在する信号機の信号の残点灯時間を変更して通行させる優先制御を行っている場合に、前記信号機の点灯状態を
所定間隔毎に順次取得するステップと、
前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間と、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間との差が、前記所定間隔と異なるか否かを判定するステップと、
取得した前記点灯状態が、前記公共車両が進行できないことを示す赤信号が点灯している進行禁止状態であ
り、かつ前記差が前記所定間隔と異なる場合、前記公共車両の減速を促す情報と、前記公共車両優先システムが前記赤信号の残点灯時間を短縮して前記公共車両を通行させる優先制御を行っていることを示す情報とを前記公共車両の表示部に表示させ
るステップと、
取得した前記点灯状態が、前記公共車両が進行できることを示す青信号が点灯している進行許可状態であ
り、かつ前記差が前記所定間隔と異なる場合、前記公共車両優先システムが前記青信号の残点灯時間を延長して前記公共車両を通行させる優先制御を行っていることを示す情報を前記表示部に表示させるステップと、
を実行する運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドライバの運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車が交差点に到達する時点において、信号機が赤信号を点灯していると予測される場合に、アクセルオフを促す情報を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、公共交通機関であるバスなどの公共車両を他車両に優先して通行させるために、信号機の青信号の点灯時間を延長する公共車両優先システムが知られている。上記の技術では、公共車両優先システムにより信号機の青信号の点灯時間が延長される場合であっても、アクセルオフを促す情報を表示してしまうことがあった。その結果、青信号の点灯時間が延長される場合であっても、公共車両のドライバがアクセルをオフしてしまっていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ドライバのアクセル操作を適切に支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、公共車両優先システムが、公共車両の進行方向前方に存在する信号機の信号の残点灯時間を変更して前記公共車両を通行させる優先制御を行っている場合に、前記信号機の点灯状態を取得する点灯状態取得部と、前記点灯状態取得部が取得した前記点灯状態が、前記公共車両が進行できないことを示す進行禁止状態である場合、前記公共車両の減速を促す情報を前記公共車両の表示部に表示させ、前記点灯状態が、前記公共車両が進行できることを示す進行許可状態である場合、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行っていることを示す情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える運転支援装置を提供する。
【0007】
前記点灯状態取得部は、前記信号機で点灯中の信号の残点灯時間を所定間隔毎に順次取得し、前記表示制御部は、前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間と、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間とが異なる場合、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行って前記残点灯時間を変更したことを示す情報を表示させてもよい。
【0008】
前記点灯状態取得部は、前記信号機で点灯中の青信号の前記残点灯時間を所定間隔毎に順次取得し、前記表示制御部は、前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間から、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間を減算した値が、前記所定間隔よりも小さい場合、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行って前記残点灯時間を延長したことを示す情報を表示させてもよい。
【0009】
前記点灯状態取得部は、前記信号機で点灯中の赤信号の前記残点灯時間を所定間隔毎に順次取得し、前記表示制御部は、前記点灯状態が前記進行禁止状態である場合、前記点灯状態取得部が直前に取得した前記残点灯時間から、前記点灯状態取得部が新たに取得した前記残点灯時間を減算した値が、前記所定間隔よりも大きいとき、前記公共車両優先システムが前記優先制御を行って前記残点灯時間を短縮したことを示す情報を表示させ、前記減算した値が前記所定間隔と等しいとき、前記減速を促す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0010】
前記信号機に対応する停止線と、前記公共車両との距離を取得する距離取得部をさらに備え、前記表示制御部は、前記点灯状態が前記進行許可状態であり、前記距離取得部が取得した前記距離が所定距離以上である場合、前記優先制御を行っていることを示す情報を表示させてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、公共車両に搭載されたコンピュータのプロセッサが、公共車両優先システムが、前記公共車両の進行方向前方に存在する信号機の信号の残点灯時間を変更して通行させる優先制御を行っている場合に、前記信号機の点灯状態を取得するステップと、取得した前記点灯状態が、前記公共車両が進行できないことを示す進行禁止状態である場合、前記公共車両の減速を促す情報を前記公共車両の表示部に表示させ、取得した前記点灯状態が、前記公共車両が進行できることを示す進行許可状態である場合、前記公共車両優先システムが優先制御を行っていることを示す情報を前記表示部に表示させるステップと、を実行する運転支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドライバのアクセル操作を適切に支援できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る運転支援装置の概要を説明するための図である。
【
図2】実施の形態に係る運転支援装置の構成を模式的に示す図である。
【
図3】信号機が赤信号を点灯している場合に、運転支援情報を表示させる処理を説明するための図である。
【
図4】信号機が青信号を点灯している場合に、運転支援情報を表示させる処理を説明するための図である。
【
図5】公共車両と停止線との距離に応じた運転支援情報を表示させる処理を説明するための図である。
【
図6】青信号の最小残点灯時間が延長された場合を説明するための図である。
【
図7】赤信号の最大残点灯時間が短縮された場合を説明するための図である。
【
図8】運転支援情報を表示させる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態に係る運転支援装置の概要]
まず、実施の形態に係る運転支援装置の概要を説明する。
図1は、実施の形態に係る運転支援装置の概要を説明するための図である。公共交通機関であるバスなどの公共車両Vには、実施の形態に係る運転支援装置が搭載される。公共車両Vは、信号機2に向かって進行している。
【0015】
信号機2は、公共車両Vの進行方向前方に存在する信号機である。信号機2は、信号の点灯状態を、無線通信を介して信号機2に近づく公共車両Vに送信する。具体的には、信号機2は、公共車両Vが進行できないことを示す赤信号Rが点灯している進行禁止状態、又は公共車両Vが進行できることを示す青信号Bが点灯している進行許可状態を示す状態情報を公共車両Vに送信する。また、信号機2は、点灯中の信号の残点灯時間を示す時間情報を公共車両Vに送信する。具体的には、信号機2は、青信号Bが点灯している場合、青信号Bが点灯している時間の最小値を示す最小残点灯時間を示す時間情報を送信し、赤信号Rが点灯している場合、赤信号Rが点灯している時間の最大値を示す最大残点灯時間を示す時間情報を送信する。
【0016】
公共車両優先システム3は、公共交通機関でない他車両(例えば普通自動車)よりも、公共車両Vを優先して通行させるために、信号機2の信号の残点灯時間を変更して公共車両Vを通行させる優先制御を行う。具体的には、公共車両優先システム3は、信号機2に公共車両Vが接近すると、信号機2の青信号Bの残点灯時間を延長したり、赤信号Rの残点灯時間を短縮したりする。例えば、公共車両優先システム3は、予め定められた時間帯(例えば朝夕の通勤時間帯)に、信号機2に対応する停止線Nから所定の距離(例えば300m)内に接近した公共車両Vに対して優先制御を行う。また、公共車両優先システム3は、道路の混雑状況に応じて優先制御を行うことができる。なお、公共車両優先システム3は、優先制御を行っていることを示す情報を、信号機2を介して公共車両Vに搭載される運転支援装置に送信することができる。
【0017】
運転支援装置は、公共車両優先システム3が優先制御を行っている場合に、公共車両Vが近づく信号機2の点灯状態を取得する。そして、運転支援装置は、点灯状態が進行禁止状態である場合、公共車両Vの減速を促す情報を公共車両Vの表示部に表示させる。また、運転支援装置は、点灯状態が進行許可状態である場合、公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を表示部に表示させる。このようにすることで、公共車両Vのドライバは、信号機2に到達する前に減速すべき状況であるのか、公共車両優先システム3が優先制御を行っているために減速しなくてもよい状況なのかを把握できる。このように、運転支援装置は、信号機2の点灯状態に応じて、アクセル操作を支援する情報を表示させるので、公共車両Vのドライバのアクセル操作を適切に支援できる。
【0018】
[実施の形態に係る運転支援装置1の構成]
図2は、実施の形態に係る運転支援装置1の構成を模式的に示す図である。運転支援装置1は、通信部11と、表示部12と、記憶部13と、制御部14とを備える。通信部11は、信号機2との間で情報を送受信するための無線通信モジュールである。無線通信の規格は、例えば700MHz帯のDSRC(Dedicated Short Range Communications)である。また、無線通信の規格は、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)であってもよい。また、通信部11は、携帯電話網を介して信号機2との間で情報を送受信してもよい。携帯電話網は、例えば第4世代移動通信システム又は第5世代移動通信システムである。表示部12は、各種情報を表示する、例えば液晶ディスプレイである。表示部12は、公共車両Vのドライバが視認可能な位置に設置される。
【0019】
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。記憶部13は、制御部14を機能させるための各種のプログラムを記憶する。
【0020】
制御部14は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部14は、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することにより、点灯状態取得部141、距離取得部142及び表示制御部143としての機能を実現する。
【0021】
点灯状態取得部141は、通信部11を介して信号機2の点灯状態を示す状態情報を取得する。例えば、点灯状態取得部141は、公共車両優先システム3が優先制御を行っている場合に、公共車両Vが近づく信号機2の点灯状態を示す状態情報を取得する。具体的には、点灯状態取得部141は、信号機2を介して公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を取得した後に状態情報を取得する。より具体的には、点灯状態取得部141は、公共車両Vが進行できないことを示す赤信号Rが点灯している進行禁止状態を示す状態情報を取得する。また、点灯状態取得部141は、公共車両Vが進行できることを示す青信号Bが点灯する進行許可状態を示す状態情報を取得する。
【0022】
距離取得部142は、信号機2に対応する停止線Nと、公共車両Vとの距離mを取得する。例えば、距離取得部142は、公共車両Vの現在位置を示す情報、及び停止線Nの位置を示す情報を取得し、公共車両Vの現在位置から停止線Nの位置までの距離mを算出することにより取得する。具体的には、距離取得部142は、公共車両Vの現在位置を、公共車両Vに搭載されたGPS受信機(不図示)から取得する。また、距離取得部142は、停止線Nの位置を示す情報を信号機2から通信部11を介して取得する。
【0023】
表示制御部143は、点灯状態取得部141が取得した状態情報が示す点灯状態に基づいて、公共車両Vのドライバのアクセル操作を支援する運転支援情報を表示部12に表示させる。
図3は、信号機2が赤信号Rを点灯している場合に、運転支援情報を表示させる処理を説明するための図である。点灯状態取得部141は、信号機2の点灯状態が、
図3に示す点灯状態である場合、進行禁止状態を示す状態情報を信号機2から取得する。
【0024】
表示制御部143は、状態情報が示す点灯状態が進行禁止状態である場合、公共車両Vの減速を促す情報を公共車両Vの表示部12に表示させる。進行禁止状態は、公共車両Vが進行できないことを示す赤信号Rが点灯している状態である。具体的には、表示制御部143は、
図3に示すように、「減速してください」という文字情報を表示部12に表示させる。このようにすることで、表示制御部143は、ドライバに公共車両Vの減速を促すことができる。
【0025】
図4は、信号機2が青信号Bを点灯している場合に、運転支援情報を表示させる処理を説明するための図である。点灯状態取得部141は、信号機2の点灯状態が、
図4に示す点灯状態である場合、進行許可状態を示す状態情報を信号機2から取得する。
【0026】
表示制御部143は、状態情報が示す点灯状態が進行許可状態である場合、公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を表示部12に表示させる。進行許可状態は、公共車両Vが進行できることを示す青信号Bが点灯している状態である。具体的には、表示制御部143は、
図4に示すように、優先制御を行っていることを示す「公共車両優先システム 動作中」という文字情報を表示部12に表示させる。このようにすることで、表示制御部143は、公共車両優先システム3が動作していることをドライバに把握させることができるので、ドライバに不要な減速をさせないようにできる。
【0027】
表示制御部143は、信号機2の点灯状態が進行許可状態である場合、公共車両Vと停止線Nとの距離mに応じた運転支援情報を表示部12に表示させてもよい。
図5は、公共車両Vと停止線Nとの距離mに応じた運転支援情報を表示させる処理を説明するための図である。
【0028】
表示制御部143は、信号機2の点灯状態が進行許可状態であり、距離取得部142が取得した距離mが所定距離L以上である場合、公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を表示部12に表示させる。具体的には、表示制御部143は、優先制御を行っていることを示す「公共車両優先システム 動作中」という文字情報を表示部12に表示させる。このようにすることで、表示制御部143は、公共車両Vのドライバに、公共車両優先システム3が動作していることを把握させることができる。なお、所定距離Lは、仮想ビーコンAと停止線Nとの距離である。仮想ビーコンAの位置は、公共車両優先システム3を運用する管理者により適宜決定される。仮想ビーコンAと停止線Nとの距離mの具体的な値は、例えば150メートルである。
【0029】
[残点灯時間が変更されたことを示すPTPS作動情報を表示する処理]
表示制御部143は、信号機2で点灯中の信号の残点灯時間が変更された場合に、PTPS作動情報を表示部12に表示させる。例えば、表示制御部143は、距離取得部142が取得した距離mが所定距離L未満である場合に、最大残点灯時間、又は最小残点灯時間が変更されたら、PTPS作動情報を表示させる。この場合、点灯状態取得部141は、信号機2で点灯中の信号の残点灯時間を示す時間情報を所定間隔毎に順次取得する。所定間隔は、例えば100ミリ秒である。
【0030】
表示制御部143は、点灯状態取得部141が直前に取得した時間情報が示す残点灯時間と、点灯状態取得部141が新たに取得した時間情報が示す残点灯時間とが同じか否かに基づいて、残点灯時間が変更されたか否かを判定する。具体的には、表示制御部143は、直前に取得した残点灯時間と、新たに取得した残点灯時間とが異なる場合、残点灯時間が変更されたと判定する。より具体的には、表示制御部143は、直前に取得した残点灯時間から所定間隔を減算した値と、新たに取得した残点灯時間とが異なる場合、残点灯時間が変更されたと判定する。また、表示制御部143は、点灯状態取得部141が直前に取得した時間情報が示す残点灯時間から、点灯状態取得部141が新たに取得した時間情報が示す残点灯時間を減算した減算値が、所定間隔と異なるか否かに基づいて残点灯時間が変更されたか否かを判定してもよい。そして、表示制御部143は、残点灯時間が変更されたと判定した場合、公共車両優先システム3が優先制御を行って残点灯時間を変更したことを示す情報を表示させる。
【0031】
以下、青信号Bの最小残点灯時間が延長された場合について具体的に説明する。
図6は、青信号Bの最小残点灯時間が延長された場合を説明するための図である。点灯状態取得部141は、信号機2の点灯状態が、
図6に示す点灯状態である場合、信号機2から、進行許可状態を示す状態情報を取得するとともに、信号機2で点灯中の青信号Bの最小残点灯時間を示す時間情報を所定間隔毎に順次取得する。
【0032】
続いて、表示制御部143は、青信号Bの最小残点灯時間が延長されたか否かを判定する。具体的には、まず、表示制御部143は、信号機2で青信号Bが点灯中である場合、直前に取得した青信号Bの最小残点灯時間から、新たに取得した青信号Bの最小残点灯時間を減算した減算値が、所定間隔よりも小さいか否かを判定する。表示制御部143は、減算値が所定間隔よりも小さい場合、青信号Bの最小残点灯時間が延長されたと判定する。
【0033】
そして、表示制御部143は、青信号Bの最小残点灯時間が延長されたと判定した場合、公共車両優先システム3が優先制御を行って青信号Bの最小残点灯時間を延長したことを示す情報を表示させる。具体的には、表示制御部143は、青信号Bの最小残点灯時間が延長された場合、「公共車両優先システム 青信号を延長しました」という文字情報を表示部12に表示させる。このようにすることで、公共車両Vのドライバは、青信号Bが延長されたことを把握できる。その結果、ドライバは、交差点で停車せずに通過できると判断できるので、不要な減速を低減できる。
【0034】
以下、赤信号Rの最大残点灯時間が短縮された場合について具体的に説明する。
図7は、赤信号Rの最大残点灯時間が短縮された場合を説明するための図である。点灯状態取得部141は、
図7の状態において、信号機2から、進行禁止状態を示す状態情報を取得するとともに、信号機2で点灯中の赤信号Rの最大残点灯時間を示す時間情報を所定間隔毎に順次取得する。
【0035】
続いて、表示制御部143は、赤信号Rの最大残点灯時間が短縮されたか否かを判定する。具体的には、まず、表示制御部143は、信号機2で赤信号Rが点灯中である場合、直前に取得した赤信号Rの最大残点灯時間から、新たに取得した赤信号Rの最大残点灯時間を減算した減算値が、所定間隔よりも大きいか否かを判定する。表示制御部143は、減算値が所定間隔よりも大きい場合、赤信号Rの最大残点灯時間が短縮されたと判定する。
【0036】
そして、表示制御部143は、赤信号Rの最大残点灯時間が短縮された場合、公共車両優先システム3が優先制御を行って赤信号Rの最大残点灯時間を短縮したことを示す情報を表示させる。具体的には、表示制御部143は、赤信号Rの最大残点灯時間が短縮された場合、「公共車両優先システム 赤信号を短縮しました」という文字情報を表示部12に表示させる。このように、公共車両優先システム3が優先制御を行って赤信号Rの最大残点灯時間を短縮することにより、公共車両Vが赤信号Rで停車している時間を短縮できる。そして、赤信号Rが短縮されたことを表示させることで、公共車両Vのドライバは、赤信号Rが短縮されたことを把握できるので、信号機2の点灯状態の変化に対応しやすくなる。例えば、公共車両Vのドライバは、信号機2の点灯状態の変化のタイミングに合うと、公共車両Vを停止線Nで停止させることなく通過させられるようになる。
【0037】
なお、表示制御部143は、直前の赤信号Rの残点灯時間から、新たな赤信号Rの残点灯時間を減算した減算値が、所定間隔以下の場合、公共車両優先システム3が優先制御を行っていないと判定する。そして、表示制御部143は、優先制御を行っていないと判定した場合、減速を促す情報を表示部12に表示させる。このようにすることで、表示制御部143は、公共車両優先システム3が優先制御を行っていない場合に、ドライバに減速を促すことができる。その結果、ドライバは、交差点の停止線Nの手前で安全に公共車両Vを停車できるようになる。
【0038】
[運転支援情報を表示させる処理]
図8は、運転支援情報を表示させる処理の一例を示すフローチャートである。まず、点灯状態取得部141は、公共車両Vの進行方向前方に存在する信号機2の点灯状態を示す状態情報を、信号機2から取得する(ステップS1)。例えば、点灯状態取得部141は、公共車両優先システム3が優先制御を行っている場合に、公共車両Vが近づく信号機2の点灯状態を示す状態情報を取得する。表示制御部143は、点灯状態取得部141が取得した点灯状態が進行禁止状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0039】
表示制御部143は、点灯状態取得部141が取得した状態情報が示す点灯状態が、公共車両Vが進行できないことを示す進行禁止状態である場合(ステップS2でYes)、公共車両Vの減速を促す情報を公共車両の表示部12に表示させる(ステップS3)。具体的には、表示制御部143は、「減速してください」という文字情報を表示部12に表示させる。
【0040】
距離取得部142は、点灯状態が進行許可状態であると表示制御部143が判定した場合(ステップS2でNo)、停止線Nと公共車両Vとの距離mを取得する(ステップS4)。例えば、距離取得部142は、公共車両Vの現在位置を示す情報、及び停止線Nの位置を示す情報を取得し、公共車両Vの現在位置から停止線Nの位置までの距離mを取得する。表示制御部143は、取得した距離mが所定距離L以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0041】
表示制御部143は、取得した距離mが所定距離L以上である場合(ステップS5でYes)、公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を表示部12に表示させる(ステップS8)。点灯状態取得部141は、取得した距離mが所定距離L未満であると表示制御部143が判定した場合(ステップS5でNo)、青信号Bの残点灯時間を示す時間情報を取得する(ステップS6)。
【0042】
表示制御部143は、青信号Bの残点灯時間が延長されたか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、まず、表示制御部143は、直前の青信号Bの残点灯時間から、新たな青信号Bの残点灯時間を減算した減算値が、所定間隔よりも小さいか否かを判定する。表示制御部143は、減算値が所定間隔よりも小さい場合、青信号Bの残点灯時間が延長されたと判定し(ステップS7でYes)、青信号Bの残点灯時間を延長したことを示す情報を表示させる(ステップS8)。より具体的には、表示制御部143は、「公共車両優先システム 青信号を延長しました」という文字情報を表示部12に表示させる。
【0043】
表示制御部143は、青信号Bの残点灯時間が延長されていない場合(ステップS7でNo)、公共車両Vの減速を促す情報を公共車両の表示部12に表示させる(ステップS3)。具体的には、表示制御部143は、「減速してください」という文字情報を表示部12に表示させる。
【0044】
[進行禁止状態である場合に運転支援情報を表示させる処理]
以上、
図8のフローチャートにおいて、表示制御部143は、信号機2の点灯状態が進行禁止状態である場合、減速を促す情報を表示させる処理を説明した。これに限らず、表示制御部143は、進行禁止状態である場合に、赤信号Rの残点灯時間が短縮したかどうかに基づいて、運転支援情報を表示部12に表示させてもよい。例えば、表示制御部143は、進行禁止状態である場合、公共車両Vの減速を促す情報と、運転支援情報とを共に表示部12に表示させる。
【0045】
まず、表示制御部143は、信号機2で点灯中の赤信号Rの残点灯時間を示す時間情報を所定間隔毎に順次取得し、赤信号Rの残点灯時間が短縮したか否かを判定する。具体的には、表示制御部143は、直前の赤信号Rの残点灯時間から、新たな赤信号Rの残点灯時間を減算した減算値が、所定間隔よりも大きいか否かを判定することにより、残点灯時間が短縮したか否かを判定する。
【0046】
そして、表示制御部143は、減算値が所定間隔と等しいとき、残点灯時間が短縮しておらず、公共車両優先システム3が優先制御を行っていないと判定する。この場合、表示制御部143は、公共車両Vの減速を促す情報を表示部12に表示させ、運転支援情報を表示部12に表示させない。
【0047】
表示制御部143は、減算値が所定間隔よりも大きい場合、赤信号Rの残点灯時間が短縮されたと判定する。この場合、表示制御部143は、公共車両優先システム3が優先制御を行って赤信号Rの残点灯時間を短縮したことを示す運転支援情報を表示部12に表示させるとともに、公共車両Vの減速を促す情報を表示部12に表示させる。具体的には、表示制御部143は、「公共車両優先システム 赤信号を短縮しました」という文字情報、及び「減速してください」という文字情報を表示部12に表示させる。
【0048】
このようにすることで、公共車両のドライバは、赤信号Rが点灯しており公共車両を停止させる必要がある状況で、赤信号Rの残点灯時間が短縮された場合に赤信号Rの残点灯時間を短縮したことを把握できるようになる。その結果、公共車両のドライバは、信号機2の点灯状態の変化に対応しやすくなる。
【0049】
(変形例)
なお、信号機2に矢印信号がある場合であっても、本実施の形態に係る運転支援装置1は、ドライバのアクセル操作を適切に支援することができる。具体的には、表示制御部143は、信号機2の信号の点灯状態が、赤信号が点灯し、かつ矢印信号が点灯していない進行禁止状態である場合、公共車両Vの減速を促す情報を公共車両の表示部12に表示させる。また、表示制御部143は、青信号又は矢印信号のいずれかが点灯している進行許可状態である場合、公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を表示部12に表示させる。
【0050】
なお、公共交通機関には、道路上に敷設された軌道を走行する路面鉄道やタクシーが含まれてもよい。また、公共車両Vは、公共交通機関だけでなく、パトロールカーや救急車などの緊急車両であってもよい。
【0051】
[運転支援装置1の効果]
以上説明したとおり、運転支援装置1は、公共車両Vの進行方向前方に存在する信号機2の信号の残点灯時間を変更して公共車両を通行させる優先制御を公共車両優先システム3が行っている場合に、信号機2の点灯状態を取得する。そして、運転支援装置1は、点灯状態が進行禁止状態である場合、公共車両Vの減速を促す情報を表示部12に表示させ、点灯状態が進行許可状態である場合、公共車両優先システム3が優先制御を行っていることを示す情報を表示部12に表示させる。
【0052】
このようにすることで、運転支援装置1は、公共車両Vのドライバに、減速すべき状況であるのか、公共車両優先システム3が優先制御を行っているために減速しなくてもよい状況なのかを把握させることができる。そのため、運転支援装置1は、ドライバのアクセル操作を適切に支援できる。ドライバが適切なアクセル操作を行うことにより、公共車両優先システム3が公共車両を他車両に優先して通行させる優先制御が効果的に機能する。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0054】
1 運転支援装置
11 通信部
12 表示部
13 記憶部
14 制御部
141 点灯状態取得部
142 距離取得部
143 表示制御部
2 信号機
3 公共車両優先システム