(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 23/00 20060101AFI20240312BHJP
B60K 35/10 20240101ALI20240312BHJP
B60K 35/22 20240101ALI20240312BHJP
【FI】
B60K23/00 H
B60K35/10
B60K35/22
(21)【出願番号】P 2021542810
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2020031444
(87)【国際公開番号】W WO2021039580
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019154846
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敬香
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-290622(JP,A)
【文献】特開2007-10119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 23/00
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が複数のシフトポジションのうち何れのシフトポジションであるかを表示部に表示する車両用表示装置であって、
前記複数のシフトポジションに対応して設けられ、対応する前記シフトポジションの状態を示す検出信号を入力する複数の入力ポートと、
前記複数の入力ポートのうち第1入力ポートを介して入力された前記検出信号と固定値である固定閾値の比較に基づき前記検出信号を2値化する固定閾値2値化部と、
前記複数の入力ポートのうち前記第1入力ポートとは異なる第2入力ポートを介して入力された前記検出信号と可変閾値の比較に基づき前記検出信号を2値化する可変閾値2値化部と、
前記可変閾値を調整する閾値調整部と、
全ての2値化された前記検出信号に基づき、前記車両が前記複数のシフトポジションのうち何れのシフトポジションであるかを認識し、認識した前記シフトポジションを前記表示部に表示する表示制御部と、を備える、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記第1入力ポートは、前記複数のシフトポジションのうち使用頻度の低い低頻度ポジションに対応する前記検出信号を入力し、
前記第2入力ポートは、前記複数のシフトポジションのうち前記低頻度ポジションよりも使用頻度の高い高頻度ポジションに対応する前記検出信号を入力する、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記複数のシフトポジションは、ニュートラルポジション及び複数の変速比を含み、
前記第1入力ポートは、前記複数の変速比のうち最小となる変速比のシフトポジションに対応する前記検出信号を入力し、
前記第2入力ポートは、前記ニュートラルポジションに対応する前記検出信号を入力する、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記複数のシフトポジションは、ドライブポジション及びローポジションを含み、
前記第1入力ポートは、前記ローポジションに対応する前記検出信号を入力し、
前記第2入力ポートは、前記ドライブポジションに対応する前記検出信号を入力する、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載される表示装置は、シフトポジションセンサを通じて検出されたシフトポジションを表示面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、ノイズやシフトポジションセンサの個体差等が原因で、シフトポジションセンサが検出する信号に影響が出て、これにより、シフトポジションが誤表示されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、シフトポジションの誤表示を抑制することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、車両が複数のシフトポジションのうち何れのシフトポジションであるかを表示部に表示する車両用表示装置であって、前記複数のシフトポジションに対応して設けられ、対応する前記シフトポジションの状態を示す検出信号を入力する複数の入力ポートと、前記複数の入力ポートのうち第1入力ポートを介して入力された前記検出信号と固定値である固定閾値の比較に基づき前記検出信号を2値化する固定閾値2値化部と、前記複数の入力ポートのうち前記第1入力ポートとは異なる第2入力ポートを介して入力された前記検出信号と可変閾値の比較に基づき前記検出信号を2値化する可変閾値2値化部と、前記可変閾値を調整する閾値調整部と、全ての2値化された前記検出信号に基づき、前記車両が前記複数のシフトポジションのうち何れのシフトポジションであるかを認識し、認識した前記シフトポジションを前記表示部に表示する表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両用表示装置において、シフトポジションの誤表示を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用表示装置のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る検出信号の波形図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る検出信号の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る車両用表示装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。この車両用表示装置は、車両、例えば、自動二輪車に搭載され、シフトポジションを表示する。シフトポジションは、本例では、ニュートラルポジション、車両の変速機の変速比が異なる1、2速、3速及び4速を含む。
【0010】
図1に示すように、車両用表示装置1は、表示部30と、シフトポジションセンサ10からの各検出信号Sdに基づき車両のシフトポジションを表示部30に表示するマイコン20と、を備える。
表示部30は、TFT(Thin Film Transistor)液晶パネル又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備える。表示部30は、マイコン20による制御のもと、車両の現在のシフトポジションを含む画像を表示する。表示部30は、シフトポジションを示す画像や文字が印刷された文字板をLED(Light Emitting Diode)が照らすような構成のインジケータ部であってもよい。この場合、LEDはマイコン20による制御のもと点灯してもよい。また、表示部30には、セグメント液晶パネルが適用されてもよい。
【0011】
シフトポジションセンサ10は、車両のシフトポジション、すなわちギアポジションを検出した複数の検出信号Sdをマイコン20に出力する。複数の検出信号Sdは、複数のシフトポジションそれぞれに対応している。シフトポジションセンサ10は、例えば、現在のシフトポジションがニュートラルポジションである場合、複数のシフトポジションのうち、ニュートラルポジションに対応する検出信号Sdをハイとし、残りのポジションに対応する検出信号Sdをローとする。シフトポジションセンサ10は、例えば、無接点型、例えば磁気型、又は接点型の回転検出センサ又はストロークセンサである。
図1では、シフトポジションセンサ10が接点型の回転検出センサ等である場合について図示されている。しかしながら、これに限定されず、無接点型の回転検出センサ等であっても、接点型の回転検出センサ等と同様に、検出信号Sdが出力される。
【0012】
図1に示すように、シフトポジションセンサ10は、可動接点16と、複数の固定接点11~15と、を備える。固定接点11~15は、変速機のシフトポジションであるニュートラルポジション及び1速~4速に対応して5つ設けられる。
可動接点16は、車両のシフトポジションに応じて、固定接点11~15の何れかに接触した状態となる。可動接点16には、検出信号Sdの電力源となる電源Vが接続される。
【0013】
シフトポジションがニュートラルポジションである場合には、可動接点16が固定接点11に接続される。この場合には、マイコン20の入力ポートP1に出力される検出信号Sdがハイとなり、マイコン20の入力ポートP2~P5に出力される検出信号Sdがローとなる。
シフトポジションが1速である場合には、可動接点16が固定接点12に接続される。この場合には、マイコン20の入力ポートP2に出力される検出信号Sdがハイとなり、マイコン20の入力ポートP1,P3~P5に出力される検出信号Sdがローとなる。
シフトポジションが2速である場合には、可動接点16が固定接点13に接続される。この場合には、マイコン20の入力ポートP3に出力される検出信号Sdがハイとなり、マイコン20の入力ポートP1,P2,P4,P5に出力される検出信号Sdがローとなる。
シフトポジションが3速である場合には、可動接点16が固定接点14に接続される。この場合には、マイコン20の入力ポートP4に出力される検出信号Sdがハイとなり、マイコン20の入力ポートP1~P3,P5に出力される検出信号Sdがローとなる。
シフトポジションが4速である場合には、可動接点16が固定接点15に接続される。この場合には、マイコン20の入力ポートP5に出力される検出信号Sdがハイとなり、マイコン20の入力ポートP1~P4に出力される検出信号Sdがローとなる。
【0014】
マイコン20は、マイクロコンピュータからなり、シフトポジションセンサ10からの検出信号Sdに基づき車両の現在のシフトポジションを示す画像を表示部30に表示する。
マイコン20は、CPU(Central Processing Unit)を含む処理部21と、固定閾値2値化部23と、入力ポートP1~P5と、を備える。処理部21は、閾値調整部22と、可変閾値2値化部25と、表示制御部26と、を備える。
【0015】
図1に示すように、入力ポートP1は固定接点11に接続され、本例では、シフトポジションのニュートラルポジションNに対応している。入力ポートP2は固定接点12に接続され、本例では、シフトポジションの1速に対応している。入力ポートP3は固定接点13に接続され、本例では、シフトポジションの2速に対応している。入力ポートP4は固定接点14に接続され、本例では、シフトポジションの3速に対応している。入力ポートP5は固定接点15に接続され、本例では、シフトポジションの4速に対応している。マイコン20内において、入力ポートP1~P4は処理部21に直接的に接続され、入力ポートP5は固定閾値2値化部23を介して処理部21に接続される。
【0016】
入力ポートP1~P4は入力される検出信号Sdを2値化するための閾値(可変閾値Th2,Th3)が可変である閾値可変ポートであり、アナログポートとも呼ばれる。入力ポートP5は入力される検出信号Sdを2値化するための閾値(固定閾値Th1)が固定される閾値固定ポートであり、汎用ポートとも呼ばれる。
【0017】
閾値調整部22は可変値である可変閾値Th2,Th3を調整する。閾値調整部22は、検出信号Sdにノイズが重畳することやシフトポジションセンサ10等の個体差に伴い、検出信号Sdの電位が正規値に対してずれた場合、このずれを相殺するように、可変閾値Th2,Th3を調整する。この正規値は、例えば、実験又はシミュレーションを通じて取得される。
【0018】
可変閾値2値化部25は、調整された可変閾値Th2,Th3を利用して検出信号Sdを2値化した検出信号Sd’を生成する可変閾値2値化処理を実行する。
可変閾値2値化部25は、
図3の上段及び中段に示すように、検出信号Sdが可変閾値Th2を超えた場合には検出信号Sd’のハイを出力し、検出信号Sdが可変閾値Th3を下回った場合には検出信号Sd’のローを出力する。検出信号Sdが可変閾値Th2と可変閾値Th3の間の値となると、検出信号Sd’は直前の出力電位を保持する、すなわちヒステリシス特性を持つ。
なお、可変閾値Th2,Th3は、入力ポートP1~P5の全てに1組だけ設定されていてもよいし、入力ポートP1~P5毎に設定されてもよい。
【0019】
固定閾値2値化部23は、入力ポートP5と処理部21の間に接続される。固定閾値2値化部23は、例えば、論理回路又はシュミット回路である。固定閾値2値化部23は、固定値である固定閾値Th1を利用して検出信号Sdを2値化した検出信号Sd’を生成する固定閾値2値化処理を実行する。
例えば、
図2に示すように、固定閾値2値化部23は、固定閾値2値化処理においては、検出信号Sdが固定閾値Th1を超えた場合には検出信号Sd’のハイを出力し、検出信号Sdが固定閾値Th1を下回った場合には検出信号Sd’のローを出力する。固定閾値Th1は、固定閾値2値化部23に予め設定された固定値である。よって、固定閾値Th1を調整することができない。
【0020】
表示制御部26は、2値化された各検出信号Sd’に基づき現在のシフトポジションを認識し、認識した現在のシフトポジションを表示部30に表示する。例えば、表示制御部26は、複数の検出信号Sd’のうちハイとなる検出信号Sd’が入力された入力ポートに対応するシフトポジションが現在のシフトポジションであると認識する。
【0021】
次に、固定閾値2値化処理と可変閾値2値化処理を比較する。
固定閾値2値化処理では、ノイズや個体差等に伴い、検出信号Sdの電位が正規値に対してずれても、ずれを相殺するように固定閾値Th1を調整できない。よって、シフトポジションに応じた検出信号Sd’が生成されない。これにより、シフトポジションの誤表示の原因となる。
一方、可変閾値2値化処理では、ノイズや個体差等に伴い、検出信号Sdの電位が正規値に対してずれても、このずれを相殺するように、閾値調整部22により可変閾値Th2,Th3が調整される。この可変閾値Th2,Th3の調整は、車両用表示装置1の設計時、製造時又は動作時に実行される。これにより、ノイズや個体差に関わらず、シフトポジションに応じた検出信号Sd’が生成される。よって、車両用表示装置1は、シフトポジションを表示部30に正しく表示することができる。
以上のように、可変閾値2値化処理では、固定閾値2値化処理よりもノイズや個体差等に対する耐性が高い。
【0022】
一般的に、マイコン20の入力ポートの数は予め決まっている。また、入力ポートの全数に占めるアナログポート(閾値可変ポート)の数と汎用ポート(閾値固定ポート)の数及び割合も予め決まっている。上述のように、アナログポートを利用することにより可変閾値2値化処理が実行できるため、ノイズ耐性等の観点からはアナログポートを利用することが好ましい。しかしながら、一般的には、アナログポートの数は汎用ポートの数よりも少ない。このため、入力ポートP1~P5の全てをアナログポートに割り当てることは難しい。仮に、入力ポートP1~P5の全てをアナログポートに割り当てた場合、他の機能でアナログポートの数が不足するおそれがある。
そこで、本例では、マイコン20の入力ポートP1~P5が下記の表1のように閾値可変ポートと閾値固定ポートに振り分けられている。
【0023】
【0024】
以下、入力ポートP1~P5の振り分け方法について説明する。この方法は、例えば、車両用表示装置1の設計時に行われる。
まず、シフトポジションの使用頻度に応じてシフトポジションの優先順位が設定される。車両用表示装置1が自動二輪車に搭載される場合、シフトポジションの使用頻度は、「ニュートラルポジションN>1速>2速>3速>4速」である。このため、優先順位は、「ニュートラルポジションN=1位」、「1速=2位」、「2速=3位」、「3速=4位」及び「4速=5位」に設定される。そして、優先順位が高いシフトポジション、例えば、ニュートラルポジションNに対応する入力ポートP1に閾値可変ポートが優先的に割り当てられる。また、優先順位が低いシフトポジション、例えば、4速に対応する入力ポートP5に閾値固定ポートが優先的に割り当てられる。
上記例では、優先順位が1位~4位であるニュートラルポジションN、1速、2速及び3速に対応する入力ポートP1~P4には閾値可変ポートが割り当てられる。また、優先順位が5位である4速に対応する入力ポートP5には閾値固定ポートが割り当てられる。
【0025】
なお、上記例に限らず、入力ポートP1~P3には閾値可変ポートが割り当てられ、入力ポートP4,P5には閾値固定ポートが割り当てられてもよい。また、入力ポートP1,P2には閾値可変ポートが割り当てられ、入力ポートP3~P5には閾値固定ポートが割り当てられてもよい。また、入力ポートP1には閾値可変ポートが割り当てられ、入力ポートP2~P5には閾値固定ポートが割り当てられてもよい。
【0026】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両用表示装置1は、車両が複数のシフトポジションのうち何れのポジションであるかを表示部30に表示する。車両用表示装置1は、複数のシフトポジションに対応して設けられ、対応するシフトポジションの状態を示す検出信号Sdを入力する複数の入力ポートP1~P5と、複数の入力ポートP1~P5のうち第1入力ポートの一例である入力ポートP5を介して入力された検出信号Sdと固定値である固定閾値Th1の比較に基づき検出信号Sdを2値化した検出信号Sd’を生成する固定閾値2値化処理を実行する固定閾値2値化部23と、複数の入力ポートP1~P5のうち第2入力ポートの一例である入力ポートP1を介して入力された検出信号Sdと可変閾値Th2,Th3の比較に基づき検出信号Sdを2値化した検出信号Sd’を生成する可変閾値2値化処理を実行する可変閾値2値化部25と、可変閾値Th2,Th3を調整する閾値調整部22と、2値化された検出信号Sd’に基づき、車両が複数のシフトポジションのうち何れのシフトポジションであるかを認識し、認識したシフトポジションを表示部30に表示する表示制御部26と、を備える。
上述のように、可変閾値2値化処理は、固定閾値2値化処理よりも検出信号Sdに対するノイズ等への耐性が高い。よって、入力ポートP1を介して入力された検出信号Sdについて可変閾値2値化部25により可変閾値2値化処理が実行されることにより、ノイズ等への耐性を高めることができる。よって、車両用表示装置1は、ノイズ等に伴うシフトポジションの誤表示を抑制することができる。
また、ノイズ等への耐性の観点からは、全ての入力ポートP1~P5からの検出信号Sdについて可変閾値2値化部25により可変閾値2値化処理が実行されることが好ましい。しかしながら、この場合、可変閾値2値化処理が実行可能な入力ポートであるアナログポートの数が不足するおそれがある。例えば、アナログポートの数が不足すると、アナログポートの数を増設する必要があり、車両用表示装置1のコストアップ及びサイズアップに繋がるおそれがある。上記構成では、シフトポジションセンサ10に接続される入力ポートP1~P5において、固定閾値2値化部23が利用する入力ポートP5である汎用ポートと、可変閾値2値化部25が利用する入力ポートP1であるアナログポートと、が併存する。これにより、アナログポートの数が不足することを抑制でき、車両用表示装置1のコストアップ及びサイズアップを抑制しつつ、ノイズ等への耐性を高めることができる。
【0027】
(2)第1入力ポートの一例である入力ポートP5は、複数のシフトポジションのうち使用頻度の低い低頻度ポジション(例えば、4速)に対応する検出信号Sdを入力する。第2入力ポートの一例である入力ポートP1は、複数のシフトポジションのうち低頻度ポジションよりも使用頻度の高い高頻度ポジション(例えば、ニュートラルポジションN)に対応する検出信号Sdを入力する。
この構成によれば、高頻度ポジションに対応する検出信号Sdについては、可変閾値2値化部25により可変閾値2値化処理が実行される。可変閾値2値化処理はノイズ等への耐性が高いため、車両用表示装置1は、ノイズ等に伴う高頻度ポジションの誤表示を抑制することができる。運転者は、低頻度ポジションの誤表示に比べて高頻度ポジションの誤表示に気がつきやすい。このため、高頻度ポジションの誤表示が抑制されることはより好ましい。
【0028】
(3)複数のシフトポジションは、ニュートラルポジションN及び複数の変速比の一例である1速~4速を含む。第1入力ポートの一例である入力ポートP5は、複数の変速比のうち最小となる変速比の一例である4速に対応する検出信号Sdを入力する。第2入力ポートの一例である入力ポートP1は、ニュートラルポジションNに対応する検出信号Sdを入力する。
この構成によれば、車両用表示装置1は、ノイズ等に伴うニュートラルポジションNの誤表示を抑制することができる。
【0029】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0030】
(変形例)
上記実施形態においては、車両用表示装置1は、ニュートラルポジションN及び1速~4速の何れのシフトポジションであるかを示す画像を表示部30に表示していた。しかし、これに限らず、特に、車両用表示装置1が自動車に搭載される場合、車両用表示装置1は、パーキングポジションP、リバースポジションR、ニュートラルポジションN、ドライブポジションD及びローポジションLの何れのシフトポジションであるかを示す画像を表示部30に表示してもよい。この変形例では、マイコン20の入力ポートP1~P5が下記の表2のように閾値可変ポートと閾値固定ポートに振り分けられている。
【0031】
【0032】
表2では、表1と同様に、各シフトポジションの使用頻度に応じて優先順位が決定される。この変形例では、シフトポジションの使用頻度は、例えば、「D>P>R>N>L」である。このため、優先順位は、「D=1位」、「P=2位」、「R=3位」、「N=4位」及び「L=5位」に設定される。そして、優先順位が高いドライブポジションD、パーキングポジションP、リバースポジションR及びニュートラルポジションNに対応する入力ポートP1~P4には閾値可変ポートが割り当てられる。また、優先順位が低いローポジションLに対応する入力ポートP5には閾値固定ポートが割り当てられる。
【0033】
なお、この変形例に限らず、入力ポートP1~P3には閾値可変ポートが割り当てられ、入力ポートP4,P5には閾値固定ポートが割り当てられてもよい。また、入力ポートP1,P2には閾値可変ポートが割り当てられ、入力ポートP3~P5には閾値固定ポートが割り当てられてもよい。また、入力ポートP1には閾値可変ポートが割り当てられ、入力ポートP2~P5には閾値固定ポートが割り当てられてもよい。
さらに、シフトポジションは、上記例に限らず、スポーツポジション又はブレーキポジションを含んでいてもよい。この場合も、上記同様に、スポーツポジション又はブレーキポジションの使用頻度に基づき優先順位が決定された後、閾値可変ポート又は閾値固定ポートが割り当てられる。
【0034】
この変形例によれば、以下の効果を奏する。
複数のシフトポジションは、ドライブポジションD及びローポジションLを含む。入力ポートP5は、ローポジションLに対応する検出信号Sdを入力する。入力ポートP4は、ドライブポジションDに対応する検出信号Sdを入力する。
この構成によれば、使用頻度が高いドライブポジションDに対応する検出信号Sdについては、可変閾値2値化部25により可変閾値2値化処理が実行される。可変閾値2値化処理はノイズ等への耐性が高いため、ノイズ等に伴うドライブポジションDの誤表示を抑制することができる。
【0035】
上記実施形態における2つの可変閾値Th2,Th3のうち何れか一方が省略されてもよい。
上記実施形態においては、シフトポジションは、1速~4速の4段階の変速比を有していたが、変速比の段数は5以上又は3以下であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 車両用表示装置
10 シフトポジションセンサ
11~15 固定接点
16 可動接点
20 マイコン
21 処理部
22 閾値調整部
23 固定閾値2値化部
25 可変閾値2値化部
26 表示制御部
30 表示部
N ニュートラルポジション
P1~P5 入力ポート
V 電源
Sd,Sd’ 検出信号
Th1 固定閾値
Th2,Th3 可変閾値