(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】モータユニット及びモータ制御システム
(51)【国際特許分類】
H02P 5/74 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H02P5/74
(21)【出願番号】P 2021555919
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2020034770
(87)【国際公開番号】W WO2021095348
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2019207345
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】仁田 哲広
(72)【発明者】
【氏名】熊 鵬
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-036599(JP,A)
【文献】特開平10-229695(JP,A)
【文献】特開2011-230040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を備えるモータユニットであって、
車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、
前記第1インバータから送信される前記第2モータを駆動するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、
前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移
し、
前記第1インバータは、前記主制御装置から送信される前記制御信号に基づいて、前記駆動命令信号の送信を終了する、モータユニット。
【請求項2】
前記第1インバータは、前記主制御装置から送信される前記制御信号に基づいて、所定時間が経過したときに、前記駆動命令信号の送信を終了する、請求項
1に記載のモータユニット。
【請求項3】
車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を備えるモータユニットであって、
車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、
前記第1インバータから送信される前記第2モータを駆動するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、
前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移し、
前記第2インバータは、
前記第2モータを駆動するモータ駆動部と、
前記モータ駆動部を制御する制御部と、
前記駆動命令信号の受信の有無を検出する信号検出部と、
前記モータ駆動部及び前記制御部に電力を供給する電路のオンオフを切り替える電路開閉部と、を備える
、モータユニット。
【請求項4】
前記電路開閉部は、前記駆動命令信号の受信が終了したことを前記信号検出部が検出したときに、オンからオフに切り替わる、請求項
3に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記電路開閉部は、前記駆動命令信号の受信が終了し、所定時間が経過するとオフとなる、請求項
4に記載のモータユニット。
【請求項6】
車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を備えるモータユニットであって、
車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、
前記第1インバータから送信される前記第2モータを駆動するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、
前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移し、
前記補機は、パーキングロック機構の電動アクチュエータ、又は電動オイルポンプである
、モータユニット。
【請求項7】
車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を制御するモータ制御システムであって、
車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、
前記第1インバータから送信される前記第2モータを制御するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、
前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移
し、
前記第1インバータは、前記主制御装置から送信される前記制御信号に基づいて、前記駆動命令信号の送信を終了する、モータ制御システム。
【請求項8】
前記第1インバータは、前記主制御装置から送信される前記制御信号に基づいて、所定時間が経過したときに、前記駆動命令信号の送信を終了する、請求項7に記載のモータ制御システム。
【請求項9】
車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を制御するモータ制御システムであって、
車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、
前記第1インバータから送信される前記第2モータを制御するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、
前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移し、
前記第2インバータは、
前記第2モータを駆動するモータ駆動部と、
前記モータ駆動部を制御する制御部と、
前記駆動命令信号の受信の有無を検出する信号検出部と、
前記モータ駆動部及び前記制御部に電力を供給する電路のオンオフを切り替える電路開閉部と、を備える、モータ制御システム。
【請求項10】
前記電路開閉部は、前記駆動命令信号の受信が終了したことを前記信号検出部が検出したときに、オンからオフに切り替わる、請求項9に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記電路開閉部は、前記駆動命令信号の受信が終了し、所定時間が経過するとオフとなる、請求項10に記載のモータ制御システム。
【請求項12】
車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を制御するモータ制御システムであって、
車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、
前記第1インバータから送信される前記第2モータを制御するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、
前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移し、
前記補機は、パーキングロック機構の電動アクチュエータ、又は電動オイルポンプである、モータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニット及びモータ制御システムに関する。
本願は、2019年11月15日に出願された日本出願特願2019-207345号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年における環境対応車両として、モータユニットを駆動源とする電気自動車、ハイブリッド自動車等が普及し始めている。これら電気自動車等には、バッテリからの直流電力をモータへ供給する交流電力に変換し、駆動トルク等を制御して車両の加減速を行うインバータ装置が搭載されている。
【0003】
特許文献1に記載のモータユニットは、車両を駆動するモータと、モータユニットを制御するインバータユニットと、モータユニットを冷却するポンプ等の補機と、を有している。車両停車中や車両の電源オフ時において、走行用モータや、補機を制御するインバータは暗電流が発生することが知られている(特許文献2)。暗電流とは、車両の電源オフ時に電動モータを制御する制御系が消費する電力である。従来、特許文献1に示すモータユニットでは、負荷を軽減するために、モータユニットを制御するインバータとは別に、第2のインバータが構成されており、この第2のインバータがポンプ等の補機を制御するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/131454号
【文献】特開平10-271603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すモータユニットでは、第1のインバータと第2のインバータはそれぞれ独立してバッテリから電源が供給されていたので、車両の停車時と駐車時等で第2のインバータを制御することが難しいという問題があった。そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電源がオフのときに流れる暗電流を抑制しつつ、車両を的確に制御することができるモータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点からのモータユニットは、車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を備えるモータユニットであって、車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、前記第1インバータから送信される前記第2モータを制御するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移する。
【0007】
本発明の第2の観点からのモータ制御システムは、車両を駆動する第1モータと、該第1モータの補機を駆動する第2モータと、を制御するモータ制御システムであって、車両の主制御装置から送信される制御信号に基づいて前記第1モータを制御する第1インバータと、前記第1インバータから送信される前記第2モータを制御するための駆動命令信号に基づいて前記第2モータを制御する第2インバータと、を備え、前記第2インバータは、前記駆動命令信号の受信が終了したときに、該第2インバータの消費電力を抑える動作状態に遷移する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモータユニットは、補機を駆動するモータを制御するインバータの電源がオフのときに流れる暗電流を抑制しつつ、車両を的確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、モータユニット1の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、ポンプ用インバータ220のブロック構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、駆動用インバータ120における動作フローの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ポンプ用インバータ220における動作フローの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、イグニッションスイッチ5のオンオフに伴う各種変化の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、モータユニットの構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、モータユニット1の構成の一例を模式的に示す。
図1において、各構成を結ぶ実線は、電源線を示す。
図1において、各構成を結ぶ一点鎖線は、信号線を示す。
【0012】
モータユニット1は、駆動モータ110、駆動用インバータ120、電動オイルポンプ200及び電動アクチュエータ300を備える。なお、駆動モータ110は、「第1モータ」の一例である。駆動用インバータ120は、「第1インバータ」の一例である。電動オイルポンプ200及び電動アクチュエータ300は、「第1モータの補機」の一例である。
【0013】
駆動モータ110は、電気自動車を駆動するモータである。電気自動車とは、電気をエネルギー源とし、駆動モータ110を動力源として走行する自動車である。本実施の形態では、電気自動車として、車体に電気プラグを繋いで充電可能な二次電池を源とし、二次電池の電気で駆動モータ110を回して走る二次電池式電気自動車を例に挙げて説明する。なお、電気自動車は、「車両」の一例である。
【0014】
駆動用インバータ120は、電気自動車の車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて駆動モータ110を制御するインバータである。駆動用インバータ120は、CAN(Controller Area Network)バスを介して車両制御ユニット2から制御信号を受信する。車両制御ユニット2とは、電気自動車の全体を制御するユニットである。例えば、車両制御ユニット2は、信号線7を介してイグニッションスイッチ5からイグニッション信号を受信すると、CANバス6を介して駆動用インバータ120にイグニッション信号を送信する。イグニッションスイッチ5とは、駆動モータ110を始動させるための装置である。そして、駆動用インバータ120は、高電圧電池3から供給される直流を交流に変換し、駆動モータ110の回転を制御する。なお、車両制御ユニット2は、「車両の主制御装置」の一例である。
【0015】
電動オイルポンプ200は、モータで作動するオイルポンプである。電動オイルポンプ200は、ポンプ用モータ210及びポンプ用インバータ220を備える。なお、ポンプ用モータ210は、「第2モータ」の一例である。ポンプ用インバータ220は、「第2インバータ」の一例である。
【0016】
ポンプ用モータ210は、電動オイルポンプ200を駆動するモータである。
【0017】
ポンプ用インバータ220は、駆動用インバータ120から送信されるポンプ用モータ210を制御するための駆動命令信号に基づいてポンプ用モータ210を制御するインバータである。ポンプ用インバータ220は、CANバス6と異なる信号線8を介して駆動用インバータ120から駆動命令信号を受信する。そして、ポンプ用インバータ220は、駆動用インバータ120を介して12V電池4から供給される直流を交流に変換し、ポンプ用モータ210の回転を制御する。
【0018】
電動アクチュエータ300は、パーキングロック機構を動作させる電動アクチュエータである。電動アクチュエータ300は、アクチュエータ用モータ310及びアクチュエータ用インバータ320を備える。なお、アクチュエータ用モータ310は、「第2モータ」の一例である。アクチュエータ用インバータ320は、「第2インバータ」の一例である。
【0019】
アクチュエータ用モータ310は、電動アクチュエータ300を駆動するモータである。
【0020】
アクチュエータ用インバータ320は、駆動用インバータ120から送信されるアクチュエータ用モータ310を制御するための駆動命令信号に基づいてアクチュエータ用モータ310を制御するインバータである。アクチュエータ用インバータ320は、CANバス6と異なる信号線9を介して駆動用インバータ120から駆動命令信号を受信する。そして、アクチュエータ用インバータ320は、駆動用インバータ120を介して12V電池4から供給される直流を交流に変換し、アクチュエータ用モータ310の回転を制御する。
【0021】
なお、駆動用インバータ120、ポンプ用インバータ220及びアクチュエータ用インバータ320は、「モータ制御システム」の一例である。
【0022】
ここで、駆動用インバータ120は、CANバス6を介して車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて、適切なタイミングで暗電流を抑制するための制御を実行することができる。
【0023】
一方、ポンプ用インバータ220及びアクチュエータ用インバータ320は、CANバス6に接続されないため、車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて暗電流を抑制するための制御を実行することができない。
【0024】
そこで、ポンプ用インバータ220は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号の受信が終了したときに、一部の回路を停止してポンプ用インバータ220の消費電力を抑える動作状態に遷移する。ここで、一部の回路とは、例えば、ポンプ用モータ210を駆動する回路(
図2に示すモータ駆動部221)、ポンプ用モータ210を回転駆動させるPWM信号を生成するマイクロコンピュータ(
図2に示す制御部222)等である。同様に、アクチュエータ用インバータ320は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号の受信が終了したときに、一部の回路を停止してアクチュエータ用インバータ320の消費電力を抑える動作状態に遷移する。
【0025】
図2は、ポンプ用インバータ220のブロック構成の一例を模式的に示す。ポンプ用インバータ220は、モータ駆動部221、制御部222、信号検出部223及び電路開閉部224を備える。
【0026】
モータ駆動部221は、ポンプ用モータ210を駆動する回路である。モータ駆動部221は、駆動用インバータ120を介して供給される直流を、制御部222から出力されたPWM信号に従った周波数の三相交流に変換し、ポンプ用モータ210に出力する。
【0027】
制御部222は、モータ駆動部221を制御するマイクロコンピュータである。制御部222は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号のPWM(pulse width modulation)に基づく周波数でポンプ用モータ210を回転駆動させるPWM信号を生成する。そして、制御部222は、生成したPWM信号をモータ駆動部221に出力する。
【0028】
信号検出部223は、駆動命令信号の受信の有無を検出する回路である。信号検出部223には、電路開閉部224よりも上流側に設けられた図示しない降圧型スイッチングレギュレータを介して5Vの電力が供給される。したがって、信号検出部223は、電路開閉部224がオフのときにも動作可能である。
【0029】
電路開閉部224は、モータ駆動部221及び制御部222に電力を供給する電路のオンオフを切り替えるスイッチ回路である。
【0030】
なお、アクチュエータ用インバータ320は、ポンプ用インバータ220と同様のブロック構成を備える。
【0031】
図3は、駆動用インバータ120における動作フローの一例を示す。
図3は、ポンプ用インバータ220に対する駆動命令信号の開始から終了までの処理フローを示す。
【0032】
駆動用インバータ120は、CANバス6を介して車両制御ユニット2から送信される制御信号を所定時間毎に読み出す(ステップS101)。
【0033】
ステップS101においてイグニッションオンを示す制御信号を読み出した場合(ステップS102;NO)、駆動用インバータ120は、駆動命令信号を送信し(ステップS103)、
図3に示す処理を終了する。例えば、駆動命令信号を送信していない状況においてステップS103の処理を実行する場合、駆動用インバータ120は、駆動命令信号の送信を開始する(
図5のタイミングT1)。例えば、駆動命令信号を送信している状況においてステップS103の処理を実行する場合、駆動用インバータ120は、駆動命令信号の送信を継続する(
図5のタイミングT1からタイミングT3までの期間)。
【0034】
ポンプ用インバータ220は、駆動命令信号を受信すると、ポンプ用モータ210を駆動制御する。
【0035】
一方、ステップS101においてイグニッションオフを示す制御信号を読み出した場合(ステップS103;YES)、駆動用インバータ120は、アフターラン制御を開始する(ステップS104)(
図5のタイミングT3)。ステップS104において、駆動用インバータ120は、駆動命令信号の送信を停止するまでの所定時間を計測するためのタイマをセットする。
【0036】
ステップS104の後、駆動用インバータ120は、タイマの値を参照し、所定時間が経過するまで待機する(ステップS105;NO)。駆動用インバータ120は、アフターラン制御を実行している期間においても、駆動命令信号の送信を継続する(
図5のタイミングT3からタイミングT4の期間)。
【0037】
そして、ステップS104の後、所定時間が経過した場合(S105;YES)、駆動用インバータ120は、アフターラン制御を終了し(ステップS106)、
図3に示す処理を終了する。ステップS106において、駆動用インバータ120は、駆動命令信号の送信を終了する(
図5のタイミングT4)。
【0038】
ポンプ用インバータ220は、駆動命令信号を受信しないと、ポンプ用モータ210を駆動制御しない。
【0039】
図4は、ポンプ用インバータ220における動作フローの一例を示す。
図4は、電路開閉部224がオンに切り替わってからオフに切り替わるまでの処理フローを示す。本フローは、駆動命令信号の受信の有無を検出することにより実行される。
【0040】
電路開閉部224は、信号検出部223が駆動命令信号を検出しているとき(ステップS201;YES)、オンとなる(ステップS202)(
図5のタイミングT2からタイミングT4の期間)。
【0041】
一方、電路開閉部224は、信号検出部223が駆動命令信号を検出していないとき(ステップS201;NO)、オフとなる(ステップS203)。
【0042】
したがって、電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が開始されたことを信号検出部223が検出したときに、オフからオンに切り替わる(
図5のタイミングT1)。電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が終了したことを信号検出部223が検出したときに、オンからオフに切り替わる。なお、電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が終了したことを信号検出部223が検出した場合、直ちにオフとなってもよいし、所定時間が経過したときにオフとなってもよい。直ちに電路開閉部224がオフとなるように構成する場合、ポンプ用インバータ220における暗電流を抑制する状態を長く維持することができる。一方、所定時間が経過したときに電路開閉部224がオフとなるように構成する場合、制御部222が休止状態に移行するための処理を実行する期間を確保することができる。
【0043】
図5は、イグニッションスイッチ5のオンオフに伴う各種変化の一例を示す。
図5では、駆動命令信号の受信が終了したことを信号検出部223が検出した場合、所定時間が経過したときに電路開閉部224がオフとなる例について説明する。
【0044】
イグニッションスイッチ5がオフのとき、駆動用インバータ120は、駆動命令信号を送信しない。ポンプ用インバータ220では、信号検出部223が駆動命令信号を検出しないため、電路開閉部224がオフであり、モータ駆動部221及び制御部222に対して電力が供給されない。制御部222は、電力が供給されないことでオフ状態である。したがって、ポンプ用モータ210は、停止している。このとき、ポンプ用インバータ220における消費電力は、信号検出部223の動作による消費電力であり、例えば、数μA単位で表される程度の大きさである。
【0045】
イグニッションスイッチ5がオフからオンになると(タイミングT1)、駆動用インバータ120は、駆動命令信号の送信を開始する。ポンプ用インバータ220では、信号検出部223が駆動命令信号の受信が開始されたことを検出し、電路開閉部224がオンとなり、モータ駆動部221及び制御部222に対する電力供給が開始される。制御部222は、電力が供給されることで動作可能なオン状態となるが、PWM信号を生成する処理を開始するまでに所定時間を有する。したがって、ポンプ用モータ210は、停止している。このとき、ポンプ用インバータ220における消費電力は、ポンプ用モータ210の制御を行っていない制御部222の動作による消費電力が加わり、例えば、数mA単位で表される程度の大きさとなる。
【0046】
イグニッションスイッチ5がオンになって所定時間が経過すると(タイミングT2)、制御部222は、PWM信号を生成する処理を開始する。したがって、ポンプ用モータ210は、ポンプ用モータ210の制御により駆動される。このとき、ポンプ用インバータ220における消費電力は、モータ駆動部221がポンプ用モータ210を駆動する動作による消費電力が加わり、例えば、数A単位で表される程度の大きさとなる。
【0047】
イグニッションスイッチ5がオンからオフになると(タイミングT3)、駆動用インバータ120は、アフターラン制御を開始する。
【0048】
アフターラン制御を開始して所定期間が経過すると(タイミングT4)、駆動用インバータ120は、アフターラン制御を終了し、駆動命令信号の送信を終了する。ポンプ用インバータ220では、信号検出部223が駆動命令信号の受信が終了したことを検出するが、電路開閉部224がオフとなるまでに所定時間を有する。制御部222は、所定時間が経過するまで動作可能なオン状態であるが、駆動命令信号の受信が終了したため、PWM信号を生成する処理を終了する。したがって、ポンプ用モータ210は、停止する。このとき、ポンプ用インバータ220における消費電力は、モータ駆動部221がポンプ用モータ210を駆動する動作を終了したことにより、例えば、数mA単位で表される程度の大きさとなる。
【0049】
駆動命令信号の送信が終了して所定時間が経過すると(タイミングT5)、ポンプ用インバータ220では、電路開閉部224がオフとなり、モータ駆動部221及び制御部222に対する電力供給が終了する。制御部222は、電力が供給されないことで動作不能なオフ状態となる。このとき、ポンプ用インバータ220における消費電力は、制御部222が動作を終了したことにより、例えば、数μA単位で表される程度の大きさとなる。
【0050】
以上、説明したように、本実施の形態におけるポンプ用インバータ220は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号の受信が終了したときに、制御部222を停止してポンプ用インバータ220の消費電力を抑える動作状態に遷移する。したがって、本実施の形態によれば、電動オイルポンプ200を駆動するポンプ用モータ210を制御するポンプ用インバータ220の暗電流を抑制できる。
【0051】
なお、電動アクチュエータのアクチュエータ用インバータ320も、電動オイルポンプ200のポンプ用インバータ220と同様の動作を行う。
【0052】
本発明の特徴を以下に列挙する。本実施の形態のモータユニット1は、電気自動車を駆動する駆動モータ110を備える。モータユニット1は、電動オイルポンプ200を駆動するポンプ用モータ210を備える。モータユニット1は、電動アクチュエータ300を駆動するアクチュエータ用モータ310を備える。モータユニット1は、電気自動車の車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて駆動モータ110を制御する駆動用インバータ120を備える。モータユニット1は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号に基づいてポンプ用モータ210を制御するポンプ用インバータ220を備える。モータユニット1は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号に基づいてアクチュエータ用モータ310を制御するアクチュエータ用インバータ320を備える。そして、ポンプ用インバータ220は、駆動命令信号の受信が終了したときに、ポンプ用インバータ220の消費電力を抑える動作状態に遷移する。同様に、アクチュエータ用インバータ320は、駆動命令信号の受信が終了したときに、アクチュエータ用インバータ320の消費電力を抑える動作状態に遷移する。
【0053】
本実施の形態のモータユニット1における駆動用インバータ120は、車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて、駆動命令信号の送信を終了する。
【0054】
本実施の形態のモータユニット1における駆動用インバータ120は、車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて、所定時間が経過したときに、駆動命令信号の送信を終了する。
【0055】
本実施の形態のモータユニット1におけるポンプ用インバータ220は、ポンプ用モータ210を駆動するモータ制御部221を備える。ポンプ用インバータ220は、モータ駆動部221を制御する制御部222を備える。ポンプ用インバータ220は、駆動命令信号の受信の有無を検出する信号検出部223を備える。ポンプ用インバータ220は、モータ駆動部221及び制御部222に電力を供給する電路のオンオフを切り替える電路開閉部224を備える。
【0056】
本実施の形態のモータユニット1における電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が終了したことを信号検出部223が検出したときに、オンからオフに切り替わる。
【0057】
本実施の形態のモータユニット1における電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が終了し、所定時間が経過するとオフとなる。
【0058】
同様に、本実施の形態のモータユニット1におけるアクチュエータ用インバータ320は、アクチュエータ用モータを駆動するモータ駆動部を備える。アクチュエータ用インバータ320は、モータ駆動部を制御する制御部を備える。アクチュエータ用インバータ320は、駆動命令信号の受信の有無を検出する信号検出部を備える。アクチュエータ用インバータ320は、モータ駆動部及び制御部に電力を供給する電路のオンオフを切り替える電路開閉部を備える。
【0059】
本実施の形態のモータユニット1におけるアクチュエータ用インバータ320の電路開閉部は、駆動命令信号の送信が終了したことを信号検出部が検出したときに、オンからオフに切り替わる。
【0060】
本実施の形態のモータユニット1におけるアクチュエータ用インバータ320の電路開閉部は、駆動命令信号の送信が終了し、所定時間が経過するとオフとなる。
【0061】
本実施の形態のモータ制御システム10は、駆動モータ110と、ポンプ用モータ210と、アクチュエータ用モータ310と、を制御するシステムである。モータ制御システム10は、電気自動車の車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて駆動モータ110を制御する駆動用インバータ120を備える。モータ制御システム10は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号に基づいてポンプ用モータ210を制御するポンプ用インバータ220を備える。モータ制御システム10は、駆動用インバータ120から送信される駆動命令信号に基づいてアクチュエータ用モータ310を制御するアクチュエータ用インバータ320を備える。そして、そして、ポンプ用インバータ220は、駆動命令信号の受信が終了したときに、ポンプ用インバータ220の消費電力を抑える動作状態に遷移する。同様に、アクチュエータ用インバータ320は、駆動命令信号の受信が終了したときに、アクチュエータ用インバータ320の消費電力を抑える動作状態に遷移する。
【0062】
本実施の形態のモータ制御システム10における駆動用インバータ120は、車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて、駆動命令信号の送信を終了する。
【0063】
本実施の形態のモータ制御システム10における駆動用インバータ120は、車両制御ユニット2から送信される制御信号に基づいて、所定時間が経過したときに、駆動命令信号の送信を終了する。
【0064】
本実施の形態のモータ制御システム10におけるポンプ用インバータ220は、ポンプ用モータ210を駆動するモータ制御部221を備える。ポンプ用インバータ220は、モータ駆動部221を制御する制御部222を備える。ポンプ用インバータ220は、駆動命令信号の受信の有無を検出する信号検出部223を備える。ポンプ用インバータ220は、モータ駆動部221及び制御部222に電力を供給する電路のオンオフを切り替える電路開閉部224を備える。
【0065】
本実施の形態のモータ制御システム10における電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が終了したことを信号検出部223が検出したときに、オンからオフに切り替わる。
【0066】
本実施の形態のモータ制御システム10における電路開閉部224は、駆動命令信号の受信が終了し、所定時間が経過するとオフとなる。
【0067】
同様に、本実施の形態のモータ制御システム10におけるアクチュエータ用インバータ320は、アクチュエータ用モータを駆動するモータ駆動部を備える。アクチュエータ用インバータ320は、モータ駆動部を制御する制御部を備える。アクチュエータ用インバータ320は、駆動命令信号の受信の有無を検出する信号検出部を備える。アクチュエータ用インバータ320は、モータ駆動部及び制御部に電力を供給する電路のオンオフを切り替える電路開閉部を備える。
【0068】
本実施の形態のモータ制御システム10におけるアクチュエータ用インバータ320の電路開閉部は、駆動命令信号の送信が終了したことを信号検出部が検出したときに、オンからオフに切り替わる。
【0069】
本実施の形態のモータ制御システム10におけるアクチュエータ用インバータ320の電路開閉部は、駆動命令信号の送信が終了し、所定時間が経過するとオフとなる。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0071】
上記実施の形態では「車両」の一例として二次電池式電気自動車を例に挙げて説明した。しかしながら、「車両」は、駆動モータを備えていればよく、二次電池式電気自動車に限られない。「車両」は、例えば、水素を燃料タンクに蓄え、水素燃料電池で発電して駆動モータを駆動する水素燃料電池自動車であってもよい。「車両」は、例えば、金属空気電池を使い駆動モータを駆動する金属燃料電池自動車であってもよい。「車両」は、例えば、アルコールを燃料タンクに蓄え、燃料電池で発電して走るアルコール燃料電磁自動車であってもよい。「車両」は、例えば、架線を設けた幹線では架空電車線から集電して駆動モータで走行しつつ二次電池に充電し、架線のない支線で電池式電気自動車としての走行が可能なトロリーバスであってもよい。「車両」は、例えば、走行中に起こるブレーキ時の発電を充電し、次の発進時に放電する間欠給電式電気自動車であってもよい。「車両」は、例えば、電磁誘導と共振現象とを利用して、接触なしに道路下に埋設した地下架線から走行中に給電・充電できる非接触充電自動車であってもよい。「車両」は、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンの自動車からエンジン、マフラー及び燃料タンク等を取り除き、駆動モータ及び電池を取り付けた改造電気自動車であってもよい。
【0072】
上記実施の形態では「第1モータ」として駆動用モータ110を備え、「第2モータ」としてポンプ用モータ210及びアクチュエータ用モータ310を備えるモータユニット1を例に挙げて説明した。「第1インバータ」として駆動用インバータ120を備え、「第2インバータ」としてポンプ用インバータ220及びアクチュエータ用インバータ320を備えるモータユニット1を例に挙げて説明した。しかしながら、「モータユニット」は、
図6に示すように、「第1モータ」と、「第1モータ」の補機を駆動する「第2モータ」と、を備えていればよい。そして、「モータユニット」は、
図6に示すように、車両の「主制御装置」から送信される制御信号に基づいて「第1モータ」を制御する「第1インバータ」を備えていればよい。「モータユニット」は、
図6に示すように、「第1インバータ」から送信される「第2モータ」を駆動するための駆動命令信号に基づいて「第2モータ」を制御する「第2インバータ」を備えていればよい。例えば、「第2モータ」は、クラッチ用モータ、変速機構用モータ、ウォータポンプ用モータ等であってもよい。
【0073】
特許請求の範囲、明細書及び図面中において示した装置、システム、プログラム及び方法における動作、手順、ステップ及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0074】
1 モータユニット、2 車両制御ユニット、3 高電圧電池、4 12V電池、5 イグニッションスイッチ、10 モータ制御システム、110 駆動モータ、120 駆動用インバータ、200 電動オイルポンプ、210 ポンプ用モータ、220 ポンプ用インバータ、221 モータ駆動部、222 制御部、223 信号検出部、224 電路開閉部、300 電動アクチュエータ、310 アクチュエータ用モータ、320 アクチュエータ用インバータ