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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】判定装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240312BHJP
   G06V 40/18 20220101ALI20240312BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06T7/00 510D
G06V40/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022509208
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014372
(87)【国際公開番号】W WO2021192311
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】外山 祥明
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-163683(JP,A)
【文献】特表2019-530929(JP,A)
【文献】特開2009-015518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 40/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを撮影した撮影画像を取得する取得手段と、
複数の目の画像と、虹彩を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第1の学習モデルを記憶する記憶手段と、
前記撮影画像を前記第1の学習モデルに入力し、前記第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する第1の判定手段と、
を備え、
前記記憶手段は、複数の目の画像と、瞳孔の位置又は虹彩の位置に関する位置情報と、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第2の学習モデルをさらに記憶し、
前記撮影画像から前記虹彩情報を抽出できると判定された場合、前記撮影画像を前記第2の学習モデルに入力し、前記第2の学習モデルからの出力に基づいて前記瞳孔の位置又は前記虹彩の位置を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段の検出結果に基づき、瞳孔領域及び虹彩領域を検出する第2検出手段と、
前記瞳孔領域及び前記虹彩領域を強調して前記撮影画像を表示する表示制御手段と、
をさらに備える、
判定装置。
【請求項2】
前記判定の結果に応じて、前記撮影画像に基づく虹彩認証又は虹彩登録を行う認証手段、
をさらに備えた請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記第2の学習モデルは、複数の目の画像と、瞳孔の位置及び虹彩の位置に関する前記位置情報と、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築され、
前記第1検出手段は、前記撮影画像を前記第2の学習モデルに入力し、前記第2の学習モデルからの出力に基づいて前記虹彩の位置を検出する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、
複数の目の画像と、右目と左目とを区別するためのラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第3の学習モデルをさらに記憶し、
前記判定装置は、
前記撮影画像を前記第3の学習モデルに入力し、前記第3の学習モデルからの出力に基づいて、前記撮影画像が右目の画像か左目の画像かを判定する第2の判定手段をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項5】
複数の目の画像と、虹彩情報を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第1の学習モデルを記憶するコンピュータが、
ユーザを撮影した撮影画像を取得し、
前記撮影画像を前記第1の学習モデルに入力し、前記第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する、
判定方法であって、
前記コンピュータは、複数の目の画像と、瞳孔の位置又は虹彩の位置に関する位置情報と、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第2の学習モデルをさらに記憶し、
前記コンピュータは、
前記撮影画像から前記虹彩情報を抽出できると判定された場合、前記撮影画像を前記第2の学習モデルに入力し、前記第2の学習モデルからの出力に基づいて前記瞳孔の位置又は前記虹彩の位置を検出し、
前記瞳孔の位置又は前記虹彩の位置の検出結果に基づき、瞳孔領域及び虹彩領域を検出し、
前記瞳孔領域及び前記虹彩領域を強調して前記撮影画像を表示する
判定方法。
【請求項6】
前記判定の結果に応じて、前記撮影画像に基づく虹彩認証又は虹彩登録を行う、
請求項5に記載の判定方法。
【請求項7】
複数の目の画像と、虹彩情報を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第1の学習モデルを記憶するコンピュータに、
ユーザを撮影した撮影画像を取得する処理と、
前記撮影画像を前記第1の学習モデルに入力し、前記第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する処理と、を実行させる判定プログラムであって、
前記コンピュータは、複数の目の画像と、瞳孔の位置又は虹彩の位置に関する位置情報と、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第2の学習モデルをさらに記憶し、
前記コンピュータに、
前記撮影画像から前記虹彩情報を抽出できると判定された場合、前記撮影画像を前記第2の学習モデルに入力し、前記第2の学習モデルからの出力に基づいて前記瞳孔の位置又は前記虹彩の位置を検出する処理と、
前記瞳孔の位置又は前記虹彩の位置の検出結果に基づき、瞳孔領域及び虹彩領域を検出する処理と、
前記瞳孔領域及び前記虹彩領域を強調して前記撮影画像を表示する処理と
を実行させる
判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、方法及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、特に、認証用画像の判定装置、方法、及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、虹彩認証用の目の撮影画像を適切に撮影できなかった場合に、ユーザに所定の動作を促す電子機器が開示されている。例えば、撮影画像内の虹彩領域の面積が閾値以下の場合、当該電子機器は、ユーザに対して目を開くことを促すメッセージを提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-124733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によると、撮影画像から虹彩を検出しなければ、虹彩認証用の撮影画像が適切か否かを判定することができない。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、虹彩認証に用いる情報を効率よく取得する判定装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる判定装置は、ユーザを撮影した撮影画像を取得する取得手段と、複数の目の画像と、虹彩を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第1の学習モデルを記憶する記憶手段と、前記撮影画像を前記第1の学習モデルに入力し、前記第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する第1の判定手段と、を備える。
【0007】
本開示にかかる判定方法は、複数の目の画像と、虹彩情報を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第1の学習モデルを記憶するコンピュータが、ユーザを撮影した撮影画像を取得し、前記撮影画像を前記第1の学習モデルに入力し、前記第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する、ものである。
【0008】
本開示にかかる判定プログラムは、複数の目の画像と、虹彩情報を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築された第1の学習モデルを記憶するコンピュータに、ユーザを撮影した撮影画像を取得する処理と、前記撮影画像を前記第1の学習モデルに入力し、前記第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する処理と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、虹彩認証に用いる情報を効率よく取得する判定装置、方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態1にかかる判定装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態1にかか判定方法の流れを示すフローチャートである。
図3】本実施形態2にかかる判定装置の構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態2にかかる判定装置を用いた虹彩認証の流れを示すフローチャートである。
図5】本実施形態3にかかる判定装置の構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態4にかかる判定装置の構成を示すブロック図である。
図7】本実施形態4にかかる判定装置を用いた虹彩認証の流れを示すフローチャートである。
図8】本実施形態5にかかる判定装置の構成を示すブロック図である。
図9】本実施形態5にかかる判定装置を用いた虹彩認証処理の流れを示すフローチャートである。
図10】判定装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる判定装置100の構成を示すブロック図である。判定装置100は、取得部101と、記憶部110と、第1判定部102とを備える。判定装置100は、虹彩認証を行う認証装置であってもよい。
【0013】
取得部101は、ユーザを撮影した撮影画像を取得する。記憶部110は、第1の学習モデル111を記憶する。ここで、第1の学習モデル111は、複数の目の画像と、虹彩情報を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築される。虹彩情報を抽出できる画像とは、例えば、目が十分に開いた画像である。虹彩情報を抽出できない画像とは、例えば、目が閉じている画像、又は目が半分閉じている画像である。
【0014】
第1判定部102は、取得部101が取得した撮影画像を、記憶部110が記憶する第1の学習モデル111に入力する。そして、第1判定部102は、第1の学習モデル111からの出力に基づいて、当該撮影画像から虹彩情報を抽出できるか否かを判定する。
【0015】
判定装置100は、第1判定部102の判定結果に応じて虹彩認証又は虹彩登録を行ってもよい。また、判定装置100は、第1判定部102の判定結果に応じて外部装置に虹彩認証又は虹彩登録を行わせてもよい。
【0016】
図2は、本実施形態1にかかる認証方法の流れを示すフローチャートである。尚、判定装置100の記憶部110は、第1の学習モデル111を記憶しているものとする。まず、取得部101は、ユーザを撮影した撮影画像を取得する(ステップS101)。第1の撮影画像には、少なくともユーザの目の領域が写っているものとする。
【0017】
次に、第1判定部102は、ステップS101で取得した撮影画像を第1の学習モデル111に入力する(ステップS102)。次に、第1判定部102は、第1の学習モデルからの出力に基づいて虹彩情報を抽出できるか否かを判定する(ステップS103)。
【0018】
上述したようにこれまでは、虹彩認証用の撮影画像の適否を判定する際、撮影画像から虹彩を検出しなければならなかった。本実施形態にかかる判定装置は、機械学習モデルにより撮影画像の適否を判断するため、撮影画像から虹彩を検出する必要はない。本実施形態にかかる判定装置を用いることで、虹彩認証又は虹彩登録を行う際の処理負荷が軽減される。
【0019】
図10は、判定装置100のハードウェア構成例を示す図である。判定装置100は、プロセッサ1001、メモリ1002、及び記憶装置1003を備える。記憶装置1003には、本実施形態にかかる情報処理方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、プロセッサ1001は、記憶装置1003からコンピュータプログラムをメモリ1002へ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、プロセッサ1001は、取得部101及び第1判定部102の機能を実現する。
【0020】
または、取得部101及び第1判定部102は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0021】
また、判定装置100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、判定装置100の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0022】
<実施形態2>
本実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。図3は、本実施形態2にかかる判定装置100aの構成を示すブロック図である。判定装置100aは、記憶部110と、制御部120と、メモリ130と、通信部140と、カメラ150とを備える。
【0023】
記憶部110は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置である。制御部120は、判定装置100aが備える各機能を制御する。メモリ130は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部120の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部140は、ネットワーク500との通信インターフェースである。カメラ150は、虹彩認証用の画像を撮影する。カメラ150は、例えば、赤外線カメラである。
【0024】
記憶部110は、判定プログラム112と、第1の学習モデル111と、虹彩情報DB113とを少なくとも記憶する。判定プログラム112は、本実施形態にかかる判定方法が実装されたコンピュータプログラムである。第1の学習モデル111は、複数の目の画像と、虹彩情報を抽出できるか否かを示すラベルと、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築されるモデルである。虹彩情報DB113には、虹彩画像から抽出される虹彩情報が格納される。なお、虹彩情報DB113には、複数のユーザの虹彩情報と、ユーザIDとが対応付けて格納されていてもよい。
【0025】
制御部120は、記憶部110から判定プログラム112をメモリ130へ読み込ませ、判定プログラム112を実行する。これにより、制御部120は、取得部121、第1判定部122、瞳孔検出部123、虹彩検出部124、抽出部125、及び認証部126の機能を実現する。尚、取得部121は取得部101の一例であり、第1判定部122は第1判定部102の一例である。
【0026】
取得部121は、カメラ150が撮影した撮影画像を取得する。撮影画像には少なくとも目が写っているものとする。撮影画像には、目尻等の領域が含まれていてもよい。第1判定部122は、取得部121が取得した撮影画像を第1の学習モデル111に入力し、第1の学習モデル111からの出力に基づいて、撮影画像から虹彩情報を抽出できるか否かを判定する。つまり、第1判定部122は、撮影画像が虹彩認証用の画像として適切か不適切かを判定する。
【0027】
瞳孔検出部123は、第1判定部122の判定結果に応じて撮影画像から瞳孔領域を検出する。瞳孔検出部123は、例えば、撮影画像に含まれる黒い円を検出することにより瞳孔領域を検出してもよい。虹彩検出部124は、瞳孔検出部123が検出した瞳孔領域に基づいて、当該瞳孔領域の外側に存在する虹彩領域を検出する。
【0028】
抽出部125は、虹彩検出部124が検出した虹彩領域から特徴点を抽出し、認証部126に虹彩情報を出力する。ここで、虹彩情報は、虹彩領域から抽出した特徴点の集合である。
【0029】
認証部126は、抽出部125が抽出した虹彩情報の認証又は登録を行う。虹彩認証を行う場合、認証部126は、記憶部110が記憶する虹彩情報DB113との照合を行う。認証部126は、虹彩情報の一致の有無を出力する。虹彩情報の一致の有無は、認証の成否に対応する。ここで、認証部126は、虹彩情報に対応するユーザのユーザIDを出力してもよい。虹彩登録を行う場合、認証部126は、抽出部125が抽出した虹彩情報を虹彩情報DB113に新たに登録する。ここで、認証部126は、ユーザIDを新規に発行してもよい。
【0030】
図4は、判定装置100aが虹彩認証を行う処理の流れを示すフローチャートである。まず、判定装置100aの取得部121は、カメラ150から虹彩認証用の撮影画像を取得する(ステップS201)。次に、第1判定部122は、第1の学習モデル111に撮影画像を入力し、撮影画像から虹彩を抽出できるか否かを判定する(ステップS202)。虹彩を抽出できないと判定した場合(ステップS202のNo)、判定装置100aは、ステップS201に移行し、撮影画像を取得する処理に戻る。
【0031】
第1判定部122が虹彩を抽出できると判断した場合(ステップS202のYes),瞳孔検出部123は、撮影画像から瞳孔領域を検出する(ステップS203)。次に、虹彩検出部124は、ステップS203で検出した瞳孔領域に基づいて虹彩領域を検出する(ステップS204)。
【0032】
次に、抽出部125は、ステップS204で検出した虹彩領域から虹彩情報を抽出する(ステップS205)。次に、認証部126は、抽出した虹彩情報と、虹彩情報DB113とを照合する(ステップS206)。虹彩情報が一致した場合(ステップS207のYes)、認証部126は、虹彩認証に成功した旨を出力する(ステップS208)。一方、一致する虹彩情報が存在しない場合(ステップS207のNo)、認証部126は、虹彩認証に失敗した旨を出力する(ステップS209)。
【0033】
虹彩情報の登録を行う場合には、判定装置100aは、ステップS201~ステップS205の処理を実行した後、抽出した虹彩情報を虹彩情報DB113に登録する。ここで、判定装置100aは、ユーザIDと虹彩情報とを関連付けて虹彩情報DB113に登録してもよい。
【0034】
以下、本実施の形態の効果について説明する。虹彩認証に用いる画像には、虹彩が写っている必要がある。しかし、目を撮影するタイミングによって、虹彩情報を取得するのに適さない画像が得られる場合がある。このような場合、虹彩認証をしても認証エラーとなってしまうため、無駄な処理を生じさせていた。一方、本実施形態にかかる判定装置100aは、機械学習により構築された学習モデルを用いて虹彩を抽出できるか否かを判定し、判定結果に応じて虹彩を検出するため処理の負担を軽減できる。
【0035】
なお、判定装置100aは、必ずしも1つの装置で実現される必要はなく、機能ごとに異なる複数の装置で判定装置100aが実現されてもよい。例えば、判定装置100aは、端末とサーバで実現されてもよい。例えば、判定装置100aの制御部120が備える機能のうち、取得部121及び第1判定部122の機能は端末に備えられ、その他の機能はサーバに備えられてよい。
【0036】
<実施形態3>
図5は、本実施形態3にかかる判定装置100bの構成を示すブロック図である。判定装置100bは、ネットワーク500に接続される。ネットワーク500は、有線であっても無線であってもよい。ネットワーク500には、サーバ200が接続される。なお、判定装置100bとサーバ200とを備えるシステムが、実施の形態2にかかる判定装置100aに対応する。
【0037】
判定装置100bは、カメラ150を有し、ユーザの撮影画像を撮影し、撮影画像をサーバ200に送信する。サーバ200は、受信した撮影画像について、虹彩情報DB113との照合を行う。
【0038】
図3の判定装置100aの制御部120が備える機能のうち、取得部121及び第1判定部122の機能は判定装置100bに備えられ、その他の機能はサーバ200に備えられている。また、判定装置100bは、第1判定部122が使用する第1の学習モデル111を記憶している。判定装置100bの制御部120は、判定プログラム112をメモリ130へ読み込ませ、判定プログラム112を実行する。これにより、制御部120は、取得部121及び第1判定部122の機能を実現する。
【0039】
判定装置100bは、図4のステップS201及びステップS202の処理を行う。撮影画像から虹彩が抽出可能と判断した場合(ステップS202のYes)、判定装置100bは、ネットワーク500を介してサーバ200にステップS203以降の処理を行わせる。本実施の形態によると、判定装置100bは、サーバ200の虹彩を検出する処理の負担を軽減することができる。
【0040】
<実施形態4>
実施形態4にかかる判定装置100cは、上述した第1の判定機能と、機械学習による虹彩検出の機能とを備える。図6は、本実施形態4にかかる判定装置cの構成を示すブロック図である。以下では、実施形態2と異なる点について説明する。
【0041】
本実施形態4にかかる記憶部110は、第2の学習モデル114を更に記憶する。第2の学習モデル114は、複数の目の画像と、瞳孔の位置又は虹彩の位置に関する位置情報と、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築される。複数の目の画像は、虹彩情報を抽出可能な画像である。
【0042】
瞳孔に関する位置情報とは、例えば、目の画像の瞳孔領域の値を1、それ以外の領域の値を0とした二値画像である。このような二値画像を、第1の二値画像と呼ぶ。虹彩に関する位置情報とは、例えば、目の画像のうち虹彩の外円の内側の値を1、それ以外の領域の値を0とした二値画像である。このような二値画像を第2の二値画像と呼ぶ。
【0043】
第2の学習モデル114は、複数の目の画像と、瞳孔の位置と虹彩の位置の両方に関する位置情報と、を対応付けた教師データを用いた機械学習により構築されてもよい。このような場合、例えば、第1の二値画像と第2の二値画像の両方が、教師データとして使用される。瞳孔の位置と虹彩の位置の両方を用いた場合、第2の学習モデル114は、より正確な虹彩位置を出力することができる。
【0044】
制御部120の瞳孔検出部123は、撮影画像を第2の学習モデル114に入力し、第2の学習モデル114からの出力に基づいて瞳孔の位置を検出してもよい。制御部120の虹彩検出部124は、撮影画像を第2の学習モデル114に入力し、第2の学習モデル114からの出力に基づいて虹彩の位置を検出してもよい。なお、虹彩検出部124が、第2の学習モデル114を用いて虹彩を検出する場合、判定装置100cは、瞳孔検出部123を備えなくてもよい。
【0045】
図7は、判定装置100cが虹彩認証を行う処理の流れを示すフローチャートである。ステップS201~ステップS202における処理は、図4と同様であるため説明を省略する。
【0046】
ステップS202において撮影画像が適切と判定された場合(ステップS202のYes)、判定装置100cは、第2の学習モデル114を用いて虹彩領域を検出する(ステップS303)。例えば、虹彩検出部124は、第2の学習モデル114に撮影画像を入力し、出力結果に基づいて虹彩位置を検出する。
【0047】
また、例えば、瞳孔検出部123は、第2の学習モデル114に撮影画像を入力し、出力結果に基づいて瞳孔位置を検出する。虹彩検出部124は、図4のステップS204と同様に虹彩位置を検出することができる。ステップS205~ステップS209における処理は、図4と同様であるため説明を省略する。
【0048】
以下、本実施形態の効果について説明する。虹彩情報を抽出する際、撮影画像から瞳孔を検出する必要がある。しかし、まつ毛や眼鏡の写りこみ、画像取得時のノイズあるいは振動等により、瞳孔領域を真円として検出することができない場合があった。また、乱視等により瞳孔領域が、真円とはならない場合がある。本実施形態にかかる判定装置は、機械学習モデルを用いて虹彩を検出するため、瞳孔領域が真円でない場合であっても虹彩を検出することができる。
【0049】
<実施形態5>
実施形態5にかかる判定装置100dは、上述した第1の判定機能と、機械学習による右目と左目の判定機能とを備える。図8は、本実施形態5にかかる判定装置100dの構成を示すブロック図である。以下では、実施形態2と異なる点について説明する。
【0050】
本実施形態5にかかる記憶部110は、第3の学習モデル115を更に記憶する。第3の学習モデル115は、複数の目の画像と、右目と左目とを区別するためのラベルとを対応付けた教師データを用いた機械学習により構築される。記憶部110の虹彩情報DB113には、虹彩情報と左右情報とが対応付けて記憶される。左右情報とは、右目と左目とを識別するための識別情報である。
【0051】
虹彩情報DB113には、目の画像が登録されていてもよい。このような場合、目の画像は、当該画像が右目を示すか左目を示すかを付記したメタ情報が付与された状態で、虹彩DB113に登録されてもよい。
【0052】
制御部120の第2判定部127は、第3の学習モデル115を用いて撮影画像に写った目の画像が左目であるか右目であるかを判定する。第2判定部127は、撮影画像を第3の学習モデル115に入力し、第3の学習モデル115からの出力に基づいて撮影画像が右目の画像であるか左目の画像であるかを判定する。
【0053】
図9は、判定装置100dが虹彩認証を行う処理の流れを示すフローチャートである。ステップS201~ステップS205及びステップS207~ステップS209における処理は、図4と同様であるため説明を省略する。
【0054】
ステップS205において虹彩情報を抽出した後、第2判定部127は、撮影画像を第3の学習モデル115に入力し、第3の学習モデル115からの出力に基づいて、撮影画像が右目の画像であるか左目の画像であるかを判定する(ステップS406)。
【0055】
ステップS406の後、認証部126は、虹彩情報DB113が記憶する虹彩情報のうち右目又は左目のいずれか一方の虹彩情報との照合を行う(ステップS407)。ステップS406において右目の画像と判定された場合、認証部126は、右目を示す左右情報と対応付けられた虹彩情報との照合を行う。ステップS406において左目の画像と判定された場合、認証部126は、左目を示す左右情報と対応付けられた虹彩情報との照合を行う。なお、ステップS406の処理は、ステップS203の瞳孔領域を検出する処理の前に行われてもよい。
【0056】
虹彩DB113に、メタ情報が付された目の画像が登録されている場合について説明する。このような場合、認証部126は、第3の学習モデル115が右目と判断した画像を、虹彩DB113上に登録されている右目の画像と照合する。認証部126は、第3の学習モデル115が左目と判断した画像を、虹彩DB113上に登録されている左目の画像と照合する。
【0057】
なお、右目の画像と左目の画像とがそれぞれ別のデータベースに登録されていてもよい。このような場合、認証部126は、第3の学習モデル115が右目と判断した画像を、右目の画像が登録されたデータベースと照合する。同様に、認証部126は、第3の学習モデル115が左目と判断した画像を、左目の画像が登録されたデータベースと照合する。
【0058】
虹彩情報の登録を行う場合には、判定装置100dは、ステップS406の処理を実行した後、ステップS205で抽出した虹彩情報と、ステップS406の判定結果に応じた左右情報とを対応付けて、虹彩情報DB113に登録する。
【0059】
以下、本実施形態の効果について説明する。虹彩認証装置に、左目の虹彩情報と、右目の虹彩情報の両方がデータベースに登録されている場合がある。このような場合、関連する技術によると、取得した目の画像と、データベースに登録されている全ての目の画像との照合を行わなければならなかった。本実施形態にかかる判定装置100dは、データベースに登録された目の画像のうち、左目の画像、又は右目の画像のいずれか一方との照合を行うため、照合時間を減らすことができ、照合処理の負荷を軽減することができる。
【0060】
<変形例>
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。判定装置100a、100b、100c、及び100dは、取得した目の画像、虹彩情報、撮像画像、虹彩認証結果等を、ディスプレイ等の表示装置に表示させる表示制御部を備えていてもよい。虹彩認証結果は、突合した撮影画像及び登録画像のうちの一方または双方を含んでもよく、「OK」「NG」「エラー」等の表示を含んでもよい。登録画像とは、虹彩DB113に登録した目の画像のことである。
【0061】
表示制御部は、目の画像を表示させる際、自装置が虹彩領域と認識した部位、瞳孔領域を強調表示してもよい。表示制御部は、上述した実施形態における処理の一部またはすべてのフローを、表示装置に表示させるように設計されてもよい。
【0062】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0063】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0064】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0065】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0066】
100、100a、100b、100c、100d 判定装置
101、121 取得部
102、122 第1判定部
110 記憶部
111 第1の学習モデル
112 判定プログラム
113 虹彩情報DB
114 第2の学習モデル
115 第3の学習モデル
123 瞳孔検出部
124 虹彩検出部
125 抽出部
126 認証部
127 第2判定部
130 メモリ
140 通信部
150 カメラ
200 サーバ
500 ネットワーク
図1
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