(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フライトコンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 19/14 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B65G19/14 A
(21)【出願番号】P 2022510748
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021012930
(87)【国際公開番号】W WO2021193933
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020057960
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】水野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】日笠 雅史
(72)【発明者】
【氏名】ジャンタバンディッド、アヌチャー
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5911942(JP,B1)
【文献】特表昭61-500962(JP,A)
【文献】特公昭52-050438(JP,B2)
【文献】特開平01-100429(JP,A)
【文献】特開2006-052049(JP,A)
【文献】実公昭58-037855(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を投入する投入口が設けられた下部と、前記搬送物を搬出する搬出口が設けられ前記下部よりも上方にある上部と、前記下部と前記上部との間を繋ぐ中間部とを含む筐体と、
前記筐体内において前記下部と前記上部との間の前記中間部を通って回動可能に設けられた可撓性の環状部材と、
前記環状部材に取り付けられ、前記筐体内において前記環状部材とともに前記筐体内を回動し、前記搬送物を前記下部から前記上部へ搬送する複数の板状部材と、
前記投入口において前記複数の板状部材の上に設けられ、前記複数の板状部材の移動方向および重力方向に対して略垂直方向に前記投入口の一部を塞ぐ開口調整板と、
前記投入口の一端に前記複数の板状部材よりも上方に設けられ、前記筐体内に投入された前記搬送物のうち前記板状部材の上端よりも上方に堆積された搬送物を掻き取る掻き取り板と、を備え
、
前記複数の板状部材は、前記筐体の上面に沿って前記上部から前記下部へ向かう第1方向へ移動し、前記投入口へ移動した後、前記筐体の底面に沿って前記下部から前記上部へ向かう第2方向へ移動し、
前記投入口において、前記第1方向へ移動する前記板状部材と前記第2方向へ移動する前記板状部材との間に設けられた仕切板をさらに備えたフライトコンベヤ装置。
【請求項2】
前記開口調整板は、前記移動方向に対して垂直方向の断面において、重力方向に対して傾斜角度を有する、請求項1に記載のフライトコンベヤ装置。
【請求項3】
前記投入口において前記複数の板状部材の上方かつ前記開口調整板の下方に前記開口調整板を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記開口調整板の下辺部に引っ掛かる複数の突起部を有し、
前記開口調整板の下辺部を前記複数の突起部のいずれかに引っ掛かることによって、前記開口調整板の傾斜角度を変更する、請求項2に記載のフライトコンベヤ装置。
【請求項4】
前記掻き取り板は、前記筐体または前記投入口に固定された基体と、前記基体に対して上下方向に移動可能な移動板とを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフライトコンベヤ装置。
【請求項5】
前記複数の板状部材は、前記筐体の底面を摺動しながら前記搬送物を前記下部から前記上部へ搬送する、請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載のフライトコンベヤ装置。
【請求項6】
前記複数の板状部材は、前記投入口から投入された搬送物を前記仕切板の上において前記第1方向へ搬送し、前記筐体の底面に落下した前記搬送物を前記仕切板の下において前記第2方向へ搬送する、
請求項1に記載のフライトコンベヤ装置。
【請求項7】
前記複数の板状部材は、前記搬送物としてバガスを搬送する、請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載のフライトコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、フライトコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から粉粒体の材料を低位置から高位置へ搬送するためにフライトコンベヤが用いられている。フライトコンベヤは、ケース内に無端チェーンと、無端チェーンに取り付けられた複数のフライトとを備えている。無端チェーンを回転動作させることによって、フライトがケースの底面を摺るように移動する。これにより、フライトは、ケース内に堆積した材料を底面に沿って低位置から高位置へと搬送する。
【0003】
このようなフライトコンベヤのケースには、材料の投入口のある下部と、下部から材料の搬出口のある高位置へ斜め上方に延伸する傾斜部がある。下部と傾斜部とは、屈曲または湾曲して接続されているため、材料の投入量が多過ぎると、材料がケース内の屈曲部または湾曲部で詰まってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-052049号公報
【文献】特開2003-002425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
材料の投入量が多くても、材料の詰まりを抑制することができるフライトコンベヤ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によるフライトコンベヤ装置は、搬送物を投入する投入口が設けられた下部と、搬送物を搬出する搬出口が設けられ下部よりも上方にある上部と、下部と上部との間を繋ぐ中間部とを含む筐体と、筐体内において下部と上部との間の中間部を通って回動可能に設けられた可撓性の環状部材と、環状部材に取り付けられ、筐体内において環状部材とともに筐体内を回動し、搬送物を下部から上部へ搬送する複数の板状部材と、投入口において複数の板状部材の上に設けられ、複数の板状部材の移動方向および重力方向に対して略垂直方向に投入口の一部を塞ぐ開口調整板と、投入口の一端に複数の板状部材よりも上方に設けられ、筐体内に投入された搬送物のうち板状部材の上端よりも上方に堆積された搬送物を掻き取る掻き取り板と、を備える。
【0007】
開口調整板は、移動方向に対して垂直方向の断面において、重力方向に対して傾斜角度を有してもよい。
【0008】
投入口において複数の板状部材の上方かつ開口調整板の下方に開口調整板を支持する支持部材をさらに備え、支持部材は、開口調整板の下辺部に引っ掛かる複数の突起部を有し、開口調整板の下辺部を複数の突起部のいずれかに引っ掛かることによって、開口調整板の傾斜角度を変更してもよい。
【0009】
掻き取り板は、筐体または投入口に固定された基体と、基体に対して上下方向に移動可能な移動板とを含んでもよい。
【0010】
複数の板状部材は、筐体の上面に沿って上部から下部へ向かう第1方向へ移動し、投入口へ移動した後、筐体の底面に沿って下部から上部へ向かう第2方向へ移動してもよい。
【0011】
複数の板状部材は、筐体の底面を摺動しながら搬送物を下部から上部へ搬送してもよい。
【0012】
投入口において、第1方向へ移動する板状部材と第2方向へ移動する板状部材との間に設けられた仕切板をさらに備えてもよい。
【0013】
複数の板状部材は、投入口から投入された搬送物を仕切板の上において第1方向へ搬送し、筐体の底面に落下した搬送物を仕切板の下において第2方向へ搬送してもよい。
【0014】
複数の板状部材は、搬送物としてバガスを搬送してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態によるフライトコンベヤ装置の構成例を示す図。
【
図2】フライトコンベヤ装置の構成例を示す断面図。
【
図3】フライトコンベヤ装置の下部の周辺をより詳細に示す断面図。
【
図5】投入口、開口調整板および支持部材の構成をより詳細に示す断面図。
【
図10】比較例に従ったフライトコンベヤ装置の一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
図1は、本実施形態によるフライトコンベヤ装置の構成例を示す図である。フライトコンベヤ装置1は、筐体10を備える。筐体10は、例えば、ステンレス等の金属で構成された中空の筒であり、長手方向の断面が方形を有する。筐体10は、下部10aと、中間部10bと、上部10cとを含む。下部10a、中間部10bおよび上部10cは、内部で連通しており、
図2以降を参照して説明するように、バガス等の搬送物を搬送するためにチェーンおよびフライトを収容している。
【0018】
下部10aは、搬送物としてのバガスBを投入するための投入口11を有する。投入口11は、作業者Wによって投入されたバガスBを筐体10内に導入する開口部である。投入口11は、筐体10の下部10aと連通しており、投入されたバガスBは投入口11から下部10aの筐体10内に通過させる。
【0019】
上部10cは、下部10aよりも上方に設けられており、バガスBを搬出する搬出口12を有する。搬出口12は、下部10aから中間部10bを介して搬送されたバガスBを筐体10の外部へ搬出する開口部である。搬出口12は、筐体10の上部10cと連通しており、搬送されたバガスBを下方へ落下させる。尚、下方とは、重力加速度方向であり、
図1のZ方向である。上方とは、重力加速度方向と反対方向であり、
図1のZとは反対方向である。
【0020】
中間部10bは、下部10aと上部10cとの間を繋ぐ筐体部分であり、下部10aから上部10cへバガスBを搬送する(持ち上げる)ために傾斜している。尚、中間部10bの傾斜角度は、設置面積の削減のために、鉛直方向(Z方向)に近づけ、さらには、ほぼ鉛直にしてもよい。
【0021】
このように、フライトコンベヤ装置1は、投入口11に投入されたバガスBを、低位置にある下部10aから中間部10bを介して高位置にある上部10cへ搬送し、搬出口12から筐体10の外部へ搬出する。
【0022】
下部10aと中間部10bとの間の接続部10abは、下部10aから中間部10bにかけて上方へ向かうように屈曲または湾曲している。バガスBは、接続部10abにおいて中間部10bの底面に沿って上方へ搬送される。
【0023】
中間部10bと上部10cとの間の接続部10bcは、中間部10bから上部10cにかけて屈曲または湾曲している。バガスBは、接続部10bcにおいて中間部10bから上部10cに沿って搬送される。
【0024】
図2は、フライトコンベヤ装置の構成例を示す断面図である。フライトコンベヤ装置1は、環状部材として無端のチェーン20と、複数の板状部材としてのフライト30と、プーリー40a、40bと、仕切板50とを備えている。チェーン20、フライト30およびプーリー40a、40bは、筐体10内に収容されている。
【0025】
プーリー40aは、下部10aの端部において自身の中心を軸として回転(自転)可能に固定されている。プーリー40bは、上部10cの端部において自身の中心を軸として回転(自転)可能に固定されている。チェーン20は、可撓性を有するように複数の金属パーツをつなぎ合わせて環状(連続的な無端状態)に構成されている。チェーン20は、プーリー40a、40bの周囲に巻かれ、プーリー40a、40bの回転に伴って筐体10内において回動可能になっている。このように、チェーン20は、コンベアベルトのように、筐体10内において下部10aと上部10cとの間の中間部10bを通って回動する。本実施形態において、チェーン20が環状部材として設けられているが、環状部材は、樹脂、ゴムのような可撓性のある材料で構成されてもよい。
【0026】
複数のフライト30は、ほぼ等間隔でチェーン20に取り付けられており、筐体10内においてチェーン20とともに筐体10内を回動する。フライト30は、筐体10の低面に沿って下部10aから上部10cへ向かう第2方向D2へ移動する。その後、フライト30は、搬出口12へ移動した後、プーリー40bを回って筐体10の上面側に移動し、該上面に沿って上部10cから下部10aへ向かう第1方向D1へ移動する。フライト30は、D2方向へ移動する際に、筐体10の底面に沿って摺動し、該底面に落下したバガスBを底面に沿って移動させる。これにより、フライト30は、バガスBを下部10aから上部10cへ搬送する。また、フライト30は、バガスBの搬送後、筐体10の上面に沿って上部10cから下部10aへ移動する。フライト30は、投入口11を通過した後、プーリー40aを回って筐体10の低面側に再度移動し、筐体10の低面に沿って第2方向D2へ再度移動する。このように、フライト30は、チェーン20とともに筐体10内を連続的に回動する。
【0027】
プーリー40a、40bは、矢印A1方向へ回転し、チェーン20を同じ方向へ送る。これにより、プーリー40a、40bは、チェーン20を筐体10内において矢印A1方向へ回動させる。チェーン20の動作とともに、フライト30が筐体10内を矢印A1方向へ回動する。フライト30の動作によって、バガスBが下部10aから上部10cへと持ち上げられる。
【0028】
仕切板50は、筐体10の下側を移動するフライト30(以下、下側フライト30aともいう)とその上側を移動するフライト30(以下、上側フライト30bともいう)との間に設けられた板状部である。仕切板50は、下側フライト30aと上側フライト30bとが接触しないように筐体10内を仕切っている。尚、フライト30は、筐体10内を回動するので、周期的に下側フライト30aにも上側フライト30bにもなる。ここでは、下側フライトおよび上側フライトを区別するために、便宜的に参照符号30a、30bを用いている。
【0029】
仕切板50は、下部10aにおいて投入口11の直下にも設けられている。投入口11からのバガスBは、一旦、仕切板50上に落下して、D1方向に移動する上側フライト30bによってD1方向へ搬送される。仕切板50は、プーリー40aの手前でバガスBが筐体10の底部まで落下するための空間を開けて終端しており、バガスBは、仕切板50の端部で筐体10の底部まで落下する。プーリー40aを回ったフライト30(下側フライト30a)は、筐体10の底面を摺動してバガスBをD2方向へ搬送する。その後、下側フライト30aは、中間部10bを介して上部10cへバガスBを搬送し、搬出口12からバガスBを外部へ搬出する。
【0030】
このように上側フライト30bは、投入口11から投入されたバガスBを仕切板50上においてD1方向へ搬送し、筐体10の底面に落下したバガスBを仕切板50の下においてD2方向へ搬送する。
【0031】
図3は、フライトコンベヤ装置の下部の周辺をより詳細に示す断面図である。
図4は、
図3の4-4線に沿った断面図である。フライトコンベヤ装置1は、下部10aの投入口11に、開口調整板60と掻き取り板70とをさらに備えている。
【0032】
開口調整板60は、投入口11において上側フライト30bの上に設けられ、上側フライト30bの移動方向D1および重力方向(Z方向)に対して略垂直方向(幅方向)に投入口11の一部を塞ぐように設けられている。例えば、
図4に示すように、開口調整板60は、投入口11内において、D1方向および重力方向に対して略垂直方向D3に傾斜する。即ち、開口調整板60は、D1方向に対して垂直方向の断面において、重力方向に対して傾斜角度を有する。開口調整板60は、支持部材80上において支持されており、投入口11の開口端に寄りかかっている。開口調整板60は、例えば、金属からなる板状部材である。開口調整板60は、投入口11の部分11bを被覆して、部分11bにバガスBが通過しないようにしている。投入口11の部分11aは、開放されており、バガスBを通過させることができる。これにより、開口調整板60は、投入口11から筐体10の下部10aに投入されるバガスBの量を制限する。このとき、作業者Wは、投入口11へ投入されるバガスBの量を特に意識する必要がない。このようにバガスBの量を制限する理由は
図10を参照して後述する。
【0033】
図5は、投入口11、開口調整板60および支持部材80の構成をより詳細に示す断面図である。支持部材80は、投入口11において、上側フライト30bの上方かつ開口調整板60の下方に、D3方向に亘って設けられている。支持部材80は、例えば、金属からなる細長の棒状部材である。支持部材80は、上方に突出する複数の突起部80aを有する。複数の突起部80aは、開口調整板60の下辺部に引っ掛かり、開口調整板60を傾斜した姿勢で支持するために設けられている。開口調整板60の下辺部を引っ掛ける突起部80aの位置によって、D1方向に対して垂直方向の断面において、開口調整板60の傾斜角度が変更される。これにより、投入口11のうちバガスBを通過させる部分11aの広さ(面積)が調整され得る。例えば、開口調整板60の傾斜を水平方向に近づけるように、或る突起部80aに開口調整板60の下辺部を引っ掛けると、部分11aの面積は小さくなる。一方、開口調整板60の傾斜を鉛直方向に近づけるように、他の突起部80aに開口調整板60の下辺部を引っ掛けると、部分11aの面積は大きくなる。このように、開口調整板60は、投入口11の部分11aの面積を段階的に変更することができる。これにより、作業者WのバガスBの投入量に依らず、開口調整板60は、投入口11から筐体10の下部10aに投入されるバガスBの量を制御することができる。
【0034】
図6は、投入口を上方から見た平面図である。複数の支持部材80が、投入口11において、D3方向に亘って設けられている。複数の支持部材80のそれぞれに、複数の突起部80aが設けられている。開口調整板60は、その下辺部を引っ掛ける突起部80aの位置によって、傾斜角度を変更することができる。開口調整板60の傾斜角度を変更することによって、開口調整板60は、上側フライト30bの移動方向D1および重力方向に対して略垂直方向における投入口11の開口幅を変更することができる。即ち、開口調整板60の傾斜角度を変更することによって、バガスBの通過する部分11aの面積が段階的に調整され得る。これにより、開口調整板60は、投入口11から筐体10の下部10aに投入されるバガスBの量を制御することができる。
【0035】
また、開口調整板60は、上側フライト30bの移動方向D1および重力方向に対して略垂直方向D3における投入口11の開口幅を変更する。これにより、開口調整板60は、複数の上側フライト30bに対してバガスBを分散して投入することができる。これは、後述するように、バガスBの詰まりを抑制することに繋がる。
【0036】
さらに、投入口11は、上側フライト30bの移動方向D1において、隣接する上側フライト30b間の間隔よりも長い。従って、開口調整板60も、同様に、D1方向において、隣接する上側フライト30b間の間隔よりも長くなるように構成され、D3方向に傾斜する。これにより、投入口11のバガスBが通過する部分11aの面積は、D3方向の幅で調整される。
【0037】
図7は、掻き取り板の構成例を示す図である。掻き取り板70は、
図6に示すように、投入口11のD1方向の一端に固定されている。
図7に示すように、掻き取り板70は、上側フライト30bよりも上方に設けられている。掻き取り板70は、筐体10内に投入されバガスBのうち上側フライト30bの上端よりも上方まで堆積された過剰なバガスBを掻き取る(平す)ために設けられている。
【0038】
掻き取り板70は、筐体10または投入口11に固定された基体71と、基体71に対して上下方向(±Z方向)に移動可能な移動板72とを含む。移動板72は、上側フライト30bに接触しないように、上側フライト30bの上端よりも高い位置に位置付けられる。一方、移動板72は、上側フライト30bの上端を超える過剰なバガスBを効果的に掻き取るために上側フライト30bの上端付近に設けられていることが好ましい。
【0039】
移動板72の高さの調節は、高さ調節部73によって行われる。高さ調節部73は、図示しないネジ山を有し、基体71および移動板72に固定されたナットのネジ溝と噛み合っている。これにより、高さ調節部73は、その軸73aを中心に矢印方向に回転することによって、移動板72を上下方向(±Z方向)に移動させ、固定することができる。これにより、移動板72の高さを調節することができ、過剰なバガスBを適切に掻き取ることができる。
【0040】
図8は、D1方向から見た投入口11およびその周辺の斜視図である。
図9は、D1とは反対方向から見た投入口11およびその周辺の斜視図である。
図8および
図9を参照すると、投入口11における開口調整板60および掻き取り板70の配置および構成が容易に理解できる。
【0041】
上側フライト30bは、D1方向へ移動している。投入口11にバガスBが投入されると、開口調整板60で被覆されていない部分11aのみからバガスBが仕切板50上に落下する。開口調整板60が、仕切板50上に落下するバガスBの量を制限することができる。
【0042】
ここで、もし、開口調整板60が設けられておらず、かつ、投入口11の下方に仕切板50が設けられていない場合、バガスBを投入口11に投入すると、バガスBが下部10aと中間部10bとの接続部10abにおいて詰まり易くなる。
【0043】
例えば、
図10は、比較例に従ったフライトコンベヤ装置の一部を示す断面図である。本比較例では、開口調整板60が設けられておらず、かつ、投入口11の下方に仕切板50が設けられていない。また、比較例では、掻き取り板70も設けられていない。
【0044】
この場合、作業者Wが大量のバガスBを投入口11に投入すると、開口調整板60が設けられていないので、大量のバガスBは、筐体10内にそのまま投入される。また、仕切板50が設けられていないので、バガスBは、上側フライト30b間を通過して、下側フライト30aにそのまま落下する。そして、バガスBは、筐体10の底部に堆積し、下側フライト30aによってD2方向へ移動する。
【0045】
筐体10は、中間部10bにおいて下部10aよりも幾分狭くなっており、上側フライト30bと下側フライト30aとが干渉しないように仕切板50が設けられている。バガスBが接続部10abに差し掛かると、バガスBが、隣接する2つの下側フライト30a間において仕切板50と筐体10の底部との間に引き詰められ圧縮される。大量のバガスBが接続部10abに詰まると、下側フライト30aが中間部10bに移動できなくなり、装置は緊急停止する。
【0046】
これに対し、本実施形態によれば、開口調整板60が、投入口11において上側フライト30bの移動方向D1および重力方向に対して略垂直方向D3(幅方向)に投入口11の一部を塞ぐ。即ち、開口調整板60は、D3方向における投入口11の開口幅を制限する。これにより、開口調整板60は、投入口11から筐体10の下部10aに投入されるバガスBの量を制限することができる。それとともに、開口調整板60は、D3方向(幅方向)に投入口11の開口幅を制限するので、複数の上側フライト30b間にバガスBを分散して略均等に投入することができる。
【0047】
また、仕切板50が、投入口11の直下において上側フライト30bと下側フライト30aとの間に設けられている。これにより、仕切板50は、上側フライト30bと下側フライト30aとの干渉を抑制する。それとともに、仕切板50は、バガスBが投入口11から下側フライト30aまでそのまま落下することを抑制する。仕切板50は、上側フライト30bが仕切板50上に堆積したバガスBを掻き取り板70へ向かって搬送することを可能にする。さらに、掻き取り板70が投入口11のD1方向の端部に設けられている。これにより、掻き取り板70が、上側フライト30bの移動に従って上側フライト30bの上端を超えるバガスBを掻き取る。その結果、各上側フライト30bで搬送されるバガスBの量がさらに均一化され、過剰な量のバガスBが下側フライト30aへ落下することを抑制することができる。このように掻き取り板70で略均一化された量のバガスBは、仕切板50の端部において筐体10の底部へ落下する。その後、下側フライト30aは、筐体10の底面に沿ってバガスBをD2方向へ搬送する。下側フライト30aは、フライト30の大きさおよび高さに応じた略均一量のバガスBを搬送することができる。従って、接続部10abにおいてバガスBは詰まり難く、下側フライト30aは、中間部10bにおいてバガスBをスムーズに搬送することができる。その結果、本実施形態によるフライトコンベヤ装置1は、バガスBの投入量が多くても、バガスBの詰まりを抑制することができる。
【0048】
尚、仕切板50、開口調整板60および掻き取り板70の1つまたは2つを備えたフライトコンベヤ装置1は、或る程度、バガスBの詰まり抑制効果を得ることができる。本実施形態の効果を最大限発揮させるためには、フライトコンベヤ装置1は、仕切板50、開口調整板60および掻き取り板70を全て備えていることが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 フライトコンベヤ装置、10 筐体、10a 下部、10b 中間部、10c 上部、11 投入口、B バガス、20 チェーン、30フライト、30a 下側フライト、30b 上側フライト、40a,40b プーリー、50 仕切板、60 開口調整板、70 掻き取り板、80 支持部材