(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240312BHJP
【FI】
G06Q30/0601 312
(21)【出願番号】P 2022546850
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2020033749
(87)【国際公開番号】W WO2022049762
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】大坂 直人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 達也
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-024496(JP,A)
【文献】特開2002-358439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得する売手情報取得手段と、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得する買手情報取得手段と、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定する第1決定手段と、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報
と前記売手情報と
に基づく制約条件を満たしつつ、前記仲介者の利益
を示す項と
一致度の項との重み付き総和を含む目的関数を最大化するように、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する第2決定手段と、
を有し、
前記一致度は、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとの近さを示すことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記第2決定手段は、前記一致度を、前記第1の組み合わせと同一となる売手及び買手の組の個数に基づき決定する、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2決定手段は、前記第1の組み合わせと同一となる売手及び買手の組の各々に対して設定された重みに基づき、前記一致度を算出する、請求項
1または
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2決定手段は、前記売手及び買手の組の各々の取引により生じる前記仲介者の利益に基づき、前記売手及び買手の組の各々の重みを決定する、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2決定手段は、前記売手及び買手の組の各々の取引対象の受渡時期に基づき、前記売手及び買手の組の各々の重みを決定する、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2決定手段は、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との組み合わせであって、前記一致度と正の相関を有する目的関数を最大化する組み合わせを、前記第2の組み合わせとして決定する、請求項
1~
5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2決定手段は、前記一致度にパラメータを乗じた値と、前記仲介者の利益との和を、前記目的関数として設定する、請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータにより、
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報
と前記売手情報と
に基づく制約条件を満たしつつ、前記仲介者の利益
を示す項と
一致度の項との重み付き総和を含む目的関数を最大化するように、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定
し、
前記一致度は、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとの近さを示すことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報
と前記売手情報と
に基づく制約条件を満たしつつ、前記仲介者の利益
を示す項と
一致度の項との重み付き総和を含む目的関数を最大化するように、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する処理をコンピュータに実行させ
、
前記一致度は、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとの近さを示すことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取引に関する処理を行う情報処理装置、制御方法及び記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品の売手と買手のマッチングを支援するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、業者と顧客との双方の希望取引条件が同時に満足するように、組み合わせ候補を複数作成する電子取引仲介システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取引の仲介を行う商社などの仲介者は、取引対象となる物資の売手と買手とがそれぞれ希望する取引量及び取引価格などの取引条件が合致するように組み合わせる(マッチングする)ことで計画を策定する。また、一般に、取引条件は、計画の遅延や売手と買手の都合によって日々変化したり、戦略的に変化させるように交渉したりする場合がある。一方、取引条件の変更があった場合に、当初の計画とかけ離れた計画を新たに策定すると、仲介者にとって計画変更による影響が大きくなる。
【0005】
本開示の目的の一つは、上述した課題を鑑み、取引対象の売手と買手との組み合わせの候補を好適に決定することが可能な情報処理装置、制御方法及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理装置の一の態様は、
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得する売手情報取得手段と、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得する買手情報取得手段と、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定する第1決定手段と、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報と前記売手情報とに基づく制約条件を満たしつつ、前記仲介者の利益を示す項と一致度の項との重み付き総和を含む目的関数を最大化するように、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する第2決定手段と、を有し、
前記一致度は、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとの近さを示すことを特徴とする、情報処理装置である。
【0007】
制御方法の一の態様は、
コンピュータにより、
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報と前記売手情報とに基づく制約条件を満たしつつ、前記仲介者の利益を示す項と一致度の項との重み付き総和を含む目的関数を最大化するように、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定し、
前記一致度は、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとの近さを示すことを特徴とする制御方法である。
【0008】
記憶媒体の一の態様は、
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報と前記売手情報とに基づく制約条件を満たしつつ、前記仲介者の利益を示す項と一致度の項との重み付き総和を含む目的関数を最大化するように、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する処理をコンピュータに実行させ、
前記一致度は、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとの近さを示すことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
プログラムの一の態様は、取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報及び前記売手情報と、前記仲介者の利益と、前記第1の組み合わせと、に基づいて、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における最適化システムの構成を示す。
【
図9】第1決定部による最適化処理の簡略的な具体例を示す。
【
図10】第2決定部による最適化処理の簡略的な具体例を示す。
【
図11】取引条件の変更が生じた場合に仮に第1決定部による最適化処理を実行した場合の売手と買手の組み合わせを示す。
【
図14】第1実施形態において情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。
【
図15】第2実施形態における最適化システムの構成を示す。
【
図16】第3実施形態における情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図17】第3実施形態における情報処理装置の処理手順を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置、制御方法及び記憶媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(1)
システム構成
図1は、第1実施形態に係る最適化システム100の構成を示す。最適化システム100は、主に、情報処理装置1と、入力装置2と、表示装置3と、記憶装置4とを備える。
【0013】
情報処理装置1は、取引対象となる物資の売手と買手の組み合わせ及び当該物資の輸送スケジュールの最適化に関する処理(「最適化処理」とも呼ぶ。)を行う。情報処理装置1は、好適には、取引対象となる物資の売買の仲介を行う商社により使用される。なお、取引対象となる物資は、LNGなどの燃料、鉄鋼、機械、エレクトロニクス、繊維、化学製品、医療関連商品、食品、その他の任意の物であってもよい。なお、取引対象となる物資が経時により損失が生じる物資(例えば経時により蒸発するLNG)の場合、売手から買手への輸送を円滑に行う必要があり、輸送スケジュールの最適化の必要性が特に高くなる。
【0014】
また、情報処理装置1は、通信網を介し、又は、無線若しくは有線による直接通信により、入力装置2と、表示装置3と、記憶装置4とデータ通信を行う。
【0015】
入力装置2は、ユーザの入力を受け付けるインターフェースであり、例えば、タッチパネル、ボタン、音声入力装置などが該当する。入力装置2は、ユーザの入力に基づき生成した入力情報「S1」を情報処理装置1へ供給する。この場合、例えば、情報処理装置1は、入力装置2から供給される入力情報S1に基づき、記憶装置4に記憶する各種情報を生成したり、最適化処理に関してユーザが指定する条件等を特定したりする。
【0016】
表示装置3は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ等であり、情報処理装置1から供給される表示情報「S2」に基づき、所定の表示を行う。
【0017】
記憶装置4は、最適化処理に必要な各種情報を記憶するメモリである。記憶装置4は、情報処理装置1に接続又は内蔵されたハードディスクなどの外部記憶装置であってもよく、フラッシュメモリなどの記憶媒体であってもよい。また、記憶装置4は、情報処理装置1とデータ通信を行うサーバ装置であってもよい。この場合、記憶装置4は、複数のサーバ装置から構成されてもよい。
【0018】
記憶装置4は、売手情報41と、買手情報42と、船舶情報43と、港情報44と、計画情報45とを記憶する。売手情報41は、情報処理装置1の使用者が対象とする取引対象の物資の売手に関する情報である。買手情報42は、情報処理装置1の使用者が対象とする取引対象の物資の買手に関する情報である。船舶情報43は、情報処理装置1の使用者である仲介者(商社等)が取引対象の物資の輸送に使用可能な船舶に関する情報である。港情報44は、取引対象の物資の輸送に用いる港(揚地港又は積地港)に関する情報である。計画情報45は、取引条件を仮決めして最適化処理を行うことで決定された計画を示す情報であり、最適化処理に用いた取引条件及び最適化処理の結果を示す情報などを含む。なお、取引条件は、マッチング(売手と買手の組み合わせ及び輸送スケジュールの決定)に必要な条件を指し、売手情報41、買手情報42、船舶情報43、及び港情報44等により定まる条件である。
【0019】
なお、記憶装置4は、上述した情報の他、最適化処理に必要な種々の情報を記憶してもよい。例えば、記憶装置4は、取引対象の物資の価格の算出に必要な情報などをさらに記憶してもよい。また、売手情報41、買手情報42、船舶情報43、港情報44及び計画情報45は、情報処理装置1以外の装置により予め生成されたものであってもよく、入力装置2の入力情報に基づき情報処理装置1が生成又は/及び更新した情報であってもよい。
【0020】
また、好適には、記憶装置4は、経時により損失が生じる物資に関し、当該損失に関する情報を記憶する。この場合、損失に関する情報は、例えば、取引対象の物資が経時により生じる時間単位での損失額の情報であってもよく、時間単位での物資の減少割合を示す情報であってもよい。
【0021】
なお、
図1に示す最適化システム100の構成は一例であり、当該構成に種々の変更が行われてもよい。例えば、入力装置2及び表示装置3は、一体となって構成されてもよい。この場合、入力装置2及び表示装置3は、情報処理装置1と一体又は別体となるタブレット型端末として構成されてもよい。また、情報処理装置1は、複数の装置から構成されてもよい。この場合、情報処理装置1を構成する複数の装置は、予め割り当てられた処理を実行するために必要な情報の授受を、これらの複数の装置間において行う。
【0022】
(2)
情報処理装置のハードウェア構成
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示す。情報処理装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、メモリ12と、インターフェース13とを含む。プロセッサ11、メモリ12及びインターフェース13は、データバス19を介して接続されている。
【0023】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより、所定の処理を実行する。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサである。
【0024】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。また、メモリ12には、情報処理装置1が実行する最適化処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、メモリ12は、作業メモリとして使用され、記憶装置4から取得した情報等を一時的に記憶する。なお、メモリ12は、記憶装置4として機能してもよい。同様に、記憶装置4は、情報処理装置1のメモリ12として機能してもよい。なお、情報処理装置1が実行するプログラムは、メモリ12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0025】
インターフェース13は、情報処理装置1と他の装置とを電気的に接続するためのインターフェースである。例えば、インターフェース13は、情報処理装置1と入力装置2とを接続するためのインターフェース、情報処理装置1と表示装置3とを接続するためのインターフェース、情報処理装置1と記憶装置4とを接続するためのインターフェースを含む。例えば、情報処理装置1と記憶装置4とを接続するためのインターフェースは、プロセッサ11の制御に基づき記憶装置4とデータの送受信を有線又は無線により行うためのネットワークアダプタなどの通信インターフェースである。他の例では、情報処理装置1と記憶装置4とはケーブル等により接続されてもよい。この場合、インターフェース13は、記憶装置4とデータの授受を行うためのUSB(Universal Serial Bus)、SATA(Serial AT Attachment)などに準拠したインターフェースを含む。
【0026】
なお、情報処理装置1のハードウェア構成は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、情報処理装置1は、入力装置2又は表示装置3の少なくとも一方を含んでもよい。また、情報処理装置1は、スピーカなどの音出力装置と接続又は内蔵してもよい。
【0027】
(3)
データ構造
次に、記憶装置4に記憶される各種情報のデータ構造の例について、
図3~
図7を参照して説明する。
【0028】
図3は、売手情報41のデータ構造の一例である。売手情報41は、取引対象の物資の売手毎に生成される情報であって、売手が提示する売り条件(即ち売手が希望する取引条件)を示す情報である。具体的には、売手情報41は、作成日時情報と、売手識別情報と、受渡場所情報と、価格情報と、受渡期間情報と、積地港情報と、取引量情報とを含む。なお、売手情報41は、売手毎の各種情報を1つのレコードとするテーブル又はリストを示す情報であってもよい。
【0029】
「作成日時情報」は、対象の売手情報41が生成又は変更された日時を示す情報である。なお、同一の売手に対して作成日時情報が示す日時が異なる複数の売手情報41が記憶装置4に記憶されてもよい。「売手識別情報」は、取引対象の物資の売手を識別する情報である。なお、売手識別情報は、売手を識別する固有のID(売手ID)の他、売手の会社名、所在地などの売手の属性に関する情報を含んでもよい。
【0030】
「受渡場所情報」は、対象の売手が希望する取引対象の受渡場所に関する情報である。例えば、受渡場所情報は、受渡場所が積地港又は揚地港のいずれであるかを示す情報と、受渡場所となる港に関する情報とを含む。
【0031】
「価格情報」は、対象の売手が希望する取引対象の物資の価格を示す情報である。「受渡期間情報」は、対象の売手が希望する取引対象の物資の受渡期間を示す情報である。なお、この受渡期間は、一般的に、受渡までの予定が先であるほど長い期間に設定され、受渡の時期に近づくにつれて詳細に定められる。
【0032】
「取引量情報」は、対象の売手が希望する取引対象の物資の取引量を示す情報である。例えば、取引量情報は、対象の売手が希望する取引対象の物資の取引量の下限と上限とをそれぞれ示す情報である。なお、取引対象の物資が燃料である場合には、取引量は熱量となる。
【0033】
図4は、買手情報42のデータ構造の一例である。買手情報42は、取引対象の物資の買手毎に生成される情報であって、買手が提示する買い条件(即ち買手が希望する取引条件)を示す情報である。具体的には、買手情報42は、作成日時情報と、買手識別情報と、受渡場所情報と、価格情報と、受渡期間情報と、揚地港情報と、取引量情報とを含む。なお、買手情報42は、買手毎の各種情報を1つのレコードとするテーブル又はリストを示す情報であってもよい。
【0034】
「作成日時情報」は、対象の買手情報42が生成又は変更された日時を示す情報である。なお、同一の買手に対して作成日時情報が示す日時が異なる複数の買手情報42が存在してもよい。「買手識別情報」は、取引対象の物資の買手を識別する情報である。なお、買手識別情報は、買手を識別する固有のID(買手ID)の他、買手の会社名、所在地などの買手の属性に関する情報を含んでもよい。
【0035】
「受渡場所情報」は、対象の買手が希望する取引対象の受渡場所に関する情報である。例えば、受渡場所情報は、受渡場所が積地港又は揚地港のいずれであるかを示す情報と、受渡場所となる港に関する情報とを含む。
【0036】
「価格情報」は、対象の買手が希望する取引対象の物資の価格を示す情報である。「受渡期間情報」は、対象の買手が希望する取引対象の物資の受渡期間を示す情報である。なお、この受渡期間は、一般的に、受渡までの予定が先であるほど長い期間に設定され、受渡の時期に近づくにつれて詳細に定められる。
【0037】
「取引量情報」は、対象の買手が希望する取引対象の物資の取引量を示す情報である。例えば、取引量情報は、対象の買手が希望する取引対象の物資の取引量の下限と上限とをそれぞれ示す情報である。
【0038】
なお、情報処理装置1は、売手情報41及び買手情報42の各々が示す取引条件を、入力装置2から供給される入力情報S1に基づき変更する。例えば、情報処理装置1は、売手と買手の最適な組み合わせを売手の希望する取引条件及び買手の希望する取引条件と共に表示装置3に表示し、かつ、これらの取引条件の変更を入力装置2への入力操作により受け付ける。そして、情報処理装置1は、入力装置2により取引条件の変更を指示する入力情報S1を受信した場合、入力情報S1に基づき、該当する売手情報41又は買手情報42を変更する。この場合、情報処理装置1は、変更前後の売手情報41及び買手情報42を、上述の「作成日時情報」が異なる売手情報41及び買手情報42として夫々記憶装置4に記憶してもよい。
【0039】
図5は、船舶情報43のデータ構造の一例である。船舶情報43は、情報処理装置1の使用者が使用可能な船舶毎に生成される情報であって、主に、船舶名称情報と、積載量情報と、速度情報と、燃費情報とを含む。なお、船舶情報43は、船舶毎の各種情報を1つのレコードとするテーブル又はリストを示す情報であってもよい。なお、船舶情報43及び後述の港情報44は、それぞれ、輸送情報の一例である。
【0040】
「船舶名称情報」は、対象となる船舶の名称を示す情報である。「積載量情報」は、対象となる船舶が積載可能な物資の量を示す情報である。「速度情報」は、対象となる船舶の速度(例えば最大速度及び平均速度)に関する情報である。「燃費情報」は、対象となる船舶の燃費に関する情報である。好適には、燃費情報は、対象となる船舶の速度毎の燃費を示す情報である。
【0041】
なお、船舶情報43は、情報処理装置1の使用者が短期的に借りることが可能な船舶(傭船)の情報であってもよい。この場合、船舶情報43は、傭船の費用に関する情報(1日当たりの傭船費用、傭船の固定費用等)などの情報をさらに含んでもよい。また、船舶情報43は、対象の船舶のカテゴリの情報、対象の船舶の大きさ等に関する情報などをさらに含んでもよい。
【0042】
図6は、港情報44のデータ構造の一例である。港情報44は、積地港又は揚地港の候補となる港に関する情報であって、移動距離情報と、使用運河情報と、利用料情報と、船舶制限情報とを含む。
【0043】
「移動距離情報」は、港間の移動距離を示す情報である。移動距離情報は、例えば、想定される積地港と揚地港の組み合わせ毎に、積地港から揚地港までの移動距離を示すテーブル情報である。
【0044】
「使用運河情報」は、港間の移動に際して通行する必要がある通行料が発生する運河(例えばパナマ運河やスエズ運河)を示す情報である。使用運河情報は、例えば、想定される積地港と揚地港の組み合わせ毎に、積地港から揚地港までの移動に際して通行する運河を示すテーブル情報である。
【0045】
「利用料情報」は、港毎の利用料を示す情報である。また、利用料情報は、通行料が発生する運河の通行料に関する情報を含んでもよい。
【0046】
「船舶制限情報」は、港毎の使用不可となる船舶を示す情報である。例えば、船舶制限情報は、情報処理装置1の使用者が使用可能な各船舶に対する制約の有無を港毎に示したテーブル情報である。
【0047】
図7は、計画情報45のデータ構造の一例である。計画情報45は、取引全体に関する計画(プラン)毎に生成される情報であり、計画識別情報と、処理条件情報と、組み合わせ情報と、輸送スケジュール情報とを含む。
【0048】
「計画識別情報」は、計画毎に割り当てられた識別情報である。例えば、計画識別情報は、ユーザ入力等により指定された計画の名称(計画名)を示す情報である。「処理条件情報」は、対象となる計画の最適化処理を実行したときの条件を示す情報である。処理条件情報は、例えば、対象となる計画の最適化処理に用いた売手情報41及び買手情報42等を識別する情報である。この場合、例えば、処理条件情報は、対象となる計画の最適化処理に使用した売手情報41の作成日時情報及び売手識別情報と、買手情報42の作成日時情報及び買手識別情報とを含む。他の例では、処理条件情報は、対象となる計画の最適化処理に使用した売り条件及び買い条件を示す情報を含んでもよい。
【0049】
「組み合わせ情報」は、対象となる計画の最適化処理においてマッチングされた売手と買手との組み合わせを示す情報である。「輸送スケジュール情報」は、対象となる計画の最適化処理において決定された輸送スケジュールを示す情報である。なお、計画情報45は、上述した各種情報に加えて、対応する組み合わせ情報が示す売手と買手の組み合わせ及び対応する輸送スケジュール情報が示す輸送スケジュールを採用した場合に生じる仲介者の利益、収益、費用等の情報を含んでもよい。他の例では、計画情報45は、組み合わせた各取引における最適な取引条件(取引量、受渡時期等)の情報を含んでもよい。
【0050】
なお、計画情報45は、最適化処理が実行される前の計画を示す情報であってもよい。この計画情報45は、「組み合わせ情報」及び「輸送スケジュール情報」を含まず、最適化処理の実行後に「組み合わせ情報」及び「輸送スケジュール情報」が追加される。
【0051】
(4)最適化処理の詳細
次に、第1実施形態における最適化処理について説明する。概略的には、情報処理装置1は、取引を成立させる売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールの決定後、取引条件を変更して最適化処理を行う場合、取引条件変更前の結果との一致(類似)の度合いを勘案して売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールを再決定する。これにより、情報処理装置1は、計画変更による影響を最小限にしつつ、変更された取引条件を満たす売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールを好適に決定する。
【0052】
以後では、説明便宜上、取引条件の変更前に決定された売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールに相当する計画を、「当初計画」と呼び、取引条件の変更後に再決定された売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールに相当する計画を「変更反映計画」とも呼ぶ。
【0053】
(4-1)
機能ブロック
図8は、売手と買手の組み合わせ及び船舶による輸送スケジュールの決定に関する最適化処理を実行する情報処理装置1の機能ブロックの一例である。情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、第1決定部15と、第2決定部16と、表示制御部17と、を有する。なお、
図8では、データの授受が行われるブロック同士を実線により結んでいるが、データの授受が行われるブロックの組み合わせは
図8に限定されない。後述する他の機能ブロックの図においても同様である。
【0054】
第1決定部15は、仲介者の利益を最大化する最適化を行うことで、取引を成立させる売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールを決定する。この場合、第1決定部15は、記憶装置4を参照することで、マッチングの対象となる複数の売手に対応する売手情報41を取得する。また、第1決定部15は、記憶装置4を参照することで、マッチングの対象となる複数の買手に対応する買手情報42を取得する。また、第1決定部15は、記憶装置4を参照することで、取引対象の物資の輸送情報である船舶情報43及び港情報44を取得する。そして、第1決定部15は、売手情報41、買手情報42、及び輸送情報に基づく制約条件を設定し、仲介者の利益を最大化する売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールを最適化により求める。第1決定部15が実行する最適化については、「(4-2)第1決定部での最適化」のセクションにおいて詳しく説明する。第1決定部15が決定する売手と買手との組み合わせは、「第1の組み合わせ」の一例である。
【0055】
また、第1決定部15は、最適化処理の実行結果を示す情報を、計画情報45として記憶装置4に記憶する。この場合、第1決定部15は、
図7のデータ構造に示されるように、対象の計画を示す計画識別情報に対し、処理条件情報、組み合わせ情報、輸送スケジュール情報等を関連付けた情報を、計画情報45として記憶する。第1決定部15が計画情報45として記憶装置4に記憶させる情報は、当初計画を表す情報として第2決定部16により参照される。
【0056】
第2決定部16は、取引条件を変更して最適化処理の再実行を指示する情報を表示制御部17から受信した場合、当初計画の売手と買手の組み合わせ及び輸送スケジュールを示す計画情報45を参照し、売手と買手の組み合わせ及び輸送スケジュールを再決定する。この場合、第2決定部16は、当初計画の売手と買手の組み合わせ及び輸送スケジュールに関する一致の度合い(「一致度g」とも呼ぶ。)及び仲介者の利益に基づく目的関数(評価関数)を最大化するような売手と買手の組み合わせ及び輸送スケジュールを決定する。第2決定部16が実行する最適化については、「(4-3)第2決定部での最適化」のセクションにおいて詳しく説明する。第2決定部16は、最適化処理の実行結果を示す情報を、計画情報45として記憶装置4に記憶する。なお、取引条件の変更部分は、売手情報41が示す売り条件又は買手情報42が示す買い条件であってもよく、輸送遅延等に起因した特定の船舶の使用可能期間の変更等であってもよい。第2決定部16が決定する売手と買手の組み合わせは、「第2の組み合わせ」の一例である。
【0057】
表示制御部17は、第1決定部15又は第2決定部16が決定した売手と買手の組み合わせ等を示した画面(「マッチング画面」とも呼ぶ。)を表示するための表示情報S2を生成する。そして、表示制御部17は、生成した表示情報S2を表示装置3に供給することで、表示装置3にマッチング画面を表示させる。また、表示制御部17は、取引条件に関する変更を指示する入力をマッチング画面において受け付け、変更後の取引条件の情報を、記憶装置4又は第2決定部16に供給する。さらに、表示制御部17は、第2決定部16が実行する最適化処理に必要なパラメータを指定する入力をマッチング画面において受け付け、受け付けたパラメータを示す入力情報S1を、第2決定部16に供給する。マッチング画面の表示例については後述する。
【0058】
なお、
図8において説明した第1決定部15、第2決定部16及び表示制御部17の各構成要素は、例えば、プロセッサ11がプログラムを実行することによって実現できる。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記憶媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。なお、これらの各構成要素の少なくとも一部は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、これらの各構成要素の少なくとも一部は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイクロコントローラ等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。また、各構成要素の少なくとも一部は、ASSP(Application Specific Standard Produce)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)により構成されてもよい。このように、各構成要素は、種々のハードウェアにより実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。さらに、これらの各構成要素は,例えば,クラウドコンピューティング技術などを用いて、複数のコンピュータの協働によって実現されてもよい。
【0059】
(4-2)第1決定部での最適化
第1決定部15は、売手情報41、買手情報42、及び輸送情報に基づき、取引対象の売買に関する条件を制約条件とし、情報処理装置1の使用者の利益を最大化する組み合わせ最適化を行う。言い換えると、第1決定部15は、取引対象の売買に関する制約条件を満たしつつ、情報処理装置1の使用者の利益が最大となるように、取引が成立する売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールの最適化を行う。
【0060】
この場合、第1決定部15は、例えば、情報処理装置1の使用者である仲介者の利益が最大となる売手と買手との組み合わせ及び輸送スケジュールを決定することを、組み合わせ最適化問題とみなして整数計画(混合整数計画)問題に定式化する。言い換えると、第1決定部15は、売手、買手、使用する船舶、及び当該船舶の航行期間の組み合わせを、1つの組み合わせ最適化問題とみなして整数計画問題に定式化する。そして、第1決定部15は、定式化した整数計画問題を、一般的なアプリケーションプログラム(例えば、IBM ILOG CPLEX、Gurobi Optimizer、SCIP)と同等の処理を行うことで解を求める。具体的には、第1決定部15は、上述のアプリケーションプログラムに、取引や輸送の制約を線形整数制約の形で入力し、利益を定める線形の目的関数を入力することで、利益を最大化する取引や輸送計画を求める。この場合、第1決定部15は、使用者の利益が最大となるような受渡時期及び取引量などについても決定する。なお、輸送が必要な場合の船舶の割り当ても、整数制約として記述できる。
【0061】
第1決定部15は、上述の整数計画問題において、取引対象の物資の価格と輸送日(受渡しを行う日)等に関する情報に基づき、仲介者の総利得を表す目的関数及び取引と輸送に関する線形整数制約を設定する。
【0062】
ここで、線形整数制約として定められる、取引及び輸送に関する条件について例示する。
【0063】
例えば、第1決定部15は、売手情報41の受渡期間情報が示す受渡期間と買手情報42が示す受渡期間とが整合することを、取引の制約条件とする。この場合、第1決定部15は、取引対象となる物資の輸送が必要な場合には、船舶情報43及び港情報44に基づき、売手が指定する積地港から買手が指定する揚地港までのおよその航行日数を算出する。そして、第1決定部15は、算出した航行日数を勘案し、売手が指定する受渡期間での売手から仲介者(即ち情報処理装置1の使用者)への受渡しと、買手が指定する受渡期間での仲介者から買手への受渡しの可否を判定する。
【0064】
なお、航行期間の長さを示す航行日数は、積地港への船舶の移動に要する日数と、取引対象の物資の輸送に要する日数を考慮した日数である。ここで、第1決定部15は、例えば、売手情報41の積地港情報及び買手情報42の揚地港情報と、港情報44の移動距離情報と、船舶情報43の速度情報に基づき、各船舶が取引において要する上述の各日数を算出する。
【0065】
例えば、移動距離に応じて、マッチングが成立するために必要な受け渡し期間の適切な差分を、以下のように線形整数制約の形に記述することができる。
【0066】
いま、整数S、Bに対して、S人の売手とB人の買手が存在するとして、売手のインデックスを「s=1,2,・・・,S」、買手のインデックスを「b=1,2,・・・,B」とする。「xs,b」を0か1のいずれかの値となる変数とし、「xs,b=1」は売手sから調達したものを買手bに売り渡すことを意味するとする。このとき、売手と買手が1対1対応することは、以下のように表すことができる。
【0067】
【0068】
【数2】
ここで、売手sからの買取時刻を、変数「t
s」で表し、同様に買手bへの受け渡し時刻を、変数「t
b」で表す。また、売手sから買手bへ輸送する場合の所要時間を、「d
s,b」で表す。この時、十分に大きな正の定数「M」を用いることで、輸送時間が担保されていることの制約は、以下のように表すことができる。
【0069】
【0070】
この数式は、以下のように説明される。もし売手sから買手bに輸送されない場合、「xs,b=0」である。このとき、Mが十分に大きいことから、以下の式が常に成立する。
tb-ts≧-M
よって上記の制約は無効化される。一方、売手sから買手bに輸送される場合、「xs,b=1」である。このとき、以下の制約が要求され、これは十分な輸送時間が担保されることを意味する。
tb-ts≧ds,b
【0071】
また、売手からの買取(受取)時刻tsに関する制約は、以下のように表すことができる。
Ts,1≦ts≦Ts,2
これは、受け取り時刻が時刻「Ts,1」と時刻「Ts,2」の間でなければならないということを意味する。
【0072】
また、第1決定部15は、売手情報41の受渡期間情報が示す受渡期間での売手からの物資の受渡し及び買手情報42の受渡期間情報が示す受渡期間での買手への物資の受渡しを行えるように、各取引に使用する船舶の割り当て及び航行期間の決定を行う。船舶の割り当てについて、以下のように線形整数制約の形に記述することができる。
【0073】
いま、「v=1,2,・・・,V」を、船舶のインデックスとし、変数「ys,v」を、売手「s=1,2,・・・,S」に対して0または1のいずれかの値となる変数とする。また、「ys,v=1」は、売手sとの取引を船舶vで行うことを表すとする。この時、各取引にいずれかの船舶が割り当てられることの制約は、以下のように表すことができる。
【0074】
【0075】
また、売手s毎の各取引に対して、「C(s)⊆{1,2,・・・,S}」は、売手sの取引で用いる船舶と同一の船舶で輸送を行うことができない売手を表すとする。これは、売手sの取引に船舶vを割り当てた場合に、C(s)に含まれる他の売手「s∈C(s)」の取引時刻に、船舶vを間に合わせることができないことを意味する。このとき、船舶の割り当てが複数の売手の取引間で衝突しないことの制約は、十分大きな正の定数Mを用いて以下のように表すことができる。
【0076】
【0077】
この制約は以下のように説明される。もし「ys,v=0」となり、売手sの取引に船舶vを割り当てない場合には、Mが十分大きいことから、この制約は無効となる。一方、もし「ys,v=1」となり、売手sの取引に船舶vを割り当てる場合、C(s)に含まれる売手s’の取引において「ys',v=0」となる必要があり、これは他の売手「s'∈C(s)」の取引に同じ船舶vを割り当てないことを意味する。
【0078】
なお、実際の実装方法は以上の例に制限されない。例えば、上記の例においては予め移動時間が固定で既知の場合を取り扱ったが、船舶の速度を調整できる場合の制約も同様に書き表すことができる。また、上記の例においては船舶割り当ての衝突が売手への割当のみによってあらわされる例を記述したが、同様に売手と買手両方に影響を受ける場合の制約を書くこともできる。
【0079】
また、第1決定部15は、例えば、売手情報41が示す取引量情報が示す取引量の範囲と買手情報42の取引量情報が示す取引量の範囲とが重複することを、取引の制約条件とする。
【0080】
また、第1決定部15は、例えば、売手が希望する価格(即ち希望売値)と買手が希望する価格(即ち希望買値)とが所定の関係式を満たすことを、取引の制約条件とする。この場合、例えば、上述の関係式は、希望売値が希望買値の所定割合以内であることを規定する式であってもよい。この場合、第1決定部15は、例えば、希望売値と希望買値の中間値を、取引価格として決定してもよく、予め定めた所定の式に基づき、希望売値と希望買値から取引価格を決定してもよい。
【0081】
なお、第1決定部15は、上述した条件に加えて又は代えて、取引対象の取引が成立するために必要な種々の条件について、線形整数制約として設定してもよい。
【0082】
次に、上述の整数計画問題において目的関数として設定する、仲介者である情報処理装置1の使用者の利益について補足説明する。例えば、取引総額に対して所定割合の金額が仲介者の利益として生じる。また、仲介者による輸送を伴う取引の場合には、定額又は輸送手数料に応じた額が仲介者の利益として生じる。従って、売手と買手の組み合わせが決定した場合、取引価格に基づき、使用者の利益の予測値を定めることが可能である。従って、第1決定部15は、このようにして算出される仲介者の利益の予測値が最大となるように、上述の組み合わせ最適化問題を解く。なお、仲介者の利益は、典型的には、総売却価格から総買取価格と輸送コストを引いたものとして定式化できる。また、第1決定部15は、遠い未来の利益の予測値(例えば所定期間以上先の利益の予測値)に関しては、1未満の減衰率をかけて足し合わせる、などの計算を行うことで、使用者の利益の予測値を定めてもよい。
【0083】
例えば、上記の例において、売手sから買手bに配送した場合の利益「ps,b」と、売手sからの取引を船舶vで行ったときのコスト「cs,v」があらかじめ計算できる場合に、総利益(=取引による利益-コスト)は以下の式(1)のように表すことができる。
【0084】
【数6】
式(1)を目的関数として、上述した各制約条件のもとに線形制約に基づく整数計画問題を解くことによって、利益を最大化する輸送スケジュールを算出できる。
【0085】
以上は例で、実装はこれに制限されない。例えば、輸送コストは、港の利用費用や燃料費など、さまざまなものを含んでよく、また、買手にも依存する形に書き換えることもできる。
【0086】
また、第1決定部15は、売手情報41の受渡場所情報、買手情報42の受渡場所情報、港情報44の移動距離情報、及び船舶情報43に含まれる速度毎の燃費情報をさらに勘案することで、情報処理装置1の使用者の利益が最大となる輸送スケジュールを決定してもよい。これにより、第1決定部15は、例えば、船舶のスケジュールに比較的余裕がある(即ち航行日数を長くとることができる)取引においては、速度よりも燃費を優先して航行するように長い航行期間を決定する。これにより、情報処理装置1の使用者の利益を高めることができる。一方、第1決定部15は、船舶のスケジュールに比較的余裕がない取引(即ち対象の船舶を使用する取引が連続する場合等)においては、燃費よりも航行日数の短縮を優先して航行期間を短くする。
【0087】
また、経時により損失が生じる物資を取引対象とする場合、第1決定部15は、当該物資が経時により生じる時間単位での損失額に関する情報を記憶装置4から取得し、当該情報をさらに勘案することで、情報処理装置1の使用者の利益が最大となるように、輸送スケジュールを決定する。これにより、第1決定部15は、蒸発により失われるLNGなどの物資を取引対象とする場合であっても、情報処理装置1の使用者の利益が最大となるように輸送スケジュールを決定することができる。
【0088】
ここで、買手の数と売手の数とが一致しない場合について補足説明する。この場合、例えば、第1決定部15は、仮の売手情報(「仮売手情報」とも呼ぶ。)又は仮の買手情報(「仮買手情報」とも呼ぶ。)を生成するとよい。具体的には、売手の数が買手の数より少ない場合、第1決定部15は、売手が希望する典型的な(代表的な)取引条件(価格、受渡場所、受渡期間、取引量等)を示す仮売手情報を、不足する売手数分だけ生成する。同様に、買手の数が売手の数より少ない場合、第1決定部15は、買手が希望する典型的な(代表的な)取引条件(価格、受渡場所、受渡期間、取引量等)を示す仮買手情報を、不足する買手数だけ生成する。なお、仮売手情報及び仮買手情報が示す受渡期間については、買手又は売手とのマッチングが容易となるように十分に長い期間となるように設定されてもよい。仮売手情報及び仮買手情報は、予め記憶装置4に記憶されてもよい。このとき、仮売手情報及び仮買手情報を用いたマッチングに基づき、情報処理装置1の使用者は、例えば、取引相手を別途調達する指針にするなどの使い方をすることができる。
【0089】
(4-3)第2決定部での最適化
第2決定部16は、当初計画との近さを示す一致度gと仲介者の利益とに基づく(これらと正の相関を有する)目的関数を設定する。そして、第2決定部16は、変更後の取引条件に基づく制約条件を満たし、かつ、目的関数を最大化するような売手と買手の組み合わせ及び輸送スケジュールを決定する。
【0090】
ここで、決定すべきマッチング結果を表す変数ベクトルを「α」、許容可能な(即ち、取引条件を満たす)マッチング全体の集合を「R」、仲介者の総利益を表す関数(例えば式(1)に相当する関数)を「f」とすると、第1決定部15が解くべき最適化問題は、以下の式(2)のように定式化される。
【0091】
【0092】
一方、取引条件を変更してαを再び決定する場合において、当初計画のマッチング結果を表すベクトル(固定ベクトル)を「β」、αとβの一致度を表す関数を「g(α、β)」、一致度gの重みパラメータを「λ」とすると、第2決定部16が解くべき最適化問題は、以下の式(3)のように定式化される。
【0093】
【0094】
式(3)によれば、パラメータλを大きくするほど、利益f(α)よりも一致度g(α、β)を大きくすることに重点が置かれるようになる。
【0095】
ここで、一致度gの具体例について説明する。以後では、αを「α=(α1,…,αn)」、βを「β=(β1,…,βn)」と表記し、「i」(i=1~n)は、売手、買手、及び使用する船舶の組み合わせ(即ち、式(1)の表記に従うと、i=(s,b,v))を示すものとする。すなわち、S人の売手、B人の買手、V隻の船舶があるときにn=S×B×Vとなる。また、「αi」及び「βi」は、インデックスiが示す売手、買手、及び船舶の組み合わせが採用されたときに「1」となり、当該組み合わせが採用されないときに「0」となる変数を示すものとする。
【0096】
この場合、第2決定部16は、一致度「g(α、β)」を、例えば、以下の式(4)に示されるように、(αi=βi)となるi(i=1~n)の個数として求める。
【0097】
【0098】
即ち、一致度「g(α、β)」は、この場合、当初計画と変更反映計画とで一致する売手、買手、及び使用する船舶の組の個数と定義される。なお、この一致度gは、上記の個数そのものである必要はなく、上記の組の個数と正の相関を有するような値であればよい。この場合、第2決定部16は、一致度gを、所定の式又はルックアップテーブルを参照して上記の組の個数から決定してもよい。
【0099】
また、好適には、第2決定部16は、一致度「g(α、β)」の算出において、インデックスi(即ち、売手、買手、及び船舶の組み合わせ)毎の重要度に基づく重み付けを行ってもよい。この場合、重み付けがなされた一致度gは、インデックスiに対する重みを「wi」とすると、以下の式(5)に示される。
【0100】
【0101】
重みwiの設定方法について説明する。第2決定部16は、好適には、取引対象の物資の受渡時期(即ち物資を運ぶ時期)、又は、重みwiに対応する組において得られる利益の少なくとも一方に基づき、重みwiを決定するとよい。
【0102】
ここで、取引対象の物資の受渡時期に基づく重みwiの決定方法について説明する。第2決定部16は、例えば、取引対象の物資の受渡時期(即ち物資を運ぶ時期)が近い組み合わせに対応するインデックスiほど、重みwiを大きくする。この重み付けは、受渡時期が遠い組ほど契約内容変更の交渉がしやすく、受渡時期が近い組の変更ほど影響が大きい(契約内容変更による支障が大きい)という一般的な事情に即したものとなっている。例えば、第2決定部16は、インデックスiの組の受渡時期が最適化処理を行う時点(現時点)から「X」ケ月(Xは正の整数)以内(かつ「X-1」ケ月以上)の場合、
wi=1/X
と定める。この場合、受渡時期が最適化処理を行う時点(現時点)から1ケ月以内の場合、「wi=1」、1ケ月以上2ケ月以内の場合、「wi=1/2」となる。なお、上式に限らず、第2決定部16は、予め記憶装置4又はメモリ12に記憶した任意の式又はルックアップテーブルを参照し、対象の組の受渡時期と現時点との時期的な近さとから重みwiを算出してもよい。
【0103】
なお、第1決定部15による最適化処理に基づく計画が進行中のときに一部の取引条件の変更が発生した場合、第2決定部16は、取引対象の受渡期間が過去又は直近の所定日数以内であって変更が実質的に不可能な売手、買手、船舶の組については、マッチングの対象から除外してもよい。この場合、例えば、第2決定部16は、変更が可能な受渡期間に設定された売手、買手、船舶の組について、一致度gに基づく最適化処理により新たな組み合わせを決定する。他の例では、第2決定部16は、変更が実質的に不可能な受渡期間に設定された売手、買手、船舶の組に対応するインデックスiの重みwiを、無限大又はそれに準じた値としてもよい。
【0104】
次に、組毎の仲介者の利益に基づく重みwiの決定方法について説明する。この場合、第2決定部16は、式(1)において用いた、売手sから買手bに配送した場合の差額利益「ps,b」に基づき、重みwiを決定する。例えば、第2決定部16は、売手sと買手bの組に対する重みを「ws,b」とすると、以下の式のように重みwを定める。
ws,b=ps,b
【0105】
このように、第2決定部16は、仲介者が得られる利益が大きい売手と買手の組ほど、対応する重みwを大きくすることで、仲介者の利益を好適に考慮した一致度gを設定することができる。
【0106】
また、第2決定部16は、受渡時期と利益との両方を考慮した重みwを設定してもよい。この場合、第2決定部16は、例えば、受渡時期を考慮して決定される重みと、仲介者の利益を考慮して決定される重みとを掛け合わせた値を、重みwとして設定する。なお、第2決定部16は、受渡時期を考慮して決定される重みと、利益を考慮して決定される重みとを掛け合わせる代わりに、所定の式又はルックアップテーブルを参照し、これらの重みから、重みwを設定してもよい。
【0107】
なお、第2決定部16は、船舶vを考慮せずに売手sと買手bの組み合わせのみを考慮して一致度gを算出してもよい。この場合、例えば、第2決定部16は、式(5)に代えて、以下の式(6)に基づき、重み付けの一致度gを算出する。ただし、「αs,b=1」は売手sから調達したものを船舶の種類に関係なく買手bに売り渡すことを意味するとする。
【0108】
【0109】
この場合においても、第2決定部16は、売手と買手の組み合わせを当初計画からなるべく一致させるように変更反映計画を策定することができる。
【0110】
次に、上述した最適化処理による技術的効果について、
図9~
図12を参照して具体的に説明する。
【0111】
図9は、第1決定部15による最適化処理の簡略的な具体例を示す。
図9では、説明の簡略化のため、4つの売手(売1~売4)と4つの買手(買1~買4)が存在するものとする。また、
図9では、取引条件に基づき組み合わせ可能な売手と買手を線で結び、かつ、組み合わせ毎に生じる仲介者の利益の度合い(ここでは、「1」又は「2」)を明示している。なお、ここでは、説明の簡略化のため、船舶の組み合わせについては考慮していない。
【0112】
第1決定部15は、この場合、仲介者の利益を最大化するように(式(2)参照)、売手と買手の組み合わせを決定する。その結果、第1決定部15は、「売1」と「買1」、「売2」と「買2」、「売3」と「買3」、「売4」と「買4」とを組み合わせた計画を生成する。
【0113】
図10は、
図9に示す具体例における第2決定部16による最適化処理の簡略的な具体例を示す。この場合、
図9に示す第1決定部15による最適化処理後において、取引条件の変更が生じ、「売1」と「買1」を組み合わせることができなくなっている。この場合、第2決定部16は、変更後の取引条件と、当初計画のマッチング結果を示すβとに基づき、式(3)に従い、仲介者の利益と一致度gとの和に相当する目的関数を最大化する売手と買手との組み合わせを決定する。その結果、第2決定部16は、「売1」と「買2」、「売2」と「買1」、「売3」と「買3」、「売4」と「買4」とを組み合わせた変更反映計画を生成する。この変更反映計画は、「売3」と「買3」、「売4」と「買4」の組み合わせが当初計画と一致しており、仲介者の利益を考慮しつつ、当初計画からの変更がなるべく小さくなっている。
【0114】
図11は、取引条件の変更が生じた場合に当初計画を考慮せずに最適化処理を実行した場合の売手と買手の組み合わせを示す。
図11では、
図10と同じ取引条件の変更があった場合に、当初計画に基づく一致度gを考慮することなく、仲介者の利益の最大化(式(2)参照)を行うような売手と買手の組み合わせを決定している。その結果、「売1」と「買2」、「売2」と「買1」、「売3」と「買4」、「売4」と「買3」が組み合わされた変更反映計画が生成されている。この変更反映計画は、
図10に示す変更反映計画と仲介者の利益は同一となるものの、当初計画と全ての組み合わせが異なっており、当初計画から大幅な変更が生じている。この計画を実行するには、契約先への交渉が莫大となるため、計画変更による影響が大きく、仲介者にとって好ましいマッチング結果とはならない。
【0115】
以上を勘案し、第2決定部16は、一致度gを勘案した目的関数の最大化を行うことで、当初計画からの変更がなるべく小さくなるような売手と買手の組み合わせを決定する。これにより、情報処理装置1は、遅延状況や不成立情報を反映(最適化問題の制約の変更に相当)しつつ、当初計画と似たような変更反映計画を策定することができる。そして、情報処理装置1は、仲介者にとって好ましいマッチング結果を好適に提示することができる。
【0116】
(4-4)表示例
次に、情報処理装置1の表示制御部17から供給される表示情報S2に基づき表示装置3が表示するマッチング画面について説明する。以後では、ユーザが選択した計画の詳細を示すマッチング画面であるマッチング詳細画面と、最適化処理の実行条件の指定を受け付けるマッチング画面であるマッチング指示画面と、について順に説明する。
【0117】
図12は、情報処理装置1の表示制御部17の制御に基づき表示装置3が表示するマッチング詳細画面の表示例である。表示制御部17は、
図12に示すマッチング詳細画面上に、マッチングテーブル60と、マッチング再実行ボタン61とを表示させている。ここでは、表示制御部17は、第1プランを当初計画とし、第1プランから取引条件を変更した第4プランの詳細を、表示装置3に表示させている。なお、ここでは、一例として、取引対象はLNGであるものとする。
【0118】
マッチングテーブル60は、主に、「売手の情報」、「買手の情報」、「売買マッチング情報」の各大項目を有する。また、「売手の情報」は、「売手ID」、「取引条件」、「価格」、「受渡開始」、「受渡終了」、「売却熱量下限」、「売却熱量上限」の各小項目を有する。また、「買手の情報」は、「買手ID」、「取引条件」、「価格」、「受渡開始」、「受渡終了」、「購入熱量下限」、「購入熱量上限」の各小項目を有する。また、「売買マッチング情報」は、「損益」、「使用船」、「航行日数」の各小項目を有する。
【0119】
ここで、表示制御部17は、マッチングテーブル60の各レコードを、第2決定部16が決定した売手と買手の組み合わせ毎に、対応する売手情報41及び買手情報42に基づき生成している。例えば、表示制御部17は、対応する売手情報41の売手識別情報が示す売手IDを「売手ID」の項目に表示する。また、表示制御部17は、売手情報41の受渡場所情報が示す受渡場所の情報(ここでは積地港又は揚地港のいずれであるかを示す情報)を「取引条件」の項目に表示し、売手情報41の価格情報が示す価格を「価格」の項目に表示する。また、表示制御部17は、売手情報41の受渡期間情報が示す受渡期間の始日と末日を、それぞれ「受渡開始」の項目及び「受渡終了」の項目に表示し、売手情報41の取引量情報が示す取引量の下限と上限とを、それぞれ「売却熱量下限」の項目及び「売却熱量上限」の項目に表示する。また、表示制御部17は、対応する買手情報42の買手識別情報が示す買手IDを、「買手ID」の項目に表示する。また、表示制御部17は、買手情報42の受渡場所情報が示す受渡場所の情報(ここでは積地港又は揚地港のいずれであるかを示す情報)を、「取引条件」の項目に表示し、買手情報42の価格情報が示す価格を、「価格」の項目に表示する。また、表示制御部17は、買手情報42の受渡期間情報が示す受渡期間の始日と末日を、それぞれ「受渡開始」の項目及び「受渡終了」の項目に表示し、買手情報42の取引量情報が示す取引量の下限と上限とを、それぞれ「購入熱量下限」の項目及び「購入熱量上限」の項目に表示する。
【0120】
また、表示制御部17は、マッチングテーブル60の各レコードに対し、「売買マッチング情報」として、組み合わせた売手及び買手の情報に加えて、対象の取引による損益及び割り当てた船舶の情報等を表示している。具体的には、表示制御部17は、第2決定部16が対象の取引(即ち売手と買手の組み合わせ)に対して算出した損益を、「損益」の項目に表示する。また、表示制御部17は、船舶情報43の船舶名称情報に基づき、第2決定部16が対象の取引に対して割り当てた船舶の識別情報を、「使用船」の項目に表示する。また、表示制御部17は、第2決定部16が対象の取引に対して決定した航行日数を、「航行日数」の項目に表示する。また、表示制御部17は、「売買マッチング情報」として、情報処理装置1の使用者の利益が最大となるときの取引量(熱量)を示す項目、当該使用者の利益が最大となるときの売手側の受渡時期及び買手側の受渡時期をそれぞれ示す項目等をさらに含んでもよい。なお、これらの情報は、第2決定部16による最適化処理において生成され、表示制御部17に供給される。
【0121】
さらに、表示制御部17は、売手、買手、使用する船舶の組み合わせが当初計画である第1プランと異なるレコードを、太枠64、65により強調表示している。これにより、表示制御部17は、当初計画である第1プランとの変更部分を、好適に閲覧者に把握させることができる。また、表示制御部17は、当初計画である第1プランからの取引条件の変更部分を、太字にして強調表示している。ここでは、売手ID「S3」の「受渡終了」、「売却熱量下限」、及び「売却熱量上限」の数値が第1プランからの変更部分に該当する。
【0122】
また、好適には、マッチング詳細画面では、各種の取引条件が表示されたセルが選択可能となっており、表示制御部17は、選択されたセルにおいて変更後の取引条件に関する情報の入力を受け付ける。そして、表示制御部17は、マッチングテーブル60内のいずれかのセルの内容が変更された後、マッチング再実行ボタン61が選択されたことを検知した場合、変更後のセルの内容を示す情報を、第2決定部16に供給する。そして、第2決定部16は、表示制御部17から受信した情報に基づき、取引条件を変更して最適化処理を実行する。
【0123】
図13は、情報処理装置1の表示制御部17の制御に基づき表示装置3が表示するマッチング指示画面の表示例である。表示制御部17は、
図13に示すマッチング指示画面上に、計画一覧テーブル66と、第1入力欄67と、第2入力欄68と、マッチング計算指示ボタン69とを表示させている。
【0124】
計画一覧テーブル66は、計画情報45として記憶されている計画及び当該計画から取引条件を変更した計画の概要を示すテーブルである。計画一覧テーブル66は、「計画名」、「当初計画」、「利益」、「収益」、「費用」の項目を有する。ここで、「第3プラン」は、第2プランを当初計画とする変更反映計画に相当する。一方、「第4プラン」は、第1プランを当初計画として第1プランから取引条件の変更がなされており、最適化処理が未実行のために「利益」、「収益」、「費用」の項目が空欄となっている。
【0125】
ここで、表示制御部17は、計画一覧テーブル66において「第4プラン」のレコードが選択されていることから、「第4プラン」をマッチングの対象として認識する。そして、「第4プラン」は、当初計画として「第1プラン」が指定されていることから、表示制御部17は、第2決定部16による最適化処理が必要と判断し、第2決定部16による最適化処理に必要なパラメータの指定を、第1入力欄67及び第2入力欄68において受け付ける。
【0126】
第1入力欄67は、一致度gの重みパラメータλに関する指定を受け付ける入力欄であり、ここでは一例として、ラジオボタン形式の選択欄となっている。第1入力欄67は、「当初計画の一致を重視」、「利益を重視」、「λの値を指定」の3つの選択肢を有している。ここで、「当初計画の一致を重視」が選択された場合、第2決定部16は、目的関数において、仲介者の総利益を表す関数fよりも一致度gの影響が大きくなるようなλを設定する。この場合のλの値は、例えば、予め記憶装置4又はメモリ12等に記憶されている。また、「利益を重視」が選択された場合、第2決定部16は、目的関数において、仲介者の総利益を表す関数fよりも一致度gの影響が小さくなるようなλを設定する。この場合のλの値は、「当初計画の一致を重視」の場合のλよりも小さい値であり、例えば、予め記憶装置4又はメモリ12等に記憶されている。また、第2決定部16は、「λの値を指定」が選択された場合、第1入力欄67内に別途設けられた入力欄に入力された数値を、λとして設定する。
【0127】
第2入力欄68は、重み付けがされる一致度gの重みに関する指定を受け付ける入力欄であり、ここでは一例として、ラジオボタン形式の選択欄となっている。第2入力欄68は、「当初計画の一致を重視」、「利益を重視」、「λの値を指定」の3つの選択肢を有している。ここで、「受渡時期の近さで重み付け」が選択された場合、第2決定部16は、「(4-3)第2決定部での最適化」のセクションで説明した「取引対象の物資の受渡時期に基づく重みwiの決定方法」に従い、重みwを設定する。一方、「利益を重視」が選択された場合、第2決定部16は、「組毎の仲介者の利益に基づく重みwiの決定方法」に従い、重みwを設定する。また、「受渡時期・利益で重み付け」が選択された場合、第2決定部16は、受渡時期に基づく重みと利益に基づく重みとから導出した重みを、重みwとして設定する。また、「重み付けなし」が選択された場合、第2決定部16は、重みwを用いることなく(即ち、式(4)に基づき)、一致度gを決定する。
【0128】
そして、マッチング計算指示ボタン69が選択されたことを検知した場合、表示制御部17は、マッチング指示画面での入力内容を第2決定部16に供給し、第2決定部16は、当該入力内容に基づき、指定されたプラン(ここでは第4プラン)に対する最適化処理を実行する。その後、表示制御部17は、第2決定部16による最適化処理の結果を受信し、第4プランに対応する「利益」、「収益」及び「費用」の各項目に、最適化処理の結果に基づく数値を表示する。
【0129】
このように、
図13に示されるマッチング指示画面によれば、表示制御部17は、第2決定部16による最適化処理に必要な情報のユーザ入力を好適に受け付けることができる。
【0130】
(4-5)
処理フロー
図14は、第1実施形態において情報処理装置1が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。ここでは、
図14は、ある取引条件において情報処理装置1が最適化処理を行った後、当該最適化処理において策定した計画を当初計画として変更反映計画を生成する処理の流れを示している。
【0131】
まず、情報処理装置1の第1決定部15は、インターフェース13を介し、記憶装置4から、売手情報41と、買手情報42と、船舶情報43及び港情報44などの輸送情報とを取得する(ステップS11)。これにより、第1決定部15は、最適化処理において前提となる取引条件を認識する。
【0132】
そして、第1決定部15は、ステップS11で取得した種々の情報に基づき、仲介者の利益を最大化する最適化処理を実行する(ステップS12)。この場合、第1決定部15は、ステップS11で取得した種々の情報に基づき制約条件を設定し、仲介者の利益を最大化(式(2)参照)するような売手と買手の組み合わせと輸送スケジュールを決定する。
【0133】
次に、情報処理装置1は、取引条件を変更した再最適化の指示があったか否か判定する(ステップS13)。この場合、例えば、表示制御部17は、
図12又は
図13に示すマッチング画面上において、当初計画から取引条件を変更した再最適化を指示するユーザ入力を検知したか否か判定する。そして、取引条件を変更した再最適化の指示がない場合(ステップS13;No)、情報処理装置1は、引き続きステップS13での判定処理を継続する。
【0134】
そして、取引条件を変更した再最適化の指示があった場合(ステップS13;Yes)、表示制御部17は、第2決定部16による最適化処理に必要なパラメータに関する入力の受け付けを行う(ステップS14)。この場合、例えば、表示制御部17は、パラメータλ又は重みwの少なくともいずれかに関する入力をマッチング画面において受け付ける。
【0135】
そして、第2決定部16は、当初計画との一致度gを考慮した最適化処理を再び実行する(ステップS15)。この場合、第2決定部16は、ステップS14で指定されたパラメータを用い、一致度g及び仲介者の利益と正の相関を有する目的関数を最大化(例えば式(3)を参照)するような売手と買手の組み合わせと輸送スケジュールを決定する。これにより、情報処理装置1は、遅延状況や不成立情報を反映しつつ、当初計画と似たような変更反映計画を策定することができる。
【0136】
(5)変形例
次に、第1実施形態に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて第1実施形態に適用されてもよい。
【0137】
(変形例1)
情報処理装置1は、輸送手段として船舶を使用することを前提として輸送スケジュールを決定した。これに代えて、情報処理装置1は、船舶以外の輸送手段(飛行機など)又は船舶とこれらの組み合わせにより取引対象の輸送スケジュールを決定してもよい。この場合、記憶装置4は、船舶情報43及び港情報44に加えて、又はこれに代えて、使用可能な他の輸送手段に関する情報、他の輸送手段が用いる港(空港)等に関する情報を記憶する。
【0138】
(変形例2)
情報処理装置1は、船舶情報43及び港情報44に基づく輸送スケジュールの決定処理を実行しなくともよい。この場合、第1決定部15及び第2決定部16は、船舶情報43及び港情報44を参照することなく、売手情報41と買手情報42とに基づき、売手と買手との組み合わせを最適化処理において夫々決定する。
【0139】
<第2実施形態>
図15は、第2実施形態における最適化システム100Aの構成を示す。
図15に示すように、最適化システム100Aは、主に、情報処理装置1Aと、記憶装置4と、端末装置5とを有する。情報処理装置1Aと端末装置5とは、ネットワーク6を介してデータ通信を行う。
【0140】
情報処理装置1Aは、第1実施形態に係る情報処理装置1と同一構成を有し、情報処理装置1と同じ最適化処理を実行する。この場合、情報処理装置1Aは、第1実施形態において情報処理装置1が入力装置2から受信する入力情報S1を、ネットワーク6を介して端末装置5から受信する。また、情報処理装置1Aは、第1実施形態において情報処理装置1が表示装置3に送信した表示情報S2を、ネットワーク6を介して端末装置5へ送信する。このように、第2実施形態に係る情報処理装置1Aは、サーバ装置として機能する。
【0141】
端末装置5は、入力機能、表示機能、及び通信機能を有する端末であり、第1実施形態における入力装置2及び表示装置3として機能する。端末装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。端末装置5は、受け付けたユーザ入力に基づき生成した入力情報S1を、ネットワーク6を介して情報処理装置1Aへ送信する。また、端末装置5は、情報処理装置1Aから表示情報S2を受信した場合に、当該表示情報S2に基づきマッチング画面を表示する。
【0142】
第2実施形態に係る情報処理装置1Aは、第1実施形態において表示装置3に表示させた内容を、端末装置5の使用者に対して好適に提示することができる。従って、端末装置5の使用者が仲介者である場合に、計画の策定後に取引条件の変更があった場合であっても、当初計画からの変更が可能な限り生じないようなマッチング結果を好適に提示することができる。
【0143】
<第3実施形態>
図16は、第3実施形態における情報処理装置1Xの機能ブロック図である。情報処理装置1Xは、主に、売手情報取得手段15Xaと、買手情報取得手段15Xbと、第1決定手段15Xcと、第2決定手段16Xと、を有する。
【0144】
売手情報取得手段15Xaは、取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得する。買手情報取得手段15Xbは、取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得する。第1決定手段15Xcは、売手情報と、買手情報と、取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、取引が成立する売手の各々と買手の各々との第1の組み合わせを決定する。なお、第1の組み合わせは、売手及び買手に加えて、使用する船舶などの輸送手段との組み合わせをさらに考慮したものであってもよい。売手情報取得手段15Xa、買手情報取得手段15Xb及び第1決定手段Xcは、例えば、第1実施形態及び第2実施形態における第1決定部15とすることができる。
【0145】
第2決定手段16Xは、取引に関する条件の変更があった場合、変更が反映された買手情報及び売手情報と、仲介者の利益と、第1の組み合わせと、に基づいて、取引が成立する売手の各々と買手の各々との第2の組み合わせを決定する。なお、第2の組み合わせは、売手及び買手に加えて、使用する船舶などの輸送手段との組み合わせをさらに考慮したものであってもよい。第2決定手段16Xは、第1実施形態及び第2実施形態における第2決定部16とすることができる。
【0146】
図17は、第3実施形態において情報処理装置1Xが実行するフローチャートの一例である。まず、売手情報取得手段15Xaは、取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、買手情報取得手段15Xbは、取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得する(ステップS21)。次に、第1決定手段15Xcは、売手情報と、買手情報と、取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、取引が成立する売手の各々と買手の各々との第1の組み合わせを決定する(ステップS22)。そして、第2決定手段16Xは、取引に関する条件の変更があった場合(ステップS23;Yes)、変更が反映された買手情報及び売手情報と、仲介者の利益と、第1の組み合わせと、に基づいて、取引が成立する売手の各々と買手の各々との第2の組み合わせを決定する(ステップS23)。一方、第2決定手段16Xは、取引に関する条件の変更がない場合(ステップS23;No)、ステップS24の処理を実行しない。なお、この場合、情報処理装置1Xは、引き続きステップS23の判定を行う代わりに、フローチャートの処理を終了してもよい。
【0147】
第3実施形態に係る情報処理装置1Xは、売手と買手の組み合わせの決定後に取引条件の変更があった場合であっても、当初の組み合わせである第1の組み合わせを考慮し、変更された取引条件を満たす第2の組み合わせを好適に決定することができる。
【0148】
なお、上述した各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory Computer Readable Medium)を用いて格納され、コンピュータであるプロセッサ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(Tangible Storage Medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory Computer Readable Medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0149】
その他、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが以下には限られない。
【0150】
[付記1]
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得する売手情報取得手段と、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得する買手情報取得手段と、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定する第1決定手段と、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報及び前記売手情報と、前記仲介者の利益と、前記第1の組み合わせと、に基づいて、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する第2決定手段と、
を有する、情報処理装置。
[付記2]
前記第2決定手段は、前記第1の組み合わせとの一致度に基づき、前記第2の組み合わせを決定する、付記1に記載の情報処理装置。
[付記3]
前記第2決定手段は、前記一致度を、前記第1の組み合わせと同一となる売手及び買手の組の個数に基づき決定する、付記2に記載の情報処理装置。
[付記4]
前記第2決定手段は、前記第1の組み合わせと同一となる売手及び買手の組の各々に対して設定された重みに基づき、前記一致度を算出する、付記2または3に記載の情報処理装置。
[付記5]
前記第2決定手段は、前記売手及び買手の組の各々の取引により生じる前記仲介者の利益に基づき、前記売手及び買手の組の各々の重みを決定する、付記4に記載の情報処理装置。
[付記6]
前記第2決定手段は、前記売手及び買手の組の各々の取引対象の受渡時期に基づき、前記売手及び買手の組の各々の重みを決定する、付記4に記載の情報処理装置。
[付記7]
前記第2決定手段は、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との組み合わせであって、前記一致度と正の相関を有する目的関数を最大化する組み合わせを、前記第2の組み合わせとして決定する、付記2~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記8]
前記第2決定手段は、前記一致度にパラメータを乗じた値と、前記仲介者の利益との和を、前記目的関数として設定する、付記7に記載の情報処理装置。
[付記9]
前記第2決定手段は、前記パラメータに関する情報を指定する入力に基づき、前記パラメータを決定する、付記8に記載の情報処理装置。
[付記10]
前記第2の組み合わせを表示する場合において、前記第1の組み合わせと異なる前記売手と前記買手との組を強調表示する表示制御手段を有する、付記1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記11]
前記第2決定手段による前記第2の組み合わせの決定を指示する指示画面において、前記第2決定手段が使用するパラメータに関する情報を指定する入力を受け付ける入力欄を表示する表示制御手段を有する、付記1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記12]
前記売手から前記買手への前記取引対象の輸送に関する輸送情報を取得する輸送情報取得手段をさらに有し、
前記第1決定手段は、前記売手情報と、前記買手情報と、前記仲介者の利益と、前記輸送情報とに基づき、前記第1の組み合わせと、前記第1の組み合わせに対する前記輸送の第1のスケジュールとを決定し、
前記第2決定手段は、前記変更が反映された前記買手情報、前記売手情報及び前記輸送情報と、前記仲介者の利益と、前記第1の組み合わせ及び前記第1のスケジュールとに基づき、前記第2の組み合わせと、前記第2の組み合わせに対する前記輸送の第2のスケジュールとを決定する、付記1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記13]
前記第1決定手段は、前記第1のスケジュールとして、前記第1の組み合わせにより組み合わされる売手と買手との間での前記取引対象の輸送に使用する輸送手段を決定し、
前記第2決定手段は、前記第2のスケジュールとして、前記第2の組み合わせにより組み合わされる売手と買手との間での前記取引対象の輸送に使用する輸送手段を決定する、付記12に記載の情報処理装置。
[付記14]
コンピュータにより、
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報及び前記売手情報と、前記仲介者の利益と、前記第1の組み合わせと、に基づいて、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する、制御方法。
[付記15]
取引対象の複数の売手の各々が指定する売り条件を示す売手情報を取得し、
前記取引対象の複数の買手の各々が指定する買い条件を示す買手情報を取得し、
前記売手情報と、前記買手情報と、前記取引対象の取引の仲介を行う仲介者の利益と、に基づき、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第1の組み合わせを決定し、
前記取引に関する条件の変更があった場合、前記変更が反映された前記買手情報及び前記売手情報と、前記仲介者の利益と、前記第1の組み合わせと、に基づいて、前記取引が成立する前記売手の各々と前記買手の各々との第2の組み合わせを決定する処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体。
【0151】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0152】
1、1A、1X 情報処理装置
2 入力装置
3 表示装置
4 記憶装置
5 端末装置
100、100A 最適化システム