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特許7452683通信システム及び通信システムの制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】通信システム及び通信システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/50 20130101AFI20240312BHJP
   H04J 14/08 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H04B10/50
H04J14/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022553919
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2021035227
(87)【国際公開番号】W WO2022071167
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020164837
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆
(72)【発明者】
【氏名】稲田 喜久
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄大
(72)【発明者】
【氏名】間 竜二
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-344067(JP,A)
【文献】特開2006-313782(JP,A)
【文献】特開2005-331342(JP,A)
【文献】特開2015-170871(JP,A)
【文献】特開2012-257020(JP,A)
【文献】特開平07-202813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/50
H04J 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の親装置と、前記第1の親装置と第1の伝送路および第2の伝送路を介して接続された複数の子装置を有する通信システムであって、
前記第1の親装置は、
前記第1の伝送路に対して、第1のパルス光を送信する第1の送信手段と
前記第2の伝送路から前記第1のパルス光の戻り光を受信する第1の受信手段と、を有し、
前記子装置の各々は、
前記第1の伝送路と前記第2の伝送路を接続する第1の折り返し経路上に設けられ、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光を変調して、前記第1のパルス光の戻り光として前記第2の伝送路に向けて出力する第1の変調手段を有し、
前記複数の子装置から前記第1の親装置への第1の情報は、前記変調により前記第1の親装置へ伝達され、
前記第1のパルス光の幅は、前記戻り光を出力する前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記戻り光を出力する前記子装置の間の伝送距離のうち最も短い距離の二倍よりも短く、
前記第1の変調手段は、光入出力ポートを備えたセンサ素子で構成され、前記センサ素子が感受する環境情報に基づき前記第1のパルス光を変調し、
前記センサ素子が感受する環境情報は、前記子装置が感じている振動であって、
前記子装置から前記第1の親装置に伝達する前記第1の情報に応じた振動を前記センサ素子に加える振動子を更に備え、
前記第1の親装置の前記第1の受信手段は、前記第1のパルス光の戻り光に基づいて、前記子装置が感じている振動、および、前記子装置からの前記第1の情報を取得する、
通信システム
【請求項2】
前記第1の折り返し経路上に設けられ、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光の波長を選択的に前記第2の伝送路へ通過させる光フィルタを更に備えた、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の変調手段は、前記第1のパルス光を強度変調する請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1の変調手段は、前記第1のパルス光を位相変調する請求項1から3の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1の受信手段は、前記第1のパルス光の戻り光の強度変化もしくは位相変化を検出するDASインテロゲーターである請求項1から4の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1の送信手段は、前記第1のパルス光を前記第2の伝送路へ複数回送信し、
前記第1の受信手段は、前記第1の変調手段からの前記第1のパルス光の戻り光を前記第2の伝送路を介して複数回受信し、前記子装置からの前記第1の情報を取得する、
請求項1から5の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記子装置は、前記第1のパルス光を分岐してその一部を検出する検出手段を更に備え、
前記第1の変調手段は、前記検出手段が前記第1のパルス光を検出するタイミングに同期して、前記第1のパルス光を変調する、
請求項1から6の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
第1のパルス光を送信する第1の親装置と、前記第1の親装置と第1の伝送路及び第2の伝送路を介して接続され、前記第1のパルス光の戻り光を出力する複数の子装置を有する通信システムの制御方法であって、
前記第1の伝送路に対して、前記戻り光を出力する前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記戻り光を出力する前記子装置の間の伝送距離のうち最も短いものの二倍よりも短い幅を有する前記第1のパルス光を、前記第1の親装置により送信させ、
前記第1の伝送路と前記第2の伝送路を接続する、前記子装置内の第1の折り返し経路上に設けられる第1の変調手段により、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光を変調して、前記第1のパルス光の戻り光として前記第2の伝送路に出力させ、
前記第2の伝送路から前記第1のパルス光の戻り光を、前記第1の親装置により受信させ、前記複数の子装置から前記第1の親装置への第1の情報は、前記変調により前記第1の親装置へ伝達させ
光入出力ポートを備えたセンサ素子によって前記第1の変調手段を構成し、
前記子装置が感じている振動を、前記センサ素子に環境情報として感受させ、
前記センサ素子が感受する環境情報に基づき、前記第1のパルス光を前記第1の変調手段によって変調し、
前記第1の情報に応じた振動を前記センサ素子に加え、
前記第1のパルス光の戻り光に基づいて、前記子装置が感じている振動、および、前記子装置からの前記第1の情報を取得する、
通信システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバ通信線で接続された遠隔装置との通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[遠隔にある複数の装置との通信方式]
親装置および、親装置と通信する複数の子装置からなる通信システムを考える。通信のリアルタイム性の観点では親装置と子装置の間に1対1の通信回線を備えることが理想であるが、親装置に子装置の数の受信器が必要となるため高コストとなる。そこで厳密なリアルタイム性が必要ではない用途では、1つの回線を複数の子装置で共有して、互いにタイミングをずらして送信する通信方式が用いられる。これは時分割多重分離方式とも呼ばれる。
【0003】
時分割多重分離方式には、子装置間の送信タイミング制御に関して大きく2つの方法が知られている。一つは複数の子装置から信号を同時に発することがないように送信タイミングを制御する方法である。もう一つは、子装置は随時に送信して、互いの信号が重なった場合(これを衝突と呼ぶ)には、ある程度の時間をおいて再送する、という方法である。
【0004】
これらの方法はいずれも何らかの制御を必要とする。送信タイミングを制御する方法としては、親装置から特定の子装置へ順番に問合せコマンドを送信し、順次応答を受け取る形が典型的な実現方法として知られている。この実現のためには子装置一つ一つにユニークな番号を割り振り、その番号で自分宛ての問合せ信号であることを検知する仕組みが必要である。また親装置は監視すべき子装置の番号の全てを把握する必要がある。
【0005】
もう一方の、衝突を検知したら再送する方法は、無線通信には向いているが光ファイバ通信にはやや不向きである。無線通信においては、自分の送信時に他の子装置からも送信があって衝突が生じたことを、子装置自体が検知できる。しかし、特に光増幅中継器を用いた光ファイバ通信においては、上りと下りの回線が分離されている構成が通例であるため、衝突の発生を親装置から教えてもらわねばならず、通信効率が落ちる。
[光ファイバ通信システムにおける、光増幅中継装置の監視方法]
特許文献1には、光ファイバ通信システムにおける光増幅中継装置の監視方法の一例が示されている。光増幅器は波長多重光を一括増幅する。波長多重光の中に、端局にある監視親装置からの監視信号も含まれている。光増幅器の出力の一部が分岐され、光ファイバグレーティング(FBG: fiber Bragg grating)で監視信号波長だけが選択的に反射されて、戻り光経路(光折り返し経路ともいう)を通って、対向側の光ファイバ心線に合波される。監視親装置にて受信される監視信号の戻り光のレベルを監視することにより、光増幅器の出力レベル低下などの異常を検知できる。
【0006】
ここで、監視信号はパルス光である。また子装置である光増幅中継装置同士の間隔は互いに数10km(典型値)離れている。そのため監視親装置は、監視信号光を送出してから戻ってくるまでの時間の差に基づいて、どの中継装置からの応答であるかを識別することができる。これはOTDR(Optical Time Domain Reflectometry)と同様の原理である。
また子装置の監視回路に送信用光源も電子回路も必要としないのでコスト的に有利であるだけでなく、長期信頼性の確保も比較的容易である。
[戻り光経路]
戻り光経路としては、図1A、1Bにあるような構成が一般に用いられている。まず図1Aを説明する。図1A、1Bには図示されていないが、例えば後述の図7に示されるように、波長多重光伝送装置および監視親装置を含む端局が左右に設けられているとする。波長多重光信号は、光ファイバ31と32を互いに逆向きに伝送されている。波長多重光信号は、光ファイバ31では図の左から右方向へ、光ファイバ32ではその反対向きに伝送されている。伝送される波長多重光信号の中には、図8に例を示すような子親間通信波長が、監視親装置が送受する監視信号波長として含まれている。監視信号の波形はパルス状である。
【0007】
光ファイバ31を伝送する監視信号を例に、その経路を説明する。光ファイバ31を伝送する波長多重光は、図示しないが図の左側にある端局から送信されている。光ファイバ31を伝送する波長多重光は、光カプラ41により、その一部が戻り光経路33に分岐され、光フィルタ61によって監視信号波長だけが取り出される。取り出された監視信号波長は、光カプラ42により光ファイバ32に合波されて、図の左側にある端局に戻っていく。この例では、光フィルタとしてOBPF(Optical band pass filter)を用いている。
【0008】
光ファイバ32を伝送する監視信号も同様に、図の右側にある端局から出た監視信号は、その一部が戻り光経路34を通って、図の右側にある端局に戻っていく。
【0009】
ここで、左右の端局に置かれる監視親装置が送信する監視信号の波長は、互いに異ならせておくことが通例である。光フィルタ61と62の通過波長も異なっている。こうすることで、監視信号が、戻り光経路33と34を周回してしまうことを防ぐ。
【0010】
次に図1Bの構成を説明する。こちらの構成では、光フィルタの代わりに光ファイバグレーティング(FBG)が使われている。図の左側にある端局を出て、光ファイバ31を伝送する監視信号を例に、その経路を説明する。光ファイバ31を伝送する波長多重光は、光カプラ41により、その一部が分岐されてFBG71に入る。FBG71では監視信号波長だけが反射されて光カプラ41に戻り、戻り光経路33に分岐される。取り出された監視信号波長は、光カプラ42により光ファイバ32に合波されて、図の左側にある端局に戻っていく。光ファイバ32を伝送する監視信号も同様に、その一部が戻り光経路34を通って、図の右側にある端局に戻っていく。この構成では戻り光経路33と34は重なって一本の経路となっている。
【0011】
図1A、1Bの構成では、監視信号波長は特に作用を被らずに折り返されているが、これだけの構成でも、折り返し地点までの信号導通の確認、および、折り返し地点での監視信号波長のパワーの監視に役立つ。このような折り返し回路を伝送路の途中に複数設けて、正常時の戻り光パワーを記録しておくと、何らかの異常によりある地点の損失が増加した際に、発生場所を絞り込むことができる。
【0012】
なお、図2A、2Bは図1A、1Bの変形例を示すものである。図1A、1Bの構成は、図2A、2Bの2つの戻り光経路が統合され、無駄をなくした構成であることが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特許第3307334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
多数の子装置から親装置への通信において、経済的観点から通信回線の共用が求められるが、複数の子装置からの送出信号同士が重なる恐れがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の通信システムは、
第1の親装置と、前記第1の親装置と第1の伝送路および第2の伝送路を介して接続された複数の子装置を有する通信システムであって、
前記第1の親装置は、
前記第1の伝送路に対して、第1のパルス光を送信する第1の送信手段と
前記第2の伝送路から前記第1のパルス光の戻り光を受信する第1の受信手段と、を有し、
前記子装置の各々は、
前記第1の伝送路と前記第2の伝送路を接続する第1の折り返し経路上に設けられ、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光を変調して、前記第1のパルス光の戻り光として前記第2の伝送路に向けて出力する 第1の変調手段を有し、
前記複数の子装置から前記第1の親装置への第1の情報は、前記変調により前記第1の親装置へ伝達され、
前記第1のパルス光の幅は、前記戻り光を出力する前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記戻り光を出力する前記子装置の間の伝送距離のうち最も短い距離の二倍よりも短い。
【0016】
本発明の制御方法は、
第1のパルス光を送信する第1の親装置と、前記第1の親装置と第1の伝送路及び第2の伝送路を介して接続され、前記第1のパルス光の戻り光を出力する複数の子装置を有する通信システムの制御方法であって、
前記第1の伝送路に対して、前記戻り光を出力する前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記戻り光を出力する前記子装置の間の伝送距離のうち最も短いものの二倍よりも短い幅を有する第1のパルス光を、前記第1の親装置により送信させ、
前記第1の伝送路と前記第2の伝送路を接続する、前記子装置内の第1の折り返し経路上に設けられる第1の変調手段により、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光を変調して、前記第1のパルス光の戻り光として前記第2の伝送路に出力させ、
前記第2の伝送路から前記第1のパルス光の戻り光を、前記第1の親装置により受信させ、
前記複数の子装置から前記第1の親装置への第1の情報は、前記変調により前記第1の親装置へ伝達させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、多数の子装置から親装置への通信において、1つの通信回線を複数の子装置で共用しつつ、複数の子装置からの送出信号同士が重なって通信が阻害される事象が、自ずと回避できるという特長を持つ、複数の子装置から親装置への通信方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】戻り光経路の構成の説明図である。
図1B】戻り光経路の構成の説明図である。
図2A】戻り光経路の構成の説明図である。
図2B】戻り光経路の構成の説明図である。
図3A】第一実施形態の通信システムにおける子装置の構成の説明図である。
図3B】第一実施形態の通信システムにおける子装置の構成の説明図である。
図4】双方向型の光変調器の構成例である。
図5A】第一実施形態の通信システムにおける子装置の構成の説明図である。
図5B】第一実施形態の通信システムにおける子装置の構成の説明図である。
図6A】第一実施形態の通信システムにおける子装置(光増幅中継装置)の説明図である。
図6B】第一実施形態の通信システムにおける子装置(光増幅中継装置)の説明図である。
図7】第一実施形態の通信システムを波長多重光伝送システムに適用した一例の構成図である。
図8】第一実施形態の通信システムにおける波長配置の一例である。
図9】子装置における反射戻り光の発生の様子を説明する図である。
図10】複数の子装置がある場合の、反射戻り光のタイミング説明図である。
図11】複数の子装置がある場合の、反射戻り光のタイミング説明図である。
図12A】第二実施形態の通信システム(光入出力型の振動センサを光変調器として用いる)の構成例である。
図12B】第二実施形態の通信システム(光入出力型の振動センサを光変調器として用いる)の構成例である。
図13A】第二実施形態の通信システムの第1の変形例である。
図13B】第二実施形態の通信システムの第1の変形例である。
図14A】第二実施形態の通信システムの第2の変形例である。
図14B】第二実施形態の通信システムの第2の変形例である。
図15A】第三実施形態の通信システム(子親間通信波長に親装置から子装置への情報を乗せて送る方式)の構成例である。
図15B】第三実施形態の通信システム(子親間通信波長に親装置から子装置への情報を乗せて送る方式)の構成例である。
図16】第四実施形態の通信システムにおける反射戻り光のタイミング説明図である。
図17】第五実施形態の通信システムの構成を示す構成図である。
図18】第五実施形態の通信システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
<第一実施形態>
図3A,3Bは、図1A,1Bの折り返し構成に本技術を適用したときの構成例である。親装置300が左端に、親装置310が右端に設けられているとする。図1A,1Bで説明した戻り光経路は、子装置210、211の中に組み込まれており、子装置210、211から親装置への通信手段の一部となっている。
【0020】
図3Aの構成において、例えば左側の親装置300は子装置に波長λ1の光パルスを送出する。また右側の親装置310は子装置に波長λ2の光パルスを送出する。以降ではこのλ1やλ2の波長の光のことを子親間通信波長と呼ぶことにする。
【0021】
子装置210では、通信部100が、子装置210から親装置300、310に伝達する信号を生成する。光変調器81は、通信部100からの信号を基に、戻り光経路33を通る光に変調を施す。つまり、子装置210から、左側の親装置300へ光信号を送信する。光変調器82も、通信部100からの信号を基に、戻り光経路34を通る光に変調を施す。こちらは、子装置210から、右側の親装置310へ光信号を送信する。通信部100から光変調器81と82に印加される変調信号は、同一でも異なっていてもよい。これは、左右の端局にある2つの親装置に伝える情報を、同一とするか、異ならせるか、という選択である。
【0022】
このように、図1A,1Bに示される第一実施形態の通信システムにおける子装置は、通信部100からの信号を基に戻り光を変調する変調手段を備えるため、中継器の出力レベル以外の情報も親装置に送信することができる。また、第一実施形態の通信システムにおいて、子装置は親装置からのパルス光の戻り光を変調しているため、子装置内に光源を設ける必要がない。そのため、第一実施形態の通信システムは、子装置に送信用の光源を備える方式に比べて、信頼性が高く、且つコストを抑えることができる。
【0023】
図3Bの説明においては、図3Aと同じ作用の説明は省略する。図3Bの構成の特徴は、戻り光経路33、34は重なっていることである。そのため、光変調器83はどちら向きの光にも同じ変調を施せるタイプのものを用いる(例えば、特公昭64-10810号公報)。この場合、左右の端局にある2つの親装置に伝える情報は同一となる。
【0024】
図3Bの構成では、入出力方向がどちらでも使える光変調器が必要だが、図4に示すような構成で、一方向型の光変調器を2つ組み合せて双方向型の光変調器として用いてもよい。この場合、左右の端局にある2つの親装置に伝える情報を、異ならせることも可能となる。
【0025】
図5A,5Bは、図2A,2Bの構成に本実施形態を適用したものである。親装置の図示は省略している。子装置212、213の動作は、図2A,2Bの説明および図3A,3Bの説明と同様であるので説明は省略する。
[光増幅器を含めた構成]
図6A,6Bは子装置に光増幅器を入れた構成を示す。親装置の図示は省略している。図6Aに示される子装置214は図3Bに示される子装置211に、光増幅器91、92を入れた構成を示す。また、図6Bに示される子装置215は図5Bに示される子装置213に、光増幅器91、92を入れた構成を示す。FBGの方が光バンドパスフィルタよりも急峻なフィルタ形状を実現しやすいため、FBGの方が良く用いられるので、ここではFBGを用いた構成例のみ示す。
【0026】
子装置から親装置への通信の動作は、図3Bおよび図5Bの説明と同様であるので省略する。
【0027】
光増幅器の出力の一部を対向側の光ファイバ心線に戻す形態には、これら2つが知られている。2つの違いは、戻り光経路の合波個所が光増幅器の入力側か出力側か、であるとも言える。図6Aは光増幅器の出力側にて合波する構成を示し、図6Bは光増幅器の入力側で合波する構成を示す。
【0028】
図7は、波長多重光伝送システムに、本実施形態を適用した例である。
【0029】
波長多重光伝送システムは、通信しあう波長多重光送受信装置が端局に置かれ、その間を光増幅中継装置が中継する構成である。二つの端局は、上り回線、下り回線を分けた2本の光ファイバ心線を用いて通信している。
【0030】
この一般的な波長多重光伝送システムの構成においては、各々の光増幅中継装置は通過する光を増幅するだけで、光増幅中継装置から情報を発信することはできない。そこで、本実施形態を適用することで、光増幅中継装置を子装置215a、215b、215cとして、各々の子装置から親装置300,310へ情報伝達を可能とする。
【0031】
遠隔にある複数の子装置215a、215b、215c(光増幅中継装置)と通信するため、親装置300、310が端局に置かれている。親装置300、310は、波長多重光伝送に使う波長とは異なる波長の子親間通信波長の光パルスを送出し、各子装置からの戻り光を受信している。波長配置の一例を図8に示している。親装置300、310が送受する光は、波長多重光伝送装置が送受する光と、光カプラを介して合分波されている。
図7において、親装置300から出た子親間通信波長のパルスが子装置215aで折り返されて、親装置300に戻る様子を、点線で模式的に示している。
【0032】
ここでは子装置の構成として、図6Bの構成を用いた例を示している。光増幅中継装置(子装置)においては、光増幅器の出力部に光カプラ41b、42aが挿入され、その先に子親間通信波長を選択的に反射するFBG素子(FBG71、FBG72)が置かれている。光カプラ41b、42aから取り出された子親間通信波長の反射光は、反射戻り光経路を通って対向側の光ファイバ心線に光カプラ41a、42bを用いて合波され、親装置300、310に戻る。
【0033】
本発明は反射戻り光経路に光変調器81、82を挿入しており、反射戻り光を変調することで子装置215から親装置300、310へ情報を伝える。
【0034】
図7に示すように両方の端局に親装置300、310を備えて、各子装置は、左右の親装置300、310と通信可能とすることで、通信回線を冗長構成とすることができる。
[戻り光パルスのタイミングの説明]
親装置が送出するパルス光のパルス幅の条件、戻り光に含まれる各子装置からの戻り光パルス同士の間隔、などについてタイミング図を用いて説明する。
【0035】
まず図9を用いて、1つの子装置に着目したときに、反射戻り光が生じるタイミングを模式的に説明する。親装置から送出されたパルス光Aが、光ファイバ31を通って、図の左から右方向へ伝送されている。模式的にFBG71を鏡と見なすと、図9に示されるように、FBG71を基準としてパルス光Aと鏡映対称な反射パルス光A’が、光ファイバ32を図の右から左方向へ出ていくことが理解される。戻り光のパルス幅は、送出光のパルス幅と同一である。
【0036】
次に図10および図11のタイミングチャートを用いて、パルス幅をどこまで広げることができるかを説明する。パルス幅が広い方が望ましい理由は、子装置から親装置へ情報を送ることができるのはパルス光が戻り光経路を通過している時間帯のみであるからである。ここで図9の子装置の位置を、部分反射鏡のシンボルで簡単化して表記している。具体的には図10のうち、鏡1及び鏡2の各々は、図9の子装置を表している。一定間隔の縦線は、時間単位又は距離単位の刻みを表しており、1刻みを1単位とする。
【0037】
まず図10を用いて、隣り合う鏡からの戻り光パルス間隔は、鏡の間隔の2倍になることを説明する。
【0038】
線路Aには、鏡1と鏡2が距離4単位の間隔を空けて配置されている。ここにパルス幅が1単位の送出パルス1を送ると、各々の鏡で戻り光が生じて、親機では戻り光1として受信される。戻り光1に含まれるパルス光の幅は送出パルスと同じ1単位である。
【0039】
送出パルスが鏡1に到達した時刻を時刻1として点線で、鏡1によりパルスの戻り光が生じる様子を描いている。同様に送出パルスが鏡2に到達した時刻を時刻2として実線で、鏡2によりパルスの戻り光が生じる様子を描いている。
【0040】
時刻1において、最初の鏡1で送出パルスが反射され、戻り光が送信元に向かって進み始める。時刻2までに、送出パルスが鏡2まで4単位進むと共に、戻り光も4単位進んでいる。そこに鏡2による反射戻り光が新たに加わり、送信元に向かって進み始める。このように戻り光1に現れるパルスの間隔は、鏡の配置間隔の2倍の8単位となっている。光は鏡の間隔を往復するので、戻り光パルスには、鏡1及び鏡2間の距離の2倍の間隔が空く、とも説明できる。
[送出パルス幅の上限]
次に図11を用いて、パルス幅をどこまで広げることができるかを説明する。
【0041】
図11に示される線路Aは図10に示される線路Aと同じもので、鏡は4単位おきに配置されている。ここにパルス幅が1単位の送出パルス1を送ると、各々の鏡で戻り光が生じて、親機では戻り光1として受信される。戻り光1に含まれるパルス光の幅は送出パルスと同じ1単位であり、それらが鏡の間隔の2倍の間隔を空けて戻ってくる。
【0042】
次に線路Bは、線路Aと同様だが、鏡2から1単位だけ空けて鏡3が配置されている。
先と同様に1単位のパルス幅を有する送出パルス1を送出すると、戻り光2に示す戻り光が受信される。
【0043】
この線路Bに、今度は2単位のパルス幅を有する送出パルス2を送出する。すると戻り光3に示す戻り光が受信される。鏡2と鏡3の間隔が送出パルス2のパルス幅の半分の1単位なので、鏡2からの反射光と鏡3からの戻り光がほぼ間隙なく連なる。このパルス幅が上限である。
【0044】
さらにパルス幅を3単位に伸ばした送出パルス3を線路Bに送出すると、戻り光4に示す戻り光が受信される。この場合、図11の斜めハッチ部分に示されるように、鏡2からの戻り光の後縁と、鏡3からの戻り光の前縁が重なってしまう。
【0045】
以上より、複数の反射点からの戻り光同士が重なる(衝突する)ことを防ぐには、親装置から送出するパルス幅は、隣り合う子装置同士の最短間隔の2倍未満とすればよいことが理解される。ここでは説明を容易にするため、伝送路は直線として説明したが、実際には伝送路は曲がっていることもあるので、ここで説明した隣り合う子装置同士の間隔とは隣り合う子装置の間の伝送路距離のことである。以上のように、第一実施形態の通信システムにおいて、親装置から出力するパルス幅の上限に留意するだけで、多数の子装置から親装置への通信において、1つの通信回線を複数の子装置で共用しつつ、複数の子装置からの送出信号同士が重なって通信が阻害される事象が、自ずと回避できる。
[具体的なタイミング例]
ここで距離と時間とは、光ファイバ中の光速、約2×10(m/s)を用いて換算できる。例えば隣り合う子装置同士の最短間隔が10kmである場合、重ならない上限のパルス幅は20km弱である。光ファイバ中で20kmの長さの光パルスは、100マイクロ秒の時間幅を持つ光パルスである。
【0046】
戻り光パルスに、例えば1M(ビット/秒)の2値変調を施して親装置へ情報を伝達する場合、100マイクロ秒の時間幅を持つ光パルスにはおよそ100ビットの情報を載せることができる。
【0047】
ここで、親装置は、連なって戻ってくる戻り光パルス列のどの部分がどの子装置から発せられたものかを、自身のパルス送出からの経過時間で識別できるため、送信者識別情報を限られた100ビットの中に含める必要がない。(送信者識別情報を100ビットの中に含めても構わない。)
親装置は、パルス光を常に繰り返し送出する。繰返し周波数の上限は、線路の縁端まで光が到達し、戻ってくる往復時間で制約される。例えば線路の総長が5000kmの場合、その往復に要する時間は50ミリ秒なので、次のパルス送出まで最低50ミリ秒は間隔をあける必要がある。ただし50ミリ秒程度の頻度で通信できれば十分な用途は多い。
【0048】
また線路の総長がより短ければ、パルス送出間隔をより短くすることができる。
【0049】
このように本実施形態の子装置から親装置への情報の送信は、1回1回はマイクロ秒オーダーの細切れであるが、それをミリ秒オーダーで繰り返して送信できる特徴がある。
【0050】
これを利用して、子装置から同じ内容の情報を繰り返し送信して親装置で欠落や符号誤りを補正したりすることで、1つの戻り光パルスには収まりきらないビット数を子装置から親装置へ送ることも可能である。
【0051】
子装置での変調方式には、強度変調、位相変調、偏波変調、いずれが用いられてもよい。また2値だけでなく多値変調を用いてもよい。通信対象の子装置の数が多い場合には、変調器のコストが重要な要素となる。また変調器の光損失が小さいことも重要である。
【0052】
親装置における戻り光の検波に、DAS(Distributed Acoustic Sensing)インテロゲーターを用いても良い。特に位相変調、偏波変調を用いる場合には有効である。DASインテロゲーターはOTDR型の測定器であって、各地点からの戻り光の位相や偏波の状態をリアルタイムに検出して出力することができる。
[同期方式と非同期方式]
子装置においては、上述の例で示した100マイクロ秒のような光パルスに、変調して親装置へ通信する。その変調のタイミングを、親装置から定期的に送られてくる光パルスのタイミングに同期するなどして変調するか、同期せずに、すなわち光パルスが変調器を通過していなくても、子装置の持つタイミングで常に変調するか、2つの方式が考えられる。
【0053】
それぞれ長短がある。一般的な傾向として、同期方式は通信の効率が良い。非同期方式はパルス光が変調器を通過していない時にも変調し続けるので、親装置に全ての情報が届くまでに要する時間は確率的となり、通信の効率が劣る。しかしながら子装置側の回路は、同期方式の方が複雑であり、非同期方式の方がシンプルである。複雑な制御や回路を用いると、部品点数の増加も相まって、長期信頼性の確保の点で不利になる。
【0054】
同期方式では、何らかの方法で、親装置からのパルス光が子装置に到着するタイミングと子装置が変調を開始するタイミングを同期する必要がある。別回線を用いても良いが、後述する第三実施形態の構成(図15A,15B)を用いて、通信部100はパルス光の到着タイミングを知り、それに同期して変調パターンを開始すればよい。
【0055】
どちらの場合も、1つの光パルスの先頭部分は親装置の受信処理においてビット同期のプリアンブル(preamble)として用いられる。同期方式の場合は光パルスの先頭に適切なプリアンブルパターンを必ず配置できる。
【0056】
しかし非同期方式の場合には、変調信号のどこがプリアンブルとして使われるか予測できない。そのため、子装置の変調では、同符号が長く連続しないようにスクランブル化を行ったり、マンチェスター符号などクロック成分を強く持つ符号化を行うことが望ましい。
[応用例:中継器出力レベル監視機能との時分割運用による兼用化]
本通信方式の子装置における構成は、特許文献1に挙げられているような光増幅中継器の出力レベル監視のための構成を含んでいる。そのため、子装置からの反射戻り光レベルを高精度に測定することで光増幅中継器の出力レベルを監視することも可能である。ここで監視波長は、子親間通信波長と同一のものが利用できる。
【0057】
子装置からの戻り光のレベルを精密に測定するために、送出パルスの幅を狭めるなどの必要があれば、2つの機能を時分割で運用してもよい。例えば、親装置は、本発明の通信方式で子装置からの情報を1分間収集し、次に光増幅中継器の出力レベルを1分間監視し、ということを繰り返せばよい。子装置内の戻り光への強度変調が強度揺らぎとなって反射戻り光レベルの測定精度を妨げる場合には、変調方式として位相変調を用いるか、または、子装置は、反射戻り光レベルの測定時には変調を止めて、変調器の動作点を通過損失の最小点に固定すればよい。動作の切り替えは親装置が子装置に対してコマンド指示してもよいし、親装置が子親間通信波長のパルス幅をモニタして、その違いにより判別してもよい。
<第二実施形態>
第二実施形態は、第一実施形態において、光入出力型センサを変調器として用いる実施形態である。以下、本実施形態の通信方式の第一実施形態のものと異なる点を主に説明する。
【0058】
図12A,12Bは、第一実施形態の構成を説明する図3A,3Bに、本実施形態を加えたものであり、光変調器81,82,83は光入出力型センサである。光入出力型センサとは、入力された光がセンサ周囲の環境に応じた影響を被って出力されるタイプのセンサである。例えば、振動を感じて通過光に損失を与えるタイプの光入出力型センサとして、光ファイバの曲げ損失を利用するセンサが周知である(例えば特許第2693674号公報参照)。このような光入出力型センサを変調器として戻り光経路に挿入することで、子装置220、221に加わる振動の情報を親装置に伝達できる。(ただし本方式では基本的に間欠的な通信となる。)
親装置で受信される子装置からの戻り光の、復調・検波処理は、第一の実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0059】
また、第二実施形態の通信システムは、第一実施形態の通信システムと同様の構成を備える。そのため、第一実施形態の通信システムと同様に、第二実施形態の通信システムは、親装置から出力するパルス幅の上限に留意するだけで、多数の子装置から親装置への通信において、1つの通信回線を複数の子装置で共用しつつ、複数の子装置からの送出信号同士が重なって通信が阻害される事象が、自ずと回避できる。
<第二実施形態の変形例>
図13A,13Bに一例を示すように、上記の光入出力型の振動センサ81,82,83に、振動子21,22,23を取り付け、通信部100が親装置に伝達したい情報に応じて光入出力型振動センサを振動させてもよい。なお、この変形例では、振動センサは光変調器81,82、83と同様に変調を行っているため、振動センサの符号は、変調器と同じものを用いる。例えば図13Aにおいて、振動センサ(光変調器)81と82は子装置222の振動を共に感じている。それに加えて、振動センサ(光変調器)81は振動子21による振動も感じている。同様に振動センサ(光変調器)82は子装置222の振動に加えて振動子22による振動も感じている。図13Bの動作は同様のため説明を省略する。
【0060】
これにより子装置の周囲環境の情報と、通信部100が親装置に伝えたい情報を合わせて送信することができる。周囲環境情報の振動と通信部100が送信する情報に基づいた振動は、例えば振動の周波数帯で区分できるようにすればよい。
【0061】
子装置周辺の環境情報を親装置に伝達可能な光入出力型センサの種類としては、振動の他にも、音、温度、圧力、歪みなどの種類があり、それらを利用してもよい。
【0062】
また、図14A、14Bに一例を示すように、子親間通信波長を取り出す光フィルタ素子が、変調器の作用を備えてもよい。例えば、振動を感じて反射光の波長が変化するタイプの光入出力型センサとして、FBGセンサが周知である(例えば特許第4009390号公報参照)。
【0063】
このような光フィルタ効果も兼ね備えた光入出力型センサを、子親間通信波長を取り出す光フィルタとして用いることで、変調器を省略することもできる。
【0064】
例えば図14Aにおいて、通信部100からの変調信号の電圧に応じて透過波長が変化する光フィルタ61m、62mを用いているとする。すると、変調信号の電圧に応じて子親間通信波長の光パルスに強度変調がかかることから、光フィルタ61m、62mは子親間通信波長を選択的に通過する光フィルタと変調器の役目を兼ね備えている。
【0065】
例えば図14Bにおいて、振動を感じて反射波長が変化するFBG71m、72mを用いているとする。FBG71mには振動子24が、FBG72mには振動子25が添えられており、通信部100からの信号に基づきFBG71m、72mに振動を与えることができる。すると、変調信号に応じて子親間通信波長の光パルスに強度変調もしくは位相変調がかかることから、FBG71m、72mは子親間通信波長を選択的に反射する光フィルタと変調器の役目を兼ね備えている。
ここでFBG71m、72mは、図13A,13Bと同様に、子装置225が受けている振動も感じて、合わせて子親間通信波長の光パルスに変調をかけてもよい。
<第三実施形態>
第三実施形態は、第一実施形態に加えて、子親間通信波長を使った親装置から子装置への通信の仕組みを追加した通信方式についての実施形態である。以下、本実施形態の通信方式の第一実施形態のものと異なる点を主に説明する。
【0066】
また、第三実施形態の通信システムは、第一実施形態の通信システムと同様の構成を備える。そのため、第一実施形態の通信システムと同様に、第三実施形態の通信システムは、親装置から出力するパルス幅の上限に留意するだけで、多数の子装置から親装置への通信において、1つの通信回線を複数の子装置で共用しつつ、複数の子装置からの送出信号同士が重なって通信が阻害される事象が、自ずと回避できる。
【0067】
親装置から子装置への通信は、別途回線を用意しても良いが、これまで説明してきた子親間通信波長を利用してもよい。図15A,15Bにその構成例を示す。図15A,15Bには図示されていないが、例えば図7に示されるように、親装置300及び310が左右に設けられているとする。親装置は、子親間通信波長のパルス光を送出する際に、パルス光を変調してコマンドを乗せて全ての子装置にブロードキャストする。子装置は、FBGで波長選択された子親間通信波長を分岐して通信部100が受信する。予め子装置一つ一つにユニークな番号を割り振っておき、各子装置の通信部100は、その番号で自分宛てのコマンドであることを検知する。
【0068】
例えば図15Bにおいて、光ファイバ31を左から右へ伝送する子親間通信波長の光はFBG71で反射され、光折り返し経路33に入る。光変調器81の手前に置かれた光カプラ45で子親間通信波長の光の一部が分岐されて、通信部100にて受信される。以降の子親間通信波長の光の流れは、図6Bと同様であるので説明を省略する。周囲の子装置もみな同一の信号を受信するが、その信号の中に子装置231だけにユニークに割り振られた番号がある時、子装置231は自分宛てのコマンドと識別する。図15Aの動作も同様であるので説明を省略する。
【0069】
親装置がパルス光にかける変調が、子装置から親装置への変調と時間的に重なることで、子装置から親装置への通信が阻害される場合は、親装置は、重なって無効となった部分を破棄すればよい。ここで、無効となった部分とは、例えば、具体的にはクロックが再生できない部分であったり、エラー率が所定値を超えた部分であり、親装置が受信できない部分である。この場合、子装置から同じ情報を繰り返し送信しており、ある一部分が欠落しても問題がないような構成であることが望ましい。
【0070】
子装置の中の通信部100が送信する情報内容は固定的でも良いし、親装置からのコマンド指示によって切り替えても良い。例えば、子装置のモニタ項目が多数ある場合、値が正常範囲である限り、親装置に送信しないような構成も考えられる。そのような構成においても特定のモニタ値を確認したい場合に、親装置から指定のモニタ値を返すようにコマンド指示して返信内容を切り替えても良い。
<第四実施形態>
第一実施形態においては、親装置から送出するパルス光のパルス幅の上限は、子装置同士の間隔の最小値の2倍未満、という制約があった。第四実施形態は、第一実施形態と同様な構成であるが、特定の子装置の戻り光経路を閉じることで、親装置から送出するパルス光のパルス幅を広げることができる通信方式についての実施形態である。
【0071】
この工夫は、通信システムの中で、特定の子装置間の間隔が平均的な子装置間の間隔よりも顕著に狭くなっている場合に、その狭間隔を形成している子装置に適用することで特に効果を発揮する。
【0072】
通信方式の第一実施形態のものと異なる点を主に説明する。
【0073】
なお、第四実施形態の通信システムは、第一実施形態の通信システムと同様の構成を備える。そのため、第一実施形態の通信システムと同様に、第四実施形態の通信システムは、親装置から出力するパルス幅の上限に留意するだけで、多数の子装置から親装置への通信において、1つの通信回線を複数の子装置で共用しつつ、複数の子装置からの送出信号同士が重なって通信が阻害される事象が、自ずと回避できる。
【0074】
図16を用いて動作の一例を説明する。この図は第一実施形態の動作説明で用いた図11の続きである。線路Bに対して、送出パルス3を出すと、戻り光4となり、鏡2、鏡3に相当する子装置の通信が衝突を生じる。ここで、線路B’に示すように鏡3からの戻り光を無くすことができれば、戻り光5となり、鏡2からの戻り光の通信が阻害されなくなる。鏡3からの戻り光を無くすには、例えば、戻り光経路に挿入されている光変調器で戻り光を遮断すればよい。
【0075】
例えば図7において、親装置300に対して子装置215aが図16の鏡2、子装置215bが図16の鏡3、子装置215cが図16の鏡4に相当するとする。また、各装置間の距離が50kmであるのに対して、子装置215aと215bの間隔のみが3kmと、他の装置間の間隔よりも、格段に狭いとする。ここで間隔とは、直線距離のことではなく、光ファイバ伝送路の距離である。第一実施形態によれば、親装置300が送出可能なパルス幅は、最も短い装置間距離3kmで制約されることになり、例えば24ミリ秒を用いる。(3km×2÷2×108(m/s)×0.8=24ms。0.8はパルスを重ならせないための余裕を20%を持つための係数。)
ここで、例えば、親装置300は、子装置215bに対して、パルス光の戻り光の出力を停止するように指示を出す。親装置300は、第三実施形態に示されるような、親装置から子装置への通信の方式を用いて、子装置215bに対して指示を出しても良い。また、親装置300は、その他の回線を用いて、子装置215bに指示を出しても良い。
【0076】
親装置300から子装置215bへの前述の指示により、子装置215bの光変調器81が戻り光を遮断すれば、親装置300が受信する戻り光において、子装置215aからの戻り光パルスを受信した後には、子装置215aから3km離れた子装置215bからの戻り光は受信されず、子装置215aから53km離れた子装置215cからの戻り光パルスを次に受信する。すなわち親装置300が受信する戻り光においては、子装置215bからの戻り光は含まれない。子装置215aと子装置215cの間の距離は53kmである。このため、親装置300の送出するパルス幅は、この通信システム内で最も短い装置間距離50kmの2倍弱に相当する、例えば400ミリ秒に設定しても、子装置からの戻り光同士の重なりは生じない。(50km×2÷2×10(m/s)×0.8=400ms。0.8は同上。)このようにして子装置215b以外の複数の子装置は、広いパルス幅を用いて親装置300へ情報を伝えることができる。
【0077】
このようにして一定時間の通信を行った後に、親装置300は、子装置215aに対して、パルス光の戻り光の出力を停止するように指示を出すとともに、子装置215bに対して、パルス光の戻り光の出力を再開するように指示を出す。これにより再び、この通信システム内で最も短い装置間距離は50kmと見なすことができる。これにより親装置300が、子装置との通信パルス幅を、引き続き例えば400ミリ秒と広く設定しても、子装置からの戻り光同士の重なりは生じない。
【0078】
この動作を、一定時間ごとに交互に切り替えることにより、子装置215aおよび子装置215bは親装置300に情報を伝達することができる。子装置215a、215b以外の子装置は、パルス幅が約17倍になったことにより親装置300への情報伝達速度が大幅に向上する。
【0079】
第四実施形態では、親装置が、特定の子装置の戻り光経路の開閉指示を当該子装置に伝えて制御することが追加となる。ただしその制御は、子装置間の間隔が平均的な間隔よりもとりわけ狭くなっている子装置に対してだけ行えばよく、また戻り光経路の開閉指示の頻度も低くてよい。背景技術で述べたような、全ての子装置に対して、通信の都度に信号衝突回避の制御を行う必要はない。互いに隣接する子装置間の距離の最小値の2倍よりも短いパルス幅を親装置が送出することで、自ずと衝突が回避されるという特徴は、引き続き有効である。
【0080】
このように、第四実施形態の実現のためには、戻り光経路の途中で戻り光を遮断する遮光手段を備える必要がある。この手段がある場合には、次に挙げる応用も実現できる。
[応用例1:上り下りの子親間通信波長が同一でも運用可能とする方法]
背景技術で述べたように、子親間通信波長は、上り回線と下り回線で互いに異ならせることが望ましい。図8で子親間通信波長を2本示したのはその一例である。
【0081】
子親間通信波長を異ならせることが難しい場合は、次のような工夫で多重反射や干渉を抑圧することができる。まず、左右の親装置との通信は同時には行わず、時分割での運用とする。そして子装置では、使わない側の戻り光経路を閉じる。図6Bにおいて左側の親装置へ応答し、右側の親装置へは応答しない場合、光変調器82もしくは別途設けた遮光手段を用いて光の通過を阻止すればよい。また図6Aでは、実際の構成が図4のような場合に、やはり光変調器82もしくは別途設けた遮光手段を用いて光の通過を阻止すればよい。
<第五実施形態>
第五実施形態に係る通信システム1000について説明する。図17に示されるように、通信システム1000は、親装置1100、複数の子装置1200、第1の伝送路1310及び第2の伝送路1320を備える。親装置1100と複数の子装置1200は、図17に示されるように、第1の伝送路1310及び第2の伝送路1320を介して接続される。なお、図17においては、二つの子装置が示されているが、子装置の数は二つに限られない。
【0082】
親装置1100は、送信手段1110及び受信手段1120を備える。親装置1100は、例えば、陸上に設けられた端局内に配置される。
【0083】
送信手段1110は、第1の伝送路1310に対して、第1のパルス光を送信する。ここで、送信手段1110は、親装置と隣接する子装置との間、もしくは、互いに隣接する子装置間の距離のうち最も短い距離の二倍よりも短い幅を有する第1のパルス光を出力する。
【0084】
受信手段1120は、第2の伝送路1320から第1のパルス光の戻り光を受信する。
【0085】
子装置1200は、分岐手段1220、変調手段1210、合波手段1230を備える。分岐手段1220と合波手段1230は、第1の伝送路1310を通る光の一部を分岐して第2の伝送路1320に戻す、第1の折り返し経路1330を形成する。変調手段1210は、第1の折り返し経路1330上に設けられる。変調手段1210は、第1の伝送路1310からの第1のパルスを変調して、第1のパルスの戻り光として第2の伝送路1320に出力する。
【0086】
次に、図18を用いて、通信システム1000の動作について説明する。
【0087】
送信手段1110は、第1の伝送路1310に対して、第1のパルス光を送信する(S501)。ここで、送信手段1110は、互いに隣接する子装置間の距離のうち最も短い距離の二倍よりも短い幅を有する第1のパルス光を出力する。
【0088】
変調手段1210は、第1の折り返し経路1330上に設けられる変調手段により、第1のパルス光を変調する(S502)。この際、変調された第1のパルス光は、第1のパルスの戻り光として第2の伝送路1320に出力される。
【0089】
受信手段1120は、第2の伝送路1320から第1のパルス光の戻り光を受信する(S503)。
【0090】
以上のように、第五実施形態の通信システム1000における子装置1200は、第1のパルス光を変調する変調手段を備えるため、中継器の出力レベル以外の情報を親装置1100に送信することができる。また、通信システム1000において、子装置1200は親装置1100からのパルス光の戻り光を変調しているため、子装置1200内に光源を設ける必要がない。そのため、通信システム1000は、子装置に送信用の光源を備える方式に比べて、信頼性が高く、且つコストを抑えることができる。
【0091】
また、通信システム1000において、第1のパルス光の幅は、互いに隣接する子装置間の距離のうち最も短い距離の二倍よりも短い。そのため、親装置から出力するパルス幅の上限に留意するだけで、多数の子装置から親装置への通信において、1つの通信回線を複数の子装置で共用しつつ、複数の子装置からの送出信号同士が重なって通信が阻害される事象が、自ずと回避できる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1の親装置と、前記第1の親装置と第1の伝送路および第2の伝送路を介して接続された複数の子装置を有する通信システムであって、
前記第1の親装置は、
前記第1の伝送路に対して、第1のパルス光を送信する第1の送信手段と
前記第2の伝送路から前記第1のパルス光の戻り光を受信する第1の受信手段と、を有し、
前記子装置の各々は、
前記第1の伝送路と前記第2の伝送路を接続する第1の折り返し経路上に設けられ、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光を変調して、前記第1のパルス光の戻り光として前記第2の伝送路に向けて出力する 第1の変調手段を有し、
前記複数の子装置から前記第1の親装置への第1の情報は、前記変調により前記第1の親装置へ伝達され、
前記第1のパルス光の幅は、前記戻り光を出力する前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記戻り光を出力する前記子装置の間の伝送距離のうち最も短い距離の二倍よりも短い 、通信システム。
(付記2)
前記第1の折り返し経路上に設けられ、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光の波長を選択的に前記第2の伝送路へ通過させる光フィルタを更に備えた、
付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記第1の変調手段は、前記第1のパルス光を強度変調する付記1又は2に記載の通信システム。
(付記4)
前記第1の変調手段は、前記第1のパルス光を位相変調する付記1から3の何れか1項に記載の通信システム。
(付記5)
前記第1の変調手段は、光入出力ポートを備えたセンサ素子で構成され、前記センサ素子が感受する環境情報に基づき前記第1のパルス光を変調する、付記1から4の何れか1項に記載の通信システム。
(付記6)
前記センサ素子が感受する環境情報は、前記子装置が感じている振動であって、
前記子装置から前記第1の親装置に伝達する前記第1の情報に応じた振動を前記センサ素子に加える振動子を更に備え、
前記第1の親装置の前記第1の受信手段は、前記第1のパルス光の戻り光に基づいて、前記子装置が感じている振動、および、前記子装置からの前記第1の情報を取得する付記5に記載の通信システム。
(付記7)
前記第1の受信手段は、前記第1のパルス光の戻り光の強度変化もしくは位相変化を検出するDASインテロゲーターである付記1から6の何れか1項に記載の通信システム。
(付記8)
前記第1の送信手段は、前記第1のパルス光を前記第2の伝送路へ複数回送信し、
前記第1の受信手段は、前記第1の変調手段からの前記第1のパルス光の戻り光を前記第2の伝送路を介して複数回受信し、前記子装置からの前記第1の情報を取得する、
付記1から7の何れか1項に記載の通信システム。
(付記9)
前記子装置は、前記第1のパルス光を分岐してその一部を検出する検出手段を更に備え、
前記第1の変調手段は、前記検出手段が前記第1のパルス光を検出するタイミングに同期して、前記第1のパルス光を変調する、
付記1から8の何れか1項に記載の通信システム。
(付記10)
前記第1の変調手段は、常時もしくは予め設定された所定の周期で変調を行う、付記1から8の何れか1項に記載の通信システム。
(付記11)
前記第1の送信手段は、前記第1の親装置から前記子装置への第2の情報を前記変調により重畳させた前記第1のパルス光を前記第1の伝送路に対して送信し、
前記子装置の各々は、前記第1のパルス光を分岐して、その一部を受信して、前記第2の情報を受け取る、
付記1から10の何れか1項に記載の通信システム。
(付記12)
前記第1の受信手段は、前記第1のパルス光の戻り光の、前記第1の変調手段による変調に、前記第1の親装置から前記子装置への前記第2の情報が重畳して、前記第1の変調手段からの前記第1の情報が受け取れない場合は、読み取ったものを破棄して、前記第1の変調手段による変調により伝達される前記第1の情報を受け取るまで、前記第1のパルス光の戻り光を繰り返し受信する、
付記11に記載の通信システム。
(付記13)
前記複数の子装置のうちの少なくとも一つは、
前記第1の親装置からの指示に基づき、前記第1のパルス光の戻り光の出力を停止する遮光手段を備える、
付記1から12の何れか1項に記載の通信システム。
(付記14)
前記第1の親装置は、前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記子装置の間の伝送距離の平均値より短い前記伝送距離の区間を挟む前記子装置の各々に対して、交互に、前記第1のパルス光の戻り光の出力を遮光する指示を出す、
付記13に記載の通信システム。
(付記15)
前記第1の伝送路および前記第2の伝送路を介して前記第1の親装置と接続された第2の親装置が設けられ、
当該第2の親装置は、
前記第2の伝送路に対して、前記第1のパルス光と異なる波長の第2のパルス光を送信する第2の送信手段と
前記第1の伝送路から前記第2のパルス光を受信する第2の受信手段と、を有し、
前記子装置の各々は、
前記第2の伝送路と前記第1の伝送路を接続する第2の折り返し経路上に設けられ、前記第2の伝送路からの前記第2のパルス光を変調して、前記第1の伝送路に出力する第2の変調手段を更に有し、
前記複数の子装置から前記第2の親装置への第3の情報は、前記変調により前記第2の親装置へ伝達され、
前記第2のパルス光の幅は、前記第1の親装置又は前記第2の親装置と隣接する前記子装置との間、もしくは、互いに隣接する前記子装置間の距離のうち最も短い距離の二倍よりも短い、
付記1から14の何れか1項に記載の通信システム。
(付記16)
前記第1の伝送路および前記第2の伝送路を介して前記第1の親装置と接続された第2の親装置が設けられ、
当該第2の親装置は、
前記第2の伝送路に対して、前記第1のパルス光と異なる波長の第2のパルス光を送信する第2の送信手段と
前記第1の伝送路から前記第2のパルス光を受信する第2の受信手段と、を有し、
前記子装置の各々は、
前記第2の伝送路と前記第1の伝送路を接続する第2の折り返し経路上に設けられ、前記第2の伝送路からの前記第2のパルス光を変調して、前記第1の伝送路に出力する第2の変調手段を更に有し、
前記複数の子装置から前記第2の親装置への第3の情報は、前記変調により前記第2の親装置へ伝達され、
前記第1のパルス光の波長と、前記第2のパルス光の波長は同一であり、
前記第1の親装置が前記第1のパルス光を送信している間は、前記子装置の各々は、前記第2の折り返し経路を閉じて前記第1の伝送路に出力しない、
付記1から14の何れか1項に記載の通信システム。
(付記17)
前記子装置は、前記第1の伝送路に挿入され、前記第1の折り返し経路の前段に設けられ、前記第1のパルス光を増幅する光増幅器を更に備え、
前記第1の受信手段は、
前記第1のパルス光の戻り光の強度から、前記光増幅器の出力レベルを検出する
付記1から16の何れか1項に記載の通信システム。
(付記18)
前記第1の変調手段は、
第1の期間において、前記第1の伝送路からの増幅された前記第1のパルス光を変調して前記第2の伝送路に出力し、
前記第1の期間とは異なる第2の期間において、増幅された前記第1のパルス光の強度を変調せずに通過させて前記第2の伝送路に出力し、
前記第1の受信手段は、
前記第1の変調手段から前記第1の期間に出力された前記第1のパルス光から、前記第1の変調手段により重畳された前記第1の情報を取得し、
前記第1の変調手段から前記第2の期間に出力された前記第1のパルス光の戻り光の強度から、前記光増幅器の出力レベル稼働状況を検出する
付記17に記載の通信システム。
(付記19)
第1のパルス光を送信する第1の親装置と、前記第1の親装置と第1の伝送路及び第2の伝送路を介して接続され、前記第1のパルス光の戻り光を出力する複数の子装置を有する通信システムの制御方法であって、
前記第1の伝送路に対して、前記戻り光を出力する前記子装置相互の間の伝送距離及び前記第1の親装置と前記戻り光を出力する前記子装置の間の伝送距離のうち最も短いものの二倍よりも短い幅を有する前記第1のパルス光を、前記第1の親装置により送信させ、
前記第1の伝送路と前記第2の伝送路を接続する、前記子装置内の第1の折り返し経路上に設けられる第1の変調手段により、前記第1の伝送路からの前記第1のパルス光を変調して、前記第1のパルス光の戻り光として前記第2の伝送路に出力させ、
前記第2の伝送路から前記第1のパルス光の戻り光を、前記第1の親装置により受信させ、
前記複数の子装置から前記第1の親装置への第1の情報は、前記変調により前記第1の親装置へ伝達させる制御方法。
【0092】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2020年9月30日に出願された日本出願特願2020-164837を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0093】
21,22,23,24,25 振動子
31,32 光ファイバ
33,34 戻り光経路(光折り返し経路)
41,42,43,44,45,46 光カプラ
51,52 光サーキュレータ
61,62,61m,62m 光フィルタ
71,72,71m,72m 光ファイバグレーティング(FBG)
81,82,83 光変調器(Mod)
91,92 光増幅器
100 子装置の通信部
210~215,220~225,230,231 子装置
300,310 親装置
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18