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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】密閉型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/16 20060101AFI20240312BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20240312BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F04B39/16 K
F04B39/12 G
F04B39/12 101H
F04C29/12 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022554072
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2021036010
(87)【国際公開番号】W WO2022071450
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020165857
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 健史
(72)【発明者】
【氏名】両角 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】多田 直人
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202117925(CN,U)
【文献】特開平02-123289(JP,A)
【文献】特開2011-007077(JP,A)
【文献】特開2020-109283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/16
F04B 39/12
F04C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に、冷媒を吸入して圧縮した冷媒を前記圧縮機本体容器内に吐出する圧縮部と、前記圧縮部を駆動するモータと、が収容され、
前記圧縮機本体容器の下方に、冷凍サイクルから吸入した冷媒の気液を分離して気体冷媒を前記圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられた密閉型圧縮機において、
前記圧縮部は、上シリンダ及び下シリンダを有し、前記上シリンダの上吸入穴に上圧縮部吸入管が接続され、前記下シリンダの下吸入穴に下圧縮部吸入管が接続され、
前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に溶接固定され、
前記アキュムレータシェルには、冷凍サイクルから前記アキュムレータ容器の内部に冷媒を吸入するアキュムレータ吸入管と、前記アキュムレータ容器の内部から気体冷媒を送る上気液分離管及び下気液分離管とが、前記アキュムレータシェルの側壁を貫通して前記アキュムレータシェルの第1貫通穴、第2貫通穴、第3貫通穴にそれぞれ溶接固定され、前記上気液分離管が、前記アキュムレータシェルの外部で、上連絡管を介して前記上圧縮部吸入管に接続され、前記下気液分離管が、前記アキュムレータシェルの外部で、下連絡管を介して前記下圧縮部吸入管に接続され、
前記アキュムレータシェルには、前記上気液分離管が前記アキュムレータシェルを貫通する前記第2貫通穴と、前記下気液分離管が前記アキュムレータシェルを貫通する前記第3貫通穴が、前記アキュムレータシェルの周方向に並んで配置され、
前記上圧縮部吸入管と前記下圧縮部吸入管が、前記圧縮機本体容器の上下方向に並んで配置される、密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記アキュムレータシェルには、前記アキュムレータ吸入管が前記アキュムレータシェルを貫通する前記第1貫通穴と、前記第2貫通穴と、前記第3貫通穴が、前記アキュムレータシェルの周方向において互いに隣り合って配置される、
請求項に記載の密閉型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉型圧縮機としては、縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に圧縮部と圧縮部を駆動するモータを収容し、圧縮機本体容器の下方に、冷媒を気体冷媒と液体冷媒とに分離(以下、冷媒の気液を分離と称する。)して気体冷媒だけを圧縮部に吸入させるためのアキュムレータ容器が設けられた圧縮機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-109283号公報
【文献】特開平3-202682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の圧縮機は圧縮部がロータリ式の圧縮機であり、圧縮部に吸入される冷媒の気液を分離するアキュムレータ容器が、圧縮機本体容器とは独立した容器で構成されて、圧縮機本体容器の下方に配置されており、ブラケットを用いて圧縮機本体容器とアキュムレータ容器とが接続されている。特許文献1の構成においては、圧縮機本体容器とアキュムレータ容器とを独立した容器として構成しているため容器のコストが増大する問題と、圧縮機本体容器とアキュムレータ容器とを接続するブラケットを使用するためコストが増大する問題がある。
【0005】
特許文献2の圧縮機は圧縮部がスクロール式の圧縮機であり、圧縮部と圧縮部を駆動するモータとを収容する圧縮機本体容器の下部にアキュムレータ容器が直接的に接合されている。詳しくは、特許文献2の第1の実施例は、圧縮機本体容器は、縦型円筒状のメインシェルとメインシェルの上端部を閉塞するカップ状のトップシェルと、メインシェルの下端部を閉塞するカップ状のボトムシェルと、で構成され、アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルの開口側をボトムシェルの下側に溶接によって固定(以下、溶接固定と称する。)することにより、ボトムシェルとアキュムレータシェルとで密閉された空間をアキュムレータ容器としている。すなわちボトムシェルは圧縮機本体容器の一部とアキュムレータ容器の一部を兼用している。ボトムシェルにはボトムシェルを貫通した圧縮部吸入管が設けられ、圧縮部吸入管に接続された気液分離管を通してアキュムレータ容器の内部の冷媒が圧縮部に吸入される。
【0006】
特許文献2の構造において、ボトムシェルを貫通する圧縮部吸入管は、アキュムレータ容器の内部で、ボトムシェルと溶接固定されている。一般的に空気調和機用の密閉型圧縮機は、密閉容器を構成するシェルの溶接不良の有無を検査するため、出荷前に内部に高圧ガスを封入して水槽内で外部への漏れの有無を確認する。
【0007】
特許文献2の第1の実施例のボトムシェルと圧縮部吸入管とが溶接固定された溶接部に不良があった場合、圧縮機本体容器の内部からアキュムレータ容器の内部への冷媒ガスの漏れの原因となる。この溶接不良は、上述の方法では検知することができず、圧縮機の運転時に圧縮機本体容器の内部の高圧冷媒が低圧のアキュムレータ容器の内部に漏れて効率の低下や信頼性の低下につながる、という問題がある。
【0008】
また、特許文献2の圧縮機は、圧縮部吸入管に接続された気液分離管を通してアキュムレータ容器の内部の冷媒が圧縮部に直接吸入されるため、吸入経路の長さを適正に確保できずに、過給効果を十分に得られない、という問題がある。ここで過給効果とは、圧縮部におけるシリンダの中空部(シリンダ室)の容積の変化に伴って、アキュムレータ容器の気液分離管内の圧力は周期的に変動し、気液分離管の固有振動数と圧縮部の周波数が一致して共振し、気液分離管内の圧力変化が著しく大きくなり、シリンダ室内に余分に冷媒が押し込まれる現象である。圧縮機を所定の回転数で運転したときに吸入経路内で共振するように、吸入経路の長さを調整することによって、吸入経路内の圧力変動を大きくして圧縮機の体積効率を高める技術である。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機本体容器の下方にアキュムレータ容器が配置された構造において、圧縮機の製造コストを抑制すると共に、圧縮機本体容器からアキュムレータ容器の内部への冷媒漏れを防ぎ、過給効果による体積効率の向上を実現し、信頼性と性能が高い圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様は、縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に、冷媒を吸入して圧縮した冷媒を圧縮機本体容器内に吐出する圧縮部と、圧縮部を駆動するモータと、が収容され、圧縮機本体容器の下方に、冷凍サイクルから吸入した冷媒の気液を分離して気体冷媒を圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられた密閉型圧縮機において、圧縮部は、上シリンダ及び下シリンダを有し、上シリンダの上吸入穴に上圧縮部吸入管が接続され、下シリンダの下吸入穴に下圧縮部吸入管が接続され、アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、アキュムレータシェルの開口側が圧縮機本体容器に溶接固定され、アキュムレータシェルには、冷凍サイクルからアキュムレータ容器の内部に冷媒を吸入するアキュムレータ吸入管と、アキュムレータ容器の内部から気体冷媒を送る上気液分離管及び下気液分離管とが、アキュムレータシェルを貫通してアキュムレータシェルの第1貫通穴、第2貫通穴、第3貫通穴にそれぞれ溶接固定され、上気液分離管が、アキュムレータシェルの外部で、上連絡管を介して上圧縮部吸入管に接続され、下気液分離管が、アキュムレータシェルの外部で、下連絡管を介して下圧縮部吸入管に接続される。アキュムレータシェルには、上気液分離管がアキュムレータシェルを貫通する第2貫通穴と、下気液分離管がアキュムレータシェルを貫通する第3貫通穴が、アキュムレータシェルの周方向に並んで配置され、上圧縮部吸入管と下圧縮部吸入管が、圧縮機本体容器の上下方向に並んで配置される。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様によれば、圧縮機本体容器の下方にアキュムレータ容器が配置された構造において、上気液分離管、上連絡管、上圧縮部吸入管の各溶接部と、下気液分離管、下連絡管、下圧縮部吸入管の各溶接部がアキュムレータ容器の外部に配置されるので、圧縮機の製造コストを抑制すると共に、溶接不良を容易に検知可能になり、過給効果による体積効率の向上を実現し、信頼性と性能が高い圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
図2図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
図3図3は、実施例のロータリ圧縮機を示す平面図である。
図4図4は、実施例のロータリ圧縮機の要部を示す斜視図である。
図5図5は、実施例のロータリ圧縮機の要部を拡大して示す側面図である。
図6図6は、実施例におけるアキュムレータ容器の内部を示す斜視図である。
図7図7は、実施例のロータリ圧縮機における要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する密閉型圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する密閉型圧縮機が限定されるものではない。
【実施例
【0014】
(ロータリ圧縮機の構成)
本実施例では、密閉型圧縮機の一例として、ロータリ圧縮機について説明する。図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。図3は、実施例のロータリ圧縮機1を示す平面図である。図4は、実施例のロータリ圧縮機1の要部を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、圧縮機本体容器10の内部に、上圧縮部吸入管102T及び下圧縮部吸入管102Sから冷媒を吸入して圧縮した冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出する圧縮部12と、圧縮部12を駆動するモータ11と、が収容され、圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出し、さらに吐出管107を通して冷凍サイクルに吐出する内部高圧型の密閉型圧縮機である。
【0016】
圧縮機本体容器10は、図1図3及び図4に示すように、縦型円筒状のメインシェル10aと、カップ状のトップシェル10bと、カップ状のボトムシェル10cと、を有している。圧縮機本体容器10は、メインシェル10aの上端部にトップシェル10bの開口側10gが溶接固定され、メインシェル10aの下端部にボトムシェルの開口側10dが溶接固定されることにより構成されている。
【0017】
冷凍サイクルの低圧冷媒を圧縮部12に吸入するための上圧縮部吸入管102T及び下圧縮部吸入管102Sがメインシェル10aを貫通して設けられている。詳しくは、メインシェル10aに上ガイド管101Tがろう付固定され、上圧縮部吸入管102Tは上ガイド管101Tの内側を通って上ガイド管101Tにろう付固定されている。同様に、メインシェル10aに下ガイド管101Sがろう付固定され、下圧縮部吸入管102Sは下ガイド管101Sの内側を通って下ガイド管101Sにろう付固定されている。
【0018】
圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部から冷凍サイクルに吐出するための吐出管107がトップシェル10bを貫通して設けられている。吐出管107はトップシェル10bに直接ろう付固定されている。
【0019】
図5は、実施例のロータリ圧縮機1の要部を拡大して示す側面図である。図6は、実施例におけるアキュムレータ容器25の内部を示す斜視図である。図7は、実施例のロータリ圧縮機における要部を示す縦断面図である。なお、図1図7では、分かり易く図示するため、アキュムレータシェル26の周方向に対して後述するアキュムレータ吸入管27の位置をずらして示すが、アキュムレータ吸入管27の位置を限定するものではない。
【0020】
図4図5図6及び図7に示すように、圧縮機本体容器10の下方には、冷凍サイクルから吸入される低圧冷媒の気液を分離して気体冷媒だけを圧縮部12に吸入させるためのアキュムレータ容器25が設けられている。アキュムレータ容器25は、カップ状のアキュムレータシェル26を有しており、アキュムレータシェル26の開口側26aが圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに溶接固定されている。したがって、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cは、アキュムレータシェル26の開口側26aを塞ぐ蓋を兼ねている。
【0021】
アキュムレータシェル26には、アキュムレータ容器25の内部に冷凍サイクルから冷媒を吸入するアキュムレータ吸入管27と、アキュムレータ容器25の内部から気体冷媒を送る上気液分離管31T及び下気液分離管31Sと、がアキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の第1貫通穴28a、第2貫通穴28b、第3貫通穴28cにそれぞれ溶接固定されている。
【0022】
上気液分離管31Tは、アキュムレータ容器25の外部で上連絡管104Tを介して上圧縮部吸入管102Tに接続されている。下気液分離管31Sは、アキュムレータ容器25の外部で下連絡管104Sを介して下圧縮部吸入管102Sに接続されている。
【0023】
図1に示すように、アキュムレータシェル26における下部、すなわち、開口側26aとは反対側である反開口側26bには、ロータリ圧縮機1全体を支持するベース部材310が溶接固定されている。
【0024】
図1及び図2に示すように、圧縮部12は、上シリンダ121Tと、下シリンダ121Sと、中間仕切板140と、上端板160Tと、下端板160Sと、回転軸15を有し、上端板160T、上シリンダ121T、中間仕切板140、下シリンダ121S、下端板160Sの順に積層され、複数のボルト175及び補助ボルト176により固定されている。上端板160Tには主軸受部161Tが設けられている。下端板160Sには副軸受部161Sが設けられている。回転軸15には主軸部153と、上偏心部152Tと、下偏心部152Sと、副軸部151と、が設けられている。回転軸15の主軸部153が上端板160Tの主軸受部161Tに篏合し、回転軸15の副軸部151が下端板160Sの副軸受部161Sに篏合することにより、回転軸15は回転自在に支持される。
【0025】
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を有している。ステータ111は、メインシェル10aの内周面に焼嵌め固定されている。ロータ112は、回転軸15に焼嵌め固定されている。
【0026】
圧縮機本体容器10の内部には、圧縮部12の摺動部材の潤滑および圧縮室内の高圧部と低圧部とのシールのために、圧縮部12がほぼ浸漬する量の潤滑油18が封入されている。
【0027】
次に、図2を用いて圧縮部12を詳しく説明する。上シリンダ121Tには内部に円筒状の上中空部130Tが設けられ、上中空部130Tには上ピストン125Tが配置されている。上ピストン125Tは回転軸15の上偏心部152Tに篏合している。下シリンダ121Sには内部に円筒状の下中空部130Sが設けられ、下中空部130Sには下ピストン125Sが配置されている。下ピストン125Sは回転軸15の下偏心部152Sに篏合している。
【0028】
上シリンダ121Tには上中空部130Tから外周側へ延びる溝部が設けられ、溝部には上ベーン127Tが配置されている。上シリンダ121Tには外周から溝部に通じる上スプリング穴124Tが設けられ、上スプリング穴124Tには上スプリング126Tが配置されている。下シリンダ121Sには下中空部130Sから外周側へ延びる溝部が設けられ、溝部には下ベーン127Sが配置されている。下シリンダ121Sには外周から溝部に通じる下スプリング穴124Sが設けられ、下スプリング穴124Sには下スプリング126Sが配置されている。
【0029】
上ベーン127Tの一端が上スプリング126Tによって上ピストン125Tに押し当てられることにより、上シリンダ121Tの上中空部130Tにおいて上ピストン125Tの外側の空間が上吸入室131Tと上吐出室133Tに区画される。上シリンダ121Tには、外周から上吸入室131Tに連通する上吸入穴135Tが設けられている。上吸入穴135Tには上圧縮部吸入管102Tが接続される。下ベーン127Sの一端が下スプリング126Sによって下ピストン125Sに押し当てられることにより、下シリンダ121Sの下中空部130Sにおいて下ピストン125Sの外側の空間が下吸入室131Sと下吐出室133Sに区画される。下シリンダ121Sには、外周から下吸入室131Sに連通する下吸入穴135Sが設けられている。下吸入穴135Sには下圧縮部吸入管102Sが接続される。
【0030】
上端板160Tには、上端板160Tを貫通して上吐出室133Tに連通する上吐出穴190Tが設けられている。上端板160Tには、上吐出穴190Tを開閉する上吐出弁200Tと、上吐出弁200Tの反りを規制する上吐出弁押さえ201Tと、が上リベット202Tによって固定されている。上端板160Tの上側には、上吐出穴190Tを覆う上端板カバー170Tが配置され、上端板160Tと上端板カバー170Tとで閉塞される上端板カバー室180Tを形成する。上端板カバー170Tは、上端板160Tと上シリンダ121Tとを固定する複数のボルト175によって上端板160Tに固定される。上端板カバー170Tには、上端板カバー室180Tと圧縮機本体容器10の内部を連通する上端板カバー吐出穴172が設けられている。
【0031】
下端板160Sには、下端板160Sを貫通して下吐出室133Sに連通する下吐出穴190Sが設けられている。下端板160Sには、下吐出穴190Sを開閉する下吐出弁200Sと、下吐出弁200Sの反りを規制する下吐出弁押さえ201Sと、が下リベット202Sによって固定されている。下端板160Sの下側には、下吐出穴190Sを覆う下端板カバー170Sが配置され、下端板160Sと下端板カバー170Sとで閉塞される下端板カバー室180Sを形成する(図1参照)。下端板カバー170Sは、下端板160Sと下シリンダ121Sとを固定する複数のボルト175によって下端板160Sに固定される。
【0032】
また、圧縮部12には、下端板160S、下シリンダ121S、中間仕切板140、上端板160T及び上シリンダ121Tを貫通し下端板カバー室180Sと上端板カバー室180Tとを連通する冷媒通路穴136(図2参照)が設けられている。
【0033】
以下に、回転軸15の回転による冷媒の流れを説明する。回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏心部152Tおよび下偏心部152Sに嵌合された上ピストン125Tおよび下ピストン125Sが公転運動することにより、上吸入室131Tおよび下吸入室131Sが容積を拡大しながら冷媒を吸入する。冷媒の吸入路として、冷凍サイクルの低圧冷媒は、アキュムレータ吸入管27を通してアキュムレータ容器25の内部に吸入され、アキュムレータ容器25に吸入された冷媒に液が混ざっていた場合にはアキュムレータ容器25の下部に滞留し、気体冷媒だけがアキュムレータ容器25の内部の上方に開口した上気液分離管31T及び下気液分離管31Sに吸入される。上気液分離管31Tに吸入された気体冷媒は、上連絡管104Tと上圧縮部吸入管102Tとを通って上吸入室131Tに吸入される。同様に、下気液分離管31Sに吸入された気体冷媒は、下連絡管104Sと下圧縮部吸入管102Sとを通って下吸入室131Sに吸入される。
【0034】
冷凍サイクルから吸入される冷媒のうち液冷媒の量が多い場合は、アキュムレータ容器25の内部において液冷媒の液面が上気液分離管31T、下気液分離管31Sの各他端部31Tb、31Sbの開口よりも上昇して多量の液冷媒が上気液分離管31T、下気液分離管31Sに流れ込む可能性がある。上気液分離管31T、下気液分離管31Sを通して圧縮部12に多量の液冷媒が流れ込むと圧縮部12を損傷させる原因となる。上気液分離管31T、下気液分離管31Sに多量の液冷媒が流れ込むことを防止するため、上気液分離管31T、下気液分離管31Sには、液冷媒を少量ずつ気液分離管31に吸入させるための液戻し穴34が設けられている。
【0035】
次に、回転軸15の回転による吐出冷媒の流れを説明する。回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏心部152Tに嵌合された上ピストン125Tが公転運動することにより、上吐出室133Tが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が上吐出弁200Tの外側の上端板カバー室180Tの圧力よりも高くなったとき、上吐出弁200Tが開いて上吐出室133Tから上端板カバー室180Tへ冷媒を吐出する。上端板カバー室180Tに吐出された冷媒は、上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出穴172から圧縮機本体容器10内に吐出される。
【0036】
また、回転軸15の回転によって、回転軸15の下偏心部152Sに嵌合された下ピストン125Sが公転運動することにより、下吐出室133Sが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が下吐出弁200Sの外側の下端板カバー室180Sの圧力よりも高くなったとき、下吐出弁200Sが開いて下吐出室133Sから下端板カバー室180Sへ冷媒を吐出する。下端板カバー室180Sに吐出された冷媒は、冷媒通路穴136及び上端板カバー室180Tを通って上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出穴172Tから圧縮機本体容器10内に吐出される。
【0037】
圧縮機本体容器10内に吐出された冷媒は、ステータ111の外周に設けられた上下を連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(図1参照)を通ってモータ11の上方に導かれ、圧縮機本体容器10の上部に配置された吐出管107から吐出される。
【0038】
次に、潤滑油18の流れを説明する。圧縮機本体容器10の下部に封入されている潤滑油18は、回転軸の遠心力により回転軸の内部(図示せず)を通って圧縮部12に供給される。圧縮部12に供給された潤滑油18は、冷媒に巻き込まれ霧状となって冷媒と共に圧縮機本体容器10の内部に排出される。霧状となって圧縮機本体容器10の内部に排出された潤滑油18はモータ11の回転力によって遠心力で冷媒と分離され、油滴となって再び圧縮機本体容器10の下部に戻る。しかしながら一部の潤滑油18は分離されずに冷媒と共に冷凍サイクルに排出される。冷凍サイクルに排出された潤滑油18は冷凍サイクルを循環してアキュムレータ容器25に戻り、アキュムレータ容器25の内部で分離されアキュムレータ容器25の下部に滞留する。アキュムレータ容器25の下部に滞留した潤滑油18は液冷媒と共に液戻し穴34を通って少量ずつ上気液分離管31T、下気液分離管31Sに流入し、吸入冷媒と共に上吸入室131T、下吸入室131Sに吸入される。
【0039】
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。実施例の特徴には、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに直接的に接合されたアキュムレータ容器25の構造、上連絡管104T及び下連絡管104Sの接続構造が含まれる。
【0040】
まず、本実施例では、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cが、アキュムレータシェル26の内側に嵌め込まれて、アキュムレータシェル26の開口側26aが、ボトムシェル10cの周壁の周方向にわたって溶接によって接合されている(図1参照)。アキュムレータ容器25は、アキュムレータシェル26の内周面と圧縮機本体容器10のボトムシェル10cの外周面とが接して密閉されており、アキュムレータシェル26の外周面に溶接部が形成されている。このようにアキュムレータシェル26と圧縮機本体容器10との溶接部がロータリ圧縮機1の外側に面しているので、溶接部からの気体の漏れを容易に確認できる。このため、アキュムレータシェル26の密閉性を検査する作業を容易に行うことが可能となり、密閉状態の信頼性を確保し易い。
【0041】
また、図5図6及び図7に示すように、アキュムレータシェル26は、上気液分離管31Tに接続された上連絡管104Tと、上圧縮部吸入管102Tとを介して、上シリンダ121Tの上中空部130T(図2参照)と接続されている。また、アキュムレータシェル26は、下気液分離管31Sに接続された下連絡管104Sと、下圧縮部吸入管102Sとを介して、下シリンダ121Sの下中空部130S(図2参照)と接続されている。
【0042】
上気液分離管31Tは、一端部31Taが上連絡管104Tに接続されており、他端部31Tbがアキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の内部に向かって延ばされると共にこの内部の上方に向かって曲げられている。また、上気液分離管31Tの一端部31Taは、アキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の第2貫通穴28bに溶接固定されている。同様に、下気液分離管31Sは、一端部31Saが下連絡管104Sに接続されており、他端部31Sbがアキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の内部に向かって延ばされると共にこの内部の上方に向かって曲げられている。また、下気液分離管31Sの一端部31Saは、アキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の第3貫通穴28cに溶接固定されている。
【0043】
上気液分離管31Tの一端部31Taと下気液分離管31Sの一端部31Saは、アキュムレータシェル26の外周面の周方向において、並んで隣り合って配置されている。上気液分離管31Tと下気液分離管31Sは、アキュムレータシェル26の内部において、間隔をあけて互いに平行に延ばされている。また、上気液分離管31Tの他端部31Tb、下気液分離管31Sの他端部31Sbは、アキュムレータ吸入管27の一端部27aの位置よりも上方に延ばされている。
【0044】
アキュムレータ吸入管27の一端部27aは、アキュムレータシェル26の側壁を貫通して、アキュムレータシェル26の内部へ延ばされている。また、アキュムレータシェル26の側壁を貫通した一端部27aは、アキュムレータシェル26の第1貫通穴28aに溶接固定されている。アキュムレータ吸入管27の他端部27bは、アキュムレータシェル26の上方に向かって延ばされており、冷凍サイクルにおける低圧側の配管(図示せず)に接続される。
【0045】
実施例では、図5及び図6に示すように、アキュムレータシェル26には、アキュムレータ吸入管27がアキュムレータシェル26を貫通する第1貫通穴28aと、上気液分離管31Tがアキュムレータシェル26を貫通する第2貫通穴28bと、下気液分離管31Sがアキュムレータシェル26を貫通する第3貫通穴28cが、アキュムレータシェル26の周方向において互いに隣り合って配置されている。例えば、アキュムレータ吸入管27の第1貫通穴28aは、アキュムレータシェル26の周方向において、下気液分離管31Sの第3貫通穴28cに隣り合って配置されている。なお、アキュムレータ吸入管27の第1貫通穴28aは、アキュムレータシェル26の周方向において、上気液分離管31Tの第2貫通穴28bに隣り合うように配置されてもよい。
【0046】
このように、アキュムレータ吸入管27と、上気液分離管31T及び下気液分離管31Sは、図3に示すように、アキュムレータシェル26の周方向における一か所にまとめて配置されることで、アキュムレータ吸入管27と、上連絡管10T及び下連絡管104Sをアキュムレータシェル26の周方向においてまとめて配置することが可能になるので、ロータリ圧縮機1全体がコンパクトに形成されている。なお、図1図7では、分かり易く図示するため、アキュムレータシェル26の周方向におけるアキュムレータ吸入管27の位置をずらして示すが、上述のようにアキュムレータ吸入管27は、図4及び図5に示すように、下連絡管104Sに隣り合う位置に配置されている。なお、アキュムレータ吸入管27は、図4及び図5に示す位置に限定されず、図1図7に示すように、アキュムレータシェル26の周方向において上連絡管104T及び下連絡管104Sが位置する側とは反対側に配置されてもよい。
【0047】
図4及び図5に示すように、上連絡管104Tは、上気液分離管31Tの一端部31Taに接続された下端部104Taと、上圧縮部吸入管102Tに接続された上端部104Tbと、を有しており、アキュムレータシェル26の外周面及び圧縮機本体容器10の外周面に沿って配置されている。同様に、下連絡管104Sは、下気液分離管31Sの一端部31Saに接続された下端部104Saと、下圧縮部吸入管102Sに接続された上端部104Sbと、を有しており、アキュムレータシェル26の外周面及び圧縮機本体容器10の外周面に沿って配置されている。
【0048】
上気液分離管31Tがアキュムレータシェル26を貫通する第2貫通穴28bと、下気液分離管31Sがアキュムレータシェル26を貫通する第3貫通穴28cは、図5及び図6に示すように、アキュムレータシェル26の周方向に並んで隣り合って配置されている。また、上圧縮部吸入管102Tと下圧縮部吸入管102Sは、圧縮機本体容器10の上下方向に並んで配置されている。このように配置されることで、上連絡管104T及び下連絡管104Sの各全長を抑えることができると共に、第2貫通穴28b、第3貫通穴28cが周方向に並ぶことで上気液分離管31Tと下気液分離管31Sを共通の部品で構成することが可能になる。
【0049】
具体的には、図4及び図5に示すように、圧縮機本体容器10の周方向において、上連絡管104Tの下端部104Taと下連絡管104Sの下端部104Saの間の中央に、上連絡管104Tの上端部104Tbと下連絡管104Sの上端部104Sbが配置されている。このため、上連絡管104Tは、下端部104Saから上端部104Sbに向かってU字状に曲げられた下連絡管104Sに対して、圧縮機本体容器10の径方向の外側から下連絡管104Sと交差するように延ばされている。これにより、上連絡管104T及び下連絡管104Sが圧縮機本体容器10の径方向に突出する長さである径方向長が短く抑えられ、ロータリ圧縮機1全体がコンパクトになる。
【0050】
図1及び図4に示すように、上連絡管104Tの上端部104Tbは、圧縮機本体容器10のメインシェル10aの周壁に設けられた上ガイド管101Taと、上ガイド管101Tの内側に嵌め込まれた上圧縮部吸入管102Tとを介して、上シリンダ121Tの上吸入穴135Tと接続されている。下連絡管104Sの上端部104Sbは、圧縮機本体容器10のメインシェル10aの周壁に設けられた下ガイド管101Sと、下ガイド管101Sの内側に嵌め込まれた下圧縮部吸入管102Sとを介して、下シリンダ121Sの下吸入穴135Sと接続されている。
【0051】
したがって、上気液分離管31Tの一端部31Taは、アキュムレータシェル26の外部で、上連絡管104Tを介して上圧縮部吸入管102Tに接続されている。下気液分離管31Sの一端部31Saは、アキュムレータシェル26の外部で、下連絡管104Sを介して下圧縮部吸入管102Sに接続されている。このようにアキュムレータ容器25から圧縮部12へ冷媒を送る上吸入経路と下吸入経路とが独立して設けられているので、例えば、上連絡管104T及び下連絡管104Sの各長さを所望の長さに調整することで、課題で述べた過給効果を適正に得られるように上吸入路長さと下吸入路長さを容易に調整できる。これにより、本実施形態は、過給効果による体積効率の向上を実現し、ロータリ圧縮機1の性能を高められる。
【0052】
なお、本実施形態では、上連絡管104Tが、下連絡管104Sに対して、圧縮機本体容器10の径方向の外側から下連絡管104Sと交差するように配置されたが、上連絡管104T及び下連絡管104Sの接続構造を限定するものではない。例えば、上連絡管104Tの上端部104Tbが下圧縮部吸入管102Sに接続されると共に下連絡管104Sの上端部104Sbが上圧縮部吸入管102Tに接続されることにより、下連絡管104Sが、上連絡管104Tに対して圧縮機本体容器10の径方向の外側から上連絡管104Tと交差するように配置されてもよい。
【0053】
また、アキュムレータシェル26の内部には、アキュムレータ吸入管27から各上気液分離管31T、下気液分離管31Sに供給される冷媒に含まれる異物を捕らえるフィルタ(図示せず)や、上気液分離管31T、下気液分離管31Sの各他端部31Tb、31Sbを支持する支持板(図示せず)が設けられてもよい。
【0054】
(実施例の効果)
ここで、本実施例と、上述した特許文献1~2とを比較して説明する。特許文献1の圧縮機は圧縮機本体容器とアキュムレータ容器とを独立した容器として備えるのに対し、実施例のロータリ圧縮機1はボトムシェル10cを、圧縮機本体容器10の一部とアキュムレータ容器25の一部として兼用している。
【0055】
特許文献2の圧縮機は、圧縮機本体容器のボトムシェルにボトムシェルを貫通した圧縮部吸入管が設けられており、圧縮部吸入管に接続された気液分離管を通してアキュムレータ容器の内部の冷媒が圧縮部に直接吸入される。ボトムシェルを貫通する圧縮部吸入管は、アキュムレータ容器の内部でボトムシェルと溶接固定されているのに対し、実施例のロータリ圧縮機は、アキュムレータ内部から気体冷媒を送る上気液分離管31T、下気液分離管31Sが、アキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の第2貫通穴28b、第3貫通穴28cにろう付け等で溶接固定されており、上気液分離管31T、下気液分離管31Sがアキュムレータ容器25の外部で上連絡管104T、下連絡管104Sにろう付け等で溶接固定され、上圧縮部吸入管102T、下圧縮部吸入管102Sに接続されている。
【0056】
上述したように実施例のロータリ圧縮機1は、ボトムシェル10cが圧縮機本体容器10の一部とアキュムレータ容器25の一部を兼ねることで、圧縮機本体容器とアキュムレータ容器を独立して備える構造と比べて、ロータリ圧縮機1の製造コストを抑制した圧縮機を提供できる。
【0057】
また、実施例のロータリ圧縮機1では、アキュムレータ容器25の内部から気体冷媒を送る上気液分離管31T、下気液分離管31Sが、アキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26の第2貫通穴28b、第3貫通穴28cにアキュムレータシェル26にろう付等で溶接固定される。上気液分離管31T、下気液分離管31Sは、アキュムレータ容器25の外部でそれぞれ上連絡管104T、下連絡管104Sの各下端部104Ta、104Saにろう付等で溶接固定されると共に、上連絡管104T、下連絡管104Sの各上端部104Tb、104Sbがそれぞれ上圧縮部吸入管102T、下圧縮部吸入管102Sとろう付等で溶接固定される。このように、上気液分離管31T、上連絡管104T、上圧縮部吸入管102Tの各溶接部と、下気液分離管31S、下連絡管104S、下圧縮部吸入管102Sの各溶接部がアキュムレータ容器25の外部に位置しているので、溶接不良を容易に検知可能になり、信頼性の高い圧縮機を提供できる。
【0058】
また、上気液分離管31Tと上圧縮部吸入管102Tが上連絡管104Tを介して接続され、下気液分離管31Sと下圧縮部吸入管102Sが下連絡管104Sを介して接続されており、アキュムレータ容器25から圧縮部12へ冷媒を送る上吸入経路と下吸入経路とが独立して設けられている。このため、上連絡管104T、下連絡管104Sの各長さを所望の長さに調整することで、課題で述べた過給効果を適正に得られるように上吸入路長さと下吸入路長さを容易に調整できる。これにより、本実施形態は、過給効果による体積効率の向上を実現し、性能の高い圧縮機を提供できる。
【0059】
また、実施例のロータリ圧縮機1において、アキュムレータシェル26には、上気液分離管31Tがアキュムレータシェル26を貫通する第2貫通穴28bと、下気液分離管31Sがアキュムレータシェル26を貫通する第3貫通穴28cが、アキュムレータシェル26の周方向に並んで配置されており、上圧縮部吸入管102Tと下圧縮部吸入管102Sが、圧縮機本体容器10の上下方向に並んで配置されている。このように上連絡管104T及び下連絡管104Sが配置されることで、上連絡管104T及び下連絡管104Sの各全長を抑えることができると共に、第2貫通穴28bと第3貫通穴28cが周方向に並ぶことで上気液分離管31Tと下気液分離管31Sを共通の部品で構成することが可能になる。
【0060】
また、実施例のロータリ圧縮機1におけるアキュムレータシェル26には、アキュムレータ吸入管27がアキュムレータシェル26を貫通する第1貫通穴28aと、上気液分離管31Tがアキュムレータシェル26を貫通する第2貫通穴28bと、下気液分離管31Sがアキュムレータシェル26を貫通する第3貫通穴28cが、アキュムレータシェル26の周方向において互いに隣り合って配置されている。これにより、アキュムレータ吸入管27と、上気液分離管31Tの一端部31Ta、下気液分離管31Sの一端部31Sa、上連絡管104T、下連絡管104Sをアキュムレータシェル26の周方向においてまとめて配置することが可能になるので、ロータリ圧縮機1全体をコンパクトにできる。
【0061】
なお、本実施例は、ロータリ圧縮機1を一例として説明したが、例えば、スクロール圧縮機等の他の圧縮機に適用されてもよく、本実施例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0062】
1 ロータリ圧縮機
10 圧縮機本体容器
10a メインシェル
10b トップシェル
10c ボトムシェル
11 モータ
12 圧縮部
25 アキュムレータ容器
26 アキュムレータシェル
26a 開口側
27 アキュムレータ吸入管
28a 第1貫通穴
28b 第2貫通穴
28c 第3貫通穴
31T 上気液分離管
31Ta 一端部
31Tb 他端部
31S 下気液分離管
31Sa 一端部
31Sb 他端部
101T 上ガイド管
101S 下ガイド管
102T 上圧縮部吸入管
102S 下圧縮部吸入管
104T 上連絡管
104Tb 上端部
104Ta 下端部
104S 下連絡管
104Sb 上端部
104Sa 下端部
121T 上シリンダ
121S 下シリンダ
135T 上吸入穴
135S 下吸入穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7