(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】Polar符号の回帰的復号反復法を用いた通信方法および装置
(51)【国際特許分類】
H03M 13/13 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H03M13/13
(21)【出願番号】P 2022560518
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2020016477
(87)【国際公開番号】W WO2021210079
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】チャキ プラカシュ
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-519131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0353267(US,A1)
【文献】XIUMIN WANG et al.,Improved Multiple Bit-Flipping Fast-SSC Decoding of Polar Codes[online],IEEE Access,2020年02月14日,Vol. 8,pp. 27851-27860,インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8952695/>
【文献】Shibao Li et al.,Generalized Segmented Bit-Flipping Scheme for Successive Cancellation Decoding of Polar Codes With Cyclic Redundancy Check[online],IEEE Access,2019年,Vol. 7,pp. 83424-83436,インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8736212>
【文献】Furkan Ercan et al.,Partitioned Successive-Cancellation Flip Decoding of Polar Codes[online],2018 IEEE International Conference on Communications (ICC),2018年,インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8422464>
【文献】Anqi Cao et al.,An LLR-Based Segmented Flipped SCL Decoding Algorithm for Polar Codes[online],2019 IEEE/CIC International Conference on Communications in China (ICCC),2019年,インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8855853>
【文献】RUI GUO et al.,Multi-CRC Polar Codes and M-SCFlip-Based Decoding[online],IEEE Access,2019年,Vol. 7,pp. 98366-98373,インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8756253>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
3GPP TSG SA WG1-2
3GPP TSG CT WG1、4
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号する、polar符号のための復号器と、
凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する記憶部と、
前記復号器によりパーティションごとに所定の復号アルゴリズムに従った復号を実行し、復号ビットの信頼値に従って前記STE集合をソートし前記記憶部へ格納する制御部と、
を有し、
前記制御部が、
前記チェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、
チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、
前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態を前記記憶部に格納し、
前記復号器により、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続くインデックスから前記回帰的復号試行を開始し、
各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する、
通信装置。
【請求項2】
前記中間復号状態が、各パーティションの復号終了後あるいはSTEインデックスの前のビットに格納される請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記パーティション分割規則がSTEインデックスの位置および個数の少なくとも一方に依存する請求項1
または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記パーティションの前記少なくとも1つのSTEインデックスの復号ビットの信頼値を用いて、前記STE集合のSTEインデックスを前記信頼値の昇順にソートする、請求項1
-3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記所定のパーティション分割規則は全てのパーティションが1以上のSTEインデックスを有することを保証する請求項1
-4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
各パーティションにおける前記チェックサムが1以上のSTEインデックスでの前記少なくとも1つの復号ビットを用いて計算されることを保証する請求項1
-5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記回帰的復号試行が、所定回数に達するか、あるいは前記パーティションがエラーなく復号されるか、のいずれか早い方まで繰り返される、請求項1
-6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記チェックサムは、パリティ検査あるいは巡回冗長検査、またはハッシュコードの少なくとも1つである請求項1
-7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記STE集合は前記非凍結集合の部分集合である請求項1
-8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記制御部が、少なくとも1つのパーティションの少なくとも1つのSTEインデックスからの少なくとも対数尤度比(LLR)の絶対値を信頼値として用い、前記STEインデックスを絶対LLRの最低値から最高値へソートする請求項1
-9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記STE集合が以下の方法:
c)オフライン演算により前記フレームの各インデックスで最初の復号エラー発生確率を発見し、閾値と比較することで最初の復号エラー発生確率の比較的高いインデックスをリストアップする;
d)polar符号化ツリーを、各部分ツリーが全ての葉ノードを非凍結ノードとして有する部分ツリーに分割し、各部分ツリーの最初の葉ノードを選択する、
のうち少なくとも一方により取得される、請求項1
-10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記復号器が、逐次除去復号アルゴリズムおよび逐次除去リスト復号アルゴリズムの
一方を使用する請求項1
-11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
回帰的復号試行においてチェックサム失敗が最大回数発生した場合、前記フレームを破棄する請求項1
-12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
通信装置における通信方法であって、
polar符号のための復号器によって、所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号し、
記憶部によって、凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納し、
制御部によって、
前記復号器によりパーティションごとに所定の復号アルゴリズムに従った復号を実行し、復号ビットの信頼値に従って前記STE集合を生成し前記記憶部へ格納し、
前記チェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、
チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、
前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態を前記記憶部に格納し、
前記復号器を制御し、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続くインデックスから前記回帰的復号試行を開始し、
各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する、
通信方法。
【請求項15】
請求項1-13のいずれか1項に記載の通信装置へ前記符号語を送信する送信側通信装置であって、
前記凍結集合と、
前記非凍結集合と、
前記STE集合と、を格納する
送信側記憶部と、
入力ベクトルを符号化して符号語を出力する、polar符号のための符号化器と、
送信側制御部と、
を含み、前記
送信側制御部が、
フレームを
前記所定のパーティション分割規則に従って少なくとも1つのパーティションに分割し、各パーティションが予め定義された
前記チェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含み、
前記フレームに、情報ビット、前記少なくとも1つのチェックビットおよび凍結ビットを配置することで前記入力ベクトルを構築する、
送信側通信装置。
【請求項16】
符号語を受信する通信装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
復号器により、所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号する機能と、
記憶部により、凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する機能と、
制御部により、
前記復号器によりパーティションごとに所定の復号アルゴリズムに従った復号を実行し、復号ビットの信頼値に従って前記STE集合をソートし前記記憶部へ格納し、
前記チェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、
チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、
前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態を前記記憶部に格納し、
前記復号器を制御し、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続くインデックスから前記回帰的復号試行を開始し、
各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する、
ように前記コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項17】
前記中間復号状態が前記復号アルゴリズムの復号グラフにおける前記パーティションの最後のビットを復号するまでに計算された少なくとも1つのノードの対数尤度比(LLR)値および部分和として格納される請求項1-13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項18】
前記中間復号状態が前記復号アルゴリズムの復号グラフにおける前記パーティションの最後のビットを復号するまでに計算された少なくとも1つのノードの対数尤度比(LLR)値および部分和として格納される請求項14に記載の通信方法。
【請求項19】
前記中間復号状態が前記復号アルゴリズムの復号グラフにおける前記パーティションの最後のビットを復号するまでに計算された少なくとも1つのノードの対数尤度比(LLR)値および部分和として格納される請求項16に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はpolar(ポーラ)符号のための符号化および復号技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1で導入されたpolar符号は、2元入力離散無記憶対称(BI-DMS)クラスの通信路において容量達成が証明可能な第一の符号族である。2元入力加法性白色ガウス雑音(BI-AWGN)チャネル上で長さNのpolar符号を用いてKメッセージビットを符号化する際、比較的高い信頼性を有するK個のインデックスが選択され、非凍結インデックスと呼ばれるのが典型的である。インデックスの信頼性を定量化するために、さまざまなメトリクスが使用可能である。高い信頼性は低いエラー確率または低いバタチャリア(Bhattacharyya)パラメータで示され得る。メッセージソースによって生成されたメッセージビットは、これらの非凍結インデックスまたは非凍結集合に入れられる。残りの比較的信頼性の低いN-K個のインデックスは、凍結インデックスまたは凍結集合と呼ばれる。凍結インデックスは予め決められたビット(例えば0)で埋められてもよい。このようにして Kビットの情報を含む長さNのベクトルが構築される。このベクトルにpolar符号のN×N生成行列を乗じることで、polar符号の符号語を得ることができる。このようにして得られたpolar符号語は変調スキームを用いて変調され、通信チャネルを通して送信され得る。
【0003】
Polar符号のための典型的な受信機は、逐次除去(SC)復号アルゴリズムあるいは逐次除去リスト(SCL)復号アルゴリズムを採用することができる。非特許文献1に記載されたSC復号アルゴリズムは、各ビットを順次復号し、各ビットの復号を一度だけ試行する。各ビットの復号結果は後続ビットの復号に使用され得る。非特許文献2および3に記載されたSCL復号器は並列に実行され得る複数のSC復号器を含む。例えばリストサイズLのSCL復号器はL個のSC復号器を並列に実行することができる。このことは、各ビットが最大でL個の復号推定値に復号され得ることを意味する。L個の推定値のうちどれが正しいかについての)硬判定は即座に得られないかもしれない。Nビットのフレーム全体の復号が完了すれば、最大尤度を有する復号推定値のシーケンスが望む出力として選択され得る。別の変形例では、CRC支援SCL(CA-SCL)復号器は、復号推定値のL個のシーケンス(すなわち、並行して動作するL個のSC復号器の出力)に対してCRCテストを行い、CRCテストに合格した1つのシーケンスを選択することができる。SCLまたはCA-SCL復号器はL個のSC復号器を並列に実行するので、ハードウェア構成が非常に複雑化する可能性がある。
【0004】
図1に例示するように、任意の位置で復号エラーが発生した場合、この復号エラーは、エラー伝播によって後続ビットの復号に影響を与える可能性がある。フレーム内の全ビットの復号が終了すると、当該フレームは検証テスト(例えば、巡回冗長検査(CRC)を用いたテスト)を受けることができる。したがって、フレームに誤りが発見されると、演算資源、電力および復号時間が浪費された結果となり得る。復号エラーは、チャネル雑音が原因かもしれないし、あるいはそれ以前の復号エラーのエラー伝播が原因かもしれない。しかしながら、フレーム内の最初の復号エラーは、それ以前にエラービットが存在しないのだから常にチャネル雑音によって発生する。従って、エラー伝播はフレーム誤り率(FER)に影響を与えない。むしろ、エラー伝播はビットエラーレート(BER)を増加させるだけである。通常、チャネル雑音が原因で発生するエラーは少ない。ほとんどのビットエラーはエラー伝播による。したがって最初のエラービットのみを訂正することで大幅な性能向上が期待できる。
【0005】
SC復号時に発生する最初のエラーを識別する技術として、非特許文献4にSCフリップ復号器が提案されている。
図1において、SCフリップ復号器は、まず、SC復号を行い、第1の推定符号語^U1を生成する。符号語^U1がCRCチェックテストに失敗すると、SCフリップ復号器はスタートに戻り、符号語^U1で発生した最初のエラー位置を特定し、その誤ったビットをフリップする、という追加試行を少なくとも1回実行する。SCフリップ復号動作は数回試行され、各試行で異なる復号ビットがフリップされ、有効な符号語^Uが見つかったときに終了する。非特許文献5には、別のビットフリップ復号器が提案されている。非特許文献5は、高確率で最初のチャネル雑音によるビットエラーを含む可能性のあるインデックスを発見する方法が提示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】E. Arikan, ″Channel polarization: A method for constructing capacity-achieving codes for symmetric binary-input memoryless channels″, IEEE Transactions of Information Theory, vol. 55, pp. 3051-3073, July 2009.
【文献】I. Tal and A. Vardy, ″List decoding of polar codes″, IEEE Transactions of Information Theory, vol. 61, no. 5, pp. 2213-2226, May 2015.
【文献】Kai Niu et al. “CRC-aided decoding of polar codes”, IEEE Communications Letter, vol. 16, issue 10, Oct 2012.
【文献】O. Afisiadis et al. “A Low-Complexity Improved Successive Cancellation Decoder for Polar Codes”, IEEE, 2014 48th Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers.
【文献】Z. Zhang, K. Qin, L. Zhang, H. Zhang, and G. T. Chen, ``Progressive bit-flipping decoding of polar codes over layered critical sets,'' in Proc. IEEE Global Commun. (Globecom), Dec. 2017, pp. 1-6.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
SC復号法では、各ビットを復号する試行が一度だけ実行される。このために復号エラーが発生しても、それに気づくことができず、修正できない可能性がある。したがって、SC復号器が動作を終了した後、復号されたフレームに対してCRCテストを実行して復号エラーが特定されることになりかねない。これは、復号時間の浪費と不必要な電力消費の原因となり得る。このように従来のSC復号器では、遡って過去の復号エラーを修正できない可能性がある。
【0008】
SCL復号法では、複数のSC復号器を並列に動作させるために、ハードウェア資源が増大する可能性がある。最終段階で、多数の復号パスの中から1つが最終出力として選択され得る。これにより復号性能は向上するが、その代わりハードウェア資源の増大という代償を伴う。したがって、このような方式は、polar符号を採用した資源に制約のある通信端末、たとえばセンサモート(センサノード) やIoT(Internet of Things)機器などには、高価になりすぎる可能性がある。
【0009】
SCフリップ復号法では、最初のエラー位置を特定するために多くの試行を行う必要があり得る。最初のエラー位置を特定するための試行回数が多いほど消費電力が増加する。したがって電池または太陽電池を電源とする通信端末では、できるだけ早く最初のエラー位置を特定することが望ましい。
【0010】
センサモートあるいはIoT端末など資源に制約のある通信端末では、polar符号を採用する場合、SCL復号器のような高いハードウェア複雑性とSCフリップ復号器のような消費電力の増加を伴わず、SC復号器より優れた誤り訂正性能を実現する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、ハードウェアを複雑にすることなく、誤り訂正性能の向上および電力消費の改善を達成できる通信方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、通信装置は所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号する、polar符号のための復号器と、凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する記憶部と、前記復号器によりパーティションごとに所定の復号アルゴリズムに従った復号を実行し、復号ビットの信頼値に従って前記STE集合をソートし前記記憶部へ格納する制御部と、と有し、前記制御部が、前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態を前記記憶部に格納し、前記復号器を制御し、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続くインデックスから前記回帰的復号試行を開始し、各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する。
本発明の第2の側面によれば、通信方法は、polar符号のための復号器によって、所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号し、記憶部によって、凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納し、制御部によって、前記復号器によりパーティションごとに所定の復号アルゴリズムに従った復号を実行し、復号ビットの信頼値に従って前記STE集合をソートして前記記憶部へ格納し、前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態を前記記憶部に格納し、前記復号器を制御し、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続くインデックスから前記回帰的復号試行を開始し、各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する。
本発明の第3の側面によれば、符号語を受信する通信装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、復号器により、前記符号語のフレームが所定のパーティション分割規則に従ってパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含み、前記符号語を復号する機能と、記憶部により、凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する機能と、制御部により、前記復号器によりパーティションごとに所定の復号アルゴリズムに従った復号を実行し、復号ビットの信頼値に従って前記STE集合をソートして前記記憶部へ格納する機能と、前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算する機能と、チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態を前記記憶部に格納する機能と、前記復号器を制御し、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続くインデックスから前記回帰的復号試行を開始する機能と、各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する機能と、を前記コンピュータに実現する。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明によれば、復号エラーの発生位置を高精度に予測することができ、その結果、ハードウェアを複雑にすることなく、誤り訂正性能の向上と電力消費の改善を達成することができる。
したがって、本発明は、上記いくつかのステップとその1つ以上のステップの他のステップに対する関係、およびこれらのステップに影響する構成の特徴、要素の組合せおよび部分の配置を採用する装置からなり、これらの全てが以下の詳細な開示に例示され、本発明の範囲が特許請求の範囲に示される。上記目的に加えて、本発明の他の明白な利点は詳細な明細書および図面に反映される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は背景技術のSC復号法とSCフリップ復号法の復号シーケンスを説明する模式図である。
【
図2】
図2は本発明の一実施形態に係るプリコーディング動作の概要を例示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、符号化動作を一般的に説明するためのpolar符号の生成行列の一例を用いた符号化動作を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例によるプリコーディング動作の流れを示す模式図である。
【
図5】
図5はインデックスのSTE集合の構築例を示すpolar符号の樹形図である。
【
図6】
図6は例示的な実施形態によるフレーム分割の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は本発明の実施形態による復号動作の概要を例示するフローチャートである。
【
図8】
図8は
図3に示したプリコーディング動作に対応する復号動作の流れを例示する模式図である。
【
図9】
図9は本発明の例示的な実施形態による送信装置の機能構成を例示する模式図である。
【
図10】
図10は本発明の例示的な実施形態によるフレームパーティション及び各パーティションにおけるパリティチェック式を決定する例示的な動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は本発明の例示的な実施形態による受信装置の機能構成を例示する模式図である。
【
図12】
図12は本発明の例示的な実施形態による、各パーティションでビット反転が行われる順序を決定する動作を例示するフローチャートである。
【
図13】
図13は
図11に示す受信装置におけるビット反転動作の第1例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は
図11に示す受信装置におけるビット反転動作の第2例を例示するブロック図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例によるパーティション1に対する復号動作の例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、
図17のパーティション1に対する復号動作に続くパーティション2に対する復号動作の例を示す模式図である。
【
図19】
図19は本発明の例示的な実施形態による通信装置のアーキテクチャを例示するブロック図である。
【
図20】
図20は、本発明の例示的な実施形態による逐次除去復号器のアーキテクチャを例示するブロック図である。
【
図21】
図21はインデックスのSTE集合の構築のための他の例を示すpolar符号の樹形図である。
【
図22】
図22は、本発明の他の実施例によるパーティション1に対する復号動作の例を示す模式図である。
【
図23】
図23は
図22のパーティション1に対する復号動作に続くパーティション2に対する復号動作の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、「例示的」という用語は、「例、実例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。 本明細書で「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈する必要はない。
【0016】
1.例示的な実施形態の概要
上述したような背景技術の技術的課題は、本発明の例示的な実施形態の1つまたは複数の変形例によって解決することができる。
【0017】
本開示では、反復的な方法で複数の復号試行にわたって符号語を復号するための方法について説明する。最初の復号試行が復号失敗となった場合、1つ以上の回帰的復号試行(recurrent decoding attempts)が実行され得る。回帰的な復号試行は、回帰的な復号試行で1つ以上の復号ビットが反転される可能性を除けば、同じフレームを再度復号するステップからなる。通常、復号処理はビット反転操作の後に再開される。このような回帰的復号試行の最大回数は予め決められてもよい。復号試行後に復号エラーが検出されなければ、回帰的復号試行は不要になり得る。各回帰的復号試行には同じ復号器ハードウェアが使用されるので、従来のSC復号器と比較して追加のハードウェア資源は不要となるが、一部の実施形態では追加のメモリが必要になる場合もある。
【0018】
回帰的復号試行は、送信側装置でのpolar符号のための事前符号化(プリコーディング)および符号化(エンコーディング)を前提としてもよい。以下、事前符号化および符号化の動作について説明する。
【0019】
1.1) 事前符号化と符号化の動作
図2に例示するように、まず、経験的方法またはpolar符号のツリー構造を用いて、STE(Susceptible To Error;エラーになりやすい)インデックスの集合を決定する(動作S11)。これにより復号誤りを含む可能性が高いインデックスの集合が構築される。以下、このような集合をSTE集合と呼び、これについては後述する。STE集合を用いて、フレームが所定の分割規則に従って複数のパーティションに分割される(動作S12)。そして、パーティションのSTEインデックスに基づいて、各パーティションに対するチェックサム等式を求めることができる(動作S13)。チェックサム付きメッセージビットと凍結ビットとをフレームに配置することにより入力ベクトルUが構成される(動作S14)。入力ベクトルUはpolar符号の符号化器で符号化され、符号語Cが出力される(動作S15)。符号語Cは変調されて送信される。
【0020】
図3に例示するように、入力ベクトルUを生成行列Gと乗算することでれ符号語Vを出力することができる。生成行列Gは、次のように表すことができる。
【0021】
【数1】
ここで、BはN×Nビット反転順列行列、n=log
2N、および
【0022】
【数2】
は、後で定義する行列G
2のn回クロネッカ積である。ただし、行列の乗算を行わずに符号語を生成する実施形態もあり得る。
【0023】
以下、
図4~
図6に例示する事前符号化動作を例として、STE集合の構築とフレームのパーティション分割について説明する。
【0024】
1.2) エラーになりやすい(STE)集合の構築
図4を参照して、polar符号の符号化動作について説明する。長さNのpolar符号を構成するために、まず、インデックスの系列{0,1,…,N-1}が信頼値に基づいてソート(並び替え)され得る。N個のインデックスは、信頼性の昇順/降順に配列され得る。例えば、N個のインデックスは、復号エラー確率またはBhattacharyaaパラメータ(Z)の降順に配列される。なお、Bhattacharyyaパラメータは、復号エラー確率のメトリクスとして使用される。このようにソートされたインデックスの系列はメモリに格納されてもよい。
【0025】
図4おいて、N=16、K=8の場合、インデックス0,1,2,3,4,5,6,7,8は、凍結集合S21(網掛けで示す)に含まれ得る。また、インデックス7,9,10,11,12,13,14,15は、非凍結集合S22に含まれ得る。凍結集合のインデックスは固定ビット(例えば、″0″)S26で満たされ得る。メッセージビットは非凍結集合S27に配置され得る。メッセージビットは、非凍結集合に配置される前に、何らかの前処理を受けてもよい。例えば、非凍結集合に配置されるビットは、パリティチェックコードあるいはCRCコード、またはハッシュコードであってもよい。
図4に示す例では、インデックス{7,9,10,12}を含むSTE集合S23が構築されている。STE集合は、経験的な手法で求めてもよいし、解析的な手法で求めてもよい。
【0026】
経験的な方法によれば、コンピュータシミュレーションを多数回反復して実行し、所定のインデックスで復号エラーが起こる確率を求めることができる。より具体的には、あるフレームの最初の復号エラーがそのフレームのある与えられたインデックスで起こる確率を、シミュレーションによって求めることができる。そして、最初の復号エラーの発生確率が相対的に高いインデックスをSTE集合に含めることができる。このようなインデックスは、最初の復号エラーの発生確率を閾値と比較することによって選択され得る。閾値は、受信フレームに対して予め設定されてもよいし、動的に選択されてもよい。あるインデックスにおける最初の復号エラーの発生確率が閾値より大きい場合、そのインデックスはSTE集合に含まれ得る。SC復号器によって復号されたpolar符号の場合、最初の復号エラーは後続するビットに伝播する可能性がある。そのため、最初の復号誤りを発見し、それを訂正することで、そのような誤りの伝播を止めることができる。
【0027】
解析手法によれば、STE集合を設計する例示的な手法を
図5に示す。
図5に示すツリー構造は、polar符号のツリー構造である。当該ツリーの葉ノードはpolar符号化器への入力ベクトルを示す。また、葉ノードは、polar符号の復号器の出力であると仮定することもできる。特に、白丸ノードは凍結インデックスを示し、黒丸ノードは非凍結インデックスを示す。また、子ノードの両方が黒丸ノードである非リーフノードは黒丸ノードとして表記される。このようにして、黒丸ノードのみを持つ部分ツリーを得ることができる。
図5に示す例では、全ての葉ノードが非凍結インデックスである4つの部分ツリーが参照番号31、32、33、34で示されている。このような各部分ツリーの最初の(すなわち、最も左の)葉ノードは、STE集合に含まれ得る。この例のように、インデックス7、9、10、12はSTE集合に含まれる。このようにSTE集合の設計は、
図4に例示された凍結集合と非凍結集合の設計に依存し得る。
【0028】
STE集合を構築することで、復号障害の発生箇所を容易に発見することができる。本開示では、各パーティションにおける復号障害を検出する方法を用いることができる。そのような方法はパリティ検査テストを使用することができる。例示的な実施形態において、特定のパーティションのためのパリティ検査式は、そのパーティションの1つ以上のSTEインデックスを含んで設計されてもよい。例えば、パリティ検査式はパーティションのSTEインデックスのみを用いて設計されることが可能である。一つの例示的な方法では、そのようなパリティ検査式は、単純に、パーティションのSTEインデックスにおける復号されたビットのモジュロ2加算であってもよい。別の方法では、他の何らかの関数を使用することで、パーティションのインデックスを結合してチェックサム値を得ることができる。パーティションに単一の復号エラーがあると仮定すると、そのパーティションのSTEインデックスのいずれかに復号エラーがある場合、パリティチェックサムは失敗する。パリティチェックとは別に、パーティションにおける復号エラーを検出する他の方法は、CRC検査またはハッシュコードで構成されてもよい。例えば、符号化器で、パーティションのSTEインデックスでの情報をCRC符号を用いて符号化した後、polar符号化することが可能であろう。そして、復号器はパーティションを復号した後にCRC検査を行い、復号エラーの発生の有無を検出できる。また、上記の方法は符号語にパーティションが存在しない場合にも適用可能である。
【0029】
1.3) フレームパーティション分割(Frame partitioning)
図6に例示するように、フレームパーティション分割S24は、フレームを複数のパーティション(ここでは、3つのパーティション)に分割することによって実行され得る。パーティション分割を行う動機の1つは復号エラーを発見するための探索領域を狭めることである。またパーティション分割のもう一つの動機は、各回帰的復号試行で行われる計算回数を減少させることである。また、復号失敗を検出するテストは、より高い精度で復号失敗の位置を特定できるように各パーティションで実行されてもよい。各パーティションの長さは、同じであっても異なっていてもよい。例示的な一実施形態では、すべてのパーティションが同数のSTEインデックスを有するようにパーティション分割規則を適用することができる。なお他のパーティション分割規則も本発明の範囲内にあると解釈される。
【0030】
図4に戻り、フレームパーティション分割S24は、パーティション分割規則に従って、すべてのパーティションが同数のSTEインデックスを有するようにフレームをパーティション-1とパーティション-2に分割することによって行われる。この例では、パーティション-1は2つのSTEインデックス7、9を有し、パーティション-2は2つのSTEインデックス10、12を有する。この各パーティションのSTEインデックスのビットを用いて、チェックサム式(S25)に従ってチェックサムが計算される。チェックサムビットの伝送にいくつのSTEインデックスを使用するかは可変である。好ましくは、オーバーヘッドの増加を避けるために、各パーティションの最後または最後の数個のSTEインデックスを使用することができる。また、非STE非凍結インデックスであるインデックスにチェックサムビットを置くことも可能である。好ましい例として、符号化器で使用される事前符号化技術は、polar符号化を行う前に、ビットu7をu9に、ビットu10をu12にコピーすることである。上述したように、パーティション分割規則はSTEインデックスの位置と個数の少なくとも一方に依存する。
【0031】
凍結集合S21のインデックスは固定ビットで埋められてもよい(S26)。また、非凍結集合S22のインデックスはチェックサム付きのメッセージビットで埋められてもよい(S27)。このようにして構成された入力ベクトルUは、polar符号の符号化器によって符号化され、polar符号語Cが出力される(S28)。符号語Cは変調されて受信機へ送信される。受信機では、後述する回帰的復号試行により符号語Cが復号され得る。
【0032】
1.4) 回帰的復号試行
図7に例示するように、P個のパーティションのうちのいずれか1つであるパーティションpに対して最初の復号が行われる(動作S41)。ここでpは0以上でPより小さい数値である。パーティションpの1つ以上のインデックスは、パーティションpの復号されたビットの信頼値に従ってソートされる(動作S42)。信頼値の詳細については後述する(「1.5)ビット反転」の項を参照)。ソートされたパーティションpのインデックスは、復号器メモリに格納される(動作S43)。パーティションpの所定のインデックスの復号ビットは所定のチェックサム検査に用いられる。そして、チェックサム等式が失敗し、復号反復数iが所定の閾値i
maxより小さいか否かをチェックする(動作S44)。
【0033】
チェックサム等式が失敗し、i<imaxであれば(動作S44でYES、動作S45でYES)、フレーム内の中間位置から復号が再開され、復号反復数iが1つインクリメントされる(動作S46)。信頼値の昇順にソートされたインデックスから1つ以上のインデックスが順次選択され(動作S47)、選択したインデックスの復号ビットを反転させた後、復号を再開する(動作S48)。チェックサムテストが行われた後(動作S49)、処理は動作S44に戻る。チェックサム等式を満たす場合(動作S44でNO)、現在のパーティションpが最終パーティションに達していないかどうか、すなわちp<P-1であるかどうかがチェックされる(動作S50)。p<P-1のとき(動作S50でYES)、次のパーティション(p+1)に対する上述した動作(S41~S50)に処理が進められる。現在のパーティションpが最終パーティションである場合(動作S50でYES)、または復号反復数iがimaxに等しい場合(動作S45でNO)、処理は終了する。
【0034】
上述したように、最初の復号試行が復号に失敗した場合、1以上の回帰的復号試行が実行され得る。回帰的復号試行は、回帰的復号試行において1以上の復号ビットが反転される可能性を除いて、同じフレームを再び復号することからなる。通常、復号処理はビット反転操作の後に再開される。このような回帰的復号試行の最大回数(imax)は、予め設定することができる。復号試行後に復号エラーが検出されない場合は、復号試行の必要はない。各回帰的復号試行には同じ復号器ハードウェアが使用されるので、追加のメモリが必要となり得るいくつかの実施例を除いて、従来のSC復号器と比較して追加のハードウェア資源は不要となり得る。
【0035】
上記方法の一実施形態では、最初の復号試行で復号に失敗した場合、復号動作の再始動はフレームの先頭位置で実行され得るが、別の実施形態では、フレーム内の中間位置で復号動作が再始動され得る。例えば、そのような中間位置は復号失敗が検出されたパーティションの先頭位置とすることができる。別の実施形態では、中間位置は、復号失敗が検出されたパーティションの最初のSTEインデックスとすることができる。他の変形例では、中間位置は、計算の削減、待ち時間の短縮、スループットの改善等(これらに限定されないが)を含む他の利点を考慮して適切に選択することができる。
【0036】
図8を参照して、フレームが2つのパーティションに分割され、
図4に示すようにインデックス{7,9,10,12}を含むSTE集合が送信装置で構築されると仮定する。受信装置が受信ベクトルRの信頼値L
0~L
15を計算した後、最初の復号試行(i=0)を実行し、パーティション-1に対する復号ベクトル(^u
0, ^u
1, ..., ^u
9)とそれら信頼値を得る(S51)。信頼値に基づいて、STEインデックスは信頼値の昇順にソートされる(S52)。本実施例ではソートされたSTE集合は{9,7}であるとする。
【0037】
復号された所定のインデックスのビット^u7、^u9をチェックサム検査に用いて、所定のチェックサム等式が失敗するか否かをチェックする(S53)。初回の復号試行が復号に失敗した場合、信頼値の低いビット、すなわちi=1のときの^u9を反転させて再度の復号試行が行われる。チェックサム等式が再び失敗したときは、i=2のときの残りのビット^u7を反転させて復号試行が実行される(S54、S55)。チェックサム等式が満たされた場合にはパーティション-2に対して同様の復号動作が行われる。
【0038】
1.5) ビット反転
本開示の一実施形態によれば、パーティションにおける最初の復号試行の間に、1つ以上の復号ビットの信頼値を得ることが可能である。次いで、1つ以上のインデックスの信頼値は、それらの信頼値に従ってインデックスをソートするソータへ送信されてもよい。例えば、インデックスは、それらの信頼値の昇順でソートされてもよい。すなわち、その復号されたビットの信頼値が最も低いインデックスがソート済みリストの最初に位置する。失敗した最初の復号試行に続く各回帰的復号試行では、ソートされた所定のインデックスの集合から信頼値が低い1つ以上のビットが選択され、そのインデックスの復号ビットが反転されうる。そのような反転操作は、復号されたビットと1とのモジュロ2加算であってもよい。本開示の一実施形態において、最初の復号試行後にインデックスをソートするために使用される信頼値は対数尤度比(LLR)の絶対値であってもよい。本開示の一実施形態では、パーティション内のすべての復号されたビットの信頼値は、インデックスをソートするためにソータに送信されてもよい。別の実施形態では、パーティションのSTEインデックスのみが、それぞれの信頼値を使用してソートされてもよい。
【0039】
1.6) 回帰的復号試行の最大回数
本開示の1つの例示的な実施形態では、パーティションの各回帰的復号試行において、1つのビットのみが反転されてもよい。例えば、最初の回帰的復号試行において、ソートされたSTE集合からの第1のインデックスが反転されてもよい。最初の復号試行が依然として復号に失敗する場合、ソートされたSTE集合からの第2のインデックスが第2の回帰的復号試行の間に反転されてもよい。特定のパーティションに対する回帰的復号試行の最大試行回数は、パーティションを正しく復号するのにかかる試行回数、または所定の試行回数のいずれか小さいほうによって決定されてもよい。一実施形態では、特定のパーティションに対する回帰的復号試行回数の最大値は、そのパーティションに含まれるSTEインデックスの数によって決定されてもよい。上記の方法は、符号語にパーティションが存在しない場合にも適用することができる。
【0040】
2.例示的実施形態
以下、本発明の例示的な実施形態について、添付の図とともに詳細に説明し、最後に例示的なシナリオを使用して説明する。本明細書に記載された実施形態は、本発明の概念が多種多様な文脈で具現化され得るという事実を認める、本発明のいくつかの特定の表現の例示に過ぎない。したがって、以下の例示的な実施形態は本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
2.1) システム構成
本発明の例示的な実施形態に係る通信装置を、送信装置または受信装置として説明される。送信装置と受信装置とは1つの通信装置に統合されてもよい。
【0042】
<送信装置>
図9に例示するように、送信装置100は、メッセージ源101、polar符号の符号化方式のFEC(Forward Error Correction)符号化器102、変調器103および前処理ブロックを含むデータ送信機能を備えている。前処理ブロックは、前処理制御部104、凍結集合メモリ105、STE集合メモリ106およびパーティション分割メモリ107を含む。FEC符号化器102および前処理制御部104は、記憶装置(図示せず)に格納されたそれぞれのプログラムを実行するプロセッサ上に実装されてもよい。
【0043】
前処理制御部104は、凍結集合メモリ105に含まれる凍結集合インデックスに基づいてSTE集合を決定し、それらをSTE集合メモリ106に格納することができる。STE集合の決定は、
図5に示すようなツリー構造を用いて実行されうる。そのツリーは、各部分ツリーのすべての葉ノードが非凍結インデックスであるようにサブツリー31~34に分割される。そして、各部分ツリーの最初の葉ノードをSTE集合メモリ106に格納する。あるいは、インデックスのSTE集合は、オフラインのシミュレーションにより各インデックスにおける最初の復号エラーの発生確率を求めるために決定されうる。最初の復号エラーの発生確率が比較的高いインデックスがSTE集合メモリ106に格納されうる。
【0044】
STE集合メモリ106に含まれるインデックスのSTE集合に基づいて、前処理制御部104は、フレームパーティション分割を決定してもよい。一例として、
図6に例示されるように、フレームパーティションの所定数をパーティション-1、パーティション-2およびパーティション-3のように決定してもよい。各パーティションは、1つまたは複数のSTEインデックスを有してよい。例示的な実施形態では、各パーティションは、STEインデックスと同数を有してもよい。パーティションは、STEインデックスの位置の知識に基づいて適切に選択されてもよい。例えば、各パーティションは、そのパーティションにおける復号エラー位置のより良い検出を可能にする数のSTEインデックスを有してもよい。このように各パーティションに含まれるインデックスが得られ、パーティション分割メモリ107に格納されうる。
【0045】
メッセージ源101は、符号化され、その後送信される必要があるいくつかの情報ビットを生成する。一実施形態では、各パーティションに対応するパリティ検査式がメモリ(図示せず)に格納されてもよい。例示的な実施形態では、パリティ検査式は、そのパーティションのSTEインデックスにおけるビットのモジュロ2加算であり得る。前処理制御部104は、STEインデックスのモジュロ2加算を計算し、その結果をそのパーティションの最後のSTEインデックスに置いてもよい。続いて、得られたベクトルはFEC符号化器102に送信され、この符号化器がpolar符号の符号化アルゴリズムを用いて符号化し、polar符号語を出力してもよい。変調器103は符号語を変調し、符号語を送信のための無線周波数(RF)ユニット(図示せず)へ出力する。
【0046】
図10を参照して、フレームのパーティション分割とパリティ検査式の設計を決定する方法について説明する。まず、前述した方法を用いて、STEインデックスの集合を決定する(動作201)。フレームは、各パーティションがQ個のSTEインデックスを有するようにP個のパーティションに分割される(動作202)。次に、任意の与えられたパーティションのパリティ検査式は、そのパーティションのSTEインデックスにおけるビットのモジュロ2加算を計算することで得られる(動作203)。動作203に記載された方法は、パリティ検査式がモジュロ2加算のみであることに限定されるものではなく、そのパーティションの1つ以上のSTEインデックスを取り、1つ以上のパリティ検査ビットを出力する任意の可能な関数を含むものである。例えば、あるパーティションのSTEインデックスのビットをCRCコードあるいはハッシュコードで符号化し、そのパーティションの復号後の値の正しさはCRCコードあるいはハッシュコードで検証することが可能である。
【0047】
<受信装置>
図11に例示するように、受信装置300は、復調器301、FEC復号器302、復号メッセージ処理部303および復号ブロックを含むデータ受信機能を備えている。復号ブロックは、復号器制御部304、ソート済みSTE集合メモリ305および復号器メモリ306を含む。復号器制御部304は、パーティションが正しく復号されたかどうかを確認するために、各パーティションにおいて検査を実行する。この検査は、送信装置100で採用されているチェックサム機能を用いて行われる。FEC復号器302、復号メッセージ処理部303、復号器制御部304は、メモリ装置(図示せず)に格納されたそれぞれのプログラムを実行するプロセッサ上に実装されてもよい。
【0048】
受信ベクトルのLLRは計算され、FEC復号器302内部の復号アルゴリズムの入力として使用される。FEC復号器302は、LLRベクトルに対して復号アルゴリズムを実行して復号メッセージを生成し、復号メッセージ処理部303に出力される。復号器制御部304は、最初の復号試行後のSTEインデックスにおける復号ビットのLLRを取り、LLRの絶対値に基づいてそれらをソートする。さらに、復号器制御部303は、後述する各パーティションにおけるチェックビット計算も行う。
【0049】
2.2) 回帰的復号動作
<復号エラーの位置決定>
図12を参照して、本発明の例示的な実施形態による復号エラーの位置を決定する前処理について説明する。FEC復号器302がパーティションpにおいて最初の復号試行を行うとき(動作401)、STEインデックスの絶対LLR値が復号器制御部304に送信される。復号器制御部304は、STEインデックスの絶対LLR値のソートを実行する(動作402)。パーティションpのSTEインデックスがソートされ、ソート済みSTE集合メモリ305に格納される(動作403)。そして、復号器制御部304は回帰的復号の反復処理に進む。
【0050】
<第1例>
図13を参照して、回帰的復号試行の第1例について説明する。フレーム内にP個のパーティションが存在すると仮定する。復号器制御部304は、パーティションp(0=<p<P)においてパリティ検査式を計算し、パリティ検査式が失敗するかどうかをチェックする(動作501)。パーティションpでパリティ検査式が失敗した場合(動作501でYES)、復号器制御部304は、復号反復数iが所定の閾値i
maxより小さいか否かをチェックする(動作502)。i<i
maxの場合(動作502でYES)、 復号器制御部304はFEC復号器302にフレーム内の中間位置から再開するように指示し、復号反復数iを1つインクリメントする(動作503)。
【0051】
本実施形態では、 中間復号状態(部分和およびLLR)は、各パーティションが正しく復号されたことが確認された時点で、メモリに保存されると仮定する。中間復号状態(部分和およびLLR)の詳細については、
図20を参照しながら説明する。FEC復号器302は、現在p番目のパーティションを復号しているので、(p-1)番目のパーティションまで正しく復号されていることが確認されたことになる。したがって、(p-1)番目のパーティション以降の中間復号状態は、復号器メモリ306に格納される。パーティションpでの復号に失敗すると、FEC復号器302はパーティションpの最初のビットに戻り、パーティションp-1終了時の中間復号状態の格納値をコピーし、そこから復号を再開する(動作503)。このように、フレームの中間位置で復号反復を開始することにより、回帰的復号試行において、フレームの先頭からの全ビット復号するという不要な復号処理をスキップすることが可能となる。別の例では、復号器の中間復号状態は、パーティションの最初のSTEインデックスの直前に保存される。したがって、そのパーティションの最初のSTEインデックスから直接に回帰的復号試行を開始することができる。
【0052】
回帰的復号試行において、信頼値の昇順にソートされたSTEインデックスから1つ以上のインデックスを順次選択し(動作504)、選択したインデックスでの復号ビットをモジュロ2演算を用いて1を加えることにより反転する(動作505)。そして復号を再開しパーティションpの終わりまで実行する(動作506)。 その後、復号器制御部304は、動作501に戻る前にチェックサムテストを実行する(動作507)。
【0053】
チェックサム式を満たす場合(動作501でNO)、現在のパーティションpが最終パーティションに到達していないか(p<P-1)をチェックする(動作508)。p<P-1であれば(動作508でYES)、処理を次のパーティション(p+1)に対する前述の動作401~403、501~508へ進める。現在のパーティションpが最終パーティションであるとき(動作508でNO)、または復号反復数iがimaxに等しいとき(動作502でNO)、処理を終了する。
【0054】
図14に模式的に例示されるように、上述したビット反転を伴う回帰的復号試行は各パーティションに対して繰り返される。
【0055】
ビット反転(動作505)は、単に0を1に置き換えること、およびその逆を指す場合もある。前述したようにビット反転動作は以下の条件に基づいて実行される。
(1) 初回の復号試行時ではなく、回帰的復号試行時にのみ実行される。
(2) 絶対LLR値の昇順にソートされたSTEインデックスに対して実行される。つまり、最初の回帰的復号試行では、そのパーティションでソートされたSTE集合の最初のインデックスにビット反転演算が実行され得る。
(3) 与えられたパーティションにおいて、例示的なソートされたSTE集合が{s, t, u, v}である場合を考える。インデックスsは復号された推定値に対して信頼値が最も低く、インデックスvは復号された推定値に対して信頼値が最も高いと仮定する。ここで、信頼値はLLRの絶対値あるいはその他のパラメータで明示することができる。最初の復号試行が復号失敗で終了した場合、インデックスsは最初の回帰的復号試行でビット反転演算が施される。他のすべてのビットは、パーティションが終了するまで通常通り復号される(動作506)。パリティ検査式で復号失敗が検出され(動作501でYES)、i<imaxであれば(動作502でYES)、先に述べたような他の条件を満たすことを条件に、2回目の回帰的復号試行を開始することができる。この第2の復号試行では、選択されたSTEインデックスtでの復号ビットがビット反転動作等の対象となり、以下同様である。
(4) いくつかの実施形態では、同じ回帰的復号試行において、2以上のインデックスでビット反転操作を施されることが可能である。
【0056】
<第2例>
図15を参照して、回帰的復号試行の第2例を説明する。この例では、各パーティション後に中間復号状態(部分和およびLLR)がメモリに保存されないと仮定される。したがって、最初の復号試行が失敗に終わり(動作601でYES)、i<i
maxであれば(動作502でYES)、回帰的復号試行は、パーティションの先頭位置ではなく、フレームの先頭位置から再始動される(動作603)。なお、他の動作604~608は、
図13に示した動作504~508と同様である。
【0057】
図16に例示するように、前述したビット反転を伴う回帰的復号試行の第2例は、フレームの先頭から繰り返される。この方法の利点は、一つのパーティション後の中間復号状態を保存するための追加メモリが不要であることである。したがって、追加メモリの要件は、それ以前の全パーティションの追加計算と引き換えとなる。
【0058】
3.例
3.1)第1例
図17および
図18は、本開示による復号器の第1例による復号器の説明図である。以下、
図17、18、20、22、23において、SC復号器の出力^uは、
【0059】
【0060】
図17を参照して、長さ16のpolar符号が2つのパーティションに分割されている場合を考える。復号器302は、逐次除去復号アルゴリズムを採用する。復号器302は、チャネル出力のLLR(LLR(r
0)、LLR(r
1)、...、LLR(r
15))を入力する。復号器302は、パーティション1の最初の復号試行(i=0で示す)を開始する。その結果、パーティション1の8つの復号ビットの各々に対応する2タプル出力が得られる。この2タプルは、復号された推定値^uとLLRとからなる。本例におけるpolar符号のSTE集合は、先に
図4、
図5を用いて説明したように{7、9、10、12}であるとする。また、フレームは2つのパーティションに分割され、各パーティションが2つのSTEインデックスを含むmのとする。このように、ここで使用されるパーティション分割規則は、各パーティションにおけるSTEインデックスの分布が均等であることを前提とする。なお、パーティション分割のための他の規則を用いることもできる。
【0061】
本例では、
図4に例示するように、パーティション1が最初の10ビット、パーティション2が最後の6ビットを含む場合を考えるものとする。第1パーティションのSTE集合は{7,9}であり、第2パーティションのSTE集合は{10,12}である。ここで、符号化器で使用される事前符号化技術の一例として、polar符号化を行う前にビットu
7をu
9にコピーする技術を考える。この事前符号化技術は、基本的に、復号器制御部304がパーティション1が誤りなく復号されたかどうかをチェックすることを可能にする。パーティション2において同じ事前符号化技術を適用し、ビットu
10がu
12にコピーされ得る。これにより、復号器制御部304はパーティション2が正しく復号されたかどうかを確認することができる。送信装置100の前処理制御部104は、この事前符号化動作を実行することができる。こうして、事前符号化されたベクトル(u
0, u
1, u
2, ... , u
15)が得られ、これがFEC符号化器102によりpolar符号化される。結果として得られるpolar符号語は(c
0, c
1, c
2, ... , c
15)であり、これが適切に変調され、通信チャネルを通して送信され得る。
【0062】
受信装置300がベクトル(r0, r1, r2, ..., r15)を受信すると仮定する。 受信装置300において、FEC復号器302は受信ベクトルのLLRを計算し、SC復号アルゴリズムへ入力として供給することができる。したがって、インデックス{7,9}の集合からの復号ビットのLLRの絶対値はパーティション1における最初の復号試行(i=0)の後、復号器制御部304に実装されたソート動作用の比較器へ送られる。ここでは{9,7}としてソートされると仮定する。試行i=0でビット^u9が復号されると、^u7+^u9==0が成立するかどうかをテストが実行される。この式が成立する場合(YES)、復号器はパーティション2の復号に進む。この式が成立しない場合(NO)、復号器302は、パーティション1の先頭位置から回帰的復号試行を開始する(i=1)。復号器302は、回帰的復号試行i=1において、^u8までの以前と同様に復号を行う。^u9を復号すると、復号ビット^u9を反転させる。そして、回帰的復号試行i=1 の後にチェックサム式 ^u7+^u9==0が再度テストされる。この式が整理すれば(YES) 、復号器302はパーティション2の復号に進む。チェックサム式が成立しない場合(NO)、復号器302はパーティション1の先頭位置から回帰的復号試行(i=2)を開始する。復号器302は、回帰的復号試行i=2において、^u6までの依然と同様に復号を実行する。^u7を復号すると、復号ビット^u7を反転させる。そして、パーティション1での残りの復号が通常通り行われ、チェックサム式^u7+^u9==0がテストされる。 回帰的復号試行回数i=2の後、パーティション1の終了時にチェックサム式が不成立であれば、復号器は復号処理を終了し、当該フレームを廃棄することができる。
【0063】
図18を参照して、
図17の例の続きとして、例示的な実施形態を説明する。パーティション1が正しく復号されたと仮定すると、復号試行iは0にリセットされ、復号器302は次にパーティション2の復号に進む。パーティション2のSTEインデックス{10,12}の絶対LLR値は、これらのインデックスでの最初の復号試行(i=0)の後、復号器制御部304に実装されたソート動作のための比較器へ送られる。ここでは、それらが{10,12}としてソートされると仮定する。試行i=0でビット^u
15が復号されると、^u
10+^u
12==0が成立するかどうかがチェックされ得る。この式が成立すると(YES)、復号器302は当該フレームの復号を終了する。この式が不成立であれば(NO)、復号器302はパーティション2の開始点から回帰的復号試行を開始する(i=1)。復号器302は、回帰的復号試行i=1において、^u
9までの依然と同様に復号を実行する。^u
10を復号すると、復号ビット^u
10を反転させる。そしてパーティション2での残りの復号が通常通り行われる。チェックサム式^u
10+^u
12==0は、回帰的復号試行i=1においてビット^u
12を復号した後に再度テストされる。この式が満たされる (YES)と、復号処理は終了する。チェックサム式を満たさない場合(NO)、復号器はパーティション2の開始点から回帰的復号試行(i=2)を開始する。復号器302は、回帰的復号試行i=2において、^u
11までの以前と同様の復号を実行する。^u
12を復号すると、復号ビット^u
12を反転させる。その後、チェックサム式^u
10+^u
12==0がテストされる。チェックサム式が回帰的復号試行i=3の後に失敗した場合、復号器302は当該復号プロセスを終了し、当該フレームを廃棄することができる。
【0064】
3.2)CRC符号を用いた第2例
本開示の実施形態によれば、送信装置100の前処理制御部104が、フレームまたはパーティションのSTEインデックスにおけるビットをCRCコードで符号化することが可能である。例えば、所定のパーティションにおけるSTE集合のサイズがXである場合、そのパーティションにおいてRビットCRCコードを使用して、X-R個のSTEインデックスにおける情報を符号化し、得られたRビットCRCが残りのR個のSTEインデックスに格納されうる。別の例によれば、長さRのCRCコードによって与えられたパーティションであれば、すべてのX個のSTEインデックスでの情報ビットを符号化することが可能であり、RビットCRCはそのパーティションの非STEインデックスに配置され得る。このようにして得られた事前符号化されたベクトルは、FEC符号化器102がpolar符号を用いてさらに符号化され得る。復号器では、そのパーティション内のすべてのSTEインデックスとCRCビットとが復号されると、CRC検査を行うことが可能である。検査が失敗した場合、復号器は、既に説明したように、回帰的復号試行のためにフレームまたはそのパーティションの開始時点から再始動され得る。各回帰的復号試行において、STE集合における少なくとも1つの復号ビットを反転され得る。CRC事前符号化をパーティションのすべての非凍結インデックスではなくSTEインデックスのみに制限することによって、パーティションにおける復号エラーの効率的な検出のために必要なCRCビット数を低減することが可能である。これにより、計算量の低減だけでなく、CRCオーバーヘッドの低減も可能となる。またCRCオーバーヘッドを低減することにより、各パーティションにおいてより多くの情報ビットを伝送することが可能となる。
【0065】
3.3) インターリーブCRC符号を用いた第3例
別の例として、フレーム全体に対して単一のCRC多項式を使用することができる。この方法において、各パーティションが少なくとも1つのCRCビットを含むようにフレーム内のCRCビットをインターリーブすることが可能である。ひとつの例示的な方法では、各フレームのCRCビットがそのパーティションのSTEインデックスから計算できるようにCRCビットがインターリーブされる。他の方法では、所与のパーティションのCRCビットは、そのパーティションまたは1つ以上の前のパーティションのSTEインデックスを使用して計算され得る。CRCビットのインターリーブは、選択されたCRC多項式のパリティ検査行列を使用して実行可能である。メッセージ源から生成されたメッセージビットは、最初にCRC符号化器によって符号化され、CRC符号語を生成することができる。パリティ検査行列Hは、以下のように計算され得る。g(x)は次数CのCRC多項式を表すとする。Mは生成多項式の周期であり、g(x)がxM-1を除算するような最小の正の整数として定義されうる。CRC多項式g(x)の周期Mを計算する場合、周期M を求める方法は、g(x)のC+1項の係数をシフトレジスタに充填し、初期配列が再び現れるまでシフトレジスタ上で循環シフト操作を行う。シフト操作の回数はg(x)の周期として数えることができる。h(x)をCRCのパリティ検査多項式とすれば、h(x)は次のようにして得ることができる:
h(x)=(xM+1)/g(x)。
H行列の最後の行は、h(x)の最後のK+C項の係数から得ることができる。そして、最後の2行目から最初の行までのH行列の上記の各行は、前の行の1回の左シフト操作によって得ることができる。例えば、最後の2行目は最後の行の1回の左シフトによって得られ、最初の行は最後の行のC-1回の左シフトによって得られ、以下同様である。このようにして、CRC符号のパリティ検査行列Hを得ることができる。
【0066】
次に、H行列を用いてインターリーバを生成する方法について説明する。CRCのdビットをインターリーブしたい場合、Hの最初のd行に対して何らかの列操作を実行することができる。このような列操作は次のように実行されうる:最初の行において、値1を有するすべての列がH行列の左端の位置に押し込まれる。つまり、第1行の列置換を行うことで、第1行の先頭から1が連続し、それに続いて最後まで0が連続する。第2行では、第2行で値が1であるが第1行で値が0である全ての列は、第1行の最後の1を持つ列の直後の連続した位置に押し込まれる。 同様に、第3行では、第3行で値が1であるが第1行および第2行で値が0である全ての列は、第2行の最後の1を持つ列の直後の連続した位置に押し込まれる。このような列置換をH行列の最初のd行に対して行い、置換後の列インデックスを記憶することで、インターリーブパターンを得ることができる。この後、置換されずに残っているHの残りの列のインデックスがあれば、インターリーバ1の最後に自然な順序で格納することができる。このようにして、CRC符号語のインターリーブパターンを得ることができる。この方法には多くのバリエーションがあり、H行列の列は必ずしも左端に押し込まれる必要はない。その代わりに列は、できる限りではなく、いくつかの位置だけ左側に押し込まれてもよい。このような列の再配置を行う多くの方法がより適切なインターリーブパターンを生成するために実行可能である。
【0067】
3.4) SCL復号器のための第4例
上述した実施形態を使用して説明した方法は、SCまたはSCL復号器で使用されてもよい。SCL復号器の場合、回帰的復号試行とビット反転の方法は、生き残っている復号パスの1つ以上に適用され得る。
【0068】
本発明の上記実施形態および実施例において、長さNのpolar符号の符号語は、uにビット反転置換行列Bおよび(N×N)生成行列を乗じることにより、以下のように構成することができる。
【0069】
【数4】
この符号語cは通信チャネルを通して送信される。
【0070】
復号推定値^uiに対応する対数尤度比(LLR)値は、以下の式で表すことができる。
【0071】
【0072】
【数6】
はi番目のサブチャネルの遷移確率、y
0
N-1は長さNのチャネル出力、u
0
i-1は既に復号されたビット列u
0からu
i-1である。
【0073】
以上説明した本発明の例示的な実施形態および実施例は、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサ上で実現することができる。
【0074】
4.別の例示的な実施形態
図19に例示する、通信装置700には、少なくとも
図9に示す送信装置100が設けられ、上述したSTEインデックスの選択機能、フレームパーティション分割機能、各パーティションにおける復号失敗の検出のためのパリティ検査式などが含まれうる。通信装置700は、メモリ701、プロセッサ702、プログラムメモリ703、通信インタフェース704、その他通信に必要なユニットを含む。メモリ701は、さらに、少なくとも非凍結集合711、STE集合712、ソート済みSTE集合713、パリティ検査式714、復号器中間状態715を格納するメモリから構成される。プログラムメモリ703は、
図9に示すように、少なくとも前処理制御部104およびFEC符号化器102を実現するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを格納してもよい。プログラムメモリ703に格納されたプログラムによれば、プロセッサ702は、メモリ701内の非凍結集合711およびSTE集合712を用いて、上述のようにパリティ検査式714に格納されたチェックビット式に従ってチェックビットを構築する。回帰的復号試行中、ビット反転操作はソートされたSTE集合712からのインデックスに対して実行される。回帰的復号試行が現在のパーティションの先頭から開始される実施形態では、前のパーティションの終わりにおける復号器中間状態715がメモリ701に格納されてもよい。
【0075】
復号器中間状態とは、逐次除去復号の復号グラフにおけるN*log2(N)ノードのうち1つ以上のノードでの部分和よびLLR値と理解されうる。
【0076】
図20を参照して、逐次除去復号アルゴリズムにおける復号グラフの例を示す。
図20は、長さN=8のpolar符号の復号を示す。グラフの右端には、チャネル出力のLLR(r
0)、LLR(r
1)、・・・、LLR(r
7)が入力として供給される。このグラフは、N*log
2(N)= 8*log
2(8)=24個のノード(黒丸の実線で示す)のそれぞれで2タプル(LLR、部分和)を計算することができる。復号された推定値 (^u
0, ^u
1, ..., ^u
7)は、グラフの左端に出力として得られる。一例として、長さN=7のpolar符号を2つのパーティションに分割し、第1のパーティションを(u
0, u
1, u
2, u
3)、第2のパーティションを(u
4, u
5, u
6, u
7)で構成した場合を考える。復号器が第1パーティションを正しく復号した場合、第1パーティションの最後のビットを復号するまでに計算された復号グラフのノード、すなわち^u
3のLLRと部分和を格納することができる。その後、復号器は第2パーティションの復号を続行することができる。第2パーティションで復号エラーが発生した場合、復号器は第1パーティションの保存値をロードし、第2パーティションでのみ回帰的復号試行を開始することができる。これにより、回帰的復号試行毎に第1パーティションを繰り返し復号する必要がなくなり、複雑さを軽減することができる。
【0077】
復号グラフの中間状態における部分和およびLLRの値は、復号器中間状態715としてメモリ701に格納されてもよい。例えば、各パーティションの後にこのような中間状態を格納することにより、中間状態の以前の値をメモリから容易に得ることができるため、現在のパーティションの先頭から回帰的復号試行を開始することが可能となる。これにより、現在のパーティションに限定して回帰的復号試行を実行できるため、回帰的復号試行における総計算回数を減らすことができる。なお、メモリ701の復号器中間状態715は、最大でN*log2(N)部分和および同数のLLR値を格納するだけでよい。パーティションが正常に復号されると、メモリは部分和とLLR値の最新値で更新され得る。
【0078】
復号グラフの中間状態は、パーティションの終了後、必ずしもメモリに格納される必要はない。いくつかの実施形態では、復号グラフの中間状態がメモリ内で更新されるインデックス位置はパーティション境界と関係なくてもよい。それは、回帰的復号試行の間の計算を減らすことができる任意の他の適切な位置であることができる。例えば、復号グラフの中間状態を、パーティションの最初のSTEインデックスの前のビットに格納することができる。このような技術を採用することにより、回帰的復号試行をパーティションのSTEインデックスから直接開始することができる。また、他のいくつかの実施形態では、復号グラフの中間状態は、望むだけ何度もメモリ内で更新されてもよい。当業者であれば、そのような適切な位置を他に変形することは可能なはずである。そのような技術はすべて、本開示の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【0079】
図21を参照して、長さ32のpolar符号のためのSTE集合を取得する第2例を紹介する。部分ツリーは、参照番号801、802、803、804、805、806、807として識別される。インデックス{11、13、14、19、21、22、24}からなるSTE集合が形成される。
【0080】
図22を参照すると、長さ32のpolar符号と、
図21から計算されたSTE集合とを用いて、本発明の第2例が提供されている。フレームは、インデックス(u
0, u
1, u
2, ... , u
15)からなる第1のパーティションと、インデックス(u
16, u
17, u
18, ... , u
31)からなる第2のパーティションとに分割される。第1パーティションには3つのSTEインデックス(u
11, u
13, u
14)が含まれ、第2パーティションには4つのSTEインデックス(u
19, u
21, u
22, u
24)が含まれる。第1パーティションはパリティ方程式 u
14=u
11+u
13を採用し、第2パーティションはパリティ方程式u
24=u
19+u
21+u
22を採用する。各パーティションのSTEインデックスは、そのパーティションの最初の復号試行時の絶対LLR値によりソートされ、そのパーティションの各回帰的復号試行時にソート順番が反転する(最小の絶対LLRが先頭のインデックスとなる)。なお、送信装置の前処理制御部は、パリティ検査式に従って情報ベクトルを事前符号化し、その後、事前符号化されたベクトルをpolar符号化する。
【0081】
本開示によって提供される様々な実施形態はハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して適宜実装され得る。 また、本明細書に記載の様々なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアコンポーネントは、本開示の精神から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェアおよび/または両方を含む複合コンポーネントに適宜組み合わせることができる。本明細書に記載の様々なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアコンポーネントは、本発明の精神から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェアまたはその両方を含むサブコンポーネントに適宜分離することができる。さらに、ソフトウェアコンポーネントをハードウェアコンポーネントとして適宜実装することができ、その逆も可能である。
【0082】
本開示の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は本開示を例示するものであり限定するものではない。たとえば、凍結集合は、復号器に事前に認識されている任意の定数ビットパターン(すべてゼロのパターンに限定されない)を持つことができる。polar符号化に使用される生成行列は以下に示すもののn回クロネッカ積以外の形式でもよい。
【0083】
【数7】
異なる行列を分極カーネルとして使用することもできる。たとえば次の行列を別の分極カーネルとして使用可能である。
【0084】
【0085】
検査ビットはパリティ検査または巡回冗長検査ビット以外の形式であってもよい。本開示では、検査ビットを生成するために使用される検査関数のタイプは制限されない。たとえば、非凍結集合あるいは凍結集合の一部または全部を使用する任意の種類のパリティ検査関数を使用できる。インデックスの信頼性は、エラー確率またはBhattacharyyaパラメータ以外のメトリックによって評価されてもよい。数4に示されるビット反転置換行列Bは符号化に使用されてもよいし使用されなくてもよい。
【0086】
デバイスによって実行されるコンピュータプログラムのような、本開示に従ったアプリケーションソフトウェアは1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に格納され得る。ここで特定されるステップは、ネットワーク化されていようといまいと1つまたは複数の汎用または特定目的のコンピュータおよび/またはコンピュータシステムを使用して実施され得ると考えられる。本明細書に記載の様々なステップの順序は適宜変更できるし、複合ステップに結合し、および/またはサブステップに分離して、本明細書に記載の特徴を提供可能である。
【0087】
また、本開示の実施形態は、これらの実施形態に限定されるべきではなく、本開示の原理に従って当業者によって多数の修正および変形がなされ、以下にクレームされる本開示の精神及び範囲に含まれ得ることが理解されるべきである。
【0088】
以上の例示的な実施形態は、polar符号化および復号を採用した通信システムに適用可能である。
【0089】
5.技術用語
本明細書における、ユーザー端末(User Equipment、 UE)(もしくは移動局(mobile station)、移動端末(mobile terminal)、 モバイルデバイス(mobile device)、または無線端末(wireless device)などを含む)は、無線インタフェースを介して、ネットワークに接続されたエンティティである。
本明細書は、専用の通信装置に限定されるものではなく、次のような通信機能を有する任意の機器に適用することが可能である。
用語として「(3GPPで使われる単語としての)ユーザー端末(User Equipment、UE)」、「移動局」、「移動端末」、「モバイルデバイス」、「無線端末」のそれぞれは、一般的に互いに同義であることを意図しており、ターミナル、携帯電話、スマートフォン、タブレット、セルラIoT端末、IoTデバイス、などのスタンドアローン移動局であってもよい。用語として「移動局」「移動端末」「モバイルデバイス」は、長期間にわたって備え付けられている装置も包含することが理解されよう。
またUEは、例えば、生産設備・製造設備および/またはエネルギー関連機械のアイテム(一例として、ボイラー、機関、タービン、ソーラーパネル、風力発電機、水力発電機、火力発電機、原子力発電機、蓄電池、原子力システム、原子力関連機器、重電機器、真空ポンプなどを含むポンプ、圧縮機、ファン、送風機、油圧機器、空気圧機器、金属加工機械、マニピュレータ、ロボット、ロボット応用システム、工具、金型、ロール、搬送装置、昇降装置、貨物取扱装置、繊維機械、縫製機械、印刷機、印刷関連機械、紙工機械、化学機械、鉱山機械、鉱山関連機械、建設機械、建設関連機械、農業用機械および/または器具、林業用機械および/または器具、漁業用機械および/または器具、安全および/または環境保全器具、トラクター、軸受、精密ベアリング、チェーン、歯車(ギアー)、動力伝動装置、潤滑装置、弁、管継手、および/または上記で述べた任意の機器又は機械のアプリケーションシステムなど)であっても良い。
またUEは、例えば、輸送用装置のアイテム(一例として、車両、自動車、二輪自動車、自転車、列車、バス、リヤカー、人力車、船舶(ship and other watercraft)、飛行機、ロケット、人工衛星、ドローン、気球など)であっても良い。
またUEは、例えば、情報通信用装置のアイテム(一例として、電子計算機及び関連装置、通信装置及び関連装置、電子部品など)であっても良い。
またUEは、例えば、冷凍機、冷凍機応用製品および装置、商業およびサービス用機器、自動販売機、自動サービス機、事務用機械及び装置、民生用電気・電子機械器具(一例として音声機器、スピーカー、ラジオ、映像機器、テレビ、オーブンレンジ、炊飯器、コーヒーメーカー、食洗機、洗濯機、乾燥機、扇風機、換気扇及び関連製品、掃除機など)であっても良い。
またUEは、例えば、電子応用システムまたは電子応用装置(一例として、X線装置、粒子加速装置、放射性物質応用装置、音波応用装置、電磁応用装置、電力応用装置など)であっても良い。
またUEは、例えば、電球、照明、計量機、分析機器、試験機及び計測機械(一例として、煙報知器、対人警報センサ、動きセンサ、無線タグなど)、時計(watchまたはclock)、理化学機械、光学機械、医療用機器および/または医療用システム、武器、利器工匠具、または手道具などであってもよい。
またUEは、例えば、無線通信機能を備えたパーソナルデジタルアシスタントまたは装置(一例として、無線カードや無線モジュールなどを取り付けられる、もしくは挿入するよう構成された電子装置(例えば、パーソナルコンピュータや電子計測器など))であっても良い。
またUEは、例えば、有線や無線通信技術を使用した「あらゆるモノのインターネット(IoT:Internet of Things)」において、以下のアプリケーション、サービス、ソリューションを提供する装置またはその一部であっても良い。
IoTデバイス(もしくはモノ)は、デバイスが互いに、および他の通信デバイスとの間で、データ収集およびデータ交換することを可能にする適切な電子機器、ソフトウェア、センサ、ネットワーク接続、などを備える。
またIoTデバイスは、内部メモリの格納されたソフトウェア指令に従う自動化された機器であっても良い。
またIoTデバイスは、人間による監督または対応を必要とすることなく動作しても良い。
またIoTデバイスは、長期間にわたって備え付けられている装置および/または、長期間に渡って非活性状態(inactive)状態のままであっても良い。
またIoTデバイスは、据え置き型な装置の一部として実装され得る。IoTデバイスは、非据え置き型の装置(例えば車両など)に埋め込まれ得る、または監視される/追跡される動物や人に取り付けられ得る。
人間の入力による制御またはメモリに格納されるソフトウェア命令、に関係なくデータを送受信する通信ネットワークに接続することができる、任意の通信デバイス上に、IoT技術が実装できることは理解されよう。
IoTデバイスが、機械型通信(Machine Type Communication、MTC)デバイス、またはマシンツーマシン(Machine to Machine、M2M)通信デバイス、と呼ばれることもあるのは理解されよう。
またUEが、1つまたは複数のIoTまたはMTCアプリケーションをサポートすることができることが理解されよう。
MTCアプリケーションのいくつかの例は、以下の表(出典:3GPP TS22.368 V13.2.0(2017-01-13) Annex B、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている。このリストは、網羅的ではなく、一例としてのMTCアプリケーションを示すものである。
【0090】
【0091】
アプリケーション、サービス、ソリューションは、一例として、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)サービス/システム、防災無線サービス/システム、構内無線電話(PBX(Private Branch eXchange:構内交換機))サービス/システム、PHS/デジタルコードレス電話サービス/システム、POS(Point of sale)システム、広告発信サービス/システム、マルチキャスト(MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service))サービス/システム、V2X(Vehicle to Everything:車車間通信および路車間・歩車間通信)サービス/システム、列車内移動無線サービス/システム、位置情報関連サービス/システム、災害/緊急時無線通信サービス/システム、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービス/システム、コミュニティーサービス/システム、映像配信サービス/システム、Femtoセル応用サービス/システム、VoLTE(Voice over LTE)サービス/システム、無線TAGサービス/システム、課金サービス/システム、ラジオオンデマンドサービス/システム、ローミングサービス/システム、ユーザー行動監視サービス/システム、通信キャリア/通信NW選択サービス/システム、機能制限サービス/システム、PoC(Proof of Concept)サービス/システム、端末向け個人情報管理サービス/システム、端末向け表示・映像サービス/システム、端末向け非通信サービス/システム、アドホックNW/DTN(Delay Tolerant Networking)サービス/システムなどであっても良い。
なお、上述したUEのカテゴリは、本明細書に記載された技術思想及び実施形態の応用例に過ぎない。これらの例に限定されるものではなく、当業者は種々の変更が可能であることは勿論である。
【0092】
6.付記
例示的な実施形態は、3GPP LTE MU-MIMOシステムに適用可能である。本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化することができる。したがって、上述した例示的な実施形態および実施例は、すべての点で例示的であり、制限的ではないと考えられ、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の請求項によって示され、請求項の意味および同等性の範囲内に入るすべての変更は、したがって、そこに包含されることを意図している。 また、上述した例示的な実施形態の一部または全部は、以下の補足説明として記載することができるが、これに限定されるものではない。
(付記1)
所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号する、polar符号のための復号器と、
凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する記憶部と、
制御部と、
を有し、
前記制御部が、
前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、
チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、
各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する、
通信装置。
(付記2)
前記制御部が、a)前記フレームの先頭位置;およびb)前記パーティションの先頭位置の少なくとも一方から前記回帰的復号試行を開始する、付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記回帰的復号試行がフレームの先頭位置から開始されない場合、前記フレームの少なくとも1つの非先頭インデックスからの前記復号器の中間復号状態が前記記憶部に更に格納される、付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記復号器が、前記記憶部に格納された前記復号器の前記中間復号状態に対応する中間インデックスに続く第1インデックスから前記回帰的復号試行を開始する、付記3に記載の通信装置。
(付記5)
前記パーティション分割規則がSTEインデックスの位置および個数の少なくとも一方に依存する付記1に記載の通信装置。
(付記6)
前記パーティションの前記少なくとも1つのSTEインデックスの復号ビットの信頼値を用いて、前記STE集合のSTEインデックスを前記信頼値の昇順にソートする、付記1に記載の通信装置。
(付記7)
前記ソートされたSTE集合から順次選択された少なくとも1つのインデックスの復号ビットが各回帰的復号試行において反転される付記6に記載の通信装置。
(付記8)
前記所定のパーティション分割規則は全てのパーティションが1以上のSTEインデックスを有することを保証する付記1に記載の通信装置。
(付記9)
各パーティションにおける前記チェックサムが1以上のSTEインデックスでの前記少なくとも1つの復号ビットを用いて計算されることを保証する付記1に記載の通信装置。
(付記10)
前記回帰的復号試行が、所定回数に達するか、あるいは前記パーティションがエラーなく復号されるか、のいずれか早い方まで繰り返される、付記1に記載の通信装置。
(付記11)
前記チェックサムは、パリティ検査あるいは巡回冗長検査、またはハッシュコードの少なくとも1つである付記1に記載の通信装置。
(付記12)
前記STE集合は前記非凍結集合の部分集合である付記1に記載の通信装置。
(付記13)
少なくとも1つのパーティションの少なくとも1つのSTEインデックスからの少なくとも対数尤度比(LLR)の絶対値を信頼値として用い、前記STEインデックスを絶対LLRの最低値から最高値へソートする付記1に記載の通信装置。
(付記14)
前記ソートされたSTE集合の少なくとも1つのインデックスの復号ビットが各回帰的復号試行において反転される付記13に記載の通信装置。
(付記15)
前記STE集合が以下の方法:
c)オフライン演算により前記フレームの各インデックスで最初の復号エラー発生確率を発見し、閾値と比較することで最初の復号エラー発生確率の比較的高いインデックスをリストアップする;
d)polar符号化ツリーを、各部分ツリーが全ての葉ノードを非凍結ノードとして有する部分ツリーに分割し、各部分ツリーの最初の葉ノードを選択する、
のうち少なくとも一方により取得される、付記1に記載の通信装置。
(付記16)
前記復号器が、逐次除去復号アルゴリズムおよび逐次除去リスト復号アルゴリズムの少なくとも一方を使用する付記1に記載の通信装置。
(付記17)
回帰的復号試行においてチェックサム失敗が最大回数発生した場合、前記フレームを破棄する付記1に記載の通信装置。
(付記18)
通信装置における通信方法であって、
polar符号のための復号器によって、所定のパーティション分割規則に従ってフレームがパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含む符号語を復号し、
記憶部によって、凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納し、
制御部によって、
前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、
チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、
各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する、
通信方法。
(付記19)
送信装置と受信装置とからなり、
前記送信装置がpolar符号のための符号化器を含み、前記送信装置が符号語を送信し、前記符号語のフレームが所定のパーティション分割規則に従ってパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含み、
前記受信装置が、
前記送信装置から受信した前記符号語を復号する、polar符号のための復号器と、
凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する記憶部と、
前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算し、チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始し、各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する制御部と、
を含む、通信システム。
(付記20)
符号語を受信する通信装置における非一時的記録媒体に格納されたコンピュータ可読プログラムであって、前記符号語のフレームが所定のパーティション分割規則に従ってパーティション分割され、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含み、
前記符号語を復号する命令と、
凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する命令と、
前記所定のチェックサム式に従ってパーティション毎に少なくとも1つの復号ビットのチェックサムを計算する命令と、
チェックサムが失敗すると前記パーティションに対して回帰的復号試行を開始する命令と、
各回帰的復号試行において少なくとも1つのSTEインデックスでビット反転操作を実行する命令と、
からなるコンピュータ可読ブログラム。
(付記21)
付記20に記載のコンピュータ可読ブログラムを格納した非一時的記録媒体。
(付記22)
凍結ビットインデックスを含む凍結集合と、非凍結ビットインデックスを含む非凍結集合と、パーティション毎に復号エラーが生じやすいSTE(Susceptible To Error)インデックスを含むSTE集合と、を格納する記憶部と、
入力ベクトルを符号化して符号語を出力する、polar符号のための符号化器と、
制御部と、
を含み、前記制御部が、
フレームを所定のパーティション分割規則に従って少なくとも1つのパーティションに分割し、各パーティションが予め定義されたチェックサム式により計算された少なくとも1つのチェックビットを含み、
前記フレームに、情報ビット、前記少なくとも1つのチェックビットおよび凍結ビットを配置することで前記入力ベクトルを構築する、
通信装置。
(付記23)
前記パーティション分割規則はSTEインデックスの位置および個数の少なくとも一方に依存する付記22に記載の通信装置。
(付記24)
前記所定のパーティション分割規則は全てのパーティションが1以上のSTEインデックスを有することを保証する付記22に記載の通信装置。
(付記25)
前記チェックサムは、パリティ検査あるいは巡回冗長検査、またはハッシュコードの少なくとも1つである付記22に記載の通信装置。
(付記26)
前記STE集合は前記非凍結集合の部分集合である付記22に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0093】
100 送信装置
102 FEC符号化器
103 変調器
104 前処理制御部
105 凍結集合メモリ
106 STE集合メモリ
107 パーティション分割メモリ
300 受信装置
301 復調器
302 FEC復号器
303 復号メッセージ処理部
304 復号器制御部
305 ソート済みSTE集合メモリ
306 復号器メモリ