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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】レール取り付け型ロボット検査システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240312BHJP
   B25J 5/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G05D1/43
B25J5/02
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023044637
(22)【出願日】2023-03-20
(65)【公開番号】P2023138937
(43)【公開日】2023-10-03
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17/700,103
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】藤本 直之
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-105225(JP,A)
【文献】特開2017-068455(JP,A)
【文献】特開2006-234728(JP,A)
【文献】特開2006-331053(JP,A)
【文献】特開平01-194702(JP,A)
【文献】特表2008-546365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
B25J 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防爆区域を有するプラントを検査するためのレール取り付け型ロボットであって、
前記レール取り付け型ロボットをレールに沿って推進するためのアクチュエータと、
前記アクチュエータに電力を提供するためのバッテリと、
前記レール取り付け型ロボットが移動している間に前記レールと一体的な電力端子から電力を引き出し、引き出された前記電力を使用して前記バッテリを充電するための充電器と、
前記レールに沿って分布する位置印からの読み取り値に基づいて、前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するための論理回路と
を含む、レール取り付け型ロボット。
【請求項2】
1つまたは複数のセンサと、前記センサのうちの1つまたは複数を介して取得されたデータを遠隔コンピューティングデバイスにワイヤレスで送信するためのトランシーバとをさらに含む、請求項1に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項3】
前記トランシーバが、前記レールに埋め込まれたワイヤレスアンテナとワイヤレスでデータを交換するように構成される、請求項2に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項4】
前記ワイヤレスアンテナが、漏れ波アンテナを含む、請求項3に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項5】
前記充電器が、前記防爆区域の外で前記レールの長さに沿って延びる露出した導電トレースから前記電力を引き出す、請求項1に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項6】
前記充電器が、前記露出した導電トレースから電力を引き出す導電ホイールまたは容量結合パッドを含む、請求項5に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項7】
前記充電器が、無線周波数(RF)電力アンテナを含み、前記レールと一体的な前記電力端子が、前記レールの長さに沿って分布する複数のRF送電機を含む、請求項1に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項8】
前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するための前記論理回路によって使用される前記読み取り値のうちの少なくともいくつかが、前記複数のRF送電機のうちの1つまたは複数から断続的に取得される、請求項7に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項9】
前記位置印のうちの少なくともいくつかが、無線周波数識別(RFID)タグを含み、前記レール取り付け型ロボットが、前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するための前記論理回路によって使用される前記読み取り値のうちの少なくともいくつかを前記RFIDタグから取得するRFIDリーダをさらに含む、請求項1に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項10】
前記アクチュエータが、前記レール取り付け型ロボットを、前記電力端子を含む前記レールの第1の部分にわたって第1の速度で推進し、前記電力端子を含まない前記レールの第2の部分にわたって第2の速度で推進するように構成され、前記第1の速度が、前記第2の速度より小さい、請求項1に記載のレール取り付け型ロボット。
【請求項11】
プラントを検査するためのシステムであって、
前記プラントの防爆区域を通過するレールであり、前記レールの前記防爆区域を通過する部分の中に封入された複数のワイヤレス送電機を含むレールと、
レール取り付け型ロボットであり、
前記レール取り付け型ロボットを前記レールに沿って推進するためのアクチュエータ、
前記プラントを検査するために使用可能な1つまたは複数のセンサ信号を生成するように構成された1つまたは複数のオンボードセンサ、
前記アクチュエータに電力を提供するためのバッテリ、および
前記レール取り付け型ロボットが移動している間に前記ワイヤレス送電機のうちの1つまたは複数から引き出された電力によって前記バッテリを充電するための充電器
を含む、レール取り付け型ロボットと
を含む、システム。
【請求項12】
前記ワイヤレス送電機のうちの1つまたは複数が、無線周波数(RF)送電機を含み、前記充電器が、無線周波数電力アンテナを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記レールが、前記レールの長さに沿って分布する複数の位置印を含み、前記レール取り付け型ロボットが、前記位置印から取得された読み取り値に基づいて前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するように構成される論理回路を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の位置印が、前記複数のワイヤレス送電機のうちの少なくともいくつかを含み、それによって、前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するための前記論理回路によって使用される前記読み取り値のうちの少なくともいくつかが、前記複数のワイヤレス送電機のうちの1つまたは複数から断続的に取得される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記位置印のうちの少なくともいくつかが、無線周波数識別(RFID)タグを含み、前記レール取り付け型ロボットが、前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するための前記論理回路によって使用される前記読み取り値のうちの少なくともいくつかを前記RFIDタグから取得するRFIDリーダをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクチュエータが、前記レール取り付け型ロボットを、前記複数のワイヤレス送電機を含む前記レールの第1の部分にわたって第1の速度で推進し、ワイヤレス送電機を含まない前記レールの第2の部分にわたって第2の速度で推進するものであり、前記第1の速度が、前記第2の速度より小さい、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記レールが、漏れ波アンテナをさらに含み、前記レール取り付け型ロボットが、前記オンボードセンサのうちの1つまたは複数から生成されたデータを前記漏れ波アンテナに送信するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
プラントを検査するためにレール取り付け型ロボットを動作させるための方法であって、
前記プラントの防爆区域を通過するレールに沿って前記レール取り付け型ロボットを推進するステップと、
前記レール取り付け型ロボットが前記防爆区域を通って推進されて移動している間に、前記レール内に埋め込まれ前記レールの長さに沿って分布している複数の電力端子から、電力をワイヤレスで引き出すステップと、
前記レール取り付け型ロボットに搭載された1つまたは複数のセンサから取得された1つまたは複数のセンサ読み取り値に基づいて、前記プラントを検査するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
前記センサ読み取り値のうちの1つまたは複数を示すデータを、前記レール取り付け型ロボットから、前記レールに埋め込まれた漏れ波アンテナに送信するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記レールの長さに沿って分布する複数の位置印から取得された読み取り値に基づいて、前記レール取り付け型ロボットの位置を特定するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール取り付け型ロボット検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学精製所または石油化学プラントなどのプロセスオートメーションプラントは、多くの場合、大規模で複雑であり、これらのプラントの検査などのタスクを煩雑および/または高価にする。これらの課題を軽減するための1つの方法は、ロボットを配備することである。例として、レール取り付け型ロボットが、様々な目的で工場に配備されることが多い。しかし、多くのプロセスオートメーションプラントは、たとえば、発火性の微粒子、粉塵、ガス、飛散物、および/または化学物質が存在するために、危険である区域を含む。これらの区域の一部は、「防爆」区域と呼ばれる。防爆区域内で安全に動作するように設計されていないロボットおよび/またはレールは、危険な状況を作り出す可能性がある。たとえば、露出した電力端子が電弧を生じ、それが、爆発または火災の引き金となる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
危険な状況でレール取り付け型ロボットを動作させるための実装が、本明細書において説明される。非排他的であるが、より詳細には、本明細書において、防爆区域に配備され得るレール取り付け型ロボットおよびレールに関する実装が説明される。様々な実装において、レール取り付け型ロボットは、バッテリによって給電されてよい。バッテリのサイズを制限するために、レール取り付け型ロボットは、ベース充電ステーションにおいてバッテリを充電し、それから、1回の充電を使用してロボットのタスクのできる限り多くを実行するようにレール取り付け型ロボットを動作させるのではなく、動作中に、特には移動中に、バッテリを充電してよい。
【0004】
一部の実装において、防爆区域を有するプラントを検査するためのレール取り付け型ロボットは、レール取り付け型ロボットをレールに沿って推進するためのアクチュエータと、アクチュエータに電力を提供するためのバッテリと、レール取り付け型ロボットが移動している間にレールと一体的な電力端子から電力を引き出し、引き出された電力を使用してバッテリを充電するための充電器と、レールに沿って分布する位置印(location indicium)からの読み取り値に基づいて、レール取り付け型ロボットの位置を特定するための論理回路とを含んでよい。
【0005】
様々な実装において、レール取り付け型ロボットは、1つまたは複数のセンサと、センサのうちの1つまたは複数を介して取得されたデータを遠隔コンピューティングデバイスにワイヤレスで送信するためのトランシーバとを含んでよい。様々な実装において、トランシーバは、レールに埋め込まれたワイヤレスアンテナとワイヤレスでデータを交換するように構成されてよい。様々な実装において、ワイヤレスアンテナは、漏れ波アンテナであってよい。
【0006】
様々な実装において、充電器は、防爆区域の外でレールの長さに沿って延びる露出した導電トレースから電力を引き出す。様々な実装において、充電器は、露出した導電トレースから電力を引き出す導電ホイールまたは容量結合パッドの形態をとる。
【0007】
様々な実装において、充電器は、無線周波数(RF:radio frequency)電力アンテナの形態をとってよく、レールと一体的な電力端子は、レールの長さに沿って分布する複数のRF送電機の形態をとる。様々な実装において、レール取り付け型ロボットの位置を特定するための論理回路によって使用される読み取り値のうちの少なくともいくつかは、複数のRF送電機のうちの1つまたは複数から断続的に取得されてよい。
【0008】
様々な実装において、位置印のうちの少なくともいくつかは、無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)タグの形態をとり、レール取り付け型ロボットは、レール取り付け型ロボットの位置を特定するための論理回路によって使用される読み取り値のうちの少なくともいくつかをRFIDタグから取得するRFIDリーダをさらに含む。
【0009】
様々な実装において、アクチュエータは、レール取り付け型ロボットを、電力端子を含むレールの第1の部分にわたって第1の速度で推進し、電力端子を含まないレールの第2の部分にわたって第2の速度で推進するように構成され、第1の速度は、第2の速度より小さい。
【0010】
別の態様において、プラントを検査するためのシステムは、プラントの防爆区域を通過するレールであり、レールの防爆区域を通過する部分の中に封入された複数のワイヤレス送電機を含む、レールと、レール取り付け型ロボットであり、レール取り付け型ロボットをレールに沿って推進するためのアクチュエータ、プラントを検査するために使用可能な1つまたは複数のセンサ信号を生成するように構成された1つまたは複数のオンボードセンサ、アクチュエータに電力を提供するためのバッテリ、およびレール取り付け型ロボットが移動している間にワイヤレス送電機のうちの1つまたは複数から引き出された電力によってバッテリを充電するための充電器を含む、レール取り付け型ロボットとを含んでよい。
【0011】
様々な実装において、ワイヤレス送電機のうちの1つまたは複数は、RF送電機の形態をとってよく、充電器は、RF電力アンテナの形態をとってよい。様々な実装において、レールは、レールの長さに沿って分布する複数の位置印を含んでよく、レール取り付け型ロボットは、位置印から取得された読み取り値に基づいてレール取り付け型ロボットの位置を特定するように構成される論理回路を含む。様々な実装において、複数の印は、複数のワイヤレス送電機のうちの少なくともいくつかを含んでよい。様々な実装において、レール取り付け型ロボットの位置を特定するための論理回路によって使用される読み取り値のうちの少なくともいくつかは、複数のワイヤレス送電機のうちの1つまたは複数から断続的に取得されてよい。様々な実装において、位置印のうちの少なくともいくつかは、RFIDタグの形態をとり、レール取り付け型ロボットは、レール取り付け型ロボットの位置を特定するための論理回路によって使用される読み取り値のうちの少なくともいくつかをRFIDタグから取得するRFIDリーダをさらに含んでよい。
【0012】
様々な実装において、アクチュエータは、レール取り付け型ロボットを、複数のワイヤレス送電機を含むレールの第1の部分にわたって第1の速度で推進し、ワイヤレス送電機を含まないレールの第2の部分にわたって第2の速度で推進するように構成されてよく、第1の速度は、第2の速度より小さい。
【0013】
様々な実装において、レールは、漏れ波アンテナをさらに含み、レール取り付け型ロボットは、オンボードセンサのうちの1つまたは複数から生成されたデータを漏れ波アンテナに送信するように構成される。
【0014】
別の態様において、プラントを検査するためにレール取り付け型ロボットを動作させるための方法は、プラントの防爆区域を通過するレールに沿ってレール取り付け型ロボットを推進するステップと、レール取り付け型ロボットが防爆区域を通って推進されて移動している間に、レール内に埋め込まれレールの長さに沿って分布している複数の電力端子から、電力をワイヤレスで引き出すステップと、レール取り付け型ロボットに搭載された1つまたは複数のセンサから取得された1つまたは複数のセンサ読み取り値に基づいて、プラントを検査するステップとを含んでよい。
【0015】
様々な実装において、方法は、センサ読み取り値のうちの1つまたは複数を示すデータを、レール取り付け型ロボットから、レールに埋め込まれた漏れ波アンテナに送信するステップをさらに含んでよい。様々な実装において、方法は、レールの長さに沿って分布する複数の位置印から取得された読み取り値に基づいて、レール取り付け型ロボットの位置を特定するステップをさらに含んでよい。
【0016】
加えて、一部の実装は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサを含み、1つまたは複数のプロセッサは、関連するメモリに記憶された命令を実行するように動作可能であり、命令は、上述の方法のいずれかの実行を引き起こすように構成される。一部の実装は、上述の方法のいずれかを実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行され得るコンピュータ命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体も含む。
【0017】
上述の概念および本明細書においてより詳細に説明される追加の概念のすべての組合せは、本明細書において開示される対象の一部であると考えられることを理解されたい。たとえば、本開示の最後に現れる特許請求の対象のすべての組合せは、本明細書において開示される対象の一部であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】様々な実施形態による、本開示の選択された態様が実施され得る例示的な環境を概略的に示す図である。
図2A】様々な実施形態によるレールの例を概略的に示す図である。
図2B】様々な実施形態による、レール取り付け型ロボットおよびレールの例を概略的に示す図である。
図3A】様々な実施形態によるレールの別の例を概略的に示す図である。
図3B】様々な実施形態による、レール取り付け型ロボットおよびレールの別の例を概略的に示す図である。
図4】様々な実施態様による、どのようにモジュール式レール部分が境界を越えて防爆区域内まで配備され得るかということに関する例を示す図である。
図5】本開示の選択された態様を実行するための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
危険な状況においてレール取り付け型ロボットを動作させるための実装が、本明細書において説明される。非排他的であるが、より詳細には、本明細書において、防爆区域に配備され得るレール取り付け型ロボットおよびレールに関する実装が説明される。様々な実装において、レール取り付け型ロボットは、バッテリによって給電されてよい。バッテリのサイズを制限するために、レール取り付け型ロボットは、ベース充電ステーションにおいてバッテリを充電し、それから、1回の充電を使用してロボットのタスクのできる限り多くを実行するようにレール取り付け型ロボットを動作させるのではなく、動作中に、特には移動中に、バッテリを充電してよい。
【0020】
防爆区域内および/または防爆区域付近でのロボットのバッテリの安全な充電を容易にするために、様々な措置が実施されてよい。一部の実装においては、無線周波数(RF)送電機などの複数のワイヤレス送電機が、レールの長さに沿って分布し、たとえば、レールの表面の下に埋め込まれるおよび/または封入される場合がある。レール取り付け型ロボットは、充電器として、これらのRF送電機から電力を引き出すための対応するRFアンテナを含んでよい。これらのRF送電機は、レール外部に露出していないので、高温である間でさえも防爆区域内で可燃/爆発物を発火させる危険性がない。したがって、RF送電機は、レールの防爆区域外と防爆区域内との両方の部分に沿って分布し得る。
【0021】
追加的または代替的に、一部の実装においては、導電トレースが、防爆区域外にあるレールの外側の長さに沿って形成される場合がある。レール取り付け型ロボットの充電器は、導電ホイール、容量結合パッド、または導電トレースから電力を引き出すその他の同様の端子の形態をとる場合がある。防爆区域内で導電トレースを露出させることは、爆発の危険性をもたらす可能性がある。したがって、導電トレースは、防爆区域を通過するレールの部分では露出していてはならない。その代わりに、レール取り付け型ロボットは、防爆区域内にいる間はバッテリ電力のみで動作する場合があり、または前述のように露出していないワイヤレス送電機から電力を引き出す場合がある。一部のそのような実装において、レール取り付け型ロボットの充電器は、レール取り付け型ロボットが防爆区域を通過する間は、収納されるかまたはそれ以外の方法で非アクティブ化される場合がある。
【0022】
電力端子(ワイヤレスまたは導電トレース)がレールに沿って均等に分布していない一部の実装において、レール取り付け型ロボットは、様々な要因に応じて異なる速度で移動する場合がある。これらの要因は、ロボットが現在利用可能な電力端子、ロボットの現在のバッテリレベル、次の利用可能な電力端子までの距離、ロボットに割り振られたタスクに関連する時間的制約などを含む場合があるがこれらに限定されない。たとえば、いかなる時間的制約にも反する危険性がなく、および/または電力の少ないバッテリを有するレール取り付け型ロボットは、ワイヤレス送電機または導電トレースが密に分布するレールの区域をよりゆっくり移動し、たとえば、バッテリレール取り付け型ロボットにそのバッテリを充電するためのより多くの時間を与えてよい。対照的に、時間的制約が厳しい、および/またはバッテリが比較的満タンのロボットは、利用可能な電力端子がある区域をより速い速度で移動してよい。
【0023】
一部の実装において、レール取り付け型ロボットは、レール上の選択された位置に分布する位置印を使用して、レールに沿って自身の位置を特定するように構成されてよい。これは、たとえば、レール取り付け型ロボットが走行距離計および/もしくは慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)、ワイヤレス三角測量、または全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)座標に頼るよりも正確である場合がある。これらの位置印は、様々な形態をとる場合があり、非接触式の読み取りのために構成される場合がある。一部の実装において、位置印は、レール取り付け型ロボットに搭載されたRF識別(RFID)リーダによって読み取られ得るRFIDタグを含む場合がある。近距離無線通信(NFC:near-field communication)タグが使用される場合もある。その他の実装において、位置印は、デジタルカメラなどの視覚センサを使用して検出され得る視覚的な印を含む場合がある。視覚的な印は、バーコード、クイックレスポンス(QR:quick response)コード(QRコードは登録商標)、(磁気インク文字認識「MICR(magnetic ink character recognition)」と呼ばれることがある)E-13BまたはCMC-7などの人間とコンピュータとの両方によって読み取り可能なフォントなどの様々な形態をとる場合がある。さらにその他の実装においては、RF送電機が、たとえば、それらのRF送電機がレール取り付け型ロボットに供給する電力に、位置データを変調することによって、位置印として働く場合もある。
【0024】
一部の実装において、レール取り付け型ロボットは、プラントの検査などのタスクを実行するために使用可能なセンサ信号を生成することができる視覚センサ、温度計、赤外線センサ、化学センサ、ガスセンサなどのセンサを含んでよい。たとえば、多くのプロセスオートメーション設備は、まだ視覚的に読み取る必要がある計器を含む。レール取り付け型ロボットは、オンボード視覚センサを使用して、計器をキャプチャする視覚データ(たとえば、デジタル写真)を獲得してこれを達成する場合がある。それから、この視覚データは、たとえば、様々な画像処理技術を使用して計器の読み取り値を検出するために、たとえば、レール取り付け型ロボット上でまたは遠隔で分析され得る。
【0025】
しかし、レール取り付け型ロボットからデータを取得することは、課題をもたらす。レール取り付け型ロボットが物理的な接続を介して、たとえば、ロボットの充電も行うベースステーションを経由してセンサデータをアップロードすることを求められる場合、センサデータは、レール取り付け型ロボットが自身に充電するためにベースステーションに来るときにのみ取得される。たとえレール取り付け型ロボットがワイヤレスでデータを送信する能力を備えていたとしても、ワイヤレス信号に干渉する可能性のある金属構成要素が無数にある大規模で複雑なプラント中にワイヤレスアクセスポイントを分布させることは、困難であり得る。したがって、様々な実装において、レール取り付け型ロボットがワイヤレスの範囲外にならない(またはほとんどならない)ように、1つまたは複数のワイヤレス受信機またはトランシーバが、レール自体に沿って組み込まれる場合がある。一部のそのような実施態様において、ワイヤレス受信機は、同軸漏れ波アンテナのような漏れフィーダの形態を取る場合がある。
【0026】
ここで図1を参照すると、本開示の様々な態様が実装され得る例示的な環境100が、概略的に示される。環境100は、たとえば、プロセスオートメーション設備の形態をとってよい。プロセスオートメーション設備は、化学処理プラント、石油または天然ガス精製所、触媒工場、製造施設などのすべてまたは一部を形成する場合がある。この例において、環境100は、1つまたは複数の中央サーバ102と、1つまたは複数の中央データベース104とを含む。サーバ102およびデータベース104は、設備を管理するため、および/または環境100内の個々の構成要素(たとえば、入力、出力、分散制御ノード(DCN:distributed control node)のインベントリ)、設備内で実行されているプロセス、人員などについての情報を記憶するために使用されてよい。サーバ102およびデータベース104は、1つまたは複数のネットワーク106を介して環境100内のその他の構成要素と通信可能なように結合されてよい。ネットワーク106は、米国電気電子学会(IEEE)802.3規格(イーサネット)、IEEE802.11(Wi-Fi)、3GPPロングタームエボリューション(「LTE」)(3GPPは登録商標)もしくは3G、4G、5G、およびそれ以降と呼ばれるその他のワイヤレスプロトコルなどのセルラネットワーク、ならびに/または様々な種類のトポロジ(たとえば、メッシュ)のその他の種類の通信ネットワークを含むがそれらに限定されない様々な有線および/またはワイヤレス通信テクノロジを使用して実装されてよい。
【0027】
プロセスオートメーション設備は、定期的および/または不定期の検査を必要とする任意の数の「関心地点」(POI:point-of-interest)を含んでよい。これらのPOIは、計器、ダイヤル、(たとえば、漏出するガスを監視する)パイプ間の界面、バルブ、アクチュエータ、センサなどを含む場合があるがこれらに限定されない。多くのPOIは、人間によって検査される場合がある。しかし、人間の検査員は、コストがかかり、および/または、たとえば、怠慢、疲労などが原因で誤りを起こしやすい場合がある。加えて、多くのプラントおよび施設は、人間にとって危険な区域を含む。たとえば、「防爆」(または「exproof」)区域は、これらの区域の検査を人間の検査員にとって困難および/または危険にする空気中の化学物質および/または微粒子などの発火性物質を含む場合がある。これらの危険な区域内で少なくともある程度安全に働くために、人間の検査員に、たとえば、防火服を身につけさせることは可能である場合があるが、そのようにすることは、コストがかかり、リスクを完全に排除できない可能性がある。
【0028】
したがって、様々な実装においては、レール取り付け型ロボット110が、これらのPOIの一部またはすべてを検査するために、人間の検査官に加えてまたはその代わりに配備されてよい。レール取り付け型ロボット110が、人間よりも誤りを起こしにくいだけでなく、レール取り付け型ロボット110およびレール取り付け型ロボット110が動作するレール108は、防爆区域124などの危険な区域内で安全に動作するように本開示の選択された態様を用いて構成され得る。
【0029】
レール取り付け型ロボット110は、レール取り付け型ロボット110をレール108に接続するレール取り付けハードウェア112を含んでよい。レール取り付けハードウェア112は、レール108の属性に応じて、様々な形態をとってよい。一部の実装において、レール取り付け型ロボット110は、レール取り付け型ロボット110をレール108に沿って推進するリニア誘導モータを含んでよい。その他の実施態様において、レール取り付け型ロボット110および/またはレール取り付けハードウェア112は、レール取り付けハードウェア112上の1つまたは複数のホイール(図示せず)を回転させ、レール取り付け型ロボット110をレール108に沿って推進する電気モータを含んでよい。その他の推進技術が、考えられる。
【0030】
レール取り付け型ロボット110は、様々な異なるイベントを検出するように構成された1つまたは複数のセンサを備えてよい。これらのセンサは、視覚センサ、気圧計、温度計、赤外線センサ、化学センサ、圧力波センサ(たとえば、マイクロフォン)、水分センサ、光検出および測距(LIDAR:light detection and ranging)センサ、ガイガーカウンタ、ガスイオン化式センサ、シンチレーションセンサ、分光計、光学センサなどを含む様々な形態をとる場合がある。
【0031】
図1において、たとえば、レール取り付け型ロボット110は、レール取り付け型ロボット110に対して回転可能および/または別の方法で移動可能であってよい視覚センサ114を備えている。視覚センサ114によってキャプチャされた画像は、計器の読み取り、機器の検査、化学物質の監視などの様々な検査タスクを実行するために、様々な技術を使用して分析されてよい。一例として、視覚センサ114によってキャプチャされた画像は、計器を識別するおよび/または計器から読み取り値を取得するために、光学式文字認識(OCR:optical character recognition)、物体検出、機械学習などの様々な画像処理技術を使用して分析される場合がある。これらの目的のために機械学習が実行される一部の実装においては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)などのニューラルネットワークが、計器を検出するおよび/または計器からデータを読み取るために、ラベル付けされた訓練画像を使用して訓練される場合がある。
【0032】
レール取り付け型ロボット110は、レール108に沿ってレール取り付け型ロボット110を推進するために使用される電力の少なくとも一部を提供するバッテリ(図1に示さず、図2~3参照)を含んでよい。レール取り付け型ロボット110が何らかの設定された充電ステーションに戻ることを必要とせずにこのバッテリを再充電するために、レール108は、DC電源119などの電源と電気的に結合された電力線116を含む場合がある。以後の図に関連してより詳細に説明されるように、電力線116は、レール取り付け型ロボット110がレール108に沿って移動している間でも、レール108に沿った実質的に任意の地点でレール取り付け型ロボット110に電力を提供することができる場合がある。さらに、電力線116は、露出した電気端子または接点を残さずにレール108内に埋め込まれてよく、したがって、レール取り付け型ロボット110は、防爆区域124を移動するときでさえもそのバッテリを充電することができる。
【0033】
環境100にレール取り付け型ロボット110を配備することの1つの課題は、レール取り付け型ロボット110とのデータの交換である。たとえば、レール取り付け型ロボット110によって獲得されたセンサデータが、サーバ102に中継される必要がある場合がある。さらに、一部の実装において、レール取り付け型ロボット110は、サーバ102から受信されたコマンドに基づいて動作する場合がある。多くの場合、レール取り付け型ロボット110は、プロセスオートメーションネットワーク106を介してサーバ102と通信するためにワイヤレストランシーバを備えてよい。しかし、環境100は、非常に大規模であり、ワイヤレス送信に干渉する可能性がある多数の機器およびその他の特徴(たとえば、微粒子)を有する場合がある。レール取り付け型ロボット110が任意の地点でサーバ102と通信すること可能にするのに十分なだけのワイヤレスアクセスポイントを配備することは、コストがかかるおよび/または煩雑である場合がある。
【0034】
したがって、様々な実装において、レール108は、レールの長さの少なくとも一部に沿って延び、ルータまたはスイッチなどのネットワーキング機器120に接続する、ワイヤレストランシーバ118を備えてよい。そしてネットワーキング機器120は、追加的なネットワーク接続122を介してプロセスオートメーションネットワーク106に接続してよい。結果として、レール取り付け型ロボット110は、レール108の長さのすべてではないにせよ多くに関して、ワイヤレストランシーバ118のワイヤレスの範囲内に留まる可能性がある。一部の実装において、ワイヤレストランシーバ118は、「放射ケーブル」とも呼ばれる漏れフィーダの形態をとる場合がある。たとえば、ワイヤレストランシーバ118は、レール108内に埋め込まれた同軸漏れ波アンテナの形態をとる場合がある。
【0035】
図2Aおよび図2Bは、モジュール式レールセクション208およびレール取り付け型ロボット210の例示的な構成要素を概略的に示す。図2Aおよび図2Bに示される構成要素の多くは、図1に示された構成要素と同様であり、したがって、同様の参照番号によって示されている。図2Aにおいて、モジュール式レールセクション208は、埋め込まれた電力線216およびワイヤレストランシーバ218を含み、そのどちらも、モジュール式レールセクション208の外部に露出していない。その結果、どちらの構成要素も、防爆区域内での発火の危険がない。
【0036】
図2A図Bにおいて、本明細書において説明されるその他の実装と同様に、モジュール式レールセクション208は、複数のそのようなモジュール式レールセクション208がより長いレールを形成するために端と端を接続して組み立てられ得るような、「モジュール式」構成要素である場合がある。この目的のために、埋め込まれた電力線116は、モジュール式レールセクション208の一端または両端に、別のモジュール式レールセクション(図2Aに示さず)の対応する電力線端子と(たとえば、ガルバニックに)接続され得る電力線端子217を含む。同様に、埋め込まれたワイヤレストランシーバ118は、モジュール式レールセクション208の一端または両端に、別のモジュール式レールセクション(図2Aに示さず)の対応するワイヤレストランシーバ端子と(たとえば、同軸接続、イーサネット接続、ユニバーサルシリアルバス(USB:universal serial bus)接続などを介して)接続され得るワイヤレストランシーバ端子219を含む。
【0037】
前述のように、電力線116は、モジュール式レールセクション208内に埋め込まれており、したがって、モジュール式レールセクション208の外部に露出していない。電力線216がレール取り付け型ロボット210のバッテリ236(図2B参照)を充電するための電力を供給するために、複数の無線周波数(RF)送電機250が、レールの長さに沿って(破線によって示されるように)埋め込まれる。各RF送電機250は、たとえば、(たとえば、RF受電機の形態をとる場合がある)電力コントローラ238を経由してレール取り付け型ロボット210のバッテリ236に電力をワイヤレスで提供してよい。簡単および簡潔にするために、これらのRF送電機のうちの3つ、250-1、250-3、および250-7が、図2Aにおいてラベル付けされている。しかし、モジュール式レールセクション208は、その長さに沿って分布する任意の数のRF送電機250を含んでよいことを理解されたい。
【0038】
図2Bを参照すると、レール取り付け型ロボット210は、1つまたは複数のセンサ214、1つまたは複数のプロセッサ230(図2Bの「CPU」)、1つまたは複数のアクチュエータ232、レール取り付けハードウェア212と動作可能なように結合されたモーションコントローラ234、上述のバッテリ236および電力コントローラ238、1つまたは複数のアンテナ241を有するワイヤレストランシーバ240、ならびに位置リーダ242などの多数のその他の構成要素も含む。レール取り付け型ロボット210のワイヤレストランシーバ240は、埋め込まれたワイヤレストランシーバ118およびプロセスオートメーションネットワーク106を介してサーバ102などの構成要素とワイヤレスでデータを交換するように構成されてよい。
【0039】
プロセッサ230は、プロセッサにレール取り付け型ロボット210の動作に関連する本開示の様々な態様を実行させるメモリ(図示せず)内の命令を実行するように構成されてよい。たとえば、プロセッサ230は、1つまたは複数のセンサ214(たとえば、図1の視覚センサ114)によってキャプチャされたセンサデータを取り出し、センサデータに対して様々な動作を実行し、および/またはセンサデータをサーバ102に返す命令を実行してよい。一部の実装において、プロセッサ230は、モジュール式レールセクション208に沿ってレール取り付け型ロボット210を推進し、および/または1つもしくは複数のアクチュエータ232を動作させて環境100内で様々なタスクを実行するためにモーションコントローラ234を動作させてもよい。アクチュエータは、たとえば、グリッパ、ドリル、スプレー、(たとえば、レール取り付け型ロボット210に付加されたロボットアームの)関節、消火器、ホースなどを含む場合がある。その他の実装においては、プロセッサ230に加えてまたはその代わりに、レール取り付け型ロボット210は、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field-programmable gate array)などの他の種類の論理回路を含む場合がある。
【0040】
電力コントローラ238は、RF送電機250を介して埋め込まれた電力線216からワイヤレスで電力を受け取ってよい。図2Bに示されるように、各RF送電機250は、RF送電アンテナ251を含んでよい。電力コントローラ238は、RF送電機250のRF送電アンテナ251から電力を受け取るように適合されるそれ自身のアンテナ(図示せず)を含んでよい。プラントのあらゆる区域内でワイヤレス充電を可能にすることによって、バッテリ236のサイズを小さくし、コスト、複雑さなどを減らすことができる。
【0041】
前述のように、通常のレール取り付け型ロボットは、IMU、GPSなどの技術を使用して位置を特定する場合がある。しかし、これらの技術は、特に、干渉、雑音などの多数の発生源が存在する可能性があるプロセスオートメーション設備などの区域内では、様々な欠点に悩まされる場合がある。したがって、レール取り付け型ロボット210は、モジュール式レールセクション208の長さに沿って分布する位置印252-1、252-2、252-3、252-4、...を読み取るように構成される位置リーダ242を含んでよい。位置印252は、様々な形態をとってよい。一部の実装において、位置印252は、たとえば、位置リーダ242によって提供されるRF信号による起動に応答して位置情報(たとえば、地図上の座標)を送信するように構成されるRFIDまたはNFCタグの形態をとってよい。その他の実装において、位置印は、RF送電機250に組み込まれる場合がある。たとえば、RF送電機250は、レール取り付け型ロボット210に供給する電力に、位置データを変調してよい(その場合、位置リーダ242と電力コントローラ238とが組み合わされてよい)。さらにその他の実装において、位置印は、QRコードのような光学的に読み取り可能な印の形態をとる場合がある。
【0042】
図3Aおよび図3Bに示される実施形態は、図2Aおよび図2Bに示された実施形態と多くの点で類似しており、したがって、同様の参照番号が使用される。しかし、図3A図3Bは、レール取り付け型ロボット310のバッテリ336を充電するための代替的な方法を示す。図3Aを参照すると、モジュール式レールセクション308は、図2Aのモジュール式レールセクション208と同じ構成要素の多くを含む。しかし、モジュール式レールセクション308は、ワイヤレス充電ユニットがない。その代わりに、電力線316が、モジュール式レールセクション308の外側の長さに沿って形成された導電トレースとして露出している。
【0043】
電力線316が露出しているので、モジュール式レールセクション308は、必ずしも危険な区域内に配備されない可能性がある。その代わりに、モジュール式レールセクション308は、その他のより危険性の低い区域に配備され、レール取り付け型ロボット310がこれらの区域を移動する間にレール取り付け型ロボット310が充電することを可能にしてよい。しかし、電力線316の少なくとも一部を導電トレースとして露出させることの利点は、(たとえば、図2A図2Bに示された)ワイヤレス充電によるよりも、レール取り付け型ロボットのバッテリ336をより迅速におよび/または効率的に充電することが可能である場合があることである。たとえば、図3Bにおいては、電力コントローラ338が、様々な種類の電気接点が露出した電力線316に接触し(または少なくとも十分に接近し)、多くの場合、ガルバニック充電を可能にするようにそれらの電気接点を位置付けることができる充電器339を含む。充電器339は、電力線316によって形成された導電トレースから電力を引き出す導電ホイール、容量結合パッド、またはその他の同様の端子などの様々な形態をとる場合がある。
【0044】
モジュール式レールセクション308は防爆区域内に配備され得ないので、防爆区域にレールを通す必要があるときは、防爆区域内での安全な動作のために構成されるその他の種類のモジュール式レールセクションが、モジュール式レールセクション308と結合されてよい。たとえば、一部の実装においては、電力線316が完全に埋め込まれているモジュール式レールセクションが、アークが周囲の物質を発火させる場合があるリスクを排除することができる。場合によっては、電力線316が完全に埋め込まれ、レール取り付け型ロボット310に電力を提供しないモジュール式レールセクションが配備されてよい。そのような場合、レール取り付け型ロボット310は、防爆区域を通過する間、単にバッテリで動作してよい。
【0045】
しかし、その他の実装においては、図2A図2Bおよび図3A図3Bに示されたモジュール式レールセクションの組合せが配備される場合がある。そのような構成の例が、図4に示される。図4において、第1の区域423は、危険と考えられず、一方、第2の区域424は、防爆区域と考えられる。したがって、そのようにすることが安全である第1の区域423には、図3A図3Bからのモジュール式レールセクション308が配備される。レール取り付け型ロボット310(または210)は、モジュール式レールセクション308の上を通過するとき、前述のように導電トレースとしてモジュール式レールセクション308の外側に露出していてよい電力線316に充電器339を接触させることによって充電する場合がある。
【0046】
一方、防爆区域424には、図2A図2Bからのモジュール式レールセクション208が配備されてよい。たとえば、モジュール式レールセクション208の電力線端子217が、モジュール式レールセクション308の対応する電力線端子317(図3A図3B参照)と動作可能なように結合されてよい(たとえば、電気的接触、オス/メス接続など)。同様に、モジュール式レールセクション208のワイヤレストランシーバ端子219が、モジュール式レールセクション308のワイヤレストランシーバ端子319(図3A図3B参照)と動作可能なように結合されてよい。その結果、レール取り付け型ロボット210/310は、第1の区域423と防爆の第2の区域424との両方においてそのバッテリを充電してよい。
【0047】
前述のように、電力端子(ワイヤレスまたは導電トレース)がレールに沿って均等に分布していない一部の実装において、レール取り付け型ロボットは、ロボットが現在利用可能な電力端子、ロボットの現在のバッテリレベル、次の利用可能な電力端子までの距離、ロボットに割り振られたタスクに関連する時間的制約などの様々な要因に応じて異なる速度で移動する場合がある。したがって、比較的少ないバッテリを有するレール取り付け型ロボットは、(露出した電力線316がワイヤレス充電よりも迅速にバッテリを再充電することができると仮定すると)第2の区域424を移動するのに比べてよりゆっくりと第1の区域423を移動する場合がある。さらに、第2の区域424内で、レール取り付け型ロボットは、RF送電機250がより密に分布する区域をよりゆっくりと移動する場合がある。
【0048】
図5は、本明細書において開示される実装による、レール取り付け型ロボット(たとえば、110、210、310)を動作させるための例示的な方法500を示す流れ図である。便宜上、流れ図の動作は、動作を実行するシステムに関連して説明される。このシステムは、レール取り付け型ロボット210、310のプロセッサ230/330などの様々なコンピュータシステムの様々な構成要素を含んでよい。さらに、方法500の動作は特定の順序で示されるが、これは、限定的であるように意図されていない。1つまたは複数の動作が、順序を変えられるか、省略されるか、または追加される場合がある。
【0049】
ブロック502において、システムは、たとえば、モーションコントローラ234、334によって、プラントの防爆区域(たとえば、124、424)を通過するレール(たとえば、108、208、308)に沿ってレール取り付け型ロボット(たとえば、110、210、310)を推進してよい。たとえば、プロセスオートメーションネットワーク106を介してサーバ102から(または人間の管理者から、またはスケジューリングされたルーチンの一部として)受信されたコマンドに応答して、レール取り付け型ロボット110、210、310のプロセッサ230、330は、電気モータを作動させ、レール取り付け型ロボットをレールに沿って推進するようにモーションコントローラ234、334に指示してよい。
【0050】
レール取り付け型ロボットが防爆区域を通って推進されて移動している間に、ブロック504において、システムは、たとえば、電力コントローラ238、338によって、レール内に埋め込まれ、レールの長さに沿って分布している複数の電力端子(たとえば、250-1、250-2、...)から、電力をワイヤレスで引き出してよい。
【0051】
ブロック506において、システムは、レールの長さに沿って分布する複数の位置印から取得された読み取り値に基づいて、レール取り付け型ロボットの位置を特定してよい。一部の実装においては、RF電力端子によって提供される電力が、レール取り付け型ロボットが位置特定の目的のために使用することができる位置情報を搬送するように変調される場合もある。その他の実装においては、レール取り付け型ロボットが、レールの長さに沿って分布しているRFID/NFCタグから読み取られた位置情報を使用して位置特定を実行する場合がある。
【0052】
ブロック508において、プラントは、レール取り付け型ロボットに搭載された1つまたは複数のセンサから取得された1つまたは複数のセンサ読み取り値に基づいて検査されてよい。たとえば、視覚センサ114が、センサ、計器、またはダイヤルの画像をキャプチャするために使用され得る。これらの画像は、これらの読み取り値を検出するために、たとえば、訓練されたCNNなどの人工知能技術を使用して分析されてよい。
【0053】
ブロック510において、レール取り付け型ロボットは、センサ読み取り値のうちの1つまたは複数を示すデータを、レール取り付け型ロボットから、レールに埋め込まれた漏れフィーダ(たとえば、118、218、318)に送信してよい。一部のそのような実装において、画像は、レール取り付け型ロボット上で分析される場合があり、分析の結果が、サーバに提供されてよい。その他の実装においては、生画像データまたはそれらのデータから生成された次元を下げられた埋め込みが、レールに埋め込まれた漏れフィーダを介して、レール取り付け型ロボットによってサーバに送信される場合がある。
【符号の説明】
【0054】
100 環境
102 中央サーバ
104 中央データベース
106 ネットワーク
108 レール
110 レール取り付け型ロボット
112 レール取り付けハードウェア
114 視覚センサ
116 電力線
118 ワイヤレストランシーバ
119 DC電源
120 ネットワーキング機器
122 追加的なネットワーク接続
124 防爆区域
208 モジュール式レールセクション
210 レール取り付け型ロボット
212 レール取り付けハードウェア
214 センサ
216 電力線
217 電力線端子
218 ワイヤレストランシーバ
219 ワイヤレストランシーバ端子
230 プロセッサ
232 アクチュエータ
234 モーションコントローラ
236 バッテリ
238 電力コントローラ
240 ワイヤレストランシーバ
241 アンテナ
242 位置リーダ
250 無線周波数(RF)送電機
251 RF送電アンテナ
252 位置印
308 モジュール式レールセクション
310 レール取り付け型ロボット
316 電力線
317 電力線端子
319 ワイヤレストランシーバ端子
330 プロセッサ
334 モーションコントローラ
336 バッテリ
338 電力コントローラ
339 充電器
423 第1の区域
424 第2の区域、防爆区域
500 方法
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5