(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/33 20060101AFI20240312BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240312BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240312BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240312BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240312BHJP
A61Q 9/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K8/33
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q9/02
(21)【出願番号】P 2023130461
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100158724
【氏名又は名称】竹井 増美
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
(72)【発明者】
【氏名】松藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】三田地 喜樹
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-145233(JP,A)
【文献】Moist Wash Gel Moist,ID 10781626,Mintel GNPD[online],2023年5月,[検索日2023.10.26],インターネット<https://www.portal.mintel.com>
【文献】Moisturising Essence,ID 7998283,Mintel GNPD[online],2020年7月,[検索日2023.10.26],インターネット<https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)を10質量%~98質量%、成分(B)を
0.01質量%~0.4質量%、成分(C)を
2質量%~
22質量%ならびに成分(D)を0.00001質量%~0.05質量%含有
し、成分(B)の含有量に対する成分(C)の含有量の比[(C)/(B)]が質量比にて20~400である皮膚化粧料:
(A)硬度が10mg/L~200mg/Lの天然水、
(B)25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上、
(C)炭素数が3~6の2価アルコール、ならびに
(D)酸性ムコ多糖類。
【請求項2】
さらに(E)下記式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体を0.01質量%~10質量%含有する、請求項1に記載の皮膚化粧料。
【化1】
[式(1)中、Zは炭素数が1~7で、1個~7個の水酸基を有するヒドロキシ化合物からすべての水酸基を除いた残基を示し、xは1~7の整数を示す。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基を示し、aは前記オキシエチレン基の平均付加モル数、bは前記オキシプロピレン基の平均付加モル数、cは前記オキシブチレン基の平均付加モル数を示し、0≦a≦100、0≦b≦60、かつ0≦c≦5である。ただし、a、bおよびcは同時に0ではなく、a、bがいずれも0ではないとき、bに対するaの比(a/b)は1/5~7/1である。また、EO、POおよびBOは、ランダム状に付加されていてもブロック状に付加されてい
てもよく、ランダム状に付加されている部位とブロック状に付加されている部位が混在していてもよい。]
【請求項3】
さらに(F)柑橘類植物の抽出物を0.0001質量%~0.1質量%含有する、請求項1または2に記載の皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔や身体等の皮膚の保湿に好適に用いられる皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚化粧料に一般的に使用されている水は、主に河川等から採取して浄化処理した水道水を原水とし、イオン交換樹脂で金属イオン等の不純物を取り除いたイオン交換水である。イオン交換樹脂によって取り除かれる成分の中には、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等、アミノ酸や有機酸等とともに天然保湿因子(NMF:natural moisturizing factor)を構成するミネラル塩が含まれる場合がある。
NMFは健康な皮膚を保つために重要な役割を果たしており、角層に含まれるNMFの量が減少すると、保湿機能が低下して乾燥肌になりやすいことが知られている。
カルシウムイオンやマグネシウムイオン等、NMFの構成成分であるミネラル塩が皮膚の保湿に有効であることは、一般にも広く認知されている。
【0003】
しかし、水性皮膚化粧料に、ミネラル塩(特に二価以上のミネラル塩)を配合すると、そのキレート作用により、水に溶解していた物質同士を結合させ、水に不溶性の物質を生じさせる場合がある。そのため、ミネラル塩を豊富に含む天然水を皮膚化粧料に使用した場合、天然水に含まれるミネラル塩が水不溶性物質発生の原因になるおそれがある。皮膚化粧料中で発生した水不溶性物質は、沈殿等により外観を悪化させるだけでなく、塗布時にざらつきを生じ、塗布時の心地良さを損なう場合がある。
【0004】
皮膚化粧料について、塗布時の心地良さを得るためには、上記した塗布時のざらつきの他、きしみ感や、かゆみ、ヒリヒリ感といった刺激性(スティンギング)を低減する必要がある。
また、皮膚化粧料について、塗布時の心地良さを得るためには、皮膚化粧料を塗布する際の皮膚の状態も重要である。肌荒れ等、皮膚の炎症が生じていると、塗布時の心地良さを感じにくく、特に皮膚上にニキビがある場合には、塗布時の心地良さが低下しやすい。それゆえ、塗布時の心地良さを得るためには、皮膚化粧料を塗布する皮膚において、ニキビを防ぐことが重要である。
【0005】
ニキビを防ぐ成分として、サリチル酸等の抗菌効果を有する成分が化粧料において広く用いられている。一方で、抗菌効果を有する成分は、抗菌効果を発揮する程度に配合量を増やすと、スティンギングを生じる場合があった。そのため、抗菌効果を有する成分が、少ない配合量でも抗菌効果を発揮できる化粧料が望まれ、抗菌成分の抗菌効果を高め、皮膚への刺激を低減させるべく、深層水と殺菌剤とを組み合わせて含有する化粧料が開示されている(特許文献1)。
【0006】
特許文献2では、アーティチョーク抽出物とユキノシタ抽出物を含有するニキビ改善用組成物において、殺菌剤として、イソプロピルメチルフェノールおよびグリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテルの少なくとも一方を含むことにより、ニキビ改善性能が向上することが記載されている。
特許文献3では、ざ瘡菌に対する抗菌薬としてコセス硫酸亜鉛と、ギンバイカ抽出物、モノカプリル酸トリグリセリル、カプリン酸グリセリル、臭化セトリモニウムから選択される抗菌薬とを組み合わせて使用することが記載されている。
特許文献2に記載されたグリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル等のグリセリンモノアルキルエーテル、および特許文献3に記載されたカプリン酸グリセリル等のグリセリンモノ脂肪酸エステルは、一定の抗菌効果を有し、防腐助剤として、抗菌剤の使用量を減らすために用いられることが知られている。
しかし、上記した抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルは、水への溶解度が低く、深層水や天然水を配合した化粧料中では、深層水や天然水に含まれるミネラル塩がグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルの析出を促進する場合があり、特に寒冷期の浴室などでは氷点下での保存となることがあり、これらの析出がより促進されるという課題があった。これらの成分が析出すると、化粧料の外観が悪化し、塗布時の心地良さが低下する場合があった。
【0007】
塗布時の心地良さは、皮膚の炎症やニキビ等の皮膚疾患の有無だけでなく、皮膚の外部からの一時的な刺激による影響をも受ける。皮膚の外部からの一時的な刺激として、シェービングが挙げられる。シェービング前には乾燥した皮膚を柔らかくする目的で化粧料が使用され、シェービング後には皮膚の乾燥を防ぐ目的で化粧料が使用されるが、シェービング前の皮膚での使用感とシェービング後の皮膚での使用感において差異が生じる場合がある。シェーバーで顔や身体の毛を剃ると古い角質も取り除かれるため、皮膚における摩擦、温感や冷感等、外部からの刺激に対し皮膚が敏感な状態になる。そのため、シェービング前には心地良いと感じていた化粧料であっても、シェービング後には心地良さが低下してしまう場合があり、シェービングの前後における使用感の差異が小さい化粧料が望まれていた。
【0008】
しかしながら、天然水および、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有しながら、含有成分の析出が抑制されて、保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異が小さい皮膚化粧料は、未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平10-182346号公報
【文献】特開2015-166319号公報
【文献】特表2015-522053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、天然水および、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有しながら、含有成分の析出が抑制されて保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異が小さい皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の硬度を有する天然水、ならびに、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上を含有する皮膚化粧料において、炭素数が3~6の二価アルコールと酸性ムコ多糖類とを添加するだけで、意外にも保存安定性および塗布時の心地良さが向上し、シェービングの前後における使用感の差異が小さくなることを見出し、さらに検討して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
【0012】
[1]下記の成分(A)を10質量%~98質量%、成分(B)を0.001質量%~0.4質量%、成分(C)を0.5質量%~25質量%ならびに成分(D)を0.00001質量%~0.05質量%含有する皮膚化粧料:
(A)硬度が10mg/L~200mg/Lの天然水、
(B)25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上、
(C)炭素数が3~6の2価アルコール、ならびに
(D)酸性ムコ多糖類。
[2]さらに(E)下記式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体を0.01質量%~10質量%含有する、[1]に記載の皮膚化粧料。
【0013】
【0014】
[式(1)中、Zは炭素数が1~7で、1個~7個の水酸基を有するヒドロキシ化合物からすべての水酸基を除いた残基を示し、xは1~7の整数を示す。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基を示し、aは前記オキシエチレン基の平均付加モル数、bは前記オキシプロピレン基の平均付加モル数、cは前記オキシブチレン基の平均付加モル数を示し、0≦a≦100、0≦b≦60、かつ0≦c≦5である。ただし、a、bおよびcは同時に0ではなく、a、bがいずれも0ではないとき、bに対するaの比(a/b)は1/5~7/1である。また、EO、POおよびBOは、ランダム状に付加されていてもブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されている部位とブロック状に付加されている部位が混在していてもよい。]
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、天然水および、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有しながら、含有成分の析出が抑制されて、保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異が小さい皮膚化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明は、(A)硬度が10mg/L~200mg/Lである天然水、(B)25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上、(C)炭素数が3~6の二価アルコール、ならびに(D)酸性ムコ多糖類を特定の含有量にて含有する皮膚化粧料に関する(以下本発明の皮膚化粧料ともいう)。
【0017】
本発明において、「皮膚化粧料」とは、皮膚に直接または間接的に塗布または散布等して適用される化粧料であり、具体的には、化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧料、下地ローション、下地クリーム等の下地化粧料、ファンデーション等の仕上げ(メイクアップ)化粧料、香水、ヘアコロン等の芳香化粧料、しわ防止化粧料、美白化粧料等の薬用化粧料(医薬部外品)等が挙げられる。なかでも皮膚を清潔にかつ健やかに保つための基礎化粧料や薬用化粧料が好ましい皮膚化粧料として挙げられる。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は、「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば、「2~5」は2以上、5以下を表す。
【0018】
<成分(A):硬度が10mg/L~200mg/Lの天然水>
本発明の皮膚化粧料において、成分(A)として含有される天然水は、カルシウム塩およびマグネシウム塩の含有濃度から算出される硬度が10mg/L~200mg/Lである天然水である。
天然水は、上記範囲の硬度を有するものであれば特に限定されず、たとえば、平成2年3月30日付け食品流通局長通達 2食流第1071号の「主な原水の種類」に記載されている、浅井戸水、深井戸水、湧水、鉱泉水、温泉水、伏流水、鉱水等が挙げられる。これらの天然水は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を選択し、組み合わせて用いてもよい。また、これらの天然水は、採水したものをそのまま使用しても良く、採水後にろ過殺菌、加熱殺菌、オゾン殺菌、紫外線殺菌等を行ったものを使用しても良い。
本発明において、天然水の硬度は、カルシウムとマグネシウムの含有量を炭酸カルシウム(CaCO3)量に換算したものであり、[mg/L]で表記され、下記の簡便式(2)を用いて算出することができる(原子量はCa=40、Mg=24.3、分子量はCaCO3=100)。
【0019】
【0020】
本発明の皮膚化粧料に成分(A)として含有される天然水において、上記の式(2)を用いて算出される硬度は、10mg/L~200mg/Lであり、好ましくは15mg/L~150mg/Lであり、より好ましくは20mg/L~100mg/Lである。
上記硬度が10mg/L未満であると、塗布時の心地良さが不十分である場合や、シェービングの前後における使用感の差異が大きい場合がある。一方、上記硬度が200mg/Lを超えると、氷点下での安定性が低下する場合や、塗布時の心地良さが損なわれる場合がある。
なお、「シェービングの前後における使用感の差異」とは、シェービング前に皮膚に塗布した場合に感じる滑らかな感触や、スティンギングに関する感触と、シェービング後に皮膚に塗布した場合に感じる滑らかな感触や、スティンギングに関する感触との差異を意味する。従って、「シェービングの前後における使用感の差異が小さい」とは、シェービング前の感触に比べてシェービング後の感触が変化する程度が小さいこと(ほぼ同じであること)を意味し、「シェービングの前後における使用感の差異が大きい」とは、シェービング前の感触に比べてシェービング後の感触が変化する程度が大きいこと(滑らかな感触が低下したり、スティンギングが増加したりすること)を意味する。
【0021】
本発明においては、成分(A)として、上記した硬度を有する天然水を採水し、そのまま、または採水後にろ過殺菌、加熱殺菌、オゾン殺菌、紫外線殺菌等を行って用いてもよく、上記した硬度を有する天然水であって、化粧料用として各社より提供されている市販の製品を利用することもできる。
【0022】
本発明の皮膚化粧料の全量に対する成分(A)の含有量は、10質量%~98質量%であり、好ましくは20質量%~95質量%であり、より好ましくは30質量%~90質量%である。
成分(A)の含有量が10質量%より少ないと、塗布時の心地良さが不十分である場合や、シェービングの前後における使用感の差異が大きい場合がある。一方、成分(A)の含有量が98質量%を超えても、配合量に見合った効果が得られない。
【0023】
<成分(B):25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上>
本発明の皮膚化粧料には、成分(B)として、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上(以下、本明細書にて「グリセリン誘導体」ということがある)が含有される。
本明細書において、水100gに対して、グリセリン誘導体が0.01gまで溶解する場合に、このグリセリン誘導体の水に対する溶解度を0.01質量%とする。25℃における水に対するグリセリン誘導体の溶解度は、好ましくは0.01質量%~1質量%であり、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%である。
25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルとして、具体的にはグリセリンモノヘキシルエーテル(25℃における水に対する溶解度=1質量%)、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル(25℃における水に対する溶解度=0.2質量%)等が挙げられる。また、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルとして、具体的にはグリセリンモノカプリル酸エステル(25℃における水に対する溶解度=0.05質量%)、グリセリンモノカプリン酸エステル(25℃における水に対する溶解度=0.01質量%)等が挙げられる。
成分(B)として、上記のグリセリン誘導体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明においては、成分(B)として、上記グリセリン誘導体であって、化粧料用として各社より提供されている市販の製品を利用することができる。
【0025】
本発明の皮膚化粧料の全量に対する成分(B)の含有量は、0.001質量%~0.4質量%であり、好ましくは0.01質量%~0.3質量%であり、より好ましくは0.05質量%~0.2質量%である。
成分(B)の含有量が0.001質量%より少ないと、塗布時の心地良さが不十分である場合がある。一方、成分(B)の含有量が0.5質量%を超えると、氷点下での安定性が低下する場合や、シェービングの前後における使用感の差異が大きい場合がある。
【0026】
<成分(C):炭素数が3~6の二価アルコール>
本発明の皮膚化粧料に成分(C)として含有される炭素数が3~6の二価アルコールとしては、分子内に2個の水酸基を有する炭素数が3~6のアルコールであって、化粧料成分として皮膚に使用され得るものであれば、特に限定されないが、例えば、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール(1,3-ブチレングリコール)、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。本発明の目的には、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよび1,2-ペンタンジオールが好ましく用いられ、1,3-プロパンジオールおよび1,3-ブタンジオールがより好ましく用いられる。
成分(C)として、炭素数が3~6の二価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明においては、成分(C)として、化粧料用の上記二価アルコールとして各社より提供されている市販の製品を利用することができる。
【0028】
本発明の皮膚化粧料の全量に対する成分(C)の含有量は、0.5質量%~25質量%であり、好ましくは2質量%~22質量%であり、より好ましくは3質量%~20質量%である。
成分(C)の含有量が0.5質量%より少ないと、氷点下での安定性が低下する場合や、塗布時の心地良さが不十分である場合がある。一方、成分(C)の含有量が25質量%を超えると、塗布時の心地良さが損なわれる場合や、シェービングの前後における使用感の差異が大きい場合がある。
【0029】
<成分(D):酸性ムコ多糖類>
本発明の皮膚化粧料において成分(D)として含有される酸性ムコ多糖類は、アミノ糖を含む多糖類であって、カルボキシル基、硫酸基等の酸性基を有する多糖類であり、化粧料用として、皮膚に使用され得るものであれば、特に制限されることなく用いることができるが、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン等が挙げられ、それらの塩やアセチル化物等を用いることもできる。本発明の目的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸ならびにそれらの塩およびアセチル化物が好ましく、ヒアルロン酸ならびにその塩およびアセチル化物がより好ましく、ヒアルロン酸の塩が最も好ましく用いられる。
本発明においては、上記酸性ムコ多糖類は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量が5,000~2,000,000であるものが好ましく用いられ、8,000~1,800,000であるものがより好ましく用いられる。
【0030】
酸性ムコ多糖類の塩としては、化粧料に安定的に用いることができ、皮膚に使用可能な塩であれば特に限定されないが、無機塩を用いることができ、無機塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。酸性ムコ多糖類の塩としては、好ましくは、ナトリウム塩およびカリウム塩である。
【0031】
本発明の皮膚化粧料には、成分(D)として、酸性ムコ多糖類、その塩およびそのアセチル化物からなる群より、1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を選択して、組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明においては、成分(D)として、化粧料用の酸性ムコ多糖類として各社より提供されている市販の製品を利用することができる。
かかる市販の製品としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムであれば、キューピー株式会社製の「ヒアルロンサン液 HA-LQH1P」、キッコーマンバイオケミファ株式会社製の「ヒアルロン酸FCH-200」、マルハニチロ株式会社製の「外原規ヒアルロン酸Na「マルハ」」、低分子量(重量平均分子量=10,000以下)のヒアルロン酸であれば、キューピー株式会社製の「ヒアロオリゴ」等が挙げられる。また、コンドロイチン硫酸ナトリウムであれば、マルハニチロ株式会社製の「外原規コンドロイチン硫酸ナトリウム」等が挙げられる。
【0033】
本発明の皮膚化粧料の全量に対する成分(D)の含有量は、0.00001質量%~0.05質量%であり、好ましくは0.0001質量%~0.04質量%であり、より好ましくは0.0005質量%~0.03質量%である。
成分(D)の含有量が0.00001質量%より少ないと、氷点下での安定性が低下する場合や、塗布時の心地良さが不十分である場合、またシェービングの前後における使用感の差異が大きい場合がある。一方、成分(D)の含有量が0.05質量%を超えると、塗布時の心地良さが損なわれる場合がある。
【0034】
<成分(A)、(B)、(C)の含有量比>
本発明の皮膚化粧料において、シェービングの前後における使用感の差異を小さくする観点から、成分(C)の含有量に対する成分(A)の含有量の比[(A)/(C)]は、質量比にて2~40であることが好ましく、4~30であることがより好ましく、6~20であることがさらに好ましい。
また、本発明の皮膚化粧料において、塗布時の心地良さを向上させる観点から、成分(B)の含有量に対する成分(C)の含有量の比[(C)/(B)]は、質量比にて10~600であることが好ましく、20~400であることがより好ましく、30~200であることがさらに好ましい。
【0035】
<成分(E):アルキレンオキシド誘導体>
本発明の皮膚化粧料は、上記成分(A)~成分(D)に加えて、さらに(E)下記式(1)で表されるアルキレンオキシド誘導体を含有し得る。
【0036】
【0037】
[式(1)中、Zは炭素数が1~7で、1個~7個の水酸基を有するヒドロキシ化合物からすべての水酸基を除いた残基を示し、xは1~7の整数を示す。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基を示し、aは前記オキシエチレン基の平均付加モル数、bは前記オキシプロピレン基の平均付加モル数、cは前記オキシブチレン基の平均付加モル数を示し、0≦a≦100、0≦b≦60、かつ0≦c≦5である。ただし、a、bおよびcは同時に0ではなく、a、bがいずれも0ではないとき、オキシプロピレン基の平均付加モル数に対するオキシエチレン基の平均付加モル数の比(a/b)は1/5~7/1である。また、EO、POおよびBOは、ランダム状に付加されていても、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されている部位とブロック状に付加されている部位が混在していてもよい。]
【0038】
式(1)中、Zは炭素数が1~7個で、1~7個の水酸基を有するヒドロキシ化合物(Z(OH)x)からすべての水酸基を除いた残基であり、xは、前記ヒドロキシ化合物の水酸基数を示し、1~7の整数である。なお、塗布時の心地よさの観点から、ヒドロキシ化合物(Z(OH)x)の炭素数は2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
上記ヒドロキシ化合物(Z(OH)x)としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビタン、メチルグルコシド、ジグリセリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等が挙げられ、式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体の調製には、これらヒドロキシ化合物は1種を用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
【0039】
式(1)中、EOで示されるオキシエチレン基は、エチレンオキシドに由来し、式(1)中、aは、上記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのオキシエチレン基の平均付加モル数であり、0以上100以下であり、1以上20以下であることが好ましく、2以上15以下であることがより好ましい。
式(1)中、POで示されるオキシプロピレン基は、1,2-プロピレンオキシド等のプロピレンオキシドに由来するオキシプロピレン基であり、bは前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、0以上60以下であり、0以上15以下であることが好ましく、0以上10以下であることがより好ましい。
式(1)中、BOで示されるオキシブチレン基は、1,2-ブチレンオキシド等のブチレンオキシドに由来するオキシブチレン基であり、cは前記アルキレンオキシド誘導体の一水酸基あたりのオキシブチレン基の平均付加モル数であり、0以上5以下であり、0以上3以下であることが好ましく、0以上2以下であることがより好ましい。
【0040】
上記式(1)で表されるアルキレンオキシド誘導体において、オキシエチレン基の平均付加モル数a、オキシプロピレン基の平均付加モル数bおよびオキシブチレン基の平均付加モル数cは同時に0ではない。
上記式(1)において、aが0でない場合、アルキレンオキシド誘導体におけるオキシエチレン基の平均付加モル数a×xは、2以上40以下であることが好ましく、4以上30以下であることがより好ましい。
上記式(1)において、bが0でない場合、アルキレンオキシド誘導体におけるオキシプロピレン基の平均付加モル数b×xは、1以上30以下であることが好ましく、2以上20以下であることがより好ましい。
上記式(1)において、cが0でない場合、上記アルキレンオキシド誘導体におけるオキシブチレン基の平均付加モル数c×xは、1以上6以下であることが好ましく、2以上4以下であることがより好ましい。
また、上記式(1)において、オキシエチレン基の平均付加モル数aおよびオキシプロピレン基の平均付加モル数bがいずれも0ではないとき、これらの比(a/b)は1/5~7/1であり、1/1~2/1であることが好ましい。
【0041】
上記式(1)で表されるアルキレンオキシド誘導体において、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基の付加する順序は特に指定されず、また、これらはそれぞれランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよく、またランダム状に付加している部位とブロック状に付加している部位が混在していてもよい。
また、上記式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体においては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、およびオキシブチレン基のいずれが末端水素原子に結合していてもよいが、オキシブチレン基が付加される場合、オキシブチレン基が末端水素原子に結合していることが好ましい。
【0042】
たとえば、本発明の好ましい一実施形態において用いられるアルキレンオキシド誘導体では、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とがランダム状に付加し、オキシブチレン基がブロック状に付加しており、かつ、オキシブチレン基が末端水素原子に結合している。
また、本発明の好ましい他の実施形態において用いられるアルキレンオキシド誘導体では、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基のみが水酸基に付加している。
さらにまた、本発明の好ましい他の実施形態において用いられるアルキレンオキシド誘導体では、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基が水酸基にブロック状およびランダム状に付加している。
本発明において、成分(E)としてより好ましく用いられるアルキレンオキシド誘導体としては、後述するアルキレンオキシド誘導体2のように、グリセリンの水酸基に、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がランダム状に付加し、さらにオキシブチレン基がブロック状に付加し、かつ、オキシブチレン基が末端水素原子に結合した誘導体や、後述するアルキレンオキシド誘導体3のように、ブタノールの水酸基に、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基がブロック状およびランダム状に付加した誘導体を挙げることができる。
【0043】
式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。すなわち、ヒドロキシ化合物(Z(OH)x)に対して、エチレンオキシド、プロピレンオキシド(1,2-プロピレンオキシド等)、ブチレンオキシド(1,2-ブチレンオキシド等)を適宜付加重合させる。付加重合時の各モノマーの添加順序および添加量は、目的とする構造によって決定することができる。
また、「マクビオブライドMG-10E」、「マクビオブライドMG-20E」、「マクビオブライドMG-10P」、「マクビオブライドMG-20P」、「ウィルブライドS-753」、「ウィルブライドMG-2070」、「ウィルブライドBS-03」(いずれも日油株式会社製)等、市販のアルキレンオキシド誘導体を使用することもできる。
【0044】
本発明の皮膚化粧料には、上記式(1)で表されるアルキレンオキシド誘導体は、1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を選択して混合して用いてもよい。
【0045】
本発明の皮膚化粧料の全量に対する成分(E)の含有量は、好ましくは0.01質量%~10質量%であり、より好ましくは0.05質量%~8質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%~5質量%である。
成分(E)の含有量が上記範囲内であると、氷点下での安定性が向上し、塗布時の心地良さが向上する。
【0046】
<成分(F):柑橘類植物の抽出物>
本発明の皮膚化粧料は、上記成分(A)~成分(D)、または上記成分(A)~成分(E)に加えて、さらに(F)柑橘類植物の抽出物を含有し得る。
【0047】
本発明の皮膚化粧料に成分(F)として含有され得る柑橘類植物の抽出物は、柑橘類に分類される植物から、溶媒により抽出して得られた抽出物である。
柑橘類に分類される植物としては、ミカン科(Rutaceae)ミカン亜科(Aurantioideae)のミカン属(Citrus)、カラタチ属(Poncirus)およびキンカン属(Fortunella)に属する植物が挙げられる。
ミカン属に属する植物としては、ライム(Citrus aurantifolia)、ベルガモット(Citrus bergamia)、シトロン(Citrus medica)、レモン(Citrus limon)、ザボン(Citrus grandis)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)、ハッサク(Citrus hassaku)、ナツミカン(Citrus natsudaidai)、サンポウカン(Citrus sulcata)、ダイダイ(Citrus aurantium)、スイートオレンジ(Citrus sinensis)、タンカン(Citrus tankan)、イヨカン(Citrus iyo)、ヒュウガナツ(Citrus tamurana)、ユズ(Citrus junos)、スダチ(Citrus sudachi)、カボス(Citrus sphaerocarpa)、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)、マンダリン(Citrus reticulata)、タチバナ(Citrus tachibana)、シークワーサー(Citrus depressa)等が挙げられる。
カラタチ属に属する植物としては、カラタチ(Citrus trifoliata L.)が挙げられる。
キンカン属に属する植物としては、マルミキンカン(Citrus japonica)、ナガミキンカン(Fortunella margarita)、ネイハキンカン(Fortunella crassifolia)等が挙げられる。
本発明において成分(F)の調製に用いる植物としては、好ましくはミカン属に属する植物であり、より好ましくはシークワーサー(Citrus depressa)、タチバナ(Citrus tachibana)、ダイダイ(Citrus aurantium)、レモン(Citrus limon)、ユズ(Citrus junos)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)であり、さらに好ましくはシークワーサー(Citrus depressa)、レモン(Citrus limon)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)である。
本発明の皮膚化粧料に含有され得る成分(F)の調製において、柑橘類に分類される植物の使用部位は特に限定されないが、果実、果皮、種子、果汁等を好適に使用することができる。前記植物の果実や果皮、種子等は、そのまま、または乾燥、細切、粉砕等して、抽出溶媒による抽出に供される。
【0048】
抽出に用いられる抽出溶媒としては、例えば、水および極性溶媒が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;アセトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、多価アルコールアルキルエーテル(ジエチレングリコールエーテル等)等のエーテル類;低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、多価アルコール(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1, 3-ブチレングリコール、グリセリン等)等のアルコール類等が挙げられる。中でも安全性および抽出効率の良さという観点から、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1, 3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましく、水、1, 3-ブチレングリコール、グリセリンがより好ましい。
抽出溶媒は、1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を選択し、組み合わせた混合溶媒を用いてもよい。成分(F)の調製には、水、1, 3-ブチレングリコール、水および1, 3-ブチレングリコールの混合溶媒がより好ましく用いられる。
抽出溶媒の使用量は、例えば抽出溶媒が水である場合には、柑橘類に分類される植物の植物体100質量部に対し、通常100質量部~2000質量部であり、好ましくは200質量部~1000質量部である。抽出溶媒が低級アルコールまたは多価アルコールである場合には、柑橘類に分類される植物の植物体100質量部に対し、通常100質量部~5000質量部であり、好ましくは500質量部~2000質量部である。
また、植物体から得た果汁より抽出する場合、抽出溶媒の使用量は、例えば抽出溶媒が水である場合には、果汁100質量部に対し、通常50質量部~2000質量部であり、好ましくは100質量部~1000質量部である。抽出溶媒が低級アルコールまたは多価アルコールである場合には、果汁100質量部に対し、通常50質量部~2000質量部であり、好ましくは100質量部~1000質量部である。
【0049】
抽出方法としては一般的な方法が採用され、例えば、植物体に抽出溶媒を加えて浸漬し、そのまま静置し、または撹拌して抽出する方法、抽出溶媒中で植物体をホモジネートする方法、あるいは植物体を圧搾する等して得た果汁に抽出溶媒を加えて静置または撹拌して抽出する方法等が挙げられる。抽出効率の観点からは、植物体を乾燥、細切、粉砕等した後に抽出操作を行うこと、または植物体から得た果汁から抽出することが好ましい。植物を乾燥する方法としては、例えば、風乾、温乾、凍結乾燥等が挙げられる。
抽出温度は、使用する抽出溶媒の種類に応じて適宜決定される。例えば抽出溶媒が水である場合には、抽出温度は通常20℃~120℃程度であり、抽出溶媒が低級アルコールまたは多価アルコールである場合には、通常30℃~80℃程度である。
抽出時間は、浸漬により抽出する場合、通常1時間以上であり、好ましくは3時間以上であり、より好ましくは5時間以上である。抽出時間の上限は、抽出効率の観点から、通常10時間以下であり、好ましくは8時間以下である。
抽出する回数は特に限定されないが、上記量の抽出溶媒によって1回抽出を行うことが好ましい。
【0050】
上記した抽出処理の後、ろ過、遠心分離等により、抽出物を回収することができる。得られた抽出物はそのまま用いてもよく、あるいは溶媒留去により濃縮し、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーや溶媒分画などの処理により精製し、さらに乾燥等を行って用いてもよい。
また、得られた抽出物は、取り扱い性の観点から、水や、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコールで希釈して用いることができる。
【0051】
本発明において、柑橘類植物の抽出物は、上記したように柑橘類に分類される植物から抽出し、濃縮、精製等して調製したものを用いてもよいが、化粧料用原料として市販されているものを用いてもよい。市販の抽出物は、通常0.1質量%~3質量%の固形分を含有する。
【0052】
本発明の皮膚化粧料の全量に対する成分(F)の含有量は、固形分量に換算した量にて、好ましくは0.0001質量%~0.1質量%であり、より好ましくは0.0005質量%~0.05質量%であり、さらに好ましくは0.001質量%~0.02質量%である。
成分(F)の含有量が上記範囲内であると、シェービングの前後における使用感の差異が小さくなる。
【0053】
<成分(A)以外の水>
本発明の皮膚化粧料は、成分(A)以外に、通常の水を含有してもよい。「通常の水」とは、皮膚化粧料に通常用いられるイオン交換水や蒸留水であり、これらは実質的にミネラル分を含んでおらず、硬度は0mg/Lもしくは1mg/L未満である。
また、成分(D)として、酸性ムコ多糖類の水溶液もしくは水分散液、または水溶液もしくは水分散液の形態の市販の製品を使用する場合、成分(F)として、柑橘類植物の水による抽出物や、前記抽出物の水による希釈液もしくは水溶液等を使用する場合、あるいは、後述する他の成分として、水溶液もしくは水分散液の形態の成分を使用する場合、本発明の皮膚化粧料は、これらに由来する水を含有する。かかる水は、イオン交換水や蒸留水等、上記「通常の水」であり、実質的にミネラル分を含んでおらず、硬度は0mg/Lもしくは1mg/L未満である。
本発明の皮膚化粧料における通常の水の含有量は、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0054】
<その他の添加成分>
本発明の皮膚化粧料は、本発明の特徴を損なわない範囲で、上記の成分(A)~成分(D)、さらには成分(E)および成分(F)に加えて、化粧料において使用される一般的な添加成分をさらに含有することができる。
かかる添加成分としては、例えば、保湿剤(グリセリン、ジグリセリン、アミノ酸等);エモリエント剤(オリーブ果実油、セラミド等);抗炎症剤(グリチルリチン酸ジカリウム等);抗しわ剤(ナイアシンアミド等);美白剤(アスコルビルグルコシド等);細胞賦活剤;収斂剤;油剤;界面活性剤;防腐剤;増粘剤;pH調整剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;紫外線吸収剤;紫外線散乱剤;香料;色素;顔料等が挙げられる。その他の添加成分の含有量は、皮膚化粧料全量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
本発明の皮膚化粧料は、化粧水、美容液、乳液、クリーム等の皮膚化粧料;下地ローション、下地クリーム等の下地化粧料;乳液状ファンデーション、クリーム状ファンデーション等のメイクアップ化粧料;ボディローション、ボディクリーム等の身体用化粧料;しわ防止用、美白用等の化粧水、美容液、乳液、クリーム等の薬用化粧料等として、液状、ジェル状、乳液状、クリーム状等の形態で提供することができる。
本発明の皮膚化粧料は、その形態に応じて採用される通常の製剤化手段に準じて製造することができる。例えば、液状またはジェル状の皮膚化粧料であれば、成分(A):硬度が10mg/L~200mg/Lの天然水、成分(B):25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上、成分(C):炭素数が3~6の2価アルコール、ならびに成分(D):酸性ムコ多糖類を混合し、また、さらに成分(E):アルキレンオキシド誘導体、成分(F):柑橘類植物の抽出物を添加、混合し、必要に応じて他の添加成分を添加、混合し、均一として、製造することができる。
【0056】
本発明の皮膚化粧料は、天然水および、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有しながら、含有成分の析出が抑制されて、保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異が小さい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0058】
[実施例1~22、比較例1~5]皮膚化粧料(化粧水)
表1に示す処方に従い、成分(A)~(D)およびイオン交換水を混合し、均一として、実施例1~11の皮膚化粧料(化粧水)を調製し、表2に示す処方に従い、成分(A)~(F)およびイオン交換水を混合し、均一として、実施例12~22の皮膚化粧料(化粧水)を調製した。
また、表3に示す処方に従い、成分(A)、(B)、(B’)、(C)、(D)およびイオン交換水を混合し、均一として、比較例1~5の皮膚化粧料(化粧水)を調製した。
なお、表1~表3において、各成分に対応する欄の数値は、皮膚化粧料(化粧水)の全量に対する当該成分の含有量(質量%)を示し、空欄は、当該成分を含有しないことを示す。また、「(A)/(C)」は、成分(C)の含有量に対する成分(A)の含有量の比(質量比)を示し、「(C)/(B)」は成分(B)の含有量に対する成分(C)の含有量の比(質量比)を示す。表3中、(A)/(C)および(C)/(B)に対応する欄の「-」は、成分(C)または成分(B)を含有しないため、当該比を算出できないことを示す。
【0059】
表1~3中の成分(*1~*10)としては、下記の原料を用いた。その他の成分としては、化粧料用として提供されている市販の製品を用いた。
*1 天然水1;硬度が150mg/Lである鉱泉水を用いた。
*2 天然水2;硬度が50mg/Lである鉱泉水を用いた。
*3 天然水3;硬度が25mg/Lである鉱泉水を用いた。
*4 酸性ムコ多糖類1;「ヒアルロンサン液 HA-LQH1P」(ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量=1,200,000~2,200,000)を1質量%、およびフェノキシエタノールを0.8質量%含有する水溶液、キューピー株式会社製)を用いた。表中の含有量は、ヒアルロン酸ナトリウム正味の含有量である。
*5 酸性ムコ多糖類2;「ヒアロオリゴ」(加水分解ヒアルロン酸(平均分子量=10,000以下)、キューピー株式会社製)を用いた。
*6 アルキレンオキシド誘導体1;「マクビオブライドMG-20P」(ポリオキシプロピレン(20モル)メチルグルコシド、式(1)中、Z=メチルグルコシド残基、a=0、b=5、c=0、x=4、日油株式会社製)を用いた。
*7 アルキレンオキシド誘導体2;「ウィルブライドS-753」(ポリオキシブチレン(3モル)ポリオキシエチレン(8モル)ポリオキシプロピレン(5モル)グリセリルエーテル、式(1)中、Z=グリセリン残基、a=2.67、b=1.67、a/b=8/5、c=1、x=3、日油株式会社製)を用いた。
*8 アルキレンオキシド誘導体3;「ウィルブライドBS-03」(ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(7モル)ブチルエーテル、式(1)中、Z=n-ブタノール残基、a=10、b=7、a/b=10/7、c=0、x=1、日油株式会社製)を用いた。
*9 グレープフルーツ種子エキス;グレープフルーツ(Citrus paradisi)の種子より、10質量倍の水で抽出(80℃、3時間)して得た抽出物を用いた。表中の含有量は、固形分量に換算した含有量である。
*10 レモン果汁エキス;レモン(Citrus limon)の果汁より、等質量の1,3-ブチレングリコールで抽出(80℃、3時間)して得た抽出物を用いた。表中の含有量は、固形分量に換算した含有量である。
【0060】
実施例および比較例の皮膚化粧料について、下記の通り、氷点下での安定性、塗布時の心地良さ、およびシェービングの前後における使用感の差異の評価を行った。
【0061】
(1)氷点下での安定性の評価
実施例および比較例の各皮膚化粧料を-5℃で1週間静置保存し、保存時および室温に戻した後の状態を観察し、下記評価基準により、安定性を評価した。評価結果は、表1~3に併せて示した。なお、「◎」および「○」と評価された場合を合格と判定した。
<評価基準>
◎:-5℃の状態においても外観の変化がなく、室温に戻しても分離や析出物が見られなかった。
○:-5℃の状態において濁り等の外観の変化が見られたが、室温に戻した状態では分離や析出物が見られなかった。
×:-5℃で保存した後、室温に戻した状態で分離や析出物が見られた。
【0062】
(2)塗布時の心地良さの評価
25歳から55歳の女性20名をパネリストとし、各パネリストが実施例および比較例の各皮膚化粧料1gをそれぞれ掌にとり、顔面に塗布した時の心地良さについて、下記官能評価基準に従って点数化した。20名の評価点の合計を求め、下記評価基準に従って塗布時の心地良さを評価した。評価結果は、表1~3に併せて示した。評価結果の下段のかっこ内の数値は、評価点の合計を示す。なお、「◎」および「○」と評価された場合を合格と判定した。
<官能評価基準>
2点:塗布時にざらつきおよびスティンギングが全くなく、非常に心地良いと感じた場合。
1点:塗布時にざらつきおよびスティンギングがほとんどなく、心地良いと感じた場合。
0点:塗布時にざらつきおよびスティンギングのいずれかまたは両方があり、心地良くないと感じた場合。
<評価基準>
◎:評価点の合計が35点以上;塗布時の心地良さに優れる皮膚化粧料である。
○:評価点の合計が30点以上、34点以下;塗布時の心地良さにかなり優れる皮膚化粧料である。
△:評価点の合計が20点以上、29点以下;塗布時の心地良さにやや劣る皮膚化粧料である。
×:評価点の合計が19点以下;塗布時の心地良さに劣る皮膚化粧料である。
【0063】
(3)シェービングの前後における使用感の差異の評価
25歳から55歳の女性20名をパネリストとし、各パネリストが実施例および比較例の各皮膚化粧料1gをそれぞれ掌にとり、顔面に塗布した後、シェーバーを用いて顔面の産毛のシェービングを行った。その後、再び実施例および比較例の各皮膚化粧料1gをそれぞれ掌にとり、顔面に塗布した。シェービング前の塗布時の使用感とシェービング後の塗布時の使用感との差異について、各パネリストが下記官能評価基準に従い点数化した。20名の評価点の合計を求め、下記評価基準に従って、シェービングの前後における使用感の差異について評価した。評価結果は、表1~3に併せて示した。評価結果の下段のかっこ内の数値は、評価点の合計を示す。なお、「◎」および「○」と評価された場合を合格と判定した。
<官能評価基準>
2点:シェービングの前後において、滑らかな感触やスティンギングのなさにほとんど差異がないと感じた場合。
1点:シェービングの前後において、滑らかな感触やスティンギングのなさにあまり差異がないと感じた場合。
0点:シェービングの前後において、滑らかな感触やスティンギングのなさに差異があると感じた場合。
<評価基準>
◎:評価点の合計が35点以上;シェービングの前後における使用感の差異が小さい皮膚化粧料である。
○:評価点の合計が30点以上、34点以下;シェービングの前後における使用感の差異がかなり小さい皮膚化粧料である。
△:評価点の合計が20点以上、29点以下;シェービングの前後における使用感の差異がやや大きい皮膚化粧料である。
×:評価点の合計が19点以下;シェービングの前後における使用感の差異が大きい皮膚化粧料である。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
表1、2に示されるように、実施例1~22の皮膚化粧料は、いずれも、氷点下での保存安定性が良好で、塗布時の心地良さに優れるまたはかなり優れる皮膚化粧料であり、シェービングの前後における使用感の差異が小さいまたはかなり小さい皮膚化粧料であると評価された。
特に、成分(A)~成分(D)をそれぞれ上述するより好ましい含有量にて含有し、(A)/(C)値および(C)/(B)値がいずれも上述するさらに好ましい範囲内である実施例13の皮膚化粧料、成分(A)~成分(D)に加えて、成分(E)として、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基が付加されたアルキレンオキシド誘導体2、ならびにオキシエチレン基およびオキシプロピレン基が付加されたアルキレンオキシド誘導体3をそれぞれ含有する実施例19および20の皮膚化粧料、成分(A)~成分(D)に加えて、成分(F)として、レモン果汁エキスを含有する実施例22の皮膚化粧料は、氷点下での保存安定性、塗布時の心地良さ、およびシェービングの前後における使用感の差異のすべてにおいて「◎」と評価された。
【0068】
これに対して、表3に示されるように、比較例1~5の皮膚化粧料では、いずれにおいても、すべての評価項目において合格の判定は得られなかった。
すなわち、成分(A)を含有しない比較例1の皮膚化粧料は、塗布時の心地良さにやや劣り、シェービングの前後における使用感の差異がやや大きいと評価された。
成分(B)を含有しない比較例2の皮膚化粧料は、塗布時の心地良さにやや劣ると評価された。
成分(B)の代わりに成分(B’)としてフェノキシエタノールを含有する比較例3の皮膚化粧料は、塗布時の心地良さにやや劣り、シェービングの前後における使用感の差異もやや大きいと評価された。
成分(C)を含有しない比較例4の皮膚化粧料は、氷点下での安定性が悪く、塗布時の心地良さにやや劣ると評価された。
成分(D)を含有しない比較例5の皮膚化粧料は、氷点下での安定性が悪く、塗布時の心地良さにやや劣り、シェービングの前後における使用感の差異もやや大きいと評価された。
【0069】
続いて、本発明の皮膚化粧料の他の実施例を示す。
【0070】
[実施例23]ジェル状皮膚化粧料
表4に示す処方に基づき、下記の通り、ジェル状皮膚化粧料を製造した。なお、表4中の天然水3、酸性ムコ多糖類1、アルキレンオキシド誘導体1、アルキレンオキシド誘導体3およびグレープフルーツ種子エキスとしては、上記実施例1~22の製造に用いたものと同じ原料を用い、その他の原料としては、化粧品用として市販されている製品を用いた。また、表4中の酸性ムコ多糖類1の含有量は、ヒアルロン酸ナトリウム正味の含有量を示し、グレープフルーツ種子エキスの含有量は、固形分量に換算した含有量を示す。
<製造方法>
あらかじめ、他の添加成分の(13)、(14)をイオン交換水の一部に分散して、水分散液とした。成分(A)に、成分(B)、(C)、他の添加成分の(1)、(2)を加えて混合、攪拌して均一とし、次いで成分(D)~(F)、他の添加成分の(6)~(11)を順次添加して混合、溶解した後、あらかじめ調製した上記水分散液と、他の添加成分の(15)を添加して増粘させ、他の添加成分の(3)~(5)および(12)の混合液を添加し、イオン交換水の残部を加えて全量を100質量%とした。
【0071】
【0072】
[実施例24]乳液状皮膚化粧料
表5に示す処方に基づき、下記の通り、乳液状皮膚化粧料を製造した。なお、表5中の天然水3、酸性ムコ多糖類1、アルキレンオキシド誘導体2、アルキレンオキシド誘導体3およびレモン果汁エキスとしては、上記実施例1~22の製造に用いたものと同じ原料を用いた。シークワーサー果皮エキスとしては、シークワーサーの果皮より、10質量倍の1,3-ブチレングリコールで抽出(80℃、3時間)して調製した抽出液を用いた。その他の原料としては、化粧品用として市販されている製品を用いた。また、表5中の酸性ムコ多糖類1の含有量は、ヒアルロン酸ナトリウム正味の含有量を示し、レモン果汁エキスおよびシークワーサー果皮エキスの各含有量は、それぞれ固形分量に換算した含有量を示す。
<製造方法>
あらかじめ他の添加成分の(18)、(19)をイオン交換水の一部に分散して、水分散液とした。成分(A)~(C)、他の添加成分の(1)、(2)およびイオン交換水の残部を混合、溶解し、75℃~80℃に加熱して水相とした。一方、他の添加成分の(3)~(10)を混合して75℃~80℃に加熱し、均一として油相とした。前記水相に油相を撹拌しながら添加して乳化し、40℃まで冷却して、成分(D)~(F)、他の添加成分の(11)~(17)を順次添加して混合、溶解した後、あらかじめ調製した上記水分散液と他の添加成分の(20)を添加して増粘させた。
【0073】
【0074】
実施例23のジェル状皮膚化粧料および実施例24の乳液状皮膚化粧料は、いずれも氷点下での保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異の小さいものであった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上、詳述したように、本発明により、天然水および、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有しながら、含有成分の析出が抑制されて、保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異が小さい皮膚化粧料を提供することができる。
【要約】
【課題】天然水および、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルやグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有しながら、含有成分の析出が抑制されて保存安定性および塗布時の心地良さに優れ、シェービングの前後における使用感の差異が小さい皮膚化粧料を提供する。
【解決手段】(A)硬度が10mg/L~200mg/Lの天然水を10質量%~98質量%、(B)25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノアルキルエーテルであって、炭素数が6~10のアルコールとグリセリンとのモノエーテルおよび、25℃における水に対する溶解度が0.01質量%以上であり、抗菌効果を有するグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、炭素数が6~10の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルからなる群より選択される1種以上を0.001質量%~0.4質量%、(C)炭素数が3~6の2価アルコールを0.5質量%~25質量%、ならびに(D)酸性ムコ多糖類を0.00001質量%~0.05質量%含有する皮膚化粧料とする。
【選択図】なし