(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】バネ表面の植毛加工装置
(51)【国際特許分類】
B05B 13/02 20060101AFI20240312BHJP
B05B 5/025 20060101ALI20240312BHJP
B05B 5/08 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B05B13/02
B05B5/025 E
B05B5/08 H
(21)【出願番号】P 2023000574
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2020558671の分割
【原出願日】2018-10-30
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】201820056927.0
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820170441.X
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520258297
【氏名又は名称】太倉▲カ▼蘭平汽車零部件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】唐書豪
(72)【発明者】
【氏名】葛敬東
(72)【発明者】
【氏名】唐朋萬
(72)【発明者】
【氏名】趙春嘯
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204564500(CN,U)
【文献】国際公開第2017/082252(WO,A1)
【文献】特開2002-346465(JP,A)
【文献】米国特許第5263233(US,A)
【文献】特開2012-143664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネ表面の植毛加工装置であって、
接着剤スプレー塗布部、植毛部及び搬送装置を備え、
前記搬送装置は、バネを取り付け、前記バネを前記接着剤スプレー塗布部及び前記植毛部を順に介して搬送するように構成され、前記接着剤スプレー塗布部は、前記接着剤スプレー塗布部を通過する前記バネに接着剤をスプレー塗布するように構成され、前記植毛部は接着剤のスプレー塗布後に前記バネ表面に植毛するように構成され、
前記接着剤スプレー塗布部は、ノズル、ノズルガイドレール、ノズルコントローラ、及び温度コントローラを備えており、前記接着剤スプレー塗布部は、前記バネに接着剤を自動的にスプレー塗布するように構成される、
バネ表面の植毛加工装置。
【請求項2】
前記接着剤スプレー塗布部の前側に配置されるローディング部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項3】
前記ローディング部は、前記バネが前記搬送装置に取り付けられるように前記バネを回転駆動するように構成された第1の回転機構を備えることを特徴とする、請求項2に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項4】
前記植毛部の後側に配置され、前記バネを前記搬送装置から取り外されるように構成されたアンローディング部をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項5】
前記アンローディング部は、前記バネが前記搬送装置から取り外されるように前記バネを回転駆動するように構成された第2の回転機構を備えることを特徴とする、請求項4に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項6】
前記植毛部の後側に配置され、植毛後に前記バネを乾燥させるように構成された乾燥部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項7】
前記搬送装置は、前記バネを接続するための荷重支持部材を備え、前記荷重支持部材は、前記搬送装置に移動可能に連結されると共に、前記バネが前記搬送装置に取り付けられるように前記バネに接続されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項8】
前記荷重支持部材は、フックであることを特徴とする請求項7に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項9】
前記搬送装置は、前記接着剤スプレー塗布部と前記植毛部とを順次連結する搬送チェーンであることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項10】
前記ノズルは、前記ノズルガイドレール上に配置され、前記ノズルコントローラが前記バネの長さに応じて前記ノズルの移動位置を調節するように構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項11】
前記ノズルの3つのグループが設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項12】
前記ノズルの3つのグループが、それらの間に120°の角度を成すことを特徴とする、
請求項11に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項13】
前記接着剤スプレー塗布部の内部に、光電制御装置が設けられ、前記接着剤スプレー塗布部は、前記光電制御装置が前記バネの通過を検知すると、接着剤のスプレー塗布を開始するように構成されていることを特徴とする、
請求項10に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項14】
前記光電制御装置は、前記ノズルの前記移動位置を制御するために使用される前記バネの長さをフィードバックするように構成されていることを特徴とする、
請求項13に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項15】
前記植毛部は、静電気発生装置、繊維供給装置、ガイドレール、及び繊維供給管を備え、前記静電気発生装置は、植毛される前記バネに接続され、前記植毛部は、前記バネに自動的に植毛するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項16】
前記繊維供給装置は、前記ガイドレールと搬送管とによって、前記静電気発生装置により生成された電界中に繊維を供給することを特徴とする、
請求項15に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項17】
前記繊維供給管が前記ガイドレール上に配置され、前記繊維供給管が移動して前記バネ表面を繊維で覆うことを特徴とする、
請求項15に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項18】
前記繊維供給管の出口に繊維の量を調節するための調節装置が設けられ、かつ/又は、電界の下部に繊維回収装置が設けられていることを特徴とする、
請求項16に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【請求項19】
前記植毛部の上部に繊維貯蔵区画が設けられ、前記繊維貯蔵区画の下部に繊維出力ポートが設けられ、かつ/又は、前記繊維出力ポートに、繊維の出力量を規制するために振動規制機構が設けられていることを特徴とする、
請求項15に記載のバネ表面の植毛加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネ部品の分野に関し、特に、バネ表面に植毛加工する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されている電動テールゲートバネの植毛加工(flocking)は手動で行われているため、作業者や作業環境が異なると植毛効果に差が生じる。また、手動による植毛加工は、労働効率が低く、生産環境が悪くて、大規模生産を達成できない。このため、従来技術には、手動操作が安定性に乏しく大規模な工業生産を達成できないという欠点や、植毛作業環境に多くの繊維(flocks)が存在し、人間の健康に有害であるという欠点があった。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の上記欠点に鑑みて、本発明によって解決される技術的課題は、手動操作が安定性に乏しく、大規模な工業生産を達成することができないという従来技術の問題を克服すると共に、植毛作業環境に多くの繊維が存在し、人間の健康に有害であるという問題を解決することである。このようにして、人的要因が排除され、技術プロセスが安定し、植毛効果が一貫したものになるように、全自動化が実現される。また、大規模な工業生産が実現され、生産工程が密閉系であり、生産システム内で人体に有害な繊維が制御される。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、バネ表面の植毛加工装置を提供する。この装置は、ローディング部、アンローディング部、及び搬送チェーンを備える。ローディング部は、回転機構を備え、回転機構はバネがフックに引っ掛かるようにバネを回転駆動する。アンローディング部は、バネを回転駆動してフックから脱落させる回転機構を備える。搬送チェーン及びバネは、地面と平行な1つの平面上にある。
【0005】
また、バネ表面の植毛加工装置は、接着剤スプレー塗布部、植毛部、及び乾燥器をさらに備え、搬送チェーンは、接着剤スプレー塗布部、植毛部、及び乾燥器を順次通過する。
【0006】
また、接着剤スプレー塗布部は、ノズル、ノズルガイドレール、ノズルコントローラ、及び温度コントローラを含む。
【0007】
また、植毛部は、静電気発生装置、繊維供給装置、ガイドレール、及び繊維供給管を備え、ガイドレールは地面に対して垂直に配置され、静電気発生装置は植毛されるバネに接続され、繊維供給装置は接着剤がスプレー塗布されたバネ表面に繊維を供給する。
【0008】
また、ノズルはノズルガイドレール上に配置され、ノズルコントローラがバネの長さを検知してノズルの移動位置を調節する。
【0009】
また、搬送チェーンは、その上端及び下端に垂直に固定されたフックを備え、上端及び下端のフックは、可動ギア構造によってチェーンに連結されている。
【0010】
また、繊維供給装置は、ガイドレールと搬送管とによって、静電気発生装置により生成された電界中に繊維を供給する。
【0011】
また、乾燥器の内部には、電気加熱装置が設けられている。
【0012】
また、ノズルの3つのグループが設けられている。
【0013】
また、接着剤スプレー塗布部の内部には、光電制御装置が設けられている。
【0014】
また、繊維供給管がガイドレール上に配置され、ガイドレールが地面に垂直に配置され、繊維供給管が上下に移動してバネ表面を繊維で覆う。
【0015】
また、電気加熱装置は、温度調節装置及び時間調節装置を備えている。
【0016】
また、ノズルの3つのグループは、それらの間に120°の角度を成す。
【0017】
また、光電制御装置は、ノズルの移動位置を制御することができる。
【0018】
また、光電制御装置は、バネの長さ情報を検知することができる。
【0019】
また、繊維供給管の出口には、繊維の量を調節するための調節装置が設けられている。
【0020】
また、温度調節装置は、乾燥温度を自動的に検知して調節することができる。
【0021】
また、電界の下部には、繊維回収装置が設けられている。
【0022】
また、植毛部の上部には、繊維貯蔵区画が設けられ、繊維貯蔵区画の下部には繊維出力ポートが設けられている。
【0023】
また、繊維出力ポートは、繊維の出力量を規制するために振動規制機構を備える。
【0024】
本発明のバネ表面の植毛加工装置は、全自動の植毛加工ラインであり、ローディング及びアンローディングを除く全工程が手動介入なしに行われる。これにより、操作の一貫性及び安定性が最大限に保証され、手動植毛中の人的要因が排除されて、電動テールゲートバネの植毛加工のための大規模な工業生産が実現する。この自動植毛加工装置は、既存の手動装置の不安定さを最大限まで排除し、一貫した植毛加工後の外観と性能を達成すると同時に、電動テールゲートバネの植毛加工の大規模な工業生産が可能になるように、労働効率を大幅に改善する。また、現場では密閉作業を行うため、作業現場の衛生状態が向上し、植毛加工に使用する繊維も節約できる。
【0025】
以下、本発明の目的、特徴及び効果を十分に理解するために、図面を参照して本発明の概念、具体的な構成及びその技術的効果について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の1つの好適な実施形態に係る植毛加工装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について、その技術的内容をより明確かつ理解しやすくするために、図面を参照しながら説明する。本発明は、様々な形態の実施形態で具現化することができ、本発明の保護範囲は、本明細書に記載された実施形態に限定されない。
【0028】
図面において、同一の参照番号は、同一の構造を有する構成要素を示し、同様の参照番号は、全体を通して同様の構造又は機能を有するアセンブリを示す。図示されている各アセンブリのサイズ及び厚さは任意に示されており、本発明は各アセンブリのサイズ及び厚さを規定していない。図を分かり易くするために、図面の一部の構成要素の厚さは適切に誇張されている。
【0029】
図1に示すように、この自動植毛加工ラインは、主に、ローディング部1、接着剤スプレー塗布部2、搬送チェーン6、静電植毛部3、乾燥器部4、アンローディング部5などで構成されている。接着剤スプレー塗布部2は、ノズル、ノズルガイドレール、ノズルコントローラ、及び温度コントローラで構成されている。ガイドレールは、地面に対して垂直に配置され、バネと整合されている。ノズルコントローラは、バネの長さを検知してノズルの移動位置を自動的に調節する。接着剤スプレー塗布環境全体の温度及び湿度は、温度コントローラにより制御される。植毛加工ラインの搬送は、全ラインにわたって全体として設計されており、ワークピースは上部フック及び下部フックによって搬送チェーン6に垂直に固定され、2つの端部のフックは可動ギア構造によってチェーンに連結されている。搬送チェーン6及びバネは、地面に平行な1つの平面上にある。静電植毛部3は、電界及び繊維供給装置で構成されており、繊維供給装置は、ガイドレールと搬送管とによって電界中に繊維を供給して、繊維の植え込みを完了する。電界の下部には、繊維回収装置が設けられている。また、バネの静電植毛装置の繊維出力ポートは、繊維の出力量を規制するために振動規制機構を備えている。バネの静電植毛装置3の上部には、繊維貯蔵区画が設けられ、繊維貯蔵区画の下部には繊維出力ポートが設けられている。乾燥器4の内部は電気加熱されており、乾燥器4を通過する際に、植毛加工されたバネが加熱され、接着剤が硬化されて、安定した植毛加工効果が得られる。
【0030】
従来の手動の植毛加工の不安定さと低い生産能力の問題を緩和するために、このバネ用の自動植毛加工装置は、電動テールゲートバネ用に設計及び発明されている。この装置は総合的な設計を用いており、バネの植毛中の人間の影響を排除し、一貫した植毛効果を最大限に保証し、同時に大規模な工業生産を達成することができる。本発明の技術的解決手段は、主に以下の通りである。
【0031】
この自動植毛加工ラインは、ローディング部1、接着剤スプレー塗布部2、静電植毛部3、乾燥器4、及びアンローディング部5を含む主に5つの部分で構成されている。フックによってバネが植毛加工ラインに垂直に配置される手順が、ローディング部1であり、この手順は手動で行われる。フックによってバネの上端及び下端が生産ラインの搬送チェーン6に掛けられる。光電スイッチがバネの通過を検知すると、ノズルが作動を開始し、ノズルの3つのグループにより接着剤スプレー塗布の手順が完了する。ノズルはガイドレール上に配置され、ガイドレールは地面に垂直に配置されており、バネが接着剤スプレー塗布2の持ち場に入ると、ノズルが上下に移動して接着されるバネ表面を覆う。光電スイッチによりフィードバックされたバネの長さ情報は、ノズルの移動位置を制御するために使用される。接着剤のスプレー塗布2の完了後、バネは植毛加工3の手順に入る。この手順では、繊維供給装置が、接着剤がスプレー塗布されたバネ表面に繊維を供給する役割を担い、植毛加工3が完了する。繊維供給管がガイドレール上に配置され、ガイドレールが地面に垂直に配置され、繊維供給管が上下に移動してバネ表面を繊維で完全に覆う。植毛加工の完了後、バネは乾燥器4に入り、乾燥器4は電気的に加熱されて、接着剤の乾燥温度及び時間を一定に制御する。異なる接着剤に対応する乾燥温度及び時間が、乾燥器4について調節され得る。加熱乾燥の完了後、バネがアンロードされ始める。この操作も手動で行われ、適切なオペレータが、バネの上端及び下端のフックを取り外してバネを取り外す。
【0032】
自動植毛加工ラインの操作はかなり簡単であり、パラメータ設定後、バネのローディング1とアンローディング5のみを指示する必要があり、途中の手順は全て装置により自動的に完了する。
【0033】
以上、本発明の具体的で好適な実施形態ついて詳細に説明した。当業者であれば、いかなる発明的努力を伴うことなく、本発明の概念に従って修正及び変形を行うことができることを理解されたい。したがって、当業者が、従来技術に基づき、本発明の概念に従って、論理分析、推論、又は限定された試行によって得ることができる任意の技術的解決手段は、特許請求の範囲の保護範囲内に含まれるべきである。