IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スプレイング システムズ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図1
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図2
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図3
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図4
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図5
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図6
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図7
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図8
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図9
  • 特許-静電式散布乾燥ノズルアセンブリ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】静電式散布乾燥ノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/025 20060101AFI20240312BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20240312BHJP
   B05B 7/06 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B05B5/025 A
B05B7/08
B05B7/06
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021530919
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019063739
(87)【国際公開番号】W WO2020113093
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】62/773,875
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595170502
【氏名又は名称】スプレイング システムズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィー シット, リンドン
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン, ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ハフマン, デイヴ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537196(JP,A)
【文献】特開昭61-245859(JP,A)
【文献】特表2005-524527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-3/18
5/00-5/16
7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電式散布器において、
高電圧入力ヘッドと、
前記入力ヘッドに対して下流側に支持された細長いノズル本体と、
前記ノズル本体内部に配置され、前記入力ヘッドに対して下流側に延びる導電性材料で作られた送液管であって、前記送液管は、前記送液管を通して液体を導くための圧縮液体供給部に接続可能であり、
前記ノズル本体および送液管は、前記ノズル本体内に環状噴霧ガス通路を画成し、
前記入力ヘッドは、高電圧ケーブル入力部を有し、前記高電圧ケーブル入力部は、前記送液管と電気的に接触し、前記送液管および前記送液管を通して誘導される液体を帯電させるための高圧電源に接続し、
前記入力ヘッドは、圧縮ガス入力部を有し、前記圧縮ガス入力部は、前記環状噴霧ガス通路と連通し、圧縮噴霧ガスを前記環状噴霧ガス通路を通して導くための圧縮噴霧ガス供給部に接続する、送液管と、
前記細長いノズル本体の下流端部に装着された外部混合クラスタヘッド散布ノズルアセンブリであって、
前記クラスタヘッド散布ノズルアセンブリは、周方向に離間された複数の散布器先端部を有するクラスタヘッド本体を含み、
前記散布器先端部は、各々が、液体流路を有し、前記液体流路は、上流端部と、下流放出オリフィスとを備え、前記上流端部は、前記送液管から帯電液体を受ける為に前記送液管と連通し、前記下流放出オリフィスは、前記クラスタヘッド散布ノズルアセンブリから液体散布を放出し、
前記クラスタヘッド本体は、各散布器先端部の周りに空気通路を画成し、前記散布器先端部は、前記クラスタヘッド本体の外部の各散布器先端部から放出する液体を霧化する為に前記散布器先端部の放出オリフィスの周りに噴霧ガスを導く前記環状噴霧ガス通路と連通する、外部混合クラスタヘッド散布ノズルアセンブリと、
を備える、静電式散布器。
【請求項2】
前記細長いノズル本体および前記クラスタヘッド本体は、非電気伝導材料から作られる、請求項1に記載の静電式散布器。
【請求項3】
前記散布器先端部は、各々が、導電性材料で作られ、前記帯電した送液管と各散布器先端部との間に静電容量が形成されて、前記散布器先端部に誘導された液体の静電荷を高めるように、前記帯電した送液管に対して離間されて下流側に配置される、請求項1又は2に記載の静電式散布器。
【請求項4】
前記散布器先端部は、前記クラスタヘッド本体の各散布器先端部受容開口に配置され、前記クラスタヘッド本体の中心軸に対して外側に下流方向に配向される、請求項1に記載の静電式散布器。
【請求項5】
クラスタヘッド本体は、中央液体マニホールドと、前記液体マニホールドの下流端部を取り囲むように配置されたノズルキャップとを含み、前記液体マニホールドは、前記帯電した送液管と前記散布器先端部のそれぞれとの間にそれぞれ連通する複数の周方向に離間された液体通路で形成され、前記ノズルキャップは、複数の周方向に離間された開口部で形成され、前記開口部は、各々が、前記散布器先端部のそれぞれに対して取り囲むように配置され、前記環状噴霧ガス通路と連通し、前記環状噴霧ガス通路からの噴霧ガスをそれぞれの散布器先端部の周りに導き、前記散布器先端部から放出する液体を霧化する、請求項1に記載の静電式散布器。
【請求項6】
前記散布器先端部は、各々が、前記散布器先端部から放出される液体を霧化するために径方向支持フランジを通して噴霧ガスの流れを可能にしながら、周方向に離間されたノズルキャップ開口部のそれぞれの領域に散布器先端部を支持する為のガス通路で形成された外側に延びる径方向フランジを有する、請求項5に記載の静電式散布器。
【請求項7】
前記散布器先端部は、各々が、円筒状のハブと、内側にテーパが付けられた前方部分と、散布器先端部放出オリフィスを画成する比較的小さい直径の前方ノーズ位置とを有する、請求項6に記載の静電式散布器。
【請求項8】
前記各散布器先端部の前記径方向フランジと、前記散布器先端部が装着されているノズルキャップ開口部との間に入れられた非金属シールキャップを含む、請求項6に記載の静電式散布器。
【請求項9】
前記液体マニホールドは、下流方向に外側に拡張する円錐台形状を有する、請求項5に記載の静電式散布器。
【請求項10】
前記細長いノズル本体は、下流の内側に誘導されたリップで形成され、前記クラスタヘッド本体は、前記環状リップに係合して前記細長いノズル本体内に装着される、請求項1に記載の静電式散布器。
【請求項11】
前記帯電した送液管を通して液体供給部から液体を導くための蠕動ポンプを含む、請求項1に記載の静電式散布器。
【請求項12】
静電式散布器において、
高電圧入力ヘッドと、
前記入力ヘッドに対して下流で支持された細長いノズル本体と、
前記ノズル本体内部に配置され、前記入力ヘッドに対して下流側に延びる導電性材料で作られた送液管であって、前記送液管は、前記送液管を通して液体を導くための圧縮液体供給部に接続可能であり、
前記ノズル本体および送液管は、前記ノズル本体内部に環状噴霧ガス通路を画成し、
前記入力ヘッドは、高電圧ケーブル入力部を有し、前記高電圧ケーブル入力部は、前記送液管と電気的に接触し、前記送液管と前記送液管を通して誘導される液体とを帯電させる為の高電圧電源に接続され、
前記入力ヘッドは、圧縮ガス入口部を有し、前記圧縮ガス入口部は、前記環状噴霧ガス通路と連通し、圧縮噴霧ガスを前記環状噴霧ガス通路を通して導くための圧縮噴霧ガス供給部に接続する、送液管と、
前記細長いノズル本体の下流端部に装着された内部混合散布ノズルアセンブリであって、
前記散布ノズルアセンブリは、ドーム構成の散布器先端部を含み、前記散布器先端部は、前記細長いノズル本体の下流端部に装着され、前記下流端部は、前記散布器先端部の放出オリフィスと連通する前記送液管の下流側に混合チャンバを画成し、
前記送液管は、前記送液管を通って誘導される帯電液体を加速するための縮径液体通路を有する端部を有し、
前記端部は、前記送液管の径方向外側に帯電液体流ストリームを前記混合チャンバ内に導く為に複数の交差スロットを有する、内部混合散布ノズルアセンブリと、
前記ノズル本体の環状噴霧ガス通路と連通する、内側に収束するガス通路を画成するために、前記送液管に対して取り囲むように前記散布器先端部の上流側に装着された空気ガイドであって、前記交差スロットから放出する帯電液体の相互作用および噴霧と前記散布器先端部の放出オリフィスからの後の放出の為の前記散布器先端部の混合チャンバへの前記噴霧液体の方向のために、前記交差スロットを直接横切る送液管端部セクションおよび前記空気ガイドの間に画成された前記送液管を取り囲む環状ガス通路を通って前記環状噴霧ガス通路から圧縮噴霧ガスを導き収束させる、空気ガイドと、
を備える、静電式散布器。
【請求項13】
前記送液管の下流端部を前記空気ガイド及び散布器先端部内部の中央に支持する中心ロケータを含み、前記中心ロケータは、前記送液管が延びる中央開口部と、前記環状ガス通路から前記空気ガイドおよび送液管端部により画成される環状ガス通路を通してガスを噴霧する通路を許容しながら前記細長いノズル本体内の中央に前記送液管を支持する複数の径方向支持脚部と、を有する、請求項12に記載の静電式散布器。
【請求項14】
散布器先端部混合チャンバは、下流方向に内側に収束するドーム形状を有する、請求項12に記載の静電式散布器。
【請求項15】
前記散布器先端部は、前記送液管と整列した中央放出オリフィスを有する、請求項14に記載の静電式散布器。
【請求項16】
前記散布器先端部が、その下流端部に隣接して前記細長いノズル本体の縮径環状リップに対して支持された外径方向フランジを有する、請求項12に記載の静電式散布器。
【請求項17】
前記交差スロットは、前記送液管を通して誘導された帯電液体が衝突する衝突表面を画成し、前記空気ガイドによって導かれた圧縮噴霧ガスによる相互作用のために前記交差スロットを通して径方向外側に誘導される、請求項12に記載の静電式散布器。
【請求項18】
前記送液管は、前記散布器先端部の放出オリフィスから放出される前に、前記散布器先端部の混合チャンバ内部で噴霧化された液体粒子を更に帯電させるように、静電界を前記混合チャンバ内に導くために、前記散布器先端部の混合チャンバ内部に配置された尖った端子端部を有する、請求項17に記載の静電式散布器。
【請求項19】
前記散布器先端部の放出オリフィスは、前記送液管の前記尖った端子端部と軸方向に整列する、請求項18に記載の静電式散布器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]この特許出願は、2018年11月30日に出願された米国特許出願第62/773,875号の利益を主張しており、これは参照により本書に組み込まれる。
【0002】
【発明の分野】
【0003】
[0002]本発明は、一般に液体散布ノズルアセンブリに関し、より詳細には、液体を静電的に帯電させて液体粒子の微細な分解および分布を促進することによって液体を散布乾燥するのに特に適合した静電式散布ノズルアセンブリに関する。
【0004】
【発明の背景】
【0005】
[0003]散布乾燥業界では、乾燥効率および製品品質を改善するために、静電式散布ノズルアセンブリが現在使用されている。非金属材料から作られた内部構成要素を利用することが望ましいが、多くの散布乾燥用途で使用される溶媒は、このような材料を攻撃し、劣化させる。したがって、散布乾燥器は、液体状態の溶媒が分解性プラスチック製構成要素と接触しないように設計する必要がある。典型的には、静電式散布乾燥器は、液体原料と噴霧ガスがノズルの外側で相互作用する外部混合散布ノズルアセンブリを利用してきた。
【0006】
[0004]しかしながら、外部混合散布ノズルは、10kg/時未満の原料のような非常に低い液体流量で動作する。このような低流量ノズルは、容易に制御可能な低圧で非常に微細な液滴を生み出す。しかしながら、流量を増加させるためには、ノズルの液体放出オリフィスの径を大きくする必要がある。ところが、液体放出オリフィスの径が増大してより高い流量に達すると、散布の液滴サイズも増大する。液滴サイズが大きすぎると、静電気が帯電した場合でさえ、乾燥器チャンバ内で十分に乾燥しない。十分に乾燥されない液滴は、さらに、散布器の内部構成要素を被覆し、最適な動作を妨げ、洗浄および/または交換を必要とする。より大きな散布ノズル放出オリフィスは、さらに、より大きな速度および運動量を有する放出散布器になる。散布乾燥用途において、このような放出散布器を収容するために、より大きな長さと、より高価な乾燥チャンバが必要となる。低流量で最適な液体噴霧を維持しながら散布容量を増加させるために、多数のノズル本体、送りライン、加圧ガスライン、ポンプ、および高電圧ケーブルを備えた多数の静電式散布器を使用する必要があり、これはコストがかかり、設置および使用が面倒である。
【0007】
[0005]内部混合散布ノズルアセンブリは、散布ノズルが非常に微細な液体粒子放出を生み出すことを可能にする、霧化における多段液体分解の利点を有することが知られている。しかしながら、内部混合散布ノズルは、より高い液体圧力で動作し、これは、製薬およびフレーバー産業における散布乾燥に特に好ましい低圧動作蠕動ポンプの使用を排除し得る。内部混合散布ノズルは、さらに、かなり少量の加圧された霧化ガスを利用し、これは、種々の散布乾燥用途において望ましい水素などの非空気ガスで霧化する場合に有利である。
【0008】
【発明の目的および概要】
【0009】
[0006]本発明の目的は、散布乾燥用途において特に有利な比較的高い流量で制御可能な微細液滴散布を生み出すことができる静電式散布ノズルアセンブリを有する静電式散布器を提供することである。
【0010】
[0007]別の目的は、より短く、よりコンパクトな乾燥チャンバを有する散布乾燥器において比較的高い流量で動作可能な、上記のような外部混合静電式散布ノズルアセンブリを提供することである。
【0011】
[0008]更なる目的は、散布ノズルアセンブリの内部分解性プラスチックまたは他の非金属構成要素が、散布された液体から隔離される、前述の形式の静電式散布ノズルアセンブリを提供することである。
【0012】
[0009]さらに別の目的は、比較的低圧で動作可能であり、従って、低圧蠕動ポンプを経済的に利用することができる、上記の種類の散布ノズルアセンブリを有する静電式散布器を提供することである。
【0013】
[0010]また、さらに別の目的は、散布乾燥に特に有利な、より低い噴霧ガス流量で制御可能な微細液滴をより効率的に生み出すための内部混合散布ノズルを有する上記種類の静電式散布ノズルアセンブリを提供することである。
【0014】
[0011]さらに別の目的は、構造が比較的単純で、経済的な製造に適した、散布乾燥に使用するための静電式散布ノズルアセンブリを提供することである。
【0015】
[0012]本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明による外部混合散布ノズルアセンブリを有する例示的な静電式散布器の縦断面図である。
図2図2は、図1に示す静電式散布器の外部混合散布ノズルアセンブリの拡大部分断面である。
図3図3は、図2に示す散布ノズルアセンブリの散布器先端部アセンブリの1つの拡大部分断面である。
図4図4は、図1および図2に示す散布ノズルアセンブリの分解図である。
図5図5は、図1に示す静電式散布器における散布ノズルアセンブリの組立状態を示す縦断面である。
図6図6は、本発明による静電式散布器の別の実施形態の縦断面であり、この場合、内部混合散布ノズルアセンブリを有する。
図7図7は、図6に示す散布器の散布ノズルアセンブリの拡大部分断面である。
図8図8は、図6と同様の縦断面であるが、組み立てられる散布器の構成要素を示す。
図9図9は、図6に示す静電式散布器の内部混合散布ノズルアセンブリの分解図である。
図10図10は、図6に示された静電式散布器の放出端部を示す部分断面拡大図である。[0023]本発明は、様々な修正および代替構成の影響を受けやすいが、その特定の例示的実施形態が図面に示されており、以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、本発明の精神および範囲内にある全ての修正、代替構成、および均等物をカバーする意図であることを理解されたい。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0017】
[0024]図1を更に詳細に参照すると、本発明による例示的な静電式散布器10が示されている。図示された静電式散布器10は、流体および高電圧の入力ヘッド11と、入力ヘッド11から下流側に延びる細長いノズルバレルまたは本体12と、細長いノズル本体12の下流端部にある放出散布ノズルアセンブリ14とを含む。静電式散布器10は、本願と同じ譲受人に譲渡された2016年11月3日出願の米国特許出願第15/342,710号に開示された散布乾燥システムのような散布乾燥システムに使用することができることが理解されよう。ノズル本体12は、容器内の放出散布ノズルアセンブリ14および容器の外側に離間された入力ヘッド11を用いて、処理容器等の壁に散布器10を装着することを可能にするために、その直径に対して相対的に長さが長くてもよい。入力ヘッド11およびノズル本体12は、好ましくは、硬質プラスチックまたはUltem1000の商品名で販売されている熱可塑性ポリエーテルイミド(PEI)のような他の非導電性材料で作られ、最終形状に機械加工することができる。実際には、細長いノズル本体12は、長さがノズル本体12の直径の10倍以上、最大12インチ以上であってもよい。
【0018】
[0025]入力ヘッド11は、円筒形の形状であり、細長い本体12は、円筒形の本体部材15であり、その上流端部は、円筒形の本体部材15と入力ヘッド11との間に入れられた密封Oリング16を有する入力ハブ11のネジ穴にネジ係合されている。ステンレス鋼または他の導電性材料から作られた送液管18は、圧縮された液体供給部19に結合するために、その内部で支持され、その外側に延びた上流端部18aを有する外部円筒形本体部材15を通して軸方向に延びる。この場合の送液管18は、入力ヘッド11のカウンタボア内部に装着可能な位置決め肩部18cを画成する縮径上流端部セクション18bを有する。密封Oリング17は、送液管18と入力ヘッド11との間に入れられる。
【0019】
[0026]送液管18は、円筒状本体部材14を軸方向に貫通し、送液管18と外部円筒状本体部材15との間に環状の噴霧ガス通路25を画成する。入力ヘッド11は、適切な圧縮ガス供給部29に結合されたガス入口充填物28を受ける径方向圧縮ガス入口通路26で形成されている。ガス入口通路26は、入力ヘッド11内部の送液管18を取り囲む環状ガスチャンバ30に連通し、この環状ガスチャンバ30は、円筒状本体部材15を介して環状噴霧ガス通路25に連通する。
【0020】
[0027]送液管18に誘導され、これを通過する液体を帯電させるために、入力ヘッド11は、(この場合、ガス入口通路26の上流に)径方向通路31を更に有し、径方向通路31は、高圧電源に接続された高圧ケーブル34に固定された取付具32を受ける。この場合の高電圧ケーブル34は、バネ36によって付勢されて送液管18と確実に導電関係にある端子当接セグメント35を有する。高電圧ケーブル34によって帯電された送液管18によって、送液管18を通る送られる液体が、散布ノズルアセンブリ14への移動の全長に沿って帯電されることが分かる。同時に、圧縮ガスは、環状ガス通路25を介して送液管18と外部筒状本体部材15との間を連通する。
【0021】
[0028]本発明の実施形態によれば、散布ノズルアセンブリ14は、最適かつ経済的な散布乾燥動作のために、比較的高い液体流量および低圧で、特に散布乾燥用途に適した微細な液体粒子散布を生み出すために動作可能な外部混合散布ノズルアセンブリである。この目的のために、散布ノズルアセンブリ14は、送液管18および環状の圧縮ガス通路25からの共通の圧縮液体およびガス供給部(この場合は、それぞれ)に結合された複数の個々の散布器先端部40を備えたクラスタヘッド設計を有する。図2図4に最も良く示されるように、例示されたクラスタヘッド散布ノズルアセンブリ14は、ノズル液体マニホールド41およびノズルキャップ45を備えたクラスタヘッド本体39を有する。ノズル液体マニホールド41には、共通の送液管18と、それぞれの散布器先端部40が装着されて保持される複数の、それぞれの下流散布器先端部受容開口44との間にそれぞれ連通する複数の外側に角度が付けられた液体通路42とで形成されている(図2および図4)。ノズル液体マニホールド41の下流端部に装着されたノズルキャップ45は、散布器先端部40と整列した周方向に離間された複数の円筒形開口部46を有する。この場合のノズル液体マニホールド41は、下流方向に外側に拡張する円錐台状の上流端部41aと、散布器先端部受容開口部44がノズル液体マニホールド41および円筒状本体部材15の中心軸に対して外側に小さな角度(例えば約12-15°)で下流方向に延びる外側に湾曲した下流端部41bとを有する。
【0022】
[0029]この実施形態を実行する際、散布器先端部40は、それぞれが、導電性金属で作られ、この場合、上流側の円筒形ハブ40aと、下流端部に隣接して外側に延びる径方向フランジ40cを有する内側にテーパが付けられて前方に延びる部分40bと、前方に延びる比較的小径のノーズ40dと、を有する。(図4)散布器先端部40は、それぞれが、間に入れられる密封Oリング48を介してノズル液体マニホールド41の散布器先端部収容開口部44内に位置する上流側小径環状ハブ40eを有する(図2)。散布器先端部40は、それぞれが、内側に収束する円錐形の通路部分49aと連通する比較的大きな直径の入口通路セクション49を有し、この入口通路セクション40は、0.040インチ程度の比較的小さな放出オリフィス49cを画成するノーズ40dを通って延びる比較的小さな直径の液体通路49bと連通する。(図3)各散布器先端部入口通路セクション49は、ノズル液体マニホールド41内の外側に収束する液体流路42のそれぞれに連通している。
【0023】
[0030]各散布器先端部40の径方向フランジ49cは、各々が、径方向フランジ46cとノズルキャップ開口部46との間に密封係合を介在させて散布器先端部径方向フランジ45cの周りに配置された環状プラスチック製空気キャップ50と共に、ノズルキャップ45の円筒形開口部46の各々の内部に装着される。この場合、プラスチック製空気キャップ50は、ノズルキャップ開口部46の環状リップに重なるように装着された、前方に延びるリップ50aを備えた、各散布器先端部径方向フランジ40cの前方外周の周りに配置されたL字形の横断面周囲を有する。(図3)ノズルキャップ45は、ナイロンまたは同様の非金属製保持ネジ52によってノズル液体マニホールドに固定され、非金属製保持ネジ52は、ノズルキャップ45を通して中心に延びてノズル液体マニホールド41の軸方向開口部41aと螺合するように中心に延び、散布器先端部40およびプラスチック製空気キャップ50が組み立てられた状態で固定される。
【0024】
[0031] 散布器先端部40から放出される液体を霧化するために、ノズル液体マニホールド41およびノズルキャップ45は、環状噴霧ガス通路55(図2)を画成し、金属製送液管18および外部ノズル本体部材15の間の環状ガス通路25と、各散布器先端部40の周囲の環状ガス通路56との間を、それぞれ直角の入口通路58を介して連通する。これにより、圧縮された噴霧ガスは、同時に、複数の散布器先端部40の周りに、それぞれの散布器先端部径方向フランジ40b内の周方向空気通路開口部40dを通して、かつ軸方向外側に、複数の散布器先端部放出オリフィス49cから放出される液体と相互作用する噴霧係合に誘導することができる。(図3
【0025】
[0032]この実施形態の更なる特徴を実施する際に、クラスタヘッド散布ノズルアセンブリ14を通して誘導された液体は、散布ノズルアセンブリからの放出時に、液体の噴霧を促進するために、多段静電帯電を受ける。この目的のために、金属製の帯電した送液管18の下流端部は、好ましくは約30kVに帯電された鋭い面取り端部60を有し、この面取り端部60は、第1に、送液管18から放出されるときに、かつ散布器先端部40に入る前に、原料(feed stock)に静電界を集束させ、第2に、帯電した送液管18の鋭い面取り端部60と散布器先端部40との間の間隙は、予期せず見出された間隙内に静電容量を形成し、散布器先端部40に誘導され、かつそれを通るときに、液体上の静電荷を増加させる。
【0026】
[0033]動作中、クラスタヘッド散布器ノズルアセンブリ14は、125kg/時間までの比較的高い液体流量での散布乾燥用途に最適な高品質の微細液体粒子散布を生み出すことが証明されている。さらに、散布器先端部40は、各々が、散布乾燥用途に好適な蠕動ポンプを使用して、低圧で制御可能な動作を可能にするために、比較的小さな放出オリフィス49cを有する。さらに、クラスタヘッド散布器ノズルアセンブリ14は、3~5フィートのような非常に短い長さで、このような高流量散布をもたらすことができるので、流量を増加させるためにより大きな放出オリフィスおよび液体圧力を有する散布ノズルを利用する場合、可能な限り、より経済的な散布乾燥チャンバ内で供給することができる。同じチャンバ内のクラスタヘッド散布ノズルアセンブリから放出される複数の静電気で帯電した散布パターンは、さらに、粒子が乾燥した後に粒子を互いに再付着させ、それによって、コーティング効率を妨げる可能性がある、制御するには細かすぎる粒子の量を減少させることが分かった。最後に、噴霧される液体と接触する静電式散布器の内部構成要素の全てが、散布されるほとんどの液体に耐性のあるテフロンまたはステンレス鋼で作られることが分かる。外側円筒状本体部材15は、好ましくは、散布乾燥に使用される特定の溶剤によって劣化する可能性のある硬質ポリエーテルイミド材料から形成され、液体原料から接触しないように維持される。
【0027】
[0034]ノズル本体12に効率的に装着するために、クラスタヘッド散布ノズルアセンブリ14を予め組み立てて、静電式散布器10の経済的な製造を容易にすることも良いことが理解されよう。この場合、予め組み立てられた状態の散布ノズルアセンブリ14は、図5に示すように、上流端部から円筒状本体部材15内に位置決めすることによって、円筒状本体部材15内に組み付けることができる。図示の円筒状本体部材15の下流端部は、ノズルキャップ45と円筒状本体部材15との間に密封Oリング63を介してノズルキャップ45の他の周囲を支持する環状の小径リップ59で形成されている。それゆえに、送液管18は、ノズル液体マニホールド41の中央開口部61内に、その間に入れられた環状Oリング62を介して挿入することができる。例示の散布ノズルアセンブリ14は、ノズル液体マニホールドの大きさに応じて6つの散布器先端部を有するが、好ましくは約3つ~8つの他の数の散布器先端部を使用することもできる。
【0028】
[0035]ここで、より詳細に図6図10を参照すると、本発明による散布ノズルアセンブリ71の代替実施形態を有する静電式散布器70が示されており、上述のものと同様の部材には同様の参照番号が付されている。静電式散布器70は、送液管18を有する入力ヘッド11と、圧縮ガス入口26と、上述のものと同様の高電圧ケーブル接続部34とを含む。散布器70は、さらに、帯電可能な送液管18が中央に配置された状態で入力ヘッド11に固定された細長いノズル本体12を含む。
【0029】
[0036]本発明の実施形態を実行する際に、静電式散布ノズルアセンブリ71は、散布乾燥において最適な使用のために微細な液体粒子散布を導くために動作可能な内部混合散布ノズルアセンブリである。例示された散布ノズルアセンブリ71は、基本的に、ドーム形状の散布器先端部72と、散布器先端部72のすぐ上流側に装着された内部空気ガイド74と、送液管18の下流端部を空気ガイド74及び散布器先端部72内部の中央に支持するための中心ロケータ75と、を備える。
【0030】
[0037]例示されたドーム形状の散布器先端部71は、内側に収束する混合チャンバ72aに連通する上流側の円筒形通路セクション72を有し、この混合チャンバは、散布器放出オリフィス72cを画成する小径の円筒形通路セクション72bを通って連通する。散布器先端部71は、外側円筒形ノズル本体部材18の縮径環状保持リップ75に対して支持された外側に延びる径方向フランジ74を有する。密封Oリング76が、散布器先端部71のドームと、円筒状本体部材15の保持リップ75の内側環状側部との間に入れられる。
【0031】
[0038]空気ガイド74は、円筒形本体部材15内部に装着された外側円筒形壁セクション74aと、散布器先端部71の環状カウンタボア内部に同心状に装着された、前方に延びる環状ハブ74bと、を有する。中心ロケータ75は、中央開口部75aを有し、この中央開口部75aは、内部に送液管15が延び、複数の径方向支持脚部75b内で支持される。この場合、径方向脚部75bは、空気ガイド74の円筒壁74a内部で、その下流端部に隣接して支持される。前記空気ガイド74は、環状ガス通路25から送液管18を取り囲む小さな環状ガス通路78を通って圧縮霧化ガスを導き、収束させる為に、内側に湾曲した内壁74cを有する。
【0032】
[0039]この実施形態を更に実行する場合、送液管18は、軸方向に結合され、縮径液体通路セクション80で形成された端部セグメントセクション18aを含み、縮径液体通路セクション80は、複数の交差スロット81と連通し、交差スロット81を直接横切り狭い環状空気通路78を通って誘導される圧縮噴霧ガスによる相互作用および霧化のために、送液管18の径方向外側に圧縮液体流ストリームを誘導する。この場合、4つの周方向に離間された交差スロット81があり、これらは、送液管セグメント18aの端部に衝突表面82を画成し、この衝突表面に対して、送液管18を通って誘導された液体が衝突し、圧縮された噴霧ガスとの相互作用のために径方向外側に強制的に誘導される。送液管18の延長セグメント18aも導電性金属材料から作られ、送液管18に電気的に接触するように固定されていることが理解されよう。
【0033】
[0040]本実施形態の更なる重要な特徴に従って、送液管端部セグメント18aは、散布ノズルアセンブリ14からの放出前に散布器先端部混合チャンバ72b内部の液体粒子の静電的帯電及び噴霧化を高めるように散布器先端部71の混合チャンバ内部に静電界を収束させるために配置された鋭い尖端部18bを有する。送液管18の末端の尖った端部18aは、散布器先端部混合チャンバ72b内部の中央に置かれ、噴霧された液体粒子が放出通路72bに収束して出る際に、噴霧された液体粒子に静電界を集中させる。
【0034】
[0041]動作中、静電式散布器70は、125kg/時間までの高い液体原料速度(liquid feed stock rates)で、より少ない圧縮噴霧ガス要件で、高品質の微細液体粒子噴霧散布を効率的に生み出すように動作可能であり、これは、散布乾燥に通常使用される水素ガスなどの非空気噴霧ガスを使用する場合に特に有利である。窒素は粉塵爆発を防ぐために使用されるが、これは静電式散布のリスクが高く、大量の水分を吸収する能力もある。先の実施形態と同様に、液体は、送液管18を取り囲む環状チャンバ25を通る圧縮ガスの誘導と同時に、金属製送液管18を通るように誘導されるときに充填される。この例では、液体は、まず、径方向液体放出路81を横切って誘導された圧縮噴霧ガスと相互作用するために、径方向放出路81を通って、送液管セグメント18aの下流端部の衝突表面82と横断方向に衝突することによって、複数の段階で分解する。次に、霧化された液体は、霧化ガスによって散布器先端部72の下流混合チャンバ72bに誘導され、そこで、効率的な散布乾燥のための非常に微細な液体粒子散布として出口オリフィス72cから放出される前に、さらに霧化を促進するために、鋭い尖端部18bの送液管セグメント18bにより広げられる収束静電界によって、微細な液体粒子が更に帯電される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10