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  • 特許-フライフィッシング用リーダー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フライフィッシング用リーダー
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/16 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A01K91/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019169411
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021045065
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】397037454
【氏名又は名称】株式会社バリバス
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠治
(72)【発明者】
【氏名】荒井 一郎
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-023797(JP,A)
【文献】国際公開第2011/089950(WO,A1)
【文献】米国特許第05718077(US,A)
【文献】アクセサリー・テーパーリーダー[オンライン],日本,2017年03月31日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20170331055618/http://www.katokebari.com/lineleader.htm>,2017.03.31アーカイブ[検索日 2020.01.28]
【文献】釣行記 2000[オンライン],2005年02月16日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20050216065032/http://www.ne.jp/asahi/heno/homepage/tyouko2000.html>,2005.02.16アーカイブ[検索日 2020.01.28], 第4頁の「9月頭の藪沢」
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/00-91/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のモノフィラメントラインからなり、
フライが結びつけられるティペット部と、
フライラインが結びつけられるバット部と、
ティペット部とバット部との間に設けられた中間部と
を有し、
前記バット部は、前記ティペット部よりも太く、
前記中間部は、
前記ティペット部から徐々に太くなったフロントテーパ部と、
前記バット部から徐々に太くなったリアテーパ部と、
前記バット部よりも太い部位と
を有し、
前記フロントテーパ部は、
前記ティペット部から徐々に太くなった第1フロントテーパ部と、
前記第1フロントテーパ部の後端から、前記第1フロントテーパ部よりも大きな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2フロントテーパ部と
を有する、
フライフィッシング用リーダー。
【請求項2】
単一のモノフィラメントラインからなり、
フライが結びつけられるティペット部と、
フライラインが結びつけられるバット部と、
ティペット部とバット部との間に設けられた中間部と
を有し、
前記バット部は、前記ティペット部よりも太く、
前記中間部は、
前記ティペット部から徐々に太くなったフロントテーパ部と、
前記バット部から徐々に太くなったリアテーパ部と、
前記バット部よりも太い部位と
を有し、
前記フロントテーパ部は、
前記ティペット部から徐々に太くなった第1フロントテーパ部と、
前記第1フロントテーパ部の後端から、前記第1フロントテーパ部よりも小さな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2フロントテーパ部と
を有する、フライフィッシング用リーダー。
【請求項3】
前記リアテーパ部は、
前記バット部から徐々に太くなった第1リアテーパ部と、
前記第1リアテーパ部の前端から、前記第1リアテーパ部よりも大きな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2リアテーパ部と
を有する、請求項1または2に記載されたフライフィッシング用リーダー。
【請求項4】
前記リアテーパ部は、
前記バット部から徐々に太くなった第1リアテーパ部と、
前記第1リアテーパ部の前端から、前記第1リアテーパ部よりも小さな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2リアテーパ部と
を有する、請求項1または2に記載されたフライフィッシング用リーダー。
【請求項5】
単一のモノフィラメントラインからなり、
フライが結びつけられるティペット部と、
フライラインが結びつけられるバット部と、
ティペット部とバット部との間に設けられた中間部と
を有し、
前記バット部は、前記ティペット部よりも太く、
前記中間部は、
前記ティペット部から徐々に太くなったフロントテーパ部と、
前記バット部から徐々に太くなったリアテーパ部と、
前記バット部よりも太い部位と
を有し、
前記リアテーパ部は、
前記バット部から徐々に太くなった第1リアテーパ部と、
前記第1リアテーパ部の前端から、前記第1リアテーパ部よりも大きな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2リアテーパ部と
を有する、フライフィッシング用リーダー。
【請求項6】
単一のモノフィラメントラインからなり、
フライが結びつけられるティペット部と、
フライラインが結びつけられるバット部と、
ティペット部とバット部との間に設けられた中間部と
を有し、
前記バット部は、前記ティペット部よりも太く、
前記中間部は、
前記ティペット部から徐々に太くなったフロントテーパ部と、
前記バット部から徐々に太くなったリアテーパ部と、
前記バット部よりも太い部位と
を有し、
前記リアテーパ部は、
前記バット部から徐々に太くなった第1リアテーパ部と、
前記第1リアテーパ部の前端から、前記第1リアテーパ部よりも小さな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2リアテーパ部と
を有する、フライフィッシング用リーダー。
【請求項7】
前記リアテーパ部は、前記フロントテーパ部よりも長い、請求項1から6までの何れか一項に記載されたフライフィッシング用リーダー。
【請求項8】
前記フロントテーパ部は、前記リアテーパ部よりも長い、請求項1から6までの何れか一項に記載されたフライフィッシング用リーダー。
【請求項9】
前記中間部は、
フロントテーパ部とリアテーパ部との間に、太さが一定のノンテーパ部を有する、請求項1からまでの何れか一項に記載されたフライフィッシング用リーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここでの開示は、フライフィッシング用リーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004-180692号公報には、フライフィッシング用リーダーが開示されている。ここで、同公報に開示されているとおり、フライフィッシングは、魚に気付かれない離れた場所から、オモリもウキも付けずにフライをキャストし、水面または水中にフライをドリフトさせて魚を釣る方法である。この様なフライフィッシングに対する要求に対応するために、フライフィッシングではフライロッド、リール、フライライン、リーダー、ティペット及びフライの6つのパーツが使用される。リーダーは、ナチュラルにドリフトさせるために糸径を小さくした方が好ましいが、フライを静かに水面に落下させるため、リーダーは、キャスティング時のフライラインからの慣性力をスムーズに伝達するテーパ部を有することが必要である。このため、リーダーは、フライラインと接続される糸径の大きいバットと呼ばれる部分、テーパ形状を有するテーパと呼ばれる部分およびフライを取り付ける糸径の小さいティペットが繋がれるティペット部と呼ばれる部分から成っている。ティペットは、リーダーのティペット部に繋がれ、フライが取り付けられる。なお、フライは、リーダーの先端のティペット部に直接とりつけられてもよい。この場合、ティペットは、省略されうる。
【0003】
同公報では、さらに、フッ化ビニリデン樹脂系モノフィラメントにて構成され、連続的に成形されたバット部、テーパ部およびティペット部から成り、且つティペット部の糸ムラが10%以下でバット部の糸ムラが20%以下である、フライフィッシング用リーダーが例示されている。かかる構成によれば、フライの動きを制約せず、巻きぐせがとれ易く、ティペット部の糸ムラが少なく、且つ、合わせのショックに耐えられる強度を有する、フライフィッシング用リーダーが提供される、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-180692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者は、フライフィッシングにおいて、ユーザー(釣り人)のニーズに合せて、所要のキャスティング性能とドリフト性能とが得られるフライフィッシング用リーダーを提供したいと考えた。そこで、本発明者は、フライフィッシング用リーダーの既成概念に捕らわれない、新たな形のフライフィッシング用リーダーを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで提案されるフライフィッシング用リーダーは、単一のモノフィラメントラインからなる。フライフィッシング用リーダーは、フライが結びつけられるティペット部と、フライラインが結びつけられるバット部と、ティペット部とバット部との間に設けられた中間部とを有している。ここで、バット部は、ティペット部よりも太い。中間部は、ティペット部から徐々に太くなったフロントテーパ部と、バット部から徐々に太くなったリアテーパ部と、バット部よりも太い部位とを有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ここで提案されるフライフィッシング用リーダー10の一実施形態を示す模式的な側面図である。
図2図2は、フライフィッシング用リーダー10の製造工程を示す工程図である。
図3図3は、他の実施形態に係るフライフィッシング用リーダー10Aを示す模式的な側面図である。
図4図4は、他の実施形態に係るフライフィッシング用リーダー10Bを示す模式的な側面図である。
図5図5は、他の実施形態に係るフライフィッシング用リーダー10Cを示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ここで提案されるフライフィッシング用リーダーの一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。
【0009】
図1は、ここで提案されるフライフィッシング用リーダー10の一実施形態を示す模式的な側面図である。図1では、フライフィッシング用リーダー10の長さ方向に対する太さの変化が分かるように図示されており、長さ方向に対する太さの比率が実際のものとは異なる。図2は、フライフィッシング用リーダー10の製造工程を示す工程図である。
【0010】
フライフィッシング用リーダー10の製造工程では、例えば、図2に示されているように、タンブラー51と、押し出し機52とを備えている。タンブラー51は、いわゆる混合機である。タンブラー51は、フライフィッシング用リーダー10を製造するための原料A1,A2や添加材料A3が投入され、混合される。押し出し機52は、混合された原料Bを溶融し、糸状に押し出す装置である。溶融紡糸温度は、溶融した原料Bの融点以上より熱分解以下の範囲のいずれの温度でも可能であり、溶融した原料Bに応じて、安定な紡糸性を維持する温度範囲が見出されるとよい。本発明者は、種々実験を行ない、押し出し機52は、例えば、溶融した原料を押し出す圧力が調整されることによって、糸の太さが調整されることを見出した。本発明者の知見によれば、例えば、押し出される糸を、紡糸の途中で徐々に太くしたり、その後、徐々に細くしたりすることが可能である。
【0011】
フライフィッシング用リーダー10は、単一のモノフィラメントラインからなる。ここで、フライフィッシング用リーダー10は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、フロロカーボンなどの合成樹脂からなる糸でありうる。例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、フロロカーボンなどを原料となる樹脂に、可塑剤、熱安定剤、アクリル系樹脂、結晶核剤、滑剤などの添加剤や、着色剤が適宜に添加される。原料A1,A2となる樹脂、添加剤および着色剤などの添加材料A3は、タンブラー51で均一に混合される。混合された原料Bは、溶かされ、押し出し機52で所定の太さで押し出され、冷却された後、延伸されることによってモノフィラメントラインCが形成される。
【0012】
フライフィッシング用リーダー10は、フライが結びつけられるティペット部11と、フライラインが結びつけられるバット部12と、ティペット部11とバット部12との間に設けられた中間部13とを有している。フライフィッシング用リーダー10では、バット部12は、ティペット部11よりも太い。フライフィッシング用リーダー10は、長さ方向において適宜にティペット部11側を前、バット部12側を後とする。
【0013】
ここでティペット部11は、フライが結ばれる部位であり、フライフィッシング用リーダー10全体では、最も細い部位であり、所要の長さを有している。なお、ティペット部11は、フライの自然な動きを実現させるのに必要な所要のしなやかさと、魚を釣り上げる際に糸切れが生じない程度に所要の引っ張り強度と結節強度を備えているとよい。ティペット部11は、概ね一様な太さで形成されている。ティペット部11は、大凡30cm~200cm程度の長さを有している。また、ティペット部11の直径は、大凡0.10mm~0.37mmである。
【0014】
バット部12は、フライラインが結ばれる部位であり、魚を釣り上げる際に糸切れが生じない程度に所要の引っ張り強度は求められるが、ティペット部11に比べるとしなやかさは求められない。このため、バット部12は、ティペット部11よりも太く形成されており、所要の長さを有している。バット部12は、概ね一様な太さで形成されている。バット部12は、大凡20cm~50cm程度の長さを有している。また、バット部12の直径は、大凡0.43mm~0.58mmである。バット部12の直径は、例えば、ティペット部11の1.5倍~4倍であるとよい。バット部12は、フライラインに結ばれる。バット部12とフライラインの結び目を小さくするには、バット部12は細い方が好ましい。バット部12が細すぎるとフライラインからの力の伝達がロスになる。このため、フライラインの結び目を小さくすることと、フライラインから力を伝達することの両方のバランスを取った太さのバット部12を有するフライフィッシング用リーダー10が、適宜に採用されるとよい。
【0015】
中間部13は、ティペット部11とバット部12との間に設けられている。中間部13は、ティペット部11から徐々に太くなったフロントテーパ部13aと、バット部12から徐々に太くなったリアテーパ部13bと、バット部12よりも太い部位13cとを有している。中間部13は、大凡200cm~400cm程度の長さを有している。なお、ここでは、フロントテーパ部13aは、中間部13のうち、ティペット部11側から長さ方向に沿って徐々に太くなった部位である。リアテーパ部13bは、中間部13のうち、バット部12側から長さ方向に沿って徐々に太くなった部位である。換言すると、フロントテーパ部13aでは、ティペット部11に向けて徐々に細くなるテーパが設定されている。リアテーパ部13bでは、バット部12に向けて徐々に細くなったテーパが設定されている。
【0016】
図1に示された形態では、フロントテーパ部13aは、ティペット部11から徐々に太くなっており、フロントテーパ部13aの後端の最も太い部分から連続してリアテーパ部13bが設けられている。リアテーパ部13bは、換言すると、フロントテーパ部13aの後端の最も太い部分から連続してバット部12に向けて徐々に細くなっている。このため、この実施形態では、リアテーパ部13bは、バット部12よりも太い。そして、フロントテーパ部13aとリアテーパ部13bとの境界部分が中間部13において最も太くなっている。また、図1に示された形態では、リアテーパ部13bがフロントテーパ部13aよりも長く設定されており、リアテーパ部13bのテーパは、フロントテーパ部13aよりも緩くなっている。
【0017】
かかるフライフィッシング用リーダー10によれば、中間部13の単位長さ当りの重さが、バット部12よりも重たい。このためティペット部11に近い部分、換言すれば、フライフィッシング用リーダー10の前方部分に重たい部位が設けられる。このため、フライを投げる際にフライラインおよびフライフィッシング用リーダー10に遠心力が得られ易い。このようにフライフィッシング用リーダー10は、いわゆるターン性が良い。他方で、ティペット部11は細いので、キャスト後にフライを自然に流すことができる。このようにフライフィッシング用リーダー10は、いわゆるドリフト性が良い。ここで、中間部13のうち最も太い境界部分の直径は、例えば、バット部12の1.2倍~1.3倍であるとよい。
【0018】
なお、かかるフライフィッシング用リーダー10は、モノフィラメントラインであり、撚り合わせられたマルチフィラメントと異なり、水が浸み込みにくい。例えば、フライフィッシング用リーダー10がナイロンのモノフィラメントラインで構成される場合、ナイロンの特性上、フライフィッシング用リーダー10は多少吸水する場合がある。また、中間部13は、長さ方向に対して太さが変化する。ここで提案されるフライフィッシング用リーダー10は、モノフィラメントラインであり、中間部13の太さが変わるように成形されている。このため、外径がスムーズに変化しており、比重が概ね一定に保たれるのでドリフト性も良好である。また、フライフィッシング用リーダーのティペット部分は、フライを何回か結び直していくうちに短くなっていく。このため、別売りのティペットをスプールから必要な長さだけ切り出して結び、リーダーに足していくことがある。また、最初からリーダーに別売りのティペットを結び、継ぎ足して用いる場合もある。このように、フライフィッシング用リーダーのティペット部11には、別の糸が結ばれる場合がある。さらに、釣り人の好みに合わせて太さの異なる糸が任意の位置に結ばれて、フライフィッシング用リーダーとして使用される場合もあるようである。しかしながら、結び目は、キャスティング時に空気抵抗となるのでターン性能が悪くなる。また、結び目にゴミなどが絡みつく場合があり、釣りを行うときに邪魔になる場合がある。また、結び目で強度が落ちる場合がある。これに対して、ここで提案されるフライフィッシング用リーダー10は、モノフィラメントラインであり、結び目はない。このため、ターン性、ドリフト性ともに、所望の性能が発揮されやすい。
【0019】
ここで提案されるフライフィッシング用リーダーは、図1に示された形態に限定されない。図3から図5は、他の実施形態に係るフライフィッシング用リーダー10A~10Cを示す模式的な側面図である。図3から図5は、フライフィッシング用リーダー10の長さ方向に対する太さの変化が分かるように図示されており、長さ方向に対する太さの比率が実際のものとは異なる。
【0020】
図3に示されたフライフィッシング用リーダー10Aでは、フロントテーパ部13aが、リアテーパ部13bに比べて長く設定されている。また、図3に示された形態では、フロントテーパ部13aは、ティペット部11側の第1フロントテーパ部13a1とリアテーパ部13b側の第2フロントテーパ部13a2でテーパが異なっている。具体的には、フロントテーパ部13aは、ティペット部11側の第1フロントテーパ部13a1のテーパが、リアテーパ部13b側の第2フロントテーパ部13a2よりも緩やかになっている。
【0021】
図3に示されたフライフィッシング用リーダー10Aでは、フロントテーパ部13aが、リアテーパ部13bに比べて長く設定されているので、ティペット部11の動きがより自然なものとなりやすい。このためキャスティング後のフライのドリフト性が良い。また、図3に示された形態では、フロントテーパ部13aは、ティペット部11側の第1フロントテーパ部13a1のテーパが、リアテーパ部13b側の第2フロントテーパ部13a2よりも緩やかになっている。この点でも、図1に示された形態に比べると、中間部13のティペット部11側がしなやかになり、ティペット部11の動きがより自然なものとなりやすく、フライのドリフト性を向上させることに寄与する。また、中間部13のティペット部11側がしなやかであるから、キャスト時、フライフィッシング用リーダー10およびフライが着水するときの衝撃も小さくなりやすい。この実施形態では、フロントテーパ部13aの長さは、リアテーパ部13bの1.8倍~2.2倍であるとよい。また、第1フロントテーパ部13a1の長さは、第2フロントテーパ部13a2の0.8倍~1.2倍であるとよい。このように、ここで提案されるフライフィッシング用リーダーでは、フロントテーパ部13aをリアテーパ部13bよりも長くしてもよい。また反対に、リアテーパ部13bをフロントテーパ部13aよりも長くしてもよい。
【0022】
図4に示されたフライフィッシング用リーダー10Bは、フロントテーパ部13aと、リアテーパ部13bとが概ね同じ長さである。図4に示された形態では、フロントテーパ部13aは、ティペット部11側の第1フロントテーパ部13a1とリアテーパ部13b側の第2フロントテーパ部13a2でテーパが異なっている。具体的には、フロントテーパ部13aは、リアテーパ部13b側の第2フロントテーパ部13a2のテーパが、ティペット部11側の第1フロントテーパ部13a1よりも緩やかになっている。図4に示されたフライフィッシング用リーダー10Bでは、フロントテーパ部13aと、リアテーパ部13bとが概ね同じ長さである。この形態では、中間部13の概ね中間位置にフライフィッシング用リーダー10の重心が配置される。このため、この形態によれば、キャスティング時にフライをコントロールしやすく、またドリフト性能も向上する。このように、フライフィッシング用リーダー10Bは、キャスト性能、ドリフト性能をバランス良く兼ね備えた形状である。
【0023】
このように、フロントテーパ部13aは、ティペット部11側と、リアテーパ部13b側とでテーパが異なっていてもよい。例えば、図3に示されているように、ティペット部11から徐々に太くなった第1フロントテーパ部13a1と、第1フロントテーパ部13a1の後端から、第1フロントテーパ部13a1よりも大きな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2フロントテーパ部13a2とを有していてもよい。また、図4に示されているように、ティペット部11から徐々に太くなった第1フロントテーパ部13a1と、第1フロントテーパ部13a1の後端から、第1フロントテーパ部13a1よりも小さな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2フロントテーパ部13a2とを有していてもよい。
【0024】
図5に示されたフライフィッシング用リーダー10Cの中間部13は、フロントテーパ部13aとリアテーパ部13bとの間に、太さが一定のノンテーパ部13dを有する。図5に示された形態では、フロントテーパ部13aは、ティペット部11からノンテーパ部13dの前端に向けて徐々に太くなっている。リアテーパ部13bは、バット部12側の第1リアテーパ部13b1とノンテーパ部13d側の第2リアテーパ部13b2とを有している。第1リアテーパ部13b1と第2リアテーパ部13b2とで、テーパが異なっている。具体的には、リアテーパ部13bは、バット部12側の第1リアテーパ部13b1のテーパが、ノンテーパ部13d側の第2リアテーパ部13b2よりも緩やかになっている。図5に示されたフライフィッシング用リーダー10Cでは、中間部13のノンテーパ部13dが太くなっており、当該部位にフライフィッシング用リーダー10の重心が配置される。このため、フライフィッシング用リーダー10を通じて遠心力が得られやすく、キャスティング時にフライをコントロールしやすい。
【0025】
このように、図5に示された形態では、ノンテーパ部13dの長さは、任意に定められうる。例えば、中間部13の長さの1/10~1/3をノンテーパ部13dとしてもよい。また、ノンテーパ部13dを挟む、フロントテーパ部13aやリアテーパ部13bの長さの比率も図5に限定されない。図5では、リアテーパ部13bがフロントテーパ部13aよりも長いが、フロントテーパ部13aをリアテーパ部13bよりも長くしてもよい。また、リアテーパ部13bは、テーパが異なる第1リアテーパ部13b1と第2リアテーパ部13b2を有しているが、リアテーパ部13bのテーパを一定としてもよい。また、フロントテーパ部13aは、テーパが異なる第1フロントテーパ部13a1と第2フロントテーパ部13a2を有していてもよい。
【0026】
また、リアテーパ部13bは、バット部12側と、フロントテーパ部13a側とで、テーパが異なっていてもよい。例えば、図5に示されているように、バット部12から徐々に太くなった第1リアテーパ部13b1と、第1リアテーパ部13bの前端から、第1リアテーパ部13b1よりも大きな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2リアテーパ部13b2とを有していてもよい。また、図示は省略するが、バット部12から徐々に太くなった第1リアテーパ部13b1と、第1リアテーパ部13b1の前端から、第1リアテーパ部13b1よりも小さな割合で長さ方向に対して徐々に太くなった第2リアテーパ部13b2とを有していてもよい。かかるフライフィッシング用リーダー10Cでは、ノンテーパ部13dが1番太く、当該ノンテーパ部13dが長く設定されることによって、フライフィッシング用リーダー10Cのウェイトが増す。また、フライフィッシング用リーダー10Cは、ノンテーパ部13dが短く設定されることで、ウェイトの増加が小さく抑えられる。またノンテーパ部13dの長さや位置(フロントテーパ部13aやリアテーパ部13bの長さを変える)が調整されることによって、ターン性能を重視した形態でありながらドリフト性能にも特化させたフライフィッシング用リーダーを提供しうる。
【0027】
以上、ここで提案されるフライフィッシング用リーダーの一実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、ここで提案されるフライフィッシング用リーダーは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0028】
10,10A~10C フライフィッシング用リーダー
11 ティペット部
12 バット部
13 中間部
13a フロントテーパ部
13b リアテーパ部
13c バット部12よりも太い部位
13d ノンテーパ部
51 タンブラー
52 押し出し機
図1
図2
図3
図4
図5