(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】リハビリテーション方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2019196691
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 俊之
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-87156(JP,A)
【文献】特開2009-112791(JP,A)
【文献】米国特許第5679004(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102824691(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0199672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00 ― 1/02
A61N 1/00 ― 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラピスト側に設置される筋電計と、セラピスト側に設置され、当該筋電計により取得した筋電図電位を電気刺激信号に変換するアイソレーターと、遠隔地の患者側に設置され、当該アイソレーターとインターネットを介して接続されている電気刺激装置であって、当該電気刺激信号の入力により電気刺激を発生する電気刺激装置とを有することを特徴とする遠隔リハビリテーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーション方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リハビリテーションは患者に付き添ったセラピストが、患者が行うべき動作を見本として見せ、その動作を患者が模倣して繰り返すことにより行なわれているのが一般的である。また、患者が在宅療養者のように、セラピストから遠隔の地に所在する場合には、セラピストの動作を撮影した動画をモニターテレビ等で患者に見せ、患者がその動画中のセラピストの動作を模倣することによっても行なわれている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、斯かる従来の方法はいずれもセラピストの動作を患者が見て、単にその動きをマネするだけのものに過ぎなかったため、筋肉の収縮の強さや動きのタイミングを患者が認識することができない、と云う問題があった。また、当該筋肉の収縮の強さや動きのタイミングは、セラピストが口頭で説明しても、患者が容易に理解することは困難であり、その結果、的確に、かつ効率的にリハビリテーションを行なうことができなかったのが実状であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「遠隔リハビリテーション支援システムの開発」、ASSISTECH Report 1999(福祉のまちづくり工学研究所報告集)、第82-87頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、患者が的確に、かつ効率的にリハビリテーションを行なうことができる方法及びシステムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、セラピストの筋電図電位を取得し、その筋電図電位に対応した電気刺激を患者に与えれば、患者にセラピストの動きと同様の神経・筋活動を起こさせることができることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、患者のリハビリテーション対象部位に対応するセラピストの筋肉部位の筋電図電位を取得するステップと、当該筋電図電位に対応した電気刺激を患者のリハビリテーション対象部位に与えるステップとを有することを特徴とするリハビリテーション方法により上記課題を解決したものである。
また、本発明は、筋電計と、当該筋電計により取得した筋電図電位を電気刺激信号に変換するアイソレーターと、当該電気刺激信号の入力により電気刺激を発生する電気刺激装置とを有することを特徴とするリハビリテーションシステムにより上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単なる動作のモノマネではなく、セラピストの筋電図電位に基いて患者の神経や筋肉を直接刺激して、セラピストの動きと同様の神経・筋活動を患者に起こすことができるので、一つ一つの筋肉の収縮の強さや動きのタイミングが的確に患者に伝えられ、効率的なリハビリテーションが可能となる。
しかも、本発明は在宅療養者等の遠隔地の患者であっても、有線、Wi-Fi、インターネット等を利用して、当該電気刺激を患者の所在地で行なうこともできるので、特に遠隔リハビリテーションを効果的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のリハビリテーションシステム例を示す概略構成説明図。
【
図2】本発明の遠隔リハビリテーションシステム例を示す概略構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0011】
図1は本発明リハビリテーションシステム例を示す概略構成説明図である。
当該
図1において、10は筋電計で、表面電極11を備えている。筋電計10は、一般的な生体信号計測用アンプを使用することができる。
この筋電計10には、筋電図電位を電気刺激信号に変換するアイソレーター20が接続されている。アイソレーター20としては、特に制限されないが、リニアアイソレーター(例えば、定電流アイソレーター ULI-100、株式会社ユニークメディカル社製)が好適に使用される。
このアイソレーター20には、当該変換された電気刺激信号の入力により電気刺激を発生する電気刺激装置30が接続されており、当該電気刺激装置30は表面電極31を備えている。
【0012】
セラピストが患者に付き添ってリハビリテーションを行なう場合は、これらの筋電計10、アイソレーター20及び電気刺激装置30は何れも病院のリハビリテーション室等の特定のエリアにまとめて設置される。
【0013】
他方、在宅療養者等に対する遠隔リハビリテーションを行なう場合には、筋電計10はセラピスト側に設置されると共に、電気刺激装置30は患者側に設置される。アイソレーター20は、セラピスト側又は患者側の何れに設置しても良いが、セラピスト側で電気刺激信号に変換し、当該変換した信号を患者側に送信した方が患者側の設備や操作における負担が少なくなるため、後述の遠隔リハビリテーションシステムのように、セラピスト側に設置するのが運用上有利である。この場合、アイソレーター20と電気刺激装置30は、有線、Wi-Fi、インターネット等の適宜手段を介して接続される。
【0014】
次に、
図1の実施の形態に係る本発明リハビリテーションシステムによる本発明リハビリテーション方法を説明する。
【0015】
先ず、筋電計10の表面電極11を、患者のリハビリテーション部位に対応するセラピストの筋肉部位に置いて固定し、筋電計10を作動させて当該筋肉部位の筋電図電位を取得する。
次いで、当該取得した筋電図電位をアイソレーター20により電気刺激信号に変換する。
次いで、患者のリハビリテーション部位に表面電極31を置いて固定した電気刺激装置30に、上記電気刺激信号を入力し、作動させて電気刺激を与える。
これにより、セラピストの動きと同様の神経・筋活動が患者に生じる。
【0016】
図2はインターネントを利用した本発明の遠隔リハビリテーションシステム例を示す概略構成説明図である。
当該
図2において、40はセラピスト端末、また、50は患者端末で、インターネット80を介してそれぞれ接続されている。セラピスト端末40にはアイソレーター20が接続されていると共に、当該アイソレーター20には表面電極11を備えた筋電計10が接続されている。患者端末50には表面電極31を備えた電気刺激装置30が接続されている。
これにより、筋電計10で取得されたセラピストの筋電図電位がアイソレーター20で電気刺激信号に変換の上、遠隔地の電気刺激装置30に入力されて患者に電気刺激が与えられるので、セラピストの動きと同様の神経・筋活動が患者に生じる。
【符号の説明】
【0017】
10:筋電計
11:表面電極
20:アイソレーター
30:電気刺激装置
31:表面電極
40:セラピスト端末
50:患者端末
80:インターネット