(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自動車のサスペンションにおける車体昇降位置規定ストッパ
(51)【国際特許分類】
B60G 7/04 20060101AFI20240312BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B60G7/04
F16F7/00 F
(21)【出願番号】P 2020021077
(22)【出願日】2020-02-11
【審査請求日】2022-12-30
(73)【特許権者】
【識別番号】304037418
【氏名又は名称】株式会社ムーンフェイス
(74)【代理人】
【識別番号】100101524
【氏名又は名称】長谷川 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】阿部 卓郎
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-037138(JP,A)
【文献】特開2011-174563(JP,A)
【文献】実開昭59-086441(JP,U)
【文献】特開2015-152040(JP,A)
【文献】実開昭62-177941(JP,U)
【文献】国際公開第2019/106892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 7/04
F16F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のサスペンションにおいて相対的位置関係が変位可能な2つの部材の接近位置を規定し車体の昇降の限度位置を規定する車体昇降位置規定ストッパであって、
ストッパ本体を有し、
前記ストッパ本体は、その基端部において前記2つの部材のうちの一方の部材に取り付けられ、その先端部において前記2つの部材のうちの他方の部材に当接するものであり、
前記ストッパ本体は、外側部材と内側部材とを有し、
前記外側部材は前記内側部材の少なくとも一部を覆い、前記内側部材は前記ストッパ本体のうちの基端部の側に位置し、前記外側部材は前記内側部材よりも当該ストッパ本体の先端部の側の部位である頭占部を有し、
前記外側部材の縦弾性係数は、前記内側部材の縦弾性係数よりも小さく、
前記内側部材のうちの前記ストッパ本体の先端部の側の部位には、前記ストッパ本体の基端部の側に窪む凹部が形成されて
おり、
前記凹部には、前記外側部材よりも収縮しやすい素材が充填されている、
車体昇降位置規定ストッパ。
【請求項2】
請求項1に記載の車体昇降位置規定ストッパであって、
前記外側部材は、前記内側部材の周壁面の少なくともその一部を覆うとともに、前記内側部材のうちの当該ストッパ本体の基端部の側にも及んでいる、
車体昇降位置規定ストッパ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車体昇降位置規定ストッパであって、
さらに取付部材を有し、
前記取付部材は、前記ストッパ本体をその基端部において前記2つの部材のうちの一方の部材に取り付けるものである、
車体昇降位置規定ストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサスペンションにおいて、車体の上昇・下降の限度位置を規定する車体昇降位置規定ストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車においては、サスペンション(懸架装置)によって、車体に対して、ハブ(駆動輪の側の場合は車軸ともいえる)が、中立高さ位置を基準に昇降(上昇・下降)可能に連結されている。こうして、車体は、ハブ(車軸)に対して、中立高さ位置を基準に昇降(下降・上昇)可能とされている。
【0003】
すなわち、従動輪の側においては、例えば、
図1A及び
図1Bに示すように、サスペンションは、アーム(アッパーアーム820A及びロワーアーム820B)を有し、各アーム820A,820Bは、その基端部において車体900に対して回動軸822A,822Bを中心に揺動可能に連結され、その先端部においてハブ支持材825に対して回動可能に連結されている。
また、ハブ支持材825は、スプリングやショックアブソーバ(いずれも図示省略)等を介して、車体900に対して、連結されている。
ハブ800にはホイール(図示省略)が固定され、ホイールにはタイヤ805が取り付けられている。
【0004】
また、駆動輪の側においては、例えば、
図2に示すように、サスペンションは、リーフスプリング840,支持材841,ショックアブソーバ842,一対のUボルト843等によって構成されている。
リーフスプリング840(複数枚)は、その両端部(図示省略)が車体900に対して結合されており、車軸筒(車軸ハウジング)845はリーフスプリング840によって支持されている。
一対のUボルト843は車軸筒845を巡回し、その各端部において、リーフスプリング840を支持する支持材841に対して固定されている。ショックアブソーバ842の上端部(図示省略)は車体900に対して結合され、その下端部は支持材841に対して結合されている。
車軸802にはハブ800が固定され、ハブ800にはホイール(図示省略)が固定され、ホイールにはタイヤ805が取り付けられている。
【0005】
上述のようなサスペンションに付随して、車体昇降位置規定ストッパ(車体下降位置規定ストッパ,車体上昇位置規定ストッパ)が設けられて、車体昇降位置規定機構(車体下降位置規定機構,車体上昇位置規定機構)が形成されている。
これは、車体900がハブ800(車軸802)に対して下降する限度位置や上昇する限度位置を規定し、それ以上に車体900が下降したり上昇したりすることを防止するものである。
【0006】
従動輪の側において、車体下降位置規定機構は、例えば、以下のような構造を有している。
図1Aに示すように、第1のケースとして、車体下降位置規定ストッパ(「バンプストッパ」ともいわれる)LS1がアーム(例えば、ロワーアーム820B)の上側に対して固定され、車体900の側には、それに対向する当接部材823Aが固定されている。そして、車体下降位置規定ストッパLS1が当接部材823Aに当接することによって、車体900に対してそれ以上ハブ800が上昇することが防止され、ハブ800に対して(すなわち、地面に対して)それ以上車体900が下降することが防止される。
また、
図1Bに示すように、第2のケースとして、車体下降位置規定ストッパLS2が、アーム(例えば、ロワーアーム820B)の上側において、車体900に固定されたブラケット824B(車体900側の部材)に対して固定されている。そして、ロワーアーム820Bが車体下降位置規定ストッパLS2に当接することによって、上述と同様に、それ以上車体900が下降することが防止される。
なお、車体下降位置規定ストッパLS1,LS2は、アッパーアーム820Aの側に設けられてもよい。
【0007】
また、同じく従動輪の側において、車体上昇位置規定機構は、例えば、次のような構造を有している。
図1Aに示すように、第1のケースとして、車体上昇位置規定ストッパ(「リバンプストッパ」ともいわれる)HS1が、アーム(例えば、アッパーアーム820A)の下側において、車体900に固定されたブラケット824A(車体900側の部材)に対して固定されている。そして、アッパーアーム820Aが車体上昇位置規定ストッパHS1に当接することによって、車体900に対してそれ以上ハブ800が下降することが防止され、ハブ800に対して(すなわち、地面に対して)それ以上車体900が上昇することが防止される。
また、
図1Bに示すように、第2のケースとして、車体上昇位置規定ストッパ(リバンプストッパ)HS2がアッパーアーム820Aの下側に対して固定され、車体900の側には、それに対向する当接部材823Bが固定されている。そして、車体上昇位置規定ストッパHS2が当接部材823Bに当接することによって、上述と同様に、それ以上車体900が上昇することが防止される。
なお、車体上昇位置規定ストッパHS1,HS2は、ロワーアーム820Bの側に設けられてもよい。
【0008】
また、駆動輪の側において、車体下降位置規定機構は、例えば、次のような構造を有している。
図2(b)において実線で示すように、車軸筒845の上方において、車体900の側に、車体下降位置規定ストッパLS3が固定されている。そして、車軸筒845が車体下降位置規定ストッパLS3に当接することによって、車体900に対してそれ以上車軸802(ハブ800)が上昇することが防止され、車軸802(ハブ800)に対して(すなわち、地面に対して)それ以上車体900が下降することが防止される。
また、逆に、
図2(b)において2点鎖線で示すように、車軸筒845の上部に車体下降位置規定ストッパLS4が固定されることも考えられる。そして、車体下降位置規定ストッパLS4が車体900に当接することによって、上述と同様に、それ以上車体900が下降することが防止される。
【0009】
一般的に、車体昇降位置規定ストッパ(車体下降位置規定ストッパLS1~LS4,車体上昇位置規定ストッパHS1,HS2)は、ストッパ本体及び取付部材を有している。
ストッパ本体はゴム又は合成樹脂等によって形成されており、弾性的に変形可能なものである。
そして、従来は、ストッパ本体は、1つの部材として形成されていた。
【0010】
ここで、本発明者は、ストッパ本体の単位圧縮力による弾性収縮率(同一の圧縮力を受けた場合に、その圧縮方向に収縮する割合)が、乗り心地に影響することに着目した。なお、単位圧縮力による弾性収縮率とは、単一の素材の場合における単位圧縮応力に基づく縦弾性係数(ヤング率)の逆数に対応する。
ストッパ本体の縦弾性係数が大きい(単位圧縮力による弾性収縮率が小さい)と、すなわちストッパ本体が硬いと、所定の高さで車体900の昇降が確実に規定される一方で、その当接の際にストッパ本体があまり収縮しないため大きな衝撃が生じ、その衝撃が車体900に伝わり、乗り心地が悪いものとなる。
一方、ストッパ本体の縦弾性係数が小さい(単位圧縮力による弾性収縮率が大きい)と、すなわちストッパ本体が柔らかいと、その当接の際にストッパ本体が大きく収縮するため、その時点で大きな衝撃が生じはしないが、ストッパ本体が収縮しすぎることによって、本来的に当接すべきでない部材同士が当接する場合があり、その場合は、その時点で大きな衝撃が生じることとなる。
【0011】
ところで、自動車が一般のユーザーに購入された後、その自動車は、ユーザーの好みに応じて、車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなる(すなわち、ハブ800(車軸802)が車体900に対して相対的に本来の高さよりも高くなる)ように調整される場合や、逆に、車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりもあえて高くなる(すなわち、ハブ800(車軸802)が車体900に対して相対的に本来の高さよりも低くなる)ように調整される場合がある。
その場合には、サスペンションによって車体900がハブ800(車軸802)に対して中立高さ位置を基準に昇降(下降・上昇)する際の許容域が本来よりも狭くなる場合があり、特にその場合には、前述の問題点は一層顕著なものとなる。
【0012】
この課題を解決しようとするために、本出願人は、特許文献1を出願している。
その発明の車体下降位置規定ストッパは、ストッパ本体及び取付部材を有し、ストッパ本体は外側部材及び内側部材によって形成されている。
【0013】
内側部材は、外側部材の内部のうち、基端部(下端部)の側に位置している。
すなわち、外側部材は、内側部材を内包しており、ストッパ本体のうちの先端部の側の部位(ストッパ本体の略上半部)は外側部材(頭占部)のみによって形成され(第1部位)、それよりも下側の部位(ストッパ本体の略下半部)は、ほぼ内側部材によって形成されているとともに、内側部材の周壁面は外側部材(その周覆部)によって覆われている(第2部位)。
また、内側部材の底面(その全部又は一部)も外側部材(その底覆部)によって薄肉状に覆われている。
外側部材の縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。
このため、当接の際には、まずはストッパ本体の第1部位(略上半部)が主に収縮することによって、当接の際の衝撃が緩和されて車体に大きな衝撃が伝わることが防止される。また、当接の際の圧縮力が大きい場合であっても、第2部位(略下半部)の存在によってストッパ本体が収縮し過ぎることが防止される。
こうして、車体が昇降した際に、乗り心地を損ねることなく、その限度位置が規定される。
【0014】
ところで、本発明者がさらに研究したところ、上記の車体昇降位置規定ストッパに改良の余地があることが判明した。
すなわち、外側部材の頭占部が大きく圧縮された際には、それによって収縮しようとする頭占部の素材の一部は、外側部材のうちの周覆部(内側部材の周壁面を覆う部分)に流れようとする。
一方で、内側部材はあまり圧縮されないことから、外側部材のうちの周覆部が内側部材(その周壁面)から離隔して外方に向かって湾曲しようとする。
これが繰り返されると、外側部材のうちの周覆部が破損することもあり得る。その場合は、外側部材と内側部材とが分離することにもつながる。
このように、従来の車体昇降位置規定ストッパでは、耐久性を追求する上で限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、車体が昇降した際に乗り心地を損ねることなく、その限度位置を規定するストッパであって、耐久性に優れたものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様は、自動車のサスペンションにおいて相対的位置関係が変位可能な2つの部材の接近位置を規定し車体の昇降の限度位置を規定する車体昇降位置規定ストッパであって、ストッパ本体を有し、前記ストッパ本体は、その基端部において前記2つの部材のうちの一方の部材に取り付けられ、その先端部において前記2つの部材のうちの他方の部材に当接するものであり、前記ストッパ本体は、外側部材と内側部材とを有し、前記外側部材は前記内側部材の少なくとも一部を覆い、前記内側部材は前記ストッパ本体のうちの基端部の側に位置し、前記外側部材は前記内側部材よりも当該ストッパ本体の先端部の側の部位である頭占部を有し、前記外側部材の縦弾性係数は、前記内側部材の縦弾性係数よりも小さく、前記内側部材のうちの前記ストッパ本体の先端部の側の部位には、前記ストッパ本体の基端部の側に窪む凹部が形成されている、車体昇降位置規定ストッパである。
【0018】
この発明の車体昇降位置規定ストッパでは、まずは、車体の昇降に伴って、その基端部において2つの部材(自動車のサスペンションにおいて相対的位置関係が変位可能な2つの部材)のうちの一方の部材に取り付けられたストッパ本体の先端部において、当該2つの部材のうちの他方の部材に当接することによって、そのストッパ本体が収縮し、車体の昇降の限度位置が規定される。
【0019】
また、この発明の車体昇降位置規定ストッパでは、ストッパ本体の先端部から基端部にかけて、外側部材によってのみ形成されている頭占部(第1部位)、内側部材において凹部が形成されている部位(第2部位)、内側部材において凹部が形成されていない部位(第3部位))の3つの部位が形成されている。
各部位は、各々の単位圧縮力による弾性収縮率の比率に基づいて収縮するため、当接の際の圧縮力の大きさに応じて、各部位が収縮する。
すなわち、収縮しやすい部位を中心に収縮し始め、その収縮が限界に近づくと、次に収縮しやすい部位を中心に収縮する、というようにして各部位が収縮し、基本的には(断面積にもよるが)第3部位(ストッパ本体において第1~第3部位のうち最も基端部の側の部位)が最後に収縮する。
こうして、安定的に、かつ、車体の昇降の大小を問わず、適切に車体の昇降位置が規定される。
【0020】
そして、この車体昇降位置規定ストッパでは、内側部材のうちのストッパ本体の先端部の側の部位にはストッパ本体の基端部の側に窪む凹部が形成されているため、外側部材の頭占部が収縮する際に、その素材の一部が凹部に流れる(入り込む)。
このため、外側部材が内側部材の周壁面(少なくともその一部)を覆う(その部位を「周覆部」ということとする)態様の場合であっても、外側部材の頭占部が収縮する際に、その素材の一部が周覆部に流れようとすることが軽減され、周覆部が破損することが防止される。
こうして、この車体昇降位置規定ストッパでは耐久性が向上するのである。
【0021】
本発明の第2の態様は、第1の態様の車体昇降位置規定ストッパであって、前記凹部には、当該凹部に対応して前記外側部材に形成された凸部が嵌合している、車体昇降位置規定ストッパである。
【0022】
この態様の車体昇降位置規定ストッパでは、第1の態様の車体昇降位置規定ストッパの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、外側部材には内側部材の凹部に対応する凸部が形成されており、その凸部が凹部に嵌合している、という構造であるため、凸部を含んだ外側部材を合成樹脂等によって同時に成形することによって、この車体昇降位置規定ストッパを容易に製造することができる。
【0023】
本発明の第3の態様は、第1の態様の車体昇降位置規定ストッパであって、前記凹部には、前記外側部材よりも収縮しやすい素材が充填されている、車体昇降位置規定ストッパである。
【0024】
「外側部材よりも縦断面係数が小さい素材」には、空気も含まれる。また、その素材は1つに限らない。複数の素材が充填されているという態様もある。例えば、合成樹脂と空気が充填されている(すなわち、部分的に合成樹脂が収容されている)等である。
「収縮しやすい」とは、それら素材を総合的に考慮したものである。
【0025】
この態様の車体昇降位置規定ストッパでは、第1の態様の車体昇降位置規定ストッパの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
凹部に外側部材よりも収縮しやすい素材が充填されていることによって、凹部に外側部材(又はそれと同じ縦断面係数の素材)が充填されている場合よりも、外側部材の頭占部の素材の一部が凹部に入り込みやすくなる(流れやすくなる)。
このため、外側部材が周覆部を有する態様の場合であっても、外側部材の頭占部が収縮する際に、その素材の一部が周覆部に流れようとすることがより有効に軽減され、周覆部が破損することがより有効に防止される。
こうして、この車体昇降位置規定ストッパでは耐久性がより向上するのである。
【0026】
本発明の第4の態様は、第1~第3のいずれかの態様の車体昇降位置規定ストッパであって、前記外側部材は、前記内側部材の周壁面の少なくともその一部を覆うとともに、前記内側部材のうちの当該ストッパ本体の基端部の側にも及んでいる、車体昇降位置規定ストッパである。
【0027】
この態様の車体昇降位置規定ストッパでは、第1~第3のいずれかの態様の車体昇降位置規定ストッパの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この車体昇降位置規定ストッパでは、外側部材が内側部材よりも当該ストッパ本体の先端部の側に存在する(頭占部)のみならず、内側部材の周壁面の少なくともその一部を覆うとともに、内側部材のうちの当該ストッパ本体の基端部の側にも及んでいるため、その点で、外側部材と内側部材とが分離することが防止される。
【0028】
本発明の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様の車体昇降位置規定ストッパであって、さらに取付部材を有し、前記取付部材は、前記ストッパ本体をその基端部において前記2つの部材のうちの一方の部材に取り付けるものである、車体昇降位置規定ストッパである。
【0029】
この態様の車体昇降位置規定ストッパでは、第1~第4のいずれかの態様の車体昇降位置規定ストッパの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この車体昇降位置規定ストッパでは、取付部材を有しているため、ストッパ本体をその基端部において2つの部材(自動車のサスペンションにおいて相対的位置関係が変位可能な2つの部材)の一方に容易に取り付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本発明の背景であるサスペンション及び車体昇降位置規定ストッパの一例を示す縦断面図である。
【
図1B】本発明の背景であるサスペンション及び車体昇降位置規定ストッパの一例を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の背景であるサスペンション及び車体昇降位置規定ストッパの一例を示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【
図3-1】本発明の実施例1Aの車体下降位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は、その短辺に平行な面で仮想的に切断した縦断面図であり、(c)は、その長辺に平行な面で仮想的に切断した縦断面図である。
【
図3-2】本発明の実施例1Aの車体下降位置規定ストッパを仮想的に分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施例1Aの車体下降位置規定ストッパの使用状態を示す図である。(a)は、本発明の実施例1Aの車体下降位置規定ストッパが使用されるサスペンションをを示す斜視図である。(b)は、車体下降位置規定ストッパの使用状態を示す縦断面図である。
【
図5-1】本発明の実施例1Bの車体下降位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は、その短辺に平行な面で仮想的に切断した縦断面図であり、(c)は、その長辺に平行な面で仮想的に切断した縦断面図である。
【
図5-2】本発明の実施例1Bの車体下降位置規定ストッパを仮想的に分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図6-1】本発明の実施例2Aの車体下降位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【
図6-2】本発明の実施例2Aの車体下降位置規定ストッパを仮想的に分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図7-1】本発明の実施例2Bの車体下降位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【
図7-2】本発明の実施例2Bの車体下降位置規定ストッパを仮想的に分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施例3の車体下降位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【
図9】本発明の実施例4の車体下降位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【
図10】本発明の実施例5の車体上昇位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【
図11】本発明の実施例6の車体上昇位置規定ストッパを示す図である。(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[実施例1A]
次に、本発明の実施例1Aの車体下降位置規定ストッパ(車体昇降位置規定ストッパ)100Aについて、
図3-1~
図4等に基づいて説明する。
この車体下降位置規定ストッパ100Aは、特に、車体下降位置規定ストッパLS3(
図2(b))に好適に該当するものである。
【0032】
図3-1及び
図3-2に示すように、この車体下降位置規定ストッパ100Aは、ストッパ本体110A,取付金具150(取付部材)を有している。ストッパ本体110Aは、外側部材120A及び内側部材130を有している。
この車体下降位置規定ストッパ100Aは、その短辺方向(幅方向)及び長辺方向(長さ方向)に対称的な形状を有している。
この車体下降位置規定ストッパ100A(ストッパ本体110A)の高さは、純正の車体下降位置規定ストッパLS3(
図2(b))(そのストッパ本体)の高さよりも低い。
【0033】
取付金具150は、金属によって形成され、帯板状をなしている。
取付金具150のうちのストッパ本体110Aに対応する部分(両端部及びその近傍以外)は内蔵部152であり、内蔵部152はストッパ本体110Aの中に内蔵されている。また、取付金具150のうちのストッパ本体110Aに対応しない部分(両端部及びその近傍)は、一対の露出部155であり、ストッパ本体110Aから露出している。
各露出部155の下面はストッパ本体110Aの下面と面一状とされている。各露出部155には、ボルト孔156が形成されている。
内蔵部152は、露出部155よりも幅広であり、その両端部において上方に折り曲げられて、露出部155よりも若干高い位置で露出部155と平行に延びている。内蔵部152には一対の孔部153が形成されており、溶融樹脂が孔部153に浸入した状態で固化して内側部材130が形成されている。内側部材130は、薄肉状に内蔵部152より下側にも及んでおり、内蔵部152を包み込んでいる。
【0034】
前述したように、ストッパ本体110Aは、外側部材120A及び内側部材130によって形成されている。内側部材130は、外側部材120Aの中に内蔵されている。外側部材120A及び内側部材130は、いずれも合成樹脂等によって形成されている。
【0035】
ストッパ本体110A(外側部材120A)は、ほぼ直方体状(より正確には、ほぼ四角錐台状)をしており、その上部には一対の突出部122が形成されている。一対の突出部122は、上方に凸状の半円柱状(横倒しされたもの)をしており、ストッパ本体110Aの幅方向(短辺の方向)において並列し、ストッパ本体110Aの長さ方向(長辺の方向)に延びている。
ストッパ本体110A(外側部材120A)のうち突出部122よりも下側の部分には、全周壁面にわたって段差が形成されている。
外側部材120Aの内部には空洞部124が形成されており、その空洞部124に内側部材130が配設されている。すなわち、内側部材130及び取付金具150(その内蔵部152)が溶融樹脂に埋められた状態でその溶融樹脂が固化することによって、外側部材120Aが形成されている。
【0036】
内側部材130は、ほぼ直方体状をしている。
内側部材130の高さは外側部材120Aの高さの半分程度であり、内側部材130は、外側部材120Aの内部のうち、ほぼ下半部に位置している。すなわち、内側部材130はストッパ本体110Aのうちの基端部の側に位置し、ストッパ本体110Aの先端部(上端部)の側の部位は、外側部材120Aによってのみ形成されている。その部分を頭占部121aということとする。
内側部材130の長さは外側部材120Aの長さよりも若干短く、内側部材130の幅も外側部材120Aの幅よりも若干短い。
そして、外側部材120Aは、薄肉状に内側部材130の周壁面を覆っている。その部分を周覆部121bということとする。
また、外側部材120Aは、薄肉状に内側部材130より下側にも及んでいる。すなわち、外側部材120Aは、ストッパ本体110Aの基端部の側にも及んでいる。その部分を底覆部121cということとする。
このようにして、外側部材120Aは、内側部材130を内包している。
【0037】
内側部材130の上面(ストッパ本体110Aの先端部の側の面)には、6つの凹部135が形成されている。6つの凹部135は、2列状の突出部122に各々対応して、3つずつ2列状に形成されている。各凹部135は、下方(ストッパ本体110Aの基端部の側)に円柱状に窪んでいる。
【0038】
内側部材130の各凹部135に対応して、外側部材120Aには6つの凸部125が形成されている。各凸部125は、外側部材120Aの頭占部121aの下面から、円柱状に下方(ストッパ本体110Aの基端部の側)に突出している。各凸部125は、各凹部135に嵌合しており、各凹部135(その内部空間)に収容(充填)されている。
前述したように内側部材130及び取付金具150(その内蔵部152)が溶融樹脂に埋められた状態でその溶融樹脂が固化することによって外側部材120Aが形成されており、その際に、外側部材120Aの各凸部125は、内側部材130の各凹部135に嵌合した状態で形成される。
【0039】
以上のようにして、
図3-1(b)及び(c)に示すように、ストッパ本体110Aは、その高さ方向において、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3を有している。
第1部位L1は、ストッパ本体110Aの略上半部であり、外側部材120A(頭占部121a)のみによって形成されている。
第3部位L3は、ストッパ本体110Aのうちの下側の部分であり、内側部材130の凹部135(その底部)より下側であって取付金具150(内蔵部152)より上側の部分である。第3部位L3は、主として内側部材130によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材120A(その周覆部121b)によって形成されている。
第2部位L2は、第1部位L1と第3部位L3との間の部分であって、内側部材130の凹部135に外側部材120Aの凸部125が嵌合している部位である。第2部位L2は、主として内側部材130(凹部135以外の部分)及び外側部材120A(凸部125)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材120A(その周覆部121b)によって形成されている。
【0040】
外側部材120Aの縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材130の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。すなわち、同一の圧縮応力を受けた場合に、外側部材120Aは大きくひずむ一方で、内側部材130はあまりひずまない。
このため、第1部位L1~第3部位L3の断面積がほぼ同一であることも考慮して、単位圧縮力による弾性収縮率(同一の圧縮力を受けた場合に、その圧縮方向に収縮する割合)については、第1部位L1は大きく、第3部位L3は小さく、第2部位L2はその中間である。なお、以下、単位圧縮力による弾性収縮率について、適宜、単に「弾性収縮率」ともいうこととする。
【0041】
次に、この車体下降位置規定ストッパ100Aの使用方法及び作用効果について説明する。
前述したように、この車体下降位置規定ストッパ100Aは、車体下降位置規定ストッパLS3(
図2(b))に特に好適に該当するものである。
この車体下降位置規定ストッパ100Aは上下反転された状態で使用され、その基端部(上下反転される前の下部)において車体900に固定され、その先端部(上下反転される前の上端部)において車軸筒845と当接する。
車体900が、本発明の「相対的位置関係が変位可能な2つの部材のうちの一方」に該当し、車軸筒845が、同じく「他方」に該当する。
【0042】
また、同じく前述したように、自動車が購入された後、その自動車は、ユーザーの好みに応じて、車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低く/高くなるように調整される場合がある。
この車体下降位置規定ストッパ100Aは、車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなるように調整された場合(
図4)に特に好適に使用される。
すなわち、
図4においては、車軸筒845(正確には車軸筒845に溶着された連結用部材846)とリーフスプリング840との間にブロック848が介装されて、車体900が本来の高さよりも低くされている(Uボルト843は長いものに置き換えられている)。これによって、車体900(又は車体900の側の部材)と車軸筒845との間の空間は、本来よりも狭くされている。
【0043】
前述したように、この車体下降位置規定ストッパ100Aは、上下反転された姿勢で、車体900に固定される。すなわち、取付金具150の一対のボルト孔156において、ボルト及びナット(いずれも図示省略)によって、車体900(又は車体900の側の部材)に対して取り付けられる。その際、車体下降位置規定ストッパ100Aは、その短辺方向(幅方向)が自動車(車体900)の幅方向となり、その長辺方向(長さ方向)が自動車(車体900)の長さ方向となるように、取り付けられる。
ここで、前述したように、この車体下降位置規定ストッパ100Aのストッパ本体110Aの高さは、純正の車体下降位置規定ストッパLS3(
図2(b))のストッパ本体の高さよりも低い。このため、上述のように、車体900が本来の高さよりも低くされて車体900と車軸筒845との間の空間が本来より狭くされているが、車体下降位置規定ストッパ100Aの下端部(上下反転されない姿勢の上端部)と車軸筒845との間には所定の隙間が存在している。
【0044】
そして、自動車が悪路を走行する際等において、車体900が中立高さ位置よりも下降しようとする際に、車軸筒845が車体下降位置規定ストッパ100Aに当接して、車体900の下降位置が規定される。すなわち、所定以上に車体900が下降することが防止される。
【0045】
その際、すなわち、この車体下降位置規定ストッパ100Aのストッパ本体110Aに圧縮力が加わった際には、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3は、前述した弾性収縮率に比例して収縮しようとする。
このため、車体900が中立高さ位置を基準に小さく下降しようとする場合は、主として第1部位L1が収縮して対応する。
また、車体900が中立高さ位置を基準に中程度に下降しようとする場合は、まずは、主として第1部位L1が収縮し、第1部位L1の収縮が限界に近づいた以降においては主として第2部位L2が収縮して対応する。
一方、車体900が中立高さ位置を基準に大きく下降しようとする場合は、まずは、主として第1部位L1が収縮し、第1部位L1の収縮が限界に近づいた以降においては主として第2部位L2が収縮し、第2部位L2の収縮も限界に近づいた以降においては主として第3部位L3が収縮して対応する。
【0046】
このようにして、本実施例の車体下降位置規定ストッパ100Aでは、車体900が小さく下降しようとする際にも大きく下降しようとする際にも、ストッパ本体110Aが適切に収縮して、車体900が所定以上に下降することが防止されるとともに、車体900に大きな衝撃が伝わらず、乗り心地が良いものとされる。
すなわち、前述のように、車体900が本来の高さよりも低くされて車体900と車軸筒845との間の空間が本来より狭くされており、この車体下降位置規定ストッパ100Aのストッパ本体110Aの高さは、純正の車体下降位置規定ストッパLS3(
図2(b))のストッパ本体の高さよりも低い。しかしながら、それでも、上述のように、車体900が小さく下降しようとする際にも大きく下降しようとする際にも、ストッパ本体110Aが適切に収縮して、車体900が所定以上に下降することが防止されるとともに、車体900に大きな衝撃が伝わらず、乗り心地が良いものとされるのである。
【0047】
また、上述のように、この車体下降位置規定ストッパ100Aでは、主として先端部の側(第1部位L1)から先に収縮しようとするため、主として基端部の側(第3部位L3)から先に収縮しようとする場合よりも安定性がある。
すなわち、仮に逆の順で収縮しようとする車体下降位置規定ストッパ100Aの場合は、当接の際に作用する圧縮力の方向が第3部位L3の高さ方向からずれていると、その車体下降位置規定ストッパ100Aがその下側から傾斜することとなって不安定となるが、この車体下降位置規定ストッパ100Aでは、そのようなことがない。
【0048】
そして、この車体下降位置規定ストッパ100Aでは、外側部材120Aの頭占部121aが圧縮された際には、それによって収縮しようとする頭占部121aの素材の一部は凹部135に流れ、凸部125とともに収縮する。
このため、その際に、頭占部121aの素材が外側部材120Aのうちの周覆部121b(内側部材130の周壁面を覆う部分)に流れようとすることが軽減され、外側部材120Aの周覆部121bが、内側部材130(その周壁面)から離隔して外方に向かって湾曲しようとすることが軽減される。
こうして、外側部材120Aのうちの周覆部121bが破損することが防止され、外側部材120Aと内側部材130とが分離することが防止される。
以上のようにして、この車体下降位置規定ストッパ100Aでは、耐久性が向上することとなるのである。
【0049】
なお、この実施例の変形例として、外側部材120Aの全て又は一部の凸部125が内側部材130の各凹部135に対応しておらず、凹部135の大きさよりも凸部125の大きさが小さい、という態様も考えられる。すなわち、凹部135(その内部空間)が凸部125によって充填されておらず、凹部135によって形成される空間の一部にのみ凸部125が存在し、その残部が空洞状である(空気が存在する)という態様である。このことは、他の実施例においても同様である。
【0050】
[実施例1B]
次に、本発明の実施例1Bの車体下降位置規定ストッパ100B(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図5-1及び
図5-2に基づいて説明する。
この車体下降位置規定ストッパ100Bは、実施例1Aの車体下降位置規定ストッパ100Aの変形例であって、その相違点を中心に説明する。実施例1Aと共通する要素については同一の符号を付すとともに、対応する要素については対応する符号(「A」を「B」に置き換えた符号))を付して、適宜説明を省略する。
【0051】
図5-1及び
図5-2に示すように、この車体下降位置規定ストッパ100Bのストッパ本体110Bは、外側部材120B及び内側部材130を有している。
【0052】
実施例1Aと同様に、内側部材130の上面には6つの凹部135が形成されている。
一方、実施例1Aとは異なり、内側部材130の各凹部135に対応して外側部材120Bには6つの凸部125(
図3-2)が形成されることなく、外側部材120Bのうちの頭占部121の下面(内側部材130の上面に対応する面)は、平面状である。
こうして、内側部材130の各凹部135及び外側部材120Bのうちの頭占部121aの下面によって、中空部115が形成されている。中空部115には空気が存在している。
【0053】
以上のようにして、
図5-1(b)及び(c)に示すように、ストッパ本体110Bは、その高さ方向において、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3を有している。
第1部位L1及び第3部位L3は実施例1Aと同様であるが、第2部位L2は実施例1Aと異なっている。
第2部位L2は、内側部材130に凹部135が形成され、中空部115が形成されている部位である。第2部位L2は、主として内側部材130及び凹部135における中空部115(空気)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材120B(その周覆部121b)によって形成されている。
【0054】
外側部材120Bの縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材130の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。すなわち、同一の圧縮応力を受けた場合に、外側部材120Bは大きくひずむ一方で、内側部材130はあまりひずまない。
このため、単位圧縮力による弾性収縮率(同一の圧縮力を受けた場合に、その圧縮方向に収縮する割合)については、第1部位L1及び第2部位L2は大きく、第3部位L3は小さい。
第1部位L1及び第2部位L2における単位圧縮力による弾性収縮率の大小は、凹部135の大きさ(内側部材130の断面積に対する凹部135の断面積の合計の割合)、並びに、外側部材120B及び内側部材130の縦弾性係数(ヤング率)の比によって異なることとなる。
【0055】
以上のため、この車体下降位置規定ストッパ100Bのストッパ本体110Bに圧縮力が加わった際には、まずは、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3は、前述した弾性収縮率に比例して収縮しようとし、主として、第1部位L1/第2部位L2,第3部位L3の順で収縮して対応する。第1部位L1及び第2部位L2については、第1部位L1,第2部位L2の順、その逆の順、又はほぼ同時に収縮する。
【0056】
そして、この車体下降位置規定ストッパ100Bでは、外側部材120Bの頭占部121aが圧縮された際には、それによって収縮しようとする頭占部121aの素材の一部は中空部115に浸入する。
このため、その際に、頭占部121aの素材が外側部材120Bのうちの周覆部121b(内側部材130の周壁面を覆う部分)に流れようとすることが軽減され、外側部材120Bの周覆部121bが、内側部材130(その周壁面)から離隔して外方に向かって湾曲しようとすることが軽減される。
こうして、外側部材120Bのうちの周覆部121bが破損することが防止され、外側部材120Bと内側部材130とが分離することが防止される。
以上のようにして、この車体下降位置規定ストッパ100Bでも、耐久性が向上することとなるのである。
【0057】
なお、この実施例の変形例として、内側部材130の凹部135(その全て又は一部)に、縦弾性係数(ヤング率)が外側部材120Aの縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい材質のものが収容されていてもよい。このことは、実施例2Bにおいても同様である。
【0058】
[実施例2A]
次に、本発明の実施例2Aの車体下降位置規定ストッパ200A(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図6-1及び
図6-2等に基づいて、実施例1Aとの相違点を中心に説明する。実施例1に対応する要素については、対応する符号(「100」を加算し、百の位が「1」のところを「2」にした符号))を付して、適宜説明を省略する。
この車体下降位置規定ストッパ200A(
図6-1及び
図6-2)は、特に、車体下降位置規定ストッパLS1(
図1A)に好適に該当するものである。
【0059】
図6-1及び
図6-2に示すように、この車体下降位置規定ストッパ200Aは、ストッパ本体210A,結合用ボルト250(取付部材)を有している。ストッパ本体210Aは、外側部材220A及び内側部材230を有している。
この車体下降位置規定ストッパ200Aは、結合用ボルト250(その軸部251)の中心軸線を中心に対称的な形状を有している。
この車体下降位置規定ストッパ200Aのストッパ本体210Aの高さは、純正の車体下降位置規定ストッパLS1(
図1A)のストッパ本体の高さよりも低い。
【0060】
結合用ボルト250(傘付きのボルト)は、軸部251及び傘部255を有し、傘部255は、その嵌合孔(符号省略)に軸部251の頭部(符号省略)が嵌合(圧入)されて軸部251に取り付けられ、フランジ部252に支持されている。
傘部255には複数の孔部(符号省略)が形成されており、溶融樹脂が孔部に浸入した状態で固化して内側部材230が形成されている。傘部255の周縁部は下方に湾曲しており、傘部255の大半部分は内側部材230の内部に位置している。結合用ボルト250の軸部251の頭部及びフランジ部252のうちの略上半部も内側部材230に埋められている。
【0061】
ストッパ本体210A(外側部材220A)は、半球部222と張り出し部223を有している。半球部222は、上方に凸状に半円球状をしている。張り出し部223は、半球部222の下縁部よりも大径のほぼ厚肉円板状をしており、その上縁部は滑らかに角落ちされている。
【0062】
内側部材230は、ほぼ円錐台状をしており、外側部材220Aの内部において、外側部材220Aと同心的に位置している。
内側部材230の高さは外側部材220Aの高さの半分弱であり、内側部材230は、外側部材220Aの内部のうち、ほぼ下半部に位置している。すなわち、内側部材230はストッパ本体210Aのうちの基端部の側に位置し、ストッパ本体210Aの先端部(上端部)の側の部位(半球部222のうちの大半部分)は、外側部材220Aによってのみ形成されている。その部分を頭占部221aということとする。
外側部材220Aは、内側部材230のテーパ状の周壁面を覆っている。その部分を周覆部221bということとする。周覆部221bは、外側部材220Aの半球部222のうちの下部及び張り出し部223のうちの上部によって形成されている。
外側部材220Aは、薄肉状に内側部材230より下側にも及んでいる。すなわち、外側部材220Aは、ストッパ本体210Aの基端部の側にも及んでいる。その部分を底覆部221cということとする。
結合用ボルト250のフランジ部252の下面と外側部材220Aの下面とは面一状である。
【0063】
内側部材230の上面の中央部には、凹部235が形成されている。凹部235は、下方に半球状に窪んでいる。
内側部材230の凹部235に対応して、外側部材220Aには凸部225が形成されている。凸部225は、外側部材220Aの頭占部221aの下面から、半球状に下方に突出している。凸部225は、凹部235に嵌合しており、凹部235(その内部空間)に収容(充填)されている。
内側部材230及び結合用ボルト250のうちの上部が溶融樹脂に埋められた状態でその溶融樹脂が固化して外側部材220Aが形成されており、その際に、外側部材220Aの凸部225は、内側部材230の凹部235に嵌合した状態で形成される。
【0064】
以上のようにして、ストッパ本体210Aは、その高さ方向において、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3を有している。
第1部位L1は、ストッパ本体210Aの略上半部であり、外側部材220A(頭占部221a)のみによって形成されている。
第3部位L3は、ストッパ本体210Aのうちの下側の部分であり、内側部材230の凹部235(その底部)より下側であって結合用ボルト250(その軸部251の頭部及び傘部255)より上側の部分である。第3部位L3は、主として内側部材230によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材220A(その周覆部221b)によって形成されている。
第2部位L2は、第1部位L1と第3部位L3との間の部分であって、内側部材230の凹部235に外側部材220Aの凸部225が嵌合している部位である。第2部位L2は、主として内側部材230(凹部235以外の部分)及び外側部材220A(凸部225)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材220A(その周覆部221b)によって形成されている。
【0065】
なお、
図1Aに基づいて後述するように、この車体下降位置規定ストッパ200A(車体下降位置規定ストッパLS1に相当)は上下反転されることなく使用され、ストッパ本体210Aの基端部(下部)においてロワーアーム820Bに固定され、ストッパ本体210Aのうちの先端部(上部)において当接部材823Aと当接する。
ロワーアーム820Bが、本発明の「相対的位置関係が変位可能な2つの部材のうちの一方」に該当し、当接部材823Aが、同じく「他方」に該当する。
また、ロワーアーム820Bは、ストッパ本体210Aの中心軸線に完全に沿って(すなわち、高さ方向と全く同一方向)で当接するとは限らず、多少ずれる場合もあり得る(このことは他の実施例においても同様である)。
【0066】
外側部材220Aの縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材230の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。また、第1部位L1よりも第2部位L2の方が断面積が大きく、第2部位L2よりも第3部位L3の方が断面積が大きい。
このため、単位圧縮力による弾性収縮率については、第1部位L1は大きく、第3部位L3は小さく、第2部位L2はその中間である。
【0067】
この車体下降位置規定ストッパ200Aは、車体下降位置規定ストッパLS1(
図1A)に特に好適に該当するものであり(このことは前述)、ロワーアーム820Bに対して取り付けられる。すなわち、ロワーアーム820Bのボルト孔(図示省略)に結合用ボルトの軸部251が挿入されナットが螺合される。
【0068】
そして、以下のように、実施例1Aの車体下降位置規定ストッパ100Aと同様の作用効果が得られる。
すなわち、車体900が中立高さ位置を基準に下降しようとする場合は、車体下降位置規定ストッパ200Aのストッパ本体210Aが当接部材823Aに当接して、所定以上に車体900が下降することが防止される。
【0069】
その際、第1部位L1~第3部位L3は、前述した弾性収縮率に比例して収縮しようとし、主として、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3の順で収縮して対応する。
このようにして、本実施例の車体下降位置規定ストッパ200Aでは、車体900が小さく下降しようとする際にも大きく下降しようとする際にも、ストッパ本体210Aが適切に収縮して、車体900が所定以上に下降することが防止されるとともに、車体900に大きな衝撃が伝わらず、乗り心地が良いものとされる。
【0070】
そして、この車体下降位置規定ストッパ200Aでは、外側部材220Aの頭占部221aが圧縮された際には、それによって収縮しようとする頭占部221aの素材の一部は凹部235に流れ、凸部225とともに収縮する。
このため、その際に、頭占部221aの素材が外側部材220Aのうちの周覆部221b(内側部材230の周壁面を覆う部分)に流れようとすることが軽減され、外側部材220Aの周覆部221bが、内側部材230(その周壁面)から離隔して外方に向かって湾曲しようとすることが軽減される。
こうして、外側部材220Aのうちの周覆部221bが破損することが防止され、外側部材220Aと内側部材230とが分離することが防止される。
以上のようにして、この車体下降位置規定ストッパ200Aでは、耐久性が向上することとなるのである。
【0071】
[実施例2B]
次に、本発明の実施例2Bの車体下降位置規定ストッパ200B(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図7-1及び
図7-2に基づいて説明する。
この車体下降位置規定ストッパ200Bは、実施例1Aに対する実施例1Bと同様に、実施例2Aの車体下降位置規定ストッパ200Aの変形例であって、その相違点を中心に説明する。実施例2Aと共通する要素については同一の符号を付すとともに、対応する要素については対応する符号(「A」を「B」に置き換えた符号)を付して、適宜説明を省略する。
【0072】
図7-1及び
図7-2に示すように、この車体下降位置規定ストッパ200Bのストッパ本体210Bは、外側部材220B及び内側部材230を有している。
【0073】
実施例2Aと同様に、内側部材230の上面の中央部には、凹部235が形成されている。
一方、実施例2Aとは異なり、内側部材230の凹部235に対応して外側部材220Bには凸部225(
図6-2)が形成されることなく、外側部材220Bのうちの頭占部221aの下面(内側部材230の上面に対応する面)は、平面状である。
こうして、内側部材230の凹部235及び外側部材220Bのうちの頭占部221aの下面によって、中空部215が形成されている。
【0074】
以上のようにして、
図7-1(b)に示すように、ストッパ本体210Bは、その高さ方向において、第1部位L1,第2部位L2,第3部位L3を有している。
第1部位L1及び第3部位L3は実施例2Aと同様であるが、第2部位L2は実施例2Aと異なっている。
第2部位L2は、内側部材230に凹部235が形成され、中空部215が形成されている部位である。第2部位L2は、主として内側部材230及び凹部235における中空部215(空気)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材220B(その周覆部221b)によって形成されている。
【0075】
以上のため、この車体下降位置規定ストッパ200Bでは、実施例1Bの車体下降位置規定ストッパ100Bと同様の作用効果が得られる。
【0076】
なお、実施例1A及び実施例2Aに対して実施例1B及び実施例2Bにおいて変更された内容は、実施例3以下の他の実施例に対しても適用可能である。
【0077】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3の車体下降位置規定ストッパ300(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図8等に基づいて、実施例1A・実施例2Aとの相違点を中心に説明する。実施例2Aに対応する要素については、対応する符号(「100」を加算し、百の位が「2」のところを「3」にするとともに、「A」を除いた符号)を付して、適宜説明を省略する。
【0078】
この車体下降位置規定ストッパ300(
図8)は、特に、車体下降位置規定ストッパLS2(
図1B)に好適に該当するものである。
図8に示すように、この車体下降位置規定ストッパ300は、ストッパ本体310,結合用ボルト350(取付部材)を有している。ストッパ本体310は、外側部材320及び内側部材330を有している。
この車体下降位置規定ストッパ300は、結合用ボルト350(その軸部351)の中心軸線を中心に対称的な形状を有しているのではなく、結合用ボルト350(その軸部351)の中心軸線を通る一の鉛直面を基準に対称的な形状を有している。
この車体下降位置規定ストッパ300のストッパ本体310の高さは、純正の車体下降位置規定ストッパLS2(
図1B)のストッパ本体の高さよりも低い。
【0079】
ストッパ本体310(外側部材320)は、上方に凸状にほぼ半円球状をしているとともに、その頂面321は、水平面(結合用ボルト350の軸部351と垂直な面)から傾斜したほぼ円形の平面状をしている。
ストッパ本体310(外側部材320)の全周壁面にわたって段差が形成されている。
【0080】
内側部材330(その外面)は、ほぼ、外側部材320(その外面)を縮小した相似の形状を有しており、外側部材320の内部に位置している。
すなわち、内側部材330の頂面331は、外側部材320の頂面321より小さく、外側部材320の頂面321と同心的かつ平行なほぼ円形の平面状をしている。
【0081】
内側部材330の上面の中央部には、凹部335が形成されている。凹部335は、斜め(頂面331に垂直)下方に半球状に窪んでいる。
内側部材330の凹部335に対応して、外側部材320には凸部325が形成されている。凸部325は、外側部材320Aの頭占部321aの下面から、斜め(頂面321に垂直)下方に突出している。凸部325は、凹部335に嵌合しており、凹部335(その内部空間)に収容(充填)されている。
【0082】
以上のようにして、ストッパ本体310は、その高さ方向において、第1部位L1~第3部位L3を有している。
第1部位L1は、ストッパ本体310のうちの上側の部分であり、外側部材320(頭占部321a)のみによって形成されている。
第3部位L3は、ストッパ本体310のうちの下側の部分であり、内側部材330の凹部335(その底部)より下側であって結合用ボルト350より上側の部分である。第3部位L3は、主として内側部材330によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材320(その周覆部321b)によって形成されている。
第2部位L2は、第1部位L1と第3部位L3との間の部分であって、内側部材330の凹部335に外側部材320の凸部325が嵌合している部位である。第2部位L2は、主として内側部材330(凹部335以外の部分)及び外側部材320(凸部325)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材320(その周覆部321b)によって形成されている。
【0083】
外側部材320の縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材330の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。また、第1部位L1よりも第3部位L3の方が断面積(頂面321の中心軸線に垂直な断面積)は若干大きく、第2部位L2はその中間である。
このため、単位圧縮力による弾性収縮率については、第1部位L1は大きく、第3部位L3は小さく、第2部位L2はその中間である。
【0084】
前述したように、この車体下降位置規定ストッパ300は、車体下降位置規定ストッパLS2(
図1B)に特に好適に該当するものである。
ブラケット824Bが、本発明の「相対的位置関係が変位可能な2つの部材のうちの一方」に該当し、ロワーアーム820Bが、同じく「他方」に該当する。
ロワーアーム820Bは、車体下降位置規定ストッパ300(上下反転状態)の結合用ボルト350(軸部351)の中心軸線に対する垂直面から傾斜した向きでストッパ本体310に当接することが想定されている。
【0085】
この車体下降位置規定ストッパ300は、上下反転されて、ブラケット824Bに対して取り付けられる。すなわち、ブラケット824Bのボルト孔(図示省略)に結合用ボルトの軸部351が挿入されナットが螺合される。
その際、この車体下降位置規定ストッパ300は、ストッパ本体310の下面(使用状態では上面)がほぼ水平であるところ、ストッパ本体310の頂面321の中心軸線が、下方に向かうにつれて車外の側(
図1Bにおいて右側)に向かうようにして、ブラケット824Bに対して取り付けられる。すなわち、ストッパ本体310の頂面321は、車内側から車外側に向けて(
図1B中左側から右側に向けて)やや上方に向かうように水平面から傾斜する。
【0086】
そして、車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなるように調整された場合には、ロワーアーム820Bとブラケット824Bとの距離が短くなる。
これに対して、この車体下降位置規定ストッパ300のストッパ本体310の高さが純正の車体下降位置規定ストッパLS2のストッパ本体の高さよりも低いため、ロワーアーム820Bが所定の高さ(回動角度)になったときに適切に当接し得る。
【0087】
また、同じく車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなるように調整された場合には、上述のように車体下降位置規定ストッパ300のストッパ本体310の高さが純正の車体下降位置規定ストッパLS2のストッパ本体の高さよりも低いため、ロワーアーム820Bが、外方に向かうにつれてやや上方に向かう状態でこの車体下降位置規定ストッパ300のストッパ本体310に当接することになる。
これに対して、この車体下降位置規定ストッパ300では、前述したように、ストッパ本体310の頂面321は、車内側から車外側に向けて(
図1B中左側から右側に向けて)やや上方に向かうように水平面から傾斜する。
このため、ロワーアーム820Bはストッパ本体310の頂面321に対して面的(又はほぼ面的)に当接し、ストッパ本体320の頂面321の中心軸線に沿って衝撃力が加わる。
このため、その衝撃力は、車体下降位置規定ストッパ300(ストッパ本体310)に対して適切に伝わることとなり、その衝撃が円滑に緩和されることとなる。
そして、実施例1Aの及び実施例2Aの車体下降位置規定ストッパ100A,200A等と同様の作用効果が得られる。
【0088】
[実施例4]
次に、本発明の実施例4の車体下降位置規定ストッパ400(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図9等に基づいて、実施例1A・実施例2Aとの相違点を中心に説明する。実施例2Aに対応する要素については、対応する符号(「200」を加算し、百の位が「2」のところを「4」にするとともに、「A」を除いた符号)を付して、適宜説明を省略する。
【0089】
この車体下降位置規定ストッパ400(
図9)は、特に、車体下降位置規定ストッパLS2(
図1B)に好適に該当するものである。
図9に示すように、この車体下降位置規定ストッパ400は、ストッパ本体410,結合用ボルト450(取付部材)を有している。ストッパ本体410は、外側部材420及び内側部材430を有している。
この車体下降位置規定ストッパ400は、結合用ボルト450(その軸部451)の中心軸線を中心に対称的な形状を有している。
この車体下降位置規定ストッパ400のストッパ本体410の高さは、純正の車体下降位置規定ストッパLS2(
図1B)のストッパ本体の高さよりも低い。
【0090】
ストッパ本体410(外側部材420)のうち、その略上半部の上面は上方に凸状に円弧面状をしているとともに、その略下半部は厚肉円板状をしており、その上縁部は滑らかに角落ちされている。ストッパ本体410(外側部材420)の下面は水平な円形状をしている。
【0091】
内側部材430(その外面)は、ほぼ、外側部材420(その外面)を縮小した相似の形状を有しており、外側部材420の内部において、外側部材420と同心的に位置している。
【0092】
内側部材430の上面の中央部には、凹部435が形成されている。凹部435は、下方に円弧面状に窪んでいる。
内側部材430の凹部435に対応して、外側部材420には凸部425が形成されている。凸部425は、外側部材420Aの頭占部421aの下面から、円弧面状に下方に突出している。凸部425は、凹部435に嵌合しており、凹部435(その内部空間)に収容(充填)されている。
【0093】
以上のようにして、ストッパ本体410は、その高さ方向において、第1部位L1~第3部位L3を有している。
第1部位L1は、ストッパ本体410のうちの上側の部分であり、外側部材420(頭占部421a)のみによって形成されている。
第3部位L3は、ストッパ本体410のうちの下側の部分であり、内側部材430の凹部435(その底部)より下側であって結合用ボルト450より上側の部分である。第3部位L3は、主として内側部材430によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材420(その周覆部421b)によって形成されている。
第2部位L2は、第1部位L1と第3部位L3との間の部分であって、内側部材430の凹部435に外側部材420の凸部425が嵌合している部位である。第2部位L2は、主として内側部材430(凹部435以外の部分)及び外側部材420(凸部425)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材420(その周覆部421b)によって形成されている。
【0094】
外側部材420の縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材430の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。また、第1部位L1よりも第3部位L3の方が断面積は大きく、第2部位L2はその中間である。
このため、単位圧縮力による弾性収縮率については、第1部位L1は大きく、第3部位L3は小さく、第2部位L2はその中間である。
【0095】
前述したように、この車体下降位置規定ストッパ400は、車体下降位置規定ストッパLS2(
図1B)に特に好適に該当するものである。
ブラケット824Bが、本発明の「相対的位置関係が変位可能な2つの部材のうちの一方」に該当し、ロワーアーム820Bが、同じく「他方」に該当する。
【0096】
この車体下降位置規定ストッパ400は、上下反転されて、ブラケット824Bに対して取り付けられる。すなわち、ブラケット824Bのボルト孔(図示省略)に結合用ボルトの軸部451が挿入されナットが螺合される。
車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなるように調整された場合には、ロワーアーム820Bが、外方に向かうにつれてやや上方に向かう状態でこの車体下降位置規定ストッパ400のストッパ本体410(純正の車体下降位置規定ストッパLS2のストッパ本体の高さよりも低い)に当接することになるのであるが、この車体下降位置規定ストッパ400のストッパ本体410の上面が円弧面状をしているため、そのいずれかの部分において面的に当接する。
このため、その衝撃力は、車体下降位置規定ストッパ400(ストッパ本体410)に対して適切に伝わることとなり、その衝撃が円滑に緩和されることとなる。
そして、実施例1A及び実施例2Aの車体下降位置規定ストッパ100A,200A等と同様の作用効果が得られる。
【0097】
[実施例5]
次に、本発明の実施例5の車体上昇位置規定ストッパ500(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図10等に基づいて、実施例1A・実施例2Aとの相違点を中心に説明する。実施例2Aに対応する要素については、対応する符号(「300」を加算し、百の位が「2」のところを「5」にするとともに、「A」を除いた符号)を付して、適宜説明を省略する。
【0098】
この車体上昇位置規定ストッパ500(
図10)は、特に、車体上昇位置規定ストッパHS1(
図1A)に好適に該当するものである。
図10に示すように、この車体上昇位置規定ストッパ500は、ストッパ本体510,結合用ボルト550(取付部材)を有している。ストッパ本体510は、外側部材520及び内側部材530を有している。
この車体上昇位置規定ストッパ500は、結合用ボルト550(その軸部551)の中心軸線を中心に対称的な形状を有している。
この車体上昇位置規定ストッパ500のストッパ本体510の高さは、純正の車体上昇位置規定ストッパHS1(
図1A)のストッパ本体の高さよりも高い。
【0099】
ストッパ本体510(外側部材520)の上面は上方に凸状に円弧面状をしている。ストッパ本体510(外側部材520)の周壁面はほぼ円筒状をしているとともに、中途高さ位置に1つの段差が形成され、それより下方の部分は若干大径とされている。ストッパ本体510(外側部材520)の下面は水平な円形状をしている。
【0100】
内側部材530(その外面)は、ほぼ、外側部材520(その外面)を縮小した相似の形状を有しており、外側部材520の内部において、外側部材520と同心的に位置している。
内側部材530の周壁面はほぼ円筒状をしているとともに、そのうちの下端部は大径状とされている。
【0101】
内側部材530の上面の中央部には、凹部535が形成されている。凹部535は、下方に半円球状に窪んでいる。
内側部材530の凹部535に対応して、外側部材520には凸部525が形成されている。凸部525は、外側部材520Aの頭占部521aの下面から、半円球状に下方に突出している。凸部525は、凹部535に嵌合しており、凹部535(その内部空間)に収容(充填)されている。
【0102】
以上のようにして、ストッパ本体510は、その高さ方向において、第1部位L1~第3部位L3を有している。
第1部位L1は、ストッパ本体510のうちの上側の部分であり、外側部材520(頭占部521a)のみによって形成されている。
第3部位L3は、ストッパ本体510のうちの下側の部分であり、内側部材530の凹部535(その底部)より下側であって結合用ボルト550より上側の部分である。第3部位L3は、主として内側部材530によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材520(その周覆部521b)によって形成されている。
第2部位L2は、第1部位L1と第3部位L3との間の部分であって、内側部材530の凹部535に外側部材520の凸部525が嵌合している部位である。第2部位L2は、主として内側部材530(凹部535以外の部分)及び外側部材520(凸部525)によって形成されているとともに、その周縁部は外側部材520(その周覆部521b)によって形成されている。
【0103】
外側部材520の縦弾性係数(ヤング率)は、内側部材530の縦弾性係数(ヤング率)よりも小さい。
このため、単位圧縮力による弾性収縮率については、第1部位L1は大きく、第3部位L3は小さく、第2部位L2はその中間である。
【0104】
前述したように、この車体上昇位置規定ストッパ500は、車体上昇位置規定ストッパHS1(
図1A)に特に好適に該当するものである。
ブラケット824Aが、本発明の「相対的位置関係が変位可能な2つの部材のうちの一方」に該当し、アッパーアーム820Aが、同じく「他方」に該当する。
【0105】
この車体上昇位置規定ストッパ500は、上下反転されることなく、ブラケット824Aに対して取り付けられる。すなわち、ブラケット824Aのボルト孔(図示省略)に結合用ボルトの軸部551が挿入されナットが螺合される。
【0106】
車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなるように調整された場合には、アッパーアーム820Aとブラケット824Aとの距離が長くなるとともに、アッパーアーム820Aが、外方に向かうにつれてやや上方に向かう状態でこの車体上昇位置規定ストッパ500のストッパ本体510に当接することになる。
この車体上昇位置規定ストッパ500のストッパ本体510の高さが純正の車体上昇位置規定ストッパHS1のストッパ本体の高さよりも高いため、アッパーアーム820Aが所定の高さ(回動角度)になったときに適切に当接し得る。
また、この車体上昇位置規定ストッパ500のストッパ本体510(外側部材520及び内側部材530)の上面が円弧面状をしているため、そのいずれかの部分において面的に当接する。このため、その衝撃力は、車体上昇位置規定ストッパ500(ストッパ本体510)に対して適切に伝わることとなり、その衝撃が円滑に緩和されることとなる。
そして、実施例1A及び実施例2Aの車体下降位置規定ストッパ100A,200A等と同様の作用効果が得られる。
【0107】
[実施例6]
次に、本発明の実施例6の車体上昇位置規定ストッパ600(車体昇降位置規定ストッパ)について、
図11等に基づいて、実施例1A・実施例5等との相違点を中心に説明する。実施例5に対応する要素については、対応する符号(「100」を加算し、百の位が「5」のところを「6」にした符号)を付して、適宜説明を省略する。
【0108】
この車体上昇位置規定ストッパ600(
図11)も、特に、車体上昇位置規定ストッパHS1(
図1A)に好適に該当するものである。
図11に示すように、この車体上昇位置規定ストッパ600は、ストッパ本体610,結合用ボルト650(取付部材)を有している。ストッパ本体610は、外側部材620及び内側部材630を有している。
この車体上昇位置規定ストッパ600は、結合用ボルト650(その軸部651)の中心軸線を中心に対称的な形状を有している。
この車体上昇位置規定ストッパ600のストッパ本体610の高さは、純正の車体上昇位置規定ストッパHS1(
図1A)のストッパ本体の高さよりも高いとともに、実施例5の車体上昇位置規定ストッパ500のストッパ本体510よりも高い。
【0109】
ストッパ本体610(外側部材620)の上面は上方に凸状に円弧面状をしている。ストッパ本体610(外側部材620)の周壁面はほぼ円筒状をしているとともに、中途高さ位置に2つの段差が形成され、各段差より下方の部分は順に若干大径とされている。ストッパ本体610(外側部材620)の下面は水平な円形状をしている。
【0110】
内側部材630(その外面)は、ほぼ、外側部材620(その外面)を縮小した相似の形状を有しており、外側部材620の内部において、外側部材620と同心的に位置している。
【0111】
内側部材630の上面の中央部には、凹部635が形成されている。凹部635は、下方に円柱状及び半円球状に窪んでいる。すなわち、凹部635のうちの上部は円柱状をなし、下部は半円球状をなしている。
内側部材630の凹部635に対応して、外側部材620には凸部625が形成されている。凸部625は、外側部材620Aの頭占部621aの下面から、円柱状及び半円球状に下方に突出している。凸部625は、凹部635に嵌合しており、凹部635(その内部空間)に収容(充填)されている。
【0112】
前述したように、この車体上昇位置規定ストッパ600は、車体上昇位置規定ストッパHS1(
図1A)に特に好適に該当するものであり、そのストッパ本体610の高さは純正の車体上昇位置規定ストッパHS1のストッパ本体の高さよりも高いとともに、実施例5の車体上昇位置規定ストッパ500のストッパ本体510よりも高い。
このため、実施例5の場合よりもさらに車体900(その中立高さ位置)が本来の高さよりも低くなるように調整された場合に好適である。
そして、実施例1Aの車体下降位置規定ストッパ100A及び実施例5の車体上昇位置規定ストッパ500等と同様の作用効果が得られる。
【0113】
なお、上述のものはあくまで本発明の数例の実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
例えば、上述の複数の実施例の各要素について、種々の組合せで結合させた態様も考えられる。
また、上述の複数の実施例について、「背景技術」で述べた種々の車体昇降位置規定ストッパ(車体下降位置規定ストッパ,車体上昇位置規定ストッパ)に適用させることが可能である。
【符号の説明】
【0114】
100,200,300,400,LS1~LS4 車体下降位置規定ストッパ(車体昇降位置規定ストッパ)
500,600,HS1,HS2 車体上昇位置規定ストッパ(車体昇降位置規定ストッパ)
110A,110B,210A,210B,110,210,310,410,510,610 ストッパ本体
115,215 中空部
120A,120B,220A,220B,320,420,520,620 外側部材
121a,221a,321a,421a,521a,621a 頭占部
121b,221b,321b,421b,521b,621b 周覆部
121c,221c,321c,421c,521c,621c 底覆部
125,225,325,425,525,625 凸部
130,230,330,430,530,630 内側部材
135,235,335,435,535,635 凹部
150 取付金具(取付部材)
250,350,450,550,650 結合用ボルト(取付部材)