(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】通報処理装置、及び通報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/08 20060101AFI20240312BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240312BHJP
H04W 40/20 20090101ALI20240312BHJP
H04W 76/50 20180101ALI20240312BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240312BHJP
【FI】
G08B25/08 C
G08B25/00 510L
H04W40/20
H04W76/50
H04W88/18
(21)【出願番号】P 2020557594
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2019045469
(87)【国際公開番号】W WO2020105681
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2018218528
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】菅野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】金田 悟
(72)【発明者】
【氏名】通岡 英明
(72)【発明者】
【氏名】糸永 緑
(72)【発明者】
【氏名】冨重 一成
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-268144(JP,A)
【文献】特開2018-137683(JP,A)
【文献】特開2015-215766(JP,A)
【文献】特開2016-57842(JP,A)
【文献】特開2018-37813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 25/08, G08B 25/00, H04W 40/20, H04W 76/50, H04W 88/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から通報される第1の通報情報を取得し、
前記第1の通報情報に基づいて、前記端末装置に第2の通報情報を依頼する第1の情報を送信し、
前記第1の情報に対する第1の操作が検出されると、前記第2の通報情報を送信するための第2の情報を前記端末装置に表示させ、
前記第2の情報に対する第2の操作が検出されると、前記端末装置から前記第2の通報情報を取得し、
前記第2の通報情報
とは異なる、前記第2の通報情報から把握される事象に対処するための情報を前記端末装置に表示させる
ものであり、
前記第1の通報情報は、個人情報を含む、
通報処理方法。
【請求項2】
前記第1の通報情報は音声データを含む、請求項1記載の通報処理方法。
【請求項3】
前記第2の通報情報は動画データを含む、請求項
1又は2記載の通報処理方法。
【請求項4】
前記第2の操作は、前記端末装置に表示された前記第2の通報情報を要求するための情報に対する操作である、請求項1乃至
3のうち何れか1項記載の通報処理方法。
【請求項5】
前記第2の情報とともに、前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報を前記端末装置に表示させる、請求項1乃至
4のうち何れか1項記載の通報処理方法。
【請求項6】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、前記第2の情報よりも前面に表示させる、請求項
5記載の通報処理方法。
【請求項7】
前記第2の情報は、前記第2の通報情報を表示するための領域と停止に関するアイコンとを含む、請求項1乃至
6のうち何れか1項記載の通報処理方法。
【請求項8】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、通報処理装置から
前記端末装置に送信される、請求項1乃至
7のうち何れか1項記載の通報処理方法。
【請求項9】
端末装置から通報される第1の通報情報を取得する手段と、
前記第1の通報情報に基づいて、前記端末装置に第2の通報情報を依頼する第1の情報を送信する手段と、
前記第1の情報に対する第1の操作が検出されると、前記第2の通報情報を送信するための第2の情報を前記端末装置に表示させる手段と、
前記第2の情報に対する第2の操作が検出されると、前記端末装置から前記第2の通報情報を取得する手段と、
前記第2の通報情報
とは異なる、前記第2の通報情報から把握される事象に対処するための情報を前記端末装置に表示させる手段と、
を備え
、
前記第1の通報情報は、個人情報を含む、通報処理装置。
【請求項10】
前記第1の通報情報は音声データを含む、請求項
9記載の通報処理装置。
【請求項11】
前記第2の通報情報は動画データを含む、請求項
9又は10記載の通報処理装置。
【請求項12】
前記第2の操作は、前記端末装置に表示された前記第2の通報情報を要求するための情報に対する操作である、請求項
9乃至11のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【請求項13】
前記第2の情報とともに、前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報を前記端末装置に表示させる、請求項
9乃至12のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【請求項14】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、前記第2の情報よりも前面に表示させる、請求項
13記載の通報処理装置。
【請求項15】
前記第2の情報は、前記第2の通報情報を表示するための領域と停止に関するアイコンとを含む、請求項
9乃至14のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【請求項16】
前記通報処理装置は、前記端末装置から前記第1の通報情報を取得する装置である、請求項
9乃至15のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【請求項17】
端末装置から通報される第1の通報情報を取得し、
前記第1の通報情報に基づいて、前記端末装置に第2の通報情報を依頼する第1の情報を送信し、
前記第1の情報に対する第1の操作が検出されると、前記第2の通報情報を送信するための第2の情報を前記端末装置に表示させ、
前記第2の情報に対する第2の操作が検出されると、前記端末装置から前記第2の通報情報を取得し、
前記第2の通報情報
とは異なる、前記第2の通報情報から把握される事象に対処するための情報を前記端末装置に表示させる、
ことをプロセッサに実行させるプログラム
であり、
前記第1の通報情報は、個人情報を含む、
プログラム。
【請求項18】
前記第1の通報情報は音声データを含む、請求項
17記載のプログラム。
【請求項19】
前記第2の通報情報は動画データを含む、請求項
17又は18記載のプログラム。
【請求項20】
前記第2の操作は、前記端末装置に表示された前記第2の通報情報を要求するための情報に対する操作である、請求項
17乃至19のうち何れか1項記載のプログラム。
【請求項21】
前記第2の情報とともに、前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報を前記端末装置に表示させる、請求項
17乃至20のうち何れか1項記載のプログラム。
【請求項22】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、前記第2の情報よりも前面に表示させる、請求項
21記載のプログラム。
【請求項23】
前記第2の情報は、前記第2の通報情報を表示するための領域と停止に関するアイコンとを含む、請求項
17乃至22のうち何れか1項記載のプログラム。
【請求項24】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、通報処理装置から
前記端末装置に送信される、請求項
17乃至23のうち何れか1項記載のプログラム。
【請求項25】
端末装置から通報される第1の通報情報を取得し、
前記第1の通報情報に基づいて、前記端末装置に第2の通報情報を依頼する第1の情報を送信し、
前記第1の情報に対する第1の操作が検出されると、前記第2の通報情報を送信するための第2の情報を前記端末装置に表示させ、
前記第2の情報に対する第2の操作が検出されると、前記端末装置から前記第2の通報情報を取得し、
前記第2の通報情報
とは異なる、前記第2の通報情報から把握される事象に対処するための情報を前記端末装置に表示させる、
ことをプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体
であり、
前記第1の通報情報は、個人情報を含む、
非一時的記録媒体。
【請求項26】
前記第1の通報情報は音声データを含む、請求項
25記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項27】
前記第2の通報情報は動画データを含む、請求項
25又は26記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項28】
前記第2の操作は、前記端末装置に表示された前記第2の通報情報を要求するための情報に対する操作である、請求項
25乃至27のうち何れか1項記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項29】
前記第2の情報とともに、前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報を前記端末装置に表示させる、請求項
25乃至28のうち何れか1項記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項30】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、前記第2の情報よりも前面に表示させる、請求項
29記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項31】
前記第2の情報は、前記第2の通報情報を表示するための領域と停止に関するアイコンとを含む、請求項
25乃至30のうち何れか1項記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項32】
前記第2の通報情報
から把握される事象に対処するための前記情報は、通報処理装置から
前記端末装置に送信される、請求項
25乃至31のうち何れか1項記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置からの通報情報を処理する通報処理装置、通報処理方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
事件や災害などの緊急事態の発生時には、第1発見者や被災者は、警察や消防などの管轄機関に通報する必要がある。また、緊急事態の対応者が、現場の状況を的確に理解できるようにすることが望まれる。例えば、特許文献1には、緊急通報を発信した携帯電話機の通報位置に基づいて、通報位置の近傍を撮影可能な定点観測カメラを選択し、選択した定点観測カメラの画像情報を対応者に提示する緊急時対応支援方法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことに、上述した緊急時対応支援方法などで想定される通報システムでは、通報者は、緊急事態などの通報対象イベントの内容や発生場所等に応じて、適切な通報先を判断して、携帯電話機などを用いた通話により通報する必要がある。このため、通報者は、正しい通報先に通報できなかったり、迅速に通報できなかったりするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、通報対象となるイベントが発生した際に、イベントに関する情報を適切に通報することを可能にする通報処理装置、通報処理方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、通報処理装置は、対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得する情報取得部と、上記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、上記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定する決定部と、上記第1の通報情報に関連する上記1以上の通報先に、上記第1の通報情報に関する情報を送信する通信処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一つの態様によれば、通報処理方法は、対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得することと、前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定することと、前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信することと、を含む。
【0008】
本発明の一つの態様によれば、プログラムは、対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得することと、前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定することと、前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信することと、をプロセッサに実行させる。
【0009】
本発明の一つの態様によれば、記録媒体は、対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得することと、前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定することと、前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信することと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通報対象となるイベントが発生した際に、イベントに関する情報を適切に通報することが可能になる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るシステムの概略的な構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る通報処理装置の概略的な構成の例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る具体例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の通報情報に関する情報に応じて表示される画面を示す図である。
【
図5】
図5は、近傍端末装置への協力要請の流れについて説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施例の動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1の通報情報に関する上記情報に応じて表示される他の例の画面を示す図である。
【
図8】
図8は、他の実施例として、交通事故の通報を想定した実施例を示す図である。
【
図9】
図9は、他の実施例として、イベント警備の補完を想定した実施例を示す図である。
【
図10】
図10は、他の実施例として、地域の見守りを想定した実施例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る通報処理装置100の全体構成を示す図である。
【
図12】
図12は、MTCアプリケーションのいくつかの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0013】
説明は、以下の順序で行われる。
1.実施形態の概要
2.システムの構成
3.第1の実施形態
3.1.通報処理装置の構成
3.2.技術的特徴
3.3.具体例
4.第2の実施形態
4.1.通報処理装置の構成
4.2.技術的特徴
5.端末装置
6.他の形態
【0014】
<<1.実施形態の概要>>
まず、実施形態の概要を説明する。
【0015】
(1)技術的課題
事件や災害などの緊急事態の発生時には、第1発見者や被災者は、警察や消防などの管轄機関に通報する必要がある。残念なことに、このような通報システムでは、通報者は、緊急事態などの通報対象イベントの内容や発生場所等に応じて、適切な通報先を判断して、携帯電話機などを用いた通話により通報する必要がある。このため、通報者は、正しい通報先に通報できなかったり、迅速に通報できなかったりするおそれがある。
【0016】
例えば、通報先となる管轄機関は、警察、消防、海上保安、鉄道会社、スタジアムなどの公共施設の管理者などが想定される。また、通報先の電話番号は、管轄機関によって異なる。また、電車内で緊急事態が発生した場合には、通報者は、まず、列車非常停止警報装置が設置された場所を探す必要がある。またビル内で火災が発生した場合には、通報者は、内線電話などで警備室に通報することができる。しかし、ビル内で急病人が現れた場合には、通報者は、通報すべき連絡先が分からないという問題がある。とりわけ、大規模イベントの開催中に、緊急時対応に不慣れな人が通報者としての役割を果たす場合、通報者は、通報先を思い出せなかったり、通報先が分からなかったりして、焦ってしまうことが想定される。また、外国人が通報者としての役割を果たす場合、通報者は、例えば使用する言語の違いにより意思疎通ができず、緊急事態への対応が遅れてしまうことも想定される。
【0017】
すなわち、通報者は、緊急通報する場所や状況に応じて、通報先を選択して、通報手段に従う必要がある。このため、通報者に予備知識がないと、通報遅延や誤通報を起こす。とりわけ、外国からの渡航者は、言葉の障壁や予備知識不足により適切な通報ができない。
【0018】
また、通報者は、自身ないし周りの被害拡大による影響や現場状況の変化により、通報もしくは通信の継続ができなくなる場合がある。
【0019】
また、被害現場の近傍の人が被害者及び/又は被害の状況を十分に認識できない場合がある。例えば、被害現場の近傍の人は、視覚や聴覚等により事件や事故を認識するため状況認識に差が生じる。また、加害者が付近に存在しているときに迅速な退避ができないと、二次災害を防止できない場合がある。これにより、緊急事態に対する初期対応が遅れる場合がある。また、被害現場近傍の人が所有する通信端末(スマートフォンのカメラ)、又は被害現場の近傍に設置されているデバイス(監視カメラやドライブレコーダーなど)からの手助けや情報提供が得にくい場合がある。
【0020】
ここで、携帯電話機やスマートフォンなどの移動体通信機器は、多くの人々に携帯されているため、通報者の位置を取得可能であり、聴覚のハンディや通信回線の輻輳などがあってもテキストデータの通信などにより意思疎通が可能である。このような移動体通信機器の特性を利用することにより、誰もが様々な状況下で素早く正しく緊急事態などを通報可能な緊急通報システムが望まれる。
【0021】
また、通報者により通報された管轄機関の人員支援を専ら待つようなシステムでは、通報者の周囲にサポートできる第三者や機器が存在しても、通報者は、第三者や機器からの協力を受けることができなかった。
【0022】
しばしば発生しうる軽微な困り事(例えば、迷子、徘徊、迷惑行為、救命措置や緊急搬送などを必要としない病気など)は、通報先の機関が即座に対応することができなかった。また、通報先の管轄機関の人員が有限であるため、大規模な災害などで被害が同時多発した場合には、人命救助に対応できない場合がある。また、交通事故の原因を究明するのに必要となる、第三者の目撃情報やドライブレコーダーなどの記録は、緊急通報とは別の仕組みで後日収集する必要がある。
【0023】
また、災害等からの安全を確保したうえで写真や動画を撮影する人は多い。残念ながら、これらの画像情報が例えばSNS(Social Network Service)などに公開されたとしても、改竄などの検証困難が困難である。また、これらの情報提供を促すとしても、被害現場にいた人を特定することは、時間経過に応じて困難になる。
【0024】
このため、移動体通信機器の特性を利用することにより、人又はカメラなどの機器が、通報者の周囲で速やかに協力できるような通報システムが求められている。
【0025】
そこで、本実施形態の目的は、通報対象となるイベントが発生した際に、イベントに関する情報を適切に通報することを可能にすることにある。
【0026】
より具体的に、本実施形態は、例えば電車内で発生した事件やトラブルに対する通報および周囲の協力を、どのようにして実現するかに着目したものである。とりわけ、電車内では固定の緊急停止ボタンが設置されているが、通報者は、必ずしもその近くにいるわけでもなく、混雑次第ではボタンを押すことすらできない。さらに、電車内に防犯カメラが設置されている場合も、カメラには死角があるため、適切に事件やトラブルに対処できない場合が多い。このため、本実施形態は、移動体通信機器の特性を利用することにより、緊急事態を適切に通報でき、かつ周囲に存在する人や機器などの協力を迅速かつ柔軟に得ることを可能にするものである。
【0027】
(2)技術的特徴
本実施形態によれば、例えば、対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得し、上記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、上記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定し、上記第1の通報情報に関連する上記1以上の通報先に、上記第1の通報情報に関する情報を送信する。
【0028】
これにより、例えば、通報対象となるイベントが発生した際に、イベントに関する情報を適切に通報することが可能となる。
【0029】
なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は上述した技術的特徴に限定されない。
【0030】
<<2.システムの構成>>
図1を参照して、本発明の実施形態に係るシステム1の構成の例を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図1を参照すると、システム1は、通報処理装置100、端末装置201~204、及び、通報先装置401~405を含む。
【0031】
通報処理装置100は、例えば端末装置201~204などからの通報に関する処理を行う。具体的な処理については後述する。
【0032】
端末装置201は、個人が保有する携帯電話機やスマートフォンなどの移動体通信機器である。端末装置202は、例えば、駅ホームや電車内等に設置されている固定通報装置である。端末装置203は、駅周辺、駅構内、駅ホーム、電車内に設置されている固定カメラである。端末装置204は、衝撃、音、生体異常などを検知する機能、及び異常検知した情報を自律的に通知する機能を有するセンサデバイスである。端末装置201~204の各々は、例えば無線アクセスネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、ビーコン、又は固定回線などの通信ネットワークを介して通報処理装置100との間で通信可能である。
【0033】
通報先装置401~405は、通報処理装置100からのデータを受信可能な通信装置である。
【0034】
通報先装置401は、例えば運行管理センターなどに設置される。ここで、運行管理センターは、例えば、列車の運転状況、お客さまの状況、気象状況など、列車運行に関する情報の収集および管理を行う。運行管理センターは、事故や災害の発生時には、例えば後述するように、通報処理装置100からの情報に基づいて状況を瞬時に認識し、関係各部と調整を行い、被害の縮小や列車を正常な運行に戻す。また、通報先装置402は、例えば警察署などに設置される。さらに、通報先装置403は、例えば消防署に設置される。
【0035】
また、通報先装置404は、事件や事故の発生場所の近傍に位置する人が所有する通信端末(以下、近傍通信端末とも呼ぶ)である。ここで、通報先装置404の所有者は、例えば、事件発生を目視している人、事件発生を目視ができないが認識している人、さらには全く認識していない人が想定されうる。通報先装置405は、事件や事故の発生現場近傍に設置されているデバイスである。通報先装置405は、主に固定カメラやドライブレコーダーなど、人的操作が不要もしくは遠隔操作が可能で、通信機能、録画、又は録音を有するものが想定される。
【0036】
<<3.第1の実施形態>>
続いて、
図2~
図9を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0037】
<3.1.通報処理装置の構成>
次に、
図2を参照して、第1の実施形態に係る通報処理装置100の構成の例を説明する。
図2は、第1の実施形態に係る通報処理装置100の概略的な構成の例を示すブロック図である。
図2を参照すると、通報処理装置100は、ネットワーク通信部110、記憶部120及び処理部130を備える。
【0038】
(1)ネットワーク通信部110
ネットワーク通信部110は、ネットワークから信号を受信し、ネットワークへ信号を送信する。
【0039】
(2)記憶部120
記憶部120は、通報処理装置100の動作のためのプログラム(命令)及びパラメータ、並びに様々なデータを、一時的に又は恒久的に記憶する。当該プログラムは、通報処理装置100の動作のための1つ以上の命令を含む。
【0040】
(3)処理部130
処理部130は、通報処理装置100の様々な機能を提供する。処理部130は、情報取得部131、決定部133、通信処理部135、及び解析部137を含む。なお、処理部130は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。すなわち、処理部130は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。情報取得部131、決定部133、通信処理部135、及び解析部137の具体的な動作は、後に詳細に説明する。
【0041】
例えば、処理部130(通信処理部135)は、ネットワーク通信部110を介して端末装置(例えば、端末装置201~204)と通信する。また、処理部130(通信処理部135)は、ネットワーク通信部110を介して、通報先装置(例えば通報先装置401~405)と通信する。
【0042】
(4)実装例
ネットワーク通信部110は、ネットワークアダプタ並びに/又はネットワークインタフェースカード等により実装されてもよい。記憶部120は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ及び/若しくは揮発性メモリ)並びに/又はハードディスク等により実装されてもよい。処理部130は、1つ以上のプロセッサにより実装されてもよい。情報取得部131、決定部133、及び通信処理部135は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。上記メモリ(記憶部120)は、上記1つ以上のプロセッサ内に含まれていてもよく、又は、上記1つ以上のプロセッサ外にあってもよい。
【0043】
通報処理装置100は、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。当該1つ以上のプロセッサは、上記プログラムを実行して、処理部130の動作(情報取得部131、決定部133、通信処理部135、及び/又は解析部137の動作)を行ってもよい。上記プログラムは、処理部130の動作(情報取得部131、決定部133、通信処理部135、及び/又は解析部137の動作)をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0044】
<3.2.技術的特徴>
次に、第1の実施形態の技術的特徴を説明する。
【0045】
通報処理装置100(情報取得部131)は、対象イベントに関して端末装置(端末装置201~204)から通報される第1の通報情報を取得する。そして、通報処理装置100(決定部133)は、上記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補(通報先装置401~405)の中から、上記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定する。そして、通報処理装置100(通信処理部135)は、上記第1の通報情報に関連する上記1以上の通報先に、上記第1の通報情報に関する情報を送信する。
【0046】
上記対象イベントは、例えば、事件、事故、災害などの緊急事態となりうる事象である。上記第1の通報情報、例えば、上述した緊急事態を対処すべき管轄機関や、緊急事態への対処の協力者となりうる者などに通報するための情報である。また、上記第1の通報情報に関する上記情報は、上記第1の通報情報と同一の情報であってもよく、又は上記第1の通報情報に基づいて通報処理装置100により作成される情報であってもよい。
【0047】
(1)第1の通報情報
上記第1の通報情報は、例えば、上記対象イベントに遭遇した通報者の操作に応じて端末装置201から通報処理装置100に送信される情報である。若しくは、上記第1の通報情報は、例えば、上記イベントを感知した端末装置202~204から通報処理装置100に送信される情報であってもよい。より具体的には、上記第1の通報情報は、次のような情報を含んでもよい。
【0048】
-イベント種別(タイプ)
上記第1の通報情報は、2以上のイベント種別の中から上記対象イベントに対応するイベント種別に関する情報を含んでもよい。例えば、上記2以上のイベント種別は、事件、事故、火災などが想定される。この場合、上記対象イベントに遭遇した通報者は、例えば端末装置201のディスプレイに表示されたグラフィックユーザインターフェースに従って、上記対象イベントに対応するイベント種別を選択する。このような選択操作により、上記イベント種別に関する情報が含まれる上記第1の通報情報が、端末装置201から通報処理装置100へ送られる。通報処理装置100は、上記イベント種別に関する情報に基づいて、対象イベントがどのようなイベント種別に該当するかを認識できる。
【0049】
-端末装置の位置情報
上記第1の通報情報は、上記端末装置の位置情報を含んでもよい。例えば、上記端末装置の上記位置情報は、GPS(Global Positioning System)などの位置情報取得手段を利用して上記端末装置により取得される情報である。例えば通報者による操作に応じて端末装置201から通報処理装置100へ送られる。通報処理装置100は、上記端末装置の上記位置情報に基づいて、対象イベントがどの位置で発生しているかを認識することが可能となる。
【0050】
-端末装置の加速度情報
上記第1の通報情報は、上記端末装置の加速度情報を含んでもよい。例えば、端末装置201の加速度情報は、端末装置201に内蔵されている加速度センサを利用して端末装置201により取得された情報であり、例えば通報者による操作に応じて端末装置201から通報処理装置100へ送られる。通報処理装置100は、端末装置201の加速度情報に基づいて、端末装置201を所有する通報者が、電車内で移動中など、乗り物に乗車しているかどうかなどを認識することが可能となる。
【0051】
-音声、テキスト、画像、動画
事件事故及び/又は通報者自身の状況が異なることが想定されるため、上記第1の通報情報は、音声データ、テキストデータ、画像データ、及び/又は動画データを含んでもよい。とりわけ、上記第1の通報情報は、通報者による端末装置201の操作等に応じて、音声データ、テキストデータ、画像データ、及び動画データのいずれかのデータを選択可能であってもよい。
【0052】
-通報者の個人情報
上記第1の通報情報は、例えば、名前、性別、年齢、携帯番号等や生体情報(心拍数など)などの通報者の個人情報を含んでもよい。このような個人情報が通報処理装置100に提供されることにより、例えば、通報者が被害者及び/又は被災者である場合に、迅速な緊急対応が可能となる。また、いたずら通報が抑止されうる。
【0053】
(2)送信対象の決定
(2-1)関連性に基づいた決定
通報処理装置100(決定部133)は、上記第1の通報情報に基づいて、上記複数の通報先の候補(例えば、通報先装置401~405)の中から、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の通報先を決定してもよい。
【0054】
例えば、上記イベント種別に関する情報に基づいて、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の送信対象が決定される。具体的には、上記対象イベントが「事件」である場合には、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の送信対象として、警察署に設置された通報先装置402が決定される。また、上記対象イベントが「火災」である場合には、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の送信対象として、消防署に設置された通報先装置403が決定される。また、上記対象イベントが「電車内事件」である場合には、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の送信対象として、運行管理センターに設置された通報先装置401、及び警察署に設置された通報先装置402が決定される。
【0055】
例えば、端末装置201の加速度情報に基づいて、通報者が電車で移動中であると判断した場合には、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の送信対象として、運行管理センターに設置された通報先装置401が決定される。また、この場合には、上記対象イベントが発生した電車と反対方向に走行する電車内の乗客に対して支援要請を行わないようにしてもよい。すなわち、当該反対方向に走行する電車内の乗客が所有する端末装置を、上記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の送信対象から除外するようにしてもよい。
【0056】
(2-2)位置に基づいた決定
通報処理装置100(解析部137)は、上記第1の通報情報を解析することにより、上記端末装置の位置を特定してもよい。例えば、解析部137は、上記第1の通報情報に上記端末装置の上記位置情報が含まれる場合には、上記第1の通報情報を解析することにより抽出された当該位置情報を、上記端末装置の上記位置として特定してもよい。なお、解析部137は、上記第1の通報情報のIP(Internet Protocol)アドレス情報などを解析することにより、上記端末装置の上記位置を特定してもよい。
【0057】
上記端末装置の上記位置が特定される場合には、通報処理装置100(決定部133)は、上記特定された上記端末装置の上記位置に基づいて、上記複数の通報先の候補(例えば、通報先装置404、405)の中から、上記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定する。
【0058】
具体的に、上記対象イベントに関連する上記1以上の通報先は、無線アクセスネットワークにおいて、上記端末装置の上記位置から所定の近傍範囲に在圏する1以上の無線通信装置であってもよい。例えば、通報処理装置100は、端末装置201の位置から半径100m圏内に設置された基地局のカバレッジエリアに在圏する無線通信装置(例えば通報先装置404)を、上記対象イベントに関連する上記1以上の通報先に決定する。
【0059】
このようにして通報者(端末装置201)の近傍に位置する近傍通信端末(通報先装置404)が通報先に決定される。そして、上記第1の通報情報に関する上記情報が、当該近傍通信端末(通報先装置404)に送信される。これにより、当該近傍通信端末の所有者は、いち早く上記対象イベント(事件、事故、災害など)を認識できる。また、当該近傍通信端末の所有者は、上記対象イベントに対処する救援者や協力者としての役割を果たすことができる。
【0060】
また、通報処理装置100(通信処理部135)は、上記端末装置の上記位置から所定の近傍範囲に位置する上記1以上の送信対象から、上記対象イベントに関して通報される第2の通報情報を受信してもよい。ここで、上記第2の通報情報は、たとえば、上記第1の通報情報の続報及び詳報として捉えることができる。より具体的には、上記対象イベントが火災である場合、上記第2の通報情報は、上記第1の通報情報の通報後、近傍通信端末(例えば通報先装置404)の所有者によって撮影された画像情報(火災状況など)などである。
【0061】
このようにして、通報処理装置100は、上記第2の通報情報を受信することにより、上記対象イベントの状況変化をより迅速に把握することができる。また、通報処理装置100は、上記第2の通報情報に基づいて適切な通報先(例えば通報先装置401~403)を決定し、上記第2の通報情報を警察機関(通報先装置402)や消防機関(通報先装置403)などに上記第2の通報情報に関する情報を提供(送信)することができる。
【0062】
さらに、近傍通信端末(例えば通報先装置404)に対して上記第2の通報情報の通報を促すため、上記第1の通報情報に関する上記情報は、上記第2の通報情報を要求するための情報を含んでもよい。上記第2の通報情報を要求するための上記情報は、例えば近傍通信端末に搭載されたカメラを用いた撮像を促すためのグラフィックユーザインターフェースを表示するための情報などである。
【0063】
(3)通報情報の解析
通報処理装置100(解析部137)は、上記端末装置の上記位置を解析する場合に限らない。例えば、上記第1の通報情報が音声、画像、又は動画データを含む場合、通報処理装置100(解析部137)は、これらのデータを解析して、上記対象イベントの現場状況を詳細に把握および推測してもよい。
【0064】
例えば、通報処理装置100(解析部137)は、上記第1の通報情報に含まれる音声データの文字認識を行ってもよい。文字認識されたテキストデータは、例えば上記第1の通報情報に関する上記情報として上記1以上の通報先に送信される。
【0065】
また、上記第1の通報情報が上記端末装置の上記位置情報を含む場合、通報処理装置100(解析部137)は、当該位置情報を解析して、上記対象イベントの発生場所を推測してもよい。さらに、上記対象イベントが電車内などで発生した場合、画像データなどに基づいて、通報処理装置100(解析部137)は、発生場所として、列車の号車番号や扉からの位置などを特定してもよい。
【0066】
また、通報処理装置100(解析部137)は、上記第1の通報情報に含まれる画像データを用いた画像認識により、上記対象イベントの発生場所の緊急度合いを数値化した指標値(状況切迫度とも呼ぶ。)を解析してもよい。また、通報処理装置100(解析部137)は、上記第1の通報情報に含まれる音声データを用いた音声認識により、上記対象イベントの状況切迫度を解析してもよい。
【0067】
また、上記対象イベントが事件である場合には、通報処理装置100(解析部137)は、上記第1の通報情報に含まれる画像データを用いた人物認識により、被害者の様子や犯人の特徴、または周囲の人たちの様子(共犯者の有無など)を推測してもよい。これらの推測結果は、被害者の既往歴や犯人の過去の犯罪歴などプロファイル照合に用いられてもよい。
【0068】
以上のような解析部137により解析された情報は、上記第1の通報情報に関する上記情報に含まれてもよい。これにより、上記対象イベントに対する初期行動を、より適切に行うことが可能となる。
【0069】
(4)通報情報の管理
通報処理装置100は、端末装置(例えば端末装置201~204)から通報された上記第1の通報情報、及び通報先装置(例えば、通報先装置404、405)から通報された上記第2の通報情報の秘匿性を高めるため、これらの情報を暗号化し、記憶部120に記憶してもよい。
【0070】
<3.3.具体例>
次に、
図3~
図6などを参照して、第1の実施形態に係る具体例について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る具体例を説明するための図である。
【0071】
まず、被災者又は第一通報者は、被災を認識して(ステップS301)、端末装置201から上記第1の通報情報を通報処理装置100に送信(通報)する(ステップS303)。
【0072】
続いて、通報処理装置100は、端末装置201から受信した第1の通報情報を解析して、端末装置201(通報元)の位置を認識する(ステップS305)。また、通報処理装置100は、上記第1の通報情報に基づいた適切な通報先装置(運行管理センターなど)に上記第1の通報情報に関する上記情報を送信する(ステップS307)。
【0073】
また、通報処理装置100は、上記第1の通報情報(例えば位置情報など)に基づいて、第一通報者(端末装置201)及び、第一通報者の近傍の人たちが所有する近傍通信端末(例えば通報先装置404)に、上記第1の通報情報に関する上記情報を、対象エリア限定で配信されるメールなどを用いて送信する(ステップS309)。
【0074】
図4は、上記第1の通報情報に関する上記情報に応じて表示される画面を示す図である。すなわち、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)のディスプレイには、
図4に示すように、上記対象イベント(例えば被災状況)に関する情報41が表示される。また、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)のディスプレイには、
図4に示すように、上記対象イベントの状況の報告(上記第2の通報情報)を要求するための情報42が表示される。また、近傍通信端末(例えば、端末装置201)のディスプレイには、
図4に示すように、上記対象イベントの状況の報告(上記第2の通報情報)を行うための情報43が表示される。近傍通信端末(例えば、通報先装置404)の所有者は、協力者として、
図4に示す情報43に従って、上記第2の通報情報(音声、カメラ、動画、テキスト)を通報処理装置100に送信する(ステップS311)。
【0075】
通報処理装置100は、詳報(上記第2の通報情報)を整理して、整理した情報を、適切な通報先装置(運行管理センターなど)などに送信(提示)する(ステップS313)。
【0076】
一方、運行管理センターなどの管轄機関は、通報処理装置100から提示された上記第1の通報情報および詳報(上記第2の通報情報)を認識し、時々刻々と変化する状況を解析して、上記対象イベントの対処方法を判断する。そして、運行管理センターなどの管轄機関は、例えば、保安及び救護関係者への連絡を行う(ステップS315)。また、運行管理センターなどの管轄機関は、例えば、電車内放送(状況報告、誘導連絡など)を行う(ステップS317)。
【0077】
-近傍通信端末への協力要請処理(
図5)
次に、
図5を参照して、近傍通信端末への協力要請処理を説明する。
図5は、近傍端末装置への協力要請の流れについて説明するためのフローチャートである。
【0078】
まず、上記第1の通報情報が、端末装置(例えば端末装置201)から通報処理装置100に通報される(ステップS501)。続いて、通報処理装置100によって上記第1の通報情報が解析されることにより、上記第1の通報情報に関する上記情報が近傍通信端末(例えば通報先装置404)へ通知(送信)される(ステップS503)。
【0079】
次に、近傍通信端末(例えば通報先装置404)は、上記第1の通報情報に関する上記情報に、協力要請を示す情報が含まれるかどうかを判断する。そして、協力要請を示す情報が含まれる場合(S505:Yes)には、近傍通信端末(例えば通報先装置404)は、上記第2の通報情報を通報処理装置100に提供(送信)して(ステップS507)、
図5に示す処理を終了する。一方、協力要請を示す情報が含まれない場合(S505:No)には、上記第2の通報情報の提供無しに、
図5に示す処理が終了する。
【0080】
なお、上記第1の通報情報が「協力要請を示す情報」を含むか否かは、上記対象イベントの緊急度に応じて決定されてもよい。例えば、通報処理装置100は、事件又は事故といった重大なケースにおける通報の場合には、上記第1の通報情報に関する情報に上記協力要請を自動的に含めてもよく、情報提供(例えば土砂災害発見)といったケースにおける通報の場合には、上記第1の通報情報に関する情報に上記協力要請を含めるか否かの選択(又は判断)を行うようにしてもよい。
【0081】
また、上記協力要請を受けたデバイス(例えば通報先装置405)を所有する人は、上記協力要請を「受ける」、又は「受けない」を選択する場合に限らない。例えば、近傍デバイス(IoT(Internet Of Things)機器)、とりわけ個人所有の装置(例えば通報先装置405)については、事前に協力要請に対して協力するか否かの承認が通報処理装置100に対して申告されてもよい。この場合、協力を事前承認された近傍デバイス(例えば通報先装置405)は、「協力要請を示す情報」を示すフラグを立てる動作を行うことにより、情報提供を行ってもよい。
【0082】
上述したように、上記情報提供の依頼を受けた近傍通信端末又は近傍デバイス(例えば通報先装置404、又は通報先装置405)は、所有者に情報提供の同意を求める。なお、上記情報提供が通報者(上記第1の通報情報の通報を行った端末装置(例えば、端末装置201)の所有者)に要請する場合には、上記情報提供の同意は不要であってもよい。
【0083】
また、上記
図4に示す例では、協力要請の対象が近傍通信端末の所有者であるが、これに限定されない。例えば、協力要請の対象は、監視カメラのような機械などの近傍デバイス(例えば通報先装置405)であってもよい。
【0084】
例えば、上記提供依頼の対象が過去の情報である場合、監視カメラのような機械などの近傍デバイス(例えば通報先装置405)は、該当する時刻のセンサ情報を記憶装置から読み出すことにより、通報処理装置100に提供してもよい。ここで、記憶装置が、クラウドネットワークのように装置の外部に存在する場合、外部の記憶装置に情報提供依頼が転送されてもよい。
【0085】
また、監視カメラのような機械などの近傍デバイス(例えば通報先装置405)は、その所有者の端末装置に、例えば次の例のような情報提供の確認メッセージを送信してもよい。具体的に、近傍デバイス(例えば通報先装置405)は、「近くで発生した事故に関して、情報提供の依頼が警察から来ました。以下の情報を提供して良いですか?」という確認メッセージを、その所有者の端末装置に送信する。この端末装置から「OK(情報提供に協力する)」という応答メッセージが近傍デバイス(例えば通報先装置405)に送信された場合、情報提供が行われるようにしてもよい。
【0086】
-実施例の動作の説明(
図6)
次に、
図6を参照して、実施例の動作について説明する。
図6は、実施例の動作を説明するための図である。
【0087】
まず、上記第1の通報情報が端末装置201から基地局を介して通報処理装置100に緊急通報される(ST601)。続いて、通報処理装置100は、上記第1の通報情報を解析して、上記第1の通報情報に関する上記情報を、運行管理センター、警察、及び消防に緊急通報する(ST603、ST605)。また、通報処理装置100は、上記第1の通報情報に関する上記情報を、端末装置201の近傍通信端末(例えば通報先装置404)に緊急速報用メールを用いて送信する(ST607)。さらに、通報処理装置100は、端末装置201の近傍デバイス(例えば、通報先装置405)に対して、定点観測カメラの位置調整などの指示情報を送信する(ST609)。
【0088】
その後、近傍デバイス(例えば、通報先装置405)により記録された画像、音声、動画などのデータが、通報処理装置100に送信される(ST611)。また、運行管理センターから上記対象イベントの現場係員へ対応指示(上記対象イベントの位置情報など)が行われる(ST613)。また、現場係員と警察官と消防隊が、上記対象イベントの現場に駆けつける(ST615、ST617)。さらに、通報処理装置100から近傍通信端末(例えば通報先装置404)に対して、協力依頼に関する情報(テキストデータなど)が送信される(ST619)。その後、例えば近傍通信端末(例えば通報先装置404)は、協力許可を示す情報を通報処理装置100に送信する(ST621)。
【0089】
続いて、協力許可が得られたユーザ(例えば通報先装置404)から、第2の通報情報(画像、音声、動画、テキスト等)が、通報処理装置100に送信される(ST623)。その後、通報処理装置100は、情報の集積及び解析を行い、その収集及び解析結果を運行管理センターと警察と消防と提供する(ST625、ST627)。
【0090】
なお、近傍通信端末に送信する情報は、PWS(Public Warning System)を利用してもよい。また、端末装置201の位置から所定の近傍範囲は、通報処理装置100、端末装置201、又は移動通信ネットワークの管理装置などにより設定されてもよい。また、上記第2の通報情報の要求を受けた通報先装置は、当該通報先装置の所有者に、情報提供の同意を求めるようにしてもよい。また、上記第2の通報情報が一定期間より過去の情報である場合には、該当する時刻情報を、上記第2の通報情報に含めてもよい。また、近傍デバイスで記録されるデータが、クラウドのように外部にある場合は、近傍デバイスは、外部の記憶装置に情報提供依頼を転送してもよい。
【0091】
-実施例の効果
上述した本実施例によれば、端末装置201の所有者(通報者)が緊急通報を行うことができる。また、通報者の所在場などに基づいて適切な通報先が通報処理装置100によって選択されるため、通報遅延や誤通報などが抑制される。また、通報処理装置100を介して、上記対象イベントに関する証拠の収集を、近傍通信端末などに依頼することができる。協力者(近傍通信端末の所有者)は、証拠となる画像や映像を提供することが可能となる。また、通報処理装置100は、情報提供を依頼する範囲を、通報の内容、緊急性などに応じて変更することができる。また、通報処理装置100は、収集した情報を、第三者が自由に閲覧したり改変したりすることができないように暗号化して、これらの情報を秘匿することができる。上記対象イベントの発生場所の近傍の人は、上記第1の通報情報に関する情報によって、事件を速やかに認知し、状況に応じた行動をいち早くとることができる。
【0092】
-他の実施例
例えば、上記第1の通報情報に関する上記情報に応じて表示される画面は、上述した
図4に示すような画面に限定されない。
図7は、上記第1の通報情報に関する上記情報に応じて表示される他の例の画面を示す図である。
【0093】
すなわち、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)のディスプレイには、
図7に示すように、上記対象イベント(例えば被災状況)の発生時刻、場所、及び種別(例えば電車内火災)に関する情報71が表示されてもよい。また、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)のディスプレイには、
図7に示すように、上記対象イベントの状況の報告(上記第2の通報情報)を要求するための情報72が表示されてもよい。ここで、情報72にも、上記対象イベント(例えば被災状況)の発生時刻、場所、及び種別(例えば電車内火災)に関する情報が含まれてもよい。また、近傍通信端末(例えば、端末装置201)のディスプレイには、
図7に示すように、上記対象イベントの状況の報告(上記第2の通報情報)を行う情報73が表示される。このような情報が近傍通信端末の所有者などに提供されることにより、その所有者は、どちらに退避したらよいかなどの上記イベントに関する詳細を把握することができる。
【0094】
なお、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)のディスプレイには、通報処理装置100から詳報(例えば上記第2の通報情報に関する情報)及び続報を受信してもよい。上記第1の通報情報に上記対象イベント(例えば被災状況)の発生時刻、場所、及び種別(例えば電車内火災)に関する情報が含まれていない場合、これらの情報が詳報及び続報に含まれてもよい。また、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)のディスプレイは、詳報及び続報のポップアップ表示を行うようにしてもよい。また、近傍通信端末(例えば、通報先装置404)は、通報処理装置100による収集データに基づいた退避経路などを、画面上のボタン操作に応じて取得可能な機能を有してもよい。
【0095】
また、
図8は、他の実施例として、交通事故の通報を想定した実施例を示す図である。
図8に示す例では、事故車両のドライブレコーダーが上記第1の通報情報を通報処理装置100に送信するようにしてもよい。この場合には、事故車両の近傍のドライブレコーダーや近傍の人、事故発生場所に設置された防犯カメラ等が、上記通報先となりうる。そして、当該通報先から通報処理装置100へ上記第2の通報情報が提供されうる。
【0096】
図9は、他の実施例として、イベント警備の補完を想定した実施例を示す図である。
図9に示す例では、イベントの警備員やボランティアが被災の認識をした場合に、上記第1の通報情報が通報処理装置100に通報されてもよい。この場合、イベント開催者や会場責任者、警備員、他のボランティアなどのイベントスタッフが所有する近傍通信端末に、上記第1の通報情報に関する上記情報を送付することで、イベント中に発生した事故などに関する情報が速やかに共有される。
【0097】
図10は、他の実施例として、地域の見守りを想定した実施例を示す図である。
図10に示す例では、被災者、子供、高齢者が困っているのを目撃した第三者が、端末装置を用いて上記第1の通報情報を通報処理装置100に送信する。また、当事者が通信機能を備えた防犯ブザー(端末装置)を鳴動させることにより、上記第1の通報情報を通報処理装置100に送信する。通報処理装置100は、上記第1の通報情報に基づいて、身元情報の照合や位置情報を解析し、被災者の近傍に位置する近傍通信端末に上記第1の通報情報に関する上記情報を送信する。このようにして、被災者の近傍に位置する者への協力の要請が可能となる。協力者は、近傍通信端末を用いて詳報(上記第2の通報情報)を音声、カメラ、動画などのデータで通報処理装置100に送信する。上記第2の通報情報に関する情報は、例えば、保安及び救助関係者提供される。なお、上記第1の通報情報および上記第2の通報情報に関する情報は、被災者、子供、高齢者などの家族にも提供されてもよい。
【0098】
その他、周囲への手助け依頼(階段や段差のある場所におけるベビーカー持ち上げ補助、車いすの移動補助など)についても、通報処理装置100の適用が可能である。
【0099】
また、通報処理装置100を商業分野に適用することも可能である。すなわち、店舗でタイムセールをする場合や映画館等で空席が多い場合、近傍通信端末へクーポン付告知をしたい場合などに、通報処理装置100の適用が可能である。
【0100】
具体的には、上述したように告知や宣伝を行いたい人が所有する端末装置が、通報処理装置100を介して、上記第1の通報情報に関する上記情報を、近傍通信端末に送信してもよい。この場合、端末装置に内蔵されている加速度センサ等から得られる情報を組み合わせることで、近傍を走行する車やバス、電車等の乗客に対して、メッセージ(上記第1の通報情報に関する上記情報)を送付しないようにすることができる。特に、学習型のAI(Artificial Intelligence)を利用することにより、通報処理装置100の記憶部120などに蓄積された情報から、個人の趣向に応じて、上記第1の通報情報の上記情報の送信先のフィルタリングを行うようにしてもよい。
【0101】
<<4.第2の実施形態>>
続いて、
図11を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態は、具体的な実施形態であるが、第2の実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0102】
<4.1.通報処理装置の構成>
図11は、第2の実施形態に係る通報処理装置100の全体構成を示す図である。
図11を参照すると、通報処理装置100は、情報取得部141、決定部143、及び通信処理部145を備える。
【0103】
<4.2.技術的特徴>
通報処理装置100(情報取得部141)は、対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得する。そして、通報処理装置100(決定部143)は、上記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、上記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定する。そして、通報処理装置100(通信処理部145)は、上記第1の通報情報に関連する上記1以上の通報先に、上記第1の通報情報に関する情報を送信する。
【0104】
情報取得部141は、上述した第1の実施形態に係る情報取得部131の動作と同一の動作を行ってもよい。また、決定部143は、上述した第1の実施形態に係る決定部133の動作と同一の動作を行ってもよい。また、通信処理部145は、上述した第1の実施形態に係る通信処理部135の動作と同一の動作を行ってもよい。
【0105】
以上のような構成からなる通報処理装置100によれば、例えば、通報対象となるイベントが発生した際に、イベントに関する情報を適切に通報することが可能となる。
【0106】
<<5.端末装置>>
上記第1及び第2の実施形態において、端末装置、近傍通信端末、及び近傍デバイスは、以下で説明するような、ユーザー端末(User Equipment、UE)(もしくは移動局(mobile station)、移動端末(mobile terminal)、 モバイルデバイス(mobile device)、または無線端末(wireless device)などを含む)である。
【0107】
まず、ユーザー端末(User Equipment、UE)(もしくは移動局(mobile station)、移動端末(mobile terminal)、モバイルデバイス(mobile device)、または無線端末(wireless device)などを含む)は、無線インターフェースを介して、ネットワークに接続されたエンティティである。
【0108】
本明細書のUEは、専用の通信装置に限定されるものではなく、本明細書中に記載されたUEとしての通信機能を有する次のような任意の機器であってもよい。
【0109】
用語として「3GPP(3rd Generation Partnership Project)で使われる単語としてのユーザー端末(User Equipment、UE)」、「移動局」、「移動端末」、「モバイルデバイス」、「無線端末」のそれぞれは、一般的に互いに同義であることを意図しており、ターミナル、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、セルラIoT端末、IoTデバイス、などのスタンドアローン移動局であってもよい。
【0110】
なお用語としての「UE」「無線端末」は、長期間にわたって静止している装置も包含することが理解されよう。
【0111】
またUEは、例えば、生産設備・製造設備および/またはエネルギー関連機械(一例として、ボイラー、機関、タービン、ソーラーパネル、風力発電機、水力発電機、火力発電機、原子力発電機、蓄電池、原子力システム、原子力関連機器、重電機器、真空ポンプなどを含むポンプ、圧縮機、ファン、送風機、油圧機器、空気圧機器、金属加工機械、マニピュレータ、ロボット、ロボット応用システム、工具、金型、ロール、搬送装置、昇降装置、貨物取扱装置、繊維機械、縫製機械、印刷機、印刷関連機械、紙工機械、化学機械、鉱山機械、鉱山関連機械、建設機械、建設関連機械、農業用機械および/または器具、林業用機械および/または器具、漁業用機械および/または器具、安全および/または環境保全器具、トラクター、軸受、精密ベアリング、チェーン、歯車(ギアー)、動力伝動装置、潤滑装置、弁、管継手、および/または上記で述べた任意の機器又は機械のアプリケーションシステムなど)であってもよい。
【0112】
またUEは、例えば、輸送用装置(一例として、車両、自動車、二輪自動車、自転車、列車、バス、リヤカー、人力車、船舶(ship and other watercraft)、飛行機、ロケット、人工衛星、ドローン、気球など)であってもよい。
【0113】
またUEは、例えば、情報通信用装置(一例として、電子計算機及び関連装置、通信装置及び関連装置、電子部品など)であってもよい。
【0114】
またUEは、例えば、冷凍機、冷凍機応用製品および装置、商業およびサービス用機器、自動販売機、自動サービス機、事務用機械及び装置、民生用電気・電子機械器具(一例として音声機器、スピーカー、ラジオ、映像機器、テレビ、オーブンレンジ、炊飯器、コーヒーメーカー、食洗機、洗濯機、乾燥機、扇風機、換気扇及び関連製品、掃除機など)であってもよい。
【0115】
またUEは、例えば、電子応用システムまたは電子応用装置(一例として、X線装置、粒子加速装置、放射性物質応用装置、音波応用装置、電磁応用装置、電力応用装置など)であってもよい。
【0116】
またUEは、例えば、電球、照明、計量機、分析機器、試験機及び計測機械(一例として、煙報知器、対人警報センサ、動きセンサ、無線タグなど)、時計(watchまたはclock)、理化学機械、光学機械、医療用機器および/または医療用システム、武器、利器工匠具、または手道具などであってもよい。
【0117】
またUEは、例えば、無線通信機能を備えたパーソナルデジタルアシスタントまたは装置(一例として、無線カードや無線モジュールなどを取り付けられる、もしくは挿入するよう構成された電子装置(例えば、パーソナルコンピュータや電子計測器など))であってもよい。
【0118】
またUEは、例えば、有線や無線通信技術を使用した「あらゆるモノのインターネット(IoT:Internet of Things)」において、以下のアプリケーション、サービス、ソリューションを提供する装置またはその一部であってもよい。
【0119】
IoTデバイス(もしくはモノ)は、デバイスが互いに、および他の通信デバイスとの間で、データ収集およびデータ交換することを可能にする適切な電子機器、ソフトウェア、センサ、ネットワーク接続、などを備える。
【0120】
またIoTデバイスは、内部メモリの格納されたソフトウェア命令に従う自動化された機器であってもよい。
【0121】
またIoTデバイスは、人間による監督または対応を必要とすることなく動作してもよい。
【0122】
またIoTデバイスは、長期間にわたって備え付けられている装置および/または、長期間に渡って非活性(inactive)状態のままであってもよい。
【0123】
またIoTデバイスは、据え置き型な装置の一部として実装され得る。IoTデバイスは、非据え置き型の装置(例えば車両など)に埋め込まれ得る、または監視される/追跡される動物や人に取り付けられ得る。
【0124】
人間の入力による制御またはメモリに格納されるソフトウェア命令、に関係なくデータを送受信する通信ネットワークに接続することができる、任意の通信デバイス上に、IoT技術が実装できることは理解されよう。
【0125】
IoTデバイスが、機械型通信(Machine Type Communication、MTC)デバイス、またはマシンツーマシン(Machine to Machine、M2M)通信デバイス、NB-IoT(Narrow Band-IoT) UEと呼ばれることもあるのは理解されよう。
【0126】
またUEが、1つまたは複数のIoTまたはMTCアプリケーションをサポートすることができることが理解されよう。
【0127】
図12は、MTCアプリケーションのいくつかの例を示す図である。すなわち、MTCアプリケーションのいくつかの例は、例えば
図12に示すような、以下のRef.1のAnnex Bに開示されている表(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている。
[Ref.1] 3GPP TS22.368 V13.2.0 (Upload date: 2017-01-13)
このリストは、網羅的ではなく、一例としてのMTCアプリケーションを示すものである。
【0128】
アプリケーション、サービス、ソリューションは、一例として、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)サービス/システム、防災無線サービス/システム、構内無線電話(PBX(Private Branch eXchange:構内交換機))サービス/システム、PHS/デジタルコードレス電話サービス/システム、POS(Point of sale)システム、広告発信サービス/システム、マルチキャスト(MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service))サービス/システム、V2X(Vehicle to Everything:車車間通信および路車間・歩車間通信)サービス/システム、列車内移動無線サービス/システム、位置情報関連サービス/システム、災害/緊急時無線通信サービス/システム、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービス/システム、コミュニティーサービス/システム、映像配信サービス/システム、Femtoセル応用サービス/システム、VoLTE(Voice over LTE)サービス/システム、無線TAGサービス/システム、課金サービス/システム、ラジオオンデマンドサービス/システム、ローミングサービス/システム、ユーザー行動監視サービス/システム、通信キャリア/通信NW選択サービス/システム、機能制限サービス/システム、PoC(Proof of Concept)サービス/システム、端末向け個人情報管理サービス/システム、端末向け表示映像サービス/システム、端末向け非通信サービス/システム、アドホックNW/DTN(Delay Tolerant Networking)サービス/システムなどであってもよい。
【0129】
なお、上述したUEのカテゴリは、本明細書に記載された技術思想及び実施形態の応用例に過ぎない。これらの例に限定されるものではなく、当業者は種々の変更が可能であることは勿論である。
【0130】
<<6.他の形態>>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0131】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0132】
また、本明細書において説明した通報処理装置の構成要素(例えば、情報取得部、決定部、及び/又は通信処理部)を備える装置(例えば、通報処理装置を構成する複数の装置(又はユニット)のうちの1つ以上の装置(又はユニット)、又は上記複数の装置(又はユニット)のうちの1つのためのモジュール)が提供されてもよい。また、上記構成要素の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0133】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0134】
(付記1)
対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得する情報取得部と、
前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定する決定部と、
前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信する通信処理部と、を備える通報処理装置。
【0135】
(付記2)
前記決定部は、前記第1の通報情報に基づいて、前記複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントとの関連性が所定の条件を満たす1以上の通報先を決定する、付記1記載の通報処理装置。
【0136】
(付記3)
前記第1の通報情報から、前記端末装置の位置を解析する解析部をさらに備え、
前記決定部は、前記端末装置の前記位置に基づいて、前記複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定する付記1記載の通報処理装置。
【0137】
(付記4)
前記対象イベントに関連する前記1以上の通報先は、無線アクセスネットワークにおいて、前記端末装置の前記位置から所定の近傍範囲に在圏する1以上の無線通信装置である、付記3記載の通報処理装置。
【0138】
(付記5)
前記通信処理部は、前記端末装置の前記位置から所定の近傍範囲に位置する前記1以上の通報先から、前記対象イベントに関して通報される第2の通報情報を受信する、付記3又は4記載の通報処理装置。
【0139】
(付記6)
前記第1の通報情報に関する前記情報は、前記第2の通報情報を要求するための情報を含む、付記5記載の通報処理装置。
【0140】
(付記7)
前記第1の通報情報は、2以上のイベント種別の中から前記対象イベントに対応するイベント種別に関する情報を含む、付記1乃至6のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【0141】
(付記8)
前記第1の通報情報は、前記端末装置の位置情報を含む、付記1乃至7のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【0142】
(付記9)
前記第1の通報情報は、前記端末装置の加速度情報を含む、付記1乃至8のうち何れか1項記載の通報処理装置。
【0143】
(付記10)
対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得することと、
前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定することと、
前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信することと、を含む通報処理方法。
【0144】
(付記11)
対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得することと、
前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定することと、
前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信することと、をプロセッサに実行させるプログラム。
【0145】
(付記12)
対象イベントに関して端末装置から通報される第1の通報情報を取得することと、
前記第1の通報情報に基づいて、複数の通報先の候補の中から、前記対象イベントに関連する1以上の通報先を決定することと、
前記第1の通報情報に関連する前記1以上の通報先に、前記第1の通報情報に関する情報を送信することと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【0146】
この出願は、2018年11月21日に出願された日本出願特願2018-218528を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0147】
通報対象となるイベントが発生した際に、イベントに関する情報を適切に通報することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 システム
100 通報処理装置
131、141 情報取得部
133、143 決定部
135、145 通信処理部
137 解析部
201、202、203、204 端末装置
401、402、403、404、405 通報先装置