IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】受信器、検知システム及び検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021508141
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002766
(87)【国際公開番号】W WO2020195102
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2019058455
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松田 侑真
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡寛
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】樋口 宗彦
【審判官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-237651(JP,A)
【文献】特開平4-212727(JP,A)
【文献】特開平7-280951(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139412(WO,A1)
【文献】特開2004-275504(JP,A)
【文献】特開2001-76325(JP,A)
【文献】特開平7-98252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/958
G01B11/00-G01B11/30
G01S 5/00-G01S 5/30
G01S 7/00-G01S 7/64
G01S17/00-G01S17/95
G01Q10/00-G01Q10/06
G01Q20/00-G01Q20/04
G01Q30/00-G01Q30/20
G01Q40/00-G01Q40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行路上の検出対象を検出するために送信された光信号を、第1の経路および第2の経路を含む2つ以上の経路に分配する光信号分配手段と、
光信号の光軸がずれた場合に受信光強度が増加する第1の経路における第1の位置と、受信光強度が減少する第2の経路における第2の位置において当該光信号の受信光強度を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力に基づいて、前記第1の位置と、前記第2の位置の受信光強度の比を算出する強度比算出手段と、
前記強度比算出手段により算出された受信光強度の比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断する判断手段と、
を備えた受信器。
【請求項2】
進行路上の検出対象を検出するために送信された光信号を、第1の経路と、第2~第5の経路のうち3つ以上の経路とを含む4つ以上の経路に分配する光信号分配手段と、
受信光強度が最大となる前記第1の経路における第1の位置と、光信号の光軸が右上方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第2の経路における第2の位置、右下方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第3の経路における第3の位置、左上方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第4の経路における第4の位置、左下方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第5の経路における第5の位置からなる第2、第3、第4及び第5の位置におけるいずれか3か所以上の位置において当該光信号の受信光強度を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された受信光強度の比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断するとともに、光軸ずれ量の算出を行う判断手段と、
を備えた受信器。
【請求項3】
前記判断手段は、予め設定された初期値の受信光強度の比と、前記検出手段により検出された受信光強度の比を比較することによって光軸ずれの有無を判断する、請求項1又は2のいずれかに記載の受信器。
【請求項4】
前記光信号分配手段は、ビームスプリッタである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の受信器。
【請求項5】
前記光信号分配手段は、可動式ミラーである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の受信器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の受信器と、
光信号を送信する送信器と、
を備え、送信器から送信された光信号の進行路上の検出対象を検知する検知システム。
【請求項7】
前記送信器は測定対象ガスの有する吸収帯に含まれる波長の光信号を送信する、
請求項6に記載の検知システム。
【請求項8】
前記送信器と前記受信器が一体となった送受信器と、
前記送受信器から出力された光信号を前記送受信器に反射させる、前記送受信器と測定対象空間を挟むように配置した反射板と、
を備えた請求項6又は7のいずれか一項に記載の検知システム。
【請求項9】
光信号を第1の経路および第2の経路を含む2つ以上の経路に分配し、
分配された光信号を、光信号の光軸がずれたとき受信光強度が増加する前記第1の経路における第1の位置と、受信光強度が減少する前記第2の経路における第2の位置において受光し、
前記第1の位置と、前記第2の位置における信号強度に基づいて、受信光強度の比を算出し、
受信光強度比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断する、
検知方法。
【請求項10】
進行路上の検出対象を検出するために送信された光信号を、第1の経路と、第2~第5の経路のうち3つ以上の経路とを含む4つ以上の経路に分配し、
受信光強度が最大となる前記第1の経路における第1の位置と、光信号の光軸が右上方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第2の経路における第2の位置、右下方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第3の経路における第3の位置、左上方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第4の経路における第4の位置、左下方向にずれたときに受信光強度が増加する前記第5の経路における第5の位置からなる第2、第3、第4及び第5の位置におけるいずれか3か所以上の位置において当該光信号の受信光強度を検出し、
検出された受信光強度の比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断するとともに、光軸ずれ量の算出を行う、
検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信器、検知システム及び検知方法に関し、特に、光信号の光軸ずれを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号を空間伝搬させ、火災等の異常状況によるガスや煙の発生を監視する広域センサを用いた検知システムが提案されている。このような検知システムは、受信光強度の初期状態からの減少量に基づいて、煙やガスの発生を検知している。ここで、ガスや煙が発生していない状態を初期状態としている。
【0003】
しかし、長期運用を行う際、外環境からの振動や衝撃によって光軸ずれが発生する場合がある。かかる場合、光軸ずれによって受信光強度が減少すると、ガスや煙の濃度が増加したと誤検知するおそれがある。
したがって、光軸ずれが発生した場合にはすみやかにずれを検知する必要がある。ここで、受信光強度は煙の発生によっても減少するため、光軸ずれとガスや煙による受信光強度減少の切り分けを行う必要がある。
【0004】
特許文献1は、1つの主発光素子と、主発光素子の周囲に配置された2以上の副発光素子を用いて、煙発生の有無を監視する技術を開示している。主発光素子の受光量の減光率が閾値以上となった場合、主発光素子を消灯させ、2つ以上の副発光素子を順次点灯させる。複数の発光素子のうち、全ての受光量の減光率が閾値を上回っている場合は煙の発生によるものと判断し、一部の発光素子のみ閾値を上回っている場合は光軸ずれによるものであると判断する。
【0005】
光を用いてガスを検知する方法は、検出対象となるガスが物質ごとに固有の波長の光を吸収するという性質を利用している。ガス濃度を算出する方式は一般的に2種類ある。
1つ目は、吸収波長近傍の波長を出力する狭い波長帯域の光源を用い、波長を変調してガス検知を行う方式である。非特許文献1は、波長変調分光法(WMS:Wavelength Modulation Spectroscopy)によりガスを検知する技術を開示している。
2つ目は、広い波長帯域の光源を用いて、既知のスペクトル強度からガス濃度を算出する方式である。非特許文献2は差分吸収分光法(DOAS:Differential Optical Absorption Spectroscopy)により、ガスを検知する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-164112号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】井関孝弥、“近赤外半導体レーザを用いた微量気体検出技術,”日本機械学会誌,Vol.107,No.1022,p.51(2004)
【文献】齊藤隼人 他、“近赤外領域の差分吸収分光法を応用した大気中二酸化炭素の吸収測定,”第31回レーザセンシングシンポジウム、D-3(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光信号を空間伝搬させる広域センサにおいて、ガスや煙、粉塵等によって受信光強度が減少している状況下においては、光軸ずれを検知できないという問題があった。
【0009】
特許文献1の方法は、一部の発光素子だけによる受光量が閾値を下回っている場合は光軸ずれと判断する。したがって、全ての発光素子による受光量が閾値を下回っている場合には、光軸ずれを検知することができない。よって、受信光強度が減少している環境下においては、特許文献1の方法によっても、光軸ずれを検知することはできない。
【0010】
本開示は上記課題を解決するためにされたものであって、受信光強度が変動する環境下においても光軸ずれを検知することができる受信器、検知システム及び検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示にかかる受信器は、進行路上の検出対象を検出するために送信された光信号を2つ以上の経路に分配する光信号分配手段と、光信号の光軸がずれた場合に受信光強度が増加する第1の位置と、受信光強度が減少する第2の位置において当該光信号の受信光強度を検出する検出部と、前記検出部の出力に基づいて、前記第1の位置と、前記第2の位置の受信光強度の比を算出する強度比算出部と、前記強度比算出部により算出された受信光強度の比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断する判断部と、を備えたものである。
【0012】
本開示にかかる検知システムは、上記受信器と、光信号を送信する送信器と、を備え、送信器から送信された光信号の進行路上の検出対象を検知するものである。
【0013】
本開示にかかる検知方法は、信号を2つ以上の経路に分配し、分配された光信号を、光信号の光軸がずれたとき受信光強度が増加する第1の位置と、受信光強度が減少する第2の位置において受光し、前記第1の位置と、前記第2の位置における信号強度に基づいて、受信光強度の比を算出し、受信光強度比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断する、ものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、受信光が変動する環境下においても、複数の検出位置の受信光強度の比にもとづいて、光軸ずれを検知することができる。受信光強度が変動する環境下においても、それぞれの検出器の受信光強度は同じ割合で変化し、その比は一定となるためである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の発明を実施するための形態の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2の発明を実施するための形態の構成を示すブロック図である。
図3】第2の発明を実施するための形態の検出器に入射する光信号の入射位置を示す図である。
図4】第2の発明を実施するための形態の動作を示す流れ図である。
図5】第2の発明を実施するための形態にかかる送信器と受信器とを一体として構成する送受信器を示す図である。
図6】本発明の第3の発明を実施するための形態の構成を示すブロック図である。
図7】第3の発明を実施するための形態の検出器に入射する光信号の入射位置を示す図である。
図8】第3の発明を実施するための形態の動作を示す流れ図である。
図9】第3の発明を実施するための形態にかかるビームスプリッタと検出器の位置を変更した検出部を示す図である。
図10】光通信システムに用いられる一般的な補足追尾技術の概念図である。
図11A】光通信システムに用いられる一般的な補足追尾技術における(A)光軸ずれがない状態の受光面と光信号のプロファイルを示す図である。
図11B】光通信システムに用いられる一般的な補足追尾技術における(B)大きく光軸がずれた状態の受光面と光信号のプロファイルを示す図である。
図12】第2の発明を実施するための形態にかかる初期状態の光信号のプロファイルと時刻tで光軸ずれが起こった際のプロファイルを示す図である。
図13A】第2の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の検出器1の受信光強度の時間変化を示すグラフである。
図13B】第2の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の検出器2の受信光強度の時間変化を示すグラフである。
図14】第2の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の2つの検出器の強度比の時間変化を示すグラフである。
図15】第3の発明を実施するための形態にかかる初期状態の光信号のプロファイルと時刻tで光軸ずれが起こった際のプロファイルを示す図である。
図16A】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の主検出器の受信光強度の時間変化を示すグラフである。
図16B】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の副検出器1の受信光強度の時間変化を示すグラフである。
図16C】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の副検出器2の受信光強度の時間変化を示すグラフである。
図16D】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の副検出器3の受信光強度の時間変化を示すグラフである。
図17A】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の副検出器1と主検出器との受信光強度比の時間変化を示すグラフである。
図17B】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の副検出器2と主検出器との受信光強度比の時間変化を示すグラフである。
図17C】第3の発明を実施するための形態にかかる時刻tで光軸ずれが起こった場合の副検出器3と主検出器との受信光強度比の時間変化を示すグラフである。
図18A】第3の発明を実施するための形態の受光器に入射する光信号の初期状態の光軸位置(A)を示す図である。
図18B】一般的な補足追尾技術の受光器に入射する光信号の初期状態の光軸位置(B)を示す図である。
図18C】光軸ずれがある場合の第3の発明を実施するための形態の検出器に入射する光信号の光軸位置の例(C)を示す図である。
図18D】光軸ずれがある場合の一般的な補足追尾技術の検出器に入射する光信号の光軸位置の例(D)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1を用いて、本発明の実施の形態にかかる、光信号の進行路における検知対象を検知するための受信器の構成について説明する。この受信器は、図1に示されるように、検出部11、強度比算出部110及び判断部111を備えている。図2のように、メモリ112を備えることもできる。
【0017】
検出部11は、光信号分配手段9、及び検出器14を備えている。検出器14は、図3に示すように分配された光信号を、光信号の光軸がずれたときに受信光強度が増加する第1の位置と、受信光強度が減少する第2の位置における受光量を検出する。検出器14は、検出した受信光強度を強度比算出部110に出力する。
【0018】
強度比算出部110は、検出部11から出力された、第1の位置と第2の位置における受信光強度比を算出する。
【0019】
判断部111は、強度比算出部110から出力された受信光強度比の変化に基づいて光軸ずれの有無を判断する。
【0020】
次に図4を用いて、本発明の実施形態1に係る検知システムにおける処理について説明する。
【0021】
検出部11において、光信号分配手段9は、光信号を2以上に分割する(S01)。
検出器14は、分配された光信号を受光する(S02)。
【0022】
強度比算出部110は、検出器14から出力された2つの受光位置における信号の強度比を算出する(S04)。
ここで、あらかじめ初期状態において、検出器14から出力された信号の強度比を算出して、メモリ112に保存しておく必要がある(S03)。
【0023】
判断部111は、強度比算出部110において算出された強度比とメモリ112に保存された初期状態での強度比を比較する(S05)。判断部111は、2つの強度比の差があらかじめ設定した値αの範囲内であれば光軸ずれなしと判断し(S07)、範囲外であれば光軸ずれありと判断する(S06)。なお、本実施形態では、メモリ112に保存された初期状態での強度比を比較対象としているがこれに限られない。
【0024】
本実施の形態にかかる検知システムにおいて、環境変動の影響が少ない受信器内部で光信号を分配しているため、それぞれの検出位置において受光する信号は環境変動の影響による強度減少量が等しい。そのため、2つの検出器が受信する信号の強度比を求めることで、環境変動の影響を排除することができる。一方、光軸が初期状態からずれた場合、2つの受光位置における受信する信号の強度減少量はそれぞれ異なるため強度比が変化する。
よって、本実施の形態にかかる検知システムは、受信光強度が変動する環境下においても光軸ずれを検知することができる。
【0025】
<第2実施形態>
図2を用いて、本発明の実施の形態にかかる光軸ずれの検知システムの構成について説明する。この検知システムは、図2に示されるように、送信器113、受信器10を備えている。検出システムは、送信器113から出力される光信号を、受信器10により受信する。受信器10は、光信号の受信強度に基づいて、送信器113と受信器10の間の進行路における検出対象(例えば、ガス)の存在を検出する。
【0026】
送信器113は、レーザ光源114、レーザドライバ115、及び集光器116を有する。
レーザドライバ115は、レーザ光源114から出力される光信号の駆動電流及び温度を制御し、光信号の波長を変調する。レーザ光源114は、時間変化する波長がλ1μm付近の光信号を出力する。λ1は測定対象ガスの分子が有する吸収帯に含まれる波長である。吸収帯とは光などが物質にあたることで吸収が生じる波長域のことである。また、用いるレーザ光源114が出力する光信号は、パルス光と連続光のどちらでもよく、どのような断面強度分布でもよい。
【0027】
受信器10は、検出部11、プロセッサ16、及びメモリ112を有する。
【0028】
検出部11は、集光器12、ビームスプリッタ13、及び検出器14、15を有する。ビームスプリッタ13は光信号を2つに分割する。検出器14、15は、受信光強度が最大となる位置から、受信光強度がわずかに減少するようにずらして配置する。図3に、検出器14、15の受光面と光信号のプロファイルを示す。
ただし、ビームスプリッタ13により、検出器15は、他の検出器14と左右もしくは上下のどちらかのずれ方向が逆転する。したがって、検出器15に入射する光の軸をずらす位置を、図3の位置から、ビームスプリッタ13によって反転する方向が左右なら左右、上下なら上下逆にする。
【0029】
プロセッサ16は、信号処理部17、判断部111を有する。
【0030】
信号処理部17は、ガス濃度算出部18、煙濃度算出部19、及び強度比算出部110を有する。
ガス濃度算出部18は、2つの検出器の一方が出力した電気信号、もしくは両方から出力された電気信号の平均の値を元にガス濃度を算出する。
煙濃度算出部19は、2つの検出器の一方が出力した電気信号、もしくは両方から出力された電気信号の平均の値を元に煙濃度を算出する。
強度比算出部は、検出部11の2つの検出器14、15から出力された信号の強度比を算出する。
【0031】
判断部111は、強度比算出部110から出力された受信光強度比と、メモリ112に保存された初期状態における受信光強度比から、光軸ずれの有無を判断する。
【0032】
信号処理部17、及び判断部111は、プロセッサ16がメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。また、信号処理部17、及び判断部111は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
プロセッサ16は、メモリからソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して、以降においてフローチャート等を用いて説明される処理を行う。プロセッサ16は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ16は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0033】
メモリ112は、強度比算出部110において算出された初期状態における検出器14、15の受信光強度の比を保存する。
【0034】
次に図4を用いて、本発明の実施形態1に係る検知システムにおける処理について説明する。
【0035】
検出部11において、ビームスプリッタ13は、光信号を2以上に分割する(S01)。
検出器14、15は、ビームスプリッタ13で分割された光信号を受光する(S02)。
【0036】
強度比算出部110は、検出器14、15から出力された信号の強度比を算出する(SO4)。
ここで、あらかじめ初期状態において、検出器14、15から出力された信号の強度比を算出して、メモリ112に保存しておく必要がある(SO3)。
【0037】
判断部111は、強度比算出部110において算出された強度比とメモリ112に保存された初期状態での強度比を比較する(S05)。
判断部111は、2つの強度比の差があらかじめ設定した値αの範囲内であれば光軸ずれなしと判断し(S07)、範囲外であれば光軸ずれありと判断する(S06)。
【0038】
図12、13A、13B、14を用いて、受信光強度の変化が発生している環境下で光軸ずれが起こった場合の動作を説明する。図12のように時刻tで光軸ずれが発生したとする。図13A図13Bのように時刻tよりも前には検出器1と検出器2の受信光強度は同様に変化し、図14のようにその比は一定である。
時刻tにおいて図12のように光軸が受光面に対して左にずれると、図12のように、検出器1では受光面に照射される光が減るため受信光強度が減少する。一方、検出器2では受光面に照射される光が増えるため受信光強度が増加する。
そのため、時刻tにおいて図14のように受信光強度比が変化する。この受信光強度比の変化により、受信光強度の変化がある環境下でも光軸ずれを検知することができる。
【0039】
本実施の形態では、2つの検出器が受信する信号は、環境変動の影響による強度減少量が等しい。光信号は、一つの光源から出射し、環境変動の影響を受けにくい受信器内部で分割されているためである。
そのため、2つの検出器が受信する信号の強度比を求めることで環境変動の影響を排除することができる。
光軸が初期状態からずれた場合、2つの検出器が受信する信号の強度減少量はそれぞれ異なるため強度比が変化する。この理由により、受信光強度が変動する環境下においても初期状態からの光軸ずれを検知することができる。
【0040】
なお、本実施形態の内容は上述した説明に限定されない。
上述の説明においては、送信器113と受信器10を分けて使用する例を示したが、図5のように、送信器と受信器を一体として構成する送受信器40を用いてもよい。送受信器40から出力された光信号を、反射板41を用いて送受信器40方向に反射させ、送受信器40で受信する構成を使用することができる。反射板41は、送受信器40と測定対象空間を挟むように配置する。これにより、給電が必要な装置を1つにし、防爆対策が必要な装置を減らすことができる。
また、送受信器40から出力された光信号を複数回反射させてから送受信器40で受信させ、伝搬距離をのばしても良い。このようにすることで、測定精度を向上させることができる。
【0041】
上述の説明においては、ビームスプリッタ13で光信号を二つに分けて2つの検出器14、15で受光する例を示したが、ビームスプリッタの代わりに可動式ミラーを使用して、一定微小時間毎に光軸の場所を変化させ、それぞれの場所での光信号の強度比を求めてもよい。このようにすることで、ビームスプリッタによる光信号の強度減少をなくし、用いる検出器を1つに減らすことができる。
【0042】
<第3実施形態>
図6を用いて、本発明の実施の形態にかかる光軸ずれの検知システムの構成について説明する。この検知システムは、図6に示されるように、送信器113、受信器10を備えている。
【0043】
送信器113は、レーザ光源114、レーザドライバ115、及び集光器116を有する。
レーザドライバ115は、レーザ光源114から出力される光信号の駆動電流及び温度を制御し、光信号の波長を変調する。レーザ光源114は、時間変化する波長がλ1μm付近の光信号を出力する。λ1は測定対象ガスの分子が有する吸収帯に含まれる波長である。吸収帯とは光などが物質にあたることで吸収が生じる波長域のことである。また、用いるレーザ光源114が出力する光信号は、パルス光と連続光のどちらでもよく、どのような断面強度分布でもよい。
【0044】
受信器10は、検出部11、プロセッサ16、及びメモリ112を有する。
【0045】
検出部11は、集光器12、ビームスプリッタ13、50、51、及び検出器14、15、52、53を有する。ビームスプリッタ13、50、51は光信号を4以上に分割する。
検出器14、15、52、53のうち、1つを主検出器、3つを副検出器とする。主検出器、副検出器は、検出器14、15、52、53のいずれを割り当ててもよい。
主検出器は、受信光強度が最大となる位置に配置する。
副検出器は、受信光強度が最大となる位置から、受信光強度がわずかに減少するようにずらして配置する。3つの副検出器は、光信号の光軸が右上方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、右下方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、左上方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、左下方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、のいずれか3か所において受光する
図7に検出器14、15、52、53の受光面と光信号のプロファイルを示す。
ただし、ビームスプリッタ13、50により、検出器15、52は、他の2つの検出器14、53と左右もしくは上下のどちらかのずれ方向が逆転する。したがって、検出器15、52に入射する光の軸をずらす位置を、図7の位置から、ビームスプリッタ13、50によって反転する方向が左右なら左右、上下なら上下逆にする。
【0046】
プロセッサ16は、信号処理部17、判断部111を有する。
【0047】
信号処理部17は、ガス濃度算出部18、煙濃度算出部19、及び強度比算出部110を有する。
ガス濃度算出部18は、主検出器が出力した電気信号を元にガス濃度を算出する。
煙濃度算出部19は、主検出器が出力した電気信号を元に煙濃度を算出する。
強度比算出部は、検出部11の4つの検出器14、15、52、53から出力された信号の強度に基づいて、主検出器と副検出器の受信光強度の比を算出する。
【0048】
判断部111は、強度比算出部110から出力された受信光強度比と、メモリ112に保存された初期状態における受信光強度比から、光軸ずれの有無と光軸ずれの方向を判断する。
判断部111は、ずれ量算出部54を有する。ずれ量算出部54は、強度比算出部110から出力された受信光強度比と、メモリ112に保存された初期状態における受信光強度比に基づいて、光軸のずれ量を算出する。
【0049】
信号処理部17、判断部111は、プロセッサ16がメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。
プロセッサ16は、メモリからソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して、以降においてフローチャート等を用いて説明される処理を行う。プロセッサ16は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ16は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0050】
メモリ112は、強度比算出部110において算出された、初期状態における主検出器と副検出器の受信光強度の比を保存する。
【0051】
次に図8を用いて、本発明の実施形態3にかかる検知システムにおける処理について説明する。
検出部11において、ビームスプリッタ13、50、51は、レーザ光源114が出力した光信号を4つに分割する(S71)。
【0052】
検出部11において、4つの検出器14、15、52、53は、ビームスプリッタ13、50、51で分割された光信号を受光する(S72)。
検出部11において、検出器14、15、52、53は、受光した光信号を電気信号へと変換し、電気信号を信号処理部17へ出力する。
【0053】
強度比算出部110は、主検出器と副検出器から出力された信号の強度比を算出する(S74)。
ここで、あらかじめ初期状態において、主検出器と副検出器から出力された信号の強度比を算出し、強度比をメモリ112に保存しておく必要がある(S73)。
【0054】
判断部111は、強度比算出部110で算出された強度比とメモリ112に保存された初期状態での強度比を比較する(S75)。
判断部111は、それぞれの強度比の差があらかじめ設定した値α、β、γの範囲内であれば光軸ずれなしと判断する(S76)。
【0055】
光軸ずれありと判断する場合、副検出器1と主検出器、副検出器3と主検出器の強度比変化量の差が、があらかじめ設定した値δ以下であれば(S77)、上下方向の光軸ずれがないと判断する(S78)。
同様に、副検出器1と主検出器、副検出器2と主検出器の強度比変化量の差があらかじめ設定した値ε以下であれば(S714)、左右方向の光軸ずれがないと判断する(S715)。
【0056】
上下方向に光軸ずれがあると判断した場合には、光軸を中心から下方向にずらした検出器と主検出器の強度比変化量の和と、光軸を中心から上方向にずらした検出器と主検出器の強度比変化量の和のどちらが大きいかを判断する(S79)。
S79において、上方向にずらした検出器と主検出器の強度比の変化量の和の方が大きい場合、下方向のずれと判断(S710)し、ずれ量を算出する(S711)。
S79において、上方向にずらした検出器と主検出器の強度比の変化量の和の方が小さい場合、上方向のずれと判断し(S712)、ずれ量を算出する(S713)。
【0057】
左右方向に光軸ずれがあると判断した場合には、光軸を中心から左方向にずらした検出器と主検出器の強度比変化量の和と、光軸を中心から右方向にずらした検出器と主検出器の強度比変化量の和のどちらが大きいかを判断する(S716)。
S716において、左方向にずらした検出器と主検出器の強度比の変化量の和の方が大きい場合、右方向のずれと判断し(S717)、ずれ量算出部54はずれ量を算出する(S718)。
S716において、左方向にずらした検出器と主検出器の強度比の変化量の和の方が小さい場合、左方向のずれと判断し(S719)、ずれ量算出部54はずれ量を算出する(S720)。
【0058】
図15、16A、16B、16C、16D、17A、17B、17Cを用いて、受信光強度の変化が発生している環境下で光軸ずれが起こった場合の動作を説明する。図15のように時刻tで光軸ずれが発生したとする。図16A図16B図16C図16Dのように時刻tよりも前には4つの検出器の受信光強度は同様に変化し、図17A図17B図17Cのようにその比は一定である。
時刻tにおいて図15のように光軸が受光面に対して左にずれたため、図15のように、主検出器では受光面に照射される光がわずかに減るため,受信光強度もわずかに減少する。副検出器1では受光面に照射される光が大きく減るため受信光強度も大きく減少する。副検出器2では受光面に照射される光が増えるため受信光強度は増加する。副検出器3では受光面に照射される光が大きく減るため受信光強度も大きく減少する。したがって、時刻tにおいて図17A図17B図17Cのように受信光強度比が変化する。この受信光強度の変化を捉えることによってガスや、煙、粉塵等による受信光強度の変化がある環境下でも光軸ずれを検知し、ずれ方向及びずれ量を算出することができる。
【0059】
本実施の形態では、4つの検出器が受信する信号は、環境変動の影響による強度変化量が等しい。そのため、4つの検出器が受信する信号の強度比を求めることで環境変動の影響を排除することができる。
光軸が初期状態からずれた場合、4つの検出器が受信する信号の強度変化量はそれぞれ異なるため強度比が変化する。3つの副検出器に照射される光は上下左右いずれか1つの方向にずれた場合、3つのうち1つ以上の検出器の受信光強度が増加し、そのほかの検出器では受信光強度が減少するようにずらしている。よってずれる方向によって受信光強度が増加するのか減少するのか変化する。これらの理由により、受信光強度が変動する環境下においても初期状態からの光軸ずれを検知できることに加えて、ずれ方向及びずれ量を算出することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、光空間通信システムに用いられる一般的な補足追尾技術よりも大きな光軸のずれを検知することができる。
図10に、一般的な補足追尾技術の概念図を示す。ビームスプリッタ92によって分割された光信号を検出器95が受光する。検出器95は、4分割フォトディテクタ96及び増幅器97、98を用いて受光焦点位置の変動を光軸ずれ量として検出する。4分割フォトディテクタ96の4つのディテクタの受光強度に基づいて、光軸ずれを検出することができる。かかる場合、図18Dのように受光量がゼロになれば、それ以上ずれても値が変化せず光軸ずれ量を求めることができなかった。
図18A図18B図18C図18Dは本実施の形態の(A)初期状態、(C)光軸ずれがあるとき、光空間通信システムに用いられる一般的な補足追尾技術の(B)初期状態、(D)光軸ずれがあるときの受光面と光信号のプロファイルの例を示す。図18C図18Dと同じ量だけずれた時の本実施の形態の受光器に入射する光信号の光軸位置である。本実施の形態では、集光位置をより中央に近い位置に設定しているため図10の一般的な補足追尾技術よりも大きな光軸のずれ量を求めることができる。
【0061】
なお、本実施形態の内容は上述した説明に限定されない。上述の説明においては、送信器113と受信器10を分けて使用する例を示したが、図5のように、送信器と受信器を一体として構成する送受信器40を用いてもよい。送受信器40から出力された光信号を、反射板41を用いて送受信器40方向に反射させ、送受信器40で受信する構成を使用することができる。このようにすることで、給電が必要な装置を1つにし、防爆対策が必要な装置を減らすことができる。
送受信器40から出力された光信号を複数回反射させてから、送受信器40で受信させ、伝搬距離をのばしても良い。このようにすることで、測定精度を向上させることができる。
上述の説明においては、4つに分割された光信号はそれぞれ2回、3つのビームスプリッタ13、50、51のいずれかを経由しているが、図9のようにビームスプリッタ50、51、84と主検出器80、副検出器81、82、83を配置してもよい。このようにすることで、ガスや煙濃度算出を行う主検出器のビームスプリッタによる光信号の強度減少量を軽減することができる。
上述の説明においては、ビームスプリッタ13、50、51で光信号を4つに分けて4つの検出器14、15、52、53で受光する例を示したが、ビームスプリッタの代わりに可動式ミラーを使用して、一定微小時間毎に光軸の場所を変化させ、それぞれの場所での光信号の強度比を求めてもよい。このようにすることで、ビームスプリッタによる光信号の強度減少をなくし、用いる検出器を1つに減らすことができる。
【0062】
上述の説明においては、主検出器で受光した光信号からガスや煙濃度を算出する例を示したが、いずれかの副検出器で受光した光信号からガスや煙濃度を算出、もしくは複数の検出器で受光した光信号またはすべての検出器で受光した光信号からガスや煙濃度を算出しその平均または中央値をとることで計測値を導出してもよい。
また、上述の説明においては、検出器15、52の光軸の位置を図7の位置から変化させる例を示したが、光軸の位置を図7の位置とし、ミラーを用いてずれの方向を他の検出器14、53と等しくなるよう修正してもよい。
上述の説明においては、本願発明を、光信号を伝搬させ異常状況を監視する広域センサに用いる例を示したが、光通信分野等、他の分野に用いてもよい。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0064】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0065】
この出願は、2019年3月26日に出願された日本出願特願2019-058455を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0066】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
進行路上の検出対象を検出するために送信された光信号を2つ以上の経路に分配する光信号分配手段と、
光信号の光軸がずれた場合に受信光強度が増加する第1の位置と、受信光強度が減少する第2の位置において当該光信号の受信光強度を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力に基づいて、前記第1の位置と、前記第2の位置の受信光強度の比を算出する強度比算出手段と、
前記強度比算出手段により算出された受信光強度の比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断する判断手段と、
を備えた受信器。
【0068】
(付記2)
進行路上の検出対象を検出するために送信された光信号を4つ以上の経路に分配する光信号分配手段と、
受信光強度が最大となる第1の位置と、光信号の光軸が右上方向にずれたときに受信光強度が増加する第2の位置、右下方向にずれたときに受信光強度が増加する第3の位置、左上方向にずれたときに受信光強度が増加する第4の位置、左下方向にずれたときに受信光強度が増加する第5の位置からなる第2、第3、第4及び第5の位置におけるいずれか3か所以上の位置において当該光信号の受信光強度を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された受信光強度の比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断するとともに、光軸ずれ量の算出を行う判断手段と、
を備えた受信器。
【0069】
(付記3)
前記判断手段は、予め設定された初期値の受信光強度の比と、前記検出手段により検出された受信光強度の比を比較することによって光軸ずれの有無を判断する、付記1又は2のいずれかに記載の受信器。
【0070】
(付記4)
前記光信号分配手段は、ビームスプリッタである、
付記1から3のいずれか一項に記載の受信器。
【0071】
(付記5)
前記光信号分配手段は、可動式ミラーである、
付記1から3のいずれか一項に記載の受信器。
【0072】
(付記6)
付記1から5のいずれか一項に記載の受信器と、
光信号を送信する送信器と、
を備え、送信器から送信された光信号の進行路上の検出対象を検知する検知システム。
【0073】
(付記7)
前記送信器は測定対象ガスの有する吸収帯に含まれる波長の光信号を送信する、
付記6に記載の検知システム。
【0074】
(付記8)
前記送信器と前記受信器が一体となった送受信器と、
前記送受信器から出力された光信号を前記送受信器に反射させる、前記送受信器と測定対象空間を挟むように配置した反射板と、
を備えた付記6又は7のいずれか一項に記載の検知システム。
【0075】
(付記9)
光信号を2つ以上の経路に分配し、
分配された光信号を、光信号の光軸がずれたとき受信光強度が増加する第1の位置と、受信光強度が減少する第2の位置において受光し、
前記第1の位置と、前記第2の位置における信号強度に基づいて、受信光強度の比を算出し、
受信光強度比の変化に基づいて、光軸ずれの有無を判断する、
検知方法。
【0076】
(付記10)
光信号を4つ以上の経路に分配し、
前記分配された光信号を、
受信光強度最大となる位置と、
光信号の光軸が右上方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、右下方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、左上方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、左下方向にずれた時に受信光強度が増加する位置、のいずれか3か所以上の位置において受光し、
前記3か所以上の位置における受信光強度と、受信光強度最大となる位置における受信光強度の比を算出し、
受信光強度の比と初期状態における受信光強度の比の差が、所定値の範囲内であるかどうかに基づいて、光軸ずれの有無を判断し、
受信光強度の比の初期状態からの変化量の差から上下方向にずれがあるか、左右方向にずれがあるかを判断し、
受信光強度の比の初期状態からの変化量の和と差に基づいて、光軸ずれ方向を判断し、
受信光強度の比の変化量の差からずれ量を算出する、
検知方法。
【0077】
(付記11)
ビームスプリッタを用いて光信号を分配する、
付記9または10のいずれか一項に記載の検知方法。
【0078】
(付記12)
可動式ミラーを用いて光信号を分配する、
付記9または10のいずれか一項に記載の検知方法。
【符号の説明】
【0079】
9 光信号分配手段
10 受信器
11 検出部
12,116 集光器
13,50,51,84,92 ビームスプリッタ
14,15,52,53,93,95 検出器
16 プロセッサ
17 信号処理部
18 ガス濃度算出部
19 煙濃度算出部
110 強度比算出部
111 判断部
112 メモリ
113,90 送信器
114 レーザ光源
115 レーザドライバ
40 送受信器
41 反射板
54 ずれ量算出部
80 主検出器
81,82,83 副検出器
91 ミラー
94 識別器
96 4分割フォトディテクタ
97,98 増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図18D