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特許7452893フィルターデバイス完全性試験のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フィルターデバイス完全性試験のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/08 20060101AFI20240312BHJP
   B01D 65/10 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01N15/08 A
B01D65/10
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103539
(22)【出願日】2022-06-28
(65)【公開番号】P2023017708
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】17/385,399
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】サマーズ, ジェレミー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ボロム, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マッケナ, バリー ジー.
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-501648(JP,A)
【文献】特開2002-320829(JP,A)
【文献】特開2013-108774(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229872(WO,A1)
【文献】特表平06-508442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/08
B01D 65/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流面及び下流面を有する多孔質膜を含むフィルターデバイスの完全性を試験するための方法であって、
前記フィルターデバイスは、入口及び出口を有すると共に、前記入口と前記出口との間に流体流路を画定するフィルターデバイスハウジングを備え、前記多孔質膜が、前記流体流路を横切って配置され、
前記方法は、
(a)試験液供給源からの試験液を試験液供給源導管及び試験液導管に沿って前記フィルターデバイスの前記出口に通し、前記多孔質膜の前記下流面までを前記試験液で満たすステップと、
(b)前記試験液供給源から前記試験液供給源導管への追加の試験液の流れを阻止するステップと、
(c)ガス流導管に沿って、前記試験液を含む前記試験液導管内にガスを通すステップであって、前記試験液に第1の所定のガス圧を印加する工程と、前記試験液に印加されたガス圧を監視する工程とを含む、ステップと、
(d)追加のガスが前記ガス流導管に沿って通るのを阻止するステップと、
(e)所定の時間期間にわたって前記試験液に印加された前記ガス圧の減衰を測定するステップであって、前記試験液に印加された前記ガス圧が第2の所定の圧力を下回って低下する場合、前記フィルターデバイスは完全性を欠くとみなす、ステップと
を含む、フィルターデバイスの完全性を試験するための方法。
【請求項2】
前記フィルターデバイスハウジングが、少なくとも1つの通気ポートを含み、
前記方法が、前記(e)の後に、
(f)前記少なくとも1つの通気ポートを通して前記フィルターデバイスから前記試験液を排出するステップ
をさらに含む、請求項1に記載のフィルターデバイスの完全性を試験するための方法。
【請求項3】
フィルターデバイスの完全性を試験するためのシステムであって、
前記フィルターデバイスは、上流面及び下流面を有する多孔質膜を含み、入口及び出口を有すると共に、前記入口と前記出口との間に流体流路を画定するフィルターデバイスハウジングを備え、前記多孔質膜が、前記流体流路を横切って配置され、
前記システムは、
(a)試験液供給源導管と、
(b)前記試験液供給源導管及び前記フィルターデバイスの前記出口と流体連通する試験液導管と
(c)前記試験液導管と流体連通するガス流導管と、
(d)前記試験液供給源導管、前記試験液導管、及び前記ガス流導管と流体連通する流体コネクタと、
(e)前記試験液導管内に印加されたガス圧を感知するように構成された圧力センサと
を備える、フィルターデバイスの完全性を試験するためのシステム。
【請求項4】
前記試験液導管に入る液体を感知するように構成された流量センサをさらに備える、請求項3に記載のフィルターデバイスの完全性を試験するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]現在、小面積疎水性フィルターデバイスは、オフラインで実行されるアルコール湿潤バブルポイント試験を使用して完全性が試験されている。疎水性多孔質フィルターデバイスの完全性試験のための改善された方法が、必要とされている。
【0002】
[0002]本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを改善することを実現するものである。本発明のこれら及び他の利点は、以下に記載する説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一態様は、上流面及び下流面を有する多孔質膜を含むフィルターデバイスの完全性を試験するための方法であって、フィルターデバイスは、入口及び出口を有すると共に、入口と出口との間に流体流路を画定するハウジングを備え、多孔質膜が流体流路を横切って配置され、この方法は、(a)試験液供給源からの試験液を試験液供給源導管及び試験液導管に沿ってフィルターデバイスの出口に通し、多孔質膜の下流面までを試験液で満たすステップと、(b)試験液供給源から試験液供給源導管への追加の試験液の流れを阻止するステップと、(c)ガス流導管に沿って、試験液を含む試験液導管内にガスを通すステップであって、試験液に第1の所定のガス圧を印加する工程と、試験液に対する液圧を監視する工程とを含む、ステップと、(d)追加のガスがガス流導管に沿って通るのを阻止するステップと、(e)所定の時間期間にわたって試験液上の液圧の減衰を測定するステップであって、試験液に対する液圧が第2の所定の圧力を下回って低下する場合、フィルターデバイスは完全性を欠くとみなす、ステップとを含む、方法を提供する。
【0004】
[0004]別の態様では、フィルターデバイスの完全性を試験するためのシステムは、(a)試験液供給源導管と、(b)試験液供給源導管と、上流面及び下流面を有する多孔質膜を含むフィルターデバイスの出口の両方と流体連通する試験液導管であって、フィルターデバイスは、入口及び出口を有すると共に、入口と出口との間に流体流路を画定するハウジングを備え、多孔質膜が、流体流路を横切って配置される、試験液導管と、(c)試験液導管と流体連通するガス流導管と、(d)試験液供給源導管、試験液導管及びガス流導管と流体連通する流体コネクタと、(e)試験液導管内の液圧を感知するように構成された圧力センサとを備える。
【0005】
[0005]一態様では、システムは、圧力センサから液圧データを受信する監視ユニットをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一態様によるシステムの概略図である。
図2】本発明の別の態様によるシステムの概略図である。
図3】本発明の一態様に基づく欠損の無いPVDFフィルターデバイスと欠損の有るPVDFフィルターデバイスの試験から得られた圧力減衰曲線を示す図である。
図4】本発明の別の態様に基づく欠損の無いPTFEフィルターデバイスと欠損の有るPTFEフィルターデバイスの試験から得られた圧力減衰曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0010]本発明の一態様によれば、上流面及び下流面を有する多孔質膜を含むフィルターデバイスの完全性を試験するための方法が提供され、フィルターデバイスは、入口及び出口を有すると共に、入口と出口との間に流体流路を画定するハウジングを備え、多孔質膜が流体流路を横切って配置され、方法は、(a)試験液供給源からの試験液を試験液供給源導管及び試験液導管に沿ってフィルターデバイスの出口に通し、多孔質膜の下流面までを試験液で満たすステップと、(b)試験液供給源から試験液供給源導管への追加の試験液の流れを阻止するステップと、(c)ガス流導管に沿って、試験液を含む試験液導管内にガスを通すステップであって、試験液に第1の所定のガス圧を印加する工程と、試験液に対する液圧を監視する工程とを含む、ステップと、(d)追加のガスがガス流導管に沿って通るのを阻止するステップと、(e)所定の時間期間にわたって試験液上の液圧の減衰を測定するステップであって、試験液に対する液圧が第2の所定の圧力を下回って低下する場合、フィルターデバイスは完全性を欠くとみなす、ステップとを含む。
【0008】
[0011]典型的な態様では、フィルターデバイスハウジングは少なくとも1つの通気ポートを含み、方法は、(f)少なくとも1つの通気ポートを通してフィルターデバイスから試験液を排出するステップをさらに含む。
【0009】
[0012]別の態様では、フィルターデバイスの完全性を試験するためのシステムは、(a)試験液供給源導管と、(b)試験液供給源導管と、上流面及び下流面を有する多孔質膜を含むフィルターデバイスの出口の両方と流体連通する試験液導管であって、フィルターデバイスは、入口及び出口を有すると共に、入口と出口との間に流体流路を画定するハウジングを備え、多孔質膜が、流体流路を横切って配置される、試験液導管と、(c)試験液導管と流体連通するガス流導管と、(d)試験液供給源導管、試験液導管及びガス流導管と流体連通する流体コネクタと、(e)試験液導管内の液圧を感知するように構成された圧力センサとを備える。
【0010】
[0013]システムの態様は、試験液導管に入る試験液を感知するように構成された流量センサをさらに備えることができる。
【0011】
[0014]一態様では、システムは、少なくとも2つの圧力センサ及び少なくとも2つの流量センサを含む制御ユニットを含む。
【0012】
[0015]一態様では、システムは、圧力センサから液圧データを受信する監視ユニットをさらに備える。代替的又は追加的に、システムの態様は、試験液導管に入る液体を感知するように構成された流量センサを備える。
【0013】
[0016]本発明の態様は、フィルターデバイスを含むシステムにおいてその場で実行される、小面積疎水性通気フィルターデバイスのアルコールフリーの、使用前、滅菌後の完全性試験に特に適している。そのような用途では、試験流体は、フィルターデバイス及び膜の非滅菌側に向けられ、方法は、システムの完全性を損なうことなく実施することができる。その結果、フィルターデバイスは、所望の流体(例えば、薬物又は試薬など)を処理/生成する直前にオペレータによって試験することができる。
【0014】
[0017]好適には、ガスを使用する試験とは対照的に、本発明による試験液(好ましくは、水)は本質的に非圧縮性であるため、より速い圧力減衰応答が得られる。追加的に、従来の試験と比較して感度の向上が達成され、約480cmのEFAを有するフィルタの試験に使用される標準的な水侵入試験(試験液上方の空気空間の圧力降下を測定する)と比較して、小面積のフィルタを試験することができる(例えば、約20cmの有効フィルタ面積(EFA))。さらに、標準的な水侵入試験と比較して、より低い試験圧力を使用することができる。
【0015】
[0018]典型的には、試験される多孔質膜は、約5cmEFAから約0.7MEFAの範囲内、典型的には、約20cmEFAから約0.7MEFAの範囲内のEFAを有する。
【0016】
[0019]システムの態様は、少なくとも1つの試験液供給源導管と、少なくとも1つの試験液導管と、少なくとも1つのガス流導管と、試験液供給源導管、試験液導管、及びガス流導管に接続され、それらと流体連通する流体コネクタとを含む。試験液供給源容器からの液体は、試験液供給源容器から、試験液供給源導管(複数の場合もある)、流体コネクタ、及び試験液導管(複数の場合もある)を通り、多孔質膜を含む試験されるフィルターデバイスの出口に至る。ガスが、ガス供給部からガス流導管(複数の場合もある)に沿って、流体コネクタを通って、試験液を含む試験液導管内に通される。バルブなどの少なくとも1つの流量制御デバイスが、試験液供給源導管及びガス流導管に関連付けられる。排出導管が、試験されるフィルターデバイスの通気ポートに接続され、これと流体連通し、試験流体及び乾燥空気が(試験流体は膜を通ることなく)デバイスから排出されることを可能にする。任意選択的に、追加の排出導管がガス流導管に接続され、これと流体連通し、試験液をシステムから排出することを可能にする。バルブなどの少なくとも1つの流量制御デバイスが、試験液供給源導管、ガス流導管、及び排出導管のそれぞれに別々に関連付けられる。任意選択的に、システムは、試験されるフィルターデバイスが過圧になるのを防ぐために、圧力を解放することを可能にする圧力リリーフ導管及び圧力リリーフバルブを含む。
【0017】
[0020]第1の圧力センサ(「圧力センサ」という用語が使用されているが、「圧力トランスデューサ」又は「圧力トランスミッタ」も包含することを理解されたい)は、試験液(水)入口圧力を監視するように構成され、第2の圧力センサ又は圧力トランスデューサは、試験中に圧力データを提供するように構成される。第1の流量センサは、システムに入る試験液の確認を提供するように構成され、第2の流量センサは、試験液がフィルターデバイス回路を満たしたことを確認する信号を提供するように構成される。所望の場合、システムは、試験液の温度を監視するための温度センサを含むことができる。
【0018】
[0021]インターフェースユニットは、流れを制御し、センサ及び/又はトランスデューサからデータを受信し、監視ユニットと通信するために、様々なセンサ及び/又はトランスデューサ並びに流れ制御デバイスに動作可能に接続される。
【0019】
[0022]次に、本発明の各構成要素について以下でより詳細に説明する。ここで、同様の構成要素は同様の参照番号を付する。
【0020】
[0023]図1は、フィルターデバイス700を試験するための、本発明の一態様によるシステム1000の概略図であり、フィルターデバイス700は、入口ポート及び出口ポートを有し、入口ポートと出口ポートとの間に流体流路を画定するハウジング710を備え、このハウジング710内には多孔質膜が流体流路を横切って配置されている。試験方法のいくつかの態様は、流体を出口を通してフィルターデバイスに流入させることを有し、続いて、試験されるフィルターデバイスが完全であると判定された後、濾過されるべき流体が入口を通してデバイス内に流入される。図1に示すシステムの図示態様では、702及び715Aはそれぞれ、フィルターデバイスの完全性の試験という観点では入口ポート及び出口ポート(これらは試験流体がフィルターデバイスに出入りするポートであるため)であり、701及び702はそれぞれ、流体濾過という観点では入口ポート及び出口ポートである。
【0021】
[0024]図示のシステム1000は、試験を実行し、インターフェースユニット950(流量制御デバイス(バルブ)コントローラ(別個に910として示されている)を含む)から送られた、様々なセンサ及び/又はトランスデューサからの測定データを受信及び出力するための監視ユニット800(フィルタ完全性試験機器など)を含み、インターフェースユニットは、様々なセンサ/トランスデューサ、ガス供給部、導管、及び流量制御デバイスをも含む制御ユニット900の構成要素である。図示のシステムでは、監視ユニット800は、CANバス接続を介してインターフェースシステム950と通信する。
【0022】
[0025]図示するシステム1000は、試験液供給源導管100を含み、流れ制御デバイス1及び2が、導管100に関連付けられる。導管100の一端は、試験液供給源と流体連通しており(流れ制御デバイス1は、流れ制御デバイス2よりも試験液供給源の近くに配置されている)、導管の他端は、3分岐コネクタ201の第1の分岐部と流体連通して示されている。
【0023】
[0026]試験液導管300も示されており、試験液導管300の一端は、3分岐コネクタ201の第2の分岐部と流体連通し、導管300の他端は、試験されるフィルターデバイスハウジング710の出口702(好ましくは、クイックリリースコネクタを介して接続される)と流体連通する。
【0024】
[0027]ガス導管400も示されており、流れ制御デバイス3及び任意選択の流れ制御デバイス4(一方向バルブとして示されている)が、導管400に関連付けられている。導管400の一端は、監視ユニット800(例えば、フィルタ完全性試験機器)と連通しており、導管の他端は、3分岐コネクタ201の第3の分岐部と流体連通している。任意選択の流量制御デバイス4は、流量制御デバイス3よりも監視ユニット800の近くに配置され、流量制御デバイス4は、試験流体が監視ユニットに入るのを防ぐための一方向バルブであることが好ましい。
【0025】
[0028]図1はまた、導管500に関連付けられた流量制御デバイス5を有する第1の排出導管500を示し、導管500の一端は、試験されるフィルターデバイスハウジングの通気ポート715A(好ましくは、クイックリリースコネクタを介して接続される)と流体連通している。代替的に、導管500の端部は、通気ポート715Bと流体連通することができる。通気ポートは、ガス及び液体の通気を可能にし、液体は、多孔質膜を通過しない。図はまた、導管501に関連付けられた流量制御デバイス6を有する第2の排出導管501を示し、導管501の一端はガス導管400と(例えば、3分岐コネクタ401によって)流体連通している。任意選択的に、導管500及び501の他端は、(例えば、3分岐コネクタ402によって)流体連通している。
【0026】
[0029]任意選択的に、圧力リリーフ導管600が、試験液供給源導管100及び第1の排出導管500、流量制御デバイス7(圧力リリーフバルブとして示す)と流体連通している。所望の場合、圧力リリーフ導管及びバルブは、試験されるフィルターデバイスが、試験液供給源導管100に沿って進められた圧力から過圧になるのを防ぐために、圧力を解放することを可能にする。
【0027】
[0030]第1の圧力センサ/圧力トランスデューサ20は、試験中に圧力データを提供するように構成され、第2の圧力センサ/圧力トランスデューサ30は、試験液(水)入口圧力を監視するように構成される。第1の流量センサ40は、システムに入る試験液の確認を提供するように構成され、第2の流量センサ50は、試験液がフィルターデバイス回路を満たしたことを確認する信号を提供するように構成される。オプションの温度センサ60は、試験液の温度を監視する。
【0028】
[0031]図2は、本発明の一態様によるシステム2000の概略図である。システム2000の図示する態様は、システム1000の図示する態様と同様であり、同じ構成要素が図示されており、任意選択の流量制御デバイス5の位置を除いて、同じ機能を有する。図2に示す態様では、流量制御デバイス5は、試験されるフィルターデバイスの近くに位置して、試験中により短い管の長さを加圧することを可能にする。
【0029】
[0032]一般的な参照のために図1及び図2を使用しながら、図示するシステムを使用して多孔質膜を含むフィルターデバイスの完全性を試験するための1つの態様は、以下の通りである。
【0030】
[0033]最初に、システムがセットアップされ、試験されるフィルターデバイスに接続されると、流れ制御デバイス1~3、5、及び6が閉じられる。試験は、監視ユニットのユーザインターフェースを介してユーザによって開始される。
【0031】
[0034]流れ制御デバイス1及び2、並びに5が開かれ、試験流体は、試験液供給源から試験液供給源導管100及び試験液導管300に沿って試験フィルターデバイスハウジング710の出口702内に通され、通気ポート715A、第1の排出導管500を通り、システムから排出される。インターフェースユニット950を介して、試験流体の温度が許容限界内にあることを確認するために温度センサ60が監視され、試験流体が試験フィルターデバイスに流入していることを確認するために第1の流量センサ40が監視され、試験流体が排出されるべきフィルターデバイスから戻ることを確認するために流量センサ50が監視される。
【0032】
[0035]正確に制御された予め選択された(第1の所定の)ガス圧は、試験液導管内の液体に印加され、監視ユニットによって測定され、このとき流れ制御デバイス4は、所望の方向の流れを可能にし、流れ制御デバイス3は開かれ、流れ制御デバイス1、2、及び5は閉じられる。圧力が安定していると決定されると、監視ユニットは開始テストコマンドを送り、流量制御デバイス3は閉じられ、ガス流は停止される。
【0033】
[0036]圧力トランスデューサ20は、所望の期間にわたって液圧減衰を測定するために監視される。第2の所定のガス圧に基づいて、試験結果は、合格又は不合格として示される。
【0034】
[0037]試験結果が示されると、流量制御デバイス2、5、及び6は開かれ、試験流体は試験フィルターデバイスから第1の排出導管500及び第2の排出導管501を通って排出される。
【0035】
[0038]続いて、流量制御デバイス3は開かれ、流量制御デバイス6は閉じられ、ガスは、監視ユニットからシステムの残りの部分及び試験フィルターデバイス通気ポート及び第1の排出導管500を通って残留液体を除去する。
【0036】
[0039]様々なインターフェースシステム950が、本発明における使用に適している。典型的には、インターフェースシステムは、プリント回路基板、電源(代替的に、外部電源を使用することができる)、並びに流量制御デバイス(バルブ)コントローラ(別個に910として示す)及びセンサ/トランスデューサコントローラ、及び圧力レギュレータコントローラを含み、インターフェースシステムは、液体及びガスの流量、圧力、及び温度を制御し、監視する。
【0037】
[0040]様々なセンサ(例えば、温度センサ、流量センサ、圧力センサ、及び圧力トランスデューサ)、流れ制御デバイス(例えば、クランプ、逆流防止バルブ、空気圧作動バルブ、電磁バルブ、圧力リリーフバルブ)、及びコネクタ(Y又はTコネクタの形態の一体型、例えば3分岐コネクタ、及びクイックリリースコネクタを含む)は、本発明の態様での使用に適しており、当技術分野で知られている。
【0038】
[0041]試験を実行するための様々なフィルタ完全性試験機器が、本発明での使用に適している。典型的なフィルタ完全性試験機器は、ユーザインターフェースと、プログラムを有するコンピュータ可読媒体と、設定されたプログラム及びパラメータに従って測定値を較正するプログラムを実行するように構成されたプロセッサとを含む。所望の場合、プロセッサによって実行されるプログラムは、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され、プロセッサはデータを表示(出力)する。適切な例としては、Palltronic(登録商標)Flowstar IV フィルタ完全性試験機器及びPalltronic(登録商標)Flowstar V フィルタ完全性試験機器(ニューヨーク州、ポートワシントン、Pall Corporation)が挙げられる。
【0039】
[0042]市販の膜及びフィルターデバイスを含む、様々な多孔質及び微孔質の膜並びに膜を含むフィルターデバイス(例えば、少なくとも1つの通気ポートと、入口及び出口とを備え、入口と出口との間に流体流路を画定するハウジングを備えるフィルターデバイスであって、膜が流体流路を横切ってハウジング内に配置される、フィルターデバイス)は、本発明の態様による使用に適している。好ましくは、フィルターデバイスは、滅菌可能である。少なくとも1つの通気ポートと、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口とを提供する適切な形状の任意のハウジングが、使用されてもよい。本発明の態様は、例えばカプセルフィルタ及びバイオリアクタと共に使用される使い捨てベントフィルターデバイスのようなベントフィルターデバイスを含む、使い捨てフィルターデバイスに特に適している。
【0040】
[0043]市販の膜を含む様々な多孔質及び微孔質膜が、本発明の態様による使用に適している。好ましい膜には、多孔質及び微孔質のPVDF及びPTFE膜が含まれる。適切な膜としては、例えば、EMFLON(登録商標)II膜及びEMFLON(登録商標)PFR膜(ニューヨーク州、ポートワシントン、PallCorporation)が挙げられる。
【0041】
[0044]膜は、任意の適切な細孔構造、例えば(例えば、バブルポイントによって証明されるような、又は、例えば、米国特許第 4,340,479号明細書に説明されるようなKによる、又は毛細管凝縮フローポロメトリによって証明される)細孔サイズ、平均フロー細孔(MFP)サイズ(例えば、ポロメータ、例えば Porvair Porometer(Porvair plc,ノーフォーク、UK)又は商標POROLUX(Porometer.com;ベルギー)で入手可能なポロメータを使用して特徴付けられるとき)、細孔精度、細孔直径(例えば、米国特許第4,925,572号明細書に説明されているような修正OSU F2試験を使用して特徴付けられるとき)、又は除去評価媒体を有することができる。使用される細孔構造は、利用される粒子のサイズ、処理される流体の組成、及び処理される流体の所望の流出物レベルに依存する。
【0042】
[0045]当業者は、試験される膜に基づいて第1及び第2の所定の圧力及び時間期間を選択することができる。
【0043】
[0046]膜は、53ダイン/cm(53×10-5N/cm)未満の任意の所望の臨界湿潤表面張力(例えば、米国特許第4,925,572号明細書に定義されているCWST)を有することができる。CWSTは、当技術分野で知られているように、例えば、米国特許第5,152,905号明細書、同第5,443,743号明細書、同第5,472,621号明細書、及び同第6,074,869号明細書にさらに開示されているように選択することができる。典型的には、CWSTは、約20ダイン/cm(約20×10-5N/cm)から約40ダイン/cm(約40×10-5N/cm)の範囲内、好ましくは約22ダイン/cm(約22×10-5N/cm)から約35ダイン/cm(約35×10-5N/cm)の範囲内である。
【0044】
[0047]試験液(水)は、導電率が低く(例えば、約2~約3μS/cmの範囲)、脱イオン水又は注射用滅菌水であることができる。
【0045】
[0048]以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然ながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0046】
[0049]実施例1
この実施例は、本発明の態様に基づいて試験された欠損の無いPVDF微孔膜と欠損の有るPVDF微孔膜(ニューヨーク州、ポートワシントン、Pall Corporation)を含むフィルターデバイスの試験結果を実証する。EFAは380cmであり、細孔サイズは0.2μmであり(したがって、滅菌濾過を実現する)、CWSTは約30ダイン/cm(約30×10-5N/cm)である。
【0047】
[0050]膜は、試験液の上方の空気空間内の圧力降下又は直接ガス流を測定する従来の水侵入試験を使用して試験するには小さすぎる。
【0048】
[0051]低導電率を有する水で洗い流し、乾燥させた後、Palltronic(登録商標)Flowstar IV フィルタ完全性試験機器(ニューヨーク州、ポートワシントン、Pall Corporation)を使用して、以前に製造逆バブルポイント完全性試験に不合格だったPVDF膜を有する10個のデバイス、及びPVDF標準生産膜を有する4つのデバイスを試験し、デバイスは、底部(出口)から低導電率を有する水で満たされている。
【0049】
[0052]フィルタ完全性試験機器を使用して、1バールの圧力(第1の所定の圧力)を印可し、安定した圧力に達すると、ガスラインをクランプする。ガスラインをクランプした後で圧力を記録し、20分間にわたる液圧減衰曲線を収集されたデータからプロットする。フィルターデバイスは、圧力(第2の所定の圧力)が400秒で800mbarより大きい場合に試験に合格したとみなす。
【0050】
[0053]図3の圧力減衰トレースに示すように、20分(1200秒)後、4個の欠損の無い膜を有するデバイスの圧力(mBarG)は、約750~約850mBarGの範囲である。対照的に、いくつかの欠損の有る膜を有するデバイスでは、圧力は、約150~約1000秒で0mBarGであり、圧力はいずれの欠損の有る膜でも約350mBarGを超えなかった。
【0051】
[0054]この例は、欠損の無いPVDF膜及び欠損の有るPVDF膜を有するデバイス間に合格/不合格の限界を引くことができることを示している。
【0052】
[0055]実施例2
この実施例は、本発明の一態様による欠損の無いPTFE微多孔膜及び欠損の有るPTFE微多孔膜(ニューヨーク州、ポートワシントン、Pall Corporation)の試験結果を実証する。EFAは280cmであり、細孔サイズは0.2μmであり(したがって、滅菌濾過を実現する)、CWSTは約23ダイン/cm(約23×10-5N/cm)である。
【0053】
[0056]膜は、試験液の上方の空気空間内の圧力降下又は直接ガス流を測定する従来の水侵入試験を使用して試験するには小さすぎる。
【0054】
[0057]低導電率を有する水で洗い流し、乾燥させた後、Palltronic(登録商標)Flowstar IV フィルタ完全性試験機器(ニューヨーク州、ポートワシントン、Pall Corporation)を使用して、以前に製造逆バブルポイント完全性試験に不合格だったPTFE膜を有する10個のデバイス、及びPTFE標準生産膜を有する15個のデバイスを試験し、デバイスは、底部(出口)から低導電率を有する水で満たされている。
【0055】
[0058]フィルタ完全性試験機器を使用して、2.5バールの圧力(第1の所定の圧力)を印可し、安定した圧力に達すると、ガスラインをクランプする。ガスラインをクランプした後で圧力を記録し、20分間にわたる液圧減衰曲線を収集されたデータからプロットする。フィルターデバイスは、圧力(第2の所定の圧力)が400秒で1900mbarより大きい場合に試験に合格したとみなす。
【0056】
[0059]図4の圧力減衰トレースに示すように、20分(1200秒)後、欠損の無い膜を有する15個のデバイスの圧力(mBarG)は、約1750から約2400mBarGの範囲である。対照的に、いくつかの欠損の有る膜を有するデバイスでは、圧力は約1000秒で0mBarGであり、圧力はいずれの欠損の有る膜でも約1500mBarGを超えなかった。
【0057】
[0060]この例は、欠損の無いPTFE膜及び欠損の有るPTFE膜を有するデバイス間に合格/不合格の限界を引くことができることを示している。
【0058】
[0061]本明細書で引用する刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
[0062]本発明を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)用語「1つ(a)」及び「1つ(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つ(at least one)」及び同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を対象とすると解釈されるものである。「少なくとも1つ」という用語の後に1つ又は複数の項目のリスト(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)を使用することは、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、リストされた項目から選択された1つの項目(A又はB)、又はリストされた項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるものである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、別段明記しない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるものである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に参照する簡略化された方法として役立つことを意図するにすぎず、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に説明するすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく明らかにすることを意図するにすぎず、別段の請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中の言語は、請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0060】
[0063]本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい態様が、本明細書に説明される。これらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読むことで、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に説明する以外の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用される法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変形態及び同等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記で説明する要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【符号の説明】
【0061】
1…制御デバイス、2…流量制御デバイス、3…流量制御デバイス、4…流量制御デバイス、5…流量制御デバイス、6…流量制御デバイス、7…流量制御デバイス、20…圧力トランスデューサ、30…圧力トランスデューサ、40…第1の流量センサ、50…第2の流量センサ、60…温度センサ、100…試験液供給源導管、300…試験液導管、400…ガス導管、500…第1の排出導管、501…第2の排出導管、600…導管、700…フィルターデバイス、702…出口、710…フィルターデバイスハウジング、715A…通気ポート、715B…通気ポート、800…監視ユニット、900…制御ユニット、950…インターフェースユニット、1000…システム、2000…システム

図1
図2
図3
図4