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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240312BHJP
【FI】
G16H50/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022186100
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2018246890の分割
【原出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2023010860
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518192415
【氏名又は名称】Social Healthcare Design株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀ヶ谷 正信
(72)【発明者】
【氏名】西根 英一
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105433961(CN,A)
【文献】特開2003-044596(JP,A)
【文献】特開2018-113023(JP,A)
【文献】特開2017-196314(JP,A)
【文献】特開2015-171585(JP,A)
【文献】特開2014-230553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の情報端末に対して通信回線を介して接続されるサーバ装置において、
前記外部の情報端末から、被検者の肉体的健康に関する客観的データ、前記肉体的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答のデータ、前記肉体的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データ、前記被検者の精神的健康に関する客観的データ、前記被検者の精神的健康に関するアンケートに対する回答のデータ、精神的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データ、前記被検者の社会的健康に関する客観的データ、前記被検者の社会的健康に関するアンケートに対する回答のデータ、前記社会的健康に関するアンケートの回答に影響する被検者の人格的傾向データを受信する受信部と、
前記肉体的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく肉体的健康に関する主観的指数を前記肉体的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データに基づいて補正し、前記補正された肉体的健康に関する主観的指数と前記被検者の肉体的健康に関する客観的データに基づく前記被検者の肉体的健康に関する客観的指数とに基づいて現在の肉体的健康度を計算する第1計算処理部と、
前記精神的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく精神的健康に関する主観的数値を前記精神的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データに基づいて補正し、前記補正された精神的健康に関する主観的数値と前記被検者の精神的健康に関する客観的データに基づく前記被検者の精神的健康に関する客観的指数に基づいて現在の精神的健康度を計算する第2計算処理部と、
前記社会的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく社会的健康に関する主観的数値を前記社会的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データに基づいて補正し、前記補正された社会的健康に関する主観的数値と前記被検者の社会的健康に関する客観的データに基づく前記被検者の社会的健康に関する客観的指数に基づいて現在の社会的健康度を計算する第3計算処理部と、
前記現在の肉体的健康度、前記現在の精神的健康度及び前記現在の社会的健康度に基づいて、前記被検者の現在の総合健康度を計算する総合健康度計算処理部とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
外部の情報端末に対して通信回線を介して接続されるコンピュータを、
前記外部の情報端末から、被検者の肉体的健康に関する客観的データ、前記肉体的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答のデータ、前記肉体的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データ、前記被検者の精神的健康に関する客観的データ、前記被検者の精神的健康に関するアンケートに対する回答のデータ、精神的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データ、前記被検者の社会的健康に関する客観的データ、前記被検者の社会的健康に関するアンケートに対する回答のデータ、前記社会的健康に関するアンケートの回答に影響する被検者の人格的傾向データを受信する手段と、
前記肉体的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく肉体的健康に関する主観的指数を前記肉体的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データに基づいて補正し、前記補正された肉体的健康に関する主観的指数と前記被検者の肉体的健康に関する客観的データに基づく前記被検者の肉体的健康に関する客観的指数とに基づいて現在の肉体的健康度を計算する手段と、
前記精神的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく精神的健康に関する主観的数値を前記精神的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データに基づいて補正し、前記補正された精神的健康に関する主観的数値と前記被検者の精神的健康に関する客観的データに基づく前記被検者の精神的健康に関する客観的指数に基づいて現在の精神的健康度を計算する手段と、
前記社会的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく社会的健康に関する主観的数値を前記社会的健康に関するアンケートの回答に影響する前記被検者の人格的傾向データに基づいて補正し、前記補正された社会的健康に関する主観的数値と前記被検者の社会的健康に関する客観的データに基づく前記被検者の社会的健康に関する客観的指数に基づいて現在の社会的健康度を計算する手段と、
前記現在の肉体的健康度、前記現在の精神的健康度及び前記現在の社会的健康度に基づいて、前記被検者の現在の総合健康度を計算する手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の健康度を推定する情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の健康度(総合健康度)を推定する手法は様々存在する。従来の手法の大部分は、臨床検査結果を主として、食事、運動などの生活習慣や自覚症状を加味して部分的な健康度を推定するに留まっている。
【0003】
本来健康とはWHO(World Health Organization)の定義にある様に、肉体的な側面だけではなく、精神的な側面や社会的な側面も総合的に加味されるべきである。また、本来であれば病気か否かを判断する為だけではなく、健康的な未病段階の人も健康度を測定できる必要がある。こうした肉体的健康、精神的健康、社会的健康の3側面を総合的に考慮する点、健康から病気に至る段階も無段階に測定できる点を加味したものを「総合健康度」と定義するとき、信頼性の高い総合健康度を推定する手法は確立されていないのが現状である。
【0004】
また、自覚症状を得るには、被検者から様々な質問に対する回答を収集し、それら結果を解析する手法が一般的であるが、その回答過程には被検者の人格的傾向(パーソナリティ)や生活環境(ライフステージ)が大きく寄与すると考えられている。しかしながら、それら人格的傾向や生活環境に考慮して信頼性の高い健康度を推定する有効な手法が確立されていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目的は、被検者に関する総合健康度の推定方法の信頼性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る情報処理装置は、肉体的健康に関するアンケートに対する被検者の回答に基づく肉体的健康に関する主観的指数を前記被検者の人格的傾向に基づいて補正し、前記補正された肉体的健康に関する主観的指数及び前記被検者の肉体的健康に関する客観的指数に基づいて現在の肉体的健康度を計算する第1計算処理部と、精神的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく精神的健康に関する主観的数値を前記被検者の人格的傾向に基づいて補正し、前記補正された精神的健康に関する主観的数値及び前記被検者の精神的健康に関する客観的数値に基づいて現在の精神的健康度を計算する第2計算処理部と、社会的健康に関するアンケートに対する前記被検者の回答に基づく社会的健康に関する主観的数値を前記被検者の人格的傾向に基づいて補正し、前記補正された社会的健康に関する主観的数値及び前記被検者の社会的健康に関する客観的数値に基づいて現在の社会的健康度を計算する第3計算処理部と、前記現在の肉体的健康度、前記現在の精神的健康度及び前記現在の社会的健康度に基づいて、前記被検者の現在の総合健康度を計算する総合健康度計算処理部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は本実施形態に係るサーバ装置を含むシステムの全体構成図である。
図2図2図1のサーバ装置の構成図である。
図3図3は本実施形態による健康度の計算処理手順を示す図である。
図4図4図3の「現在の肉体的健康度」の計算処理手順を示す図である。
図5図5図3の工程S1,S2,S3で用いられる客観的データの一例を示す図である。
図6図6図4の工程S13、S15により集計される肉体的健康に関するアンケートの回答結果の集計表の一例を示す図である。
図7図7図1の情報端末に表示される、肉体的健康に関する自覚症状についてのアンケート画面例を示す図である。
図8図8図1の情報端末に表示される、肉体的健康に関するパーソナリティについてのアンケート画面例を示す図である。
図9図9図4の各工程で定量化のために用いられる各種換算テーブルの一例を示す図である。
図10図10図3の「現在の精神的健康度」の計算処理手順を示す図である。
図11図11図10の工程S22,S24,S26により集計される精神的健康に関するアンケートの回答結果の集計表の一例を示す図である。
図12図12図1の情報端末に表示される、精神的健康に関する自覚症状についてのアンケート画面例を示す図である。
図13図13図1の情報端末に表示される、精神的健康に関するパーソナリティについてのアンケート画面例を示す図である。
図14図14図1の情報端末に表示される、精神的健康に関する生活環境についてのアンケート画面例を示す図である。
図15図15図10の各工程で定量化のために用いられる各種換算テーブルの一例を示す図である。
図16図16図3の「現在の社会的健康度」の計算処理手順を示す図である。
図17図17図16の工程S32,S34,S36により集計される社会的健康に関するアンケートの回答結果の集計表の一例を示す図である。
図18図18図1の情報端末に表示される、社会的健康に関する自覚症状についてのアンケート画面例を示す図である。
図19図19図1の情報端末に表示される、社会的健康に関するパーソナリティについてのアンケート画面例を示す図である。
図20図20図1の情報端末に表示される、社会的健康に関する生活環境についてのアンケート画面例を示す図である。
図21図21図16の各工程で定量化のために用いられる各種変換算テーブルの一例を示す図である。
図22図22図3の「提示用の理想の総合健康度」の計算処理手順を示す図である。
図23図23図3の工程S5で用いられる肉体的健康度、精神的健康度、社会的健康度、総合健康度に対する満足度の集計表の一例を示す図である。
図24図24図1の情報端末に表示される、現在の肉体的健康度、現在の精神的健康度、現在の社会体健康度、現在の総合健康度に対する満足度のアンケート画面例を示す図である。
図25図25図3の工程S5における「提示用の理想の総合健康度」の計算処理に用いられる重み係数決定のための認知特性傾向に関するアンケートの集計表の一例を示す図である。
図26図26図1の情報端末に表示される、認知特性傾向についてのアンケート画面例を示す図である。
図27図27図26のアンケート回答結果から認知特性傾向に関する重み係数の決定のために用いられる各種変換テーブルの一例を示す図である。
図28図28図3の工程S5による現在の総合健康度、理想の総合健康度の計算結果を示す図である。
図29図29図3の工程S5で計算された現在の総合健康度、理想の総合健康度の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るサーバ装置について説明する。
図1に示すように、被検者の健康度を推定するサーバ装置10(以下、健康度推定サーバ装置10という)に対して、被検者が所持するスマートフォン等の携帯型情報端末20(以下、単に情報端末20という)がインターネット等のネットワーク回線90を介して、相互にデータを送受信可能に接続される。
【0009】
健康度推定サーバ装置10から情報端末20には、各種アンケートデータが提供される。これにより情報端末20には、健康度を推定するために必要な被検者の主観的データを収集するための各種アンケート画面が表示される。
【0010】
情報端末20から健康度推定サーバ装置10には、アンケートに対する回答結果、肉体的健康に関わる客観的データ、精神的健康に関わる客観的データ及び社会的健康に関わる客観的データが提供される。これにより、健康度推定サーバ装置10は、情報端末20から提供された各種データに基づいて、被検者の現在の総合健康度及び理想の総合健康度を推定し、この推定結果を情報端末20に提供する。
【0011】
情報端末20に対して、体重計40などの被検者の肉体的健康に関わる客観的データを収集する装置が接続される。体重計40により計測された被検者の体重データは、情報端末20を介して健康度推定サーバ装置10に送信される。なお、被検者の肉体的健康に関わる客観データとして、心拍数データや血圧データなどが用いられてもよい。
【0012】
また、情報端末20には、感情センサ50などの被検者の精神的健康に関わる客観的データを収集する装置が接続される。感情センサ50は、例えば、腕時計型であって、被検者の発汗量、心拍数を収集する。感情センサ50により収集された被検者の発汗量データと心拍数データは、情報端末20を介して感情推定サーバ装置80に送信される。感情推定サーバ装置80は、受信した被検者の発汗量データと心拍数データとに基づいて、被検者の精神的健康状態を感情値に数値化し、感情値に関するデータを情報端末20に返信する。情報端末20は、感情推定サーバ装置80により推定された感情値に関するデータを健康度推定サーバ装置10に送信する。
【0013】
なお、被検者の精神的健康の程度を数値化できるのであれば、数値化に用いる被検者のデータは上記に限定されない。例えば、情報端末20に装備されているマイクにより収集された被検者の音声データに基づいて、被検者の音声状態を感情値に数値化するようにしてもよいし、情報端末20に装備されているカメラにより収集された被検者の顔画像データに基づいて、被検者の表情を感情値に数値化するようにしてもよい。もちろん、これらの手法を任意に組み合わせて被検者の感情値を推定することもできる。
【0014】
図2に示すように、健康度推定サーバ装置10は、プロセッサ11を有する。プロセッサ11には、データ・制御バス19を介して、各装置が接続される。プロセッサ11は例えばCPU(Central Processing Unit)、及びGPU(Graphics Processing Unit)により構成され、メモリ13に記憶された各種プログラムを実行して様々な処理機能を実現する。メモリ13は、プロセッサ11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。プロセッサ11は、処理の実行に際して必要なプログラム等をHDD,SSID及びROM等からなる記憶装置17からメモリ13にロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種機能を実現する。記憶装置17は、プロセッサ11により実行されるBIOS(Basic Input Output System)やオペレーティングシステムプログラムの他に、以下のようなデータを記憶する。
【0015】
記憶装置17には、理想の総合健康度の推定プログラムのデータが記憶されている。また、記憶装置17には、理想の総合健康度の推定処理過程で用いられる各種変換テーブルデータが記憶されている。また、記憶装置17には、現在の総合健康度の推定元となる肉体的健康、精神的健康及び社会的健康に関わる被検者の主観的データ、人格的傾向データ及び生活環境(ライフステージ)データを収集するためのアンケートデータと、そのアンケートに対する被検者の回答データとが記憶されている。また、現在の各健康度に対する満足度に関するアンケートデータと、そのアンケートに対する被検者の回答データとが記憶されている。さらに、理想の肉体的健康度、理想の精神的健康度、及び理想の社会的健康度から提示用の理想の総合健康度を推定する計算処理で用いられる、被検者の直感度及び論理度(認知特性傾向)に関わるアンケートデータと、そのアンケートに対する被検者の回答データとが記憶されている。さらに、記憶装置17には、現在の総合健康度の推定元となる肉体的健康、精神的健康及び社会的健康に関わる被検者の客観的データが記憶されている。
【0016】
通信装置15は、ネットワーク回線90を介して外部の情報端末20との通信を制御する。例えば、通信装置15は、記憶装置17に記憶されている各種アンケートデータを情報端末20に送信し、アンケートに対する回答データを情報端末20から受信する。
【0017】
図3は、理想の総合健康度の推定処理の概要手順を示している。概要手順において、最初に、被検者から提供された各種データに基づいて現在の肉体的健康度と現在の精神的健康度と現在の社会的健康度と計算される。次に、計算された現在の肉体的健康度と現在の精神的健康度と現在の社会的健康度とに基づいて現在の総合健康度が計算される。最後に、計算された現在の総合健康度に基づいて理想の総合健康度が計算される。
具体的には、現在の肉体的健康度は、客観的な肉体的健康度(肉体的健康に関する客観的指数)と、主観的な肉体的健康度(肉体的健康に関する回答指数)と、肉体的健康に関わるパーソナリティ指数(肉体的健康に関する人格的傾向指数)とに基づいて計算される(S1)。
【0018】
現在の精神的健康度は、客観的な精神的健康度(精神的健康に関する客観的指数)と、主観的な精神的健康度(精神的健康に関する回答指数)と、精神的健康に関わるパーソナリティ指数(精神的健康に関する人格的傾向指数)と、精神的健康に関わる環境指数(精神的健康に関する生活環境指数)とに基づいて計算される(S2)。
【0019】
現在の社会的健康度は、客観的な社会的健康度(社会的健康に関する客観的指数)と、主観的な社会的健康度(社会的健康に関する回答指数)と、社会的健康に関わるパーソナリティ指数(社会的健康に関する人格的傾向指数)と、社会的健康に関わる環境指数(社会的健康に関する生活環境指数)とに基づいて計算される(S3)。
【0020】
現在の総合健康度は、現在の肉体的健康度と、現在の精神的健康度と、現在の社会的健康度とに基づいて計算される(S4)。
【0021】
被検者への提示用の理想の総合健康度(第3理想総合健康度)は、被検者の現在の総合健康度及び現在の総合健康度に対する被検者の満足度と、被検者の現在の肉体的健康度及び現在の肉体的健康度に対する被検者の満足度と、被検者の現在の精神的健康度及び現在の精神的健康度に対する被検者の満足度と、被検者の現在の社会的健康度及び現在の社会的健康度に対する被検者の満足度と、被検者の認知特性傾向に応じた重み係数(ウエイト)とに基づいて計算される(S5)。
【0022】
以下、「現在の肉体的健康度の推定処理」と「現在の精神的健康度の推定処理」と「現在の社会的健康度の推定処理」と「提示用の理想の総合健康度の推定処理」との詳細について個別に説明する。
【0023】
以下、図3の「現在の肉体的健康度」の推定処理について、図4乃至図9を参照して説明する。
【0024】
最初に、現在の肉体的健康度を推定するために必要な各種データ、各種データを収集するためのアンケート画面について図5乃至図8を参照して説明する。
図5に示すように、健康度推定サーバ装置10には、客観的な肉体的健康度を推定するために必要な客観的データとして、被検者の性別、年齢、身長及び体重に関するデータが被検者IDに関連付けて記憶されている。
【0025】
また、図6に示すように、健康度推定サーバ装置10には、主観的な肉体的健康度を推定するために必要な主観的データとして、肉体的健康に関わる自覚症状についてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。回答データは、情報端末20に表示された肉体的健康に関わる自覚症状についてのアンケート画面を介して被検者により入力される。図7に示すように、肉体的健康に関わる自覚症状についてのアンケートには、実際に肉体的に現われている症状、例えば「胃腸の不調」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、凡例に記述されている回答方法に従って、アンケート項目に対する回答値を回答欄に入力する。例えば、被検者は、アンケート項目「胃腸の不調」に対して「深刻に悩まされている」場合は回答欄に「5」を入力し、「全く悩まされていない」場合は「1」を入力する。
【0026】
さらに、図6に示すように、健康度推定サーバ装置10には、肉体的健康に関わる被検者のパーソナリティ指数を推定するために必要な人格的傾向データとして、肉体的健康に関わるパーソナリティについてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。人格的傾向データは、情報端末20に表示された肉体的健康に関わるパーソナリティについてアンケート画面を介して被検者により入力される。肉体的健康に関わるパーソナリティは「神経質」と「詳細度」とに分けられる。図8に示すように、肉体的健康に関わるパーソナリティについてのアンケートは、パーソナリティ「神経質」についての複数のアンケート項目と、パーソナリティ「詳細度」についての複数のアンケート項目とが含まれる。パーソナリティ「神経質」についてのアンケート項目には、「心配性でうろたえやすいと思う」などのアンケート項目が含まれる。パーソナリティ「詳細度」に関わる複数のアンケート項目には、「細部にこだわる」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、アンケート項目毎に設けられた凡例に記述されている回答方法に従って、アンケート項目に対する回答値を回答欄に入力する。
【0027】
次に現在の肉体的健康度の推定手順について図4図9を参照して説明する。現在の肉体的健康度は、客観的な肉体的健康度、主観的な肉体的健康度、及び主観的な肉体的健康度を補正するための補正係数としてパーソナリティ指数に基づいて計算される。
【0028】
図4に示すように、まず、客観的な肉体的健康度が計算される。客観的な肉体的健康度は、肉体的健康に関する客観的データに基づいて計算される。具体的には、被検者の身長と体重とに基づいて、BMI(Body Mass Index)が計算される(S11)。BMIは、被検者の肥満度を表す体格指数である。計算されたBMIは、図9(b)に示す換算テーブルを用いて、客観的な肉体的健康度に換算(定量化)される(S12)。典型的には、記憶装置には、性別毎、年齢毎に複数の換算テーブルが記憶されている。工程S12の換算処理に用いられる換算テーブルは、被検者の性別、年齢に基づいて、複数の換算テーブルから選択される。
【0029】
次に、主観的な肉体的健康度が計算される。主観的な肉体的健康度は回答データに基づいて計算される。具体的には、肉体的健康に関わる自覚症状に関するアンケートに対する回答データが集計される(S13)。この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値が割り当てられる。例えば、回答データ「5」には数値の「5」が割り当てられ、回答データ「1」には数値の「1」が割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値が、図9(c)に示すパーセンタイルを用いて、主観的な肉体的健康度を表すパーセンタイル値に換算(定量化)される(S14)。
【0030】
次に、パーソナリティ指数が計算される。パーソナリティ指数は肉体的健康に関わる人格的傾向データに基づいて計算される。具体的には、肉体的健康に関わる人格的傾向データとして、肉体的健康に関わるパーソナリティに関するアンケートに対する回答データが集計される(S15)。主観的な肉体的健康度と同様、この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値が割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値がパーソナリティ指数に換算される(S16)。さらに詳細には、パーソナリティ「神経質」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が、図9(d)に示すパーセンタイルを用いて神経質指数を表すパーセンタイル値に換算される。同様に、パーソナリティ「詳細度」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が図9(e)に示すパーセンタイルを用いて詳細度指数を表すパーセンタイル値に換算される。そして、神経質指数を表すパーセンタイル値と詳細度指数を表すパーセンタイル値とを合算した合算値が図9(f)に示す換算テーブルを用いてパーソナリティ指数に換算される。
【0031】
最後に、現在の肉体的健康度が計算される。例えば、現在の肉体的健康度の計算式は、式(1)で表すことができる。
現在の肉体的健康度={(客観的な肉体的健康度)
+(主観的な肉体的健康度)×(パーソナリティ指数)}÷2・・(1)
すなわち、工程S14で得られた主観的な肉体的健康度が工程S16で得られたパーソナリティ指数により補正され、補正された主観的な肉体的健康度と工程S12で得られた客観的な肉体的健康度とを合算し、平均を取ることで現在の肉体的健康度を推定することができる。推定された現在の肉体的健康度は、図9(a)に示すパーセンタイルを用いてパーセンタイル値に数値化される(S17)。
【0032】
現在の肉体的健康度の推定処理の1つの特徴は、現在の肉体的健康度の推定処理に客観的な肉体的健康度と主観的な肉体的健康度とを用いる点にある。客観的な肉体的健康度は、体重計、身長計などの計測器により計測される客観的データに基づいて計算される。主観的な肉体的健康度は、肉体的健康に関わる自覚症状についてのアンケートに対する被検者の回答データに基づいて計算される。例えば、実際の日常生活において、計測器の数値として現われていないが自覚症状として体調が悪い場合や、自覚症状として現われていないが計測器の数値としては体調が悪くてもおかしくない場合がある。自覚症状だけ又は計測器の数値だけで肉体的健康度を推定する場合、上記の2つの場合のうち、いずれか一方は健康と推定されてしまう。本実施形態のように、式(1)を用いることにより、自覚症状と計測器の数値とを加味した肉体的健康度を推定することができる。すなわち、式(1)を用いて計算した現在の肉体的健康度の信頼性は、客観的な肉体的健康度だけ又は主観的な肉体的健康度だけから計算した現在の肉体的健康度に比べて高い。
【0033】
現在の肉体的健康度の推定処理の他の特徴は、主観的な肉体的健康度を被検者のパーソナリティ指数で補正する点にある。客観的データに基づく客観的な肉体的健康度は、被検者の人格的傾向によって変化するものではないが、アンケートの回答結果に基づく主観的な肉体的健康度は、被検者の人格的傾向によって変化してしまう。これは、肉体的健康に関するアンケートの回答に被検者の人格的傾向が影響するためである。例えば、被検者が神経質な人格であれば、自覚症状に対して厳しく判断をして回答する可能性があり、被検者が神経質ではない人格であれば、自覚症状に対して甘い判断をして回答する可能性がある。しかしながら、主観的な肉体的健康度を被検者のパーソナリティ指数で補正することで、アンケートの回答に影響を与えている被検者の人格的傾向を除去又は低減することができる。つまり、式(1)を用いて計算した現在の肉体的健康度の信頼性は、被検者のパーソナリティ指数を用いる補正を実施していない場合に比べて高い。
【0034】
また、現在の肉体的健康度の推定処理において、被検者の客観的データだけではなく、被検者の自覚症状やパーソナリティなど、様々な種類のアンケートに対して被検者が実際に回答した回答データを考慮しているため、式(1)を用いて推定された現在の肉体的健康度に対する被検者の納得度は高い。すなわち、被検者の納得度という観点においても、現在の肉体的健康度の推定処理は信頼性が高いといえる。
【0035】
以下、図3の「現在の精神的健康度」の推定処理について、図5図10乃至図15を参照して説明する。
【0036】
最初に、現在の精神的健康度を推定するために必要な各種データ、各種データを収集するためのアンケート画面について図5図11乃至図14を参照して説明する。
図5に示すように、健康度推定サーバ装置10には、客観的な精神的健康度を推定するために必要な客観的データとして、被検者の感情値に関するデータが被検者IDに関連付けて記憶されている。
【0037】
また、図11に示すように、健康度推定サーバ装置10には、主観的な精神的健康度を推定するために必要な主観的データとして、精神的健康に関わるアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。回答データは、情報端末20に表示された精神的健康に関わるアンケート画面を介して被検者により入力される。図12に示すように、精神的健康に関わるアンケートには、例えば「休養があまり取れていない」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、凡例に記述されている回答方法に従って、アンケート項目に対する回答値を回答欄に入力する。例えば、被検者は、アンケート項目「休養があまり取れていない」に対して、「深刻に悩まされている」場合は回答欄に「5」を入力し、「全く悩まされていない」場合は「1」を入力する。
【0038】
また、図11に示すように、健康度推定サーバ装置10には、精神的健康に関わる被検者のパーソナリティ指数を推定するために必要な人格的傾向データとして、精神的健康に関わるパーソナリティについてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。人格的傾向データは、情報端末20に表示された精神的健康に関わるパーソナリティについてアンケート画面を介して被検者により入力される。精神的健康に関わるパーソナリティは「感情察知」と「自己効力」とに分けられる。図13に示すように、アンケートには、パーソナリティ「感情察知」についての複数のアンケート項目と、パーソナリティ「自己効力」についての複数のアンケート項目とが含まれる。パーソナリティ「感情察知」についての複数のアンケート項目には、「感情的になった時でも自分がどう感じているかわかっている」などのアンケート項目が含まれる。パーソナリティ「自己効力」に関わる複数のアンケート項目には、「自分の能力をわきまえ、イエス、ノーをはっきり言える」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、凡例に記述されている回答方法に従って、アンケート項目に対する回答値を回答欄に入力する。
【0039】
さらに、図11に示すように、健康度推定サーバ装置10には、精神的健康に関わる被検者の生活環境指数を推定するために必要な生活環境データとして、精神的健康に関わる生活環境についてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。生活環境データは、情報端末20に表示された精神的健康に関わる生活環境についてアンケート画面を介して被検者により入力される。図14に示すように、精神的健康に関わる生活環境についての複数のアンケート項目には、例えば「自分の収入源についてどういう状況ですか?」が含まれている。例えば、「自分の収入源についてどういう状況ですか?」というアンケート項目に対して、「無収入」であれば「3」、「不安定」であれば「2」、「安定収入」であれば「1」を回答欄に入力するように構成されている。
【0040】
次に現在の精神的健康度の推定手順について図10図15を参照して説明する。現在の精神的健康度は、客観的な精神的健康度、主観的な精神的健康度、主観的な精神的健康度を補正するための補正係数としてパーソナリティ指数、及び現在の精神的健康度を補正するための補正係数としての生活環境指数に基づいて計算される。
【0041】
図10に示すように、まず、客観的な精神的健康度が計算される。客観的な精神的健康度は、精神的健康に関する客観的データに基づいて計算される。具体的には、被検者の感情値が、図15(b)に示すパーセンタイルを用いて、客観的な精神的健康度を表すパーセンタイル値に換算される(S21)。
【0042】
次に、主観的な精神的健康度が計算される。主観的な精神的健康度は、回答データに基づいて計算される。具体的には、精神的健康に関わるアンケートに対する回答データが集計される(S22)。この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。例えば、回答データ「5」には数値の「5」が割り当てられ、回答データ「1」には数値の「1」が割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値が、図15(c)に示すパーセンタイルを用いて、主観的な精神的健康度を表すパーセンタイル値に換算される(S23)。
【0043】
次に、パーソナリティ指数が計算される。パーソナリティ指数は、被検者の精神的健康に関する人格的傾向データに基づいて計算される。具体的には、精神的健康に関わるパーソナリティに関するアンケートに対する回答データが集計される(S24)。主観的な精神的健康度と同様、この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値がパーソナリティ指数に換算される(S25)。さらに詳細には、パーソナリティ「感情察知」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が、図15(d)に示すパーセンタイルを用いて感情察知指数を表すパーセンタイル値に換算される。同様に、パーソナリティ「自己効力」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が図15(e)に示すパーセンタイルを用いて自己効力指数を表すパーセンタイル値に換算される。そして、感情察知指数を表すパーセンタイル値と自己効力指数を表すパーセンタイル値とを合算した合算値が図15(f)に示す換算テーブルを用いてパーソナリティ指数に換算される。
【0044】
次に、生活環境指数が計算される。精神的健康に関する生活環境指数は、被検者の精神的健康に関する生活環境データに基づいて計算される。具体的には、精神的健康に関わる生活環境に関するアンケートに対する回答データが集計される(S26)。主観的な精神的健康度と同様、この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値が、図15(g)に示すパーセンタイルを用いて、精神的健康に関する生活環境指数を表すパーセンタイル値に換算される(S27)。
【0045】
最後に、現在の精神的健康度が計算される。現在の精神的健康度は、客観的な精神的健康度と、主観的な精神的健康度と、精神的健康に関する被検者のパーソナリティ指数と、精神的健康に関する被検者の生活環境指数に基づいて計算される。
【0046】
例えば、現在の精神的健康度の計算式は、式(2)で表すことができる。
現在の精神的健康度
={(客観的な精神的健康度)
+(主観的な精神的健康度)×(精神的健康に関するパーソナリティ指数)}÷2
×(精神的健康に関する生活環境指数)・・・・・・・・(2)
すなわち、工程S23で得られた主観的な精神的健康度が工程S25で得られた精神的健康に関するパーソナリティ指数により補正され、補正された主観的な精神的健康度と工程S21で得られた客観的な精神的健康度と合算し、平均を取ることで現在の精神的健康度を推定することができる。さらに、現在の精神的健康度は工程S27で得られた精神的健康に関する生活環境指数により補正される。補正された現在の肉体的健康度は、図15(a)に示すパーセンタイルを用いてパーセンタイル値に数値化される(S27)。
【0047】
現在の精神的健康度の推定処理は、現在の肉体的健康度の推定処理と同様の特徴を備える。すなわち、現在の精神的健康度の推定処理の1つの特徴は、現在の精神的健康度の推定処理に客観的な精神的健康度と主観的な精神的健康度とを用いる点にある。例えば、実際の日常生活において、計測器の数値として現われていないが実際には精神的に疲れている場合や、実際の感覚的には緊張状態が続いていて精神的に疲れていないがセンサ装置の計測値としては精神的に疲れている場合がある。このような場合であっても、式(2)を用いることにより、被検者の感覚とセンサ装置の計測値とを加味した精神的健康度を推定することができ、被検者の感覚だけ又はセンサ装置の計測値だけから計算した現在の精神的健康度に比べて信頼性が高い。
【0048】
現在の精神的健康度の推定処理の他の特徴は、主観的な精神的健康度を被検者のパーソナリティ指数で補正する点にある。例えば、被検者が自身の感情をよく把握できていないのであれば、実際の精神的健康度を適切に判断して回答していない可能性がある。このように、精神的健康に関するアンケートの回答に被検者の人格的傾向が影響するため、アンケートの回答結果に基づく主観的な精神的健康度は、被検者の人格的傾向によって変化してしまう。しかしながら、式(2)を用いることにより、主観的な精神的健康度を被検者のパーソナリティ指数で補正することで、アンケートの回答に影響を与えている被検者の人格的傾向を除去又は低減することができる。つまり、式(2)を用いて計算した現在の精神的健康度の信頼性は、被検者のパーソナリティ指数を用いる補正を実施していない場合に比べて高い。
【0049】
現在の精神的健康度の推定処理の他の特徴は、計算した現在の精神的健康度を被検者の生活環境指数で補正する点にある。この特徴は、現在の肉体的健康度の推定処理にはない。例えば、補正前の現在の精神的健康度が同一の2人の被検者がいると仮定する。一方の被検者Aは収入源が不安定だけれども独身であり親の介護が必要ない。他方の被検者Bは収入源が不安定で2人の子供がいて親の介護も必要である。このような場合、精神的健康度、被検者Bは被検者Aに比べて子供及び親に対する責任が大きく、精神的負担が大きい。したがって、補正前の現在の精神的健康度が同一であっても、被検者Bは被検者Aに比べて精神的負担が大きいはずであるから、被検者Bの現在の精神的健康度は、被検者Aの現在の精神的健康度に比べて低くなるように補正されるべきである。式(2)のように、計算した現在の精神的健康度を被検者の生活環境指数で補正することで、被検者の生活環境(ライフステージ)をも考慮することができる。つまり、式(2)を用いて計算した現在の精神的健康度の信頼性は、被検者の生活環境指数を用いない場合に比べて高い。
【0050】
また、現在の精神的健康度の推定処理は、既に説明した現在の肉体的健康度の推定処理と同様に、被検者の客観的データだけではなく、被検者の現在状況やパーソナリティ、生活環境など、様々な種類のアンケートに対して被検者が実際に回答した回答データを考慮しているため、式(2)を用いて推定された現在の精神的健康度に対する被検者の納得度は高い。すなわち、被検者の納得度という観点においても、現在の精神的健康度の推定処理は信頼性が高いといえる。
【0051】
以下、図3の「現在の社会的健康度」の推定処理について、図16乃至図21を参照して説明する。
【0052】
最初に、現在の社会的健康度を推定するために必要な各種データ、各種データを収集するためのアンケート画面について図5図17乃至図20を参照して説明する。
図5に示すように、健康度推定サーバ装置10には、客観的な社会的健康度を推定するために必要な客観的データとして、被検者のSNS(Social Networking Service)返答数に関するデータが被検者IDに関連付けて記憶されている。例えば、SNS返答数データは、SNSの投稿頻度とその返答の書き込み頻度に応じて算出される。第三者の書き込みに対する被検者の返答の回数であってもよい。社会的健康度に関わる被検者の客観的データとして、被検者のメールの回数、被検者のチャットの使用時間、インターネット上の友人の数などを用いてもよい。
【0053】
また、図17に示すように、健康度推定サーバ装置10には、主観的な社会的健康度を推定するために必要な主観的データとして、社会的健康に関わるアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。回答データは、情報端末20に表示された社会的健康に関わるアンケート画面を介して被検者により入力される。図18に示すように、社会的健康に関わるアンケートには、例えば「相談できる人がいない」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、凡例に記述されている回答方法に従って、アンケート項目に対する回答値を回答欄に入力する。例えば、被検者は、アンケート項目「相談できる人がいない」に対して、「深刻に悩まされている」場合は回答欄に「5」を入力し、「満たされており問題ない」場合は「1」を入力する。
【0054】
また、図17に示すように、健康度推定サーバ装置10には、社会的健康に関わる被検者のパーソナリティ指数を推定するために必要な人格的傾向データとして、社会的健康に関わるパーソナリティについてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。社会的健康に関わる人格的傾向データは、情報端末20に表示された社会的健康に関わるパーソナリティについてアンケート画面を介して被検者により入力される。図19に示すように、社会的健康に関わるパーソナリティは「人づきあい」と「集団指導」とに分ける。社会的健康に関わるパーソナリティについてアンケートには、パーソナリティ「人づきあい」に関する複数のアンケート項目と、パーソナリティ「集団指導」に関する複数のアンケート項目とが含まれる。パーソナリティ「人づきあい」に関するアンケートには、「苦手な人ともうちとける事ができる」などのアンケート項目が含まれる。パーソナリティ「集団指導」に関わるアンケートには、「みんなを引っ張っていくことができる」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、凡例に記述されている回答方法に従って、アンケート項目に対する回答値を回答欄に入力する。
【0055】
さらに、図17に示すように、健康度推定サーバ装置10には、社会的健康に関わる被検者の生活環境指数を推定するために必要な生活環境データとして、社会的健康に関わる生活環境についてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。生活環境データは、情報端末20に表示された社会的健康に関わる生活環境についてアンケート画面を介して被検者により入力される。図20に示すように、社会的健康に関わる生活環境についてのアンケートには、例えば「結婚していますか?」などのアンケート項目が含まれている。例えば、被検者は、アンケート項目「結婚していますか?」に対して、「既婚」であれば「3」、「未婚」であれば「1」を回答欄に入力する。
【0056】
次に現在の社会的健康度の推定手順について図16図21を参照して説明する。現在の社会的健康度は、客観的な社会的健康度、主観的な社会的健康度、主観的な社会的健康度を補正するための補正係数としてパーソナリティ指数、及び現在の社会的健康度を補正するための補正係数としての生活環境指数に基づいて計算される。
【0057】
図16に示すように、まず、客観的な社会的健康度が計算される。客観的な社会的健康度は、社会的健康に関する客観的データに基づいて計算される。具体的には、被検者のSNSの返答数が、図21(b)に示すパーセンタイルを用いて、客観的な社会的健康度を表すパーセンタイル値に換算される(S31)。
【0058】
次に、主観的な社会的健康度が計算される。主観的な社会的健康度は、社会的健康に関するアンケートに対する回答データに基づいて計算される。具体的には、社会的健康に関わるアンケートに対する回答データが集計される(S32)。この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。例えば、回答データ「5」には数値の「5」が割り当てられ、回答データ「1」には数値の「1」が割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値が、図21(c)に示すパーセンタイルを用いて、主観的な社会的健康度を表すパーセンタイル値に換算される(S33)。
【0059】
次に、パーソナリティ指数が計算される。パーソナリティ指数は、被検者の社会的健康に関する人格的傾向データに基づいて計算される。具体的には、社会的健康に関わるパーソナリティに関するアンケートに対する回答データが集計される(S34)。主観的な社会的健康度と同様、この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値がパーソナリティ指数に換算される(S35)。さらに詳細には、パーソナリティ「人づきあい」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が、図21(d)に示すパーセンタイルを用いて人づきあい指数を表すパーセンタイル値に換算される。同様に、パーソナリティ「集団指導」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が図21(e)に示すパーセンタイルを用いて集団指導指数を表すパーセンタイル値に換算される。そして、人づきあい指数を表すパーセンタイル値と集団指導指数を表すパーセンタイル値とを合算し、合算値が図21(f)に示す換算テーブルを用いてパーソナリティ指数に換算される。
【0060】
次に、生活環境指数が計算される。社会的健康に関する生活環境指数は、被検者の社会的健康に関する生活環境データに基づいて計算される。具体的には、社会的健康に関わる生活環境に関するアンケートに対する回答データが集計される(S36)。主観的な社会的健康度と同様、この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値が、図21(g)に示すパーセンタイルを用いて、社会的健康に関する生活環境指数を表すパーセンタイル値に換算される(S37)。
【0061】
最後に、現在の社会的健康度が計算される。現在の社会的健康度は、客観的な社会的健康度と、主観的な社会的健康度と、社会的健康に関する被検者のパーソナリティ指数と、社会的健康に関する被検者の生活環境指数に基づいて計算される。
【0062】
例えば、現在の社会的健康度の計算式は、式(3)で表すことができる。
現在の社会的健康度
={(客観的な社会的健康度)
+(主観的な社会的健康度)×(社会的健康に関するパーソナリティ指数)}÷2
×(社会的健康に関する生活環境指数)・・・・・・・・(3)
すなわち、工程S33で得られた主観的な社会的健康度が工程S35で得られた社会的健康に関するパーソナリティ指数により補正され、補正された主観的な社会的健康度と工程S31で得られた客観的な社会的健康度と合算し、平均を取ることで現在の社会的健康度を推定することができる。さらに、現在の社会的健康度は工程S37で得られた社会的健康に関する生活環境指数により補正される。補正された現在の肉体的健康度は、図21(a)に示すパーセンタイルを用いてパーセンタイル値に数値化される(S27)。
【0063】
現在の社会的健康度の推定処理は、現在の精神的健康度の推定処理と同様の特徴を備える。すなわち、現在の社会的健康度の推定処理の1つの特徴は、現在の社会的健康度の推定処理に客観的な社会的健康度と主観的な社会的健康度とを用いる点にある。例えば、実際の日常生活において、SNSの利用をほとんどしていないが、実際には社会的な様々なコミュニティーに積極的に取り組んでいる場合や、SNSを頻繁に利用しているが、実際には社会的な様々なコミュニティーに全く参加していない場合がある。このような場合であっても、式(3)を用いることにより、インターネット上の仮想的な社会的な活動と実際の社会的な活動とを加味した社会的健康度を推定することができ、仮想的な社会的活動だけ又は実際の社会的活動だけで評価する場合に比べて、信頼性が高い現在の社会的健康度を得られる。
【0064】
現在の社会的健康度の推定処理の他の特徴は、主観的な社会的健康度を被検者のパーソナリティ指数で補正する点にある。例えば、被検者が元々対人関係が不得意であったり、リーダーシップを取るのが苦手であれば、アンケートに対して消極的に回答している可能性がある。このように、社会的健康に関するアンケートの回答に被検者の人格的傾向が影響するため、アンケートの回答結果に基づく主観的な社会的健康度は、被検者の人格的傾向によって変化してしまう。しかしながら、式(3)を用いることにより、主観的な社会的健康度を被検者のパーソナリティ指数で補正することで、アンケートの回答に影響を与えている被検者の人格的傾向を除去又は低減することができる。つまり、式(3)を用いて計算した現在の社会的健康度の信頼性は、被検者のパーソナリティ指数を用いる補正を実施していない場合に比べて高い。
【0065】
現在の社会的健康度の推定処理の他の特徴は、計算した現在の社会的健康度を被検者の生活環境指数で補正する点にある。この特徴は、現在の肉体的健康度の推定処理にはない。例えば、補正前の現在の社会的健康度が同一の2人の被検者がいると仮定する。一方の被検者Aは結婚していて社会的なコミュニティーにおいて明確な役割が与えられている。他方の被検者Bは独身で社会的なコミュニティーにおいて役割が与えられていない。このような場合、被検者Aは被検者Bに比べて社会的な所属欲求は満たされている。したがって、補正前の現在の社会的健康度が同一であっても、被検者Aの現在の社会的健康度は、被検者Bの現在の社会的健康度に比べて高い、健康的であると補正されるべきである。式(3)のように、計算した現在の社会的健康度を被検者の生活環境指数で補正することで、被検者の生活環境をも考慮することができる。つまり、式(3)を用いて計算した現在の社会的健康度の信頼性は、被検者の生活環境指数を用いない場合に比べて高い。
【0066】
また、現在の社会的健康度の推定処理は、既に説明した現在の肉体的健康度、精神的健康度の推定処理と同様に、被検者の客観的データだけではなく、被検者の現在状況やパーソナリティ、生活環境など、様々な種類のアンケートに対して被検者が実際に回答した回答データを考慮しているため、式(3)を用いて推定された現在の社会的健康度に対する被検者の納得度は高い。すなわち、被検者の納得度という観点においても、現在の社会的健康度の推定処理は信頼性が高いといえる。
【0067】
以下、図3の「提示用の理想の総合健康度」の推定処理について、図22乃至図29を参照して説明する。
【0068】
最初に、提示用の理想の総合健康度を推定するために必要な各種データ、各種データを収集するためのアンケート画面について図23乃至図27を参照して説明する。
図23に示すように、健康度推定サーバ装置10には、現在の肉体的健康度に対する満足度、現在の精神的健康度に対する満足度、現在の社会的健康度に対する満足度、及び現在の総合健康度に対する満足度に関するデータが被検者IDに関連付けて記憶されている。各健康度に対する満足度に関するデータは情報端末20に表示された満足度に関するアンケート画面を介して被検者により入力される。図24に示すように、満足度に関するアンケート画面には、被検者に各健康度に対する満足度を0~100までの間の数値で回答してもらうための複数のアンケート項目が表示される。被検者は、各健康度に対する満足度を回答欄に入力する。
【0069】
また、図25に示すように、健康度推定サーバ装置10には、被検者の認知特性傾向に応じたウエイト(重み係数)を推定するために必要な認知特性傾向データとして、被検者の認知特性についてのアンケートに対する回答データが被検者IDに関連付けて記憶されている。被検者の認知特性傾向データは、情報端末20に表示された認知特性傾向に関するアンケート画面を介して被検者により入力される。認知特性傾向は「直感度」と「論理度」とに分けられる。図26に示すように、認知特性傾向に関するアンケートは、「直感度」についての複数のアンケート項目と、「論理度」についての複数のアンケート項目とを含む。例えば、「直感度」についての複数のアンケート項目には、「意思決定の際には直感を重視する」などのアンケート項目が含まれる。「論理度」に関わる複数のアンケート項目には、「意思決定のほとんどは厳密な分析に基づいて行われる」などのアンケート項目が含まれる。被検者は、アンケート項目に対する回答値に対応するオブジェクトを選択する。被検者により「次へ」ボタンがクリックされたことに従って、次のアンケート項目が表示される。
【0070】
次に、提示用の理想の総合健康度の推定手順について図22図27を参照して説明する。提示用の理想の総合健康度は、現在の肉体的健康度及び現在の肉体的健康度に対する満足度と、現在の精神的健康度及び現在の精神的健康度に対する満足度と、現在の社会的健康度及び現在の社会的健康度に対する満足度と、現在の総合健康度及び現在の総合健康度に対する満足度と、に基づいて計算される。総合健康度は、肉体的健康度、精神的健康度及び社会的健康度のそれぞれを各軸とした3次元座標で与えられる。例えば、現在の肉体的健康度が「68」、現在の精神的健康度が「72」、現在の社会的健康度が「52」であるとき、現在の総合健康度は「(68,72、52)」で与えられる。
したがって、現在の総合健康度は、既に説明した式(1)~式(3)で計算した現在の肉体的健康度、現在の精神的健康度及び現在の社会的健康度に基づいて、計算される。
【0071】
図22に示すように、まず、理想の第1総合健康度が計算される。理想の第1総合健康度は、現在の総合健康度に現在の総合健康度に対する満足度に応じた指数の逆数を乗じることにより計算される(S51)。例えば、現在の総合健康度「(68,72、52)」、現在の総合健康度に対する満足度「80点」であれば、満足度「80点」に応じた指数「80/100」の逆数である「100/80」を現在の総合健康度「(68,72、52)」に乗算し、理想の第1総合健康度「(85、80、65)」を計算することができる。
【0072】
次に、理想の第2総合健康度が計算される(S52乃至S55)。理想の第2総合健康度は、理想の肉体的健康度、理想の精神的健康度及び理想の社会的健康度に基づいて計算される。理想の肉体的健康度は、現在の肉体的健康度に現在の肉体的健康度に対する満足度に応じた指数の逆数を乗じることにより計算される(S52)。理想の精神的健康度は、現在の精神的健康度に現在の精神的健康度に対する満足度に応じた指数の逆数を乗じることにより計算される(S53)。理想の社会的健康度は、現在の社会的健康度に現在の社会的健康度に対する満足度に応じた指数の逆数を乗じることにより計算される(S54)。工程S52乃至工程S54における理想の各健康度の計算処理は、工程S51で説明した計算処理と同様である。
【0073】
理想の第2総合健康度は、工程S52乃至S54で得られた理想の肉体的健康度、理想の精神的健康度、及び理想の社会的健康度を3次元座標に置き換えることで得られる(S55)。例えば、工程S52乃至工程S54により得られた理想の肉体的健康度が「70」、理想の精神的健康度が「85」、理想の社会的健康度が「43」であるとき、理想の総合健康度は「(70,85、43)」で与えられる。
【0074】
次に、被検者の認知特性傾向に応じたウエイトが計算される(S56)。被検者の認知特性傾向に応じたウエイトは、認知特性傾向データに基づいて計算される。具体的には、被検者の認知特性に関するアンケートに対する回答データが集計される。この集計処理では、回答データに対して既定規則に従って数値を割り当てられる。この割り当てられた数値を集計し、その集計値が認知特性傾向に応じたウエイトに換算される。さらに詳細には、認知特性傾向「直感度」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が、図27(a)に示すパーセンタイルを用いて直感度指数を表すパーセンタイル値に換算される。同様に、認知特性傾向「論理度」に関わるアンケートに対する回答データが集計され、その集計値が図27(b)に示すパーセンタイルを用いて論理度指数を表すパーセンタイル値に換算される。そして、直感度指数を表すパーセンタイル値に対する論理度指数を表すパーセンタイル値の比率を計算し、その比率が、図27(c)に示す換算テーブルを用いてウエイトに換算される。
【0075】
最後に、提示用の理想の総合健康度が計算される。提示用の理想の総合健康度は、理想の第1総合健康度と、理想の第2総合健康度と、ウエイトとに基づいて計算される(S57)。
【0076】
例えば、提示用の理想の総合健康度の計算式は、式(4)で表すことができる。
提示用の理想の総合健康度
={(理想の第1総合健康度)×ウエイト1
+(理想の第2総合健康度)×ウエイト2}÷2・・・・(4)
すなわち、工程S51で得られた理想の第1総合健康度と工程S52乃至S55で得られた理想の第2総合健康度とを、工程S56で得られたウエイトを用いて加重平均することにより、提示用の理想の総合健康度を計算することができる。
【0077】
図28に示すように、上記の計算処理により計算された提示用の理想の総合健康度に関するデータと、上記の計算処理の過程で得られた現在の総合健康度に関するデータとは、被検者IDに関連付けられて健康度推定サーバ装置10に記憶される。健康度推定サーバ装置10に記憶された提示用の理想の総合健康度に関するデータ、現在の総合健康度に関するデータは、健康度推定サーバ装置10から被検者の情報端末20に送信される。
【0078】
図29に示すように、情報端末20には、肉体的健康度、精神的健康度及び社会的健康度を3軸とする3次元座標に現在の総合健康度と提示用の理想の総合健康度とをプロットした画像が表示される。もちろん、図29に示す画像データが健康度推定サーバ装置10により発生され、健康度推定サーバ装置10から被検者の情報端末20に送信されるようにしてもよい。図29に示すように、現在の総合健康度と理想の総合健康度とを情報端末20に表示することで、被検者は自分の現在位置と目標位置と把握することができる。さらに、現在の総合健康度と理想の総合健康度とを3次元座標系で表示することで、現在位置と目標位置とを一見して視覚的に把握することができる。
【0079】
提示用の理想の総合健康度の推定処理の1つの特徴は、理想の第1総合健康度と理想の第2総合健康度との2種類の総合健康度の指標を用いて、提示用の理想の総合健康度を計算する点にある。理想の第1総合健康度は、現在の総合健康度とそれに対する満足度とに基づくものである。被検者は、健康度を大きい枠組で捉えてどの程度満足しているかを回答しているため、理想の第1総合健康度は比較的直感的であるといえる。一方、理想の第2総合健康度は、各健康度とそれらに対する満足度とに基づくものである。被検者は、健康度を肉体的、精神的及び社会的と小さい枠組に分割して、各健康度毎にどの程度満足しているかを回答しているため、理想の第2総合健康度は論理的であるといえる。このように、認知特性傾向の異なる2種類の理想の総合健康度を統合して、最終的な理想の総合健康度(提示用の理想の総合健康度)を計算することで、被検者の間の認知特性傾向の差異による影響を抑えられ、信頼性の高い提示用の理想の総合健康度を推定することができる。
【0080】
また、提示用の理想の総合健康度の推定処理の他の特徴は、最終的な提示用の理想の総合健康度を計算するために、理想の第1総合健康度と理想の第2総合健康度とを加重平均する点にある。例えば、被検者の認知特性傾向が直感的であれば、理想の第1総合健康度の比率を上げた方が、信頼性の高い提示用の理想の総合健康度を得られる。一方、被検者の認知特性傾向が論理的であれば、理想の第2総合健康度の比率を上げた方が、信頼性の高い提示用の理想の総合健康度を得られる。したがって、本実施形態のように、被検者の認知特性傾向をアンケートを用いて特定し、認知特性傾向に応じたウエイトを用いて加重平均することで、提示用の理想の総合健康度の信頼性を向上させることができる。
【0081】
また、提示用の理想の総合健康度の推定処理の他の特徴は、被検者の理想を被検者の満足度に応じて設定する点にある。被検者に対して、絶対的な理想の健康度を提示しても、どれだけ健康になりたいのかは被検者によって違うし、そもそも絶対的な理想の健康度がどの程度であるのかが分かりにくいため、理想の健康度に向けて努力しようとする意欲が低減してしまう。一方、理想の健康度を被検者自身の満足度に基づいて計算することで、その時点における目標となる理想となる健康度を被検者に提示することができる。もちろん、理想の健康度は、年齢を重ねる毎、趣味嗜好が変わる毎、周囲環境が変わる毎、生活環境が変わる毎に変動し、また、その時の健康に対する考え方によっても理想の健康度は変動する。目標となる提示用の理想の総合健康度が、様々な感情、環境の変化に応じて変動するという点は、提示用の理想の総合健康度の推定処理に対する被検者の納得度(信頼性)を向上させる。被検者が納得できることで、被検者は被検者自身が思う理想の健康度に向けて努力することができる。
【0082】
以上説明した本実施形態に係る健康度推定サーバ装置10によれば、式(1)~式(3)を用いることにより、健康か否かを推定するのではなく、現在の各健康度(現在の肉体的健康度、現在の精神的健康度、現在の社会的健康度、及び現在の総合健康度)を無段階で定量化し、被検者に提供することができる。これにより、被検者は、自身が健康的な状態であるか、又は病気に近い状態にあるかを認識することができる。
【0083】
本実施形態に係る健康度推定サーバ装置10は、現在の総合健康度の信頼性を向上させるために、総合健康度を肉体的健康、精神的健康及び社会的健康の3つの側面から総合的に評価していること、現在の各健康度の計算処理に被検者の客観的データと被検者の主観的データとを用いること、現在の各健康度の計算処理において主観的データを被検者のパーソナリティ指数で補正すること、現在の精神的健康度と現在の社会的健康度との計算処理において最後に現在の健康度を被検者の生活環境指数で補正すること、提示用の理想の総合健康度を2種類の理想の第1、第2総合健康度を用いて計算すること、その2種類の理想の第1、第2総合健康度を被検者の認知特性傾向に基づいて加重平均して提示用の理想の総合健康度を計算すること、などのいくつかの特徴を備える。これら特徴による作用効果については既に説明したとおりである。これらとは別に、アンケートに対する回答データの集計値を定量化するためにパーセンタイルを用いている点も、健康度推定の信頼性を向上するための重要な特徴の1つである。回答データは被検者の主観的なデータであるため、回答データの集計値を絶対評価により定量化しても、その評価値は信頼性が低いものとなってしまう。一方、回答データの集計値をパーセンタイルのような相対評価により定量化することで、その評価値に客観性を持たせることができ、アンケートの回答データのような主観的なデータの信頼性を確保することができる。また、母数が大きいパーセンタイルを用いることで、大きな母数の中での現在位置によって被検者の各件高度が定量化されるため、被検者によっても納得度が高いといえる。
【0084】
既に説明したように、本実施形態に係る健康度推定サーバ装置10は、健康度推定の信頼性を向上するための複数の特徴を備える。しかしながら、信頼性の高い健康度が得られるのであれば、複数の特徴のうち、いくつかを省略することができる。例えば、精神的健康に関する客観的データと社会的健康に関する客観的データとを健康度の推定処理から除外するようにしてもよい。また、本実施形態では、理想の第1総合健康度と理想の第2総合健康度とに基づいて提示用の理想の総合健康度を計算し、被検者の情報端末20に提供するとした。しかしながら、提示用の理想の総合健康度を計算せずに、理想の第1総合健康度だけ又は理想の第2総合健康度だけを計算し、被検者の情報端末20に提供するようにしてもよい。
【0085】
なお、健康度推定サーバ装置10の構成は本実施形態に限定されない。例えば、本実施形態に係る健康度推定サーバ装置10は通信機能を有し、インターネット等のネットワーク回線90を介して被検者の情報端末20から各種データを受信していた。しかしながら、健康度推定サーバ装置10は、通信機能を有さない、単被検者から直接的に入力を受け付け、健康度推定処理を実行する単独の情報処理装置に適用することができる。
【0086】
また、本実施形態では、健康度推定サーバ装置10は、被検者に関する各種データに基づいて、現在の総合健康度と理想の総合健康度とを計算し、計算したこれらのデータを被検者の情報端末20に提供するとした。しかしながら、現在の総合健康度だけでも被検者にとっては重要な情報である。したがって、健康度推定サーバ装置10は、被検者に関する各種データに基づいて、現在の総合健康度を計算し、計算した現在の総合健康度に関するデータを被検者の情報端末20に提供するようにしてもよい。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
10…健康度推定サーバ装置、20…情報端末、40…体重計、50…感情センサ、80…感情推定サーバ装置、90…ネットワーク回線。
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