(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】金融商品取引管理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20240312BHJP
【FI】
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2023018675
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2021172656の分割
【原出願日】2010-05-11
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
(72)【発明者】
【氏名】山本 久敏
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-040689(JP,A)
【文献】特開2004-054643(JP,A)
【文献】特開2008-130002(JP,A)
【文献】特開2005-174057(JP,A)
【文献】特開2010-055323(JP,A)
【文献】特開2005-346733(JP,A)
【文献】特開2002-117232(JP,A)
【文献】特開2004-310761(JP,A)
【文献】特開2001-155086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0278242(US,A1)
【文献】国際公開第2010/024316(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、
前記金融商品の相場価格の情報を取得する価格情報受信手段と、
該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づい
て、金融商品の取引を行なうための注文情報
を生成する注文情報生成手段と、
該注文情報生成手段によって生成された
前記注文情報に基づいて前記金融商品の注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段と、
前記注文情報に基づく前記金融商品の注文価格を変更するための所定の条件を検出する変更条件検出手段とを備え、
前記注文情報生成手段は、
一の前記売買注文申込情報に基づいた、同一種類の前記金融商品について、一の価格についての買いの注文としての第一注文を行うための第一注文情報、及び、
前記一の価格に対して所定の利幅となるように設定された、他の価格についての売りの注文としての第二注文を行うための第二注文情報
を生成し、
前記約定情報生成手段は、
前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記一の価格になった場合
、前記第一注文情報に基づいて前記金融商品を約定させる処理
を行うと共に、
前記約定の後、前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記他の価格になった場合
、前記第二注文情報に基づいて
、前記金融商品を約定させる処理を行い、
前記変更条件検出手段によって前記所定の条件としての、
所定の期間内の前記相場価格
が高値側
に変動したことが検出され
た場合、元の前記一の価格よりも高値側の新た
な一の価格
で約定させる新たな前記
第一注文を行うための新たな第一注文情報と、元の前記他の価格よりも前
記高値側
であって、前記新たな前記一の価格に対して前記所定の利幅となるように設定された新た
な他の価格
で約定させる新たな前記
第二注文を行うための新たな第二注文情報とに基づいて
、前記
第一注文と前記
第二注文とによる前記金融商品を約定させる処理を行い、
前記注文情報生成手段は、
前記元の前記一の価格及び前記元の他の価格における前記注文を前記
生成させる処理と、前記新たな前記一の価格及び前記新たな他の価格における前記注文を前記
生成させる処理とのうち少なくとも何れか一方
を複数回繰り返
すように構成されたことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項2】
金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、
前記金融商品の相場価格の情報を取得する価格情報受信手段と、
該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づい
て、金融商品の取引を行なうための注文情報
を生成する注文情報生成手段と、
該注文情報生成手段によって生成された
前記注文情報に基づいて前記金融商品の注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段と、
前記注文情報に基づく前記金融商品の注文価格を変更するための所定の条件を検出する変更条件検出手段とを備え、
前記注文情報生成手段は、
一の前記売買注文申込情報に基づいた、同一種類の前記金融商品について、一の価格についての売りの注文としての第一注文を行うための第一注文情報、及び、
前記一の価格に対して所定の利幅となるように設定された、他の価格についての買いの注文としての第二注文を行うための第二注文情報
を生成し、
前記約定情報生成手段は、
前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記一の価格になった場合
、前記第一注文情報に基づいて前記金融商品を約定させる処理
を行うと共に、
前記約定の後、前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記他の価格になった場合
、前記第二注文情報に基づいて
、前記金融商品を約定させる処理を行い、
前記変更条件検出手段によって前記所定の条件としての、
所定の期間内の前記相場価格
が安値側
に変動したことが検出され
た場合、元の前記一の価格よりも安値側の新た
な一の価格
で約定させる新たな前記
第一注文を行うための新たな第一注文情報と、元の前記他の価格よりも前
記安値側
であって、前記新たな前記一の価格に対して前記所定の利幅となるように設定された新た
な他の価格
で約定させる新たな前記
第二注文を行うための新たな第二注文情報とに基づいて
、前記
第一注文と前記
第二注文とによる前記金融商品を約定させる処理を行い、
前記注文情報生成手段は、
前記元の前記一の価格及び前記元の他の価格における前記注文を前記
生成させる処理と、前記新たな前記一の価格及び前記新たな他の価格における前記注文を前記
生成させる処理とのうち少なくとも何れか一方
を複数回繰り返
すように構成されたことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項3】
前記注文情報生成手段は
、
前記第一注文情報及び前記第二注文情報が、
属性情報として、相場価格の変動に追従して予め設定された特定の価格を変動させる場合における該特定の価格の変動幅の単位情報としてのトレール幅情報を備えるように設定するとともに、
最初の前記第一注文情報及び最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格である予め設定された所定の比較対象価格と、現在の前記相場価格との差が、前記トレール幅情報以上となった場合、
前記第一注文情報及び前記第二注文情報を構成する、トレール変動の対象として設定された、前記第一注文情報に基づく前記第一注文の注文価格及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文の注文価格が変更されるように設定し、
前記予め設定された所定の比較対象価格は
前記最初の前記第一注文情報及び前記最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格であることを特徴とする請求項
1に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項4】
前記注文情報生成手段は
、
前記第一注文情報及び前記第二注文情報が、
属性情報として、相場価格の変動に追従して予め設定された特定の価格を変動させる場合における該特定の価格の変動幅の単位情報としてのトレール幅情報を備えるように設定するとともに、
最初の前記第一注文情報及び最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格である予め設定された所定の比較対象価格と、現在の前記相場価格との差が、前記トレール幅情報以上となった場合、
前記第一注文情報及び前記第二注文情報を構成する、トレール変動の対象として設定された、前記第一注文情報に基づく前記第一注文の注文価格及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文の注文価格が変更されるように設定し、
前記予め設定された所定の比較対象価格は、
前記最初の前記第一注文情報及び前記最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格であることを特徴とする請求項
2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項5】
コンピュータを請求項1乃至
4の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替等、金融商品の取引を管理、支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
外国為替等の金融商品の取引方法として、注文時の価格で取引を行う成行注文の他に、指値注文が知られている。この指値注文とは、予め顧客から売買値段の指定を受ける注文形態のことであり、金融商品の取扱業者は対象となる金融商品が指定された金額まで下がったときに当該金融商品の買い注文を行い、あるいは、指定された金額まで上がったときに当該金融商品の売り注文を行う。従来、この金融商品の指値注文をコンピュータシステムを用いて行う発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、金融商品の指値注文においては、イフダンオーダー(順位のある2つの注文を同時に出し、第一順位の注文(以下「第一注文」と称する。)が成立したら、自動的に第二順位の注文(以下「第二注文」と称する。)が有効になる注文形式のこと。本明細書において同じ。)が行われることも多い、しかし、引用文献1に記載の発明においては、イフダンオーダーの指値注文に対応できないという問題がある。また、一の顧客が特定の金融商品について複数のイフダンオーダーを行う場合もある。しかし、引用文献1に記載の発明においては、システムを利用する顧客が複数のイフダンオーダーを個別に注文していかねばならず、顧客の注文手続が煩雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、複数の注文を連続的に組み合わせる金融商品の注文において、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数の注文を行うことができ、システムを利用する顧客の利便性を高めることができる金融商品取引管理装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、前記金融商品の相場価格の情報を取得する価格情報受信手段と、該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて、金融商品の取引を行なうための注文情報を生成する注文情報生成手段と、該注文情報生成手段によって生成された前記注文情報に基づいて前記金融商品の注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段と、前記注文情報に基づく前記金融商品の注文価格を変更するための所定の条件を検出する変更条件検出手段とを備え、前記注文情報生成手段は、一の前記売買注文申込情報に基づいた、同一種類の前記金融商品について、一の価格についての買いの注文としての第一注文を行うための第一注文情報、及び、前記一の価格に対して所定の利幅となるように設定された、他の価格についての売りの注文としての第二注文を行うための第二注文情報を生成し、前記約定情報生成手段は、前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記一の価格になった場合、前記第一注文情報に基づいて前記金融商品を約定させる処理を行うと共に、前記約定の後、前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記他の価格になった場合、前記第二注文情報に基づいて、前記金融商品を約定させる処理を行い、前記変更条件検出手段によって前記所定の条件としての、所定の期間内の前記相場価格が高値側に変動したことが検出された場合、元の前記一の価格よりも高値側の新たな一の価格で約定させる新たな前記第一注文を行うための新たな第一注文情報と、元の前記他の価格よりも前記高値側であって、前記新たな前記一の価格に対して前記所定の利幅となるように設定された新たな他の価格で約定させる新たな前記第二注文を行うための新たな第二注文情報とに基づいて、前記第一注文と前記第二注文とによる前記金融商品を約定させる処理を行い、前記注文情報生成手段は、前記元の前記一の価格及び前記元の他の価格における前記注文を前記生成させる処理と、前記新たな前記一の価格及び前記新たな他の価格における前記注文を前記生成させる処理とのうち少なくとも何れか一方を複数回繰り返すように構成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、前記金融商品の相場価格の情報を取得する価格情報受信手段と、該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて、金融商品の取引を行なうための注文情報を生成する注文情報生成手段と、該注文情報生成手段によって生成された前記注文情報に基づいて前記金融商品の注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段と、前記注文情報に基づく前記金融商品の注文価格を変更するための所定の条件を検出する変更条件検出手段とを備え、前記注文情報生成手段は、一の前記売買注文申込情報に基づいた、同一種類の前記金融商品について、一の価格についての売りの注文としての第一注文を行うための第一注文情報、及び、前記一の価格に対して所定の利幅となるように設定された、他の価格についての買いの注文としての第二注文を行うための第二注文情報を生成し、前記約定情報生成手段は、前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記一の価格になった場合、前記第一注文情報に基づいて前記金融商品を約定させる処理を行うと共に、前記約定の後、前記価格情報受信手段が取得した前記相場価格が前記他の価格になった場合、前記第二注文情報に基づいて、前記金融商品を約定させる処理を行い、前記変更条件検出手段によって前記所定の条件としての、所定の期間内の前記相場価格が安値側に変動したことが検出された場合、元の前記一の価格よりも安値側の新たな一の価格で約定させる新たな前記第一注文を行うための新たな第一注文情報と、元の前記他の価格よりも前記安値側であって、前記新たな前記一の価格に対して前記所定の利幅となるように設定された新たな他の価格で約定させる新たな前記第二注文を行うための新たな第二注文情報とに基づいて、前記第一注文と前記第二注文とによる前記金融商品を約定させる処理を行い、前記注文情報生成手段は、前記元の前記一の価格及び前記元の他の価格における前記注文を前記生成させる処理と、前記新たな前記一の価格及び前記新たな他の価格における前記注文を前記生成させる処理とのうち少なくとも何れか一方を複数回繰り返すように構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、前記第一注文情報及び前記第二注文情報が、属性情報として、相場価格の変動に追従して予め設定された特定の価格を変動させる場合における該特定の価格の変動幅の単位情報としてのトレール幅情報を備えるように設定するとともに、最初の前記第一注文情報及び最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格である予め設定された所定の比較対象価格と、現在の前記相場価格との差が、前記トレール幅情報以上となった場合、前記第一注文情報及び前記第二注文情報を構成する、トレール変動の対象として設定された、前記第一注文情報に基づく前記第一注文の注文価格及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文の注文価格が変更されるように設定し、前記予め設定された所定の比較対象価格は前記最初の前記第一注文情報及び前記最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格であることを特徴とする請求項1に記載の金融商品取引管理装置。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、 前記注文情報生成手段は、前記第一注文情報及び前記第二注文情報が、属性情報として、相場価格の変動に追従して予め設定された特定の価格を変動させる場合における該特定の価格の変動幅の単位情報としてのトレール幅情報を備えるように設定するとともに、最初の前記第一注文情報及び最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格である予め設定された所定の比較対象価格と、現在の前記相場価格との差が、前記トレール幅情報以上となった場合、前記第一注文情報及び前記第二注文情報を構成する、トレール変動の対象として設定された、前記第一注文情報に基づく前記第一注文の注文価格及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文の注文価格が変更されるように設定し、前記予め設定された所定の比較対象価格は、前記最初の前記第一注文情報及び前記最初の前記第二注文情報が生成された際の前記相場価格であることを特徴とする請求項2に記載の金融商品取引管理装置。
【0012】
請求項5に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを請求項1乃至4の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、変更条件検出手段によって前記所定の条件としての、基準となる相場価格よりも所定価格分高値側又は安値側に相場価格が変動したことが検出された場合、元の一の価格よりも高値側、又は安値側の新たな一の価格の第一注文を行うための新たな第一注文情報と、元の他の価格よりも所定価格分高値側又は安値側の新たな他の価格の第二注文を行うための新たな第二注文情報とを生成する処理を複数回繰り返すように構成されたことにより、所定の条件が変化した場合であっても、変化した後の所定の条件において複数の注文を連続的に組み合わせて行う取引を継続させることができる。これにより、複数の注文を連続的に組み合わせて行う取引を複数回自動的に繰り返す構成において、複数の注文情報が発注される価格帯を、取引相場の実情に即して変動可能に構成できて、金融商品の取引を行う顧客にとって一層利便性の高い取引システムを形成できる。
【0014】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、約定情報生成手段は、価格情報受信手段が取得した相場価格が一の価格になった場合、第一注文情報に基づいて金融商品の約定を行い、約定の後、価格情報受信手段が取得した相場価格が他の価格になった場合、第二注文情報に基づいて金融商品の約定を行うことにより、金融商品を売買する際、クライアント端末側で一の注文手続きを行うことで、コンピュータシステム上で、複数の注文を連続的に組み合わせて行う取引を自動的に複数回繰り返して行わせることを実現できる。これにより、複数の注文を連続的に組み合わせて行う金融商品の取引を行う顧客にとって利便性の高い取引システムを形成できる。
【0015】
請求項3、請求項4に記載の発明によれば、相場価格の変動に伴って注文情報群に含まれる注文情報の価格を変動させる際の基準を簡易かつ明確に設定できる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、本発明の金融商品取引管理装置をプログラム化し、多様なコンピュータハードウェア上で実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この実施の形態の金融商品取引管理システムにおけるシステム構成図及び金融商品取引管理装置の機能ブロック図である。
【
図2A】同上金融商品取引管理装置の注文テーブルのフィールド定義の模式図である。
【
図2B】同上金融商品取引管理装置の顧客口座情報テーブルのフィールド定義の模式図である。
【
図2C】同上金融商品取引管理装置の通貨ペア注文条件テーブルのフィールド定義の模式図である。
【
図3】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文を成立させる際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文の成立後の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文の成立後の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文の成立後の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】クライアント端末の表示部に表示される入力画面のイメージ図である。
【
図8】クライアント端末の表示部に表示される入力画面のイメージ図である。
【
図9】クライアント端末の表示部に表示される入力画面のイメージ図である。
【
図10】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文に基づく約定処理を模式的に表したタイムチャートである。
【
図11】同上金融商品取引管理装置において生成される第一の注文情報及び第二注文情報を表形式で模式的に示した図である。
【
図12】同上金融商品取引管理装置において生成される第一注文情報及び第二注文情報を表形式で模式的に示した図である。
【
図13】クライアント端末の表示部に表示される入力画面のイメージ図である。
【
図14】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文に基づく約定処理を模式的に表したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[システム構成とデータ構造]
図1は、この実施の形態の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、n個(n≧1)のオンライン端末としてのクライアント端末2
1~2
nとを備えており、金融商品取引管理装置1とクライアント端末2
1~2
nは、WAN(Wide
Area Network)としてのインターネット3を介して相互に交信可能である。この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱う。
【0020】
金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであり、金融商品の売買取引を管理する。金融商品取引管理装置1は、Webサーバ機能、大容量のデータを保存するデータベース機能を備えている。クライアント端末21,・・・,2nは、金融商品の売買を行う個人又は法人が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末等がこれに該当する。クライアント端末21,・・・,2nは、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部211,・・・,21n、LCD(Liquid
Crystal Display)等からなり操作部211,・・・,21nから入力された各種指示等や各種画像を表示する表示部221,・・・,22nを有している。なお、クライアント端末21,・・・,2n、操作部211,・・・,21n、表示部221,・・・,22nは同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末2、操作部21、表示部22とする。
【0021】
図1には図示しないが、金融商品取引管理装置1は少なくとも1のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、起動用ブートプログラム等が記録されたROM(Read
Only Memory)、各種プログラムやデータ等が記録されるハードディスク等の補助記憶装置、データの送受信に用いる通信インターフェース等が設けられている。補助記憶装置には、OS(Operating System)用プログラム、各種アプリケーションプログラム、データベースに記録されたデータ等が記録されており、これらのプログラムやデータはCPUの演算処理により、ハードウェア資源と協働して各種機能を実現する。
【0022】
なお、金融商品取引管理装置1は、1のサーバコンピュータによって形成されていても、複数のネットワークコンピュータシステムによって形成されていてもよい。
【0023】
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10、及び、データ処理部10にて処理される各種データが記録されるデータベース18を有する。データ処理部10は金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部(約定情報生成手段)14、口座情報生成部15、注文情報生成部(注文情報生成手段)16、データベース(DB)接続基底部17、価格情報受信部19を有している。
【0024】
注文入力受付部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。
【0025】
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
【0026】
注文情報生成部16は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文に加え、イフダンオーダーも含まれる。なお、この実施の形態の金融商品取引管理装置1は新規注文にのみイフダンオーダーを適用するものとし、システム構成の簡素化、並びに顧客にとって利用し易いシステムの形成を図っている。
【0027】
約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を顧客のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の売買を成立させるための各種の手続並びに処理のことをいう。
【0028】
口座情報生成部15は、顧客の預金残高情報を生成し、当該預金残高情報を証拠金情報(即ち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)として管理する機能を有する。なお、口座情報生成部15において生成される預金残高に関する情報は、現実の預金残高と整合性を取るために、銀行等の金融機関が提供する、顧客の現実の預金残高に関する情報と定期的に照合される。
【0029】
データベース接続基底部17は、データ処理部10において生成、加工処理されたデータとデータベース18にて記録されるデータとの変換(例えば論理的データ構造と物理的データ構造との相互変換)を行うと共に、データ処理部10とデータベース18との間でデータを交信するために必要な処理を行う。
【0030】
データベース18は、金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。この実施の形態におけるデータベース18はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。データベース18には、注文テーブル(注文情報記録手段)181、顧客口座情報テーブル182、通貨ペア注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184が記録されている。シーケンス番号テーブル184には注文情報(後述)ごとに一意に付されるシーケンス番号が記録される。注文テーブル181、顧客口座情報テーブル182、通貨ペア注文条件テーブル183の詳細については後述する。
【0031】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22にされる画像データを作成し、作成した画像データをクライアント端末2に送信する。
【0032】
価格情報受信部19は、金融商品取引管理装置1にて扱う金融商品の相場価格についての情報を取得し、取得した情報に対し、データ処理部10にて用いるために必要な処理を行う。この実施の形態においては、価格情報受信部19は外為の相場価格の情報を取得する。
【0033】
また、金融商品取引管理装置1におけるデータ処理部10、データベース18、フロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部14、口座情報生成部15、注文情報生成部16、データベース接続基底部17、価格情報受信部19は、どのような形で構成されていてもよい。例えば、金融商品取引管理装置1が複数のサーバコンピュータからなるネットワークコンピュータシステムとして形成されている場合、各構成要件が複数のサーバコンピュータに分散して配設されていてもよい。また、それらのサーバコンピュータは、複数の業者、サーバ管理者がそれぞれ所有するサーバコンピュータに跨って配設されていてもよいことはいうまでもない。更に、データ処理部10、データベース18、フロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部14、口座情報生成部15、注文情報生成部16、データベース接続基底部17、価格情報受信部19のうち少なくとも一部の構成が、金融商品取引管理装置1ではなく、クライアント端末2に設けられていてもよい。
【0034】
図2Aは注文テーブル181のフィールド定義の模式図、
図2Bは顧客口座情報テーブル182のフィールド定義の模式図、
図2Cは通貨ペア注文条件テーブル183のフィールド定義の模式図である。これらの図に示す通り、各テーブル181,182,183は項目数分のフィールドを有し、フィールドの名称(フィールド名)、文字や数値や日時等のデータ型(型)、ビット長等のデータ長(長さ)、空欄不可指定(Not Null)、デフォルト値の有無(デフォルト値)、データの項目名(備考)等が規定される。注文テーブル181には、後述するリピート回数選択欄44hに入力されたリピート回数や、注文情報群の生成回数(繰り返し回数)等も記録される。
【0035】
上述の金融商品取引管理装置1においては、金融商品の指値取引が行われる際、一の予約注文によって、同一種類の複数の金融商品の指値注文を複数のイフダンオーダーによって行うことができる。
【0036】
[取引手順(第一注文が買い注文の場合)]
次に、この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおけるイフダンオーダーによる指値注文の取引手順について説明する。
[イフダンオーダーによる指値注文の注文処理]
図3は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、イフダンオーダーによる指値注文を生成させる際の処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて注文時の処理手順を説明する。
【0037】
金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客は、クライアント端末2を用いて金融商品取引管理装置1にアクセスする。金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスのあったクライアント端末2の表示部22に、
図7に示す第一の入力画面40
1を表示させる。顧客は、操作部21を用いて第一の入力画面40
1に注文内容のデータを入力する。具体的には、第一の入力画面40
1に対して下記(処理1)~(処理4)の処理が行われることになる。
【0038】
(処理1)
第一の入力画面401の上側には、取引可能な通貨ペア(この第一の入力画面401では8種類の通貨ペア)ごとに売買希望入力ボタン411~418が設けられている。売買希望入力ボタン411~418には、それぞれ、現在の通貨の売り注文価格と買い注文価格がリアルタイムで表示される。顧客は、売買を希望する通貨ペアを選択しクリックする。例えば、第一注文を買い注文とし、日本円で米国ドルを購入することを希望する顧客は、第一の入力画面401の米国ドル購入ボタン411bをクリックする。
【0039】
(処理2)
すると、
図8に示すように、表示部22には第二の入力画面40
2が表示される。第二の入力画面40
2には、指値注文の注文条件を選択するための注文条件選択ボタン43が設けられている。顧客は、この注文条件選択ボタン43において、一の注文により金融商品取引管理装置1にイフダンオーダーを自動的に繰り返し行わせる取引態様である「リピートイフダン注文」を選択する。
【0040】
すると、
図8に示す通り、第二の入力画面40
2には、第一注文の価格を入力する第一注文価格入力欄44a、第二注文の価格を入力する第二注文価格入力欄44b、一注文における一ポジションごとの金額を入力する金額入力欄44c、第一注文と第二注文とがそれぞれ1回ずつ約定された際の利益額を入力する利益金額指定欄44d、第一注文と第二注文との有効期限を選択する有効期限選択欄44e、相場価格が暴落または暴騰した際に顧客が過大な不利益を被る事態を防止するために設定する逆指値注文としてのストップロス注文(以下「ストップロス注文」と称する)を選択するためのストップロス注文選択ボタン44f、ストップロス注文の価格を入力するストップロス価格入力欄44g、注文の繰り返しの数(この数は、後述する「注文情報群」の数に一致する。)を選択するリピート回数選択欄44h、相場価格が変動した際に、この変動に追従して第一注文、第二注文、逆指値注文の価格を変動させるトレール注文(以下「トレール注文」と称する。)を選択するためのトレール注文選択ボタン44i、トレール注文において用いられる、相場価格の変動に追従して予め設定された特定の価格を変動させる場合における該特定の価格の変動幅としてのトレール幅(以下「トレール幅」と称する。)を入力するためのトレール幅入力欄44j、イフダン注文の最低繰り返し回数を入力するための最低リピート回数入力欄44k、第一注文、第二注文、利益金額の再計算を行うための再計算実行ボタン44l、注文内容を確認するための注文確認ボタン45が設けられた状態となる。
【0041】
また、このとき、第二の入力画面402には、複数の売買形態を選択可能な売買形態選択ボタン群42が設けられる。売買形態選択ボタン群42は、第一注文の売買形態を選択する第一注文用売買形態選択ボタン42aと、第二注文の売買形態を選択する第二注文用売買形態選択ボタン42bが設けられる。
【0042】
また、第二の入力画面402には、第一注文、第二注文、利益金額の再計算を行うための再計算実行ボタン44l、注文内容を確認するための注文確認ボタン45が設けられている。
【0043】
(処理3)
顧客は、これらの各入力欄に所望の数値を入力し、各選択ボタンにおいて所望の取引形態等を選択する。なお、注文入力受付部12は、第一注文価格入力欄44aと第二注文価格入力欄44bとに適切な値が入力されていれば利益金額指定欄44dに入力されるべき値を自動計算する。また、注文入力受付部12は、第一注文価格入力欄44a利益金額指定欄44dとに適切な値が入力されていれば第二注文価格入力欄44bに入力されるべき第二注文価格を自動計算する。従って、顧客は、第一注文価格入力欄44aと第二注文価格入力欄44bと、または、第一注文価格入力欄44a利益金額指定欄44dとの何れかに適切な値を入力すれば指値注文を行える。
【0044】
図8においては、第一注文価格入力欄44aに94.21円、第二注文価格入力欄44bに94.77円、金額入力欄44cに1万(通貨)、利益金額指定欄44dに5000円、有効期限選択欄44eに無期限が入力された状態が示されている。また、
図8においては、ストップロス注文選択ボタン44fにてストップロス注文が選択され、ストップロス価格入力欄44gに93.00円、リピート回数選択欄44hに10(回)が入力された状態を示している。また、
図8においては、トレール注文選択ボタン44iにてトレール注文が選択され、トレール幅入力欄44jに0.70円、最低リピート回数入力欄44kに2回が入力された状態が示されている。
【0045】
また、
図8においては、第一注文用売買形態選択ボタン42aにおいて、第一注文の売買形態として、新規注文(即ち、新しくポジション(外貨の持高)を持つための注文)かつ買いの指値注文が選択された状態を示している。更に、第二注文用売買形態選択ボタン42bにおいて、第二注文の売買形態として、決済注文かつ売りの指値注文が選択された状態を示している。
【0046】
(処理4)
各入力欄及び各選択欄に対する入力及び選択が完了したのち、顧客が第二の入力画面402の最下に設けられた注文確認ボタン45をクリックすると、第二の入力画面402に入力されたデータはクライアント端末2から金融商品取引管理装置1に送信され、後述するステップS2の手順が行われる。なお、顧客が注文確認ボタン45に代えてリセットボタン45bをクリックすると、上記の処理は取り消され、第二の入力画面402は上記(処理1)が行われる前の状態に戻る。
【0047】
上記(処理4)において注文確認ボタン45をクリックされ、送信されたデータが金融商品取引管理装置1に供給されると、金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12は、入力された注文の内容を確認する。具体的には、有効期限選択欄44eにおいて選択された期限等を確認し、さらに、供給されたデータの注文価格について検査を行う(ステップS2)。具体的には、注文入力受付部12は、以下検査方法1及び検査方法2のうち少なくとも何れか一方を用いて検査を行なう。
(検査方法1)注文入力受付部12は、売買希望入力ボタン411~418において選択された通貨ペアの、第一注文価格入力欄44aに入力された第一注文の価格と、価格情報受信部19が受信した現在の為替相場価格との対比を行う。注文入力受付部12は、第一注文の価格が現在の為替相場価格よりも低い場合を適正価格と判断する。
(検査方法2)注文入力受付部12は、売買希望入力ボタン411~415において選択された通貨ペアの、第一注文価格入力欄44aに入力された第一注文の価格と、第二注文価格入力欄44bに入力された第二注文の価格(又は、第一注文価格入力欄44aに入力された第一注文の価格及び利益金額指定欄44dに入力された利益額から算出された第二注文の価格)との対比を行う。注文入力受付部12は、第二注文の価格が第一注文の価格より上である場合を適正価格と判断する。
【0048】
第一注文の価格及び第二注文の価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報生成部15が顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。具体的には、
図2Bに示す“amnt”フィールド182aに記録された数値データが証拠金情報として取得される。
【0049】
注文入力受付部12は、取得された証拠金情報と顧客の注文総額(即ち、各入力欄44a,44b,44cに入力された数値及び利益金額指定欄44dから選択された数値に基づいて算出される注文総額)とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する。注文情報生成部16は、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)の場合にのみ、後述する「注文情報群」を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみイフダンオーダーによる指値注文を受け付けることができる。
【0050】
証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、通貨ペア注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、注文条件が上述したもの以外のイフダンオーダーの各種条件を満たしているか否かを確認する(ステップS6)。
【0051】
イフダンオーダーの各種条件を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
【0052】
イフダンオーダーの各種条件を満たしている場合であって(ステップS7の“No”)、注文条件が上述のイフダンオーダーによる指値注文に必要な条件を全て満たしているものと判定された場合、フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、確認画面(図示せず)を表示させる。確認画面(図示せず)には、第一の入力画面401、及び第二の入力画面402にて顧客によって入力、選択された注文条件が列記されており、列記された内容で間違いない場合にクリックする承認ボタン(図示せず)が設けられている。
【0053】
顧客が操作部21の操作により承認ボタン(図示せず)をクリックすると、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16はステップS1にて入力されたデータに基づいて注文情報を生成する(ステップS8)。具体的には、上記手順において入力された複数のデータを、注文価格を単位としてまとめ、各情報の単位に、シーケンス番号テーブル184に記録された注文にシーケンス番号を付与することで各注文情報を形成する。なおこのとき、シーケンス番号テーブル184には、注文情報に使用されたシーケンス番号を未使用の番号と識別するための情報が付与される。一回のステップS8の手順にて形成される複数の注文情報は、同一種類の複数の金融商品を二つの価格(即ち、第一注文の価格と第二注文の価格)で一定の商品数ごとに指値注文する注文情報群(以下単に「注文情報群」と称する。)を複数回生成する。なお、注文情報群は一つずつ順に形成される。
【0054】
注文情報生成部16は、生成された注文情報群を注文テーブル181に記録する(ステップS9)。具体的には、
図2Aに示す各フィールドに、該当する注文情報(即ち“備考”カラム181aの項目に対応するデータ)が記録される。例えば、ステップS8にて付与されたシーケンス番号は“ord_seq”フィールド181bに記録される。“cust_seq”フィールド181cには顧客ごとに一意に定められた顧客番号が、“style_id”フィールド181dには商品名が記録される。“ccy_pair_id”フィールド181eには通貨ペア毎に一意に定められたID番号が記録される。このID番号と通貨ペアとの組合わせはデータベース中に別途設けられたIDテーブル(図示せず)中に記録されている。“buy_sell_id”フィールド181fには売り注文、買い注文のいずれであるかを示すデータ、“ord_rate”フィールド181gには注文価格、“limit_time”フィールド181hには注文価格が記録される。“ord_cond”フィールド181iには注文種別がイフダンオーダーであることを示す“1”が記録される。“new_close”フィールド181jには新規注文、継続注文のいずれであるかを示すデータが記録される。“ifd_ord_seq”フィールド181kにはイフダンオーダーのシーケンス番号が記録される。以上の手順より、この実施の形態におけるイフダンオーダーによる指値注文の注文処理は完了する。
【0055】
注文処理が完了すると、注文情報生成部16はまず最初の注文情報群(以下「第一の注文情報群」と称する。)を生成する。なお、この生成された時点において、注文情報群に含まれる、第一順位の注文情報としての第一注文情報51Aは有効な注文情報(顧客から正式に依頼されて発注された状態の指値注文のこと。本明細書において同じ。)として生成されているが、同じ注文情報群に含まれる、第二順位の注文情報としての第二注文情報は、「待機」の注文情報(顧客から正式に依頼されているが、まだ発注前の状態の注文情報のこと。本明細書において同じ。)として生成されている。
【0056】
図11は、第一の注文情報群を模式的に示す図である。第一の注文情報群50Aは、
図11の(a)に示す第一注文情報51Aと、
図11の(b)に示す第二注文情報51Bとから成る。第一注文情報51A、及び第二注文情報51Bは、属性情報として、群を形成する個々の注文情報のID番号としての注文番号、顧客のID番号である顧客番号、個々の注文情報の通貨ペア情報、個々の注文情報の注文金額としての注文金額情報、個々の注文情報が生成された時間としての注文時刻情報、個々の注文情報が「売り注文」「買い注文」の何れであるかを区分する情報としての売買種類情報、個々の注文情報における「売り注文」及び「買い注文」の売買価格としての注文価格情報、個々の注文情報の存続期限としての注文期限情報、個々の注文情報の注文種別(即ち、リピートイフダン注文の第一注文(リピートイフダン#1)とリピートイフダン注文の第二注文(リピートイフダン#2)の何れの種別か)を区分する情報としての注文種別情報、個々の注文情報がリピートイフダン注文の「新規」「決済」のいずれに該当するかを区分する情報としての新規/決済情報、イフダン注文における、有効な注文、及び待機の注文の何れであるかを区分する情報としての有効/待機情報、ストップロス注文の有無を区分する情報としてのストップロス情報、ストップロス注文の価格としてのストップロス価格情報、トレール注文の有無を区分する情報としてのトレール注文情報、トレール注文におけるトレール幅としてのトレール幅情報、リピートイフダン注文のリピート回数としてのリピート回数情報を備えている。なお、売買種類情報、注文種別情報、新規/決済情報、有効/待機情報、トレール注文情報等は、実際には、状態を区別するためのフラグ情報として形成されている。
【0057】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、生成された注文情報群を表示させる。
図9に示すイメージ図においては、第一の入力画面40
1の未約定情報表示欄47に注文情報群50Aの一部が表形式で表示された状態を示している。
【0058】
なお、ステップS2における検査の結果、第一注文情報51Aの注文価格、及び第二注文情報51Bの注文価格のうち少なくとも何れか一方が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)、又は、ステップS5において証拠金の額が注文総額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文を拒絶する(ステップS10)。
【0059】
[指値注文の約定処理]
図4乃至
図6は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、イフダンオーダーによる指値注文の注文処理が行われた後の約定処理の手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて処理手順を説明する。
【0060】
[第一注文情報、第二注文情報に基づく約定、及び注文情報群生成の基本手順]
図4は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、第一注文情報、第二注文情報に基づく約定、及び注文情報群生成の基本手順を示すフローチャートである。同図に基づいて、基本手順を説明する。
【0061】
注文処理の完了後、金融商品取引管理装置1の価格情報受信部19は為替相場の情報取得を継続する。そして、相場価格と特定ポジションの注文価格とが一致すると、約定情報生成部14が当該ポジションの注文を約定させる(ステップS21)。
【0062】
図10に、この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおける、指値注文に基づく約定を模式的に表したタイムチャートを示す。例えば、同図に示す通り、イフダンオーダーによる指値注文の注文処理が完了した時点t1での米国ドルの相場購入価格72が1ドル94.49円であったとする。指値注文完了後に米国ドルの相場価格が下がり、相場購入価格71が1ドル94.77円になった時点t2において、約定情報生成部14は第一注文情報51Aを約定させる処理を行う。
【0063】
第一注文情報51Aに基づく指値注文が約定すると、約定情報生成部14はデータベース18中の対応するデータを書き換える。具体的には、
図11の(a)に示す第一注文情報51Aのデータが削除され、顧客口座情報テーブル182の“amnt”フィールド182aのデータが約定した価格分だけ増減される。
【0064】
次に、第一注文情報51Aに基づく指値注文が約定すると、約定情報生成部14は、第一の注文情報群における第二注文情報51Bを「待機」の注文情報から「有効」な注文情報に変更する(ステップS22)。即ち、
図11の(b)に示す、第二注文情報51Bの有効/待機情報51aを「待機」の状態から「有効」の状態に変換する。そして、フロントページ配信部11は、
図9に示す、第一の入力画面40
1において、未約定情報表示欄47の表示されている第一注文情報を消去すると共に、約定情報表示欄48に約定した第一注文情報を表示させる。
【0065】
この後、
図10に示すように、米国ドルの相場購入価格が上昇し、特定時点t3において米国ドルの相場購入価格71が1ドル94.21円になると、約定情報生成部14は第二注文情報51Bに基づく指値注文を約定させる処理を行う(ステップS23)。そして、約定情報生成部14はデータベース18中の対応するデータを書き換える。これにより、顧客はt2時点の買い注文とt3時点の売り注文の差額分の利益を得られることになる。
【0066】
第二注文情報51Bに基づく指値注文が約定し、第一注文と第二注文が全て約定していない場合(ステップS24の“No”)口座情報生成部15が再度顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。そして、注文入力受付部12は、再度、取得された証拠金情報と顧客の注文総額とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する(ステップS25)。証拠金の額が注文総額を下回る場合(ステップS26の“Yes”)には、注文総額以上になるまで処理は保留され、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS26の“No”)、注文情報生成部16は新たな注文情報群(以下「第二の注文情報群」と称する。)を生成する(ステップS27)。ここで、第二の注文情報群における第一注文情報及び第二注文情報(いずれも図示せず)は、基本的に、第一の注文情報群における第一注文情報51A及び第二注文情報51Bと同じ属性情報を有するが、これらの第一注文情報51A及び第二注文情報51Bにおけるリピート回数情報51bの「1回」が「2回」に変わっている点のみが相違する。なお、このリピート回数情報51bは、第三の注文情報群、第四の注文情報群、・・・と形成が繰り返される度に「3回」、「4回」、・・・と回数が増加する。注文情報生成部16は、ステップS9と同様に、生成された第二の注文情報群を注文テーブル181に記録する(ステップS28)。ステップS26において第二の注文情報群が生成されると、フロントページ配信部11はクライアント端末2の表示部22に、第二成立注文表示画面50Bに代えて、第二の注文情報群の第一注文情報に基づく第一成立注文表示画面(図示せず)を表示させる。そして、ステップS21以降の処理が繰り返される。
【0067】
当該処理は、利益金額指定欄44dに入力されたポジションの個数分の注文情報群が形成され、また、ステップS21,S23の処理が入力されたポジションの個数分繰り返されるまで継続し(ステップS24の“No”)、これによって、
図10に示す時点t4,t5,・・・の処理が行われる。そして、ステップS21,S23による、約定を行う処理が複数回(即ち上記入力されたポジションの個数分)繰り返された後(ステップS24の“Yes”)、全ての処理手順が終了する。
【0068】
なお、約定せずに注文期限51cが経過した指値注文は全て取り消され、注文テーブル181から削除される。
【0069】
[トレール幅情報による価格の変更処理]
図5は、相場価格の変動に伴う、トレール幅情報による価格の変更処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、変更処理手順を説明する。
【0070】
相場価格が大きく変動した場合を考える。例えば、
図10の時点t6において、相場価格が、第一の注文情報群が生成された時点t1の相場価格である94.49円よりも、トレール幅入力欄44jに入力されたトレール幅(即ち、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bにおけるトレール幅情報51d)分、即ち95.19円まで上昇した場合を考える。
【0071】
この場合、約定情報生成部14は、現在の相場価格(95.19円)と、第一の注文情報群が生成された時点の相場価格(即ち94.49円)の差額が、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bのトレール幅情報51d(0.70円)以上であるか否かを確認する。この差額がトレール幅情報51d(0.70円)以上である場合(ステップS31の“Yes”)、約定情報生成部14は、注文情報群(ここでは第3の注文情報群50C)における、未約定の第一注文情報及び第二注文情報のリピート回数情報51bが、最低リピート回数入力欄44kに入力された最低リピート回数(この実施の形態では2回以上)以上か否かを確認する。このリピート回数情報51bが最低リピート回数入力欄44kに入力されたリピート回数以上である場合は(ステップS32の“Yes”)、約定情報生成部14は、注文情報群(ここでは第三の注文情報群50C)における第一注文情報、及び第二注文情報の価格を変更する(ステップS33)。
【0072】
即ち、約定情報生成部14は、
図12に示す通り、第一注文情報51Aの注文価格情報51e(94.21円)にトレール幅情報51d(0.70円)を加えた額(即ち94.91円)を注文価格情報51eとする新たな第一注文情報51C、及び、第二注文情報51Bの注文価格情報51f(94.77円)にトレール幅情報51d(0.70円)を加えた額(即ち95.47円)を注文価格情報51fとする新たな第二注文情報51Dとする。この、新たな第一注文情報51C及び新たな第二注文情報51Dにおいて、リピート回数情報51bは、再び「1回」になっている。なお、この第一注文情報51C及び第二注文情報51Dは、注文価格情報以外の属性情報は、元の第一注文情報51A、第二注文情報51Bの属性情報と同じである。
【0073】
また、現在の相場価格と、第一の注文情報群が生成された時点の相場価格の差額がトレール幅情報51d未満である場合(ステップS31の“No”)、及び、注文情報群における、未約定の第一注文情報及び第二注文情報のリピート回数情報51bが、最低リピート回数入力欄44kに入力された最低リピート回数未満である場合(ステップS32の“No”)は、ステップS33~S35の手順は行われない。
【0074】
そして、約定情報生成部14は、第一注文情報の売買種類情報51g(
図11、
図12参照)が買い注文を示す情報であり、かつ、変更後の第一注文情報及び第二注文情報の注文価格情報が、変更前の第一注文情報51A及び第二注文情報51Bの注文価格情報51e,51fよりも高い場合(ステップS34の“Yes”)、ストップロス価格を変更する(ステップS35)。具体的には、変更前の第一注文情報51A及び第二注文情報51Bの、「ストップロス情報」としてのストップロス価格情報51hにトレール幅情報51d(0.70円)を加えた価格(即ち93.70円)を新たな第一注文情報51C及び第二注文情報51Dのストップロス価格情報51hとする。
【0075】
そして、これらの手順ののち、ステップS33の手順にて変更された第一注文情報、及び第二注文情報の注文価格情報51e、また、ステップS35の手順において変更されたストップロス価格情報51hに基づいて、以降のステップS21~S28の手順が繰り返される。
【0076】
図10に示す通り、ステップS31~S35の手順ののち、時点t6において、第一注文情報51Cを約定させると共に、第二注文情報51Dの有効/待機情報を「待機」から「有効」にする(ステップS21,S22)。そして、時点t7,t8・・・において、ステップS23~S28の処理が行われ、以後、ステップS21~S28の処理が繰り返される。
【0077】
[ストップロス価格における逆指値注文としての約定処理]
図6は、相場価格が前記ストップロス価格情報の価格以下となった場合に、第一注文情報を逆指値注文によって約定処理を行う手順を示すフローチャートである。以下同図に基づいて約定処理の手順について説明する。
【0078】
例えば、
図8に示す第二の入力画面40
2に入力された状態で、
図11に示す第一の注文情報群50Aが生成されたのち、相場価格が大きく下落し、ストップロス価格入力欄44gに入力された価格(即ち、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bのストップロス価格情報51hとしての価格である93.00円)になった場合を考える(ステップS41の“Yes”)。この場合、約定情報生成部14は、当該時点において約定済みの第一注文情報を、1ドル93.00円の「決済」の逆指値注文によって約定する(ステップS42)。また、約定情報生成部14は、第一注文情報51Aの約定に伴って「待機」から「有効」となった第二注文情報51Bを、約定を行わないまま注文テーブル181から削除するキャンセル処理を行う(ステップS42)。約定情報生成部14は、まだ生成されていない注文情報群の生成もキャンセル処理する。即ち、約定情報生成部14は、未生成の注文情報群についてのデータを注文テーブル181から削除し、まだ生成されていない注文情報群の生成を停止させる処理を行う。
【0079】
[取引手順(第一注文が売り注文の場合)]
一方、例えば、第一注文を売り注文とし、米国ドルを売却して日本円を得ることを希望する顧客は、
図7に示す第一の入力画面40
1の米国ドル売却ボタン41
1aをクリックする。
【0080】
すると、
図13のイメージ図に示すように、表示部22には第二の入力画面40
2が表示される。顧客は、第二の入力画面40
2の注文条件選択ボタン43において「リピートイフダン注文」を選択し、第一注文用売買形態選択ボタン42aにおいて、第一注文の売買形態として、新規注文かつ売りの指値注文が選択し、第二注文用売買形態選択ボタン42bにおいて、第二注文の売買形態として、決済注文かつ買いの指値注文を選択する。
【0081】
そして、
図13に示すように、顧客が第二の入力画面40
2の各入力欄に適切な値を入力し、各選択欄において適切な選択をしたのち注文確認ボタン45をクリックすると、ステップS1~S9の処理が行われ、イフダンオーダーによる指値注文の注文処理が完了する。なおこの場合、ステップS2においては、注文入力受付部12は、検査方法1~検査方法3に替えて、以下検査方法11及び検査方法12のうち少なくとも何れか一方を用いて検査を行う。
(検査方法11)注文入力受付部12は、売買希望入力ボタン41
1~41
8において選択された通貨ペアの、第一注文価格入力欄44aに入力された第一注文の価格と、価格情報受信部19が受信した現在の為替相場価格との対比を行う。注文入力受付部12は、第一注文の価格が現在の為替相場価格よりも高い場合を適正価格と判断する。
(検査方法12)注文入力受付部12は、売買希望入力ボタン41
1~41
5において選択された通貨ペアの、第一注文価格入力欄44aに入力された第一注文の価格と、第二注文価格入力欄44bに入力された第二注文の価格(又は、第一注文価格入力欄44aに入力された第一注文の価格及び利益金額指定欄44dに入力された利益額から算出された第二注文の価格)との対比を行う。注文入力受付部12は、第二注文の価格が第一注文の価格未満の場合を適正価格と判断する。
【0082】
図14に、この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおける、指値注文に基づく約定を模式的に表したタイムチャートを示す。注文処理が完了すると、ステップS21~S28の手順、及び
図14のタイムチャートに示す通り、第一注文情報及び第二注文情報の約定処理が行われる。また、相場価格の変動に伴い、ステップS31~S35に示す、トレール幅情報による価格の変更処理が行われる。また、ステップS41~S42に示す、ストップロス価格における逆指値注文としての約定処理が行われる。
【0083】
なお、
図14に示す通り、この場合において、ストップロス価格情報は第一注文情報、及び第二注文情報の価格よりも高い価格として設定される。また、約定情報生成部14は、第一注文情報の売買種類情報51g(
図11、
図12参照)が売り注文を示す情報であり、かつ、変更後の第一注文情報及び第二注文情報の注文価格情報が、変更前の第一注文情報51E及び第二注文情報51Fの注文価格情報51e,51f(
図11、
図12参照)よりも低い場合(ステップS34の“Yes”)、ストップロス価格を変更する(ステップS35)。
【0084】
[注文情報のエラー処理と注文情報のキャンセル処理]
なお、この実施の形態の金融商品取引管理装置1は、クライアント端末2から一度成立した指値注文の価格及び金額の変更の要求があった場合、当該要求が不正要求であるものとして入力エラー扱いで処理する。これにより、価格や金額の頻繁な要求で金融商品の売買元である銀行側の業務が過大になることを防止できる。
【0085】
一方、
図9に示すクライアント端末2の第一の入力画面40
1において注文キャンセルボタン46がクリックされて、一度成立したイフダンオーダーのキャンセル要求があった場合、金融商品取引管理装置1の約定情報生成部14は、キャンセル要求のあったイフダンオーダーに含まれる注文情報群を抽出し、この注文情報群のうち約定未成立の注文情報を全てキャンセルされたものとして処理する。例えば、
図10におけるt2とt3の間の時点で、第一注文情報51Aに対するキャンセル要求があった場合、第一の注文情報群50Aはキャンセルされる、第三の注文情報群以降の注文情報群は生成されることなく処理が終了する。キャンセルされた注文情報群のデータや注文情報のデータは、注文テーブル181から削除される。
【0086】
このように、一のキャンセル要求で、キャンセル要求のあった注文情報群を全てキャンセル処理し、また、キャンセル要求のあった注文情報が含まれる注文情報群を生成した売買注文申込情報に基づいて生成された全ての注文情報群をキャンセル処理することにより、イフダンオーダーによる指値注文の取扱が煩雑化することを防止できる。
【0087】
以上、この実施の形態においては、注文情報生成部16は、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、一の価格について買い(売り)の指値注文をする第一注文情報、及び、他の価格について売り(買い)の指値注文をする第二注文情報からなる注文情報群を複数回生成し、注文テーブル181には注文情報群が記録され、約定情報生成部14は、価格情報受信部19が取得した相場価格が一の価格になった場合、注文テーブル181に記録された注文情報群を形成する個々の注文情報のうち第一注文情報に基づいて金融商品の約定を行い、約定の後、価格情報受信部19が取得した相場価格が他の価格になった場合、注文テーブル181に記録された注文情報群を形成する個々の注文情報のうち第二注文情報に基づいて金融商品の約定を行う処理を複数回繰り返すことにより、金融商品を売買する際、クライアント端末2側で一の注文手続きを行うことで、コンピュータシステム上でイフダンオーダーによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせることを実現できる。更に、注文情報生成部16は、第二注文情報の指値注文の価格である他の価格が第一注文情報の指値注文の価格である一の価格である場合に注文情報群の生成を拒絶することにより、顧客がイフダンオーダーを行った場合に不利益を被ることを装置の構成において確実に防止することができる。これにより、イフダンオーダーによって指値注文の取引を行う顧客にとって利便性の高い取引システムを形成できる。
【0088】
この実施の形態においては、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bは、属性情報として、相場価格の変動に追従して予め設定された特定の価格を変動させる場合における特定の価格の変動の単位情報としてのトレール幅情報51dを備え、約定情報生成部14は、最初の注文情報群が生成された際の相場価格と現在の相場価格との差がトレール幅情報51d以上となった場合、第一注文情報51Aにおける注文価格情報51e及び第二注文情報51Bにおける注文価格情報51eを変更させることにより、時間の経過に伴って相場価格の変動する価格帯が変化した場合であっても、変化した後の価格帯においてイフダンオーダーによる取引を継続させることができる。これにより、イフダンオーダーを複数回自動的に繰り返すことで取引を行う構成において、イフダンオーダーを実現するための第一注文情報51Aと第二注文情報51Bとからなる価格帯を、取引相場の実情に即して変動可能に構成できて、指値注文を行う顧客にとって一層利便性の高い取引システムを形成できる。
【0089】
この実施の形態においては、第一注文情報51Aの約定処理が行われた後に相場価格が特定の価格になった場合に逆指値注文によって約定処理を行わせるための、逆指値注文の価格情報としてのストップロス価格情報51hを備え、約定情報生成部14は、第一注文情報51Aが一の価格についての買い(売り)の指値注文をする情報である場合において、第一注文情報51Aの約定処理が行われた後に、相場価格がストップロス価格情報によって設定される価格となった場合に、逆指値注文によって約定処理を行うことにより、相場価格が暴落又は暴騰した場合に顧客が被る不利益が大きくなることを、金融商品取引管理装置1の構成上自動的に抑止することができる。これにより、指値注文を行う顧客にとって一層利便性の高い取引システムを形成できる。
【0090】
なお、上記実施の形態においては、第二の入力画面402にリピート回数選択欄44hを設け、リピート回数選択欄44hに入力された回数分、イフダン注文を繰り返す構成としたが、これらの選択欄、属性情報を設けず、イフダン注文の繰り返しを、顧客の操作によるキャンセル要求等がない限り無制限に行わせる構成としてもよい。なお、そのような構成において、ステップS24の処理は行わない。
【0091】
また、上記実施の形態においては、第二の入力画面402に最低リピート回数入力欄44kを設け、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bの属性情報としてリピート回数情報51bを設け、リピート回数情報51bが最低リピート回数入力欄44kに入力された回数以上の場合にのみステップS33及びステップS35の価格変更を行う構成としたが、これらの選択欄、属性情報を設けず、イフダン注文の繰り返しの回数の如何に関わらず、約定情報生成部14にステップS33及びステップS35の価格変更を行わせる構成としてもよい。なお、そのような構成において、ステップS32の処理は行わない。
【0092】
また、上記実施の形態においては、第二の入力画面402にストップロス注文選択ボタン44f及びストップロス価格入力欄44gを設け、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bの属性情報としてストップロス価格情報51hを設け、相場価格がストップロス価格情報になった場合に、約定済の第一注文情報について逆指値注文によって約定処理を行うと共に有効な第二注文情報をキャンセル処理する構成としたが、これらの選択欄、属性情報を設けず、ストップロス価格情報に基づく逆指値注文による約定やキャンセル処理を行わない構成としてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態においては、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bの属性情報としてストップロス価格情報51hを設ける構成としたが、これに替えて、それぞれの注文情報群が、第一注文情報、第二注文情報に加え、逆指値注文情報を含む形で生成されるものとしてもよい。この場合、逆指値注文情報は、
図11に示す第一注文情報51A、第二注文情報51Bと同様の属性情報を備える。逆指値注文情報は、注文番号、顧客番号、通貨ペア情報、注文金額情報、売買種類情報、注文価格情報、注文期限情報、売買種別情報、新規/決済情報、有効/待機情報、リピート繰返し回数情報等の属性情報を備える。このうち、新規/決済情報は「決済」に設定される。有効/待機情報は、注文情報群の生成時は「待機」であり、第一注文情報が約定すると、「待機」から「有効」に変わる。第二注文情報に基づいて約定処理が行われると、逆指値注文情報は、注文テーブル181から削除されるキャンセル処理が行われる。
【0094】
また、上記実施の形態においては、第二の入力画面402にトレール幅入力欄44jを設け、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bの属性情報としてトレール幅情報51dを設け、相場価格がトレール幅情報51d以上に上昇又は下落した際に、第一注文の注文価格情報51e、第二注文の注文価格情報51f、ストップロス価格情報51hをトレール幅入力欄44jの価格分上昇又は下落させる構成としたが、これらの選択欄、属性情報を設けず、相場価格が上昇又は下落しても第一注文の注文価格情報51e、第二注文の注文価格情報51f、ストップロス価格情報51hの価格が上昇又は下落することがない構成としてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態においては、相場価格の上昇又は下落に伴う第一注文の注文価格情報51e、第二注文の注文価格情報51f、ストップロス価格情報51hを、現在の相場価格と、第一の注文情報群が生成された時点の相場価格の差額が、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bのトレール幅情報51d(0.70円)以上となった場合にステップS33、S35の処理を行う構成としたが、この差額の算出の基準となる数値や算出方法はどのようなものであってもよい。例えば、以下態様1~態様3に示す態様の何れかによるものであってもよい。
(態様1)トレール幅情報とは別にトレール発動価格幅情報を設定し(ただしトレール幅情報の価格幅よりもトレール発動価格幅の価格幅の方が大きい)、イフダンオーダーによる指値注文の注文処理が完了した時点(例えば
図10の時点t1)の相場価格と現在の相場価格との価格差がトレール発動価格幅以上になったときにはじめてステップS33、S35の処理を行う。
(態様2)相場価格の変動とほぼ同時に、ステップS33、S35の処理が行われる。
(態様3)イフダンオーダーによる指値注文の注文処理が完了した時点の相場価格ではなく、第一注文情報や第二注文情報の注文価格情報と現在の相場価格との対比を行い、それら同士の価格差がトレール発動価格幅以上になったときにはじめてステップS33、S35の処理を行う。
【0096】
なお、クライアント端末2から受けた注文が通常の成行注文(注文した時点の相場価格で金融商品の売買を行う取引方法)である場合には、ステップS8にて注文情報が生成されると即座に約定情報生成部14が当該注文を約定させ、ステップS9の処理、及びステップS21以降の処理は行われない。
【0097】
なお、上記実施の形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱うものとしたが、これに限定されず、他の金融商品、例えば株式、債券を取扱う金融商品取引管理システムにおいても本発明を適用できる。
【0098】
以上示した通り、この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおいては、同一種類の金融商品における複数のイフダンオーダーの指値注文を一の注文手続によって行うことができるため、システムを利用する顧客の利便性を高めることができる。
【0099】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0100】
1A・・・金融商品取引管理システム
1・・・金融商品取引管理装置
2、21~2n・・・クライアント端末
12・・・注文入力受付部(注文入力受付手段)
14・・・約定情報生成部(約定情報生成手段)
16・・・注文情報生成部(注文情報生成手段)
51A,51C,51E・・・第一注文情報
51B,51D,51F・・・第二注文情報
181・・・注文テーブル(注文情報記録手段)