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  • 特許-紙製チューブ容器及びその製造方法 図1
  • 特許-紙製チューブ容器及びその製造方法 図2
  • 特許-紙製チューブ容器及びその製造方法 図3
  • 特許-紙製チューブ容器及びその製造方法 図4
  • 特許-紙製チューブ容器及びその製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】紙製チューブ容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/10 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B65D35/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023076441
(22)【出願日】2023-05-08
【審査請求日】2023-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509029885
【氏名又は名称】株式会社ベッセル・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】滝井 博久
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実公平07-045311(JP,Y2)
【文献】特開2022-026738(JP,A)
【文献】特開2022-056686(JP,A)
【文献】特開平06-047805(JP,A)
【文献】国際公開第2011/083499(WO,A2)
【文献】特開平05-085553(JP,A)
【文献】国際公開第2022/177024(WO,A1)
【文献】特開2022-042000(JP,A)
【文献】特開平06-001363(JP,A)
【文献】特開平5-112366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材の両面に熱可塑性樹脂がラミネート加工された矩形状の積層シートを丸めて重合端部が溶着された円筒状の胴部を有する紙製チューブ容器において、
前記積層シートは、内側から順に内溶着層、バリア層、接着層、紙材層、接着層、外溶着層を備え
前記紙材層は、竹を原料とするパルプからなるクラフト紙とし、
前記胴部の前記重合端部の内側と外側に、それぞれポリエチレン製の溶着テープを重ねて同時に溶着したことを特徴とする紙製チューブ容器。
【請求項2】
請求項1に記載の紙製チューブ容器の製造方法において、
前記積層シートを円筒状に丸める成形工程と、
前記積層シートの内側と外側との前記重合端部にそれぞれポリエチレン製の溶着テープを重ねて配置する配置工程と、
前記積層シートの前記重合端部に重ねた前記溶着テープと前記重合端部とを同時に溶着することを特徴とする紙製チューブ容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート加工された紙材をチューブ容器の胴部に使用した紙製チューブ容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラミネート加工された紙材で胴部を形成したチューブ容器は、化石燃料の使用量を大幅に削減する環境保護の観点から注目されている。このような紙材を使用したチューブ容器が特許文献1、2に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のチューブ容器は、積層体の外側の第1シーラント層12と内側の第2シーラント層15との間に紙基材層13を積層した積層体を使用する。この積層体でチューブ容器の胴部31を形成する際に、積層体の端部を重ねて外側の第1シーラント層12に内側の第2シーラント層15を溶着するものである。
【0004】
一方、特許文献2に記載の押出チューブは、天然パルプとポリエチレンパルプとからなる合成紙を使用した紙層3をポリエチレン層4,8の間に積層した積層材料9を用いるものである。そして、この積層材料9の端部を重ねてヒートシール10すると、ヒートシール10された端部に、ポリエチレン層4,8と紙層3のポリエチレンパルプとから溶融したポリエチレンがポリエチレン被覆11になって端部を被覆する構成である。
【0005】
すなわち、天然パルプとポリエチレンパルプとの合成紙で紙層3を形成することで、紙層3の端部のシール性を向上させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-160280号公報
【文献】実公平5-3316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、ポリエチレン等のシール材の間に積層された紙材は、表面の防水力は高くても、紙材の端部は露出した状態になっている。そのため、紙材の端部から内部に水分等が染み込む可能性がある。
【0008】
すなわち、特許文献1に記載の胴部は、胴部を形成した紙基材層13の端部が露出状態になっているので、紙基材層13の端部から水分等が浸透するおそれがあり、胴部の防水力は極めて脆弱になる。
【0009】
一方、特許文献2に記載の胴部は、紙層3を天然パルプとポリエチレンパルプとの合成紙で形成するので防水力は高まるとしても、紙層3の材質がこの合成紙に限られる不都合がある。しかも、紙層3として使用する材料は、ポリエチレンパルプを含む合成紙なので、紙層3に含まれる天然パルプの量が少なくなり化石燃料の使用量を削減する環境保護においても課題を残している。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、紙製チューブ容器において、防水性に優れ、使用する紙材を自由に選択することができる紙製チューブ容器及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における第1の手段は、紙材の両面に熱可塑性樹脂がラミネート加工された矩形状の積層シート10を丸めて重合端部が溶着された円筒状の胴部1を有する紙製チューブ容器において、
前記積層シート10は、内側から順に内溶着層11、バリア層13、接着層12、紙材層14、接着層12、外溶着層15を備え
前記紙材層14は、竹を原料とするパルプからなるクラフト紙とし、
前記胴部1の前記重合端部の内側と外側に、それぞれポリエチレン製の溶着テープ2を重ねて同時に溶着したものである。
【0015】
第2の手段は、請求項1に記載の紙製チューブ容器の製造方法において、前記積層シート10を円筒状に丸める成形工程と、前記積層シート10の内側と外側との前記重合端部にそれぞれポリエチレン製の溶着テープ2を重ねて配置する配置工程と、前記積層シート10の前記重合端部に重ねた前記溶着テープ2と前記重合端部とを同時に溶着する製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のごとく、胴部1の重合端部の内側と外側とに熱可塑性樹脂の被覆材をそれぞれ重ねて溶着したことにより、胴部1を構成する紙材の端部が密封された状態になり、強力な接合力が得られる。
【0018】
胴部1を形成する紙材は、竹を原料とするパルプからなるクラフト紙とすることで、安価で強度に優れた胴部1を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の胴部を構成する積層シートを示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図2】本発明の胴部に溶着テープを配置した状態を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図3】本発明の胴部にホーンを配置した状態を示す断面図である。
図4】本発明の胴部を溶着テープと共に溶着した状態を示す断面図である。
図5】本発明の胴部を構成する積層シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明チューブ容器は、両面に熱可塑性樹脂がラミネート加工された紙材を丸めて円筒状の胴部1を形成した紙製チューブ容器である(図1参照)。図示の胴部1は、内側から順に内溶着層11、バリア層13、接着層12、紙材層14、接着層12、外溶着層15を重合した積層シート10にて構成されている(図5参照)。
【0021】
円筒状の胴部1の重合部は、この積層シート10の内溶着層11と外溶着層15とが重合して溶着される。このとき、積層シート10の重合部の内側と外側に沿って熱可塑性樹脂の被覆材が重ねて溶着される(図2(a)参照)。図示の被覆材は、ポリエチレン製の溶着テープ2とするもので、重合部の内側と外側とに沿ってそれぞれ重ねて配置されている(図2(b)参照)。
【0022】
そして、各溶着テープ2の外側にホーンPを配置し、胴部1の重合部と共に、各溶着テープ2を高周波、超音波、熱シール等で胴部1に同時に溶着する(図3参照)。胴部1の重合部に溶着テープ2を重ねて溶着すると、積層シート10の重合端部は溶着したポリエチレンで被覆された状態になる(図4参照)。
【0023】
溶着テープ2に使用するポリエチレンは、たとえば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどである。また、この熱可塑性樹脂は、この他、ポリプロピレンやポリエステルなど任意に変更することが可能である。
【0024】
一方、胴部1を形成する紙材は積層シート10の紙材層14として配されている。この紙材は、木材又は竹を原料とするパルプからなるクラフト紙を使用すると、強度やコストにおいて好適である。また他の原料のパルプを利用することも可能である。
【0025】
積層シート10の各層を接着する接着層12の材質は、ドライラミネート構造の場合、例えば、ポリエステル系やポリエーテル系などの接着剤があり、有機溶剤で適当な粘度に希釈して使用する。更に、耐熱性や耐薬品性などの機能を追加するために必要な接着剤を選定することができる。また、押出しラミネート構造の場合、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが接着材として使用される。このように接着層12の材質も任意の変更が可能である。
【0026】
積層シート10のバリア層13は、胴部1にガスバリア機能を備えるための層で、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムなどが使用される。また、蒸着フィルムや金属箔等を用いたバリア層を形成するなど、バリア層13の材質も任意に変更することができる。
【0027】
本発明の製造方法は、積層シート10を円筒状に丸める成形工程と、積層シート10の重合部に熱可塑性樹脂の被覆材を配置する配置工程と、この被覆材を積層シート10の重合部と共に溶着する溶着工程と、を備えている。
【0028】
成形工程は、積層シート10を円筒状に丸める工程で、積層シート10の外溶着層15に内溶着層11が重合した状態になる(図1(b)参照)。これらの外溶着層15と内溶着層11は、いずれもポリエチレン等の熱可塑性樹脂が使用される。
【0029】
配置工程は、積層シート10の重合部に被覆材を溶着する工程で、重合部の内外側面で被覆材の形状を変更することができる。例えば、図2に示す被覆材は重合部の内外側面にポリエチレン製の溶着テープ2を配置したものである。
【0030】
溶着工程は、積層シート10の重合部の内外側面に配置した被覆材をそれぞれ溶着する工程である。すなわち、重合部の内側面に配置したポリエチレン製の溶着テープ2は、積層シート10の重合部と共に一対の超音波用のホーンPの間で同時に溶着する(図3(b)参照)。このときの溶着手段は、高周波、超音波、熱シールが選択される。
【0031】
尚、本発明の各部の形状やサイズ、材質等は実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において自由に変更できるものである。
【符号の説明】
【0032】
P ホーン
1 胴部
2 溶着テープ
10 積層シート
11 内溶着層
12 接着層
13 バリア層
14 紙材層
15 外溶着層
【要約】
【課題】防水性に優れ、使用する紙材を自由に選択することができる紙製チューブ容器を提供する。
【解決手段】紙材の両面に熱可塑性樹脂がラミネート加工された積層シート10を形成する。積層シート10を丸めて円筒状の胴部1を形成する。胴部1の内外の重合端部に沿って熱可塑性樹脂の被覆材を重ねて溶着する。紙材は、木材又は竹を原料とするパルプからなるクラフト紙とする。積層シート10と被覆材の熱可塑性樹脂はポリエチレンとする。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5