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特許7452926極高繰り返し率を有するレーザパルスを生成するためのレーザシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】極高繰り返し率を有するレーザパルスを生成するためのレーザシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20240312BHJP
   H01S 3/1106 20230101ALI20240312BHJP
   H01S 3/23 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
H01S3/1106
H01S3/23
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020537459
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 FR2019050051
(87)【国際公開番号】W WO2019138192
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】1850249
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514010656
【氏名又は名称】アンプリテュード
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】オニンジェ クルマン
(72)【発明者】
【氏名】オードゥアール エリック
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-250946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0050235(US,A1)
【文献】特開2003-143073(JP,A)
【文献】特開2003-270551(JP,A)
【文献】特表2017-520806(JP,A)
【文献】特表2007-508694(JP,A)
【文献】特開平11-038259(JP,A)
【文献】特表2014-515886(JP,A)
【文献】J. Magne; J. Bolger, et al.,Generation of a 4×100 GHz pulse-train from a single-wavelength 10-GHz mode-locked laser using superimposed fiber Bragg gratings and nonlinear conversion,Journal of Lightwave Technology,米国,IEEE,2006年,Vol. 24, No. 5,p.2091-2099,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=1632246,DOI: 10.1109/JLT.2006.872682
【文献】Can Kerse et al.,3.5-GHz intra-burst repetition rate ultrafast Yb-doped fiber laser,Optics Communications,UK,2016年,Vol.366,p.404-409,http://doi.org/10.1016/j.optcom.2015.12.064
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 800メガヘルツ以上の第1の繰り返し周波数(F1)において、フェムト秒又はピコ秒持続時間の一連のソースパルス(100)を含むソースレーザビームを生成するように適合されたモードロッキング発振器(1)と、
- 極高繰り返し周波数の一連のレーザパルスを生成するために、前記一連のソースパルス(100)を受信し、且つ前記第1の繰り返し周波数(F1)に等しいか又はその倍数であって、2または4の自然整数である倍数である第2の繰り返し周波数(F2)に増幅するように適合された光増幅器システム(2)と
を含み、前記光増幅器システム(2)は、カスケードに配置されたいくつかの光増幅器(21,22,・・・,2N)を含み、このいくつかの光増幅器(21,22,・・・,2N)は、光パワー増幅器(22,2N)を備え、
-発振器(1)の下流で、光パワー増幅器(22,2N)の上流に置かれたパルスピッカー(3)をさらに含み、このパルスピッカー(3)は、第1の繰り返し周波数(F1)に等しいバースト内繰り返し周波数を有するバーストのパルス(30)を選択し、そして該バーストのパルスを光パワー増幅器(22,2N)に注入するように適合されており、
-前記発振器(1)と前記光増幅器システム(2)との間に配置された繰り返し周波数逓倍器装置(4、44)をさらに含み、前記繰り返し周波数逓倍器装置(4、44)は、前記第1の繰り返し周波数(F1)における前記バーストのパルスを受け、そして、前記第2の繰り返し周波数(F2)におけるバースト内繰り返し周波数を有するバーストのパルスを形成し、前記第2の繰り返し周波数(F2)が10GHz以上である
ことを特徴とする固体材料のアブレーションのための極高速レーザシステム。
【請求項2】
前記繰り返し周波数逓倍器装置(4、44)は、第1の光結合器-分割器(41)、第1の光学遅延線(51)及び第1の出力(S1)を有する第2の光結合器-分割器(42)を含み、前記第1の光結合器-分割器(41)は、前記ソースレーザビーム(100)を前記第1の繰り返し周波数(F1)における第1のパルスビーム(110)及び前記第1の繰り返し周波数(F1)における第2のパルスビーム(120)に空間的に分割するように適合され、前記第1の光学遅延線(51)は、前記第1の繰り返し周波数(F1)における前記第2のパルスビーム(120)の軌道上の前記第1の光結合器-分割器(41)と前記第2の光結合器-分割器(42)との間に配置され、前記第1の光学遅延線(51)は、前記第2のパルスビーム(120)上において、前記第1の繰り返し周波数(F1)の半周期に等しい光学遅延を誘起し、且つ半周期だけ遅延された第2のパルスビーム(130)を生成するように適合され、及び前記第2の光結合器-分割器(42)は、前記第1のパルスビーム(110)と、半周期だけ遅延された前記第2のパルスビーム(130)とを再合成し、且つ第1の再合成ビーム(142)を前記第1の出力(S1)上に形成するように適合され、ここで、前記パルスは、前記第1の繰り返し周波数(F1)の2倍に等しい前記第2の繰り返し周波数(F2)において定格化される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記第2の光結合器-分割器(42)は、第2の出力(S2)を有し、前記第2の光結合器-分割器(42)は、前記第1の繰り返し周波数(F1)の2倍に等しい前記第2の繰り返し周波数(F2)におけるパルスを含む第2の再合成ビーム(152)を前記第2の出力(S2)上に形成するように適合され、前記第1の再合成ビーム(142)及び前記第2の再合成ビーム(152)は、前記第2の光結合器-分割器(42)の前記出力において互いの間で同期される、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記繰り返し周波数逓倍器装置(44)は、第2の光学遅延線(52)と、第1の出力(S1)を有する光合成器(49)とを含み、前記第2の光学遅延線(52)は、前記第2のパルスビーム(152)の軌道上の前記第2の光結合器-分割器(42)と前記光合成器(49)との間に配置され、前記第2の光学遅延線(52)は、前記第2の再合成ビーム(152)上において、前記第1の繰り返し周波数(F1)の周期の4分の1に等しい光学遅延を誘起し、且つ周期の4分の1だけ遅延された第2のパルスビーム(162)を生成するように適合され、及び前記光合成器(49)は、前記第1の再合成ビーム(142)と、周期の4分の1だけ遅延された前記第2のパルスビーム(162)とを再合成し、且つ第1の4倍繰り返し周波数ビーム(170)であって、前記第1の繰り返し周波数(F1)の4倍に等しい第3の繰り返し周波数におけるパルスを含む第1の4倍繰り返し周波数ビーム(170)をその第1の出力(S1)上に形成するように適合される、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記光合成器(49)は、第2の出力(S2)を有し、前記光合成器(49)は、第2の4倍繰り返し周波数ビーム(180)であって、前記第1の繰り返し周波数(F1)の4倍に等しい前記第3の繰り返し周波数におけるパルスを含む第2の4倍繰り返し周波数ビーム(180)をその第2の出力(S2)上に形成するように適合され、前記第1の4倍繰り返し周波数ビーム(170)及び前記第2の4倍繰り返し周波数ビーム(180)は、前記光合成器(49)の前記出力において互いの間で同期される、請求項4に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記第1の光結合器-分割器(41)、前記第2の光結合器-分割器(42)及び前記光合成器(49)は、偏光又は偏光保持結合器であり、且つ前記第1の4倍繰り返し周波数ビーム(170)及び前記第2の4倍繰り返し周波数ビーム(180)を合成するように適合された偏光子装置をさらに含む、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記第2の光結合器-分割器(42)の前記第1の出力(S1)上に配置されたパルス圧縮器(8)及び/又は前記第2の光結合器-分割器(42)の前記第2の出力(S2)上に置かれた別のパルス圧縮器をさらに含む、請求項3に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記光合成器(49)の前記第1の出力(S1)上に置かれたパルス圧縮器(8)及び/又は前記光合成器(49)の前記第2の出力(S2)上に置かれた別のパルス圧縮器(8)をさらに含む、請求項5に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記モードロッキング発振器は、半導体発振器若しくは固体発振器、ハイブリッド発振器又はファイバ光学発振器の中から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記光増幅器システム(2)は、以下の種類の光増幅器:能動光ファイバ増幅器及び/又は水晶増幅器の中から選択される光増幅器(21)又は複数の光増幅器(21、22、...、2N)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項11】
非線形光周波数ダブラー又は光周波数トリプラー光学系を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記パルスピッカー(3)は、前記パルスのバーストを振幅において変調するように適合される、請求項1~11のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記光増幅器システム(2)の下流に置かれた光変調器(9)をさらに含み、前記光変調器(9)は、増幅されたパルスのバースト又は複数のバースト(200)を選択し、且つ/又は前記増幅されたパルスのバースト又は複数のバーストを振幅において変調するように適合される、請求項1~12のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、パルスレーザの分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、超短且つ高パワーパルスレーザシステムに関する。
【0003】
本発明は、特に、変調可能繰り返し周波数を有する超短高パワーレーザパルスを生成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
パルスレーザにより発射されるパルスの繰り返し率又は周波数は、多くの場合、使用されるアーキテクチャ及びレーザビームの所望の仕様に応じて判断される。
【0005】
主発振器パワー増幅器(MOPA)タイプのアーキテクチャが高パワーレーザソースを作るために一般的に使用される。この場合、主発振器と呼ばれるソースは、ソースパルスからなるソース信号を生成する。このソース信号は、1つの増幅段又は直列のいくつかの増幅段を含む光増幅器システムにおいて増幅される。様々なタイプのソースが存在する。ソース(特にその発振器空洞長が繰り返し周波数を規定するモードロッキングレーザに基づくソース)は、パルス化され得る。パルスソースは、切り替え型発振器(Qスイッチ)にも基づき得る。
【0006】
いくつかの用途では、ユーザは、レーザパルスの超短持続時間及びエネルギーを維持する一方、入射レーザビームのパワーを増加する必要があり得る。
【0007】
パルス繰り返し周波数の増加は、レーザビームのパワーを増加することを可能にし得るが、1パルス当たりのエネルギーの損失に繋がる(刊行物Can Kerse et al.,“3.5 GHz intra-burst repetition rate ultrafast Yb-doped fiber laser”,Optics Communication 366,2016,404-409を参照されたい)。
【0008】
刊行物J.Magne et al.,“Generation of a 4x100GHz pulse-train from a single-wavelength 10-GHz mode-locked laser using superimposed fiber Bragg gratings and nonlinear conversion”,Journal of Lightwave Technology,vol.24,no.5,2006は、重畳型ファイバブラッグ格子(FBG)に基づく繰り返し周波数逓倍器について説明している。
【0009】
刊行物Elsmere S.P.et al.“High-repetition-rate subpicosecond source of fiber-amplified Vertical-External-Cavity Surface-Emitting Semiconductor Laser pulses”,IEEE Photonics Technology Letters,vol.20,no.8,2008は、モードロッキング可飽和吸収体(SESAM)空洞に組み込まれたVECSELタイプの半導体レーザ(数ギガヘルツの繰り返し周波数でパルスを直接発射する)について説明している。
【0010】
刊行物Michelle Y Sander et al.“10GHz waveguide interleaved femtosecond pulse train”,2011,Conference on Lasers and Electro-Optics(CLEO)2011は、2倍又は4倍発振器周波数で一連のfsパルスを生成するように熱的に調整可能なMach-Zehnder干渉計を含む平面回路に一体化された導波管装置に結合されたフェムト秒(fs)発振器を含むレーザソースについて説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
工業用途の極高エネルギー及び/又は極高速において高パワーレーザパルスを生成するように適合されたレーザシステムを開発することが望ましい。
【0012】
一般的に、光増幅器の数を制限する一方、パルスレーザソースにおいて利用可能なピークパワーを増加することが望ましい。
【0013】
特に変調可能繰り返し周波数(要求に応じたパルスから極高速パルス列まで及び得る)又は各バーストの及び/若しくは連続バースト間の変調可能持続時間を有する1つ若しくはいくつかのパルスのバーストにおいて、100nJ~10分の数μJの高パワー且つ高エネルギーのレーザパルスを生成するレーザシステムを開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従来技術の上述の欠点を改善するために、本発明は、極高速レーザシステムを提案する。
【0015】
より具体的には、本発明によると、800メガヘルツ以上の第1の繰り返し周波数F1において、フェムト秒又はピコ秒持続時間の一連のソースパルスを含むソースレーザビームを生成するように適合されたモードロッキング発振器と、極高繰り返し周波数の一連のレーザパルスを生成するために、一連のソースパルスを受信し、且つ第1の繰り返し周波数F1に等しいか又はその倍数であって、2以上の自然整数である倍数である第2の繰り返し周波数に増幅するように適合された光増幅器システムとを含む極高速レーザシステムが提案される。
【0016】
特定の且つ有利な実施形態によると、本レーザシステムは、発振器と光増幅器システムとの間に置かれた繰り返し周波数逓倍器装置をさらに含み、繰り返し周波数逓倍器装置は、第1の光結合器-分割器、第1の光学遅延線及び第1の出力を有する第2の光結合器-分割器を含み、第1の光結合器-分割器は、ソースレーザビームを第1の繰り返し周波数における第1のパルスビーム及び第1の繰り返し周波数における第2のパルスビームに空間的に分割するように適合され、第1の光学遅延線は、第1の繰り返し周波数における第2のパルスビームの軌道上の第1の光結合器-分割器と第2の光結合器-分割器との間に配置され、第1の光学遅延線は、第2のパルスビーム上において、第1の繰り返し周波数の半周期に等しい光学遅延を誘起し、且つ半周期だけ遅延された第2のパルスビームを生成するように適合され、及び第2の光結合器-分割器は、第1のビームと、半周期だけ遅延された第2のビームとを再合成し、且つ第1の再合成ビームを第1の出力上に形成するように適合され、ここで、パルスは、第1の繰り返し周波数の2倍に等しい第2の繰り返し周波数において定格化される。
【0017】
有利には、第2の光結合器-分割器は、第2の出力を有し、第2の光結合器-分割器は、第1の繰り返し周波数の2倍に等しい第2の繰り返し周波数におけるパルスを含む第2の再合成ビームを第2の出力上に形成するように適合され、第1の再合成ビーム及び第2の再合成ビームは、第2の光結合器-分割器の出力において互いの間で同期される。
【0018】
この実施形態の変形形態によると、繰り返し周波数逓倍器装置は、第2の光学遅延線と、第1の出力を有する光合成器とを含み、第2の光学遅延線は、第2の再合成ビームの軌道上の第2の光結合器-分割器と光合成器との間に配置され、第2の光学遅延線は、第2の再合成ビーム上において、第1の繰り返し周波数の周期の4分の1に等しい光学遅延を誘起し、且つ周期の4分の1だけ遅延された第2のパルスビームを生成するように適合され、及び光合成器は、第1の再合成ビームと、周期の4分の1だけ遅延された第2のパルスビームとを再合成し、且つ第1の4倍繰り返し周波数ビームであって、第1の繰り返し周波数の4倍に等しい第3の繰り返し周波数におけるパルスを含む第1の4倍繰り返し周波数ビームをその第1の出力上に形成するように適合される。
【0019】
有利には、光合成器は、第2の出力を有し、光合成器は、第2の4倍繰り返し周波数ビームであって、第1の繰り返し周波数の4倍に等しい第3の繰り返し周波数におけるパルスを含む第2の4倍繰り返し周波数ビームをその第2の出力上に形成するように適合され、第1の4倍繰り返し周波数ビーム及び第2の4倍繰り返し周波数ビームは、光合成器の出力において互いの間で同期される。
【0020】
特定の且つ有利な態様によると、第1の光結合器-分割器、第2の光結合器-分割器及び光合成器は、それぞれ偏光又は偏光保持結合器であり、且つ第1の再合成ビーム及び第2の再合成ビーム又は第1の4倍繰り返し周波数ビーム及び第2の4倍繰り返し周波数ビームをそれぞれ合成するように適合された偏光子装置をさらに含む。
【0021】
別の特定の且つ有利な態様によると、本レーザシステムは、第2の光結合器-分割器の第1の出力上に置かれたパルス圧縮器及び/又は第2の光結合器-分割器の第2の出力上に置かれた別のパルス圧縮器をさらに含む。
【0022】
さらに別の特定の且つ有利な態様によると、本レーザシステムは、光合成器の第1の出力上に置かれたパルス圧縮器及び/又は光合成器の第2の出力上に置かれた別のパルス圧縮器をさらに含む。
【0023】
個々に採用される本発明による又はすべての技術的に可能な組み合わせによるレーザシステムの他の非限定的且つ有利な特徴は、以下のとおりである:
- モードロッキング発振器は、例えば、ソリトン状態で動作する半導体発振器若しくは固体発振器、7cm~10cmに含まれる長さの高ドープファイバを有する発振器又はファイバ活性媒体として約15cm以下である(例えば、7cm~10cmに含まれる)長さの極短高ドープファイバを有するハイブリッドファイバ/固体発振器の中から選択される;
- 光増幅器システムは、以下の種類の光増幅器:能動光ファイバ増幅器及び/又は水晶増幅器の中から選択される光増幅器又は複数の光増幅器を含む;
- 水晶増幅器は、棒、スラブ又は薄い円盤タイプである;
- 光増幅器システムは、カスケードに配置された複数の光増幅器を含み、複数の光増幅器は、光パワー増幅器を含む;
- 本レーザシステムは、非線形光周波数ダブラー又は光周波数トリプラー光学系をさらに含む;
- 本レーザシステムは、発振器の下流且つそれぞれ光増幅器システム又は光パワー増幅器の上流に置かれたパルスピッカーをさらに含み、パルスピッカーは、パルスのバーストを選択し、且つ/又はそれを振幅において変調し、及びパルスのバーストを光増幅器システム内又は光パワー増幅器内にそれぞれ注入するように適合される;
- 本レーザシステムは、任意選択的に、パルスのバーストの相補的なパルスビームを生成するように適合された別のソースと、第2のビーム及びパルスのソースバーストを受信し、且つそれらを、パルスのバーストのバースト内繰り返し周波数に等しい繰り返し周波数を有する合成パルスビームに合成するように配置された別の結合器とをさらに含み、別の結合器は、この合成パルスビームを光増幅器システム内又は光パワー増幅器内に注入するように適合される。
- 本レーザシステムは、光増幅器システムの下流に置かれた光変調器をさらに含み、光変調器は、増幅されたパルスのバースト又は複数のバーストを選択し、且つ/又は増幅されたパルスのバースト又は複数のバーストを振幅において変調するように適合される。
【0024】
本発明は、極高速レーザパルスを生成する方法であって、
- 800メガヘルツ以上の第1の繰り返し周波数を有する発振器により、フェムト秒又はピコ秒持続時間の一連のソースパルスを生成する工程と、
- 一連の極高速レーザプラスを生成するために、一連のソースパルスを、第1の繰り返し周波数(F1)に等しいか又はその倍数であって、2以上の自然整数である倍数である第2の繰り返し周波数に光学的に増幅する工程と
を含む方法も提案する。
【0025】
非限定的例により与えられる添付図面に関連する以下の説明は、本発明がどのようなものから構成されるか及び本発明がどのように実施され得るかの良好な理解を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】極高速発振器に基づく、本発明によるレーザシステムを概略的に示す。
図2】極高速で動作するフェムト秒レーザ発振器の例示的実施形態を概略的に示す。
図3】極高速で動作するフェムト秒レーザ発振器の別の例示的実施形態を概略的に示す。
図4】極高速発振器に基づく、本発明の第1の実施形態によるレーザシステムを概略的に示す。
図5】パルスピッカーをさらに含む、本発明の第2の実施形態によるレーザシステムを概略的に示す。
図6】光パワー増幅器システムの反転安定化装置を含む、本発明の第3の実施形態によるレーザシステムを概略的に示す。
図7】実施形態の1つと組み合わせて使用されるように意図された繰り返し周波数ダブラーの構造を概略的に示す。
図8】本発明の実施形態の1つと組み合わせて使用されるように意図された4倍繰り返し周波数逓倍器の構造を概略的に示す。
図9】極高速発振器から到来するソースパルスの一例を示す。
図10】極高速の高エネルギーレーザパルスのバーストの生成の一例を示す。
図11】極高速の高エネルギーレーザパルスのバーストの生成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
装置及び方法
図1は、1GHzに近い高速で動作するモードロック型発振器1、受動光ファイバ5、第1の能動光ファイバモノリシックサブシステム17及び自由空間内で動作する別の光サブシステム18に基づくレーザシステムの主部品をブロック図として示す。
【0028】
本明細書では、能動光ファイバにより意味するのは、光増幅器媒体として使用されるドープ光ファイバ(例えば、希土類元素ドープ光ファイバ)である。受動光ファイバにより意味するのは、光増幅器媒体として使用されず、主として透過機能を有する一般的非ドープ光ファイバである。
【0029】
従来のパルスレーザシステムでは、100MHz程度の(いかなる場合でも500MHzより低い)繰り返し周波数で動作する能動光ファイバ発振器が一般的に使用される。この周波数範囲内のファイバ発振器は、発振器動作に必要なすべての機能を一体化するために少なくとも20cmの長さを有する空洞に対応する。
【0030】
発振器1は、ここで、F1で表される第1の繰り返し周波数において超短ソースパルス100を生成するフェムト秒(又はピコ秒)発振器である。500MHz以上、好適には800MHz以上又はさらに1GHz以上の第1の繰り返し周波数F1において動作する発振器が選択される。
【0031】
発振器1は、好適には、モードロッキング発振器である。一例では、発振器1は、ソリトン状態で動作する半導体発振器(VCSELタイプの)又は固体発振器でもある。別の変形形態では、発振器1は、自由空間内の素子と数cm長の高ドープ光ファイバとを含むハイブリッド発振器である。
【0032】
発振器1は、1パルス当たり1~100pJ程度の低エネルギーの超短ソースパルス100を生成する。このレベルの1パルス当たりエネルギーは、ガラス、半導体又は金属などの固体材料のアブレーション閾値に達するために必要とされる、100mJ/cmを超えるエネルギーよりはるかに低い。
【0033】
2価又は3価化合物半導体(例えば、VCSELタイプのInGaAs、InP又はInGaP)に基づく発振器は、ソースパルスの波長を、約1030nmの波長で動作するイッテルビウムドープ能動光ファイバ増幅器及び/若しくは約1500nmの波長で動作するエルビウムドープ能動光ファイバ増幅器又は約2000nmの波長で動作するツリウム若しくはホルミウムドープ能動光ファイバ増幅器にも適合する広スペクトル帯に容易に調節することを可能にする。さらに、VCSELタイプの発振器は、10GHz又は20GHzまで及ぶ繰り返し周波数範囲内で動作するように適合される。
【0034】
第1の能動光ファイバモノリシックサブシステム17は、例えば、能動光ファイバ増幅器システム2(例えば、能動光ファイバ前置増幅器を含む)と、場合により1つ又はいくつかの能動光ファイバパワー増幅器とを含む。有利には、第1のサブシステム17は、能動光ファイバ前置増幅器と能動光ファイバパワー増幅器との間に配置されるパルスピッカー3、及び/又はパルス伸長器6、及び/又は光アイソレータ7をさらに含む。パルス伸長器6は、好適には、好適な長さの受動光ファイバ、又はチャープブラッグ格子、又は比分散光ファイバ(バンドギャップファイバ)でも構成される。
【0035】
他の光サブシステム18は、例えば、光アイソレータ(場合により光パワー増幅器)、パルス圧縮器8及び/又は光変調器9を含む。周知の方法において、パルス圧縮器8は、光パワー増幅の上流の第1のサブシステム17のパルス伸長器6において伸縮パルスを再圧縮するように動作する。光変調器9は、光ゲートの機能を有し、出力において1つ又はいくつかのパルス列を選択するように動作する。
【0036】
図1のレーザシステムは、1ギガヘルツ(GHz)以上の繰り返し周波数においてフェムト秒レーザパルス列900を生成すること、又は1ギガヘルツ(GHz)以上のバースト内繰り返し周波数において、且つ例えば100Hz、若しくは100kHz、若しくは1MHz程度以上のバースト間繰り返し周波数においてフェムト秒レーザパルスバースト列を生成することを可能にする。
【0037】
図2は、モードロック型高繰り返し周波数発振器の構成の詳細な一例を示す。モードロック型発振器1は、ポンプ11、入力光学系12、鏡M1、M2、M3、M4及びM5を含む共振光空洞、共振光空洞内に配置されたレーザ活性媒体10並びに出力光学系13を含む。好適には、レーザ活性媒体10は、例えば、10mmに等しい厚さを有するレーザ水晶で構成される。レーザ活性媒体10は、例えば、受動固体マトリクス(ガラス、YAG、KGW、ファイバなど)と、希土類イオン(ほとんどの場合、イッテルビウム又はエルビウム、ツリウム又はホルミウム)ベース能動ドーパントとで構成される。共振空洞内の往復の光路長は、15cm程度である。約7cm~10cmの最大長の水晶又は極高ドープ且つ極短能動ファイバは、比較的低いドープ能動光ファイバに基づく活性媒体と比較して、水晶又は能動ファイバそれぞれの光学指標により割られた実長により定義された共振空洞の光路長を著しく低減すること、したがって極高い第1の繰り返し周波数F1を(構築により)有するレーザ発振器を作ることを可能にする。ここで、水晶又は極高ドープ光ファイバにより意味するのは、ポンプ波長における吸収長さが水晶又は光ファイバ長さよりはるかに(係数1又は2だけ)短くなるような方法で能動イオンによりドープされた水晶又は光ファイバである。実際、この場合、吸収の長さは、数cmより短い。
【0038】
例示的実施形態では、レーザ活性媒体10は、空中に置かれる。変形形態によると、レーザ活性媒体10は、無空気モノリシック構造を形成するために2つの非ドープガラス又は水晶ブロックにより共振空洞の2つの末端鏡に固定される水晶である。
【0039】
ポンプダイオード11は、連続的又はほぼ連続的ポンプ放射111を生成する。入力光学系12は、鏡M2を介して空洞の長手方向光軸19に沿ってポンプ放射111を共振光空洞内に注入する。鏡M2は、ポンプ放射111に対して透明である。入力光学系12は、例えば、レンズ光学系である。入力光学系12は、ポンプ放射111を活性レーザ媒体10に収束させる。活性レーザ媒体10は、ソースレーザビームを発射する。鏡M1、M2、M4及びM5は、ソースレーザビームに対して反射性である。鏡M5は、モードロッキング効果を開始及び維持することを可能にする半導体可飽和吸収体を含む。鏡M3は、ソースレーザビームに対して部分的に反射性且つ部分的に透明である。
【0040】
例示的実施形態では、入力光学系12と活性レーザ媒体10との間の距離L1は、約60mmであり、凹面鏡M2の中心と活性レーザ媒体10を形成する水晶の面との間の距離L2は、約15mmであり、凹面鏡M1の中心と活性レーザ水晶10の他の面との間の距離L3は、約15mmであり、凹面鏡M1と鏡M4との間の距離は、約66mmであり、鏡M4と鏡M5との間の距離は、約15mmであり、及び凹面鏡M2と鏡M3との間の距離は、約60mmである。空洞の物理的長さは、約170mmである。このとき、繰り返し周波数F1は、880MHzであり、繰り返し周期は、約1.1nsである。
【0041】
知られているように、共振光空洞は、800メガヘルツ(MHZ)以上の第1の繰り返し周波数(F1)において、フェムト秒持続時間のソースパルス列100を含むソースレーザビームを共振光空洞の出力において生成するようにロックモードで動作するように構成される。出力光学系13は、パルスソースレーザビームを受動光ファイバ5内に注入する。
【0042】
受動光ファイバ5は、パルスソースレーザビームを第1のモノリシックサブシステム17内に注入する。光増幅器システム2は、ソースパルス100を増幅し、第1の繰り返し周波数(F1)におけるレーザパルスを形成する。有利には、パルスピッカー3は、第1の繰り返し周波数(F1)に等しいバースト内繰り返し周波数を有するパルスのバーストを形成するいくつかのパルスを選択する。代替形態として、パルスピッカー3は、パルスのいくつかのバーストを選択する。特定の実施形態では、パルスピッカー3は、パルスの1つ又はいくつかのバーストを生成するために所定のパルス数を選択する。
【0043】
図3は、モードロック型高繰り返し周波数発振器の構成の別の詳細な例を示す。同じ参照符号は、図1~2と同じ素子を表す。図3の構成では、共振光空洞は、レーザ活性媒体10、鏡M1、鏡M2及び鏡M3のみを含む。図3に示す空洞の長さは、図2に示すものより短い。したがって、図3の構成は、より高い(例えば、1GHzより高い)第1の繰り返し周波数F1を得ることを可能にする。
【0044】
図4は、発振器1と光増幅器システム2とを含むレーザシステムを示す。
【0045】
光増幅器システム2は、1つの光増幅器又はカスケードに配置されたいくつかの光増幅器を含む。光増幅器システム2は、1つ又はいくつかの能動光ファイバ増幅器、及び/又は水晶増幅器、及び/又はハイブリッド増幅器システムで構成される。本明細書では、ハイブリッド増幅器システムにより意味するのは、少なくとも1つのファイバ増幅器と少なくとも1つの水晶増幅器との組み合わせを含むシステムである。例えば、光増幅器システム2は、第1の光増幅器21又は前置増幅器、第2の光増幅器22及び第nの光増幅器2Nを含む。光増幅器22、...、2Nは、例えば、光パワー増幅器である。
【0046】
図4に示す第1の実施形態では、発振器1は、第1の繰り返し周波数F1における一連のソースパルス100を含むソースレーザビームを生成する。光増幅器システム2は、第1の繰り返し周波数F1における一連のレーザパルス200を形成するために、一連のソースパルス100を受信してそれらを増幅する。この第1の実施形態は、極高い第1の繰り返し周波数F1におけるレーザパルス200を生成することを可能にする。しかし、平均パワーは、光増幅器システム2により制限されるため、各レーザパルス200のエネルギーは、極高繰り返し周波数F1により制限される。例示的実施形態では、受動ファイバ伸長器、単一モードファイバ前置増幅器及びワイドコア単一モードファイバ増幅器を含む光増幅器システム2と組み合わされた880MHzの第1の繰り返し周波数F1における持続時間約250fsのソースパルスを生成する発振器1が考察される。光増幅器システム2の出力における平均パワーは、20W程度である。この場合、レーザパルス200は、1.1nsだけ時間的に分離され、エネルギーEは、出力S上で1レーザパルス200当たり約10分の数ナノジュールに制限され、kW程度の平均パワーに関してマイクロジュールに達する可能性がある。1パルス当たりエネルギーのこのレベルは、発振器1の出力におけるものよりはるかに高い。しかし、エネルギーのこのレベルは、通常、ガラス、半導体又は金属などの固体材料8のアブレーション閾値を超えるには不十分であるが、高分子などの低アブレーション閾値材料に適し得る。
【0047】
それにもかかわらず、アブレーション効率は、1レーザパルス当たりのエネルギーのみに依存しないと思われる。したがって、比較的制限されたエネルギー及び極高繰り返し周波数F1における超短レーザパルスの印加は、いわゆるアブレーション冷却効果(アブレーション冷却材料除去)を得ることと、材料のアブレーションの効率を著しく増加することとを可能にする。
【0048】
図5~8では、同じ参照符号は、図1~4のものと同一又は同様の素子を表す。
【0049】
図5に示す第2の実施形態では、パルスピッカー3は、前置増幅器21とパワー増幅器22、...、2Nとの間に置かれる。発振器1が十分な(例えば、50mWより高い)パワーを供給する場合、パルスピッカー3は、発振器1と前置増幅器21との間にも置かれ得る。
【0050】
前置増幅器21は、事前増幅されたパルス210を形成するために、第1の繰り返し周波数F1においてソースパルス100を受信し、それらを第1の繰り返し周波数F1に増幅する。
【0051】
パルスピッカー3は、電気光学又は音響光学タイプの光変調器を含む。パルスピッカー3は、事前増幅されたパルス210を受信する。パルスピッカー3は、M個のパルス300(Mは、一般的には、1~1000に含まれる自然整数である)又は50~500個のパルス、好適には50~200個のパルスのバーストを選択する。パルスピッカー3は、100Hz~10MHz(100MHzまで及ぶ可能性がある)に含まれるF3で表される第3の繰り返し周波数においてパルスオンデマンドモード、バーストオンデマンドモード又は周期的バーストモードで動作し得る。2つのバースト間の時間間隔は、用途に従って変化し得る。この繰り返し周波数変動は、増幅器における利得動力学を修正し、1パルス当たりエネルギーの変動に至り得る。一例では、パルスピッカー3は、50%未満、好適には30%未満又はさらに20%未満の低減されたデューティサイクルで動作する。特定の実施形態では、パルスピッカー3は、約2MHzに等しい第3の繰り返し周波数F3において且つ18%のデューティサイクルでM≒80個のパルスのバーストを定期的に選択することにより動作する。
【0052】
本明細書では、バーストのデューティサイクルにより意味するのは、バーストの持続時間と2つの連続バースト間の時間間隔との比である。
【0053】
したがって、パルスピッカー3の出力において、パルス300は、第1の繰り返し周波数F1に等しいバースト内繰り返し周波数を有する。パルスピッカー3は、パルスの単一バースト又は2つの連続バースト間の所定の時間間隔を有するパルスのいくつかの連続バーストを選択し得る。特定の実施形態では、パルスピッカー3は、連続バースト間の一定時間間隔を有する周期的バーストを選択する。換言すれば、パルスピッカー3は、第3の繰り返し周波数F3に等しいバースト間繰り返し周波数で動作し得る。
【0054】
特定の実施形態によると、パルスピッカー3は、ユーザにより規定された包絡線に従ってパルスのバースト内のパルスの振幅を変調するように制御される。例えば、パルスピッカー3は、トップハット選択をパルスのバーストに適用する。したがって、選択されたバーストのパルスは、すべて同じ振幅を有する。代替形態として、パルスピッカー3は、立上りエッジ、平坦域及び立下りエッジを有する振幅変調を適用する。この場合、選択されたバーストのパルスは、増加振幅、次に一定振幅、次に減少振幅を有する。別の代替形態によると、パルスピッチ3は、鋸歯状振幅変調(例えば、バーストの第1のパルスに対して最大振幅及びそれ以降のパルスに対して減少振幅)を適用する。当業者は、パルスピッカー3の振幅変調プロファイルを用途に応じて容易に適合化することになる。
【0055】
M個のパルス300のバーストが光パワー増幅器22、...、2N内に注入される。したがって、光増幅器システム2は、第1の繰り返し周波数F1に等しいバースト内繰り返し周波数を有するレーザパルス500のバーストと、第3の繰り返し周波数F3に等しいバースト間繰り返し周波数とを出力S上に発射する。光パワー増幅器22、...、2Nは、第1の繰り返し周波数F1においてであるが、限定数Mのパルス全体にわたってパルス列と同じ平均パワーを供給する。その結果、バーストの増幅されたパルス500は、同じ光増幅器システム2により増幅された第1の繰り返し周波数F1におけるパルス列のパルスのエネルギーより高い1パルス当たりエネルギーを有する。したがって、トップハットバーストの場合、バーストのエネルギーは、第3の繰り返し周波数F3により割られたパワーに等しく、バースト内の1パルス当たりエネルギーは、バースト内のパルス数Mにより割られたこのバーストのエネルギーに等しい。
【0056】
したがって、バーストの各パルスは、用途に応じて10nJ~数μJに含まれるエネルギーに達するように増幅される。したがって、第2の実施形態は、第1のバースト内繰り返し周波数F1を低減することなく、1パルス当たりエネルギーを増加することを可能にする。
【0057】
さらに、パルスのバーストのエネルギーは、バーストの各パルスのエネルギーの合計に等しい。一方では、約80fs又はpsパルスのバーストであって、ナノ秒程度の持続時間を有するパルスのバーストを考慮し、他方では、考慮されるfs又はpsパルスのバーストの積算エネルギーと同じエネルギーを有するナノ秒持続時間のレーザパルスを考慮する。しかし、バーストの各パルスの持続時間は、フェムト秒又はピコ秒であるため、パルスのバーストのピークパワーは、ナノ秒パルスのピークパワーよりはるかに高い。バーストモードは、ナノ秒単一パルスと非常に異なる様式でエネルギーを時間に応じて分散することを可能にする。したがって、レーザ-材料相互作用は、強く変化される。
【0058】
したがって、第2の実施形態は、利用可能ピークパワーを増加することを可能にする。バースト内のパルスの数は、光増幅器システムの限界を考慮して選択される。
【0059】
次に、パルスレーザによる固体材料のアブレーションの効率は、1パルス当たりエネルギー、パルス持続時間だけでなく、バーストモードではバースト内繰り返し周波数及びパルスの増幅されたバーストのデューティサイクルにも依存するように思われる。したがって、比較的制限されたエネルギー及び極高バースト内繰り返し周波数F1の超短レーザパルスのバーストの印加は、アブレーション冷却効果(アブレーション冷却材料除去)を得ることと、材料のアブレーションの効率を増加すること、すなわち除去される材料の量を増加することとを可能にし得る。
【0060】
変形形態によると、レーザシステムは、光増幅器システム2の出力に配置された電気光学又は音響光学タイプの光変調器9をさらに含む。光変調器9は、例えば、図4に示されるパルスピッカー3を有しないシステムにおいて使用され得る。代替形態として、光変調器9は、例えば、図5~6に示されるパルスピッカー3を含むシステムにおいて使用される。光変調器9は、ユーザにより規定された包絡線に従って、増幅されたパルスの振幅を変調するように制御される。例えば、光変調器9は、トップハット選択を増幅されたパルスのバーストに適用する。したがって、選択されたバーストの増幅されたパルスは、すべて同じ振幅を有する。代替形態として、パルスピッカー3は、立上りエッジ、平坦域及び立下りエッジを有する振幅変調を適用する。この場合、選択されたバーストの増幅されたパルスは、増加振幅、次に一定振幅、次に減少振幅を有する。別の代替形態によると、光変調器9は、鋸歯状振幅変調(例えば、バーストの第1のパルスに対して最大振幅及びそれ以降のパルスに対して減少振幅)を適用する。当業者は、光変調器9の振幅変調プロファイルを用途に応じて容易に適合化することになる。
【0061】
しかし、第2の実施形態は、光パワー増幅器22、...、2Nの欠点を示し得る。実際、2つのバースト間の期間の変動は、利得不安定性を導入する可能性がある。
【0062】
光パワー増幅器の反転のレベル及び利得を安定化するために、図6に示す第3の実施形態が提案される。第3の実施形態は、M個のパルス300のバーストの相補的な第2の信号40を生成するように適合された別のソース14をさらに含む。
【0063】
結合器15は、光パワー増幅器の入力においてM個のパルス300のバーストと第2の信号40とを合成するように動作する。
【0064】
光増幅器システム2の出力において、結合器-分割器は、一方ではM個の増幅されたパルス500のバーストを、他方では増幅された第2の信号400を空間的に分割するように動作する。
【0065】
より正確には、本発明者らは、第2の信号40が、光パワー増幅器22、...、2Nにおいて、ユーザにより選択された次のM個のパルスのバーストを所望のレベルのエネルギーに増幅するために母集団の反転を正確に必要なレベルに維持するような方法で構成される条件に在る。より正確には、第2の信号40は、光パワー増幅器システム22、...、2N内に蓄えられたエネルギーが次のM個のパルス300のバーストを所望のレベルのエネルギーに増幅するために必要なレベルのままとなるような方法で時間変調される。一般的に、パルスのバースト及び第2の信号40のパルスは、同じ持続時間及び/又は同じエネルギーを有しない。それにもかかわらず、第2の信号40は、M個のパルス300のバーストと第2の信号40との組み合わせが、次のM個のパルス300のバーストにより所望のバーストエネルギーを抽出するために光増幅器22、...、2Nの母集団の反転のレベルを必要な値に維持するための効果があるように大きさが決められる。したがって、対応する時間間隔が、2つのM個のパルス300のバーストを分離する時間間隔より長くなるように第2の信号40が時間変調される場合、光増幅器システム22、...、2Nの利得は、M個の増幅されたパルス500のバーストのパルス毎に一定のままである。M個の選択されたパルス300のバーストで構成される主信号が光パワー増幅器22、...、2Nに送信される場合、1つ又はいくつかのソースパルスを除去する変調後、M個のパルス300のバーストのすべての選択されたパルスが同じ利得で増幅される。
【0066】
実際には、M個の増幅されたパルス300のバーストのパルスのエネルギーは、時間及びパワー、エネルギー、波長に応じて測定及び/又は注入される第2の信号40のパルスの持続時間はM個の増幅されたパルス300のバーストのパルスのエネルギーを安定化するように変更される。
【0067】
したがって、光パワー増幅器22、...、2Nは、パルスピッカー3により選択されるパルス30のバーストと第2の信号40とを同時に増幅する。
【0068】
有利には、パルス30のバーストと第2の信号40は、互いに横断する偏光状態を有する。この場合、結合器19及び結合器-分割器16は、偏光光学部品で構成され得る。
【0069】
変形形態では、パルス30のバースト及び第2の信号40は、光増幅器システム2の帯域内に位置する様々な波長を有する。この変形形態では、結合器15及び結合器-分割器16は、二色性光学部品で構成され得る。
【0070】
したがって、第3の実施形態は、光パワー増幅器をバーストモードにおいて安定化することを可能にする。任意選択的に、レーザシステムは、M個の増幅されたパルス500のバーストの振幅を変調するように結合器-分割器16の出力に置かれる光変調器9をさらに含む。
【0071】
別の実施形態では、高繰り返し周波数発振器、光増幅器システム及び繰り返し周波数逓倍器は、組み合わせて使用される。
【0072】
文献Can Kerse et al.(“3.5GHz intra-burst repetition rate ultrafast Yb-doped fiber laser”,Optics Communication 366,2016,404-409)は、3.5GHzのバースト内繰り返し周波数及び1kHzのバースト繰り返し周波数においてレーザパルスのバーストを生成するファイバ増幅器システムを開示する。以下の解析は、本開示に属する。MOPA(主発振パワー増幅器)タイプのこのシステムは、108MHzのソース繰り返し周波数においてソースレーザパルスを発射するレーザ発振器、受動光ファイバ繰り返し周波数逓倍器装置4及び能動光ファイバ増幅器のシステムを含む。より正確には、繰り返し周波数逓倍器装置4は、直列に配置された6つの50/50結合器、それぞれが2つの連続50/50結合器間に配置された5つの光学遅延線を含む。この繰り返し周波数逓倍器装置4は、ソース繰り返し周波数に2に等しい係数を乗算するように、したがって3.5GHzにおいて108MHzからソース繰り返し周波数を増加するように動作する。このシステムは、前置増幅器、音響光学変調器及び9段の光ファイバ増幅器をさらに使用する。音響光学変調器は、1kHzの繰り返し周波数においてパルスのバーストの形状を判断する包絡線を適用する。次に、パルスのバーストは、9段の光ファイバ増幅器において増幅される。しかし、このシステムは、カスケードにおける多くの部品を必要とする。さらに、この技術の欠点は、特に50/50結合器の分岐間の非対称性に起因して出力パルスのエネルギー及び時間間隔安定性を維持する困難さである。他方では、3.5GHzより高い繰り返し周波数範囲内でこのようなシステム(追加結合器、追加極高精度遅延線及び追加増幅段を必要とするであろう)を活用することは、困難に思われる。
【0073】
図7~8は、上述の実施形態の1つと組み合わされ得る特定の態様を示す。この特定の態様は、2又は4倍繰り返し周波数逓倍器装置に関係する。この繰り返し周波数逓倍器装置は、発振器1と光増幅器システム2との間に好適に置かれるように意図されている。変形形態によると、繰り返し周波数逓倍器装置は、光前置増幅器と光パワー増幅器システムとの間に置かれる。別の変形形態によると、繰り返し周波数逓倍器装置は、光増幅器システム2の出力に配置される。
【0074】
より正確には、図7は、2倍繰り返し周波数逓倍器、すなわち繰り返し周波数ダブラー4を示す。繰り返し周波数逓倍器装置4は、第1の光結合器-分割器41、第1の光学遅延線51及び第2の光結合器-分割器42を含む。第1の光学遅延線51は、第1の光結合器-分割器41と第2の光結合器-分割器42との間に配置される。繰り返し周波数逓倍器4は、第1の繰り返し周波数F1のレーザパルス(それぞれEで表される1パルス当たりエネルギーを有する)を含むレーザビーム100、200、500を受信する。第1の光結合器-分割器41は、レーザビーム100、200又は500を、第1の繰り返し周波数F1において定格化されたE/2に等しい1パルス当たりエネルギーを有する第1のパルスビーム110と、第1の繰り返し周波数F1において定格化されたE/2に等しい1パルス当たりエネルギーを有する第2のパルスビーム120とに空間的に分割するように適合される。第1の光結合器-分割器41の出力において、2つの分割されたビームは、同じ特性を有し、用語「第1のパルスビーム」及び「第2のパルスビーム」は、本明細書の以降において、いかなる順番の概念も伴うことなく互いに区別されるように任意に使用される。第1の光学遅延線51は、第2のパルスビーム120の軌道上の第1の光結合器-分割器41と第2の光結合器-分割器42との間に配置される。第1の光学遅延線51は、第1のパルスビーム110に対して半周期だけ一時的に遅延された第2のパルスビーム130を形成するために、第2のパルスビーム120上の第1の繰り返し周波数F1の半周期に等しい光学遅延を誘起するのに好適である。第2の光結合器-分割器42は、第1の繰り返し周波数F1において第1のパルスビーム110を、且つ第1の繰り返し周波数F1において半周期だけ遅延された第2のパルスビーム130を受信する。光学遅延線51は、例えば、好適な長さの受動光ファイバにより構成される。第2の光結合器-分割器42は、例えば、4入力-出力光結合器である。第2の光結合器-分割器42は、第1のビーム110と、半周期だけ遅延された第2のビーム130とを再合成し、第1の再合成ビーム142を第1の出力S1上に形成するように適合され、ここで、パルスは、E/4に等しい1パルス当たりエネルギーを有し、第1の繰り返し周波数F1の2倍に等しい第2の繰り返し周波数F2において定格化される。特に有利には、第2の光結合器-分割器42は、第1のビーム110と、半周期だけ遅延された第2のビーム130とを再合成し、第2の再合成ビーム152を第2の出力S2上に形成するように適合され得、ここで、パルスは、E/4に等しい1パルス当たりエネルギーを有し、第1の繰り返し周波数F1の2倍に等しい第2の繰り返し周波数F2において定格化される。有利には、第1の光結合器-分割器41及び第2の光結合器-分割器42は、50/50結合器である。この場合、2つの出力S1及びS2は、交換可能である。
【0075】
したがって、繰り返し周波数逓倍器装置4は、F1に対して係数2だけ逓倍された繰り返し周波数F2を有するパルスビーム142を生成するように動作し、ここで、1パルス当たりエネルギーは、4により割られるのみである。したがって、800MHzの第1の繰り返し周波数F1を有するソース発振器から始まり、2×800MHz=1.6GHzの繰り返し周波数を有する再合成ビーム142及び/又は152が得られる。この構成は、考慮される材料をエッチングするのに好適な1パルス当たりエネルギーを得るために光増幅器の数を制限することをさらに可能にする。
【0076】
2つの出力S1又はS2の一方が、通常、光増幅器システム内のソース発振器の繰り返し周波数の2倍である繰り返し周波数においてパルスビームを増幅するために使用される。実際、ほとんどの光増幅器システムでは、増幅は、単一光軸に沿って行われなければならない。この場合、この繰り返し周波数逓倍器装置の有効出力パワーは、繰り返し周波数逓倍器装置の挿入の損失を考慮しなければ入力パワーPの約半分である。
【0077】
図8は、周波数逓倍器の別の例、より正確には4倍繰り返し周波数逓倍器、すなわち繰り返し周波数クワッドラプタ44を示す。同じ参照符号は、図7と同じ素子を表す。繰り返し周波数逓倍器44は、光合成器49及び第2の光学遅延線52をさらに含む。第2の光学遅延線52は、第2の光結合器-分割器42と光合成器49との間に配置される。有利には、第2の光結合器-分割器42は、4つの入力-出力を含む。第2の光結合器-分割器42は、一方の入力上では、第1の繰り返し周波数F1において1パルス当たりエネルギーE/2を有する第1のパルスビーム110を受信し、別の入力上では、第1の繰り返し周波数F1において半周期だけ時間遅延され、且つ1パルス当たりエネルギーE/2を有する第2のパルスビーム130を受信する。図7に関連して説明したように、第2の光結合器-分割器42は、第1のパルスビーム110と、遅延された第2のパルスビーム130とを再合成し、且つ第1の繰り返し周波数の2倍(2×F1)において定格化されたE/4に等しい1パルス当たりエネルギーを有する第1の合成ビーム142と、第1の繰り返し周波数の2倍(2×F1)において定格化されたE/4に等しい1パルス当たりエネルギーを有する第2の再合成ビーム152とに空間的に分割するように適合される。第2の光学遅延線52は、第2の再合成ビーム152の軌道上に配置される。第2の光学遅延線52は、第1の再合成ビーム142に対して周期の4分の1だけ時間遅延された第2のパルスビーム162を形成するために、第1の繰り返し周波数F1の周期の4分の1に等しい光学遅延を第2の再合成ビーム152上に誘起するように適合される。光合成器49は、第1の繰り返し周波数の2倍(2×F1)において定格化された第1の再合成ビーム142と、繰り返し周波数F1の周期の4分の1だけ時間遅延され、且つ第1の繰り返し周波数の2倍(2×F1)において定格化された第2のパルスビーム162とを受信する。光合成器49は、第1の再合成ビーム142と、周期の4分の1だけ時間遅延された第2のパルスビーム162とを再合成し、第1の出力S1上に第1の4倍周波数ビーム170を形成するように適合され、ここで、パルスは、E/8に等しい1パルス当たりエネルギーを有し、第1の繰り返し周波数F1の4倍に等しい第3の繰り返し周波数F3において定格化される。特に有利には、光合成器49は、第1の分割されたビーム142と、他の分割されたビーム162とを再合成し、第2の4倍周波数ビーム180を第2の出力S2上に形成するように適合され得、ここで、パルスは、E/8に等しい1パルス当たりエネルギーを有し、第1の繰り返し周波数F1の4倍に等しい第3の繰り返し周波数F3において定格化される。有利には、光合成器49は、50/50結合器である。この場合、2つの出力S1及びS2は、交換可能である。
【0078】
したがって、繰り返し周波数逓倍器44は、F1に対して係数4だけ逓倍された第3の繰り返し周波数F3を有する少なくとも1つのパルスビーム170、180を生成することを可能にし、ここで、1パルス当たりエネルギーは、8により割られるのみである。したがって、800MHzの第1の繰り返し周波数F1を有するソース発振器から始まり、繰り返し周波数4×800MHz=3.2GHzを有する再合成ビームが得られる。
【0079】
したがって、繰り返し周波数は、係数2又は4だけ逓倍される。追加される部品(遅延線51、52及び50/50合成器)の挿入の損失は、これらの少数の部品により制限されるままである。したがって、光合成器49の光結合器-分割器41、42及び光学遅延線51、52の数を制限するために繰り返し周波数逓倍器を繰り返し周波数ダブラー又はクワッドラプタに制限することが選択される。
【0080】
この繰り返し周波数クワッドラプタ装置の有効出力パワーは、繰り返し周波数逓倍器装置の挿入の損失を考慮しなければ、繰り返し周波数ダブラーの場合と同様に入力パワーPの約半分(すなわち繰り返し周波数ダブラー装置により得られるものに匹敵するパワー)である。
【0081】
一般的に、発振器1は、直線偏光される。したがって、ソースパルス100、増幅されたパルス200及びパルス500のバーストのパルスは、それぞれ直線偏光される。
【0082】
一実施形態では、第1の光結合器-分割器41、第2の光結合器-分割器42及び光合成器49は、入力信号又は出力信号のいずれの偏光状態にも影響を及ぼさない等方性結合器である。代替形態として、第1の光結合器-分割器41、第2の光結合器-分割器42及び光合成器49は、偏光又は偏光保持(PM)結合器である。この場合、これらの結合器は、偏光された入力信号の偏光を修正しないように、且つ入力信号の偏光の50/50の分割比を提供するように構成され且つ方向付けられる。この構成は、等方性であり、すなわち両方の偏光軸に沿って同じ増幅器係数を有する増幅器システムにおいて合理的に使用され得る。実際、第1の出力S1上の第1の4倍周波数ビーム170と、第2の出力S2上の第2の4倍周波数ビーム180とは、同時に使用され得る。例えば、半波長板が第1の4倍周波数ビーム170又は第2の4倍周波数ビーム180の偏光を90度だけ回転させるために使用され、偏光子が2つの偏光を合成するために使用される。次に、再合成ビームは、1つの等方性光増幅器又は一連の等方性光増幅器において増幅され得る。一連の増幅器の入力に位置するエネルギーの損失は、限定された影響を装置の最終エネルギーに与えるのみである。
【0083】
代替形態として、第2の出力S2上の第2の再合成ビーム180は、平行に配置されており、したがって2つのほとんど同一且つ同期されたGHzソースを有する別の同様の光増幅器システムにおいて増幅されるように使用され得る。
【0084】
別の代替形態によると、第1の再合成ビーム142と、周期の4分の1だけ時間遅延された第2のパルスビーム162とは、再合成される前に増幅される。したがって、第1の出力S1上の第1の4倍周波数ビーム170と、第1の出力S2上の第2の4倍周波数ビーム180とは、同時に使用され得る。有利には、パルス圧縮器は、同じ繰り返し周波数においてであるが、第1の出力S1及び第2の出力S2上で異なるパルス持続時間を有するパルスを得るように、第1の出力S1上にのみ置かれる。異なる持続時間のこれらのパルスは、有利には、所定の横方向シフトを有するか又は有しないかにかかわらず、同じサンプル上で空間的に再合成される。
【0085】
特定の用途では、第1の出力S1上の第1の再合成ビーム170及び第2の出力S2上の第2の再合成ビーム180は、ポンププローブ構成に従ってその場診断のために使用される。
【0086】
材料を機械加工するための最適速度がソース発振器の速度より高い場合、既に極高いソース発振器速度のために著しく低減された複雑性を有する時間分割及び合成解決策が適用され得る。例えば、500MHz(各パルス間2nsの周期)における発振器から始まり、約1GHzの速度は、50/50パルス分割、パルスの1つを半周期だけ遅延する光学遅延線及び再合成装置により行われ得る。再合成は、空間的に又は偏光によりのいずれかで行われ得る。偏光による再合成は、本質的にパワー損失なしに行われるが、十分に規定された偏光状態は、失われることになる。空間的再合成は、例えば、50/50結合器を介して行われ得る。この再合成は、入射光の50%が第1の出力S1に到達し、50%が第2の出力S2に到達するため、パワーを犠牲にすることのみにより可能である。それにもかかわらず、この方法は、その柔軟性のために有利なままである。レーザシステムの非常に低いパワー部における50%損失は、完全なレーザシステムの効率に重大な影響を与えることなく受容され得る。
【0087】
光学遅延線51、52は、出力繰り返し周波数が高いため、制御するのがなおさら困難である。実際、繰り返し周波数逓倍器装置は、10GHz以上まで及ぶ繰り返し周波数に達することを可能にする。
【0088】
繰り返し周波数逓倍器装置は、有利には、それぞれ同じ繰り返し周波数でレーザパルスビームを発射する2つの出力S1、S2を有することを可能にする。このような装置は、ポンププローブレーザ用途が第1の出力を使用して、例えばいわゆるポンプレーザビームを形成することと、第1の出力を使用して、いわゆるプローブレーザビームを形成することとを可能にする。
【0089】
極高速を有するソース発振器1は、複数GHz領域内の繰り返し周波数を受容する一方、分割及び再合成動作の数を2又は4に制限することを可能にする。こうして、GHz領域内の第2の繰り返し周波数F2において超短パルスを生成するレーザシステムが得られる。
【0090】
上に詳述されたように、GHz領域内のバースト内繰り返し周波数を有するパルスのバーストもパルスピッカー3を使用して生成され得る。したがって、GHz領域内のバースト内繰り返し周波数及び100Hz~100MHzに含まれるバースト間繰り返し周波数を有するパルスの周期的バーストが生成され得る。パルスは、GHz速度と、1W~1000Wに含まれる(好適には数10~100W程度の)パワーとを有する。
【0091】
実施形態によると、パルスピッカー3は、繰り返し周波数逓倍器4又は44の上流に配置される。この場合、パルスピッカー3に入る2つのパルス間のセパレーションは、極良好なコントラストを有するパルスツーパルス制御を許容するのに十分に大きい(約1~2ns)。こうして、パルスピッカー3は、所定のパルス数を選択する。次に、繰り返し周波数逓倍器4、44は、パルスピッカーにより選択されたパルス数の倍数を含むパルスのバースト(ほぼ平坦(又はトップハット)形状を有する)を生成する。
【0092】
上述の実施形態の任意の1つと組み合わされ得る変形形態では、別の光変調器9が繰り返し周波数逓倍器4又は44の下流に配置される。光変調器9は、振幅のアナログ制御による音響光学又は電気光学タイプのものである。光変調器9は、出力パルスの振幅を変調するか又はパルスのバーストを選択するように動作する。次に、光変調器9に入る2つのパルス間の期間は、ソースパルスの期間に対して係数2又は4だけ低減される。この場合、光変調器9は、光変調器9の立上り時間が光変調器9に入る2つのパルス間の期間より長いと、トップハットバーストを選択するにはあまりに遅い可能性がある。
【0093】
図9は、図2又は3に示すようなモードロッキングレーザ発振器の出力におけるソースパルスビーム100の測定結果を示す。モードロッキングレーザ発振器は、約900MHzの第1の繰り返し周波数F1を有するソースパルスを生成する。2つの連続レーザパルス間の期間は、1.1ns程度である。パルスの持続時間は、200fs程度である。パルスの持続時間は、より短くなり得る(例えば、100fs程度又はさらに100fs未満)。
【0094】
図10~11は、図9のソースパルスから極高速において高エネルギーレーザパルスのバーストを生成する一例を示す。図5において概略的に示されたようなレーザシステムが使用される。図10は、発振器から到来して能動光ファイバ増幅器システムにおいて増幅された約80個のパルスのバーストを示す。図11は、約18%のデューティサイクルの2MHzのバースト間繰り返し周波数を有する一連のレーザパルスのバーストを示し、能動光ファイバ増幅器システムの出力パワーは、20W程度であり、増幅されたパルスの持続時間は、約200fsである。
【0095】
上に述べた実施形態の1つによるパルスレーザシステムは、特に、ガラス、例えばシリコンなどの半導体又は例えば銅、アルミニウム若しくはステンレス鋼などの金属などの固体材料のアブレーションにおいて多くの用途を見出す。高分子又は生体物質(角膜、象牙質など)もこのようなレーザ処理に曝され得る。
【0096】
本発明は、いわゆるアブレーション冷却を得ることを可能にする1GHz程度の速度若しくは1GHzより速い速度又はさらに10GHz若しくは20GHzより速い速度における様々な固体材料のアブレーションのための用途を特に見出す。
【0097】
有利には、非線形光周波数ダブラー又は光周波数トリプラー光学系は、上述の実施形態の任意の1つによる極高速レーザシステムの出力において光周波数を2倍又は3倍にすることによりパルスビームの波長を変換するために使用される。
【0098】
このようなレーザシステムは、アブレーションの品質と、フェムト秒(又はピコ秒)機械加工の精度とを維持する一方、生産性を増加することを可能にする。実際、このレーザシステムは、1GHzより高いバースト内繰り返し周波数(又は第2の繰り返し周波数F2)を有するバーストを生成することにより材料中のエネルギーの蓄積を最適化することを可能にする。さらに、レーザシステムは、バースト内の極高速度におけるM個のパルス(場合により低速度における一連のパルス)のエネルギーの連続供給により材料中のエネルギーの蓄積を制御することを可能にする。最後に、レーザシステムは、その相互作用がバースト内のパルス速度(又はバースト内のパルス間の時間分離)、バースト内のパルス数及び/又はパルス列の速度などの様々なパラメータを適合化することにより、望まれる材料に応じてエネルギーの蓄積を制御及び最適化することを可能にする。
【0099】
本発明のレーザシステムは、頑強性及び信頼性に関して要求される工業用途に適応化される。さらに、レーザシステムは、本質的に小嵩部品(棒、板又は薄円盤状増幅器水晶)及び/又はファイバ光学部品に基づくため、特にコンパクトである。
【0100】
1GHzを超える繰り返し周波数を有するレーザパルスを生成する方法は、固体材料のレーザアブレーションの効率の増加を実現するように特に適応化される。
図1
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図5
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図7
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図11