(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ヒト対象において抗体免疫応答を誘導するために低投与体積B細胞エピトープ組成物を使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240312BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/385 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/155 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/23 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/20 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240312BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240312BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K39/00 G
A61K39/39
A61K39/385
A61K39/12
A61K39/145
A61K39/155
A61K39/23
A61K39/20
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/20
A61P37/04
A61K9/08
A61K47/28
A61K47/06
A61K47/14
A61K47/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077537
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2019516487の分割
【原出願日】2016-09-27
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】517237539
【氏名又は名称】イミューノヴァクシーン テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOVACCINE TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100211199
【氏名又は名称】原田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】マンスール, マーク
(72)【発明者】
【氏名】オルス, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】スタンフォード, マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】サマトゥール, リーラダー
(72)【発明者】
【氏名】ラジャゴパラン, ラジカナン
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, リサ ダイアナ
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-520761(JP,A)
【文献】特表2016-516755(JP,A)
【文献】国際公開第2013/116965(WO,A1)
【文献】J. Immunol.,2012年,Vol.188,pp.3088-3098
【文献】Vaccine,2004年,Vol.22,pp.2494-2499
【文献】Journal of Controlled Release,2016年02月,Vol.226,pp.98-106
【文献】Vaccine,2015年,Vol.33,pp.861-868
【文献】薬剤学,2016年07月,Vol.76, No.1,pp.46-50
【文献】JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES,2009年,Vol.98, NO.4,pp.1278-1316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象において抗体免疫応答を誘導するための組成物であって、
前記組成物が、前記ヒト対象に、前記組成物の低投与体積を筋肉内注射により投与するためのものであり、
前記組成物が、
B細胞エピトープを含む抗原、
ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールを含む脂質又は脂質混合物、
PAM
3
Cysを含む脂質ベースのアジュバント、及び
鉱油溶液中のマンニドオレエートである疎水性担体
を含み、
前記組成物の前記低投与体積が50μL~100μLであり、前記ヒト対象において前記B細胞エピトープに対する抗体免疫応答を誘導する、組成物。
【請求項2】
前記低投与体積が50μL~75μLである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
B細胞エピトープを含む前記抗原
を5μg
~50μg含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
B細胞エピトープを含む前記抗原
を10μg
~25μg含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記低投与体積が、50μL
、60μL
、70μL
、80μL又
は90μLである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、(i)前記組成物の単回投与のみの投与として、又は(ii)前記組成物の単回初回刺激投与及び単回追加免疫投与のみとして投与するためのものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記単回追加免疫投与が、前記単回初回刺激投与の
、1週間
、2週間
、3週間
、4週間
、5週間
、6週間
、7週間
、8週間
、9週間
、10週間
、11週間、12週間若しくはそれ以上後に前記ヒト対象に提供されるか、又は
前記単回追加免疫投与が、前記単回初回刺激投与
の56日後に前記ヒト対象に提供される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の前記低投与体積が、
前記組成物の第1の投与の少なくとも早ければ28日後に前記ヒト対象において検出可能である抗体免疫応答を誘導する、
前記組成物の第1の投与後少なくとも84日若しくは少なくとも236日間前記ヒト対象において持続する抗体免疫応答を誘導する、
投与後56日目、84日目若しくは236日目までに、前記ヒト対象の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%若しくは少なくとも100%において抗体免疫応答を誘導する、
投与後少なくとも84日目若しくは236日目までに、治療されたヒト対象の100%において抗体免疫応答を誘導する、並びに/又は
アラム組成物に製剤化された抗原を投与されたヒト対象において誘導された抗体免疫応答と比較して増強された抗体免疫応答を誘導し、前記アラム組成物が、前記抗原、アラムアジュバント、無機アジュバント及び水性担体を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の前記低投与体積が、前記アラム組成物を投与されたヒト対象において誘導された前記抗体免疫応答と比較して増強された抗体免疫応答を誘導し、
前記組成物及び前記アラム組成物の各々が、10μgの前記抗原を含み、前記組成物を用いる平均抗原特異的抗体エンドポイント力価が、(i)投与後28日目で前記アラム組成物よりも少なくと
も123.2倍高い及び/若しくは(ii)56日目で前記アラム組成物よりも少なくと
も16.7倍高い、
前記組成物及び前記アラム組成物の各々が、25μgの抗原を含み、前記組成物の平均抗原特異的抗体エンドポイント力価が、(i)投与後28日目で前記アラム組成物よりも少なくと
も35.3倍高い及び/若しくは(ii)56日目で前記アラム組成物よりも少なくと
も13.1倍高い、
前記組成物及び前記アラム組成物の各々が、10μgの抗原を含み、前記組成物を用いて治療された場合に検出可能な抗原特異的抗体免疫応答を有するヒト対象のパーセンテージが、投与後56日目で前記アラム組成物を用いた場合よりも少なくと
も2.0倍高い、
前記組成物及び前記アラム組成物の各々が、25μgの抗原を含み、前記組成物を用いて治療された場合に検出可能な抗原特異的抗体免疫応答を有するヒト対象のパーセンテージが、投与後56日目で前記アラム組成物を用いた場合よりも少なくと
も5.0倍高い、並びに/又は
前記組成物が、非自発的総全身性有害事象及び/若しくは自発的総有害事象について容認できる安全性プロファイルを有する、
請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヒト対象が、0~2歳、50~64歳又は65歳を超える年齢である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記アジュバントが
、PAM
3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)を含む、又はからなる、請求項
1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗原が、5~50個のアミノ酸長のペプチド抗原又は前記ペプチド抗原をコードするポリヌクレオチド又は前記ヒト対象において天然において弱く免疫原性である合成ペプチド抗原である、請求項1~1
1のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗原がウイルス由来である、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ウイルスが、エボラウイルス、ジカウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、又は呼吸器合胞体ウイルスである、請求項1
3に記載の組成物。
【請求項15】
前記抗原が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の小疎水性タンパク質(SHe)のエクトドメイン又はその断片を含む、又はからなる、請求項1~1
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記SHeが、サブグループAヒトRSV株又はサブグループBヒトRSV株に由来する、請求項1
5に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗原が、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)、配列番号1と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列又は配列番号1の断片を含む、又はからなる、請求項1~1
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、
アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)を含むペプチド、
ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールを含む脂質混合物、
PAM
3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である短い合成リポペプチド、及び
モンタナイド(登録商標)ISA 51 VG
を含む、請求項1~
17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、水を含まない又は実質的に水を含まない、請求項1~
18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ヒト対象における感染性疾患の治療又は予防のためのものである、請求項1~
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1~2
0のいずれか一項に記載の組成物を含む、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して、B細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物の低投与体積を非経口的に投与することによって、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]B細胞エピトープは、例えば、B細胞によって産生される抗体によって認識されるタンパク質の断片である。抗体反応を誘導するために、タンパク質の線形セグメントなどの連続B細胞エピトープをサブユニットワクチン中の抗原として使用できる。しかし、連続B細胞エピトープは、開発においてある程度の成功しか収められなかった。これは、部分的には、免疫系への抗原の送達不良による可能性がある。
【0003】
[0003]筋肉内経路によって投与される、65歳以上の成人のための、2016年の疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention)(CDC)勧告(CDCウェブサイト-予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee for Immunization Practices)(ACIP)ワクチン勧告)に基づく、カナダにおいて現在承認されているワクチンの中では、投与体積の範囲は、0.5mL~1.0mLである。承認されたワクチンの最小投与体積は、Fluzone Intradermal Quadrivalent(Sanofi Pasteur)の0.1mLであるが、18~64歳の間の成人に対してのみ、皮内経路によって投与される。
【0004】
[0004]本開示において、本発明者らは、非経口的に投与される、B細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物の低投与体積を使用する、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導するための新規方法を報告する。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一実施形態では、本開示は、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導する方法であって、ヒト対象にB細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物の低投与体積を非経口的に投与することを含み、組成物の低投与体積が、100μl未満であり、ヒト対象においてB細胞エピトープに対する抗体免疫応答を誘導する方法に関する。
【0006】
[0006]一実施形態では、本開示は、ヒト対象においてB細胞エピトープに対する抗体免疫応答を誘導するための、B細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物の低投与体積の使用であって、組成物が非経口的投与用であり、組成物の低投与体積が、100μl未満である使用に関する。
【0007】
[0007]本明細書において記載される方法及び使用の一実施形態では、非経口投与用の低投与体積は、約50μlである。一実施形態では、非経口投与は、筋肉内注射である。
【0008】
[0008]本明細書において記載される方法及び使用の一実施形態では、抗原は、サブグループAヒトRSV株又はサブグループBヒトRSV株の小疎水性タンパク質(SH)のエクトドメインを含む、又はからなる。一実施形態では、抗原は、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)、NKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号2)又はその断片を含む、又はからなる。
【0009】
[0009]本明細書において記載される方法及び使用の一実施形態では、両親媒性化合物は、脂質又は脂質混合物である。一実施形態では、両親媒性化合物は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールの脂質混合物である。
【0010】
[0010]本明細書において記載される方法及び使用の一実施形態では、疎水性担体は、鉱油である、又は鉱油溶液中のマンニドオレエート(mannideoleate)、例えば、モンタナイド(登録商標)ISA 51 VGである。
【0011】
[0011]本明細書において記載される方法及び使用の一実施形態では、組成物は、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)を含むペプチド、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールを含む脂質混合物、PAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である短い合成リポペプチド及びモンタナイド(登録商標)ISA 51 VGを含む。
【0012】
[0012]本明細書において記載される方法及び使用の一実施形態では、組成物は、水を含まない又は実質的に水を含まない。
【0013】
[0013]本発明のその他の態様、実施形態及び特徴は、以下の説明を添付の特許請求の範囲及び図面とともに再検討すれば当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面において、単に例として本発明の実施形態を例示する:
【
図1】低ペプチド群の対象から得た血清において検出されたRSV SHe Aペプチド抗原に対する抗体のレベルを示す図である。試験28日目(A)、56日目(B)、84日目(C)及び236日目(D)の結果が示されている。オイルベース群の対象は、試験0及び56日目に2回のワクチン接種を受けた。アラムベース群の対象は、試験0日目に1回のワクチン接種を、試験56日目にプラセボを受けた。プラセボ群の対象は、試験0及び56日目にプラセボ注射を受けた。検出限界未満の結果は、log10=0と報告されている。各個々の対象(n=4~8)のデータが示されており、バーは平均を示す。オイルベース製剤対アラムベース製剤を比較するスチューデントのt検定によって算出された統計的有意性:*p<0.05、***p<0.001。
【
図2】高ペプチド群の対象から得た血清において検出されたRSV SHe Aペプチド抗原に対する抗体のレベルを示す図である。試験28日目(A)、56日目(B)及び84日目(C)の結果が示されている。オイルベース群の対象は、試験0及び56日目に2回のワクチン接種を受けた。アラムベース群の対象は、試験0日目に1回のワクチン接種を、試験56日目にプラセボを受けた。プラセボ群の対象は、試験0及び56日目にプラセボ注射を受けた。検出限界未満の結果は、log10=0と報告されている。各個々の対象(n=4~8)のデータが示されており、バーは平均を示す。オイルベース製剤対アラムベース製剤を比較するスチューデントのt検定によって算出された統計的有意性:*p<0.05、***p<0.001。
【
図3】アジュバント非添加オイルベースワクチン、アジュバント添加オイルベースワクチン又は水ベースワクチンに製剤されたRSV SHe Aペプチド抗原及びRSV SHe Bペプチド抗原を用いるワクチン接種後にマウスにおいて誘導されたRSV SHe A及びRSV SHe B抗体力価を示す図である。各群のマウスに、試験0及び28日目にワクチン接種し、ELISAによる血清抗体検出のために4週間毎に出血させた。テューキーポスト検定を用いる一元配置分散分析による統計的有意性:**p<0.01、***p<0.001。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0018]投与された合成線形B細胞エピトープに対する、ヒト対象における強く有効な抗体免疫応答を誘導することは困難であり、0.5mL~1.0mLの通常の投与体積を用いる複数回の免疫処置を必要とすることが多い。その場合でさえ、B細胞エピトープを含む組成物を使用する免疫処置は、ヒト対象では不成功であったことが多く、前臨床研究は、ヒトにおける成功を過度に予測するものではない。実際、連続B細胞エピトープに対するワクチン組成物の開発では制限された成功しか収められていない。
【0016】
[0019]これまでに、本発明者らは、シクロホスファミドと組み合わせたデポバックス(DepoVax)ベースのワクチンの0.1mLの投与体積を使用して、ペプチド抗原に対する細胞性免疫応答(CD8+T細胞によって媒介される)を誘発できることを実証した。しかし、併用治療及び免疫系の異なるアーム(細胞性免疫応答)に関するこれらの知見は、B細胞エピトープに対する体液性免疫応答(B細胞によって媒介される)を誘導するために一層小さな投与体積を使用する、ここで開示される方法の教示又は示唆を提供するものでは全くない。
【0017】
[0020]本開示は、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導する方法を提供する。驚くべきことに、本発明者らは、B細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物を低投与体積で非経口的に投与し、ヒト対象において強力で有効な抗体免疫応答を提供できることを見出した。この結果は、ヒト臨床治験において実証された。
【0018】
[0021]本明細書において実施例において示されるように、低投与体積を使用する本明細書において開示される方法は、それぞれ、236日目及び84日目まで本明細書において記載される低ペプチド(10μg抗原)又は高ペプチド(25μg抗原)オイルベース組成物を用いてワクチン接種された対象の100%において抗原特異的抗体免疫応答を誘導可能である(
図1及び2)。組成物の投与体積は、わずか50μlであった。このような低投与体積を用いて、ヒト対象が、抗体免疫応答をともかく発生できたこと、ましてや対象の100%においてのような程度まで発生できたことは驚くべきことである。
【0019】
[0022]さらに、56日目の結果は、本明細書において開示される方法は、それぞれ、本明細書において記載されるような低ペプチド(10μg抗原)及び高ペプチド(25μg抗原)オイルベース組成物を用いてワクチン接種された対象の50%及び62.5%において抗原特異的抗体免疫応答を誘導可能であることを実証する(
図1及び2)。対照的に、水性アラム組成物を用いてワクチン接種されたヒト対象は、全般的に、検出可能な抗体免疫応答を全く誘導できず、低ペプチド対象の25%及び高ペプチド対象の12.5%しか検出可能な抗体免疫応答を示さなかった。したがって、検出可能な抗体免疫応答を有する対象数は、アラム組成物と比較して、本明細書において記載される低ペプチド組成物を用いた場合は2.0倍高く、本明細書において記載される高ペプチド組成物を用いた場合は5.0倍高かった。
【0020】
[0023]本明細書において開示される方法によって検出可能な抗体免疫応答を実証するヒト対象数の増大に加えて、開示される方法及び組成物を使用すると、水性アラム組成物を使用することと比較して得られた抗体力価も有意に高かった。表1に示されるように、本明細書において記載される低ペプチド(10μg抗原)オイルベース組成物を用いた場合の平均エンドポイント力価は、アラム組成物を用いた場合よりも、28日目で約123.2倍高く、56日目で約16.7倍高かった。本明細書において記載される高ペプチド(25μg抗原)オイルベース組成物については、平均エンドポイント力価は、アラム組成物を用いた場合よりも28日目で約35.3倍高く、56日目で約13.1倍高かった。この抗体力価の増大は、組成物の単回のみの投与を用いて観察された。ヒト対象におけるこのレベルの増強は、驚くべきものであり、予期しないものである。
【0021】
[0024]実施例における結果は、本明細書において開示される方法が、早ければ少なくとも単回投与の28日後にヒト対象において強い抗体免疫応答を誘導可能であること及び抗体免疫応答が長期間持続し得ることをさらに実証する。例えば、2回のみの投与(0日目及び56日目)を用いて、高レベルの抗体力価が少なくとも84日目及び236日目まで依然として持続した(
図1及び2,表1)。開示される方法の、組成物の2回の低投与体積投与のみを用いてこの長さの時間持続する抗体免疫応答を誘導する能力は、驚くべき結果である。
【0022】
[0025]全体的に、結果は、水性アラム組成物の低投与体積は、全般的に十分な数のヒト対象において強い抗体免疫応答を誘導することにおいて有効でないということを示す。しかし、驚くべきことに、B細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物の低投与体積は、ヒト対象のほとんど(低ペプチド)又はすべて(高ペプチド)において強い抗体免疫応答を誘導した。理論に捉われようとは思わないが、これは、抗原溶解度と関連する製剤の問題の一部を潜在的に解決したナノ粒子薬物送達システム、本明細書において開示される組成物の制御放出特性及び持続放出特性、不良なバイオアベイラビリティを克服すること、より少ない薬物用量、投薬可変性の減少、注射部位での抗原安定性の増大、非特異的分解に対する抵抗性の増大などのうち1つ又は複数による可能性がある。
【0023】
[0026]臨床研究結果はまた、本明細書において開示される組成物の低投与体積は、十分に許容され、容認できる安全性プロファイルを有していたことを示す。本明細書において、「容認できる安全性プロファイル」とは、少なくとも重篤な有害事象の報告が全くなかったことを意味する。実施例1に記載のとおり、すべての研究参加者の中で、重篤な有害事象は報告されなかった。
【0024】
[0027]本明細書において、「重篤な有害事象」(SAE)とは、死亡をもたらす、生命を脅かす(すなわち、事象の時点で死亡のリスクにある)、入院加療又は既存の入院加療の延長を必要とする、不安定性/不能をもたらす、又は研究対象の子孫における先天性異常/先天性欠損である有害な医学的出来事である。
【0025】
[0028]実施例1において論じられるように、報告された最も一般的な、非自発的(solicited)局所有害事象は、軽度の注射部位疼痛であった。このレベルの注射部位反応は、疼痛管理を一切必要としないと考えられる。さらに、オイルベース組成物の追加免疫量の送達を用いた場合に注射部位疼痛の増大は観察されなかった。
【0026】
[0029]報告された最も一般的な、非自発的全身性有害事象は、眠気、悪心、下痢及び筋肉痛であった。自発的(unsolicited)総有害事象については、重篤な有害事象は報告されず、すべてのその他の事象は回復又は消散した。
【0027】
[0030]本明細書において、用語「非自発的有害事象」は、臨床治験の参加者が、存在するか否かとして記録するように、存在する場合には、強度評点を適用するように求められる特定化前の結果である。非自発的有害事象は、研究ワクチンの投与後0~6日目に毎日集められた。以下の局所(注射部位)有害事象:注射部位での疼痛、注射部位での発赤及び注射部位での腫脹は、非自発的であった。以下の全身性(general)(全身性(systemic))有害事象:眠気、発熱、悪心、下痢、嘔吐及び全身性筋肉痛は、非自発的。
【0028】
[0031]本明細書において、自発的事象は、最後の研究訪問から健康に何らかの変化があった場合に、誘導しない方法で尋ねられた時に臨床研究の参加者が確認するものである。自発的有害事象は、ワクチン投与後の研究訪問の際に集められた。
【0029】
[0032]少なくとも、B細胞エピトープを含むワクチン組成物は、ヒト対象において検出可能な抗体免疫応答を発生するように全く働かないことが多いことが知られていたので、本明細書において記載された結果は、驚くべきものであり、予期しないものである。また、より大きな体積(例えば、0.5mL~1.0mL)が、非経口的に投与される組成物(例えば、筋肉内に)にとって、適切な全身拡散を提供して、例えば、水性ワクチンの場合のように、免疫系構成成分を有効に参加させるようにするために、及び/又は例えば、オイルベースワクチンの場合のように、免疫系構成成分を注射部位に誘引するために、重要であるとこれまで考えられていた。
【0030】
[0033]本明細書において開示される方法及び組成物の実施形態を、以下の節においてより詳細に記載する。
【0031】
[0034]抗体反応を誘導する方法
[0035]一実施形態では、本開示は、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導する方法であって、ヒト対象にB細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む組成物の低投与体積を非経口的に投与することを含み、組成物の低投与体積が、100μl未満であり、ヒト対象においてB細胞エピトープに対する抗体免疫応答を誘導する方法に関する。
【0032】
[0036]本明細書において、抗体免疫応答を「誘導すること(inducing)」又は「誘導すること(to induce)」は、免疫応答を発生させる、誘発する、改善する及び/又は強化することである。「発生させる」又は「誘発する」とは、ヒト対象が、抗原に対する抗体免疫応答をこれまでに発達させていない、及び/又は進行中の抗原に対する抗体免疫応答を有さず、本明細書において開示される方法が、対象において検出可能な抗体免疫応答をもたらすことを意味する。「改善する」又は「強化する」とは、前の免疫応答状態、例えば、本発明の方法の適用の前に対して、対象の利益となるように抗体免疫応答が増強される、増加される又は強められることを意味する。
【0033】
[0037]用語「検出可能な」とは、本明細書において、「検出可能な抗体免疫応答」に関連して、抗原特異的抗体免疫応答が、例えば、体液(例えば、全血、血清など)の解析によって、又は対象の医学治療的評価によってなど、ヒト対象において検出され得ることを意味する。例示的実施形態として、「検出可能な抗体免疫応答」とは、抗体力価が、本明細書において実施例において記載されるように、1/100希釈の検出限界で酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、免疫処置された対象から得たヒト血清のサンプルにおいて検出され得るものである。
【0034】
[0038]いくつかの実施形態では、「誘導すること(inducing)」又は「誘導すること(to induce)」とは、抗原に対する抗体免疫応答の誘発又は発生において有効性が改善されていることを意味する。本明細書において、「改善された有効性」、「有効性を改善すること」などは、疾患又は障害の治療において組成物をより有効にすることが可能である、対象の免疫応答における変化又は変更を指す。いくつかの実施形態では、これは、免疫応答の出現を加速すること及び/又は免疫応答の持続性若しくは強度を改善することを含み得る。
【0035】
[0039]いくつかの実施形態では、「誘導すること(inducing)」又は「誘導すること(to induce)」とは、より早期の免疫処置又は抗原に対するその他の曝露によって、これまでに初回刺激されている対象において抗原特異的リコール応答を発生させる、誘発する、強める又は延長する能力を指す。抗原に対する第1の曝露の際に生じる、初回刺激された免疫応答とは対照的に、リコール免疫応答は、抗原に対する第2の及び/又はその後の曝露の際に生じる免疫応答であり、初回刺激免疫処置又は抗原(例えば、先の病原体感染)に対するその他の曝露によってこれまでに生じた免疫応答を再確立する。
【0036】
[0040]いくつかの実施形態では、「誘導すること(inducing)」又は「強化すること(potentiating)」とは、より早期の免疫処置又は抗原に対するその他の曝露によって、これまでに抗原刺激されている対象において、抗原特異的抗体免疫応答を維持及び/又は追加免疫する能力を指す。「維持する及び/又は追加免疫する」とは、これまでに誘導された免疫応答が、対象の利益となるように増強される、増加される、改善される、強められる、又は延長されることを意味する。
【0037】
[0041]本明細書において、「強化する」は、抗原に対する抗体免疫応答がより有効にされる、又は有害事象が避けられる、消滅される、若しくは強度及び/若しくは期間の点で減少される例を包含する。「より有効な」とは、免疫応答が、対象の前の免疫応答状態に対して、対象の利益となるように増強される、増加される、改善される、強められる、又は延長されることを意味する。いくつかの実施形態では、「強化すること」とは、有害事象の発生を低減する能力を指す。例えば、一実施形態では、免疫応答を強化することは、本明細書において記載される組成物又は異なる組成物のより大きな投与体積によって引き起こされる注射部位反応の発生の低減を含み得る。
【0038】
[0042]本明細書において開示される方法は、ヒト対象に非経口的に投与される組成物の「低投与体積」の使用を含む。本明細書において使用するように、「低投与体積」とは、単回投与でヒト対象に投与される組成物の総体積を指す。「単回投与」とは、特定の時点(例えば、0日目)で、単回非経口注射又は注入によって対象に完全用量が投与されることを意味する。
【0039】
[0043]「低投与体積」とは、100μl未満の本明細書において記載される組成物である。いくつかの実施形態では、低投与体積は、約50μl、約55μl、約60μl、約65μl、約70μl、約75μl、約80μl、約85μl、約90μl又は約95μlの組成物である。いくつかの実施形態では、低投与体積は、約50μl~約75μlの間の組成物である。いくつかの実施形態では、低投与体積は、約50μl又は正確に50μlである。低投与体積とは、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導可能である体積である。
【0040】
[0044]「低投与体積」とは対照的に、用語「用量」とは、本明細書において、低投与体積内に含有されるワクチン構成成分、例えば、抗原などの総量又は量(例えば、マイクログラム、ミリグラム、モル量など)を指す。用語「用量」はまた、ヒト対象に組成物を投与する作用を示すための「投与」と同義的に使用され得る。
【0041】
[0045]「非経口投与」又は「非経口的に投与すること」とは、組成物が、注射によって、又は注入によって投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、投与の経路は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、くも膜下腔内、動脈内、脳室内、大脳内の、骨内、皮内又は肺内であり得る。いくつかの実施形態では、投与は、注射によってであり、投与の経路は、静脈内(IV)、筋肉内(IM)又は皮下(SC)である。一実施形態では、非経口投与は、筋肉内注射である。
【0042】
[0046]低投与体積投与の数、投与間間隔及び治療又は免疫プロトコールの総期間を決定することは、当業者の能力の範囲内である。これらの特徴は、例えば、使用される抗原、望まれる体液性免疫のレベル、対象及び/又は疾患若しくは障害に左右され得る。
【0043】
[0047]いくつかの実施形態では、組成物の低投与体積投与は、ヒト対象に完全免疫処置プロトコールの過程にわたって1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれ以上与えられる。より特定の実施形態では、組成物の低投与体積は、ヒト対象に2回だけ投与される。例えば、一実施形態では、第1回は、初回刺激投与としてであることがあり、第2回は、追加免疫投与としてであることがある。本明細書において、「初回刺激投与」とは、免疫系に対して抗原を提示する効果を有する、対象への組成物の最初の投与を指す。対照的に、「追加免疫投与」とは、対象への第2の又は任意のその後の同一抗原の再導入を指す。抗原は、初回刺激及び追加免疫投与の両方において同一であるが、いくつかの実施形態では、組成物の他の構成成分は異なっていることもある。
【0044】
[0048]組成物の低投与体積の投与間間隔は、当業者の能力の範囲内である。一実施形態では、間隔は、免疫応答の誘導の大幅な減少が起こらないよう十分に近いものでなくてはならない。いくつかの実施形態では、組成物の最初の投与後、その後の投与は各々、直前の投与後約12時間、約1日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間又はそれ以上以内である。より特定の実施形態では、その後の低投与体積投与は各々、直前の投与後、約4週間、約8週間又は約12週間以内であり、さらなる実施形態では、直前の投与後、約8週間(56日)でである。
【0045】
[0049]一実施形態では、本明細書において開示される方法は、組成物の単回低投与体積初回刺激投与及び単回低投与体積追加免疫投与のみを投与することを含む。一実施形態では、単回追加免疫投与は、単回初回刺激投与後約56日でヒト対象に提供される。
【0046】
[0050]別の実施形態では、本明細書において開示される方法は、本明細書において開示される組成物の単回低投与体積投与のみを投与することを含む。
【0047】
[0051]最初の投与から最後への組成物が投与され得る期間は、当業者の能力の範囲内であるが、有害作用又は事象に遭遇するような長いものであってはならない。いくつかの実施形態では、最初から最後の投与の期間は、約0日(単回投与実施形態)、約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年又はそれより長いものである。一実施形態では、期間は、約8週間(56日)である。
【0048】
[0052]一実施形態では、本明細書において開示される方法は、本明細書において記載される組成物の低投与体積の少なくとも1回の投与後に、疎水性担体を含まない、又は疎水性担体及び両親媒性化合物を含まない水性組成物に製剤化された抗原のその後の用量をヒト対象に投与することをさらに含み得る。これらの方法の一実施形態では、低投与体積組成物は、「デポー形成性ワクチン」であり、水性組成物は、「非デポー形成性ワクチン」であろう。例示的方法及び組成物は、例えば、2016年4月27日に出願された国際特許出願番号PCT/CA2016/050487に開示されている。
【0049】
[0053]「デポー形成性ワクチン」とは、ヒト対象への投与の際に、ワクチン及びその構成成分(例えば、抗原、アジュバントなど)が、一定期間ワクチン注射部位に局所化されたままであり、対象の身体中に迅速に分散されないことを意味する。これは、本明細書において、「デポー効果」と呼ばれ、それによって、注射部位からの、抗原又は抗原と1種又はそれ以上の他のワクチン構成成分の実質的な放出が長期間起こらない。抗原又は抗原と1種又はそれ以上の他のワクチン構成成分が、注射部位に留まる期間は、デポー効果が達成される方法に応じて変わり得る。本明細書において、用語「デポー形成性ワクチン」とは、抗原又は抗原と1種又はそれ以上の他のワクチン構成成分のかなりの割合が、抗原及び他の構成成分が非デポー形成性ワクチンで投与される場合よりも長い期間注射部位に維持されることを広く意味する。
【0050】
[0054]「非デポー形成性ワクチン」とは、ヒト対象への投与の際に、ワクチン及びその構成成分(例えば、抗原、アジュバントなど)が、対象の身体中に迅速に分散され、「デポー効果」が得られない又は持続しないことを意味する。非デポー形成性ワクチンについては、抗原又は抗原と1種又はそれ以上の他のワクチン構成成分は、デポー形成性ワクチンのそれぞれの構成成分よりも実質的により速く注射部位から除去される。したがって、非デポー形成性ワクチンは、抗原及び他のワクチン構成成分に対してこれまでに初回刺激された免疫系に対して迅速に再曝露され、次いで、注射部位から消散する。一実施形態では、非デポー形成性ワクチンの抗原又は抗原と1種又はそれ以上の他のワクチン構成成分の50%、60%、70%、80%、90%又は100%超が、約3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間又は48時間で注射部位から除去された。
【0051】
[0055]一実施形態では、本明細書において開示される方法は、ウイルス、細菌、原虫又は毒素に対するヒト対象の曝露の前若しくは後、又は前と後の両方でヒト対象に組成物の低投与体積を投与することを含む。組成物が予防ワクチンとして使用され得る一実施形態では、方法は、ウイルス、細菌、原虫又は毒素に対するヒト対象の曝露の前に、組成物の少なくとも1回の低投与体積をヒト対象に投与することを含む。
【0052】
[0056]ヒト対象は、任意の性別及び任意の年齢のものであり得る。一実施形態では、ヒト対象は、乳児、幼児、青年、成人又は高齢の対象である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、0~2歳、50~64歳又は65歳を超える年齢である。
【0053】
[0057]本明細書において開示される方法において使用され得る組成物は、以下に記載されている。一実施形態では、組成物は、水を含まない、又は実質的に水を含まないオイルベース組成物である。
【0054】
[0058]組成物
[0059]本明細書において、用語「ワクチン」、「ワクチン組成物」又は「組成物」は、文脈が要求するように同義的に使用され得る。
【0055】
[0060]本明細書において開示される方法において使用するための組成物は、B細胞エピトープを含む抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体を含む。これらの構成成分の各々並びに、制限するものではないが、組成物中に含まれ得る例示的なさらなる構成成分も、より詳細に本明細書において個々に記載される。これらの組成物は、他の組成物から区別するために、本明細書において種々の例において(例えば、実施例において)「オイルベース」組成物と呼ばれる。
【0056】
[0061]一実施形態では、組成物は、本明細書において記載されるように、水を含まない、又は実質的に水を含まない。
【0057】
[0062]組成物は、低投与体積で本明細書において開示される方法において使用するためのものである。これに関連して、用語「治療上有効な量」とは、組成物の低投与体積中の個々の構成成分の量(例えば、マイクログラム量)を指す。表現「治療上有効な量」とは、投与体積に関してではない。本明細書において、「治療上有効な量」とは、対象において抗体免疫応答を刺激する、誘導する、維持する、追加免疫する、又は増強するのに有効な有効成分(例えば、抗原)の量を意味する。いくつかの実施形態では、ワクチンの治療上有効な量とは、特定の疾患又は障害の治療において対象における臨床応答を誘導可能な量である。治療上有効な量の決定は、特に、本明細書において開示される開示内容を考慮して当業者の能力の範囲内である。治療上有効な量は、対象の状態、体重、性別及び年齢などの種々の因子に従って変わり得る。
【0058】
[0063]i)抗原
[0064]本明細書において開示される組成物は、1種又はそれ以上の抗原を含む。少なくとも1種の抗原は、少なくとも1種のB細胞エピトープを含む。B細胞エピトープを含む場合も含まない場合もある他の抗原が、組成物中に含まれ得る。
【0059】
[0065]組成物の少なくとも1種の抗原は、B細胞エピトープを含む。抗原の長さに応じて、2つ以上のB細胞エピトープを含み得る。例えば、制限するものではないが、抗原は、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのB細胞エピトープを含み得る。
【0060】
[0066]B細胞エピトープ(単数又は複数)は、任意の化学的性質のものであってよく、制限するものではないが、ペプチド、炭水化物、脂質、糖ペプチド及び糖脂質を含む。特定の実施形態では、エピトープは、本明細書において記載される、又は当技術分野で公知の抗原のうち1種又は複数に由来するペプチドである。エピトープは、天然に存在するエピトープと同一であってもよく、又は天然に存在するエピトープの修飾形態であってもよい。
【0061】
[0067]B細胞エピトープは、B細胞によって、及び抗体によって認識される。B細胞ペプチドエピトープは、通常、少なくとも5個のアミノ酸長であり、より多くは、少なくとも6個のアミノ酸長であり、さらにより多くは、少なくとも7個又は8個のアミノ酸長であり、連続(「線形」)であっても、不連続(「コンホメーション」)であってもよく、後者は、例えば、一次アミノ酸配列の非連続部分を物理的に近接させるタンパク質のフォールディングによって形成される。コンホメーションエピトープは、それらがそのようなものとして合成によって調製される場合など、線形エピトープとして認識可能であり得る。通常、線形B細胞エピトープは、5~20個のアミノ酸長で変わる。B細胞エピトープはまた、炭水化物エピトープであり得る。
【0062】
[0068]B細胞エピトープを同定する実験的方法は、当技術分野で公知である。一般に、B細胞エピトープを同定する場合に考慮する2つの重要な面がある。第1は、タンパク質の一次アミノ酸配列である。第2は、タンパク質のコンホメーション構造である。
【0063】
[0069]本明細書において記載される組成物の抗原は、体液性免疫応答を誘導可能であるB細胞エピトープからなり得る、又は含み得る。
【0064】
[0070]いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物の抗原は、感染性疾患と関連する1種又は複数のB細胞エピトープからなり得る、又は含み得る。例えば、抗原は、ウイルス、例えば、インフルエンザウイルス、ジカウイルス又は呼吸器合胞体ウイルスなどに由来するB細胞エピトープからなり得る、又は含み得る。一実施形態では、B細胞エピトープは、H5N1インフルエンザウイルスの血球凝集素糖タンパク質に由来するエピトープであり得る。別の実施形態では、B細胞エピトープは、呼吸器合胞体ウイルスの小疎水性タンパク質(SHe)のエクトドメインに由来するエピトープであり得る。
【0065】
[0071]別の実施形態では、本明細書において記載される組成物の抗原は、細菌、例えば、百日咳菌(Bordetella pertussis)又は炭疽菌(Bacillus anthracis)などに由来するB細胞エピトープからなり得る、又は含み得る。一実施形態では、B細胞エピトープは、百日咳菌(Bordetella pertussis)によって産生される百日咳トキソイドタンパク質のエピトープであり得る。別の実施形態では、B細胞エピトープは、炭疽菌組換え保護抗原(rPA)又は炭疽菌突然変異体組換え保護抗原(mrPA)のエピトープであり得る。
【0066】
[0072]別の実施形態では、本明細書において記載される組成物の抗原は、例えば、プラスモジウム属由来の原虫に由来するB細胞エピトープからなり得る、又は含み得る。
【0067】
[0073]さらなる実施形態では、組成物は、体液性免疫応答を誘導するための抗原としてB細胞エピトープの混合物を含み得る。B細胞エピトープは、単一分子(例えば、1つのポリペプチド)を形成するように連結されてもよく、又は別個の分子(例えば、別個のポリペプチド)として提示されてもよい。
【0068】
[0074]いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、B細胞エピトープを含む抗原に加えて、CTLエピトープを含む抗原を含み得る。一実施形態では、CTLエピトープの配列は、B細胞エピトープの配列と完全に又は部分的に重複し得る。
【0069】
[0075]CTLエピトープは、細胞傷害性Tリンパ球によって認識される分子である。CTLエピトープは通常、MHC分子と複合体形成している抗原提示細胞の表面に提示される。本明細書において、用語「CTLエピトープ」とは、抗原(ハプテンを含む)の天然CTLエピトープと実質的に同一である分子(例えば、ペプチド)を指す。CTLエピトープは、1個又は2個のアミノ酸などによって、その天然対応物と比較して修飾されてもよい。特に断りのない限り、CTLエピトープへの本明細書における言及は、細胞によって取り込まれ、抗原提示細胞の表面に提示されることが可能である、結合していない分子へのものである。
【0070】
[0076]CTLエピトープは通常、細胞媒介性免疫応答が起こり得るようにT細胞受容体による認識に適しているものでなくてはならない。ペプチドについて、CTLエピトープは、クラスI又はクラスII MHC分子と相互作用し得る。MHCクラスI分子によって提示されるCTLエピトープは通常、8~15個の間のアミノ酸長の、より多くは、9~11個の間のアミノ酸長のペプチドである。MHCクラスII分子によって提示されるCTLエピトープは通常、5~24個の間のアミノ酸長の、より多くは、13~17個の間のアミノ酸長のペプチドである。抗原が、これらの大きさよりも大きい場合には、免疫系によって、MHCクラスI又はII分子との相互作用により適した大きさの断片にプロセシングされる。したがって、CTLエピトープは、上記のものよりも大きなペプチドの一部であり得る。
【0071】
[0077]多数のCTLエピトープが公知である。さらなるCTLエピトープを同定するいくつかの技術が、当技術分野によって認識されている。一般に、これらは、CTLエピトープを提供する可能性がある分子を調製することと、その分子に対する免疫応答を特性決定することとを含む。
【0072】
[0078]一実施形態では、本明細書において記載される組成物の抗原は、CTLエピトープからなり得る、又は含み得る。例えば、抗原は、ウイルス、例えば、HPV又はインフルエンザに由来するCTLエピトープからなり得る、又は含み得る。別の実施形態では、CTLエピトープは、例えば、本明細書において記載されるサバイビンペプチドのうち1種若しくは複数又は黒色腫関連タンパク質などの腫瘍関連タンパク質のエピトープであり得る。さらなる実施形態では、組成物は、CTLエピトープの混合物を含み得る。CTLエピトープは、単一分子(例えば、1つのポリペプチド)を形成するように連結されてもよく、又は別個の分子(例えば、別個のポリペプチド)として提示されてもよい。
【0073】
[0079]いくつかの実施形態では、B細胞及びCTLエピトープは、疾患関連及び/又は疾患特異的エピトープである。このような疾患として、それだけには限らないが、本明細書において記載されるもののいずれも挙げられる。例えば、制限するものではないが、疾患は、感染性疾患(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染、インフルエンザウイルス感染、ジカウイルス感染、エボラウイルス感染、炭疽菌(Bacillus anthracis)感染若しくは四日熱マラリア原虫感染によって引き起こされる、又はそれらと関連する疾患など)、癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、神経膠芽腫又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫など)又は中毒性疾患(例えば、コカインに対する中毒など)であり得る。
【0074】
[0080]本明細書において記載される組成物は、少なくとも1種のB細胞エピトープを含む少なくとも1種の抗原を含み、同一又は異なる抗原上にさらなるエピトープ(B細胞又はCTL)をさらに含んでもよく、これは、単一分子(例えば、1つのポリペプチド)を形成するように連結されてもよく、又は別個の分子(例えば、別個のポリペプチド)として提示されてもよい。このようなエピトープを含む例示的抗原は、以下に記載されるが、制限するものではない。
【0075】
[0081]本明細書において、用語「抗原」とは、免疫系の構成成分と特異的に結合できる任意の物質又は分子を指す。本明細書における組成物の少なくとも1種の抗原は、B細胞エピトープを含み、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導可能である。免疫応答を誘導可能である抗原は、免疫原性であるといわれ、免疫原と呼ばれることもある。したがって、本明細書において、用語「抗原」は、免疫源を含み、この用語は、別に具体的に明記されない限り同義的に使用され得る。用語抗原は、本明細書において、ハプテンも含む。当技術分野で理解されるように、ハプテンは、抗原性である(例えば、免疫系の構成成分による結合を受けることが可能である)が、免疫原性を供給する何らかの担体分子に結合されない限り免疫原性ではない小分子である。
【0076】
[0082]本明細書において開示される組成物において有用であり得る抗原として、例えば、制限するものではないが、ポリペプチド、炭水化物、微生物又はその一部、例えば、生存している、減弱された、不活性化された、又は死滅した細菌、ウイルス又は原虫又はその一部が挙げられる。抗原は、例えば、対象において免疫応答を誘導若しくは強化可能である、病原性生物学的製剤、毒素、アレルゲン、ペプチド、適した天然、非天然、組換え又は変性タンパク質又はポリペプチド又はその断片又はエピトープであり得る。いくつかの実施形態では、抗原は、動物に由来するもの(動物抗原)、例えば、ヒトに由来するもの(ヒト抗原)など又は実質的にそれと関連している抗原であり得る。
【0077】
[0083]本明細書において、用語「に由来する」とは、制限するものではないが、発生源(例えば、対象)から単離された、若しくは直接的に得られた抗原、発生源に由来する抗原と同一である、若しくは実質的に関連する合成若しくは組換えによって作製された抗原、又は発生源の抗原若しくはその断片から製造される抗原を包含する。用語「実質的に関連する」とは、これに関連して、抗原が化学的、物理的又はその他の手段(例えば、配列修飾)によって修飾されている可能性があるが、得られる生成物が元の抗原に対する、又は元の抗原と関連する疾患若しくは障害に対する免疫応答を発生させることが依然として可能であることを意味する。
【0078】
[0084]本明細書において、用語「抗原」はまた、抗原として機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含む。核酸ベースのワクチン接種戦略も知られており、これでは、ポリヌクレオチドを含有するワクチン組成物が対象に投与される。ワクチン組成物自体が、ポリペプチドを含有していたかのように、抗原性ポリペプチドが対象において最終的に存在するように、ポリヌクレオチドによってコードされる抗原性ポリペプチドが対象において発現される。本開示の目的上、用語「抗原」は、文脈が指示する場合には、抗原として機能するポリペプチドをコードするこのようなポリヌクレオチドを包含する。
【0079】
[0085]いくつかの実施形態では、抗原は、感染性疾患、癌又は中毒性疾患と関連しているものであり得る。
【0080】
[0086]本明細書において組成物中で抗原として有用であるウイルス又はその一部として、例えば、制限するものではないが、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザウイルス(例えば、H5N1インフルエンザウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス)、ジカウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、牛痘ウイルス、ワクシニアウイルス、偽牛痘ウイルス、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス1型、ヒトヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトアデノウイルスA~F、ポリオーマウイルス、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、オルトレオウイルス、ロタウイルス、エボラウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、ニューモウイルス、狂犬病ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ハンタンウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱病ウイルス及び水痘が挙げられる。
【0081】
[0087]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に由来する抗原を含む。
【0082】
[0088]RSVは、世界中で幼児における急性下気道感染の最も一般的なウイルス原因であり(Nairら、2010年)、ほとんどすべての小児が、年齢が2歳になるまでに感染する。再感染は、一生を通じて起こり、高齢成人(Walsh及びFalsey、2004年)及び重度に免疫低下した人(Khannaら、2008)では相当な関連罹病率を有する。カナダでは、幼児におけるRSV関連下気道疾病(LRTI)は、出生コホートの最大2%で毎年12,000件を超える入院を占める(Langleyら、2003年)。数十年の研究にも関わらず、確立されたRSV感染の自然経過を決定的に変更すると示された介入はなく、したがって、治癒は、全般的に支持的なものである。RSV疫学、ウイルス学、ヒトにおける疾患の病態形成及び免疫応答の理解において非常に大きな進歩がなされたが、安全な有効なRSVワクチンはまだ利用可能ではない。RSVワクチンは、高い世界的優先度と同定されており(Nairら、2011年)、ワクチン開発への障壁を克服するための複数の実験的アプローチが示唆されている。
【0083】
[0089]RSVワクチンの開発は、1957年のウイルスの同定のすぐ後に始まった(Chanock及びFinberg、1957年、Chanock、Roizman及びMyers、1957年)。1966~1967年の冬に、医学的に看護される感染を防ぐために、ロット100と名付けられたホルマリン不活性化RSVワクチンが、未就学児及び乳児に筋肉内注射によって与えられた。RSVワクチンの乳児レシピエントは、対照よりも高頻度のRSV関連入院加療があり、2人の乳児はRSV感染のために死亡した。これらの小児の集中的な研究、げっ歯類モデルにおける実験の複製及びin vitro研究は、ホルマリン不活性化ワクチンが、不適切なレベルの血清中和抗体、低アビディティー抗体、細胞性免疫応答又は局所免疫性がないこと、ホルマリン修飾されたタンパク質に対する免疫応答の変更(Moghaddam、2006年)及びTh2免疫応答の誘導(Karron、2013年)をもたらすという仮説につながった。ワクチン関連疾患を強めてしまうこの現象は、数十年のRSVワクチン開発の景色を大きく変更した。
【0084】
[0090]今日までのRSVワクチン候補には、経鼻投与された生存している減弱された生物学的に由来する、遺伝子操作された、サブユニットワクチン並びに注射用サブユニットワクチンが含まれていた。多数のワクチンは、RSVコートタンパク質F及びGに対する中和抗体を産生するように宿主を刺激することに焦点を合わせている。分子生物学の進歩は、ヒト免疫応答が向けられ得る特異的RSV抗原性構成成分又はエピトープの同定につながった(Andersonら、2010年)。承認ワクチンは市場に出ていないので、安全な有効な対費用効果が高いRSVワクチンの開発及び利用可能性に対する満たされていない必要性がある。
【0085】
[0091]RSVビリオン、パラミクソウイルス科の属のメンバーは、15,222ヌクレオチドを有する一本鎖のマイナスセンスRNAから構成される。ヌクレオチドは、3つの膜貫通表面タンパク質(F、G及び小疎水性タンパク質又はSH)、2つの基質タンパク質(M及びM2)、3つのヌクレオカプシドタンパク質(N、P及びL)並びに2つの非構造タンパク質(NS1及びNS2)をコードする。今日までヒトにおいて試験されたサブユニットワクチンには、精製F糖タンパク質ワクチン、Sanofi Pasteurによって開発された混合F、G及びMタンパク質ワクチン、コンジュゲートされたG糖タンパク質ペプチド(BBG2Na)ワクチン及びキメラRSV FG融合タンパク質ワクチンが含まれる。
【0086】
[0092]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、RSVタンパク質のうちいずれか1種又は複数に対する抗原を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、RSVのSHタンパク質の抗原又はその断片を含む。その他の実施形態では、組成物は、別のパラミクソウイルスのSHタンパク質の抗原又はその断片を含み得る。
【0087】
[0093]いくつかのパラミクソウイルス中に存在する(Collinsら、1990)SHタンパク質は、エクトドメイン又は「細胞外」成分を有する膜貫通タンパク質である。ヒトRSV SHタンパク質は、64個のアミノ酸(サブグループA)及び65個のアミノ酸(サブグループB)を含有し、高度に保存されている。
【0088】
ヒトRSV SH(サブグループA):
MENTSITIEFSSKFWPYFTLIHMITTIISLLIIISIMIAILNKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号4)
ヒトRSV SH(サブグループB):
MGNTSITIEFTSKFWPYFTLIHMILTLISLLIIITIMIAILNKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号5)
[0094]SHの機能は、何年も不明確であったが、最近の証拠は、SHが、RSV感染の際に、ビロポリン(viroporin)として機能するようであり、インフラマソーム活性化をシグナル伝達し、イオン又は小分子に対する膜透過性を誘導することを示唆する。可能性があるワクチン候補としてのSH抗原の使用は、ベルギーのヘント大学、独立研究機関Vlaams Instituutvoor Biotechnologie(VIB;ベルギー、フランダース)及びベイラー医科大学(テキサス州、ヒューストン)に本拠地を置く研究者による前臨床研究において調査されている。VIBグループは、SHeとして知られるSHタンパク質の23個のアミノ酸のエクトドメイン部分を具体的に調べた(例えば、国際公開第2012/065997号を参照のこと)。しかし、SHeは小ペプチドであり、SHe単独の免疫原性は限定される。
【0089】
[0095]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、パラミクソウイルスのSHタンパク質(SHe)のエクトドメインを含む、又はからなる抗原又はその断片を含む。一実施形態では、SHeは、ウシRSVに由来する。その他の実施形態では、SHeは、サブグループAヒトRSV株又はサブグループBヒトRSV株に由来する。
【0090】
サブグループAヒトRSV SHe(RSV SHe A):
NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)
サブグループBヒトRSV SHe(RSV SHe B):
NKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号2)
[0096]したがって、いくつかの実施形態では、本明細書において開示される組成物は、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)を含む、若しくはからなる抗原又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される組成物は、アミノ酸配列NKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号2)を含む、若しくはからなる抗原又はその断片を含む。
【0091】
[0097]いくつかの実施形態では、組成物は、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)からなる抗原を含む。
【0092】
[0098]いくつかの実施形態では、組成物は、アミノ酸配列NKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号2)からなる抗原を含む。
【0093】
[0099]いくつかの実施形態では、SHeのアミノ酸配列は、挿入、欠失及び/又はアミノ酸置換によって修飾され得る。これらの及びその他の実施形態では、SHeは、配列番号1又は2のSHeに対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み得る。配列アラインメントは、例えば、BLASTpアラインメントで測定され得る(Altschulら、1997年)。SHe配列の変異体の例示的実施形は、例えば、国際公開第2012/065997号に開示されている(例えば、国際公開第2012/065997号中の配列番号3~30の配列を参照のこと)。
【0094】
[00100]いくつかの実施形態では、SHeを含む抗原は、アミノ酸配列NKLSEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号6)を含み得る、又はからなり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、配列NKLSEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号6)からなる抗原を含む。
【0095】
[00101]本明細書において開示される組成物が、SHe又はその断片又は変異体を含む抗原を含む場合には、単量体形態、二量体形態又は別のオリゴマー形態又はそれらの任意の組合せの組成物中に存在し得る。一実施形態では、SHe A及び/又はSHe Bを含む抗原は、単量体(例えば、単一ポリペプチド)である。別の実施形態では、SHe A及び/又はSHe Bを含む抗原は、二量体(例えば、二量体化された2つの別個のポリペプチド)である。二量体化の手段は、当技術分野で公知である。例示的手順は、RSV SHeペプチド抗原を、水中の10% DMSO/0.5% 酢酸(w/w)の混合物中に溶解し、37℃で一晩加熱することである。
【0096】
[00102]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、単量体としてRSV SHe A又はその断片又は変異体を含む抗原を含む。
【0097】
[00103]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、二量体としてRSV SHe A又はその断片又は変異体を含む抗原を含む。
【0098】
[00104]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、単量体としてRSV SHe B又はその断片又は変異体を含む抗原を含む。
【0099】
[00105]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、二量体としてRSV SHe B又はその断片又は変異体を含む抗原を含む。
【0100】
[00106]例えば、国際公開第2012/065997号に記載されるように、SHeペプチド抗原は、担体に遺伝子的に又は化学的に連結され得る。ペプチド抗原の提示に適した担体の例示的実施形態は、当技術分野で公知であり、それらの一部は、国際公開第2012/065997号に記載されている。別の実施形態では、SHeペプチド抗原は、本明細書において記載されるような両親媒性化合物又はそれから形成される構造に連結され得る。
【0101】
[00107]別の実施形態では、本明細書において開示される組成物は、インフルエンザウイルスに由来する抗原を含む。インフルエンザは、オルトミクソウイルス科の一本鎖RNAウイルスであり、ウイルス粒子の外側の2つの大きな糖タンパク質、血球凝集素(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)に基づいて特性決定されることが多い。インフルエンザAの多数のHAサブタイプが同定されている(Kawaokaら、1990年、Websterら 1983年)。いくつかの実施形態では、抗原は、HA又はNA糖タンパク質に由来し得る。特定の実施形態では、抗原は、Genbank受託番号AY818135下で見られる配列又はその任意の適した配列変異体などに由来する組換えHA抗原(H5N1、A/Vietnam/1203/2004;Protein Sciences;USA)であり得る。
【0102】
[00108]別の実施形態では、本明細書において開示される組成物は、エボラウイルス由来の抗原を含む。
【0103】
[00109]別の実施形態では、本明細書において開示される組成物は、ヒトパピローマウイルス(HPV)由来の抗原を含む。より特定の実施形態では、本明細書において開示される組成物は、HPV関連子宮頸癌又はHPV関連頭頸部癌と関連する抗原を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列RAHYNIVTF(HPV16E7(H-2Db)ペプチド49~57;R9F;配列番号7)を含むペプチドである。
【0104】
[00110]本明細書における組成物中の抗原として有用であり得る細菌又はその一部として、例えば、制限するものではないが、炭疽菌(Bacillus anthracis)、ブルセラ菌、百日咳菌(Bordetella pertussis)、カンジダ、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、コレラ、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioidesimmitis)、クリプトコッカス、ジフテリア、大腸菌O157:H7、腸管出血性大腸菌、腸内毒素原性大腸菌、インフルエンザ菌、ピロリ菌、レジオネラ、レプトスピラ、リステリア、髄膜炎菌、肺炎マイコプラズマ、マイコバクテリア、百日咳、肺炎、サルモネラ菌、赤痢菌、スタフィロコッカス、肺炎連鎖球菌及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)が挙げられる。
【0105】
[00111]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、炭疽菌(Bacillus anthracis)由来の抗原を含む。制限するものではないが、組成物中に含有される抗原は、例えば、炭疽菌組換え保護抗原(rPA)(List Biological Laboratories、Inc.;カリフォルニア州、キャンベル)又は炭疽菌突然変異体組換え保護抗原(mrPA)(Pfenex、Inc.;カリフォルニア州、サンディエゴ)に由来し得る。いくつかの実施形態では、抗原は、Genbank受託番号P13423下で見られる配列又はその任意の適した配列変異体に由来し得る。
【0106】
[00112]本明細書における組成物中の抗原として有用である原虫又はその一部として、例えば、制限するものではないが、マラリアを引き起こすプラスモジウム属(熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫又は二日熱マラリア原虫)が挙げられる。
【0107】
[00113]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、四日熱マラリア原虫に由来する抗原を含む。
【0108】
[00114]或いは、抗原は、天然に存在する、又は合成された毒素又はアレルゲンであり得る。「毒素」とは、本明細書において、疾患若しくは不快を引き起こすことが可能である生存細胞又は生物(例えば、植物、動物、微生物など)によって産生される任意の物質又は感染性物質又は有害効果が可能な組換え若しくは合成された分子を指す。毒素は、例えば、小分子、ペプチド又はタンパク質であり得る。毒素は、例えば、コカインなどの原薬を含む。毒素は、抗体によって中和されることが可能であり得る。このような実施形態では、抗原は、循環(例えば、血液)中の毒素と結合し、捕捉する抗体の産生を誘発することができ、それによって、身体の別の領域(例えば、脳)へのその送達を防ぐ可能性がある。
【0109】
[00115]「アレルゲン」とは、本明細書において、アレルギーを引き起こし得る任意の物質を指す。アレルゲンは、制限するものではないが、植物、動物、真菌、昆虫、食物、薬物、粉塵及びダニの細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖コンジュゲート、多糖及びその他の分子のペプチド及び非ペプチドミミック、小分子、脂質、糖脂質及び炭水化物に由来し得る。アレルゲンとして、それだけには限らないが、環境空気アレルゲン、植物花粉(例えば、ブタクサ/花粉症)、草花粉アレルゲン、牧草花粉アレルゲン、セイバンモロコシ、樹木花粉アレルゲン、ドクムギ、クモ類アレルゲン(例えば、イエダニアレルゲン)、貯蔵庫ダニアレルゲン、スギ花粉/花粉症、カビ/菌類胞子アレルゲン、動物アレルゲン(例えば、イヌ、モルモット、ハムスター、スナネズミ、ラット、マウスなどのアレルゲン)、食物アレルゲン(例えば、甲殻類、ナッツ、柑橘類、小麦粉、コーヒー)、昆虫アレルゲン(例えば、ノミ、ゴキブリ)、毒液(ハチ類、イエロージャケット、ミツバチ、ワスプ、ホーネット、アカヒアリ)、細菌アレルゲン(例えば、連鎖球菌抗原、回虫抗原などの寄生虫アレルゲン)、ウイルス抗原、薬物アレルゲン(例えば、ペニシリン)、ホルモン(例えば、インスリン)、酵素(例えば、ストレプトキナーゼ)及び不完全抗原又はハプテンとして作用可能である薬物又は化学物質(例えば、酸無水物及びイソシアネート)が挙げられる。
【0110】
[00116]本明細書において開示される組成物においてハプテンが使用される場合には、本明細書において記載される担体又は別の抗原、例えば、タンパク質などと結合されて、ハプテン-担体付加物を形成し得る。ハプテン-担体付加物は、免疫応答を誘発可能であるが、ハプテン自体は通常、応答を誘発しない。ハプテンの限定されない例として、アニリン、ウルシオール(ツタウルシ中の毒素)、ヒドララジン、フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン及びジニトロフェノールがある。
【0111】
[00117]別の実施形態では、抗原は、循環中の抗原、例えば、アミロイドタンパク質などを捕捉することが望ましい疾病(例えば、アルツハイマー病)と関連している抗原であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるような組成物は、それを必要とする対象における神経変性性疾患の治療及び/又は予防において有用である可能性がある抗原を含み、神経変性性疾患は、抗原の発現と関連している。
【0112】
[00118]別の実施形態では、抗原は、抗体によって認識されることが可能である、癌又は腫瘍関連タンパク質、例えば、膜表面結合型癌抗原などに由来し得る。
【0113】
[00119]一実施形態では、癌は、病原体、例えば、ウイルスによって引き起こされるものであり得る。癌の発生に関連付けられるウイルスは、当業者に公知であり、それだけには限らないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ジョンカニンガムウイルス(JCV)、ヒトヘルペスウイルス8、エプスタインバーウイルス(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス、C型肝炎ウイルス及びヒトT細胞白血病ウイルス-1が挙げられる。したがって、一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、癌の発生と関連しているウイルスに由来する抗原を含み得る。本明細書において開示される方法及び組成物から恩恵を受け得る例示的癌として、抗体によって認識されることが可能である、1種又は複数の腫瘍特異的抗原を発現する任意の悪性細胞、例えば、膜表面結合型癌抗原を発現する癌が挙げられる。
【0114】
[00120]多数の癌又は腫瘍関連タンパク質、例えば、制限するものではないが、国際公開第2007/041832号及び国際出願PCT/CA2016/050487に記載されるものなどは、当技術分野で公知である。例えば、癌関連抗原は、HPV(例えば、E6、E7、L1若しくはL2タンパク質又は国際公開第1993/022338号、同2002/070006号、同2006/115413号、同2008/147187号、同2009/002159号又は同2010/123365号において開示されるHPV抗原のうち1種若しくは複数)又は膜表面結合型タンパク質サバイビン(例えば、国際公開第2014/153636号、同2004/067023号及び同2006/081826号を参照のこと)又はその変異体又は断片に由来し得る。これらの抗原は、B細胞エピトープを含む場合には、又は組成物中のさらなる抗原として使用される場合には、本明細書において開示される組成物中に含まれ得る。
【0115】
[00121]いくつかの実施形態では、組成物は、弱免疫原性抗原を含む。本明細書において、「弱く免疫原性」とは、従来ワクチン(例えば、水性ワクチン、エマルジョンなど)において、抗原が免疫応答を誘導、維持及び/又は追加免疫する能力をわずかしか有さない、又は全く有さないことを意味する。
【0116】
[00122]例えば、一実施形態では、弱免疫原性抗原とは、水性ワクチンに製剤化される場合に、免疫応答を十分に誘導できないものである。これは、同一抗原が、本明細書において開示されるような比較可能なワクチン組成物(すなわち、両親媒性化合物を有する疎水性担体中で製剤化されることを除いて、同一構成成分を有する)に製剤化され、それによって、抗原が、ここで、免疫応答を十分に誘導可能である場合とは対照的である。前の文脈において、「免疫応答を十分に誘導する」とは、抗原が、ヒト対象において、本明細書において実施例において記載されるように検出可能な(すなわち、1/100希釈の検出限界で)抗体力価をもたらす程度まで抗体免疫応答を誘導できることを意味する。
【0117】
[00123]一実施形態では、弱免疫原性抗原とは、水性ワクチン中で対象に対して曝露した際に、免疫応答を誘導しない、又は本明細書において記載されるような組成物中で対象に対して曝露した際に誘導される免疫応答と比較して、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍若しくはそれ以上有効性が低い免疫応答を誘導するものである。
【0118】
[00124]一実施形態では、弱免疫原性抗原とは、水性ワクチン中で投与された場合に、対象に測定可能な治療的利益を提供できないが、抗原が本明細書において開示されるような組成物中で投与される場合には、測定可能な治療的利益が達成され得るものである。一実施形態では、測定可能な治療的利益は、例えば、本明細書において記載されるような検出限界(1/100希釈)で検出可能な抗体力価を有する抗体免疫応答であり得る。
【0119】
[00125]制限するものではないが、弱免疫原性抗原として、例えば、精製ペプチド抗原及び合成ペプチド抗原、自己抗原、癌関連抗原又はネオ抗原を挙げることができる。
【0120】
[00126]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、自己抗原である抗原を含む。当技術分野で周知のように、自己抗原は、対象の身体内に起因する抗原である。免疫系は普通、正常ホメオスタシス状態下では自己抗原に対して非反応性である。したがって、これらの種類の抗原は、標的とされる免疫療法の開発において困難をもたらす。
【0121】
[00127]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、ネオ抗原を含む。組成物中に含まれ得るネオ抗原として、例えば、制限するものではないが、2016年5月4日に出願された米国特許仮出願第62/331,770号に記載されるものがある。
【0122】
[00128]一実施形態では、組成物中に含有される抗原は、任意選択で、抗原の間にスペーサー配列を有して、又は有さずに、融合されたタンパク質として一緒に融合された本明細書において記載される抗原のうち1種又は複数の混合物を含み得る。
【0123】
[00129]一実施形態では、抗原は、本明細書において記載される抗原のいずれかに由来するポリペプチドである。一実施形態では、抗原は、5~50個のアミノ酸長のペプチド抗原である。
【0124】
[00130]例えば、制限するものではないが、本明細書において組成物中の抗原として有用であり得るポリペプチド又はその断片として、RSVの小疎水性(SH)タンパク質のエクトドメイン、コレラトキソイド、テタヌストキソイド、ジフテリアトキソイド、B型肝炎表面抗原、血球凝集素(例えば、H5N1組換え血球凝集素タンパク質)、炭疽菌組換え保護抗原(List Biological Laboratories、Inc.;カリフォルニア州、キャンベル)、炭疽菌突然変異体組換え保護抗原(Pfenex、Inc.;カリフォルニア州、サンディエゴ)、ノイラミニダーゼ、インフルエンザMタンパク質、PfHRP2、pLDH、アルドラーゼ、MSP1、MSP2、AMA1、Der-p-1、Der-f-1、アディポフィリン、AFP、AIM-2、ART-4、BAGE、α-フェトプロテイン、BCL-2、Bcr-Abl、BING-4、CEA、CPSF、CT、サイクリンD1Ep-CAM、EphA2、EphA3、ELF-2、FGF-5、G250、ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)、HER-2、腸管カルボキシルエステラーゼ(iCE)、IL13Rα2、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MART-1、MART-2、M-CSF、MDM-2、MMP-2、MUC-1、NY-EOS-1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、百日咳トキソイドタンパク質、p53、PBF、PRAME、PSA、PSMA、RAGE-1、RNF43、RU1、RU2AS、SART-1、SART-2、SART-3、セージ-1、SCRN 1、SOX2、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TGFβRII、TRAG-3、TRP-1、TRP-2、TERT及びWT1に由来するものが挙げられる。
【0125】
[00131]用語「ポリペプチド」は、長さ(例えば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18又は20個のアミノ酸)又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化又はリン酸化)に関わらず、アミノ酸の任意の鎖を包含し、例えば、天然タンパク質、合成又は組換えポリペプチド及びペプチド、エピトープ、ハイブリッド分子、変異体、相同体、類似体、ペプチド、ペプチドミメティックスなどを含む。したがって、変異体又は誘導体は、末端切断及び断片を含む欠失、挿入及び付加、例えば、保存的置換、部位指定突然変異体及び対立遺伝子変異体並びにペプチドに共有結合によって連結された1つ又は複数の非アミノアシル基(例えば、糖、脂質など)を有するペプトイド及び翻訳後修飾を含む修飾を含む。本明細書において、用語「保存されたアミノ酸置換」又は「保存された置換」とは、置換が関連機能の実質的な喪失を伴わずに行われ得る、ペプチド中の所与の位置でのアミノ酸の別のものとの置換を指す。このような変化を施す際に、同様のアミノ酸残基の置換は、側鎖置換基の相対的類似性、例えば、その大きさ、電荷、疎水性、親水性などに基づいて行うことができ、このような置換は、日常的な試験によってペプチドの機能に対するその効果について評価できる。保存的置換の具体的な限定されない例として、以下の例が挙げられる:
【0126】
【0127】
[00132]抗原配列に対して実質的な同一性を有するポリペプチド又はペプチドを使用してもよい。2種の配列は、最適にアラインされた場合に(ギャップが許可されて)、それらが少なくともおよそ50%の配列同一性を共有する場合に、又は配列が定義された機能的モチーフを共有する場合に、実質的同一性を有すると考えられる。代替実施形態では、最適にアラインされた配列は、それらが、指定の領域にわたって、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を共有する場合に、実質的に同一である(すなわち、実質的同一性を有する)と考えられる。用語「同一性」とは、2つのポリペプチド分子間の配列類似性を指す。同一性は、アラインされた配列中の各位置を比較することによって決定され得る。アミノ酸配列間の同一性の程度は、例えば、指定の領域にわたる配列によって共有される位置の同一の又は対応するアミノ酸の数の関数である。同一性の比較のための配列の最適アラインメントは、当技術分野で公知であるように、http://clustalw.genome.ad.jpで入手可能なClustalWプログラム、Smith及びWaterman(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman及びWunsch(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipman(1988)の類似性の検索方法及びこれらのアルゴリズム(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ、Genetics Computer Group、米国、ウィスコンシン州、マディソン中のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTAなど)のコンピュータ化された実行を含む、種々のアルゴリズムを使用して実施してもよい。配列同一性はまた、Altschulら(1990)に記載されたBLASTアルゴリズム(公開されたデフォルト設定を使用して)を使用して決定してもよい。例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)によって入手可能な(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ BLAST/bl2seq/wblast2.cgiでインターネットによって)「BLAST2 Sequences」ツールを、以下のデフォルト設定で「blastp」プログラムを選択して使用してもよい:期待閾値(expect threshold)10、ワードサイズ(word size)3、マトリックス(matrix)BLOSUM62、ギャップコスト存在(gap costs existence)11、拡張(extension)1。別の実施形態では、当業者ならば、任意の所与の配列を容易に、適切にアラインし、単に目視検査によって、配列同一性及び/又は相同性を推定できる。
【0128】
[00133]本発明を実施するために使用されるポリペプチド及びペプチドは、天然供給源から単離してもよく、合成的に若しくは組換えによって作製されたポリペプチドであってもよい。ペプチド及びタンパク質は、in vitroで、又はin vivoで組換えによって発現させてもよい。本発明を実施するために使用されるペプチド及びポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の方法を使用して作製し、単離してもよい。本発明を実施するために使用されるポリペプチド及びペプチドはまた、当技術分野で周知の化学的方法を使用して完全に又は部分的に合成してもよい。例えばCaruthers 1980年、Horn 1980年、Banga、1995年を参照のこと。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施でき(例えば、Roberge 1995年、Merrifield 1997年を参照のこと)、例えば、ABI 431Aペプチドシンセサイザー(Perkin Elmer)を製造業者によって提供された使用説明書に従って使用して自動化合成を達成してもよい。
【0129】
[00134]いくつかの実施形態では、抗原は、例えば、約25%~約50%純粋、約50%~約75%純粋、約75%~約85%純粋、約85%~約90%純粋、約90%~約95%純粋、約95%~約98%純粋、約98%~約99%純粋又は99%超純粋な精製抗原であり得る。
【0130】
[00135]上記のように、用語「抗原」はまた、抗原として機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含む。本明細書において、用語「ポリヌクレオチド」は、任意の長さのヌクレオチドの鎖(例えば、9、12、18、24、30、60、150、300、600、1500以上のヌクレオチド)又は鎖の数(例えば、一本鎖又は二本鎖)を包含する。ポリヌクレオチドは、DNA(例えば、ゲノムDNA又はcDNA)又はRNA(例えばmRNA)又はそれらの組合せであり得る。それらは、天然に存在するものでも、合成(例えば、化学合成)されてもよい。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中に1つ又は複数の窒素含有塩基、ペントース糖又はリン酸基の修飾を含有し得ると考えられる。そのような修飾は、当技術分野において周知であり、例えば、ポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のためであり得る。
【0131】
[00136]ポリヌクレオチドは、種々の形態で送達してもよい。いくつかの実施形態では、裸のポリヌクレオチドを、線状形態で、又は発現プラスミドなどのプラスミドに挿入して使用してもよい。その他の実施形態では、ウイルスベクター又は細菌ベクターなどの生ベクターを使用してもよい。
【0132】
[00137]DNAからRNAへの転写及び/又はRNAのポリペプチドへの翻訳を助ける1つ又は複数の調節配列が存在してもよい。メッセンジャーRNA(mRNA)分子であるポリヌクレオチドの場合など、いくつかの場合には、転写プロセスに関連する調節配列(例えばプロモーター)は必要とされず、タンパク質発現はプロモーターの非存在下で達成され得る。状況が必要とすれば、当業者は適した調節配列を含めることができる。
【0133】
[00138]いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは発現カセット中に存在し、ここで、ポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるような組成物が投与される対象においてポリヌクレオチドが発現されることを可能にする調節配列に作動可能に連結されている。発現カセットの選択は、組成物が投与される対象並びに発現されたポリペプチドに望まれる特徴に応じて変わる。
【0134】
[00139]通常、発現カセットは、対象において機能的であり、構成的又は誘導的であり得るプロモーター、リボソーム結合部位、必要ならば開始コドン(ATG)、対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、終止コドン、及び任意選択で3’末端領域(翻訳及び/又は転写ターミネーター)を含む。シグナルペプチドをコードする領域などのさらなる配列が含まれてもよい。対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現カセット中の他の調節配列のいずれに対しても、同種であっても、異種であってもよい。シグナルペプチドコード領域などの、対象のポリペプチドと一緒に発現されるべき配列は、通常、発現されるべきタンパク質をコードするポリヌクレオチドに隣接して位置し、適切なリーディングフレームで配置される。単独で又は発現されるべき他の配列(例えばシグナルペプチド)と一緒に発現されるタンパク質をコードするポリヌクレオチドによって構成されるオープンリーディングフレームは、プロモーターの制御下に配置され、その結果、組成物が投与される対象において、転写及び翻訳が起こる。
【0135】
[00140]本明細書に記載されるような組成物の単回低投与体積投与に使用される抗原の量(amount)(量(quantity))は、抗原の種類及び対象の特徴(例えば、大きさ、体重、年齢、性別など)に応じて変わり得る。当業者ならば、過度の実験を行うことなく、特定の適用において使用するための抗原の有効量を決定できるであろう。用語「有効量」とは、本明細書において、所望の結果を達成するために必要な期間にわたって有効な量を意味する。
【0136】
[00141]一実施形態では、組成物は、ヒト対象への低投与体積投与あたり約5~50マイクログラムの間の抗原を含み得る。そのいくつかの実施形態では、組成物は、ヒト対象への低投与体積投与あたり約5μg、約10μg、約15μg、約20μg、約25μg、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg又は約50μgの抗原を含む。一実施形態では、組成物は、ヒト対象への低投与体積投与あたり約10μgの抗原を含む。別の実施形態では、組成物は、ヒト対象への低投与体積投与あたり約25μgの抗原を含む。
【0137】
[00142]いくつかの実施形態では、抗原はそれ自体十分に疎水性であり、その結果、抗原は、疎水性担体に混和性である。いくつかの実施形態では、抗原は、十分に疎水性にされ(例えば、両親媒性化合物によって)、その結果、抗原は、疎水性担体に混和性である。
【0138】
[00143]ii)両親媒性化合物
[00144]「両親媒性化合物」とは、親水性及び疎水性(親油性)両方の部分又は特徴を有する化合物である。用語「両親媒性化合物」とは、「両親媒性物質(amphiphile)」又は「両親媒性物質(amphiphilic)」と同義的に使用され得る。いくつかの実施形態では、適した両親媒性化合物はまた、本明細書において以下に記載されるものなどの乳化剤も含み得る。用語「両親媒性化合物」によって本明細書において包含される乳化剤の例示的実施形態として、限定するものではないが、ポリソルベート(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、マンニドオレエート(mannideoleate)(Arlacel(商標)A)、レシチン、Tween(商標)80及びSpans(商標)20、80、83及び85が挙げられる。両親媒性化合物は、親水性親和性を有するワクチン構成成分の、水の非存在下でオイルなどの疎水性担体への組込みを促進し得る。ワクチン構成成分は、制限するものではないが、抗原及び/又はアジュバント及び/又は免疫応答の生成を促進し得る他の成分を含み得る。
【0139】
[00145]制限するものではないが、両親媒性化合物の疎水性部分は、通常、CH3(CH2)n、n>4の形態の長鎖などの大きな炭化水素部分である。両親媒性化合物の親水性部分は、普通、荷電基又は極性非荷電基のいずれかである。荷電基は、アニオン基及びカチオン基を含む。アニオン荷電基の例として、以下(分子の疎水性部分が、「R」によって表される)が挙げられる:カルボキシレート:RCO2
-、スルフェート:RSO4
-、スルホネート:RSO3
-及びホスフェート(リン脂質中の荷電官能基)。カチオン荷電基として、例えば、アミン:RNH3
+(「R」は、分子の疎水性部分をやはり表す)が挙げられる。非荷電極性基として、例えば、ジアシルグリセロール(DAG)などの大きなR基を有するアルコールが挙げられる。両親媒性化合物は、いくつかの疎水性部分、いくつかの親水性部分又はいくつかの両方の部分を有し得る。タンパク質及びいくつかのブロック共重合体が例である。ステロイド、コレステロール、脂肪酸、胆汁酸及びサポニンも両親媒性物質である。
【0140】
[00146]使用され得る多数の両親媒性化合物があり、本明細書において開示されるワクチン組成物は、単一種対の両親媒性化合物又は異なる種類の両親媒性化合物の混合物を含有し得る。
【0141】
[00147]一実施形態では、両親媒性化合物は、脂質又は脂質混合物である。任意の両親媒性脂質を使用してもよいが、特に適した脂質として、少なくとも4個の炭素長、通常、約4~28個の炭素長を含有する少なくとも1つの脂肪酸鎖を有するものを挙げることができる。脂肪酸鎖は、任意の数の飽和及び/又は不飽和結合を含有し得る。脂質は、天然脂質又は合成脂質であり得る。両親媒性脂質の限定されない例として、リン脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、セロブロシド、ガングリオシド、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、カチオン脂質並びにポリ(エチレングリコール)及び他のポリマーを用いて修飾された脂質を挙げることができる。合成脂質として、制限するものではないが、以下の脂肪酸成分:ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイル、エルコイル又はこれらの脂肪酸の組合せを挙げることができる。
【0142】
[00148]一実施形態では、両親媒性化合物は、リン脂質又はリン脂質の混合物である。大まかに定義すると、「リン脂質」は、加水分解によりリン酸、アルコール、脂肪酸、及び窒素含有塩基を生じる脂質化合物のグループのメンバーである。
【0143】
[00149]使用され得るリン脂質として、例えば、制限するものではないが、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリン(例えば、DOPC;1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)及びホスホイノシトールからなる群から選択される少なくとも1つの頭部を有するものが挙げられる。いくつかの実施形態では、DOPC及び非エステル化コレステロールの混合物が使用され得る。その他の実施形態では、LipoidS100レシチン及び非エステル化コレステロールの混合物が使用され得る。非エステル化コレステロールが使用される場合には、コレステロールが、リン脂質の重量の約10%と同等の量で使用され得る(例えば、10:1w/wのDOPC:コレステロール比又は10:1w/wのS100レシチン:コレステロール比で)。コレステロールは、リン脂質小胞の形成を安定させるために使用される。コレステロール以外の化合物が使用される場合には、当業者は、必要とされる量を容易に決定できる。
【0144】
[00150]別の一般的なリン脂質として、スフィンゴミエリンがある。スフィンゴミエリンはスフィンゴシン、長い不飽和炭化水素鎖を有するアミノアルコールを含有する。脂肪アシル側鎖は、アミド結合によってスフィンゴシンのアミノ基に連結されてセラミドを形成する。スフィンゴシンのヒドロキシル基は、エステル化されてホスホコリンとなる。同様のホスホグリセリド、スフィンゴミエリンは、両親媒性である。
【0145】
[00151]同様に使用され得るレシチンは、通常、ニワトリの卵又はヒツジの毛に由来するリン脂質の天然混合物である。
【0146】
[00152]これら及び他のリン脂質のすべてが、本発明の実施において使用され得る。リン脂質は、例えば、Avanti lipids(米国、アラバマ州、アラバスター)及びlipoid LLC(米国、ニュージャージー州、ニューアーク)から購入できる。
【0147】
[00153]一実施形態では、両親媒性化合物は、疎水性担体中に実質的に均一に分散されることができ、それによって、両親媒性化合物単独の存在で、親水性親和性を有するワクチン構成成分(例えば、抗原)の、疎水性担体中への組込みを促進するのに十分である。
【0148】
[00154]別の実施形態では、両親媒性化合物は、抗原を疎水性担体において混和性にするよう、抗原と密接に会合され得る。「密接に会合された」とは、抗原が、疎水性担体に混和性である形態で提示されるように、両親媒性化合物が近接していることを意味する。密接な会合は、抗原と両親媒性物質の間の物理的相互作用を含む場合も含まない場合もある。通常、両親媒性化合物の親水性部分は、抗原の親水性部分に向けられている。両親媒性化合物は、互いに実質的に分離されたままであってもよく、又は種々の異なる種類の構造、集合体又はアレイを形成してもよい。
【0149】
[00155]両親媒性化合物が形成し得る構造、集合体又はアレイの種類の例示的な実施形態として、制限するものではないが、単層シート、二重層シート、多層シート、単層小胞構造(例えば、ミセル)、二重層小胞構造(例えば、ユニラメラ又はマルチラメラ小胞)又はそれらの様々な組合せが挙げられる。「単層」とは、両親媒性化合物が、二重層を形成せず、むしろ一層のままであり、一方の側に疎水性部分が向けられ、反対側に親水性部分が向けられていることを意味する。「二重層」とは、両親媒性化合物が二重層シートを形成し、各層の疎水性部部分が二重層の中心へと内部に向けられ、親水性部分が外部に向けられていることを意味する。しかし、反対の立体配置も可能である。用語「多層」とは、単層及び二重層構造の任意の組合せを包含することを意味する。とられる形態は、使用される特定の抗原、特定の両親媒性化合物及び/又は特異的疎水性担体に応じて変わり得る。
【0150】
[00156]一実施形態では、両親媒性化合物によって形成される構造、集合体又はアレイは、部分的に又は完全に抗原を囲み得る。例として、両親媒性化合物は、抗原の周りに閉じた小胞構造を形成し得る。別の例として、予め形成された構造(例えば、プレソーム(presome))は、分解/再構築によって抗原を取り囲み得る及び/又は貪食し得る。
【0151】
[00157]一実施形態では、小胞構造は、単層小胞構造である。このような構造の一例として、ミセルがある。水溶液中で通常のミセルは、親水性部分が周囲の水溶液と接触しており、疎水性部分をミセル中心中に隔離している凝集体を形成する。対照的に、疎水性担体中では、疎水性部分が周囲の水溶液と接触しており、親水性部分をミセル中心中に隔離している逆ミセル/リバースミセルが形成する。球状リバースミセルは、親水性親和性を有する抗原をそのコア内にパッケージできる。
【0152】
[00158]一実施形態では、小胞構造は、ミセル又は逆ミセル/リバースミセルである。制限するものではないが、ミセル又は逆ミセル/リバースミセルの大きさは、直径2nm(20A)~20nm(200A)の範囲である。特定の実施形態では、ミセル又は逆ミセル/リバースミセルの大きさは、直径約10nmである。
【0153】
[00159]別の実施形態では、小胞構造は、例えば、リポソームなどの二重層小胞構造である。リポソームとは、封入された水性容積を含有する完全に閉じた脂質二重層膜である。リポソームは、ユニラメラ小胞(単一二重層膜を有する)である場合も、多重膜二重層を特徴とするマルチラメラ小胞である場合もあり、各二重層は、水層によって次のものから分離されている場合も分離されていない場合もある。リポソームの一般的な考察は、Gregoriadis 1990年及びFrezard 1999年に見出すことができる。リポソームは、実質的に任意の種類の細胞に吸着し、次いで、取り込まれた薬剤(例えば、抗原)を放出できる。或いは、リポソームは、標的細胞と融合し、それによって、リポソームの内容物を標的細胞に流し込むことができる。或いは、リポソームは、食作用を有する細胞によってエンドサイトーシスされ得る。
【0154】
[00160]抗原を被包するための小胞として疎水性担体並びに製剤を安定化するための乳化剤を含む組成物の調製では、リポソームが使用されてきた(例えば、国際公開第2002/038175号、国際公開第2007/041832号、国際公開第2009/039628号、国際公開第2009/146523号及び国際公開第2013/049941号を参照のこと)。親水性の抗原は、通常、水性内部中に封入されるが、疎水性抗原は、脂質二重層中に挿入され得るか、又は油相中に分散され得る。別の実施形態では、本明細書において開示されるワクチン組成物において、予め製造されたリポソームを使用してもよい。
【0155】
[00161]一実施形態では、小胞構造は、プレソームである。本明細書において、「プレソーム」とは、≦110nmの大きさ範囲及び<0.1の多分散指数(pdi)のナノ粒子を指す。プレソームは、例えば、球状ユニラメラリポソームを形成する二重層を主に有するリポソーム並びに球状マルチラメラリポソーム、長円形ユニラメラリポソーム、長円形マルチラメラリポソーム及び長円形多胞体リポソームの混合物を含み得る。
【0156】
[00162]二重層及び多層小胞構造の他の実施形態として、制限するものではないが、ニオソーム(niosomes)、トランスファーソーム(transfersomes)、ビロソーム、マルチラメラ小胞(multilamellar vesicles)(MLV)、オリゴラメラ小胞(oligolamellar vesicles)(OLV)、ユニラメラ小胞(unilamellar vesicles)(UV)、小ユニラメラ小胞(small unilamellar vesicles)(SUV)、中型ユニラメラ小胞(medium-sized unilamellar vesicles)(MUV)、大ユニラメラ小胞(large unilamellar vesicles)(LUV)、ジャイアントユニラメラ小胞(giant unilamellar vesicles)(GUV)、多胞体小胞(multivesicular vesicles)(MVV)、逆相蒸発(reverse-phase evaporation)法によって作製された単一又はオリゴラメラ小胞(REV)、逆相蒸発法によって作製されたマルチラメラ小胞(multilamellar vesicles made by the reverse-phase evaporation method)(MLV-REV)、安定なプルリラメラ小胞(stable plurilamellar vesicles)(SPLV)、凍結解凍MLV(frozen and thawed MLV)(FATMLV)、押出法によって調製された小胞(vesicles prepared by extrusion methods)(VET)、フレンチプレスによって調製された小胞(vesicles prepared by French press)(FPV)、融合によって調製された小胞(vesicles prepared by fusion)(FUV)、脱水-再水和小胞(dehydration-rehydration vesicles)(DRV)及びバブルソーム(bubblesomes)(BSV)が挙げられる。当業者ならば、これらの小胞構造を調製する技術は、当技術分野で周知であることは認識するであろう(例えば、Kreuter 1994年を参照のこと)。
【0157】
[00163]いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、組成物の単回製剤化内で本明細書において記載される構造の任意の組合せを形成し得る。例えば、組成物は、複数の異なる構造、集合体又はアレイを含み得る。一実施形態では、組成物は、リポソーム二重層、球状ユニラメラリポソーム、球状マルチラメラリポソーム、長円形ユニラメラリポソーム及び長円形多胞体リポソームに似た構造を含み得る。
【0158】
[00164]iii)疎水性担体
[00165]本明細書において開示される組成物は、疎水性担体、好ましくは、液体疎水性物質を含む。
【0159】
[00166]疎水性担体は、本質的に純粋な疎水性物質又は疎水性物質の混合物であり得る。本明細書において記載される組成物において有用である疎水性物質とは、医薬上及び/又は免疫学的に許容されるものである。担体は、通常、液体であるが、周囲温度で液体ではない特定の疎水性物質は、例えば、加温によって液化されてもよく、同様に有用であり得る。
【0160】
[00167]オイル又はオイルの混合物は、本明細書において開示される組成物において使用するのに特に適した担体である。オイルは、医薬上及び/又は免疫学的に許容されなくてはならない。適したオイルとして、例えば、鉱油(特に、Drakeol(登録商標)6VRなどの軽油又は低粘度鉱油)、植物油(例えば、ダイズオイル)、ナッツオイル(例えば、ピーナッツオイル)又はそれらの混合物が挙げられる。したがって、一実施形態では、疎水性担体は、植物油、ナッツオイル又は鉱油などの疎水性物質である。動物脂肪及び人工疎水性高分子材料、特に、周囲温度で液体であるもの又は比較的容易に液化され得るものも使用され得る。
【0161】
[00168]いくつかの実施形態では、疎水性担体は、フロイントの不完全アジュバント(IFA)、鉱油ベースのモデル疎水性担体であり得る、又は含み得る。別の実施形態では、疎水性担体は、モンタナイド(登録商標)ISA 51(SEPPIC、仏国)として市販されるものなどの鉱油溶液中のマンニドオレエート(mannideoleate)であり得る、又は含み得る。これらの担体は、油中水エマルジョンを調製するために一般に使用されるが、本開示は、本明細書において記載されるように、かなりの量の水が存在しない下で構成成分を懸濁するための両親媒性化合物の使用によってこの種の製剤を避ける。
【0162】
[00169]Immunovaccine Inc.は、VacciMax(登録商標)及びDepoVax(商標)(DPX)と呼ばれるワクチン送達プラットフォームを開発した(例えば、米国特許第6,793,923号及び同7,824,686号、国際公開第2002/038175号、同2007/041832号、同2009/039628号、同2009/043165号及び同2009/146523号を参照のこと)。DPXは、任意の抗原又は抗原の混合物を用いて製剤化され得る油中脂質製剤である。抗原及びアジュバントを含有する水滴を封入するオイルに左右される油中水エマルジョンベースのワクチンとは異なり、DepoVax(商標)ベースの製剤は、乳化を必要とすることなく、オイルへの抗原及びアジュバントの取り込みを直接促進するための脂質に左右される。このアプローチの利点として、(1)そうでなければ、普通、水ベースの希釈剤において最大溶解度を有するであろう、オイル希釈剤中の親水性の抗原/アジュバントの溶解度を増強すること及び(2)ワクチン投与に先立つ厄介な乳化手順の排除が挙げられる。
【0163】
[00170]いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるワクチン組成物は、Immunovaccine Inc.の送達プラットフォームDepoVax(商標)を含み得る。
【0164】
[00171]一実施形態では、組成物は、(i)アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)を含むペプチド、(ii)ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールを含む脂質混合物、(iii)PAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である短い合成リポペプチド及び(iv)モンタナイド(登録商標)ISA 51 VGを含む。
【0165】
[00172]iv)他の構成成分
[00173]本明細書において開示される組成物は、当技術分野で公知のような1種又は複数のさらなる構成成分をさらに含み得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、米国、ペンシルバニア州、イーストン 1985年及び1999年に公開された米国薬局方:国民医薬品集(USP 24 NF19)を参照のこと)。
【0166】
[00174]いくつかの実施形態では、組成物は、アジュバント、乳化剤、Tヘルパーエピトープ及び/又は賦形剤をさらに含み得る。
【0167】
[00175]アジュバント
[00176]いくつかの実施形態では、本明細書において開示される組成物は、1種又は複数のアジュバントを含み得る。
【0168】
[00177]多数のアジュバントが記載されており、当業者に公知である。例示のアジュバントとして、制限するものではないが、アラム、アルミニウムの他の化合物、カルメット-ゲラン桿菌(BCG)、TiterMax(商標)、Ribi(商標)、フロイントの完全アジュバント(FCA)、CpG含有オリゴでオキシヌクレオチド(CpG ODN)、脂質A模倣物又はその類似体、リポペプチド及びポリI:Cポリヌクレオチドが挙げられる。
【0169】
[00178]いくつかの実施形態では、組成物は、アジュバントとしてリポペプチドを含み得る。例示的リポペプチドとして、制限するものではないが、PAM3Cys-SKKK(配列番号3)(EMC Microcollections、独国)又はその変異体、相同体及び類似体が挙げられる。リポペプチドのPam2ファミリー(例えば、PAM2Cys-SKKK、配列番号3)は、リポペプチドのPam3ファミリーの有効な代替物であると示されている。
【0170】
[00179]いくつかの実施形態では、組成物は、アジュバントとしてCpG ODNを含み得る。例示的CpG ODNとして、5’-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3’(配列番号8)がある。当業者ならば、標的種及び有効性に基づいて他の適当なCpG ODNを容易に選択できる。
【0171】
[00180]いくつかの実施形態では、組成物は、アジュバントとしてポリI:Cポリヌクレオチドを含み得る。
【0172】
[00181]ポリI:Cポリヌクレオチドは、イノシン酸残基(I)及びシチジル酸残基(C)を含有し、インターフェロンなどの炎症性サイトカインの産生を誘導するポリヌクレオチド分子(RNA又はDNA又はDNA及びRNAの組合せのいずれか)である。いくつかの実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドは、二本鎖である。このような実施形態では、それらは、通常、完全にシトシン含有ヌクレオチドからなる1つの鎖及び完全にイノシン含有ヌクレオチドからなる1つの鎖から構成されるが、その他の立体配置もあり得る。例えば、各鎖は、シトシン含有ヌクレオチド及びイノシン含有ヌクレオチドの両方を含有し得る。いくつかの例では、鎖のいずれか又は両方が、1つ又は複数の非シトシン又は非イノシンヌクレオチドをさらに含有し得る。
【0173】
[00182]別の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドは、イノシン酸残基(I)及びシチジル酸残基(C)を含有する一本鎖分子であり得る。例として、制限するものではないが、一本鎖ポリI:Cは、反復dIdCの配列であり得る。特定の実施形態では、一本鎖ポリI:Cの配列は、(IC)13の26マーの配列、すなわち、ICICICICICICICICICICICICIC(配列番号9)であり得る。当業者には理解されるであろうが、その性質(例えば、相補性)のために、反復dIdCのこれらの一本鎖分子は、ホモ二量体を天然において形成すると予測され、その結果、それらは、ポリI/ポリC二量体と概念的に同様である。
【0174】
[00183]ポリI:Cは、そのインターフェロン活性化能に影響を与えることなく、16残基ごとにセグメント化され得ることが報告されている(Bobst 1981年)。さらに、12個の反復シチジル酸残基ごとにウリジン残基を導入することによってミスマッチさせたポリI:C分子のインターフェロン誘導能力は(Hendrix 1993)、12残基の最小二本鎖ポリI:C分子が、インターフェロン産生を促進するのに十分であることを示唆する。他のものも、二本鎖ポリヌクレオチドの0.5~1ヘリックスターンに対応する6~12残基ほどの小ささの領域が誘導プロセスを誘発可能であることを示唆している(Greene 1978年)。ポリI:Cポリヌクレオチドは、合成的に作製される場合、通常、約20以上の残基長(一般に、22、24、26、28又は30残基長)である。半合成的に(例えば酵素を使用して)作製される場合、鎖の長さは500、1000以上の残基であり得る。
【0175】
[00184]ポリI:Cは、ウイルスゲノムの模倣物として作用し、in vivoで免疫系を調節するために特に有用である。例えば、合成ポリI:ポリCホモポリマーは、静脈内又は筋肉内注射によりin vivoで全身的に送達されると、非特異的にインターフェロンγを誘導することによって自然免疫を増強することが報告されている(Krown 1985年、Zhu 2007年)。ポリイノシン酸及びシチジル酸ポリマーのいくつかの変種が、長年にわたって記載されており(de Clercq 1978年、Bobst 1981年、de Clercq 1977年、Fukui 1977年、Johnston 1975年、米国特許第3,906,092号、Kamath 2008年、Ichinohe 2007年)、その一部には、共有結合的に修飾された残基の使用、リボ及びデオキシ-リボイノシン酸及びシチジル酸残基の使用、ホモポリマー及びイノシン酸及びシチジル酸残基を含有する交互共重合体の使用、並びにミスマッチポリマーを作製するための特定の残基の導入が含まれる。
【0176】
[00185]イノシン酸及びシチジル酸を含有する二本鎖ポリヌクレオチドの使用は、いくつかのウイルス性疾患(Kende 1987年、Poast 2002年、米国特許第6,468,558号、Sarma 1969年、Stephen 1977年、Levy 1978年)、癌(Durie 1985年 、Salazar 1996年、Theriault 1986年、Nakamura 1982年、Talmadge 1985年、Droller 1987年)、多発性硬化症のような自己免疫疾患(Bever 1986年)、及びマラリアなどの他の感染性疾患(Awasthi 1997年、Puri 1996年)の治療のために報告されている。ポリI:C分子の効力は、いくつかの場合には、分子を正電荷を有するポリリジン及びカルボキシメチルセルロースと複合体化し、ポリヌクレオチドをin vivoでヌクレアーゼ分解から効果的に保護することによって(Stephen 1977年、Levy 1985年)、又はポリI:Cを正電荷を有する合成ペプチドと複合体化することによって(Schellack 2006年)さらに増強された。
【0177】
[00186]ポリI:Cはまた、自然免疫の非特異的エンハンサーとしてのその使用に加えて、ワクチン組成物中のアジュバントとしても有用である。自然免疫を増強することは、おそらく少なくとも部分的には、NK細胞、マクロファージ及び/又は樹状細胞を含む機序によって、抗原特異的適応免疫を増強することにつながり得る(Chirigos 1985年、Salem 2006年、Alexopoulou 2001年、Trumpfheller 2008年)。これに関連したポリI:C分子の使用の証拠は、感染性疾患を制御するための種々のワクチン研究(Houston 1976年、Stephen 1977年、Ichinohe 2007年、Sloat 2008年、Agger 2006年、Padalko 2004年)及び様々なワクチン様式による癌の予防又は治療(Zhu 2007年、Cui 2006年、Salem 2005年、Fujimura 2006年、Llopiz 2008年)を起源とする。これらの研究は、特定の感染性疾患抗原に対して抗体応答が増強されることから明らかなように、ポリI:Cが体液性応答を増強することを実証する。ポリI:Cはまた、抗原特異的細胞応答の強化因子でもある(Zhu 2007年、Zaks 2006年、Cui 2006年、Riedl 2008年)。ポリI:C分子のアジュバント効果は、少なくとも部分的には、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8及びTLR9などのToll様受容体(TLR)とのそれらの相互作用を介してインターフェロン - γを誘導することによって生じると考えられており(Alexopoulou 2001年、Trumpfheller 2008年、Schellack 2006年、Riedl 2008年)、TLR3は、ほとんどのポリI:C分子について特に関連している。証拠はまた、ポリI:C分子が、少なくとも部分的には、RNAヘリカーゼレチノイン酸誘導タンパク質I(RIG-I)/メラノーマ分化関連遺伝子5(MDA5)などの、TLR以外の受容体と相互作用することによって、その効果を発揮し得ることも示唆する(Alexopoulou 2001年、Yoneyama 2004年、Gowen 2007年、Dong 2008年)。ポリI:C分子の作用機序は、まだ十分に理解されていない。
【0178】
[00187]したがって、本明細書において、「ポリI:C」、「ポリI:Cポリヌクレオチド」又は「ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント」は、二本鎖又は一本鎖ポリヌクレオチド分子(RNA若しくはDNA又はDNA及びRNAの組合せ)であり、各鎖は、少なくとも6個の隣接するイノシン酸若しくはシチジル酸残基、又は任意の順序のイノシン酸及びシチジル酸から選択される6個の隣接する残基(例えば、IICIIC又はICICIC)を含み、哺乳動物対象においてインターフェロンなどの少なくとも1種の炎症性サイトカインの産生を誘導又は増強することが可能である。ポリI:Cポリヌクレオチドは、通常、8、10、12、14、16、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、500、1000又はそれ以上の長さの残基を有する。好ましいポリI:Cポリヌクレオチドは、約6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28又は30ヌクレオチドの最小の長さ及び約1000、500、300、200、100、90、80、70、60、50、45又は40ヌクレオチドの最大の長さを有し得る。
【0179】
[00188]二本鎖ポリI:Cポリヌクレオチドの各鎖は、イノシン酸残基のホモポリマーであっても、シチジル酸残基のホモポリマーであってよく、又は各鎖は、イノシン酸及びシチジル酸残基の両方を含有するヘテロポリマーであってもよい。いずれの場合も、ポリマーは、上記のような6個のI、6個のC又は6個のI/C残基のうち少なくとも1種の連続領域があるという条件で、1個又は複数の非イノシン酸又は非シチジル酸残基(例えばウリジン)によって中断され得る。通常、ポリI:Cポリヌクレオチドの各鎖は、6個のI/C残基あたり1個以下の非I/C残基を、より好ましくは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28又は30個のI/C残基ごとに1個以下の非I/C残基を含有する。
【0180】
[00189]ポリI:Cポリヌクレオチド中のイノシン酸又はシチジル酸(又は他の)残基は、ポリI:Cポリヌクレオチドの、インターフェロンなどの炎症性サイトカインの産生を促進する能力が保持されるという条件で、当技術分野で公知であるように誘導体化又は修飾されてもよい。誘導体又は修飾の限定されない例として、例えば、in vivoでの安定性を増強するためのアジド修飾、フルオロ修飾又は天然ホスホジエステル結合の代わりのチオエステル(又は同様の)結合の使用が挙げられる。ポリI:C ポリヌクレオチドはまた、例えば、in vivo分解に対する抵抗性を増強するために、例えば、分子を、正電荷を有するポリリジン及びカルボキシメチルセルロースと、又は正電荷を有する合成ペプチドと複合体化させることによって修飾され得る。
【0181】
[00190]いくつかの実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントは、鎖長が変化するポリIとポリCの数百塩基対の混合物を含有する、およその分子量989,486ダルトンを有する伝統的な形態のポリI:Cである(Thermo Scientific; USA)。
【0182】
[00191]いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるような組成物は、TLR2の活性を活性化又は増大するアジュバントを含み得る。本明細書において、TLR2の「活性を活性化」又は「増大する」アジュバントには、任意のアジュバントが含まれ、いくつかの実施形態では、TLR2アゴニストとして作用する脂質ベースのアジュバントが含まれる。さらに、TLR2の活性を活性化又は増大することは、任意の単量体、ホモ二量体又はヘテロ二量体形態でのその活性化を包含し、特にTLR1又はTLR6を有するヘテロ二量体(すなわち、TLR1/2又はTLR2/6)としてのTLR2の活性化を含む。TLR2の活性を活性化又は増大するアジュバントの例示的実施形態として、国際公開第2013/049941号に記載されるものなどの脂質ベースのアジュバントが挙げられる。
【0183】
[00192]したがって、一実施形態では、本明細書において開示されるような組成物は、例えば、国際公開第2013/049941号において開示されるものなどの脂質ベースのアジュバントを含み得る。一実施形態では、脂質ベースのアジュバントは、PAM2Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)又はPAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である。
【0184】
[00193]別の実施形態では、本明細書において開示されるようなワクチン組成物は、例えば、国際公開第2016/109880号及び本明細書において引用される参考文献に開示されるものなどの脂質A模倣物又は類似体アジュバントを含み得る。特定の実施形態では、アジュバントは、国際公開第2016/109880号に開示されるようなJL-265又はJL-266であり得る。
【0185】
[00194]使用され得るアジュバントのさらなる例として、限定するものではないが、ケモカイン、コロニー刺激因子、サイトカイン、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS04、AS15、ABM2、Adjumer、Algammulin、AS01B、AS02(SBASA)、ASO2A、BCG、カルシトリオール(Calcitriol)、キトサン、コレラ毒素、CP-870,893、CpG、ポリI:C、CyaA、DETOX(RibiImmunochemicals)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、ジブチルフタレート(DBP)、dSLIM、ガンマイヌリン、GM-CSF、GMDP、グリセロール、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISCOM、ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、LPS、脂質コアタンパク質、MF59、モノホスホリル脂質A及びその類似体又は模倣物、モンタナイド(登録商標)IMS1312、モンタナイド(登録商標)ベースのアジュバント(例えば、モンタナイドISA-51、-50及び-70)、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTelベクター系、他のパルミトイルベースの分子、PLG微粒子、レシキモド、スクアレン、SLR172、YF-17 DBCG、QS21、QuilA、P1005、ポロキサマー、サポニン、合成ポリヌクレオチド、ザイモサン、百日咳毒素が挙げられる。
【0186】
[00195]したがって、本明細書における組成物は、1種又は複数の医薬上許容されるアジュバントを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアジュバントに少なくとも1つの抗原が結合され得る。
【0187】
[00196]いくつかの実施形態では、本明細書における組成物は、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質ベースのアジュバント、脂質A模倣物若しくは類似体又はそれらの任意の組合せを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、2015年11月18日に出願された米国特許仮出願番号第62/256,875号に開示されるアジュバント系に記載されるものなど、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質ベースのアジュバントの組合せを含み得る。
【0188】
[00197]使用されるアジュバントの量は、抗原の種類及び量に、並びにアジュバントの種類に応じて変わる。当業者ならば、経験的試験によって特定の適用において必要とされるアジュバントの量を容易に決定できる。
【0189】
[00198]一実施形態では、本明細書において記載されるような組成物は、リポペプチドアジュバントPAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)を含む。
【0190】
[00199]乳化剤
[00200]いくつかの実施形態では、本明細書において開示される組成物は、1種又は複数の乳化剤を含み得る。乳化剤は、純粋な乳化剤又は乳化剤の混合物であり得る。乳化剤(複数可)は、医薬上及び/又は免疫学的に許容されなければならない。
【0191】
[00201]乳化剤の使用は、水を含まないか又は実質的に水を含まない組成物を調製することに特に関連し得る。例えば、いくつかの実施形態では、乳化剤は、両親媒性化合物又は混合物が疎水性担体に再懸濁される場合に、両親媒性化合物、両親媒性化合物及び抗原の混合物又は両親媒性化合物、抗原及び他のワクチン構成成分(例えば、ポリI:C及び/又は脂質ベースのアジュバント、Tヘルパーエピトープなど)の混合物の安定化を補助するために使用され得る。乳化剤の使用は、例えば、疎水性担体における両親媒性化合物又は混合物のより均一な分布を促進し得る。
【0192】
[00202]乳化剤は両親媒性であってもよく、したがって乳化剤は、広範囲の化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、乳化剤は、例えば、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤であり得る。使用され得る乳化剤の例として、ポリエチレングリコール化ソルビタール及びソルビタンエステルに由来する油性液体であるポリソルベートが挙げられる。ポリソルベートは、例えば、ソルビタンモノオレエートを含み得る。通常の乳化剤は、当技術分野で周知であり、制限するものではないが、マンニドオレエート(mannideoleate)(Arlacel(商標)A)、レシチン、Tween(商標)80、Spans(商標) 20、80、83及び85が挙げられる。一実施形態では、ワクチン組成物において使用するための乳化剤は、マンニドオレエート(mannideoleate)である。
【0193】
[00203]乳化剤は、一般に、疎水性担体と予備混合される。いくつかの実施形態では、乳化剤をすでに含有する疎水性担体が使用されてもよい。例えば、モンタナイド(商標)ISA 51のような疎水性担体は、乳化剤マンニドオレエート(mannideoleate)をすでに含有している。その他の実施形態では、疎水性担体を、両親媒性化合物、両親媒性化合物及び抗原の混合物又は両親媒性化合物、抗原及び他のワクチン構成成分(例えば、ポリI:C及び/又は脂質ベースのアジュバント、Tヘルパーエピトープなど)の混合物と組み合わせる前に乳化剤と混合してもよい。
【0194】
[00204]乳化剤は、疎水性担体における両親媒性化合物の均一な分布を促進するのに、及び/又は本明細書において記載される構造、集合体又はアレイの形成を補助するのに有効な量で使用される。通常、疎水性担体対乳化剤の体積比(v/v)は、約5:1~約15:1の範囲にあり、より詳しくは、10:1である。
【0195】
[00205]Tヘルパーエピトープ
[00206]いくつかの実施形態では、本明細書において開示される組成物はまた、少なくとも1種のTヘルパーエピトープ又はTヘルパー抗原を含み得る。これは、CTLエピトープを有するさらなる抗原を含む組成物と特に関連し得るが、以下に記載されるように、Tヘルパーエピトープはまた、B細胞を含む免疫応答の媒介に関与する。
【0196】
[00207]Tヘルパーエピトープは、ヘルパーT活性を有するアミノ酸の配列(天然又は非天然アミノ酸)である。Tヘルパーエピトープは、免疫系の能力を確立し、最大化することにおいて重要な役割を果たし、他の免疫細胞を活性化し、指示すること、例えば、B細胞抗体クラススイッチングなどに関与するヘルパーTリンパ球によって認識される。
【0197】
[00208]Tヘルパーエピトープは、連続又は不連続エピトープからなり得る。したがって、ヘルパーTの全アミノ酸が、必ずしもエピトープの一部ではない。したがって、Tヘルパーエピトープの類似体及びセグメントを含むTヘルパーエピトープが、免疫応答を増強すること又は刺激することができる。免疫優性Tヘルパーエピトープは、広く多岐にわたるMHC型を有する動物及びヒト集団において広く反応性である(Celis 1988年、Demotz 1989年、Chong 1992年)。対象ペプチドのTヘルパードメインは、約10~約50個のアミノ酸、より詳しくは、約10~約30個のアミノ酸を有し得る。複数のTヘルパーエピトープが存在する場合には、各Tヘルパーエピトープが独立に作用する。
【0198】
[00209]いくつかの実施形態では、Tヘルパーエピトープは、本明細書において記載される抗原の一部を形成し得る。特に、抗原が十分な大きさである場合には、Tヘルパーエピトープとして機能するエピトープを含有し得る。その他の実施形態では、Tヘルパーエピトープは、抗原と別個の分子であり得る。
【0199】
[00210]別の実施形態では、Tヘルパーエピトープ類似体は、Tヘルパーエピトープ中の1~約10個のアミノ酸残基の置換、欠失及び挿入を含み得る。Tヘルパーセグメントは、免疫応答を増強する又は刺激するのに十分であるTヘルパーエピトープの連続部分である。Tヘルパーセグメントの例として、単一のより長いペプチドに由来する一連の重複ペプチドがある。
【0200】
[00211]特定の実施形態では、本明細書において開示されるような組成物は、Tヘルパーエピトープ又は抗原として、安定性を増強するためにそのアミノ末端にアラニン残基が付加された修飾された破傷風菌毒素ペプチドA16L(830~844、AQYIKANSKFIGITEL(配列番号10)を含み得る(Slingluff 2001年)。
【0201】
[00212]本組成物において使用され得るTヘルパーエピトープの他の供給源として、例えば、B型肝炎表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、百日咳毒素ヘルパーT細胞エピトープ、麻疹ウイルスFタンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomitis)主要外膜タンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、ジフテリア毒素ヘルパーT細胞エピトープ、熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト周囲ヘルパーT細胞エピトープ、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)トリオースリン酸イソメラーゼヘルパーT細胞エピトープ、大腸菌TraTヘルパーT細胞エピトープ及びこれらのTヘルパーエピトープのいずれかの免疫を増強する類似体及びセグメントが挙げられる。
【0202】
[00213]いくつかの実施形態では、Tヘルパーエピトープは、ユニバーサルTヘルパーエピトープであり得る。ユニバーサルTヘルパーエピトープは、本明細書において、クラスII(CD4+T細胞)によって制限される方法でT細胞機能を活性化する方法で、非常に多数のMHCクラスII分子と結合するペプチド又は他の免疫原性分子又はその断片を指す。ユニバーサルTヘルパーエピトープの一例として、ペプチド配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号11)(式中、Xは、シクロヘキシルアラニルであり得る)を含むPADRE(汎DRエピトープ)がある。PADREは、CD4+Tヘルパーエピトープを特異的に有する、すなわち、PADRE特異的CD4+ヘルパーT反応の誘導を刺激する。
【0203】
[00214]先に言及された修飾された破傷風菌毒素ペプチドA16Lに加えて、テタヌストキソイドは、PADREと同様の方法で働く他のTヘルパーエピトープを有する。テタヌス及びジフテリア毒素は、ヒトCD4+細胞に対してユニバーサルエピトープを有する(Diethelm-Okita 2000)。別の実施形態では、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(アミノ酸947~967、配列番号12)を含むF21Eなどのテタヌストキソイドペプチドであり得る。
【0204】
[00215]特定の実施形態では、Tヘルパーエピトープは、本明細書において開示されるような組成物中の1種又は複数の抗原のうち少なくとも1つに融合される(例えば、融合ペプチド)。
【0205】
[00216]組成物の水を含まない実施形態
[00217]一実施形態では、本明細書において開示される組成物は、水を含まない、又は実質的に水を含まない、すなわち、組成物はエマルジョンではない。
【0206】
[00218]「水を含まない」とは、組成物が水を全く含有しないことを意味する。別の実施形態では、組成物は、実質的に水を含まない場合もある。用語「実質的に水を含まない」とは、水が担体の不連続相中に存在するという条件で、疎水性担体が少量の水を依然として含有し得る実施形態を包含するものとする。例えば、組成物の個々の構成成分は、凍結乾燥又は蒸発などのプロセスによって完全に除去され得ない少量の結合水を有することがあり、特定の疎水性担体は、それに溶解された少量の水を含有することもある。一般に、「実質的に水を含まない」本明細書において開示される組成物は、例えば、組成物の担体構成成分の総重量の重量/重量に基づいて、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含有する。少量の水を依然として含有する組成物は、エマルジョンが形成されるような十分な量の水は含有しない。
【0207】
[00219]作用のいずれか特定の理論に捉われるものではないが、本開示の水を含まない組成物が使用される場合には、製剤化によって、数週間にわたって持続し、長期の抗原のクリアランス及びワクチンの免疫系との相互作用を可能にする強力なデポーが作製されると考えられる。これに関して、油中脂質ベースの製剤は、免疫処置の3週間内にピーククリアランスに達し、クリアランスは、6ヶ月にわたってより遅い速度で継続するということが報告されている(Brewer 2014年)。これは、抗原を数時間~1週間にわたって迅速に放出する水性ワクチン製剤又は短命デポーを形成するエマルジョンとは対照的である。
【0208】
[00220]組成物を調製する方法
[00221]組成物は、本開示を考慮して当技術分野で公知の方法によって調製され得る。本明細書において開示される組成物を調製するための例示的実施形態を、制限するものではないが、実施例においてを含め以下に記載する。
【0209】
[00222]この節において使用されるように、用語「抗原」及び「アジュバント」は、一般に、抗原及びアジュバントが本開示の組成物に製剤化され得る方法を説明するために使用される。用語「抗原」は、単数形「抗原」及び複数の「抗原類」の両方を包含する。同様に、用語「アジュバント」は、単数形「アジュバント」及び複数の「アジュバント類」の両方を包含する。すべての抗原及びアジュバントが、同一の方法でワクチン組成物中に導入される必要はない。
【0210】
[00223]組成物を調製するための一実施形態では、抗原及び任意選択で他の構成成分(例えば、アジュバント、Tヘルパーエピトープなど)が、適した溶媒中で両親媒性化合物と一緒に復元される。次いで、構成成分は乾燥されてドライケーキを形成し、ドライケーキは疎水性担体中で復元される。乾燥するステップは、凍結-乾燥すること、凍結乾燥、ロータリー蒸発、圧力下での蒸発など当技術分野で公知の種々の手段で実施され得る。構成成分の完全性を損なわない低熱乾燥も使用され得る。加熱はまた、抗原/両親媒性化合物混合物の再懸濁を補助するために使用され得る。
【0211】
[00224]「適した溶媒」とは、抗原、アジュバント及び/又は両親媒性化合物を可溶化するのに適しているものであり、当業者によって決定され得る。一実施形態では、リン酸ナトリウムバッファー(0.2M、pH6.0)又はリン酸ナトリウムバッファー(0.1M、pH7.0)が使用され得る。別の実施形態では、アルコール(例えば、t-ブタノール、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール又はメタノール)、水、酢酸バッファー、ギ酸又はクロロホルムなどの極性プロトン性溶媒が使用され得る。いくつかの場合には、両親媒性化合物、抗原及びアジュバントの各々を可溶化するために同一溶媒が使用されてもよく、次いで、可溶化された構成成分が混合される。或いは、抗原、アジュバント及び両親媒性化合物は、可溶化に先立って混合されてもよく、次いで、一緒に可溶化されてもよい。さらなる代替法では、両親媒性化合物、抗原又はアジュバントのうち1種又は複数のみが可溶化され、可溶化されていない成分(複数可)が添加される。
【0212】
[00225]特定の実施形態では、組成物を調製するために、抗原及びアジュバントを、リン酸ナトリウムバッファー中にS100脂質及びコレステロール(Lipoid、独国)と一緒に、又は別個に復元する。次いで、これらの構成成分を凍結乾燥して、ドライケーキを形成する。注射の直前に、ドライケーキをISA51 VGオイル(SEPPIC、仏国)中に再懸濁して、水を含まないオイルベース組成物を調製する。
【0213】
[00226]別の実施形態では、組成物を調製するために、抗原及びアジュバントをリン酸ナトリウムバッファー中に、DOPC及びコレステロール(Lipoid、独国)と一緒に、又は別個に復元する。次いで、これらの構成成分を凍結乾燥して、ドライケーキを形成する。注射の直前に、ドライケーキをISA51 VGオイル(SEPPIC、仏国)中に再懸濁して、水を含まないオイルベース組成物を調製する。
【0214】
[00227]別の実施形態では、組成物を調製するために、抗原を、リン酸ナトリウムバッファー(100mM、pH6.0)中で合成脂質/コレステロールナノ粒子(大きさ≦110nm)及びアジュバントと混合する。合成脂質は、DOPCであり得る。次いで、構成成分を凍結乾燥して、ドライケーキを形成する。注射の直前に、ドライケーキをISA51 VGオイル(SEPPIC、仏国)中に再懸濁して、水を含まないオイルベース組成物を調製する。
【0215】
[00228]上記の各実施形態では、抗原は、抗原を水中の10%DMSO/0.5%酢酸(w/w)の混合物中に溶解し、37℃で一晩加熱することによって事前に二量体化してもよい。
【0216】
[00229]特定の実施形態では、
抗原を水中の10%DMSO/0.5%酢酸(w/w)の混合物中に溶解し、37℃で一晩加熱することによって二量体化された抗原を調製することと、
≦110nmの大きさの合成脂質/コレステロールナノ粒子を用いて一定の大きさの脂質混合物を調製することと、
リン酸ナトリウムバッファー(100mM、pH6.0)中で二量体化された抗原を、合成脂質/コレステロールナノ粒子及びアジュバントを混合することと、
混合物を凍結乾燥して、ドライケーキを形成することと、
ドライケーキを疎水性担体中に再懸濁することと
によって組成物を調製してもよい。
【0217】
[00230]上記の実施形態では、作用の特定の理論に捉われるものではないが、溶媒の除去(乾燥すること)によって、抗原を含む構成成分を、親水性の頭部がワクチン構成成分に向けられた両親媒性化合物分子のアレイ中に残すと考えられる。次いで、ワクチン構成成分及び両親媒性化合物は、それらが十分に疎水性にされているので水の非存在下で疎水性担体(オイルなど)中に再懸濁できる。
【0218】
[00231]本明細書において記載されるようなさらなる構成成分、例えば、Tヘルパーエピトープを、製剤化プロセスにおける任意の段階で添加してもよい。例えば、1種又は複数のこのようなさらなる構成成分を、可溶化の前若しくは後のいずれかで抗原、アジュバント及び/若しくは両親媒性化合物と組み合わせてもよい、又は可溶化された混合物に添加してもよい。別の実施形態では、代わりに、さらなる構成成分を抗原、アジュバント及び両親媒性化合物の乾燥混合物に添加してもよい、若しくはそれと組み合わせてもよい、又は疎水性担体中での抗原、アジュバント及び両親媒性化合物の乾燥混合物の再懸濁の前若しくは後のいずれかで疎水性担体と組み合わせてもよい。一実施形態では、Tヘルパーエピトープを抗原と同様の方法で組成物に添加する。一実施形態では、抗原及びTヘルパーエピトープは、融合ペプチドである。
【0219】
[00232]いくつかの実施形態では、ドライケーキの構成成分が疎水性担体中に再懸濁される場合にそれらの安定化を補助するために、疎水性担体中に乳化剤を含むことが適当であり得る。乳化剤は、抗原、アジュバント及び両親媒性化合物の乾燥混合物を疎水性担体中に再懸濁し、疎水性担体中の懸濁液中に抗原、アジュバント及び両親媒性化合物を維持するのに十分な量で提供される。例えば、乳化剤は、疎水性担体の約5%~約15%重量/重量又は重量/体積で存在し得る。
【0220】
[00233]生物活性を維持する又は構成成分のいずれかの有効期間を延長するために化学安定性を改善する、糖、抗酸化物質又は保存料などの安定化剤を、組成物に添加してもよい。
【0221】
[00234]免疫応答及び治療適応症
[00235]本開示は、本明細書において記載されるようなB細胞エピトープを含む抗原を含む組成物の低投与体積を使用する、ヒト対象において抗体免疫応答を誘導する方法、対応する使用並びにこのような方法において使用され得る組成物及びキットに関する。
【0222】
[00236]本明細書において言及されるように、表現「免疫応答」とは、特に断りのない限り、抗体免疫応答を指す。
【0223】
[00237]「抗体免疫応答」又は「体液性免疫応答」(本明細書において同義的に使用される)とは、細胞性免疫とは対照的に、Bリンパ球系統の細胞(B細胞)において産生される分泌された抗体によって媒介される。このような分泌された抗体は、抗原、例えば、生体異物、病原体(例えば、ウイルス、細菌など)及び/又は癌細胞の表面のものなどと結合し、破壊のためにそれらにフラグする。
【0224】
[00238]本明細書において、「体液性免疫応答」とは、抗体産生を指し、さらに又は或いは、例えば、ヘルパーT2(Th2)又はヘルパーT17(Th17)細胞の作製及び/又は活性化、サイトカイン産生、アイソタイプスイッチング、親和性成熟及び記憶細胞活性化などの、それに伴う補助プロセスも含み得る。「体液性免疫応答」はまた、例えば、毒素中和、古典的な補体活性化並びに食作用及び病原体排出の促進などの抗体のエフェクター機能も含み得る。体液性免疫応答は、CD4+Th2細胞によって補助されることが多く、したがって、この細胞種の活性化又は生成はまた、体液性免疫応答を示し得る。用語「体液性免疫応答」は、本明細書において、「抗体反応」又は「抗体免疫応答」と同義的に使用される。
【0225】
[00239]「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的に又は部分的にコードされる1つ又は複数のポリペプチドを含むタンパク質である。認識される免疫グロブリン遺伝子として、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ定常領域遺伝子並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、κ又はλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ又はεとして分類され、次いで、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを規定する。通常の免疫グロブリン(抗体)構造単位は、4つのポリペプチドを含有するタンパク質を含む。各抗体構造単位は、各々1つの「軽」鎖及び1つの「重」鎖を有する、2つの同一対のポリペプチド鎖から構成される。各鎖のN末端は、抗原認識に主にあずかる可変領域を規定する。抗体構造単位(例えば、IgA及びIgMクラスの)はまた、互いに及びさらなるポリペプチド鎖とともにオリゴマー形態に、例えば、J鎖ポリペプチドと関連してIgM五量体として集合し得る。
【0226】
[00240]抗体は、Bリンパ球(B細胞)と呼ばれる白血球のサブセットの抗原特異的グリコタンパク質産物である。抗原の、B細胞の表面で発現される抗体との結合は、B細胞の、活性化されるようになる、有糸分裂を起こし、最終的に、抗原特異的抗体の合成及び分泌に特殊化されている形質細胞に分化するための刺激を含む抗体反応を誘導し得る。
【0227】
[00241]B細胞は、免疫応答の際の抗体の唯一の産生体であり、したがって、有効な体液性免疫にとって重要な要素である。B細胞は、多量の抗体を産生することに加えて、抗原提示細胞としても作用し、ヘルパーT CD4又は細胞傷害性CD8+T細胞などのT細胞に対して抗原を提示し、ひいては、免疫応答を広めることができる。B細胞並びにT細胞は、適応免疫応答の一部である。例えば、ワクチン接種又は自然感染のいずれかによって誘導された能動的免疫応答の際には、抗原特異的B細胞は、活性化されクローン増殖される。増殖の際に、B細胞は、エピトープに対して、より高度親和性を有するように進化する。B細胞の増殖は、活性化ヘルパーT細胞によって間接的に、及びTLRなどの受容体の刺激によって直接的にも誘導され得る。
【0228】
[00242]樹状細胞及びB細胞などの抗原提示細胞は、ワクチン接種部位に引き寄せられ、ワクチン組成物中に含有される抗原及びアジュバントと相互作用し得る。通常、アジュバントは、細胞を、活性化されるようになるように刺激し、抗原は、標的の青写真を提供する。異なる種類のアジュバントは、細胞に異なる刺激シグナルを提供し得る。例えば、ポリI:C(TLR3アゴニスト)は、樹状細胞を活性化し得るが、B細胞を活性化しない。Pam3Cys、Pam2Cys及びFSL-1などのアジュバントは、特に、B細胞の増殖の活性化及び開始に熟達しており、抗体反応の生成を促進すると予測される(Moyle 2008年、So 2012年)。
【0229】
[00243]体液性免疫応答は、有効な感染性疾患ワクチンの(例えば、ウイルス性又は細菌性侵入者に対して保護するための)一般的な機序の1つである。しかし、体液性免疫応答はまた、癌と闘うためにも有用であり得る。癌ワクチンは、通常、癌細胞を認識し、破壊できる細胞媒介性免疫応答を生成するように設計されるが、B細胞媒介性応答は、いくつかの例では、最大利益のために細胞傷害性T細胞と協同し得る他の機序によって、癌細胞を標的とし得る。B細胞媒介性(例えば、体液性免疫応答媒介性)抗腫瘍応答の例として、制限するものではないが、1)腫瘍細胞又は腫瘍発生に影響を及ぼす他の細胞上に見られる表面抗原と結合するB細胞によって産生される抗体(このような抗体は、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)又は免疫系によって認識され得るさらなる抗原の放出をもたらす可能性がある補体結合によって標的細胞の死滅を誘導できる)、2)腫瘍細胞上の受容体と結合し、その刺激を遮断し、事実上その効果を中和する抗体、3)腫瘍又は腫瘍関連細胞によって放出されるか、又はそれと関連する因子と結合して、癌を支持するシグナル伝達又は細胞経路を調節する抗体及び4)細胞内標的と結合し、現在は未知の機序によって抗腫瘍活性を媒介する抗体が挙げられる。
【0230】
[00244]抗体反応を評価する1つの方法は、特定の抗原と反応性である抗体の力価を測定することである。これは、動物から得られた抗体を含有する物質の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの当技術分野で公知の種々の方法を使用して実施され得る。例えば、特定の抗原と結合する血清抗体の力価は、抗原に対する曝露前及び後の両方で、対象において決定され得る。抗原に対する曝露後の抗原特異的抗体の力価の統計的に有意な増大は、対象が抗原に対する抗体反応を開始したことを示す。
【0231】
[00245]制限するものではないが、抗原特異的抗体の存在を検出するために使用され得る他のアッセイとして、免疫学的アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))、免疫沈降アッセイ及びタンパク質ブロット(例えば、ウエスタンブロット)アッセイ及び中和アッセイ(例えば、in vitro又はin vivoアッセイにおけるウイルス感染性の中和)が挙げられる。
【0232】
[00246]本明細書において記載される方法及び組成物は、体液性免疫応答によって改善される疾患及び/又は障害を治療又は予防するのに有用であり得る。方法及び組成物は、体液性免疫応答を誘導するために対象に抗原を投与することが望まれるいずれの場合においても適用を見出すことができる。
【0233】
[00247]いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、抗原を発現する細菌、ウイルス、真菌、寄生動物、アレルゲン又は腫瘍細胞によって引き起こされる疾患の治療及び/又は予防のためのものであり得る。
【0234】
[00248]「治療すること」若しくは「の治療」又は「予防すること」若しくは「の予防」とは、本明細書において、有益な結果又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。有益な結果又は所望の結果として、それだけには限らないが、1つ又は複数の症状又は状態の軽減又は改善、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化、疾患の発生の予防、疾患の広がりの予防、疾患進行の遅延又は減速(例えば、抑制)、疾患発症の遅延又は減速、疾患を引き起こす物質に対する感染防御免疫の付与及び疾患状態の改善又は緩和を挙げることができる。「治療」又は「予防」はまた、治療を行わない下で予測されるものを超える患者の生存の延長を意味することもあり、また、疾患の進行を一時的に阻害すること又は対象における感染を防ぐことなどによって疾患の発生を予防することを意味することもある。「治療」はまた、腫瘍塊の大きさの低減、腫瘍攻撃性の低減などを指すこともある。
【0235】
[00249]「治療」は、通常、疾患若しくは障害をすでに有する、又は感染性物質に対してすでに曝露されているとわかっている対象に対して行われるが、「予防」は、通常、疾患若しくは障害を有さない、又は感染性物質に対して曝露されているとわかっていない対象に対して行われるという点で「予防」から区別され得る。理解されるであろうが、治療と予防には重複がある場合がある。例えば、疾患の症状又は進行を「予防すること」と同時に、対象において疾患を「治療すること」は可能である。さらに、少なくともワクチン接種に関連して、「治療すること」及び「予防すること」は、対象の治療が、病原体による感染を予防するという、又は病原体による感染によって引き起こされる根底にある疾患若しくは症状を予防するというその後の効果を有し得る免疫応答を誘導することであるという点で重複し得る。これらの予防的態様は、「感染性疾患の治療」などの表現によって本明細書に包含される。
【0236】
[00250]一実施形態では、本明細書において開示される方法及び組成物は、例えば、ウイルス感染によって引き起こされる、ヒト対象における感染性疾患の治療及び/又は予防のために使用され得る。対象は、ウイルスに感染し得る、又はウイルス感染を発生するリスクにあり得る。
【0237】
[00251]本明細書において開示される低投与体積法によって治療及び/又は予防され得るウイルス感染として、制限するものではないが、牛痘ウイルス、ワクシニアウイルス、偽牛痘ウイルス、ヒトヘルペスウイルス1型、ヒトヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトアデノウイルスA~F、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、オルトレオウイルス、ロタウイルス、エボラウイルス、パラインフルエンザウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、ニューモウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、狂犬病ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ハンタンウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱病ウイルス及び水痘が挙げられる。特定の実施形態では、ウイルス感染は、ヒトパピローマウイルス、エボラウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス又はインフルエンザウイルスである。
【0238】
[00252]一実施形態では、本明細書において開示される方法は、ヒト対象における、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)によって引き起こされる下部呼吸器感染の治療及び/又は予防のために使用され得る。一実施形態では、感染は、RSVサブグループAウイルス株によって引き起こされる。一実施形態では、感染は、RSVサブグループBウイルス株によって引き起こされる。
【0239】
[00253]別の実施形態では、本明細書において開示される方法又は組成物は、それを必要とするヒト対象において、感染性疾患、例えば、非ウイルス病原体(細菌又は原虫など)によって引き起こされる感染性疾患の治療及び/又は予防のために使用され得る。対象は、病原体に感染し得る、又は病原体による感染症を発生するリスクにあり得る。制限するものではないが、例示的細菌病原体として、炭疽菌(Bacillus anthracis)、ブルセラ菌、百日咳菌(Bordetella pertussis)、カンジダ、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、コレラ、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioidesimmitis)、クリプトコッカス、ジフテリア、大腸菌O157:H7、腸管出血性大腸菌、腸内毒素原性大腸菌、インフルエンザ菌、ピロリ菌、レジオネラ、レプトスピラ、リステリア、髄膜炎菌、肺炎マイコプラズマ、マイコバクテリア、百日咳、肺炎、サルモネラ菌属、赤痢菌、スタフィロコッカス、肺炎連鎖球菌及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を挙げることができる。特定の実施形態では、細菌感染症は、炭疽病である。制限するものではないが、例示的原虫病原体として、マラリアを引き起こすプラスモジウム属(熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫又は二日熱マラリア原虫)を挙げることができる。
【0240】
[00254]一実施形態では、本明細書において開示される方法及び組成物は、それを必要とするヒト対象において癌を治療するために使用され得る。一実施形態では、癌は、抗体によって認識されることが可能である膜表面結合型癌抗原を発現するものである。
【0241】
[00255]本明細書において、用語「癌」、「癌細胞」、「腫瘍」及び「腫瘍細胞」(同義的に使用される)は、細胞増殖の制御の大幅な喪失又は不死化されている細胞を特徴とする異常な成長を示す細胞を指す。用語「癌」又は「腫瘍」は、転移性並びに非転移性癌又は腫瘍を含む。癌は、悪性腫瘍の存在を含む当技術分野で一般に許容される判定基準を使用して診断され得る。
【0242】
[00256]制限するものではないが、本明細書において開示されるような組成物の使用又は投与によって治療及び/又は予防されることが可能であり得る癌として、癌腫、腺癌、リンパ腫、白血病、肉腫、芽細胞腫、骨髄腫及び生殖細胞腫瘍が挙げられる。制限するものではないが、特に適した実施形態として、神経膠芽腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、乳癌、卵管癌、前立腺癌又は腹膜癌を挙げることができる。一実施形態では、癌は、ウイルスなどの病原体によって引き起こされ得る。癌の発生と関連付けられるウイルスは、当業者に公知であり、それだけには限らないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ジョンカニンガムウイルス(JCV)、ヒトヘルペスウイルス8、エプスタインバーウイルス(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス、C型肝炎ウイルス及びヒトT細胞白血病ウイルス-1が挙げられる。別の実施形態では、癌は、1種又は複数の癌特異的抗原(例えば、サバイビン)を発現するものであり得る。
【0243】
[00257]特定の実施形態では、癌は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、卵管癌、腹膜癌、神経膠芽腫又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0244】
[00258]別の実施形態では、本明細書において開示される方法又は組成物は、それを必要とするヒト対象において、抗原の発現と関連している神経変性性疾患を治療及び/又は予防するために使用され得る。対象は、神経変性性疾患を有し得る、又は神経変性性疾患を発生するリスクにあり得る。本明細書において開示される方法又は組成物によって治療及び/又は予防され得る神経変性性疾患として、制限するものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)が挙げられる。
【0245】
[00259]別の実施形態では、本明細書において開示される方法又は組成物は、中毒性疾患(例えば、コカイン中毒)を治療及び/又は予防するために使用されてもよい。
【0246】
[00260]別の実施形態では、本明細書において開示される方法又は組成物は、抗体を用いて毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを中和するために使用されてもよく、前記方法は、本明細書において記載されるような組成物を対象に投与することを含む。例えば、ワクチン中の抗原に応じて産生される抗体は、毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを中和又は捕捉し得る。一実施形態では、毒素は、例えば、コカインなどの原薬である。
【0247】
[00261]キット、組合せ及び試薬
[00262]本明細書において開示される組成物は、任意選択で、キットとしてユーザーに提供される。例えば、本開示のキットは、本明細書において開示される組成物の1種又は複数の構成成分を含有する。キットは、1種又は複数のさらなる試薬、包装材料、キットの構成成分を保持するための容器及びキット構成成分を使用する好ましい方法を詳述する使用説明書セット又はユーザーマニュアルをさらに含み得る。一実施形態では、容器はバイアルである。
【0248】
[00263]一実施形態では、キットは、予め製剤化されたワクチンを使用準備済み形式で容器中に含有する。一例として、一実施形態では、キットは、両親媒性化合物、抗原及び疎水性担体を含む少なくとも1つの容器を含む。予め製剤化されたワクチンは、アジュバント又は任意のその他のさらなる構成成分をさらに含み得る。
【0249】
[00264]キットの代替実施形態では、ワクチンは、疎水性担体での復元の準備のできた、1つの容器中の疎水性担体を除くすべての構成成分(例えば、ドライケーキとして)を用いて、又は製剤化、凍結乾燥及び疎水性担体での復元のために別個の容器中の個々の構成成分として提供され得る。
【0250】
[00265]一実施形態では、キットは、両親媒性化合物及び抗原を含む第1の容器並びに疎水性担体を含む第2の容器を含み得る。この実施形態では、第1の容器中のワクチン構成成分は、疎水性担体に再懸濁される準備ができているドライケーキの形態であり得る。
【0251】
[00266]一実施形態では、キットは、(i)乾燥凍結乾燥粉末の抗原、アジュバント及びリン脂質を含有する第1のバイアル及び(ii)希釈剤として働く疎水性担体を含有する第2のバイアルを含み得る。
【0252】
[00267]上記のキット実施形態の種々の態様では、ワクチンは、抗原、両親媒性化合物及び疎水性担体に加えて、任意選択で、アジュバント、Tヘルパーエピトープ及び乳化剤のうち1種又は複数をさらに含み得る。これらの構成成分は、別個の容器中で個別に提供されてもよく、又は抗原及び両親媒性化合物を有する容器中で一緒になど、容器中でそれらの任意の組合せとして提供されてもよい。
【0253】
[00268]キットの一実施形態では、抗原は、サブグループA又はサブグループBヒトRSV株の小疎水性タンパク質(SHe)のエクトドメインを含むペプチド抗原である。例えば、一実施形態では、抗原は、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)を含む、又はからなる。
【0254】
[00269]キットの一実施形態では、アジュバントは、PAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である。
【0255】
[00270]キットの一実施形態では、両親媒性化合物は、1種又は複数の脂質、例えば、リン脂質である。一実施形態では、脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)及びコレステロールである。
【0256】
[00271]キットの一実施形態では、疎水性担体は、モンタナイド(登録商標)ISA 51VGである。
【0257】
[00272]したがって、一実施形態では、キットは、以下に詳述されるような内容物を有する2つのバイアルを含む:
【表2】
【0258】
[00273]当業者ならば、キットの代替配置が可能であり、本明細書における開示によって包含されることは理解するであろう。
【0259】
[00274]本明細書において開示されるようなキットは、本明細書において開示される方法の実施において使用され得る。一実施形態では、キットは、キット中の組成物の低投与体積を使用する、ヒト対象における抗原に対する抗体免疫応答の誘導において使用するためのものである。一実施形態では、キットは、水を含まない又は実質的に水を含まない組成物を調製するためのものである。
【0260】
[00275]実施形態
[00276]本開示の特定の実施形態として、制限するものではないが、以下が挙げられる:
[00277](1)ヒト対象において抗体免疫応答を誘導する方法であって、ヒト対象に
B細胞エピトープを含む抗原、
両親媒性化合物、及び
疎水性担体
を含む組成物の低投与体積を非経口的に投与することを含み、
組成物の低投与体積が、100μl未満であり、ヒト対象においてB細胞エピトープに対する抗体免疫応答を誘導する方法。
【0261】
[00278](2)低投与体積が、約50μl、約60μl、約70μl、約80μl又は約90μlである、段落(1)の方法。
【0262】
[00279](3)低投与体積が、約50μl~約75μlの間である、段落(1)又は(2)の方法。
【0263】
[00280](4)低投与体積が、約50μlである、段落(1)~(3)のいずれか1つの方法。
【0264】
[00281](5)組成物が、約5μg、約10μg、約15μg、約20μg、約25μg、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg又は約50μgの抗原を含む、段落(1)~(4)のいずれか1つの方法。
【0265】
[00282](6)組成物が、約10μg又は約25μgの抗原を含む、段落(5)の方法。
【0266】
[00283](7)組成物の単回初回刺激投与及び単回追加免疫投与のみを投与することを含む、段落(1)~(6)のいずれか1つの方法。
【0267】
[00284](8)単回追加免疫投与が、単回初回刺激投与の、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間又はそれ以上後にヒト対象に提供される、段落(7)の方法。
【0268】
[00285](9)単回追加免疫投与が、単回初回刺激投与の約56日後にヒト対象に提供される、段落(7)又は(8)の方法。
【0269】
[00286](10)組成物の単回投与のみを投与することを含む、段落(1)~(6)のいずれか1つの方法。
【0270】
[00287](11)ヒト対象に組成物の低投与体積の少なくとも1回の投与後に、疎水性担体を含まない、又は疎水性担体及び両親媒性化合物を含まない水性組成物に製剤化された抗原のその後の用量を投与することをさらに含む、段落(1)~(10)のいずれか1つの方法。
【0271】
[00288](12)組成物の低投与体積によって誘導された抗体免疫応答が、組成物の第1の投与の少なくとも早ければ28日後にヒト対象において検出可能である、段落(1)~(11)のいずれか1つの方法。
【0272】
[00289](13)組成物の低投与体積によって誘導された抗体免疫応答が、組成物の第1の投与後少なくとも84日間持続する、段落(1)~(12)のいずれか1つの方法。
【0273】
[00290](14)組成物の低投与体積によって誘導された抗体免疫応答が、組成物の第1の投与後少なくとも236日間持続する、段落(1)~(13)のいずれか1つの方法。
【0274】
[00291](15)組成物の低投与体積が、投与後56日目、84日目又は236日目までに、治療されたヒト対象の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも100%において抗体免疫応答を誘導する、段落(1)~(14)のいずれか1つの方法。
【0275】
[00292](16)組成物の低投与体積が、投与後少なくとも84日目又は236日目までに、治療されたヒト対象の100%において抗体免疫応答を誘導する、段落(15)の方法。
【0276】
[00293](17)組成物の低投与体積によって誘導された抗体免疫応答が、アラム組成物に製剤化された抗原を投与されたヒト対象において誘導された抗体免疫応答と比較して増強され、アラム組成物が、抗原、アラムアジュバント、無機アジュバント(例えば、Alhyrogel)及び水性担体を含む、段落(1)~(16)のいずれか1つの方法。
【0277】
[00294](18)抗体免疫応答の増強が、抗原に対する検出可能な抗原特異的抗体免疫応答を有するヒト対象のパーセンテージの増大及び/又は平均抗原特異的抗体エンドポイント力価の増大である、段落(17)の方法。
【0278】
[00295](19)組成物及びアラム組成物の各々が、10μgの抗原を含み、組成物を用いる平均抗原特異的抗体エンドポイント力価が、(i)投与後28日目でアラム組成物よりも少なくとも約123.2倍高い及び/又は(ii)56日目でアラム組成物よりも少なくとも約16.7倍高い、段落(18)の方法。
【0279】
[00296](20)組成物及びアラム組成物の各々が、25μgの抗原を含み、組成物の平均抗原特異的抗体エンドポイント力価が、(i)投与後28日目でアラム組成物よりも少なくとも約35.3倍高い及び/又は(ii)56日目でアラム組成物よりも少なくとも約13.1倍高い、段落(18)の方法。
【0280】
[00297](21)組成物及びアラム組成物の各々が、10μgの抗原を含み、組成物を用いて治療された場合に検出可能な抗原特異的抗体免疫応答を有するヒト対象のパーセンテージが、投与後56日目でアラム組成物を用いた場合よりも少なくとも約2.0倍高い、段落(18)の方法。
【0281】
[00298](22)組成物及びアラム組成物の各々が、25μgの抗原を含み、組成物を用いて治療された場合に検出可能な抗原特異的抗体免疫応答を有するヒト対象のパーセンテージが、投与後56日目でアラム組成物を用いた場合よりも少なくとも約5.0倍高い、段落(18)の方法。
【0282】
[00299](23)組成物が、非自発的総全身性有害事象及び/又は自発的総有害事象について容認できる安全性プロファイルを有する、段落(17)~(22)のいずれか1つの方法。
【0283】
[00300](24)ヒト対象が、乳児、青年、成人又は高齢の対象である、段落(1)~(23)のいずれか1つの方法。
【0284】
[00301](25)ヒト対象が、0~2歳、50~64歳又は65歳を超える年齢である、段落(24)の方法。
【0285】
[00302](26)組成物が、アジュバントをさらに含む、段落(1)~(25)のいずれか1つの方法。
【0286】
[00303](27)アジュバントが、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質ベースのアジュバント、脂質A模倣物若しくはその類似体又はそれらの任意の組合せである、段落(26)の方法。
【0287】
[00304](28)脂質ベースのアジュバントが、リポペプチド、例えば、PAM2Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)又はPAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である、段落(27)の方法。
【0288】
[00305](29)抗原が、5~50個のアミノ酸長のペプチド抗原又はペプチド抗原をコードするポリヌクレオチドである、段落(1)~(28)のいずれか1つの方法。
【0289】
[00306](30)抗原が、ヒト対象において天然において弱く免疫原性である合成ペプチド抗原である、段落(1)~(29)のいずれか1つの方法。
【0290】
[00307](31)抗原が、(i)例えば、エボラウイルス、ジカウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、百日咳菌(Bordetella pertussis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)又は四日熱マラリア原虫などのウイルス、細菌又は原虫に由来する、(ii)例えば、サバイビン抗原などの膜表面結合型癌抗原、(iii)例えば、コカインなどの毒素又は(iv)ネオ抗原である、段落(1)~(30)のいずれか1つの方法。
【0291】
[00308](32)抗原が、ウイルスの小疎水性タンパク質(SH)又はその断片を含む、又はからなる、段落(1)~(31)のいずれか1つの方法。
【0292】
[00309](33)ウイルスが、パラミクソウイルスである、段落(32)の方法。
【0293】
[00310](34)パラミクソウイルスが、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、例えば、ヒトRSVである、段落(33)の方法。
【0294】
[00311](35)抗原が、SH(SHe)のエクトドメイン又はその断片を含む、又はからなる、段落(32)~(34)のいずれか1つの方法。
【0295】
[00312](36)SHeが、サブグループAヒトRSV株又はサブグループBヒトRSV株に由来する、段落(35)の方法。
【0296】
[00313](37)SHeが、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)又はNKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号2)又は配列番号1若しくは2と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む、段落(36)の方法。
【0297】
[00314](38)抗原が、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)、NKLSEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号6)、NKLSEHKTFCNKTLEQGQMYQINT(配列番号2)又はその断片を含む、又はからなる、段落(37)の方法。
【0298】
[00315](39)抗原が、アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)からなる、段落(38)の方法。
【0299】
[00316](40)SHeが、オリゴマー、例えば、二量体として提示される、段落(35)~(39)のいずれか1つの方法。
【0300】
[00317](41)SHeが、担体に遺伝子的に又は化学的に連結されている、段落(35)~(40)のいずれか1つの方法。
【0301】
[00318](42)担体が、両親媒性化合物又はそれから形成される構造である、段落(41)の方法。
【0302】
[00319](43)ウイルス、細菌、原虫又は毒素に対するヒト対象の曝露に先立って、ヒト対象に組成物の低投与体積を投与することを含む、段落(31)~(42)のいずれか1つの方法。
【0303】
[00320](44)抗原が疎水性担体中で混和性であるように、抗原が十分に疎水性であるか、又は十分に疎水性にされる、段落(1)~(43)のいずれか1つの方法。
【0304】
[00321](45)抗原が、組成物中の両親媒性化合物の存在によって十分に疎水性にされる、段落(44)の方法。
【0305】
[00322](46)両親媒性化合物が、脂質又は脂質混合物である、段落(1)~(45)のいずれか1つの方法。
【0306】
[00323](47)脂質又は脂質混合物が、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、レシチン(例えば、Lipoid S100)又はその混合物を含む、段落(46)の方法。
【0307】
[00324](48)両親媒性化合物が、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールの脂質混合物である、段落(46)又は(47)の方法。
【0308】
[00325](49)脂質が、抗原を部分的又は完全に囲む、シート又は小胞構造を形成する、段落(46)~(48)のいずれか1つの方法。
【0309】
[00326](50)脂質が、抗原の周りに閉じた小胞構造、例えば、単層小胞構造(例えば、ミセル)又は二層小胞構造(例えば、ユニラメラ又はマルチラメラリポソーム)を形成する、段落(46)~(48)のいずれか1つの方法。
【0310】
[00327](51)疎水性担体が、オイル又はオイルの混合物である、段落(1)~(50)のいずれか1つの方法。
【0311】
[00328](52)疎水性担体が、植物油、ナッツオイル、鉱油又はそれらの混合物を含む、段落(51)の方法。
【0312】
[00329](53)疎水性担体が、鉱油であるか、又は鉱油溶液中のマンニドオレエート(mannideoleate)、例えば、モンタナイド(登録商標)ISA 51 VGである、段落(52)の方法。
【0313】
[00330](54)組成物が、
アミノ酸配列NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号1)を含むペプチド、
ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールを含む脂質混合物、
PAM3Cys-Ser-(Lys)4(配列番号3)である、短い合成リポペプチド、
モンタナイド(登録商標)ISA 51 VG
を含む、段落(1)~(53)のいずれか1つの方法。
【0314】
[00331](55)組成物が、水を含まない又は実質的に水を含まない、段落(1)~(54)のいずれか1つの方法。
【0315】
[00332](56)実質的に水を含まない組成物が、担体の総重量の重量/重量に基づいて、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含む、段落(55)の方法。
【0316】
[00333](57)注射による組成物の低投与体積を投与することを含む、段落(1)~(56)のいずれか1つの方法。
【0317】
[00334](58)組成物の低投与体積を筋肉内に注射することを含む、段落(57)の方法。
【0318】
[00335](59)ヒト対象における感染性疾患の治療又は予防のためのものである、段落(1)~(58)のいずれか1つの方法。
【0319】
[00336](60)ヒト対象においてB細胞エピトープに対する抗体免疫応答を誘導するための、B細胞エピトープを含む抗原と、
両親媒性化合物と、
疎水性担体と
を含む組成物の低投与体積の使用であって、組成物が非経口的投与のためのものであり、組成物の低投与体積が、100μl未満である、使用。
【0320】
[00337](61)低投与体積が、段落(2)~(4)のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、抗原の量が、段落(5)又は(6)において定義されるとおりであり、組成物が、段落(7)~(11)、(43)、(57)及び(58)のいずれか1つにおいて定義されるような投与のためのものであり、抗体免疫応答が、段落(12)~(22)のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、使用が、段落(23)において定義されるとおりの安全性プロファイルを提供し、ヒト対象が段落(24)又は(25)において定義されるとおりであり、組成物が、段落(26)~(28)のいずれか1つにおいて定義されるとおりのアジュバントをさらに含み、抗原が、段落(29)~(42)、(44)及び(45)のいずれか1つに定義されるとおりであり、両親媒性化合物が、段落(46)~(50)のいずれか1つに定義されるとおりであり、疎水性担体が、段落(51)~(53)のいずれか1つに定義されるとおりであり、及び/又は組成物が、段落(54)~(56)のいずれか1つに定義されるとおりである、段落(60)に従う使用。
【0321】
[00338](62)ヒト対象における感染性疾患の治療又は予防、例えば、RSVの治療又は予防のためのものである、段落(60)又は(61)に従う使用。
【0322】
[00339](63)段落(1)~(59)のいずれか1つに従う方法において使用するための組成物又はキット。
【0323】
[00340]本発明を、以下の限定されない例によってさらに例示する。
【実施例】
【0324】
[00341]臨床治験プロトコール
[00342]カナダにおいて実施されたCI1204と呼ばれた第1相試験(NCT番号02472548)は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)小疎水性エクトドメイングループA(SHe A)ペプチド抗原に対する免疫応答を誘導するための、オイルベース製剤の低投与体積投与の安全性及び免疫効力を、アラムベース製剤と比較して評価した。試験は、無作為化された、観察者盲検の、プラセボ対照の、用量漸増試験であった。試験には、2つのステップが含まれ、第1のステップは、低ペプチド用量製剤を評価し、第2のステップは、高ペプチド用量製剤を評価した。
【0325】
[00343]この試験に使用したRSV SHe Aペプチド抗原(NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT、配列番号1)は、PolyPeptide(米国、サンディエゴ)によって合成された。水中の10% DMSO/0.5% 酢酸(w/w)の混合物中にRSV SHe Aペプチド抗原(1ミリリットルあたり10ミリグラム)を溶解することによってペプチドを二量体化し、37℃で一晩加熱した。この試験に使用したオイルベースワクチンは、1ミリリットルあたり0.2ミリグラム(低ペプチド)又は1ミリリットルあたり0.5ミリグラム(高ペプチド)のRSV SHe Aペプチド抗原からなっていた。低及び高ペプチドオイルベースワクチンの両方とも、1ミリリットルあたり0.04ミリグラムのリポペプチドアジュバント(PAM3Cys-Ser-(Lys)4、配列番号3;PolyPeptide、米国、サンディエゴ)、1ミリリットルあたり120ミリグラムの合成1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン脂質(DOPC;Lipoid、GmbH、独国)及び1ミリリットルあたり12ミリグラムのコレステロール(Lipoid、GmbH、独国)を含有していた。ワクチンは、ISA 51 VGオイル(SEPPIC、仏国)中で送達された。オイルベースワクチンを製剤化するために、二量体化されたRSV SHe Aペプチド抗原(高又は低ペプチドの)を、リン酸ナトリウムバッファー(100ミリモル、pH6.0)中で合成脂質/コレステロールナノ粒子(大きさ≦110nm)及びリポペプチドアジュバントと混合した。次いで、ワクチン構成成分を凍結乾燥して、ドライケーキを形成した。注射の直前に、ドライケーキをオイルに再懸濁した。
【0326】
[00344]復元された組成物は、以下のとおりであった:
【表3】
【0327】
[00345]この試験に使用したアラムベースワクチンは、1ミリリットルあたり0.2ミリグラム(低ペプチド)又は1ミリリットルあたり0.5ミリグラム(高ペプチド)のRSV SHe Aペプチド抗原からなっていた。低及び高ペプチドアラムベースワクチンの両方とも、1ミリリットルあたり10ミリグラムのアルミニウムのAlhydrogel(登録商標)2%(Brenntag Biosector A/S、デンマーク)を含有していた。アラムベースのワクチンを製剤化するために、二量体化されたRSV SHe Aペプチド抗原を、酢酸ナトリウムバッファー(10ミリモル、pH7.0)を用いて希釈し、バイアル中に詰めた。注射の直前に、ワクチンを、1ミリリットルのワクチン製剤あたり1ミリグラムのアルミニウムでAlhydrogel(登録商標)2%(高ペプチド)と、又はAlhydrogel(登録商標)2%/水(低ペプチド)と混合した。
【0328】
[00346]復元されたアラム組成物は、以下のとおりであった:
【表4】
【0329】
[00347]臨床治験に登録された対象は、年齢50~64歳の間の健常成人であった。平均年齢は、55.3歳であり、72.5%が女性であった。4つの対象群(n=8)に、以下のとおりにワクチン接種した:1)試験0及び56日目に50マイクロリットルの低ペプチドオイルベース製剤、2)試験0日目に50マイクロリットルの低ペプチドアラムベース製剤と、それに続く、試験56日目に50マイクロリットルの生理食塩水プラセボ、3)試験0及び56日目に50マイクロリットルの高ペプチドオイルベース製剤並びに4)試験0日目に50マイクロリットルの高ペプチドアラムベース製剤と、それに続く、試験56日目に50マイクロリットルの生理食塩水プラセボ。5番目の対象群(n=8)には、試験0及び56日目に50マイクロリットルの投与体積の生理食塩水プラセボ(0.9%塩化ナトリウム)を与えた。
【0330】
[00348]比較群(プラセボ対照及びRSV(A)-アラム)を含めることで、有害事象の寄与リスクの推定が可能となった。安全性審査委員会(Safety Review Committee)(SRC)による試験保持ルール及び安全性評価を整えた。
【0331】
[00349]実施例1-安全性及び反応源性
[00350]非自発的及び自発的有害事象によって安全性をモニタリングし、測定した。試験0日目の第1の投与及び試験56日目の第2の投与後に事象を1週間毎日記録した。
【0332】
[00351]重篤な有害事象の報告はなかった。報告された最も一般的な非自発的局所有害事象は、注射部位疼痛であった。局所発赤又は腫脹の報告はなかった。重要なことに、オイルベース組成物の追加免疫量の送達を用いた場合、注射部位疼痛の増大は観察されなかった。
【0333】
[00352]報告された最も一般的な、非自発的全身性有害事象は、眠気、悪心、下痢及び筋肉痛であった。自発的総有害事象については、重篤な有害事象は報告されず、すべてのその他の事象は回復又は消散した。
【0334】
[00353]全体的に、結果は、オイルベース及びアラムベース製剤の低投与体積は、容認できる安全性プロファイルを有し、重篤な安全性の懸念はなかったということを示す。
【0335】
[00354]実施例2-免疫原性
[00355]ワクチンの免疫原性を、試験中一定間隔での血清採取によって臨床治験中のすべての対象についてモニタリングした。RSV SHeA抗原に対する抗体を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって検出した。
【0336】
[00356]手短に述べると、炭酸バッファー、pH9.0中、1ミリリットルあたり1マイクログラムの、臨床ワクチン中に使用されるようなRSV SHe Aペプチド二量体を用いて96ウェルプレートを4℃で18~21時間コーティングした。次いで、0.05% tweenを有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS-T)を用いてプレートを洗浄し、アッセイ希釈剤(ChonBlock、Chondrex)を用いて室温で1時間ブロッキングした。アッセイ希釈剤で血清の段階希釈を調製し、PBS-Tでの洗浄後にプレートに添加した。各プレートを、試験0日目血清を5反復で、及び他の時点を3連で検査した。プレートを室温で2.5~3時間インキュベートし、次いで、PBS-Tを用いて洗浄した。ウェルにペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgGを添加し、プレートを室温で1時間インキュベートし、次いで、PBS-T及びPBSを用いて洗浄した。ウェルに酵素コンジュゲートTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質系(KPL)を添加し、室温で最大4分間発色させ、続いて、TMB停止溶液(KPL)を添加した。ウェルの光学濃度を、450nmでASYS Expert Plusマイクロプレートリーダーで読み取った。ODカットオフは、試験0日目ODを使用してFrey A.ら(Journal of Immunological Methods、1998年、第221巻:35~41頁)の方法に従って算出した。算出された力価は、カットオフに関連してODの増大が検出される最高希釈を表す。力価は、逆数エンドポイント希釈のlog10値として示した。このアッセイの検出限界は、1/100希釈であり、この限界未満の応答は、log10=0として報告した。
【0337】
[00357]低ペプチドワクチンを投与された対象のエンドポイント力価が、
図1に示されている。高ペプチドワクチンを投与された対象のエンドポイント力価は、
図2に示されている。表1は、低又は高ペプチドオイル及びアラムベース製剤を用いてワクチン接種された群のエンドポイント力価を要約する。
【0338】
【0339】
[00359]試験56日目に、すべての群に単回免疫処置を施した。低ペプチドオイルベース製剤の対象の平均エンドポイント力価は、試験56日目に1.87であった(8人のうち検出限界を上回る力価を有する4人の対象)。低ペプチドアラムベース製剤の対象の平均log10エンドポイント力価は、試験56日目に0.73であった(8人のうち検出限界を上回る力価を有する2人の対象)。高ペプチドオイルベース製剤の対象の平均log10エンドポイント力価は、試験56日目に2.08であった(8人のうち検出限界を上回る力価を有する5人の対象)。高ペプチドアラムベース製剤の対象の平均log10エンドポイント力価は、試験56日目に0.44であった(8人のうち検出限界を上回る力価を有する1人の対象)。試験56日目のプラセボ群の対象の平均log10エンドポイント力価(試験の各アームからプールされた)は、0であった(8人のうち検出限界を上回る力価を有する0人の対象)。
【0340】
[00360]これらの結果は、単回免疫処置後の試験56日目に、各々同一量のペプチド抗原を含有する、低投与体積のオイルベース製剤は、免疫応答の生成時に低投与体積のアラムベース製剤よりも有意により効率的であることを示す。オイルベース製剤によって誘導された抗体力価は、低用量ペプチドを投与された群において少なくとも試験236日目まで、高用量ペプチドを投与された群において少なくとも試験84日目まで持続した。
【0341】
[00361]実施例3-RSV SHe A及びRSV SHe B力価比較
[00362]病原体フリーの雌のCD1マウス、6~8週齢を、Charles River Laboratories(カナダ、ケベック州、サン・コンスタン)から入手し、フィルター制御空気循環下で水及び食物を自由に用いて、施設のガイドラインに従って飼育した。
【0342】
[00363]RSV SHe Aペプチド抗原二量体(NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT、配列番号1)及びSHe Bペプチド抗原単量体(NKLSEHKTFSNKTLEQGQMYQINT、配列番号2)を、PolyPeptide Group(米国、サンディエゴ)から購入した。RSV SHe Aペプチド抗原を、水/DMSO/酢酸の混合物中、37℃で一晩加熱することによって二量体化した。この試験のためのワクチンは、1ミリリットルあたり0.5マイクログラムでRSV SHe Aペプチド抗原二量体及びRSV SHeペプチド抗原単量体を含有していた。アジュバント非添加オイルベースワクチンは、1ミリリットルあたり120ミリグラムの合成1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン脂質(DOPC、Lipoid、GmbH、独国)及び1ミリリットルあたり12ミリグラムのコレステロール(Lipoid、GmbH、独国)を含有していた。ワクチンは、ISA 51 VGオイル(SEPPIC、仏国)中で送達された。アジュバント添加オイルベースワクチンはまた、1ミリリットルあたり0.04ミリグラムのリポペプチドアジュバント(PAM3Cys-Ser-(Lys)4、配列番号3、PolyPeptide、米国、サンディエゴ)も含有していた。水ベースワクチンは、1ミリリットルあたり0.5ミリグラムのペプチド抗原のみを含有しており、10ミリモル酢酸ナトリウムpH7.0バッファー中で送達された。
【0343】
[00364]試験0及び28日目に、マウスの群(n=8)に、3回のワクチン各々のうち2回の、50マイクロリットル投与体積の筋肉内ワクチン接種を施した。マウスを、一定間隔で出血させ、血清を採取し、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって免疫応答を評価して、抗RSV SHe A又はRSV SHe B抗体を検出した。
【0344】
[00365]手短に述べると、96ウェルマイクロタイタープレートを、RSV SHe A又はRSV SHe B抗原(1ミリリットルあたり1マイクログラム)を用いて4摂氏度で一晩コーティングし、3%ゼラチンを用いて37摂氏度で30分間ブロッキングし、次いで、血清の段階希釈を用いて4摂氏度で一晩インキュベートした。次いで、各ウェルに二次抗体(アルカリホスファターゼにコンジュゲートされたプロテインG、EMD Chemicals、米国、ニュージャージー州、ギブズタウン)を、1:500希釈で37摂氏度で添加し1時間置いた。1ミリリットルあたり1ミリグラムの4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(Sigma-Aldrich Chemie GmbH、スイス)を含有する溶液とともに60分間インキュベートした後、マイクロタイタープレートリーダー(ASYS Hitech GmbH、オーストリア)を使用して各ウェルの405ナノメーターの吸光度を測定した。Frey Aら(Journal of Immunological Methods、1998年、第221巻:35~41頁)に記載されるようにエンドポイント力価を算出した。算出された力価は、免疫処置マウスから得た血清サンプル対無感作の非免疫処置マウスから得た血清サンプルにおいて、吸光度の統計的に有意な増大が観察された最高希釈を表す。力価は、逆数エンドポイント希釈のlog10値として示されている。
【0345】
[00366]RSV SHe A及びRSV SHe Bペプチド抗原のエンドポイント力価が、
図3に示されており、表2及び3に要約されている。
【0346】
【0347】
【0348】
[00369]アジュバント添加オイルベース製剤は、RSV SHe A(p<0.01)及びRSV SHe B(p<0.001)ペプチド抗原の両方に対して、アラムベース製剤と比較して有意に高い力価を誘導した。アジュバント非添加オイルベース製剤は、SHe Bペプチド抗原に対して、アラムベース製剤と比較して有意に高い力価(p<0.001)を誘導した。アジュバント非添加オイルベース製剤は、SHe Aペプチド抗原に対して、水ベース製剤よりも高い力価を誘導したが、統計的に有意ではなかった。これらの結果は、RSV SHe A又はRSV SHe Bペプチド抗原を含有するアジュバント添加オイルベース製剤は、水ベースワクチンよりも有意に強力であった抗体反応を有効に誘導できることを実証する。これらの結果はまた、オイルベース製剤が、複数のペプチドに対して水ベースワクチンを上回るより強力な免疫応答を誘導することを実証する。
【0349】
[00370]本明細書において引用されたすべての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願の各々が、参照により組み込まれると具体的に個別に示されるかのように参照により本明細書において組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日に先立つその開示のためであり、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈されてはならない。
【0350】
[00371]前述の発明を、理解を明確にする目的で例示及び実施例によってある程度詳細に説明してきたが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それに対して特定の変法及び改変を行ってもよいということは当業者には容易にわかることである。
【0351】
[00372]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」及び「the(その)」は、文脈が明確にそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含むことは留意されなければならない。別に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0352】
[00373]明細書本文において及び特許請求の範囲において本明細書において使用される語句「及び/又は」は、そのように組み合わされた要素の「いずれか又は両方」、すなわち、場合によっては接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解しなくてはならない。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素は、同じように解釈されなくてはならず、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ又は複数」である。具体的に同定された要素と関連するか、関連しないかに関わらず、「及び/又は」節によって具体的に同定された要素以外に、他の要素が任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などの制約のない言語とともに使用される場合、「A及び/又はB」への言及は、ある実施形態では、Aのみ(B以外の要素を任意選択で含む)を、別の実施形態では、Bのみ(A以外の要素を任意選択で含む)を、さらに別の実施形態では、AとBの両方(他の要素を任意選択で含む)を指す。
【0353】
[00374]明細書本文において及び特許請求の範囲において本明細書において使用されるように、「又は」は、上で定義された「及び/又は」と同じ意味を包含すると理解されなくてはならない。例えば、リスト内の項目を分ける場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると解釈されなければならない。すなわち、少なくとも1つの要素が含まれるだけでなく、2つ以上、いくつかの要素又は要素のリストも、任意選択でさらなる列挙されていない項目も含まれる。
【0354】
[00375]明細書本文において及び特許請求の範囲においてに関わらず、本明細書において使用されるように、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保持する(carryng)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」などの移行的用語は、包括的である、又は制約がない(すなわち、含むことを意味するがそれに限定しない)と理解されるべきであり、それらは、列挙されていない要素、材料又は方法ステップを除外しない。本明細書の特許請求の範囲及び例示的な実施形態の段落に関して、それぞれ、移行句「からなる(consisting of)」及び「本質的にからなる(consisting essentially of)」のみが、閉じられた又は半閉じられた移行句である。移行句「からなる(consisting of)」は、具体的に列挙されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。移行句「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、特定の要素、材料又はステップ並びに本明細書において開示される及び/又は特許請求される本発明の基本的特徴に実質的に影響を及ぼさないものに範囲を限定する。
【0355】
[参考文献]
1) Agger, E. M.; Rosenkrands, I.; Olsen, A.W.; Hatch, G.; Williams,A.; Kritsch, C.; Lingnau, K.; von Gabain, A.;Andersen, C. S.; Korsholm, K. S.;Andersen, P.(2006) Protective immunity totuberculosis with Ag85B-ESAT-6 in asynthetic cationic adjuvant system IC31,Vaccine 24(26), 5452-5460.
2) Alexopoulou, L.; Holt, A. C.; Medzhitov,R.; Flavell, R. A. (2001)Recognition of double-stranded RNA and activation ofNF-κB by Toll-like receptor 3, Nature 413(6857), 732-738.
3) Altschul, S. F.; Gish, W.; Miller, W.;Myers, E. W.; Lipman, D. J.(1990) Basic local alignment search tool, J.Mol. Biol. 215(3), 403-410.
4) Altschul, S.F.; Madden, T.L.; Schaffer,A.A.; Zhang, J.; Zhang,Z.; Miller, W.; Lipman, D.J. (1997) Gapped BLAST andPSI-BLAST: a new generationof protein database search programs, Nucleic AcidsRes 25, 3389-3402
5) Anderson, R.; Huang, Y.; Langley, J.M.(2010Prospects for definedepitope vaccines for respiratory syncytial virus,Future Microbiol5(4), 585-602.
6) Awasthi, A.; Mehrotra, S.; Bhakuni, V.;Dutta, G. P.; Levy, H. B.;Maheshwari, R. K.(1997) Poly ICLC enhances theantimalarial activity ofchloroquine against multidrug-resistant Plasmodiumyoeliinigeriensis in mice, J.Interferon Cytokine Res. 17(7), 419-423.
7) Banga, A. K. (1995) Therapeutic Peptidesand Proteins,Formulation, Processing and Delivery Systems, Lancaster, PA:TechnomicPublishing Co.
8) Bever, C. T. Jr.; Salazar, A. M.; Neely,E.; Ferraraccio, B. E.;Rose, J. W.; McFarland H. F.; Levy, H. B.; McFarlin, D.E. (1986) Preliminarytrial of poly ICLC in chronic progressive multiplesclerosis, Neurology 36(4),494-498.
9) Bobst, A. M.; Langemeier, P. W.;Torrence, P. F.; De Clercq, E.(1981) Interferon Induction by Poly(inosinicacid)・Poly(cytidylicacid) Segmented by Spin-Labels, Biochemistry 20(16),4798-4803.
10) Brewer, K. D.; Lake, K.; Pelot, N.;Stanford, M. M.; DeBay, D.R.; Penwell, A.; Weir, G. M.; Karkada, M.; Mansour,M.; Bowen, C. V. (2014)Clearance of depot vaccine SPIO-labeled antigen andsubstrate visualized usingMRI, Vaccine 32(51), 6956-6962.
11) Caruthers, M. H.; Beaucage, S. L.;Efcavitch, J. W.; Fisher, E.F.; Matteucci, M. D.; Stabinsky, Y. (1980) Newchemical methods for synthesizingpolynucleotides, Nucleic Acids Res. Symp.Ser. (7), 215-223.
12) Celis, E.; Ou, D.; Otvos, L. Jr. (1988)Recognition of hepatitisB surface antigen by human T lymphocytes.Proliferative and cytotoxic responsesto a major antigenic determinant definedby synthetic peptides, J. Immunol. 140,1808-1815.
13) Chanock, R; Finberg L. (1957) Recoveryfrom infants withrespiratory illness of a virus related to chimpanzee coryzaagent (CCA). II.Epidemiologic aspects of infection in infants and youngchildren, Am JHyg.66(3), 291-300.
14) Chanock, R.; Roizman B.; Myers, R.(2008)Recovery from infantswith respiratory illness of a virus related tochimpanzee coryza agent (CCA).II. Epidemiologic aspects of infection ininfants and young children, Am JHyg.66(3), 281-90.
15) Chirigos, M. A.; Schlick, E.; Ruffmann,R.; Budzynski, W.;Sinibaldi, P.; Gruys, E. (1985) Pharmacokinetic andtherapeutic activity ofpolyinosinic-polycytidylic acid stabilized withpoly-L-lysine incarboxymethylcellulose [poly(I,C)-LC], J. Biol. ResponseMod.4(6), 621-627.
16) Chong, P.; Zobrist, G.; Sia, C.;Loosmore, S.; Klein, M. (1992)Identification of T- and B-cell epitopes of theS2 and S3 subunits of pertussistoxin by use of synthetic peptides, InfectImmun. 60, 4640-4647.
17) Collins, P.L.; Olmsted, R.A.; Johnson,P.R. (1990)The smallhydrophobic protein of human respiratory syncytial virus:comparison betweenantigenic subgroups A and B, J Gen Virol.71(7), 1571-6.
18) Cui, Z.; Qiu, F. (2006) Syntheticdouble-stranded RNA poly(I:C)as a potent peptide vaccine adjuvant: therapeuticactivity against humancervical cancer in a rodent model, Cancer Immunol.Immunother. 55(10),1267-1279.
19) deClercq, E.; Hattori, M.; Ikehara, M.(1975) Antiviral activityof polynucleotides: copolymers of inosinic acid andN2-dimethylguanylic of2-methylthioinosinic acid, Nucleic Acids Res. 2(1),121-129.
20) de Clercq, E.; Torrence, P. F.;Stollar, B. D.; Hobbs, J.; Fukui,T.; Kakiuchi, N.; Ikehara, M. (1978)Interferon induction by a 2'-modifieddouble-helical RNA,poly(2'-azido-2'-deoxyinosinic acid) . polycytidylic acid,Eur. J. Biochem.88(2), 341-349.
21) Demotz, S.; Lanzavecchia, A.; Eisel,U.; Niemann, H.; Widmann,C.; Corradin, G.P. (1989) Delineation of severalDR-restricted epitopes in tetanustoxin, J. Immunol. 142, 394-402.
22) Diethelm-Okita, B.M.; Okita, D.K.;Banaszak, L.; Conti-Fine, B.M.(2000) Universal epitopes for human CD4+ cellson tetanus and diphtheria toxins,J. Infect. Dis.181, 1001-1009.
23) Dong, L. W.; Kong, X. N.; Yan, H. X.;Yu, L. X.; Chen, L.; Yang,W.; Liu, Q.; Huang, D. D.; Wu, M.C.; Wang, H. Y.(2008) Signal regulatoryprotein alpha negatively regulates both TLR3 andcytoplasmic pathways in type Iinterferon induction, Mol. Immunol.45(11),3025-3035.
24) Droller, M. J. (1987) Immunotherapy ofmetastatic renal cellcarcinoma with polyinosinic-polycytidylic acid, J.Urol.137(2), 202-206.
25) Durie, B. G.; Levy, H. B.; Voakes, J.;Jett, J. R.; Levine, A. S.(1985) Poly(I,C)-LC as an interferon inducer inrefractory multiple myeloma, J.Biol. Response Mod. 4(5), 518-524.
26) Frezard, F. (1999) Liposomes: frombiophysics to the design ofpeptide vaccines, Braz. J. Med. Bio. Res. 32,181-189.
27) Frey, A.; Di Canzio, J.; Zurakowski, D.(1998) A statisticallydefined endpoint titer determination method forimmunoassays, Journal ofImmunological Methods 221:35-41.
28) Fujimura, T.; Nakagawa, S.; Ohtani, T.;Ito, Y.; Aiba, S. (2006)Inhibitory effect of the polyinosinic-polycytidylicacid/cationic liposome onthe progression of murine B16F10 melanoma, Eur. J.Immunol. 36(12), 3371-3380.
29) Fukui, T.; Kakiuchi, N.; Ikehara, M.(1977) Polynucleotides. XLVSynthesis and properties ofpoly(2'-azido-2'-deoxyinosinic acid), Nucleic AcidsRes.4(8), 2629-2639.
30) Gowen, B. B.; Wong, M. H.; Jung, K. H.;Sanders, A. B.; Mitchell,W. M.; Alexopoulou, L.; Flavell, R. A.; Sidwell, R.W. (2007) TLR3 is essentialfor the induction of protective immunity againstPunta Toro Virus infection bythe double-stranded RNA (dsRNA), poly(I:C12U),but not Poly(I:C): differentialrecognition of synthetic dsRNA molecules, J.Immunol. 178(8), 5200-5208.
31) Gregoriadis G. (1990) Immunologicaladjuvants: a role forliposomes, Immunol. Today 11, 89-97.
32) Greene, J. J.; Alderfer, J. L.; Tazawa,I.; Tazawa, S.; Ts'o, P.O.; O'Malley, J. A.; Carter, W. A.(1978) Interferoninduction and its dependenceon the primary and secondary structure ofpoly(inosinic acid).poly(cytidylicacid), Biochemistry 17(20), 4214-4220.
33) Guschlbauer, W.; Blandin, M.; Drocourt,J. L.; Thang, M. N.(1977) Poly-2'-deoxy-2'-fluoro-cytidylic acid: enzymaticsynthesis,spectroscopic characterization and interaction with poly-inosinicacid, NucleicAcids Res. 4(6), 1933-1943.
34) Hendrix, C. W.; Margolick, J. B.;Petty, B. G.; Markham, R. B.;Nerhood, L.; Farzadegan, H.; Ts'o, P. O.;Lietman, P. S. (1993) Biologic effectsafter a single dose ofpoly(I):poly(C12U) in healthy volunteers, Antimicrob.Agents Chemother.37(3),429-435.
35) Horn, T.; Vasser, M. P.; Struble, M.E.; Crea, R. (1980)Synthesis of oligonucleotides on cellulose. Part II: Designand syntheticstrategy to the synthesis of 22 oligodeoxynucleotides coding forgastricinhibitory polypeptide (GIP), Nucleic Acids Symp. Ser. (7), 225-232.
36) Houston, W. E.; Crabbs, C. L.; Stephen,E. L.; Levy, H. B. (1976)Modified polyriboinosinic-polyribocytidylicacid, animmunological adjuvant,Infect. Immun.14(1), 318-319.
37) Ichinohe, T.; Tamura, S.; Kawaguchi,A.; Ninomiya, A.; Imai, M.;Itamura, S.; Odagiri, T.; Tashiro, M.; Takahashi,H.; Sawa, H.; Mitchell, W. M.;Strayer, D. R.; Carter, W. A.; Chiba, J.;Kurata, T.; Sata, T.; Hasegawa, H.(2007) Cross-protection against H5N1influenza virus infection is afforded byintranasal inoculation with seasonaltrivalent inactivated influenza vaccine, J.Infect. Dis. 196(9), 1313-1320.
38) Johnston, M. I.; Stollar, B. D.;Torrence, P. F.; Witkop, B.(1975) Structural features of double-strandedpolyribonucleotides required forimmunological specificity and interferoninduction, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S.A. 72(11), 4564-4568.
39) Kamath, A. T.; Valenti, M. P.; Rochat,A. F.; Agger, E. M.;Lingnau, K.; von Gabain, A.; Andersen, P.; Lambert, P. H.;Siegrist, C. A.(2008) Protective anti-mycobacterial T cell responses throughexquisite in vivoactivation of vaccine-targeted dendritic cells, Eur. J.Immunol. 38(5),1247-1256.
40) Karron RA, Respiratory syncytial virusand parainfluenza virusvaccines, in Vaccines, Plotkin S.A.; Orenstein W.A.;and Offit, P.A., Editors.2013, Elsevier Saunders, 1146-1153.
41) Kawaoka, Y.; Yamnikova, S.; Chambers,T. M.; Lvov, D. K.;Webster, R. G. (1990) Molecular characterization of a newhemagglutinin, subtypeH14, of influenza A virus, Virology 179(2), 759-767
42) Kende, M.; Lupton, H. W.; Rill, W. L.;Gibbs, P.; Levy, H. B.;Canonico, P. G. (1987) Ranking of Prophylactic Efficacyof Poly(ICLC) againstRift Valley Fever Virus Infection in Mice by IncrementalRelative Risk of Death,Antimicrob. Agents Chemother. 31(8), 1194-1198.
43) Khanna, N.; Widmer, A.F.; Decker, M.;Steffen, I., Halter, J.;Heim, D.; Weisser, M.; Gratwohl, A.; Fluckiger, U.;Hirsch, H.H.(2008)Respiratory syncytial virus infection in patients withhematologicaldiseases: single-center study and review of the literature, ClinInfectDis.46(3), 402-12.
44) Kreuter, J., ed. (1994), Colloidal DrugDelivery Systems, Vol.66, Marcel Dekker, Inc.
45) Krown, S. E.; Kerr, D.; Stewart, W. E.2nd; Field, A. K.;Oettgen, H. F. (1985) Phase I trials of poly(I,C) complexesin advanced cancer,J. Biol. Response Mod. 4(6), 640-649.
46) Langley, J.M.; LeBlanc, J.C.; Smith,B.; Wang, E.E. (2003)Increasing incidence of hospitalization for bronchiolitisamong Canadianchildren, 1980-2000, J Infect Dis. 188(11), 1764-7.
47) Levy, H. B; Lvovsky, E. (1978) Topicaltreatment of vacciniavirus infection with an interferon inducer in rabbits, J.Infect. Dis.137(1),78-81.
48) Levy, H. B. (1985) Historical overviewof the use ofpolynucleotides in cancer, J. Biol. Response Mod.4(5), 475-480.
49) Llopiz, D.; Dotor, J.; Zabaleta, A.;Lasarte, J. J.; Prieto, J.;Borras-Cuesta, F.; Sarobe, P. (2008) Combinedimmunization with adjuvantmolecules poly(I:C) and anti-CD40 plus a tumorantigen has potent prophylacticand therapeutic antitumor effects, CancerImmunol. Immunother. 57(1), 19-29.
50) Merrifield, B. (1997) Concept and earlydevelopment of solid-phasepeptide synthesis, Methods Enzymol. 289, 3-13.
51) Moghaddam, A.; Olszewska, W.; Wang, B.;Tregoning, J.S.; Helson,R.; Sattentau, Q.J.; Openshaw, P.J. (2006) Apotential molecular mechanismfor hypersensitivity caused byformalin-inactivated vaccines, Nat Med.12(8),905-7.
52) Moyle, P. M.; Toth. I. (2008)Self-adjuvanting lipopeptidevaccines, Curr. Med. Chem. 15(5), 506-516.
53) Nair, H.; Nokes, D.J.; Gessner, B.D.;Dherani, M.; Madhi, S.A.;Singleton, R.J. et al., (2010) Global burden ofacute lower respiratoryinfections due to respiratory syncytial virus in youngchildren: a systematicreview and meta-analysis, Lancet375(9725), 1545-55.
54) Nair, H.; Verma, V.R.; Theodoratou, E.;Zgaga, L.; Huda, T.;Simoes, E.A.F.; Wright, P.F.; Rudan, I.; Campbell, H.(2011) An evaluation ofthe emerging interventions against RespiratorySyncytial Virus (RSV)-associatedacute lower respiratory infections inchildren, BMC Public Health 11 Suppl 3,S30.
55) Nakamura, O.; Shitara, N.; Matsutani,M.; Takakura, K.; Machida,H. (1982) Phase I-II trials of poly(ICLC) inmalignant brain tumorpatients, J. Interferon. Res. 2(1), 1-4.
56) Needleman, S. B.; Wunsch, C.D. (1970) Ageneral method applicableto the search for similarities in the amino acidsequence of two proteins, J.Mol. Biol. 48(3), 443-453.
57) Padalko, E.; Nuyens, D.; De Palma, A.;Verbeken, E.; Aerts, J.L.; De Clercq, E.; Carmeliet, P.; Neyts, J. (2004) TheInterferon InducerAmpligen[poly(I)-poly(C12U)] Markedly Protects Mice againstCoxsackie B3Virus-Induced Myocarditis, Antimicrob. Agents Chemother. 48(1),267-274.
58) Pearson, W. R.; Lipman, D. J. (1988)Improved tools forbiological sequence comparison, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S.A. 85(8),2444-2448.
59) Poast, J.; Seidel, H. M.; Hendricks, M.D.; Haslam, J. A.; Levy,H. B.; Baron, S. (2002) Poly I:CLC induction of theinterferon system in mice:an initial study of four detection methods, J.Interferon Cytokine Res. 22(10),1035-1040.
60) Puri, S. K.; Dutta, G. P.; Levy, H. B.;Maheshwari, R. K. (1996)Poly ICLC inhibits Plasmodium cynomolgi B malariainfection in rhesus monkeys,J. Interferon. Cytokine Res. 16(1), 49-52.
61) Remington’s Pharmaceutical Sciences,MackPublishing Company, Easton, Pa., USA 1985
62) Riedl, K.; Riedl, R.; von Gabain, A.;Nagy, E.; Lingnau, K.(2008) The novel adjuvant IC31(R) strongly improvesinfluenza vaccine-specificcellular and humoral immune responses in young adultand aged mice, Vaccine26(27-28), 3461-3468.
63) Roberge, J. Y.; Beebe, X.; Danishefsky,S. J. (1995) A strategyfor a convergent synthesis of N-linked glycopeptides ona solid support, Science269(5221), 202-204.
64) Salazar, A. M.; Levy, H. B.; Ondra, S.;Kende, M.; Scherokman,B.; Brown, D.; Mena, H.; Martin, N.; Schwab, K.;Donovan, D.; Dougherty, D.;Pulliam, M.; Ippolito, M.; Graves, M.; Brown, H.;Ommaya, A. (1996) Long-termtreatment of malignant gliomas with intramuscularlyadministeredpolyinosinic-polycytidylic acid stabilized with polylysineandcarboxymethylcellulose: an open pilot study, Neurosurgery 38(6), 1096-1103,discussionat 1103-1104.
65) Salem, M. L.; Kadima, A.N.; Cole, D.J.; Gillanders, W. E. (2005)Defining the antigen-specific T-cell response tovaccination and poly(I:C)/TLR3signaling: evidence of enhanced primary andmemory CD8 T-cell responses andantitumor immunity, J. Immunother. 28(3),220-228.
66) Salem, M. L.; El-Naggar, S. A.; Kadima,A.; Gillanders, W. E.;Cole, D. J.(2006) The adjuvant effects of the toll-likereceptor 3 ligandpolyinosinic-cytidylic acid poly (I:C) on antigen-specificCD8+ T cell responsesare partially dependent on NK cells with the induction ofa beneficial cytokinemilieu, Vaccine 24(24), 5119-5132.
67) Sarma, P. S.; Shiu, G.; Neubauer, R.H.;Baron, S.; Huebner, R.J.(1969) Virus-induced sarcoma of mice: inhibitionby a synthetic polyribonucleotidecomplex, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.62(4), 1046-1051.
68) Schellack, C.; Prinz, K.; Egyed, A.;Fritz, J. H.; Wittmann, B.;Ginzler, M.; Swatosch, G.; Zauner, W.; Kast, C.;Akira, S.; von Gabain, A.;Buschle, M.; Lingnau, K. (2006) IC31, a noveladjuvant signaling via TLR9,induces potent cellular and humoral immuneresponses, Vaccine24(26), 5461-5472.
69) Sharon, J; Rynkiewicz M.J.; Lu, Z.;Yang, C.Y. (2014) Discovery of protective B-cell epitopes fordevelopment of antimicrobialvaccines and antibody therapeutics, Immunology142(1), 1-23.
70) Slingluff, C.L. Jr.; Yamshchikov, G.;Neese, P.; Galavotti, H.;Eastham, S.; Engelhard, V.H.; Kittlesen, D.; Deacon,D.; Hibbitts, S.; Grosh,W.W.; Petroni, G.; Cohen, R.; Wiernasz, C.; Patterson,J.W.; Conway, B.P.; Ross,W.G. (2001) Phase I trial of a melanoma vaccine withgp100(280-288) peptide andtetanus helper peptide in adjuvant: Immunologic andclinical outcomes, ClinCancer Res.7, 3012-3024.
71) Sloat, B. R.; Shaker, D. S.; Le, U. M.;Cui, Z. (2008) Nasalimmunization with the mixture of PA63, LF, and a PGAconjugate induced strongantibody responses against all three antigens, FEMSImmunol. Med. Microbiol.52(2), 169-179.
72) Smith, T. F.; Waterman, M. S. (1981)Comparison of biosequences,Adv. Appl. Math. 2(4), 482-489.
73) So, N. S. Y.; Ostrowski, M. A.;Gray-Owen, S. D. (2012) VigorousResponse of Human Innate Functioning IgMMemory B Cells upon Infection byNeisseria gonorrhoeae, J. Immunol. 188(8),4008-4022.
74) Stephen, E. L.; Sammons, M. L.;Pannier, W. L.; Baron, S.;Spertzel, R. O.; Levy, H. B. (1977) Effect of anuclease-resistant derivative ofpolyriboinosinic-polyribocytidylic acidcomplex on yellow fever in rhesusmonkeys (Macacamulatta), J. Infect. Dis.136(1), 122-126.
75) Talmadge, J. E.; Adams, J.; Phillips,H.; Collins, M.; Lenz, B.;Schneider, M.; Chirigos, M. (1985) Immunotherapeuticpotential in murine tumormodels of polyinosinic-polycytidylic acid andpoly-L-lysine solubilized bycarboxymethylcellulose, Cancer Res. 45(3),1066-1072.
76) The United States Pharmacopoeia: TheNational Formulary (USP 24NF19) published in 1999
77) Theriault, R. L.; Hortobagyi, G. N.;Buzdar, A. U.; Levy, H. B.;Hersh, E. M. (1986) Evaluation ofpolyinosinic-polycytidylic and poly-L-lysinein metastatic breast cancer,Cancer Treat. Rep. 70(11), 1341-1342.
78) Trumpfheller, C.; Caskey, M.; Nchinda,G.; Longhi, M. P.;Mizenina, O.; Huang, Y.; Schlesinger. S. J.; Colonna, M.;Steinman, R. M. (2008)The microbial mimic poly IC induces durable andprotective CD4+ T cell immunitytogether with a dendritic cell targetedvaccine, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.105(7), 2574-2579.
79) Van Regenmortel, M.H. (2009) What is aB-cell epitope?, MethodsMol Biol. 524, 3-20.
80) Walsh, E.E.; Falsey, A.R. (2004)Humoraland mucosal immunity inprotection from natural respiratory syncytial virusinfection in adults, JInfect Dis.190(2), 373-8.
81) Webster, R. G.; Laver, W. G.; Air, G.M. Antigenic variationamong type A influenza viruses, p. 127-168. In: Palese,P. & Kingsbury, D.W., eds. Genetics of influenza viruses. (New York:Springer-Verlag, 1983).
82) Zaks, K.; Jordan, M.; Guth, A.;Sellins, K.; Kedl, R.; Izzo, A.;Bosio, C.; Dow, S. (2006) Efficientimmunization and cross-priming by vaccineadjuvants containing TLR3 or TLR9agonists complexed to cationic liposomes, J.Immunol. 176(12), 7335-7345.
83) Yoneyama, M.; Kikuchi, M.; Natsukawa,T.; Shinobu, N.; Imaizumi,T.; Miyagishi, M.; Taira, K.; Akira, S.; Fujita, T.(2004) The RNA helicaseRIG-I has an essential function in double-strandedRNA-induced innate antiviralresponses, Nat. Immunol.5(7), 730-737.
84) Kametani, Y.; Miyamoto, A.; Tsuda, B.;Tokuda, Y. (2015) B CellEpitope-Based Vaccination Therapy, Antibodies 4(3),225-239.
85) Zhu, X.; Nishimura, F.; Sasaki, K.;Fujita, M.; Dusak, J. E.;Eguchi, J.; Fellows-Mayle, W.; Storkus, W. J.;Walker, P. R.; Salazar, A. M.;Okada, H. (2007) Toll like receptor-3 ligandpoly-ICLC promotes the efficacy ofperipheral vaccinations with tumorantigen-derived peptide epitopes in murineCNS tumor models, J. Transl.Med.5(10), 1-15.
【配列表】