(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】移行位置における運搬ユニットを移行するための方法と長固定子リニアモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019098190
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2022-04-01
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518184708
【氏名又は名称】ベーウントエル・インダストリアル・オートメイション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ・フォルトフーバー
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0380562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0207719(US,A1)
【文献】特表2016-531534(JP,A)
【文献】特開平2-101904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移行位置(U)の領域内に
運搬ユニット(Tn)の運動方向(x)へ連続して配置されている
複数の駆動コイル(7,8)を有する第一の
運搬区間(Am)から、
移行位置(U)の領域内に
運搬ユニット(Tn)の運動方向(x)へ連続して配置されている
複数の駆動コイル(7,8)を有する第二の
運搬区間(An)へ、
移行位置(U)で長固定子リニアモータの
運搬ユニット(Tn)
を移行するための方法であって
、
運搬ユニット(Tn)のそれぞれの側に、励起磁石(4,5)が配置されており、
この励起磁石(4,5)は、固定子電流(i
A1,i
A2)の印加によ
り駆動コイル(7,8)に電磁場が発生
することによって、
移動方向(x)への
運搬ユニット(Tn)の
移動のため
に、
運搬ユニット(Tn)の範囲内で駆動コイル(7,8)と協
力して動作し、
この電磁場は
運搬ユニット(Tn)における励起磁石(4,5)と協
力して動作し、及び
移行位置(U)の
移行領域では
運搬ユニット(Tn)の少なくとも
片側で、少なくとも一つの駆動コイル(7,8)へ固定子電流(i
A1,i
A2)が印加され、
この固定子電流(i
A1,i
A2)
が、固定子電流(i
A1,i
A2)の
推進力形成電流構成要素(i
Aq1,i
Aq2)及び/又は側方力形成電流構成要素(i
Ad1,i
Ad2)に基づいて、操舵
効果(L)を
運搬ユニット(Tn
)に対して発生する方法において
、
運搬ユニット(Tn)の第一の側に操舵
効果(L)
を発生する
ために移行領域内で、
運搬ユニット(Tn)と共にその第一の側
に対して協
力して動作する駆動コイル(7,8)に固定子電流(i
A1,i
A2)が印加され、この固定子電流(i
A1,i
A2)
は、電磁側方力(F
EMS1,F
EMS2)
のみを発生するか、
又は運搬ユニット(Tn)の運動方向(x)とは逆に
ブレーキ力(F
B
)のみを発生するか、又は
それらの組み合わせ
のみを発生させることを特徴とする方法。
【請求項2】
移行領域内
では、運搬ユニット(Tn)の
対向する第二の側で、
この第二の側において
運搬ユニット(Tn)と協
力して動作する少なくとも一つの駆動コイル(7,8)に固定子電流(i
A1,i
A2)が印加されな
いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第二の側
で運搬ユニット(Tn)と協
力して動作するすべての駆動コイル(7,8)に
は、固定子電流(i
A1,i
A2)が印加されな
いことを特徴とする請求項2
に記載の方法。
【請求項4】
移行領域内
では、運搬ユニット(Tn)の
対向する第二の側で
、この第二の側において
運搬ユニット(Tn)と協
力して動作する少なくとも一つの駆動コイル(7,8)に固定子電流(i
A1,i
A2)
が印加され、この固定子電流(i
A1,i
A2)が電磁側方力(F
EMS1,F
EMS2)を引き起こ
すことを特徴とする請求項1又は2
に記載の方法。
【請求項5】
第二の側
で運搬ユニット(Tn)と協
力して動作するすべての駆動コイル(7,8)に
は、固定子電流(i
A1,i
A2)が印加され、この固定子電流(i
A1,i
A2)は電磁側方力(F
EMS1,F
EMS2)を引き起こ
すことを特徴とする請求項4
に記載の方法。
【請求項6】
移行領域内
では、運搬ユニット(Tn)の
対向する第二の側で
、この第二の側において
運搬ユニット(Tn)と協
力して動作する少なくとも一つの駆動コイル(7,8)に固定子電流(i
A1,i
A2)
が印加され、この固定子電流(i
A1,i
A2)が電磁
推進力(F
EMV1,F
EMV2)を引き起こ
すことを特徴とする請求項1、2、4、又は5
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第二の側
で運搬ユニット(Tn)と協
力して動作するすべての駆動コイル(7,8)に
は、固定子電流(i
A1,i
A2)
が印加され、この固定子電流(i
A1,i
A2)
は、電磁
推進力(F
EMV1,F
EMV2)を引き起こ
すことを特徴とする請求項6
に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移行位置の領域内に運搬ユニットの運動方向へ連続して配置されている複数の駆動コイルを有する第一の運搬区間から、移行位置の領域内に運搬ユニットの運動方向へ連続して配置されている複数の駆動コイルを有する第二の運搬区間へ、移行位置で長固定子リニアモータの運搬ユニットを移行するための方法に関し、その運搬ユニットのそれぞれの側に、励起磁石が配置されており、この励起磁石は、固定子電流の印加により駆動コイルに電磁場が発生することによって、運動方向へ運搬ユニットを運動するために、運搬ユニットの範囲内で駆動コイルと協力して動作し、電磁場は運搬ユニットにおける励起磁石と協力して動作し、及び移行位置の移行領域では運搬ユニットの少なくとも片側で、少なくとも一つの駆動コイルへ固定子電流が印加され、この固定子電流が、固定子電流の推進力形成電流構成要素及び/又は側方力形成電流構成要素に基づいて、操舵効果を運搬ユニットに対して発生することに関する。
【背景技術】
【0002】
現代のほぼすべての生産設備では、部品又は構成要素を、より長い搬送経路であっても、運搬ユニットを用いて個々の生産ステーションの間で運動させる必要がある。この目的のために、複数の運搬装置またはコンベヤが知られている。この目的のために、様々な連続コンベヤがよく使用されている。従来の連続コンベヤは、様々な実施形態におけるコンベヤベルトであり、この場合電気駆動の回転運動が、コンベヤベルトの直線的な運動に変換される。このような従来の連続コンベヤでは、柔軟性で著しく制限されており、特に個々の運搬ユニットを個別に運搬することが不可能である。この状態を改善し、最新で柔軟な運搬装置の要求を満たすために、いわゆる長固定子リニアモータ(LLM)が、従来の連続コンベヤの代わりとしてますます使用されている。
【0003】
長固定子リニアモータの場合、固定子を形成する複数の電気駆動コイルは、運搬経路に沿って配置されている。運搬ユニット上には、永久磁石として、又は電気コイル若しくは短絡巻線としてのいずれかである複数の励起磁石が配置されており、この励起磁石が駆動コイルと協力して動作する。長固定子リニアモータは、同期機械(自励式又は他励式)としても又は非同期機械としても実現され得る。運搬ユニットの領域内で個々の駆動コイルを操作することによって、発生する磁束を制御するために、運搬ユニットの励起磁石と協力して動作して推進力が発生され、及び運搬ユニットは運搬経路に沿って運動することができる。この場合、運搬経路に沿って複数の運搬ユニットを配置することもまた可能であり、その運動を個々に且つ独立して互いに制御することができる。長固定子リニアモータは、特に、運動の作動範囲の全て(速度、加速度)にわたってより改善した利用及び柔軟な利用、運搬経路に沿った運搬ユニットの運動の個々の調整/制御、改善したエネルギー利用、より少ない数の摩耗部品による維持費の削減、運搬ユニットの簡単な交換、効率的な監視と欠陥の検出、製品の流れの最適化、を特徴とする。そのような長固定子リニアモータの例が、特許文献1、特許文献2、特許文献3又は特許文献4で読み取ることができる。
【0004】
特許文献3と特許文献4では、固定子の駆動コイルが運搬経路の上側に配置されている。永久磁石は、運搬ユニットの下側に配置されている。特許文献1及び特許文献2では、永久磁石は中心に配置されている駆動コイルの両側に設けられており、それによって永久磁石は長固定子リニアモータの固定子を取り囲み、及び駆動コイルが両側に配置されている永久磁石と協力して動作する。
【0005】
運搬経路に沿った運搬ユニットの案内は、例えば特許文献1若しくは特許文献3のように案内ローラによって行われるか、又は例えば特許文献4のように磁気案内を介して実現する。磁気案内の場合では、両側の案内磁石が運搬ユニットに設けられており、この案内磁石は運搬経路に配置されていて向かい合った案内ロッドと協力して動作する。この場合、案内ロッドは磁気ヨークを形成し、この案内ロッドが案内磁石の磁気回路を閉鎖する。それによって形成された磁気案内回路は、運搬ユニットの横方向への運動を妨害し、これによって運搬ユニットは横方向へ案内される。似たような磁気の横方向案内は、特許文献5で読むことができる。
【0006】
非特許文献1も同様に、長固定子リニアモータの運搬ユニットの磁気案内が記載されている。この場合、運搬ユニットを案内するための基準位置で保持するために、運搬ユニットの横方向への基準位置からのずれを相殺する側方力を、固定子電流によって発生させる。
【0007】
多くの運搬装置では、複雑でインテリジェントな運搬装置の経路計画若しくは経路現実化を可能にするために、移行位置(例えば、両側の延在区間から片側の延在区間上の分岐器又は移行場所)も必要である。これまで、これらの移行位置は、しばしば追加の機械的なトリガーユニットを使用して実現されてきた。この一例は、可動性の方向転換アーム又はターンテーブルを用いて機械的に動作させるスイッチの形態で、特許文献3で見られる。
【0008】
しかし、分岐器を動作させることを実現するために、この追加の電気補助コイルが使用される運搬装置もすでに知られている。特許文献5では、補助コイルが例えば磁気案内回路の磁気ヨークに配置されているが、特許文献3での補助コイルは運搬経路に対して横に配置されている。両者の場合では、補助コイルによって磁気案内回路に磁束が印加され、この磁束が側方力を発生し、この側方力が運搬ユニットを一方向へ誘導する。しかし、追加的に必要とされる補助コイルによって、補助コイルが追加で設置され、且つ電気的に供給され、且つ制御されなければならないので、運搬装置の実施のための費用が増加する。加えて、運搬ユニットには、別々の案内磁石も必要である。
【0009】
特許文献6、特許文献9及び特許文献8では、追加の補助コイルが必要ない長固定子リニアモータの磁気作動分岐器が記載されている。この長固定子リニアモータの場合、運搬ユニットの励起磁石が両側に配置された駆動コイルの間に配置されている。分岐器の領域内には、駆動コイルの通電によって運搬経路の片側だけで側方力を発生することができ、所望の運搬経路上の分岐器に応じて運搬ユニットをさらに運動させるために、この側方力でもって、運搬ユニットを分岐器の領域内へ誘導することができる。この場合、分岐器を動作させることは、駆動コイルが、分岐器の領域内において、運搬ユニットが運動する運搬経路の側に対してのみアクティブになるようにすることである。他方の側の駆動コイルは無効にされる(特許文献6、特許文献7)、又は極性を反転させられる(特許文献7)。しかし、これは、ある種の問題をもたらす。制御するための分岐器の領域内で片側の駆動コイルだけ無効にさせると、運搬ユニットは、分岐器の領域内で推進力の半分を喪失し、それでもって、分岐器の領域内は低下した速度でしか通り抜けられないうことになる。分岐器の領域内では、運搬装置の制御のためには不都合であるが、運搬ユニットの渋滞になり得る。極性の反転が純粋に静的であり、ある一定の、所定の側方力をアクティブにすることができるか又は非アクティブにすることができる。したがって、極性の反転によって、分岐器の領域内で、ある一定の、所定の側方力を、設定することができる。分岐器走行での安全上の理由で側方力が大きすぎると、摩擦が増大し、摩耗が増大する。そのため、運搬装置は、機械的に適切な寸法にしなければならず、運搬装置がより大きく、より重く、そしてより高価になる。それとは別に、運搬ユニットの機械的な構成要素、特に機械的な案内要素の摩耗も増加する。他方、側方力を小さく選択した場合、これは、例えば積載した運搬ユニットが想定よりも重い場合に、分岐器走行の安全性を低下させる。それによって、長固定子リニアモータの運転のために、分岐器を動作させることのために極性の反転が、むしろ不都合でもある。
【0010】
長固定子リニアモータの駆動コイルで電磁気的に作動する分岐器を作動することが、特許文献9でもまた知られている。この場合、移行位置の移行領域には、片側の駆動コイルに固定子電流が印加され、操舵効果を発生するために、運搬ユニットに対して作用する推進力を形成するエネルギー成分を及び/又は側方力を形成するエネルギー成分を発生する。その際、この操舵力は、推進運動が働き、運搬ユニットに作用する推進力に重ね合わせられる。その上、いうまでもなく、推進力は、固定子電流によって発生するので、固定子電流は推進力と操舵効果を発生させる必要がある。しかし、駆動コイルに通電する長固定子リニアモータの出力部分は、ある最大電流しか供給できないなど、電力に制限がある。従って、利用可能電流が少なくとも移行領域内で、前進力の発生のために全てを使用することはできない。その上、推進力の急激な変化は望ましくない(加速度のジャンプ又は躍度のジャンプにつながる)から、移行領域外の推進力に利用可能な電流も制限される。それらは、この問題を改善するために、もちろん、大電流を可能にするために、出力部分の電力を増大することができる。しかし、長固定子リニアモータには、非常に多くの駆動コイルが組み込まれている以上は(領範囲内の数が100又は1000個の範囲内は稀ではない)、このようなハードウェア変更が長固定子リニアモータの全体のコストを明らかに増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2013/143783号
【文献】米国特許第6876107号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0074724号明細書
【文献】国際公開第2004/103792号
【文献】米国特許第6101952号
【文献】独国特許出願公開第1963505号明細書
【文献】国際公開第2015/036302号
【文献】国際公開第2015/042409号
【文献】欧州特許出願公開第3109998号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3251986号明細書
【非特許文献】
【0012】
【文献】Auch Khong, P.C., et al., “Magnetic Guidance of the Mover in a Long-Primary Linear Motor”, IEEE Transactions on Industry Applications, Vo.47, No.3, May/June 2011, S.1319-1327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の課題は、長固定子リニアモータの形態での運搬装置を提供することであり、駆動コイルの固定子電流を発生するために長固定子リニアモータの出力部分の利用可能な電力を、移行位置において、運搬ユニットの操縦のために、より適切に利用することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、この課題は、運搬ユニットの第一の側に操舵効果を発生するための移行領域内で、この第一の側に対して運搬ユニットと協力して動作する駆動コイルに、電磁側方力のみを発生させるか、又は運搬ユニットの運動方向に対して制動力のみを引き起こすか、又はそれらの組み合わせを引き起こす、固定子電流が印加されることで解決される。このようにして、この第一の側に対して運搬ユニットの操舵効果を発生するために、電磁推進力を発生するための電気的エネルギーを利用する必要はない。したがって、この第一の側に対して、駆動コイルを通電するための長固定子リニアモータの出力部分の利用可能な電力全体が、操舵効果の生成に流れ込むことができる。このようにして、全電気エネルギーを操舵効果の発生に流すことができ、及び運搬ユニットの安全な操舵を達成することができるので、操舵効果自体を増大することもできる。
【0015】
この場合、これら第二の側の駆動コイルに通電されないことによって、対向する第二の側に電磁側方力が発生されるか、又は電磁推進力が運動方向(又はその両方)に発生されるか、又はこの第二の面に力が発生しないかは関係ない。
【0016】
以下において、本発明を制限するものではない本発明の有利な実施形態を例示して模式的に図示する図1~5
を参照して、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】長固定子リニアモータ
の形
態の
運搬装置である。
【
図2】長固定子リニアモータの構造
的及び電気的な構
造である。
【
図3】長固定子リニアモータの
制御コンセプトである。
【
図4】
移行位置
で運搬ユニットを移行するための本発明における方法の第一の実施
形態である。
【
図5】
移行位置
で運搬ユニットを移行するのための本発明における方法の第二の実施
形態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、
運搬装置1が、長固定子リニアモータの形
態で
一例として示されている。
運搬装置1は、
運搬装置1のために並べて置かれている複数の
運搬区
間A1...A9から構成されて
いる。
このモジュール構造は、
運搬装置1の非常に
柔軟な設計を可能に
するが、
運搬装置1上を運動する運搬ユニットT1...Tn(明確にするために、図1ではすべての運搬ユニットに参照番号がマークされているわけではない)が、一つの運搬区間A1...A9から別の運搬区間A1...A9へ移行される複数の移行位置U1...U9でも必要とする。この場合
、nは、既存の運搬ユニットの数を表す指数である。
【0019】
搬送装置1は
、運搬区間A1...A9が、それ自体既知の方法で、それぞれ長固定子リニアモータの長固定子の一部を形成する長固定子リニアモータとして実
施されて
いる。
同様に、運搬区間A1...A9は、個々の
運搬セグメントTSから構成
することができること
が知られている。その
際、各
運搬セグメントTSはそれぞれ
複数の駆動コイルを
支持する。
したがって、運搬区間A1...A9に沿って、長手方向xに既知の方法で
、複数の電
気駆動コイ
ルが配置されており(
明確にするため
に、図1に
は図示しない)、
この電気駆動コイルが、運搬ユニットT1...Tn(
図3参照)の励起磁石
と協力して動作する。
同様に既知の方法では、各
運搬ユニットT1...Tnのための駆動コイル7,8の電
気固定子電流i
A
を制御
することによって
推進力F
vが発生
され、
この推進力F
vは
、運搬ユニットT1...Tnを長手方向xへ
運搬区間A1...A9に沿っ
て、
即ち運搬経路に沿っ
て運動
する。
この場合、各
運搬ユニットT1...Tnは、個々(速度,加速度,鉄道)
に及び
他の運搬ユニットT1...Tnから独立し
て(
ただし、衝突
を回避
するために)運動
することができる。長固定子リニアモータのこの
基本的な原則は十分に知られているので、ここではさらに詳しく
説明しない。
【0020】
運搬装置1の運搬経路に沿って、いくつかの移行位置U1...U10も配置させられている。これに関して、異なる種類の移行位置U1...U10が考えられる。移行位置U2またはU7では、例えば切り替え器が設けられており、他の運搬装置U1,U3・・・U6,U8,U9は、例えば一つの運搬区間A1・・・A8から他の運搬区間A1・・・A8への切り替え場所として実施されている。移行位置U10では、例えば移行部が、片側の運搬区間A2から両側の運搬区間A9に設けられている。移行位置U2(分岐器)では、運搬ユニットT6が、例えば運搬区間A2に対して又は運搬区間A3に対して別の運動をすることができる。移行位置U1(切り替え場所)では、運搬ユニットT5が、片側の運搬区間A1から片側の運搬区間A2に移行される。各移行位置Uは、もちろん、運搬ユニットTnから両方向へ通過することができる。
【0021】
基本的には運搬区間A1...A8の長手方向xによって与えられている運搬装置1の運搬経路に沿って、複数の作業ステーションS1…S4を配置することもでき、この作業ステーションS1…S4では、運搬ユニットT1…Tnと共に運搬する構成要素の操作が行われる。作業ステーションS1は、例えば、完成した構成要素が取り出され、並びに処理されるべき構成要素が運搬ユニットT1…Tnで移行される進入ステーション及び/又は退出ステーションとして実施することができる。作業ステーションS2…S4では、構成要素に対して任意の処理ステップを実行することができる。この場合、運搬ユニットT1…Tnは、作業ステーションS1…S4、例えば空の容器が満たされる充填ステーションで処理するために停止されすることができ、又は例えば構成要素が温度処理される温度管理ステーションにおいて、場合によっては作業ステーションS1の間とは異なる速度でも移動することができる。
【0022】
運搬装置1は、少なくとも二つの運搬区間Am,Anと、これら二つの運搬区間Am,Anが互いに接続する少なくとも一つの移行位置Uを備える。本発明における移行位置Uで実現することができるために、少なくとも移行位置Uの領域において、運動方向xで見た運搬ユニットTnの両側に駆動コイル7,8が設けられ、及び運搬ユニットTnの両側に励起磁石4,5が配置されているということが必要である。励起磁石4,5は、永久磁石として又は電磁石として実施され得る。
【0023】
長固定子リニアモータの特に好ましい形態
が、少なくとも
移行位置Uの
領域内
で、
図2を用いて説明される。
図2は、任意の一つの
運搬区間Am及び
その上を運動する一つの
運搬ユニットTnを
通る断面図を示す。一つの
運搬ユニットTnは
、例えば基体2及びそこに配置されている構成要素収容部3
から構成され
ており、
その際、構成要素収容部3は
、基本的には基体2の任意の
場所、特に
吊り下げる構成要素のための下
側にも配置
することができ、又は基体2の部分として
も実施することができる。基体2には
、(運動方向で見て)運搬ユニットT
nの両側に
、長固定子リニアモータの
複数の励起磁石4,5が配置されている。
運搬装置1の
運搬経路、若しくは
運搬区間Am、若しくは
運搬区間Amの
運搬セグメントTSmは、
長固定子リニアモータの駆動コイル7,8が配置されている固定
されてている案内構造
体6によって形成され
る。この場合、両側に配置されている励起磁石4,5を
有する基体2は、駆動コイル7,8の間に配置されている。
したがって、それぞれ少なくとも一つの励起磁石4,5は、
少なくとも一つの駆動コイル7,8(又は駆動コイル群)に対向して配置されており
、従って、
推進力F
vを発生するために駆動コイル7,8と協
力して動作する。
従って、
運搬ユニットTnは、案内構造6と
の間で、運搬経路に沿っ
て運動可能である。
もちろん、ローラ、ホイール、滑り面などのような案内要素9
(ここでは明確にするために図示しないか、又は表示されているだけ)は、
運搬経路に沿って運搬ユニットTnを案内するために、基体2に及び/又は構成要素収容部3にも、設置され得る。
この場合、
搬送ユニットTnの案内要素は、案内
するために
、例えば、案内要素9が案内構造6に支持され、そこで滑ってそれる又は転がることなどにより、固定されている案内構造6、またはその一部と協力して動作する。しかしながら、
運搬ユニットTnの案内は、少なくとも案内磁石を設けることによっても行うことができる。
【0024】
運搬ユニットTnを運動方向xへ前進させるために、
運搬ユニットTn
で励起磁石4,5と相互作用する電磁場を発生させるために、周知のように運搬ユニットTnの領域において両側の駆動コイル7,8に、固定子電流i
A1,i
A2が印加され
る。この場合、
異なる駆動コイル7,8には異なる固定子電流i
A1,i
A2も印加
することができる。
この場合、運搬ユニットTnの励起磁石4,5と協力して動作することができる駆動コイル7,8に
のみ固定子電流i
A1
,i
A2
を印加する
だけでも十分である。しかし、
運搬ユニットTnの運動のために、両側に配置されている駆動コイル7,8は、固定子電流i
Aの印加によって同時に通電される必要はない。
基本的には、運動するための運搬ユニットTn
に対して作用する
推進力F
vが、一方の側の駆動コイル7,8及び励起磁石4,5
によってのみ
運搬ユニットTnに
関連する側
に対して発生
すれば
、十分である。
大きな推進力Fvが必要とされる、運搬経路の
延在区間
、例えば、傾斜、重い負荷
の場合、又は
運搬ユニットTnの加
速領域内
では、駆動コイル7,8
が、例えば両側で通電
することができ(存在する場合、例えば、
図1の
運搬区間A9)、それ
によって推進力F
vは増
大することができる。同様に、特定の
運搬区間A
では案内構造6が片側
のみに実
施されていること、又は特定の
運搬区間A
では案内構造6が
それも両側で実
施されてい
るが、片
側のみに駆動コイル7,8
が装備されていることも考えられる。これは
図1にも示されており、
この図1では、両側の案内構造6
を有する延在区間及び片側の案内構造だけを有する
延在区間が
示されている。
【0025】
回転する電気モータと同様に、アクティブな駆動コイル7,8の個々の固定子電流は、周知のように、dq座標系に変換することができる。このdq座標系では、推進力を形成する電流成分(q成分)及び側方力を形成する電流成分(d成分)を含む電流空間ベクトルが得られる。一つの運搬ユニットの運動の為に、これに関して必要な、固定子電流i
A
の電流空間ベクトルが、dq座標系において、推進力を形成する電流成分(q成分)及び/又は側方力を形成する電流成分(d成分)を(例えば電流制御器で)算出し、次に、作用する駆動コイル7,8に適用すべき個々の固定子電流iA1,iA2
に変換される。この変換は、リニアモータに適合された既知のパーク変換によって実施することができる。運搬ユニットTnが運動するために、個々の固定子電流iA1,iA2によって発生した電磁場は、運搬経路に沿って移動し続ける必要があるので、運動方向xにおいて、他の駆動コイル7,8も常に運搬ユニットTnの運動のために通電しなければならない。
【0026】
従って、
運搬ユニットTnの運動のために
、現在作用している駆動コイル7,8の固定子電流i
A1,i
A2が調整される。こ
のために、それぞれの駆動コイル7,8は
、割り当てられている駆動コイル7,8の固定子電流i
A1
,i
A2
を調整したコイル
制御器が組み込まれて
いる。従って、駆動コイル7,8は、
例えば対応した電気電圧を駆動コイル7,8に印加することによって、互いに
独立して固定子電流i
A1,i
A2に通電
することができる。この
文脈では、シングルコイル制御
についても言及する。駆動コイル7,8
を個々
に調整
するための可能な制御概念が
図3に示されている。この実施例では、
運搬区間Anは、各々が
複数の駆動コイル7、8を有する複数の
運搬セグメントTSn、TSn+1から構成されている。
運搬セグメントTSnは、両側に駆動コイル7,8を有する両側セグメントであり、及び
運搬セグメントTSn+1は片側
のみに駆動コイル8を有する片側セグメントである。
各々の駆動コイル7,8は、
割り当てられている駆動コイル7,8に印加さ
れる固定子電流i
A1,i
A2を計算するコイル
制御器12が
割り当てられている。
必要な固定子電流i
A1,i
A2
が生成され、駆動コイル7,8に印加され
る出力部分は、明確
さのために図示
されていない。複数の駆動コイル7,8のコイル
制御器12は、セグメント制御ユニット11に組み
合わせることもできる。
その際、有利には、
運搬セグメントTSn,TSn+1の駆動コイル7,8のすべてのコイル
制御器12は
、割り当てられたセグメント制御ユニット11
に組み
合わせられる。従って、セグメント制御ユニット11は、例えば、
コイル制御器12がそれぞれソフトウェアとして実装されているコンピュータハードウェア
であってもよい。
しかし、当然のように、コイル
制御器12は
、別個のハードウェア及びソフトウェアとして実
施され得る。もちろん、個々のコイル
制御器12は、
他の任意
の方法
でセグメント制御ユニット11に
組み合わせられ得る。例えば、両側の駆動コイル7,8は、コイル制御
器12を有する各セグメント制御ユニット11
に又
はコイル制御
器12
全体に割り当て
ることができる。
【0027】
従って、延在区間、例えば運搬セグメントTSnにある運搬ユニットTnは、関係するコイル制御器12によって制御される。基本的には、コイル制御器12が関連する延在区間、例えば運搬セグメントTSnの駆動コイル7,8を、運搬ユニットTnが運搬セグメントTSに沿って所望の方法(速度、加速度)で生じた推進力Fvによって運動されるように制御することを意味する。運搬装置1による運搬ユニットTnの運動は、コイル制御器12と接続されている上位のシステム制御ユニット10で監視することができ及びあらかじめ設定することができる。システム制御ユニット10は、例えば位置基準値又は速度基準値(制御の目標値として)によって、運搬装置1を介して運搬ユニットTnの運動を制御する。次に、コイル制御器12は、目標値(例えば目標位置)と実際値(例えば実際の位置)の間の起こり得る誤差を調節する。シングルコイル制御器による長固定子リニアモータの運搬ユニットTnの運動のこのような制御は、例えば特許文献10から十分に知られているので、具体的な本発明の理解のために必要である範囲内でのみ後述する。
【0028】
駆動コイル7,8の固定子電流i
A1
,i
A2
を制御することによって、固定子電流i
A
の推進力を形成する電流構成要素iAq1,iAq2
(dq座標系内)、若しくは結果としてそこから生じる磁束ψ(磁束ψと固定子電流iAは同等に考慮されている)により、推進力Fv
を発生することができることが重要である。推進力Fvは、片側だけの駆動コイル7,8によって発生することができ、又は両側の駆動コイル7,8によって発生することができる。運搬ユニットTnの運動のために必要な推進力Fv
に加えて、固定子電流i
A
の側方力を形成する電流構成要素iAd1,iAd2
(dq座標系内)によって、駆動コイル7,8で、運動方向xに対して直交する横方向yに、運搬ユニットTnに対して作用する電磁側方力FEMS
を発生することもできる。この目的のために、例えば、運搬ユニットTnと協力して動作する駆動コイル7,8の内の一つは、推進力Fvを生じ、推進力を形成する電磁気力成分に加えて、その横方向、即ち横方向yの力成分を引き起こす固定子電流i
A1
,i
A2
が印加されている。本発明によれば、運搬ユニットTnに対して作用する操舵効果Lを発生させるため、運搬ユニットTnを所望の運搬区間An上に導くために、移行位置Uにおいて利用される。
【0029】
本発明の第一の実施
例は、二つの
運搬区間Am,Anの間に、例えば
図1の
移行位置U2のような分岐する
分岐器の形態で、
移行位置Uの実施例
で図4によって説明される。
上述したように、運搬区間Am,Anに沿って
、少なくとも
移行位置Uにおいて、駆動コイル7,8は運動方向に
相前後して配置されている。ここで
は、運搬区間Am,Anは、
第一の側に対して長手方向に
相前後して
続く運搬セグメントTSm1,TSm2,TSm3,TSm4,TSm5
、及び対向する第二
の側の運搬セグメントTSn1,TSn2、TSn3、TSn4から
成り、それぞれ複数の駆動コイル7,8を有する。
運搬区間Am,Anは、
移行位置U
の始点で、少なくとも分岐する区
間の始まりまで
は隣り合って配置されている。その結果、両側の駆動コイル7,8は、
それぞれ運搬装置Tnの両側で励起磁石4,5と協
力して動作することができる。それぞれの駆動コイル7,8は、
印加する固定子電流i
A1,i
A2
を算出するコイル制御
器12が割り当てられており、その際、
異なる駆動コイル7,8の固定子電流i
A1,i
A2
と同等である必要はなく、通常同等ではない。
特に、移行位置Uとして
分岐器の
場合、出
口(又は
進行方向が逆の場合
は入口)の分岐する領域に
延在区間が存在
し、
この延在区間には、
片側
にのみ案内構造6若しくは駆動コイル7,8を配置
することができる。
【0030】
励起磁気側方力FPMS1,FPMS2
は、運搬ユニットTnの励起磁石4,5と案内構造6の強磁性成分とが協力して動作することにより、運搬ユニットTnに対して2つの側に常に作用する。搬送ユニットTnの両側に作用する励起磁気側方力FPMS1,FPMS2が、通常(必ずしもそうではない)、同様のエアギャップ、両側の案内構造6の構造等々が同じ場合、大きさが等しく及び向きが逆であるので、作用する励起磁気側方力FPMS1,FPMS2のベクトルの和が好ましくはゼロである。
【0031】
ここで本発明は、運搬ユニットTnに操舵効果Lを印加するために、励磁磁石4,5によって引き起こされる、運搬ユニットTnと駆動コイル7,8または案内構造6との間の磁束ψ若しくは磁界が、少なくとも一つ駆動コイル7,8の固定子電流i
A1
,i
A2
を介して、少なくとも片側(横方向y)において特に影響を受けることに基づいている。
【0032】
本発明の第1の実施形態では、移行位置Uの移行領域、即ち運搬ユニットTnをとくに操舵する必要がある領域において、運搬ユニットTnの片側に、運搬ユニットTnと協力して動作するこの側の駆動コイル7,8に電磁側方力FEMSだけを発生する固定子電流iA1,iA2が印加される。したがって、この側では、一つの側方力を形成する電流成分iAd1,iAd2(dq座標系)のみが発生し、この側では、固定子電流iA1,iA2による推進力Fvは発生しない。一方、推進力FV2は、運搬ユニットTnの反対側に発生することができる。しかし、第二の側にも推進力FV2が発生しないように企図され得る。この場合、運搬ユニットTnはアクティブな駆動なしに、移行位置Uを通って運動方向xに案内することになる。移行位置Uは、通常一つの搬送ユニットTnによって数ミリ秒間で通過した後、片側上のみ、または両側に対して駆動力FVの瞬間的な経路切り替えが、運搬ユニットTnの運動においてほとんど目立たず且つ許容することができる。しかし、いずれの場合も、片側では推進力F
v
を発生させるための電流は不要であるので、利用可能な電流のすべてを操舵効果Lの発生に対して使用することができる。また、固定子電流iA1,iA2を介して第二の側に電磁側方力FEMSを発生することができるが、これは必ずしもそうである必要はない。
【0033】
側方力を生じさせる固定子電流iA1,iA2
を介して印加される電磁場の磁束成分ψdは、ここでは、作用する励起磁場を弱めたりするか又は強めたりする役割を果たす。従って、結果として生じる側方力F1,F
2
は、両側で運搬ユニットTnに作用し、この側方力は、運搬ユニットTnのそれぞれの側で作用する励起磁気側方力FPMS
と存在する場合は電磁側方力FEMS
の合計、即ち、F1=FPMS1+FEMS1及びF2=FPMS2+FEMS2である。次に、操舵効果Lは、結果として生じる側方力F1,F2のベクトルの和から生じる。固定子電流iA1,iA2
を介して、若しくは側方力を形成する電流成分iAd1,iAd2
を介して、発生した側方力FEMS1,FEMS2は、適切な方向と量で設定することができ、これによって操舵効果Lは適切に設定することができる。
【0034】
電磁側方力FEMSが必要とされない場合、例えば、移行位置Uの外側では、駆動コイル7,8に印加されている固定子電流iA1,iA2は、好ましくは結果として生じる側方力F1,F2のベクトルの和がゼロであるように制御されている。理想的な場合、電磁側方力FEMS1,FEMS2が同様にゼロであることを意味する。従って、すべての利用可能電気エネルギーは推進力Fvの発生に流れ込むことができるので、これらの領域において運搬ユニットTnの運動の最大効率を達成する。
【0035】
この時点で一応言及しておくと、簡単に磁化可能で消磁可能な永久磁石、例えばAlNiCo磁石もあり、例えば駆動コイルから発生される電磁場によって特に磁化することができる。例えば、このようにして、運搬ユニットTnに対する励起磁石4,5であるそのような永久磁石の極性を変化することができる、又は永久磁石の磁気張力を増加若しくは減少することができる。このようにして、操舵効果Lを発生させるために、励起磁気側方力FPMS1、FPMS2に選択的に影響を及ぼすことができる。
【0036】
従って、
移行位置Uを通る
運搬ユニットTnの
通り抜けは、
図4を
参照して
以下のように説明される。
移行位置Uの進入領域(
図4上)では、
固定子電流i
A1
,i
A2
が、結果として生じる側方力F
1,F
2ベクトルの和がゼロである
ように、好ましくは両側に印加される。この目的のために、電磁側方力F
EMS1,F
EMS2が発生しない
ことが企図され得る。従って、好ましくは励起磁石側方力F
PMS1、F
PMS2が低
減され、結果として生じる側方力F1、F2は、
移行位置Uの進入領域では、通常の場合に同じ大きさであり及び
互いに反対方向であり、したがってそれと同時に
打ち消し合う。しかしながら、固定子電流i
A1,i
A2は両側の駆動コイル7,8又は片側の駆動コイル7,8のみによって発生される前進力F
vを発生する。
【0037】
移行位置Uの
移行領域(
図4中央)では、
駆動コイル7,8に印加される固定子電流i
A1
,i
A2
が、励起磁
場の磁界強化又は磁界弱化によって
、結果として生じる側方力F
1,F
2
は、大きさが異なる運搬ユニットTnの両側で発生するように、変更される。図示された実施例では
、駆動コイル8
は、側方力F
EMS1
のみを発生するが、電磁推進力F
EMV1
は発生しない固定子電流i
A1
が、第一の側に通電される。この目的のために
、たとえば、
この側
の駆動コイル8
は、励起磁場を弱める固定子電流i
A1
が通電さ
れる。言い換えれば、第一の側の固定子電流i
A1
には、この側に作用する電磁気側方力F
EMS1
に反して向けられる電磁気側方力F
EMS1が発生され
る。
対向する第二の側では、作用する駆動コイル7に固定子電流i
A2が全く印加されず、それによって
運搬ユニットTnはこの場合
移行位置Uの
移行領域を通って
推進力F
vなし
で運動される。こ
の結果、第1の側では
、結果として第1側方力F
1=F
PMS1-F
EMS1となり、第2の側では
、結果として第2側方力F
2=F
PMS2>F
1となる。操舵
効果Lは(ここで
は所望の方向へ
の操舵力)、F
1とF
2との間の差異から生じる。結果として生じる操舵
効果Lは、
搬送区間Amに沿って示されている実施形態では
運搬ユニットTnを案内し、それによって
運搬ユニットTnは
移行位置Uの出口領域においてまっすぐ前方へさらに運動される(
図4下)。
運搬ユニットTnが
運搬区間A
nをさらに運動
しなければならない
場合には、
運搬ユニットTnをこの
運搬区間Anに
導く操舵
効果Lが
発生しなければならない(すなわち、F
1
>F
2
)。
【0038】
しかしながら、この側に作用する駆動コイル7の固定子電流iA2によって第2の側には、第2の電磁側方力FEMS2が発生することも可能である。この場合、好ましくは、運搬ユニットTnの同じ方向を向く二つの側に電磁側方力F
EMS1
,F
EMS2
が、発生される。その結果、一方側では励起磁気側方力FPMSが増幅され、他方側では弱められる。しかし、磁束ψを変更して、発生する電磁側方力FEMS1、FEMS2が、運搬ユニットTnの両側で異なる方向になるようにすることもできるが、その場合これらは部分的に相殺され、最終的には損失の増大だけを伴う。この場合、好ましくは、磁界弱化は運搬ユニットTnの側に対して、運搬ユニットTnさらに運動しない側、ここでは起動コイル8で発生する。好ましくは、磁界強化は、運搬ユニットTnがさらに運動しなければならない側、ここでは駆動コイル7で生じる。しかしながら、最終的には、所望の方向に操舵効果Lとして、結果として生じる側方力F1、F2の差異が両側に対して生じるということが重要である。同様に、この側に作用する駆動コイル7の固定子電流iA2によって第2の側に電磁駆動力FEMV2を発生させることが可能であり、これは電磁側方力FEMS2に加えて行うこともできる。これにより、移行領域において、運搬ユニットTnに対して、結果として生じる推進力Fv
がゼロになるか、作用する電磁推進力FEMV2(FV=FEMV2)に相当する。
【0039】
それにより、第一の側には、電磁側方力F
EMS1
しか発生しないので、必要に応じて励起磁石側方力FEPS1
を十分に強めたり又は弱めたりして、所望の方向、ここでは第一の側の方向に操舵効果Lを発生させるための電気エネルギーを十分に利用することができる。この側に対して追加の電磁推進力FEMV1が発生した場合、状況によっては不可能である。
【0040】
出口領域(
図4下)には、
運搬装置Amの駆動コイル7
で、
再び電磁推進力F
EMV2
を発生させることができ、これに沿って運搬ユニットTn
をさらに
駆動することができる。
運搬ユニットTnは所望の
延在区間に
安全に導かれるやいなや
、電磁側方力F
EMS1の発生が及び必要があれば
他方の側
に対する電磁側方力F
EMS2
の発生を再び
中止することができ、その場合には通常では一つの推進力Fvだけが必要であるためである。
【0041】
従って、移行位置の領域で固定子電流iA
を制御することによって二つの横方向の内の一つに操舵効果Lを生じることができ、運搬ユニットTnを所望の延在区間に沿って案内することができるのは明らかである。この場合、運搬ユニットTnの運動の各々の時点で、操舵効果Lの方向だけでなく、特にその操舵効果Lの大きさも設定することができる。この場合、この操舵効果Lは、移行位置Uを通った通過の場合、経時的に可変であることが可能で、及び各運搬ユニットTnもさらに現在の運動に適合することもできる。例えば、より重い荷物を積んだ運搬ユニットTn、又は素早く運動する運搬ユニットTnは、空の運搬ユニットTn、又は遅く運動する運搬ユニットTnよりも高い操舵効果Lを必要とすることがある。
【0042】
遅くとも、運搬ユニットTnが移行位置Uの移行領域に進入した場合、固定子電流iA1,iA2(若しくはdq座標系の側方力を形成する電流成分iAd1,iAd2)のアクティブな制御が、好ましくはその前に開始される。電磁側方力FEMS1,FEMS2は、固定子電流i
A1
,i
A2
によって、必要な操舵効果Lが所望の方向へ及び必要な量と形成されているように、常に移行領域で制御される。しかしながら、移行位置Uの全ての長さにわたって運搬領域Tnの定義した位置を確保するために、移行位置Uの全ての長さに沿って電磁側方力FEMS1,FEMS2
が、アクティブに制御されていることは同様に有利である。
【0043】
運搬ユニットTn
が移行位置Uから出ていくと(
図4下)、
同時に走行し
ていない
延在区間(ここでは
運搬装置An)と
運搬ユニットTnの間の
空隙が拡大する。それにより、
この
延在区間の励起磁石の側方力F
PMS2は大きく減少し、
運搬ユニットTnを所望の
延在区間(ここでは運搬装置Am)に沿っ
て案内
することを支持
する。特に、所望の
運搬区間Amに沿った出口領域に
おいて運搬ユニットTnが運動するために、励起磁石の側方力F
PMS2のこの削減は十分であ
り得る。従って、
移行位置Uの出口部の駆動コイル8は、電磁側方力F
EMS1を発生するために、加えて更にアクティブに調整
する必要はない。
【0044】
しかし、
移行位置Uは
、分岐器として実
施する必要がないのではなく
、一つの
運搬装置Amから他の
運搬装置A
nへの移行として、例えば
図1の
移行位置U1のように
、例えば
、両側の
運搬装置(両
側の駆動コイル)から
片側の
運搬装置(片
側の駆動コイル)
へ移行される
ので、実施することができる。
この場合、実
際には
、運搬区間Anの分
岐する分岐
部のみが省略される。しかし
、図4の
分岐器の実施例において上
述したように、
移行の基本的な経過を変更
するものではない。しかしこの場合、
運搬ユニットTnがさらに運動され
る側だけ
、電磁側方力F
EMS
をアクティブに制御することが有利であ
り得る。
【0045】
本発明における別の実施
形態は、
図5に基づいて、
移行位置Uとしての
分岐器の例で再び説明される。すでに詳細に記載されているように、
移行位置Uには、二つの
運搬区間Am,Anが
互いに合流する。駆動コイル7,8は、
運搬経路の両側に励起磁石4,5と協
力して動作して、
固定子電流i
A1
,i
A2
での通電によって、電磁
推進力F
EMV1,F
EMV2
を発生し、
この電磁推進力F
EMV1
,F
EMV2
は運搬ユニットTnの
総推進力F
v
(図5上)に加
算される。
即ち、F
V=F
EMV1+F
EMV2である。すでに言及したように
、電磁
推進力F
EMV1,F
EMV2
を、片側だけに発生
することもできる。加えて、これらの実施例には、
運動方向xへの電磁推進力F
EMV1
の発生が、少なくとも一つの第一の側の
移行位置U
(図5中央)の
移行領域内
で設定される。したがって、
反対側の電磁推進力F
EMV2
のみが、運動方向xにおける推進力F
v
として運搬ユニットTnに対して作用するか、又
はもう一方側
に対する電磁
推進力F
EMV2は発生
することができない。後者の場合には、
運搬ユニットTnが、
再び移行位置Uの
移行領域を、
運動方向xにアクティブな駆動なし
に通過する。第一の側
では、運搬ユニットTnと協
力して動作する駆動コイル8が、
この側に固定子電流i
A1を通電させ、固定子電流i
A1は、
運搬ユニットTnの運動方向x
に対してブレーキ力F
B
が生じるのみで、運動方向xには力成分が生じない。第二の側
に対する電磁
推進力F
EMV2によって及び第一の側
に対して対抗するブレーキ力F
Bによって、中心軸z
を中心
としての操舵
効果Lとして
、運搬ユニットTn上のモーメントが発生する。
移行位置Uの
移行領域
において、
第二の側に対して電磁
推進力F
EMV2が発生
しない
場合、運搬ユニットTn
の運動方向xへ
の運動に基づいて、運動方向xの方向に少なくとも一つの慣性
力F
Tが
運搬ユニットTnに対して作用することになる。その結果
、ブレーキ力F
Bと慣性
力F
T
で、操舵効果Lとしてのモーメントを同様に生じ
ることになる。そこで
このモーメントは、
運搬ユニットTn
を所望の運搬区間An,Amに沿って案内
するための操舵
効果Lとし
て使用
することもできる。
【0046】
移行位置の出口領域(
図5下)
では、ブレーキ力F
B
は、運動方向x
に対して再び
スイッチを切ることができ、及び
運搬ユニットTn
を、通常通り、片側のみで又
は両側
で駆動
することも企図することができる。
【0047】
操舵効果Lとしての側方力の方法と操舵効果Lとしてのモーメントの方法は、もちろん組み合わせることもできる。この場合、運搬ユニットTnの運動方向xに対する制動力と電磁側方力のみが第一の側に対して発生するが、運動方向xの力成分は発生しない。対向する第二の面には、必要量に応じて、電磁側方力FEMS2及び/又は電磁推進力FEMV2
を(運動方向xへ)発生することができる。しかしながら、第二の側では、運搬ユニットTnと協力して動作する駆動コイル8が通電し得ない、すなわち、固定子電流iA2はこれら駆動コイル8に印加されない。
【0048】
十分な操舵効果Lの適用は、いうまでもなくそれ自体、運搬ユニットTnの案内要素、例えばローラ、ホイール、すべり面、磁気軸受等々が、所望の運搬区間Am,Anで安全に作用するまでのみ必要である。それによって、運搬ユニットTnの定義された位置が確保され、次いで遅くとも操舵効果Lを適用するための駆動コイル7,8のアクティブな制御を終了することができる。
【0049】
電磁推進力FEMV1,FEMV2は、通常、位置基準値によって制御される。その目的で、位置制御器に実際の位置が設定されている。この実際の位置は、実際の位置と現在の目標の位置(適切な位置センサで把握することができる、又は他の測定量から導くことができる)との差異から、必要な推進力を形成する電流成分iAq1,iAq2
を計算する。同様に、速度制御を設けることもできる。ついで、これらの推進力を形成する電流成分iAq1,iAq2は、作用する駆動コイル7,8の固定子電流iA1,iA2に(又は同等のコイル電圧に)変換され、従って駆動コイル7,8は通電される。電磁側方力FEMS1,FEMS2の発生のために、目標の流束が設定される流束制御器が設置され得る。目標の流束と現在の磁束(これは例えば測定することができ、又は他の測定量から導くことができる)の差異から必要な側方力を形成する電流成分iAd1,iAd2
を計算することができ、次いでこの電力成分は、作用する駆動コイル7,8の固定子電流iA1,iA2に(又は同等のコイル電圧に)再び変換することができる。推進力を形成する電流成分iAq1,iAq2と側方力を形成する電流成分iAd1,iAd2
が同時に必要である場合、結果として生じる電流ベクトルを必要な固定子電流iA1,iA2に変換する。移行位置Uの移行領域内において、所望の側で所望の効果が生じる(一つの電磁側方力FEMS1
及び/又は一つのブレーキ力FB
のみ)ように、目標値(目標の流束及び/又は目標の位置)を設定しなければならない。選択的に、所望の作用を引き起こすために(一つの電磁側方力FEMS1だけ及び/又は一つのブレーキ力FBだけ)、位置制御器及び/又は流束制御器は所望の側で非動作状態にすることもでき、及び代わりに固定子電流iA1
を印加することもできる。