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特許7452981表示制御システム、作業機械、および表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】表示制御システム、作業機械、および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240312BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240312BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240312BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/26 B
B60R16/02 660K
G09G5/00 550B
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019201037
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021075848
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷重 聡
(72)【発明者】
【氏名】入江 純己
(72)【発明者】
【氏名】有松 大毅
(72)【発明者】
【氏名】島 洸一
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-191803(JP,A)
【文献】特開2014-146168(JP,A)
【文献】特開2015-202841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/26
B60R 16/02
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛星からの衛星信号に基づいて位置情報を取得するGNSSコントローラと、制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記GNSSコントローラから前記位置情報を受信するGNSS受付部と、
前記位置情報に基づいて、作業機械のガイダンス情報を表示するための信号を生成する表示信号生成部と、
電源オフ信号を受信する電源信号受付部と、
前記電源オフ信号を受信してから所定時間内に電源オン信号を受信した場合、前記GNSSコントローラの電源をオフするための信号を出力する処理と、自装置をシャットダウンする処理とを行うシャットダウン処理を実行せず、前記電源オフ信号を受信してから所定時間内に電源オン信号を受信しない場合、前記電源オフ信号を受信してから前記所定時間が経過した後に、前記GNSSコントローラの電源をオフするための信号を出力する処理と、前記自装置をシャットダウンする処理とを行うシャットダウン処理を行うシャットダウン処理部と、
を備える表示制御システム。
【請求項2】
前記電源信号受付部は、電源オン信号を受信し、
前記シャットダウン処理部は、前記所定時間が経過する前に前記電源オン信号が受信された場合には、前記GNSSコントローラの電源をオフするための信号を出力する処理と、前記自装置をシャットダウンする処理とを禁止する、
請求項1に記載の表示制御システム。
【請求項3】
前記所定時間の経過中において、前記ガイダンス情報の表示に関する操作を受け付け可能とする操作受付部を備える
請求項1または請求項2に記載の表示制御システム。
【請求項4】
前記所定時間の経過中において、前記ガイダンス情報を表示している場合に、警告を表示するための信号を生成する警告部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示制御システム。
【請求項5】
前記所定時間を変更する設定変更部を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示制御システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示制御システムを備える
作業機械。
【請求項7】
制御装置が、複数の衛星からの衛星信号に基づいて位置情報を取得するGNSSコントローラから前記位置情報を受信するステップと、
前記制御装置が、前記位置情報に基づいて、作業機械のガイダンス情報を表示するための信号を生成するステップと、
前記制御装置が、電源オフ信号を受信するステップと、
前記電源オフ信号を受信してから所定時間内に電源オン信号を受信した場合、前記GNSSコントローラの電源をオフするための信号を出力する処理と、自装置をシャットダウンする処理とを行うシャットダウン処理を実行せず、前記電源オフ信号を受信してから所定時間内に電源オン信号を受信しない場合、前記電源オフ信号を受信してから前記所定時間が経過した後に、前記GNSSコントローラの電源をオフするための信号を出力する処理と、前記自装置をシャットダウンする処理とを行うシャットダウン処理を行うステップと、
を有する表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御システム、作業機械、および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モニタ画面表示を可能としつつ、タッチパネル上での誤操作入力を防止できる作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015―202841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械の運転席等に取り付けられて、当該作業機械の状態を表示することでオペレータの運転を支援可能な表示制御装置が知られている。通常、この表示制御装置は、作業機械のキーオン、即ちエンジンの起動とともに電源が投入されて起動し、作業機械のキーオフ、即ちエンジンの停止とともに電源オフとなる。
【0005】
一例として、表示制御装置は、自身が立ち上がった後、GNSSコントローラの立ち上げを行う構成となっている場合がある。GNSSコントローラは、衛星信号に基づいて、作業機械のグローバルな位置を取得するための装置である。
通常、GNSSコントローラは、起動直後に、多数の衛星から信号を受信して初期化を行う。この初期化には、衛星信号の受信状態によっては数分程度の時間がかかる場合がある。
【0006】
例えば、現場周辺にいる他の作業者と会話する際などは、作業機械のオペレータは、一時的に作業機械をキーオフする。このような場合、キーオフ操作に応じて、作業機械ばかりでなく表示制御装置およびGNSSコントローラも電源オフとなる。そうすると、会話が済んだ後、すぐにキーオン操作を行ったとしても、表示制御装置、GNSSコントローラの起動、および、GNSSコントローラの初期化が実行されるため、モニタが通常処理の表示をすることができるまでに時間を要してしまう。
【0007】
上記のような課題に対し、作業機械のキーオフ操作とは無関係に、表示制御装置に対して独立して電源オフ操作を行うようにすることも考えられる。しかし、そうすると、一日の作業を終えたオペレータが、作業機械のエンジンを停止させた後、表示制御装置の電源を落とすことを失念した場合に、表示制御装置の電源がつきっぱなしになってしまい、作業機械のバッテリーを消耗してしまうという課題がある。
【0008】
上述の課題に鑑みて、本開示は、一時的な作業機械のキーオフの後、再度キーオンした場合に、直ちに通常処理時のモニタ表示をすることができる表示制御システム、作業機械、および表示制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、表示制御システムは、GNSSコントローラから位置情報を受信するGNSS受付部と、前記位置情報に基づいて、作業機械のガイダンス情報を表示するための信号を生成する表示信号生成部と、電源オフ信号を受信する電源信号受付部と、電源オフ信号を受信してから所定時間が経過した後にシャットダウン処理を行うシャットダウン処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、一時的な作業機械のキーオフの後、再度キーオンした場合に、直ちに通常処理時のモニタ表示をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る作業機械の全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る作業機械の運転室の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る電源に関する信号の流れを説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る電源に関する信号の流れを説明するための図であって、図3で示した一部構成をより詳細に説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係るICTモニタに表示されるガイダンス情報の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係るICTモニタの機能構成を示す図である。
図7】第1の実施形態に係るICTモニタの処理フローを示す図である。
図8】第1の実施形態に係るICTモニタに表示されるガイダンス情報の例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係るICTモニタに表示されるガイダンス設定メニューの例を示す図である。
図10】第1の実施形態に係る設定変更部の機能を説明するための図である。
図11】他の実施形態に係るICTモニタの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図1から図10を参照しながら、第1の実施形態に係る表示制御システムおよびこれを備える作業機械について詳しく説明する。
【0013】
(作業機械の構造)
図1は、第1の実施形態に係る作業機械の構造を示す図である。
油圧ショベルである作業機械1は、作業現場等において土砂などを掘削、整地する。
図1に示すように、油圧ショベルである作業機械1は、走行するための下部走行体11と、下部走行体11の上部に設置され、鉛直方向の軸線周りに旋回可能な上部旋回体12とを有してなる。また、上部旋回体12には、運転室12A、作業機12B、及び、2つのGNSSアンテナN1、N2が設けられている。
【0014】
下部走行体11は、左側履帯CLと、右側履帯CRとを有する。作業機械1は、左側履帯CL及び右側履帯CRの回転により前進、旋回、後進する。
【0015】
運転室12Aは、作業機械1のオペレータが搭乗し、操作、操縦を行う場所である。運転室12Aは、例えば、上部旋回体12の前端部左側部分に設置される。作業機械1の運転室12Aには、ICTモニタ2が搭載されている。ICTモニタ2は、表示制御装置の一例である。
【0016】
作業機12Bは、ブームBM、アームAR及びバケットBKからなる。ブームBMは、上部旋回体12の前端部に装着される。また、ブームBMにはアームARが取り付けられる。また、アームARにはバケットBKが取り付けられる。また、上部旋回体12とブームBMとの間にはブームシリンダSL1が取り付けられる。ブームシリンダSL1を駆動することで上部旋回体12に対しブームBMを動作することができる。ブームBMとアームARとの間にはアームシリンダSL2が取り付けられる。アームシリンダSL2を駆動することで、ブームBMに対しアームARを動作することができる。アームARとバケットBKとの間にはバケットシリンダSL3が取り付けられる。バケットシリンダSL3を駆動することでアームARに対しバケットBKが動作することができる。
油圧ショベルである作業機械1が具備する上述の上部旋回体12、ブームBM、アームAR及びバケットBKは、作業機械1の可動部の一態様である。
【0017】
なお、本実施形態に係る作業機械1は、上述の構成を備えるものとして説明したが、他の実施形態においては、作業機械1は必ずしも上述の構成の全てを備えていなくともよい。
【0018】
(運転室の構成)
図2は、第1の実施形態に係る作業機械の運転室の構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、運転室12Aには、操作レバーL1、L2と、フットペダルF1、F2と、走行レバーR1、R2と、が設けられている。
操作レバーL1及び操作レバーL2は、運転室12A内のシートSTの左右に配置される。また、フットペダルF1及びフットペダルF2は、運転室12A内、シートSTの前方、床面に配置される。
【0020】
運転室前方に向かって左側に配置される操作レバーL1は、上部旋回体12の旋回動作、及び、アームARの掘削/ダンプ動作を行うための操作機構である。また、運転室前方に向かって右側に配置される操作レバーL2は、バケットBKの掘削/ダンプ動作、及び、ブームBMの上げ/下げ動作を行うための操作機構である。
【0021】
また、走行レバーR1、R2は、下部走行体11の動作制御、すなわち作業機械1の走行制御を行うための操作機構である。運転室前方に向かって左側に配置される走行レバーR1は、下部走行体11の左側履帯CLの回転駆動に対応する。運転室前方に向かって右側に配置される走行レバーR2は、下部走行体11の右側履帯CRの回転駆動に対応する。なお、フットペダルF1、F2は、それぞれ、走行レバーR1、R2と連動しており、フットペダルF1、F2によって、走行制御することもできる。
【0022】
シートSTの右側には、車体キーKが設けられている。オペレータは、車体キーKを通じて、キーオン操作及びキーオフ操作を行う。
【0023】
ICTモニタ2は、運転室前方に向かって前方右側に設置される。以下、ICTモニタ2の機能について詳細に説明する。なお、他の実施形態においては、ICTモニタ2は、運転室前方に向かって前方左側等に設置されてもよい。
【0024】
(電源に関する信号の流れ)
図3図4は、第1の実施形態に係る電源に関する信号の流れを説明するための図である。図4は、図3で示した一部構成をより詳細に説明するための図である。
また、図5は、第1の実施形態に係るICTモニタに表示されるガイダンス情報の例を示す図である。
【0025】
図3に示すように、作業機械1は、ICTモニタ2と、ICT/Sコントローラ3と、GNSSコントローラ4と、電源5と、マルチモニタ6と、ポンプコントローラ7と、エンジンコントローラ8と、W/Eコントローラ9とを備えている。
【0026】
ICTモニタ2は、作業機械1のオペレータに対し、ガイダンス情報を提供する。ガイダンス情報とは、車体の動作状態(後述)、作業機械1の設計面における位置および方位、バケットBKの刃先の位置などを視覚的に表した情報である。車体の動作状態とは、例えば、作業機械1の姿勢、上部旋回体12の旋回位置、ブームBM、アームAR、バケットBKの姿勢角度等である。車体の動作状態は、作業機械1の姿勢、上部旋回体12の旋回位置、ブームBM、アームAR、バケットBKの姿勢角度のいずれか、または任意の組み合わせからなる情報であってもよい。ICTモニタ2は、ICT/Sコントローラ3から受信した車体の動作状態と、GNSSコントローラ4から受信した位置情報、および方位情報とに基づいてガイダンス情報を生成し、モニタ22に出力する。
【0027】
なお、他の実施形態に係る作業機械1においては、車体の動作状態を用いずにガイダンス情報を生成することも可能である。また、他の実施形態に係る作業機械1においては、車体の方位情報を用いずにガイダンス情報を生成することも可能である。
ガイダンス情報の表示画面の例を図5に示す。
【0028】
ICT/Sコントローラ3は、シリンダストロークセンサS1および慣性計測ユニット(inertial measurement unit;IMU)S2から各種情報を取得し、作業機械1の車体の動作状態を演算する。ここで、各種情報とは、具体的には、シリンダストロークセンサS1から得られる各シリンダの伸長度、並びに、慣性計測ユニットS2から得られる加速度および角速度である。なお、ICT/Sコントローラ3は、車体コントローラの一例である。
【0029】
シリンダストロークセンサS1は、図1に示したブームシリンダSL1、アームシリンダSL2及びバケットシリンダSL3の各シリンダに取り付けられ、当該各シリンダの伸長度を計測可能とする。また、慣性計測ユニットS2は、作業機械1の上部旋回体12、作業機12B各所に設置され、当該設置個所における加速度および角速度を計測可能とする。
【0030】
ICT/Sコントローラ3は、シリンダストロークセンサS1から取得した各シリンダの伸長度に基づいて、作業機12Bの姿勢角を演算する。また、ICT/Sコントローラ3は、慣性計測ユニットS2から取得した加速度、角速度に基づいて、ピッチ角、旋回角などの車体傾斜角度を演算する。以下、ICT/Sコントローラ3が演算する上記の各種情報を総称して、車体の動作状態と表記する。
【0031】
ICT/Sコントローラ3は、車体の動作状態の演算結果を、ICTモニタ2およびW/Eコントローラ9(後述)に送信する。
【0032】
GNSSコントローラ4は、GNSSアンテナN1、N2より受信した衛星信号に基づいて、当該アンテナN1、N2それぞれのグローバル座標系における絶対位置を取得する。GNSSコントローラ4は、この2つのアンテナN1、N2の絶対位置に基づいて作業機械1のグローバル座標系における絶対位置を示す位置情報を取得する。例えば、GNSSコントローラ4は、2つのアンテナN1、N2の絶対位置の中間位置を、作業機械1の絶対位置として算出する。
【0033】
また、GNSSコントローラ4は、2つのGNSSアンテナN1、N2の相対的位置関係に基づいて、作業機械1のグローバル座標系における方位を算出する。例えば、GNSSコントローラ4は、2つのGNSSアンテナN1、N2の絶対位置を結ぶ直線を算出し、当該算出した直線と、予め定められた基準方位とがなす角度に基づいて、作業機械1の方位を算出する。
【0034】
GNSSコントローラ4は、作業機械1の絶対位置を示す位置情報、および、作業機械1の方位を示す方位情報をICTモニタ2に送信する。なお、他の実施形態においては、GNSSコントローラ4は、アンテナN1、N2の絶対位置をICTモニタ2に送信し、この2つの絶対位置に基づいて、ICTモニタ2が作業機械1の絶対位置及び方位を算出する態様としてもよい。
【0035】
また、他の実施形態において作業機械1に方位センサが搭載されている場合には、ICTモニタ2は、当該方位センサを通じて方位情報を取得する態様であってもよい。
【0036】
GNSSアンテナN1、N2には、GNSSコントローラ4から所定の動作電圧が供給される。
【0037】
マルチモニタ6は、燃料レベルや冷却水温度などの状態を示す各種計器類を表示するモニタである。
【0038】
ポンプコントローラ7は、油圧ポンプの出力を制御する。油圧ポンプは、エンジンと機械的に連結し、当該エンジンの駆動によって駆動して、ブームシリンダSL1等の油圧機器に作動油を吐出する。
【0039】
エンジンコントローラ8は、エンジンへの燃料供給量を調整して、エンジンの出力を制御する。
【0040】
W/Eコントローラ9は、ICT/Sコントローラ3から車体の動作状態を取得して、作業機械1の車体の制御を行う。例えば、W/Eコントローラ9は、ICT/Sコントローラ3から取得した車体の動作状態から、バケットBKの刃先先端と目標設計面との距離を演算し、当該距離に応じた介入指令を出力するようにしてもよい。介入指令とは、例えば、刃先先端が目標設計面に近づくほど作業機の移動速度を低減させる等の指令である。また、その他の車体の制御を行うようにしてもよい。なお、他の実施形態においては、作業機械1の車体の制御を行わないようにしてもよい。
【0041】
なお、ICT/Sコントローラ3とW/Eコントローラ9とは、一体に構成されていてもよい。また、ICTモニタ2とマルチモニタ6とは、一体に構成されていてもよい。なお、ICT/Sコントローラ3とW/Eコントローラ9とが、一体に構成されるコントローラは、車体コントローラの一例である。
【0042】
電源5は、作業機械1の常時電源として搭載されたバッテリーである。電源5は、電源線VBおよびグランド線GNDを通じて、上述した各コントローラに、例えば24Vの直流電源電圧を供給する。
【0043】
図3に示すように、車体キーKがキーオンされると、当該車体キーKからICT/Sコントローラ3、マルチモニタ6、ポンプコントローラ7、エンジンコントローラ8およびW/Eコントローラ9のそれぞれに電源オン信号ACCが送信される構成となっている。この電源オン信号ACCを受信すると、各コントローラは、電源5から供給される直流電源電圧に基づいて、起動を開始する。
【0044】
また、ICTモニタ2には、起動が完了したICT/Sコントローラ3からの電源オン信号SIG1が入力される。このICT/Sコントローラ3からの電源オン信号SIG1が入力されると、ICTモニタ2は、電源5から供給される直流電源電圧に基づいて、起動を開始する。
【0045】
また、電源5とGNSSコントローラ4とを接続する電源線VBにはリレーRが挿入されている。このリレーRには、起動が完了したICTモニタ2からの電源オン信号SIG2が入力される。このリレーRに電源オン信号SIG2が入力されると、リレーRがオンとなって電源5とGNSSコントローラ4との間の接続を有効にする。これにより、GNSSコントローラ4は、電源5からの直流電源電圧に基づいて、起動を開始する。つまり、GNSSコントローラ4は、ICTモニタ2からの電源オン信号SIG2をきっかけに起動する。
【0046】
図4は、ICT/Sコントローラ3およびICTモニタ2の内部構成の一部を示している。図4に示すように、ICT/Sコントローラ3は、内部にスイッチSW3、電源回路PS3、制御部C3およびORゲートG3を有する。同様に、ICTモニタ2は、内部にスイッチSW2、電源回路PS2、制御部C2およびORゲートG2を有する。
【0047】
まず、ICT/Sコントローラ3の内部構成について説明する。
車体キーKのキーオン操作に伴い生成される電源オン信号ACCは、ICT/Sコントローラ3のORゲートG3を介して、スイッチSW3に入力される。スイッチSW3は、電源オン信号ACCの入力に応じてONとなる。これにより、電源回路PS3が電源線VBに接続され、当該電源回路PS3に電源5からの直流電源電圧が供給されるようになる。電源回路PS3は、電源5からの直流電源電圧を適切な電源電圧に変換して、制御部C3に入力する。これにより制御部C3が起動する。この制御部C3は、例えば、ICT/Sコントローラ3の主要な処理を行うCPU等である。
【0048】
制御部C3は、起動中、自己電源オン信号SIG_C3をオンにし、ORゲートG3に入力している。このようにすることで、オペレータのキーオフ操作に伴い突如電源オフ信号ACCが送信されたとしても、直ちに制御部C3への電源供給が遮断されてしまうことを防止できる。ORゲートG3はいわゆる自己保持回路であって、制御部C3の電源オフに伴い、メモリのデータを不揮発性メモリに転送するための時間を確保するために利用される。
なお、ORゲートG3、スイッチSW3は、トランジスタなどのディスクリート部品から実現される。
【0049】
なお、マルチモニタ6、ポンプコントローラ7、エンジンコントローラ8及びW/Eコントローラ9は、ICT/Sコントローラ3と同様の電源回路、自己保持回路等を有する。
【0050】
次に、ICTモニタ2の内部構成について説明する。
ICT/Sコントローラ3からの電源オン信号SIG1は、ICTモニタ2のORゲートG2を介して、スイッチSW2に入力される。スイッチSW2は、電源オン信号SIG1の入力に応じてONとなる。これにより、電源回路PS2が電源線VBに接続され、当該電源回路PS2に電源5からの直流電源電圧が供給されるようになる。電源回路PS2は、電源5からの直流電源電圧を適切な電源電圧に変換して、制御部C2に入力する。これにより制御部C2が起動する。
【0051】
この制御部C2は、例えば、ICTモニタ2の主要な処理を行うCPU等である。制御部C2は、起動中、自己電源オン信号SIG_C2をORゲートG2に入力している。このようにすることで、ICT/Sコントローラ3からの突如電源オフ信号SIG1が送信されたとしても、直ちに制御部C2への電源供給が遮断されてしまうことを防止できる。ORゲートG2はいわゆる自己保持回路であって、制御部C2の電源オフに伴い、メモリのデータを不揮発性メモリに転送するための時間を確保するために利用される。
なお、ORゲートG2、スイッチSW2は、トランジスタなどのディスクリート部品から実現される。
【0052】
(キーオン操作後の流れ)
図3図4を参照しながら、キーオン操作後の流れについて詳しく説明する。
まず、作業機械1が停止している状態で、オペレータにより車体キーKがキーオンされると、作業機械1のエンジンが作動する。これと同時に、車体キーKからICT/Sコントローラ3、マルチモニタ6、ポンプコントローラ7、エンジンコントローラ8及びW/Eコントローラ9に向けて一斉に電源オン信号ACCが送信される。
【0053】
ICT/Sコントローラ3は、車体キーKから電源オン信号ACCを受信すると、スイッチSW3がオンとなり、電源5から供給される直流電源電圧に基づいて起動する。起動が完了すると、ICT/Sコントローラ3の制御部C3は、ICTモニタ2に対し電源オン信号SIG1を送信する。その後、ICT/Sコントローラ3の制御部C3は、定常的に行う動作として、シリンダストロークセンサS1および慣性計測ユニットS2を通じて車体の動作状態を取得し、ICTモニタ2に送信する。
【0054】
ICTモニタ2は、ICT/Sコントローラ3から電源オン信号SIG1を受信すると、スイッチSW2がオンとなり、電源5から供給される直流電源電圧に基づいて起動する。起動が完了すると、ICTモニタ2の制御部C2は、リレーRに向けて電源オン信号SIG2を送信する。そうすると、リレーRがオンになり、GNSSコントローラ4が電源線VBに接続される。これにより、GNSSコントローラ4は、電源5から供給される直流電源電圧に基づいて起動する。
【0055】
GNSSコントローラ4の起動が完了すると、ICTモニタ2は、GNSSコントローラ4から位置情報および方位情報を取得できるようになる。ICTモニタ2は、GNSSコントローラ4から受信する位置情報、方位情報、および、ICT/Sコントローラ3から受信する車体の動作状態に基づいてガイダンス情報を生成し、モニタに表示する。
【0056】
GNSSコントローラ4は、起動が完了すると、初期化を行う。その後、GNSSコントローラ4は、衛星信号に基づいて位置情報および方位情報を取得し、ICTモニタ2に送信する。
【0057】
(キーオフ操作後の流れ)
次に、キーオフ操作後の流れについて詳しく説明する。
作業機械1が起動している状態で、オペレータにより車体キーKがキーオフされると、作業機械1のエンジンが停止する。これと同時に、車体キーKからICT/Sコントローラ3に電源オフ信号ACCが送信される。
【0058】
ICT/Sコントローラ3は、車体キーKから電源オフ信号ACCを受信すると、シャットダウン処理を行い、所定期間後に電源オフする。また、ICT/Sコントローラ3の制御部C3は、電源オフとなる前に、ICTモニタ2に対し電源オフ信号SIG1を送信する。なお、ICT/Sコントローラ3が電源オフとなった場合、ICTモニタ2には動作状態が送信されなくなる。つまり、ICTモニタ2において、車体の動作状態が更新されなくなる。また、設計面と刃先位置との距離を示す表示がブランク、または更新されないようにしてもよい。
【0059】
ICTモニタ2に入力された電源オフ信号SIG1は、ICTモニタ2内部の制御部C2が受信する。
ICTモニタ2内部の制御部C2は、ICT/Sコントローラ3から電源オフ信号SIG1を受信すると、当該電源オフ信号SIG1を受信した時点から所定時間が経過した後、シャットダウン処理を行い、電源オフする。また、制御部C2は、ICT/Sコントローラ3から電源オフ信号SIG1を受信すると、当該電源オフ信号SIG1の受信時刻から所定時間経過した後に電源オフ信号SIG2を出力する。これらの処理の詳細については後述する。
【0060】
GNSSコントローラ4は、ICTモニタ2から電源オフ信号SIG2を受信すると、シャットダウン処理を行い、所定期間後に電源オフする。
【0061】
(ICTモニタ2の機能構成)
図6は、第1の実施形態に係るICTモニタ2の機能構成を示す図である。
図6に示すように、ICTモニタ2は、CPU20と、メモリ21と、モニタ22と、タッチセンサ23と、通信インタフェース24と、ストレージ25とを備えている。なお、CPU20は、FPGA、GPU等、これに類するものであれば如何なる態様のものであってもよい。
【0062】
CPU20は、ICTモニタ2の動作全体の制御を司るプロセッサである。CPU20が有する各種機能については後述する。
【0063】
メモリ21は、いわゆる主記憶装置である。メモリ21には、CPU20がプログラムに基づいて動作するために必要な命令及びデータが展開される。
【0064】
モニタ22は、情報を視認可能に表示可能な一つのディスプレイパネルであって、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。モニタ22には、ガイダンス情報が表示される。
【0065】
タッチセンサ23は、モニタ22と一体に形成され、当該モニタ22に表示された画像の位置を指定可能な入力デバイスである。なお、他の実施形態に係るICTモニタ2は、例えばマウスやキーボードなど、タッチセンサ23に相当する他の入力デバイスを具備する態様であってもよい。
【0066】
通信インタフェース24は、及び外部サーバとの間で通信するための通信インタフェースである。
【0067】
ストレージ25は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0068】
次に、CPU20が有する機能について詳しく説明する。CPU20は、所定のプログラムに基づいて動作することで、GNSS受付部200、電源信号受付部201、シャットダウン処理部202、操作受付部203、設定変更部204、警告部205および表示信号生成部206としての機能を発揮する。
なお、上記所定のプログラムは、ICTモニタ2に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ25に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、ICTモニタ2は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0069】
GNSS受付部200は、GNSSコントローラ4から位置情報、および方位情報を取得する。
【0070】
電源信号受付部201は、ICT/Sコントローラ3から電源オン信号SIG1及び電源オフ信号SIG1を受信する。
【0071】
シャットダウン処理部202は、電源オフ信号SIG1を受信してから所定時間が経過した後にシャットダウン処理を行う。例えば、シャットダウン処理部202は、ICT/Sコントローラ3から受信した電源オフ信号SIG1に応じて、GNSSコントローラ4に向けて電源オフ信号SIG2を送信する。また、電源オフ信号SIG1に応じて、ICTモニタ2の電源をオフする。特に、シャットダウン処理部202は、ICT/Sコントローラ3から電源オフ信号SIG1を受信した場合、当該受信時刻から所定時間経過した後に電源オフ信号SIG2を送信するようにしてもよい。また、当該受信時刻から所定時間経過した後にORゲートG2の出力や、電源回路PS2の出力をオフにすることでICTモニタ2の電源をオフするようにしてもよい。
【0072】
操作受付部203は、タッチセンサ23を通じて、オペレータからのタッチ操作を受け付ける。本実施形態に係る操作受付部203は、上記所定時間の経過中において、ガイダンス情報の表示に関する操作を受け付け可能とする。
【0073】
設定変更部204は、オペレータの操作に基づいて、上記所定時間を変更する。
【0074】
警告部205は、ICT/Sコントローラ3の電源がオフしている場合に、オペレータに向けて警告を行う。
【0075】
表示信号生成部206は、モニタ22に表示すべき映像を示す表示信号を生成する。
【0076】
また、CPU20は、タイマ機能を有する電源オフタイマTMを内蔵している。この電源オフタイマTMは、プログラムに従って動作するCPU20がその機能を発揮するソフトウェアの態様であってもよいし、論理回路などで構成されたハードウェアの態様であってもよい。また、他の実施形態においては、電源オフタイマTMは、CPU20の外部に設置される態様であってもよい。
【0077】
(ICTモニタの処理フロー)
図7は、第1の実施形態に係るICTモニタの処理フローを示す図である。
図7に示す処理フローは、オペレータによってキーオン操作がなされる前の段階、即ち、電源オフ状態から実行される。
【0078】
まず、電源オフ状態にあるICTモニタ2は、ICT/Sコントローラ3からの電源オン信号SIG1を待ち受けている(ステップS01)。
【0079】
ICT/Sコントローラ3から電源オン信号SIG1を受信したとき(ステップS01;YES)、ICTモニタ2は、起動処理を行う(ステップS02)。ステップS02の起動処理において、ICTモニタ2は、GNSSコントローラ4に対し電源オン信号SIG2を送信する。これにより、GNSSコントローラ4も起動を開始する。
【0080】
起動処理が完了すると、起動中の通常処理を実行する(ステップS03)。起動中の通常処理とは、ICTモニタ2がガイダンス情報(図5)をオペレータに提供する処理全般である。例えば、ICTモニタ2は、作業機械1の動作に応じて時々刻々と変化する位置情報や車体の動作状態に基づいてガイダンス情報の表示画面を更新する。また、ICTモニタ2の操作受付部203は、タッチセンサ23を介して受け付けたオペレータの、ガイダンス情報の表示に関するタッチ操作に基づいて、ガイダンス情報の表示様式の変更、画面分割数の変更、背景色の変更などを行う。なお、例えば、作業機械1の位置を表示する画面、作業機械1の位置の時系列を示す画面等のGNSSコントローラ4の位置情報に基づいて表示する画面も、ガイダンス情報である。
【0081】
なお、ICTモニタ2が上記のようなステップS03の処理を実行できるのは、GNSSコントローラ4から定常的に位置情報および方位情報を受信できるようになってからである。したがって、ICTモニタ2は、起動処理(ステップS02)において、GNSSコントローラ4の初期化が完了するまで待機する。
【0082】
ICTモニタ2のシャットダウン処理部202は、ICT/Sコントローラ3から電源オフ信号SIG1を受信したか否かを判定する(ステップS04)。
ICT/Sコントローラ3から電源オフ信号SIG1を受信していない場合(ステップS04;NO)、ICTモニタ2は、ステップS03に戻り、起動中の処理を繰り返し実行する。
【0083】
ICT/Sコントローラ3から電源オフ信号SIG1を受信した場合(ステップS04;YES)、シャットダウン処理部202は、電源オフ信号SIG1を受信してから所定時間後に電源オフとする設定(以下、所定時間後電源オフ設定とも記載する。)が有効となっているか否かを判定する(ステップS05)。
【0084】
所定時間後電源オフ設定が無効となっていた場合(ステップS05;NO)、シャットダウン処理部202は、ICTモニタ2を即時電源オフとすべく、ステップS10のシャットダウン処理に移行する。
【0085】
所定時間後電源オフ設定が有効となっていた場合(ステップS05;YES)、シャットダウン処理部202は、ICTモニタ2を所定時間経過後に電源オフとすべく、電源オフタイマTMのカウントを開始する(ステップS06)。
【0086】
シャットダウン処理部202は、電源オフタイマTMをカウントアップする(ステップS07)。
【0087】
また、ICTモニタ2は、電源オフタイマTMのカウントアップ中においても、ステップS03における起動中の通常処理とほぼ同等の処理を実行する(ステップS03a)。ただし、この時点では、上位装置であるICT/Sコントローラ3の電源はオフとなっているため、その点において、ステップS03とは異なる処理となる。このステップS03aにおける処理の詳細については後述する。
【0088】
シャットダウン処理部202は、ICT/Sコントローラ3から電源オン信号SIG1を受信したか否かを判定する(ステップS08)。
【0089】
ICT/Sコントローラ3から電源オン信号SIG1を受信していない場合(ステップS08;NO)、次に、シャットダウン処理部202は、電源オフタイマTMのカウントが所定時間に到達したか否かを判定する(ステップS09)。
【0090】
電源オフタイマTMのカウントが所定時間に到達していない場合(ステップS09;NO)、シャットダウン処理部202は、ステップS07に戻り、電源オフタイマTMのカウントアップを継続する。
【0091】
電源オフタイマTMのカウントが所定時間に到達した場合(ステップS09;YES)、シャットダウン処理部202は、ICTモニタ2を電源オフすべく、シャットダウン処理を実行する(ステップS10)。このシャットダウン処理において、ICTモニタ2は、GNSSコントローラ4に向けて電源オフ信号SIG2を送信する。これにより、GNSSコントローラ4も、電源オフされる。
【0092】
他方、電源オフタイマTMのカウントアップ中において、ICT/Sコントローラ3から電源オン信号SIG1を受信した場合(ステップS08;YES)、シャットダウン処理部202は、電源オフタイマのカウントをリセットし(ステップS11)、ステップS03の処理に戻る。つまり、シャットダウン処理を実行せずに、シャットダウン処理を禁止することができる。ここで、GNSSコントローラ4の初期化を再度行わなくて済むため、ICTモニタ2は、通常処理ができるまでに要する時間を短縮することができる。
【0093】
なお、上述の処理フローでは、電源オフタイマTMをカウントアップさせる方式にて所定時間の計測を行う態様を説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。上記所定時間の計測においては、電源オフタイマTMをカウントダウンさせる方式であってもよいし、その他、よく知られている時間計測の方式が適用され得る。
【0094】
なお、図7を用いて説明した各処理フローのうちステップS01、ステップS02、ステップS05~S07、ステップS03a、ステップS11は、必須の構成ではなく、他の実施形態においてはこのようなステップを具備しないものであってもよい。
【0095】
(ICT/Sコントローラが電源オフ状態にある場合におけるICTモニタの処理)
図8は、第1の実施形態に係るICTモニタに表示されるガイダンス情報の例を示す図である。また、図9は、第1の実施形態に係るICTモニタに表示されるガイダンス設定メニューの例を示す図である。
【0096】
ステップS03aにおける起動中の通常処理では、ステップS03における起動中の通常処理とは異なり、ICT/Sコントローラ3のシャットダウン処理後、所定時間後に電源がオフする。したがって、ステップS03aでは、ICTモニタ2は、ICT/Sコントローラ3の電源オフ後は、ICT/Sコントローラ3から車体の動作状態を受信しない。そのため、ICTモニタ2では、ICT/Sコントローラ3から最後に受信した車体の動作状態から更新されなくなる。この場合、ICTモニタ2は、ICT/Sコントローラ3から最後に受信した車体の動作状態に基づくガイダンス情報の表示画面を維持する。
【0097】
ICT/Sコントローラ3の電源がオフしている場合、ICTモニタ2の警告部205は、モニタ22に警告表示Kを表示する。例えば、図8に示すように、この警告表示Kは、ガイダンス情報の表示画面に重畳するように表示される。警告表示Kは、例えば、ガイダンス情報が表示されている間のみに表示され、たとえば図9に示すようなガイダンス設定メニューなど、ガイダンス情報以外の表示画面が表示されている場合には表示されない態様であってもよい。また、別の実施形態では、警告表示Kは、全ての表示画面に共通に表示される態様であってもよい。
【0098】
更に別の実施形態では、警告部205による警告の態様は、モニタ22での警告表示Kの表示に限られず、例えば、スピーカーへの警告音の再生、または、これらの組み合わせであってもよい。
【0099】
なお、ICTモニタ2の操作受付部203は、ICT/Sコントローラ3の電源がオフしているステップS03aにおいても、ステップS03と同様に、オペレータからの入力操作を受け付ける。例えば、操作受付部203は、ステップS03aにおいて、タッチセンサ23を介して受け付けたオペレータのタッチ操作に基づいて、図9に示すようなガイダンス設定メニューの表示のほか、ガイダンス情報の表示様式の変更、画面分割数の変更、背景色の変更などを行う。
【0100】
このように、操作受付部203は、上記所定時間の経過中においても、ガイダンス情報の表示に関する操作を受け付け可能とする。なお、上記所定時間の経過中において、ICT/Sコントローラから受信する車体の動作状態に基づいて生成される情報を表示する画面を表示する場合において、該情報をブランク表示してもよい。また、上記所定時間の経過中において、バケットの交換画面や設定画面の表示を禁止するようにしてもよい。
【0101】
(設定変更部の機能)
図10は、第1の実施形態に係る設定変更部の機能を説明するための図である。
ICTモニタ2の設定変更部204は、ステップS03またはステップS03aの通常処理中においてオペレータから所定の操作を受け付けた場合に、図10に示すようなメニュー画面を表示する。メニュー画面には、キーオフ操作を受け付けてからICTモニタ2の電源がオフするまでの時間を指定するための設定入力フォームMが表示されている。図10に示す例では、設定変更部204は、“Immediately”、“1 hour later”、“5 hour later”の3項目から選択可能とする。“1 hour later”、“5 hour later”のいずれかの入力を受け付けた場合、設定変更部204は、図7のステップS09の判定に用いる所定時間を、それぞれ1時間または5時間に設定する。“Immediately”の入力を受け付けた場合、設定変更部204は、所定時間後電源オフ設定を無効にする。これにより、図7のステップS05ではNOの判定となり、キーオフ操作を受け付けた後、シャットダウン処理に移行する。なお、ステップS03aにおいて、所定時間を設定した場合、電源オフタイマTMのカウント時間を設定した所定時間に更新するようにしてもよい。
また、設定変更部204による上記所定時間の変更処理は、オペレータの操作に基づくものではなく、ソフトウェア制御などにより自動的に行われる場合があってもよい。
【0102】
(作用、効果)
以上の通り、第1の実施形態に係るICTモニタ2は、GNSSコントローラから位置情報および方位情報を受け付けるGNSS受付部200と、電源オン信号SIG1および電源オフ信号SIG1を受信する電源信号受付部201と、電源オフ信号SIG1を受信してから所定時間が経過した後にシャットダウン処理を行うシャットダウン処理部202と、を備える。
このような構成によれば、一時的な作業機械のキーオフの後、再度キーオンした場合に、ICTモニタ2の表示が維持される。これにより、ICTモニタ2は、直ちに通常処理時のモニタ表示をすることができる。
【0103】
(他の実施形態)
図11は、他の実施形態に係るICTモニタの動作例を示す図である。
第1の実施形態に係るICTモニタ2の操作受付部203は、電源オフタイマTMによる所定時間の経過中、つまり、ICT/Sコントローラ3の電源がオフとなっている間、ガイダンス情報の表示に関する操作を受け付け可能とするものとして説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限られることはない。
【0104】
他の実施形態に係る操作受付部203は、例えば、上記所定時間の経過中、つまり、ICT/Sコントローラ3の電源がオフとなっている間、ガイダンス情報の表示に関する操作を受け付けないものとしてもよい。この場合において、更に、ICTモニタ2は、例えば、図11に示すようなスタンバイ画面を表示するようにしてもよい。このようにすることで、オペレータに対し、ガイダンス情報の表示に関する操作を受け付けないことを視覚的に認識させることができる。
【0105】
また、スタンバイ画面では、即時電源オフボタンBが表示されていてもよい。この即時電源オフボタンBのタッチを受け付けた場合、ICTモニタ2は、電源オフタイマTMによる所定時間の経過を待つことなく直ちにシャットダウン処理に移行してもよい。
【0106】
上述したICTモニタ2の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0107】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル、又は差分プログラム等であってもよい。
【0108】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された開示とその均等の範囲に含まれる。
【0109】
上述した実施形態では、作業機械1は、油圧ショベルとして説明したが、他の実施形態においては、ダンプトラック、ホイールローダ、ブルドーザなど種々の作業機械に適用可能である。
【0110】
また、上述した実施形態では、1台のICTモニタ2が作業機械1に設置されるものとして説明したが、他の実施形態においては、ICTモニタ2の一部の構成を他の表示制御装置に配置し、2台以上の表示制御装置からなる表示制御システムによって実現されてもよい。なお、上述の実施形態にかかるICTモニタ2も表示制御システムの一例である。
【0111】
また、上述した実施形態に係るICTモニタ2は、作業機械に設置されるものとして説明したが、他の実施形態においては、ICTモニタ2の一部、または全部の構成が作業機械の外部に設置されてもよい。
【0112】
また、上述した実施形態に係るICTモニタ2は、モニタを有し、当該モニタに表示画面を表示させるが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係るICTモニタ2は、モニタ22を備えないものであって、ICTモニタ2とは別体のモニタに表示画像を表示させる信号を送信するものであってよい。
また、他の実施形態に係るICTモニタ2は、ICTモニタ2とは別体のモニタと、第1の実施形態に係るICTモニタ2の構成の一部ずつを備える2台以上の表示制御装置とからなるシステムから実現されてもよい。
【0113】
また、上述した実施形態では、モニタが作業機械に設置されるものとして説明したが、他の実施形態においては、モニタが作業機械の外に設置されるものであってもよい。例えば、作業現場から離れた地点にモニタを儲け、ICTモニタ2は、モニタに表示画面を表示させる信号をインターネットなどのネットワークや無線通信を介して送信するものであってよい。
【0114】
また、上述した実施形態では、ICTモニタ2がシャットダウン処理するものとして説明したが、他の実施形態においては、ICTモニタ2の電源信号受付部201、シャットダウン処理部202、設定変更部204等の構成を、ICT/Sコントローラ3やエンジンコントローラ8等の他のコントローラに備え、他のコントローラによってシャットダウン処理するものであってよい。シャットダウン処理は、GNSSコントローラ4のみをシャットダウンするものであってもよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、シャットダウン処理部202は、所定時間経過した後に電源オフ信号SIG2を送信してGNSSコントローラ4を電源オフするものとして説明したが、他の実施形態においては、GNSSコントローラ4の上流側にある電源や内部信号をオフにすることでGNSSコントローラ4を電源オフしてもよい。例えば、電源回路PS2、電源回路PS3、スイッチSW2、スイッチSW3、又は電源5等の出力をオフにすることで、GNSSコントローラ4を電源オフしてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、シャットダウン処理部202は、所定時間経過した後にORゲートG2の出力や、電源回路PS2の出力をオフすることで、ICTモニタ2の電源をオフするものとして説明したが、他の実施形態においては、ICTモニタ2の上流側にある電源や内部信号をオフにすることでICTモニタ2を電源オフしてもよい。例えば、電源回路PS3、電源5、スイッチSW3等の出力をオフすることでICTモニタ2を電源オフしてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 作業機械、2 ICTモニタ、20 CPU、200 GNSS受付部、201 電源信号受付部、202 シャットダウン処理部、203 操作受付部、204 設定変更部、205 警告部、206 表示信号生成部、21 メモリ、22 モニタ、23 タッチセンサ、24 通信インタフェース、25 ストレージ、3 ICT/Sコントローラ、4 GNSSコントローラ、5 電源、6 マルチモニタ、7 ポンプコントローラ、8 エンジンコントローラ、9 W/Eコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11