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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】送風機および洗濯機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20240312BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F04D29/44 V
D06F58/02 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019213939
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085347
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和寛
(72)【発明者】
【氏名】本多 武史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡凜
(72)【発明者】
【氏名】川村 圭三
(72)【発明者】
【氏名】藁谷 二郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 道太
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-334798(JP,A)
【文献】特開2018-080653(JP,A)
【文献】特表2018-514691(JP,A)
【文献】特開2019-100286(JP,A)
【文献】特開2019-167871(JP,A)
【文献】特許第011044(JP,C1)
【文献】特開昭59-074395(JP,A)
【文献】実開昭55-036946(JP,U)
【文献】特開平08-321571(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110552899(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、
前記電動機に回転自在に設けられる回転軸と、
前記回転軸に設けられる羽根車と、
前記羽根車の軸方向の前記電動機が設置される側の面と対向して設けられる底板の外周縁部に形成されるディフューザ外側底面部と、
前記羽根車の下流に設けられ、前記ディフューザ外側底面部の前記軸方向の当該羽根車が設置される側の上面に周方向に配置されたベーンによって構成されるディフューザ流路と、
前記ディフューザ流路の下流に、当該ディフューザ流路に対して前記ディフューザ外側底面部の背面側に設けられるスクロール流路と、を備え、
前記スクロール流路の舌部を基準として、前記ベーンの長さが前記羽根車の回転方向に向かうにつれて変化し、
前記スクロール流路の出口には、前記ディフューザ流路と前記スクロール流路とを接続する連通路を有さないディフューザ流路が少なくとも一つ存在することを特徴とする送風機。
【請求項2】
電動機と、
前記電動機に回転自在に設けられる回転軸と、
前記回転軸に設けられる羽根車と、
前記羽根車の軸方向の前記電動機が設置される側の面と対向して設けられる底板の外周縁部に形成されるディフューザ外側底面部と、
前記羽根車の下流に設けられ、前記ディフューザ外側底面部の前記軸方向の当該羽根車が設置される側の上面に周方向に配置されたベーンによって構成されるディフューザ流路と、
前記ディフューザ流路の下流に、当該ディフューザ流路に対して前記ディフューザ外側底面部の背面側に設けられるスクロール流路と、を備え、
前記スクロール流路の舌部を基準として、前記ベーンの長さが前記羽根車の回転方向に向かうにつれて変化し、
前記ディフューザ流路を形成するハブ壁面が、前記スクロール流路の出口部より外側まで延長して形成されていることを特徴とする送風機。
【請求項3】
電動機と、
前記電動機に回転自在に設けられる回転軸と、
前記回転軸に設けられる羽根車と、
前記羽根車の軸方向の前記電動機が設置される側の面と対向して設けられる底板の外周縁部に形成されるディフューザ外側底面部と、
前記羽根車の下流に設けられ、前記ディフューザ外側底面部の前記軸方向の当該羽根車が設置される側の上面に周方向に配置されたベーンによって構成されるディフューザ流路と、
前記ディフューザ流路の下流に、当該ディフューザ流路に対して前記ディフューザ外側底面部の背面側に設けられるスクロール流路と、を備え、
前記羽根車の回転中心と前記スクロール流路の舌部とを結ぶ直線を0°とした場合、前記ベーンの長さが前記羽根車の回転方向を正として、90°の位置、180°の位置、270°の位置の少なくとも1箇所の位置において異なり、
前記スクロール流路の出口には、前記ディフューザ流路と前記スクロール流路とを接続する連通路を有さないディフューザ流路が少なくとも一つ存在することを特徴とする送風機。
【請求項4】
電動機と、
前記電動機に回転自在に設けられる回転軸と、
前記回転軸に設けられる羽根車と、
前記羽根車の軸方向の前記電動機が設置される側の面と対向して設けられる底板の外周縁部に形成されるディフューザ外側底面部と、
前記羽根車の下流に設けられ、前記ディフューザ外側底面部の前記軸方向の当該羽根車が設置される側の上面に周方向に配置されたベーンによって構成されるディフューザ流路と、
前記ディフューザ流路の下流に、当該ディフューザ流路に対して前記ディフューザ外側底面部の背面側に設けられるスクロール流路と、を備え、
前記羽根車の回転中心と前記スクロール流路の舌部とを結ぶ直線を0°とした場合、前記ベーンの長さが前記羽根車の回転方向を正として、90°の位置、180°の位置、270°の位置の少なくとも1箇所の位置において異なり、
前記ディフューザ流路を形成するハブ壁面が、前記スクロール流路の出口部より外側まで延長して形成されていることを特徴とする送風機。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の送風機において、
前記舌部を基準位置として、前記ベーンの周方向の長さが前記羽根車の回転方向に向けて大きくなることを特徴とする送風機。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の送風機において、
前記ベーンの長さは、0°の位置≦90°の位置≦180°の位置<270°の位置の関係を満たすことを特徴とする送風機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の送風機において、
前記ディフューザ流路と前記スクロール流路とを接続する連通路の断面積が前記羽根車の回転方向に向けて変化することを特徴とする送風機。
【請求項8】
請求項7に記載の送風機において、
前記ディフューザ流路と前記スクロール流路とを接続する連通路の断面積が前記羽根車の回転方向に向けて大きくなることを特徴とする送風機。
【請求項9】
請求項2または請求項4に記載の送風機において、
前記ハブ壁面には、前記ベーンを延長したベーン延長部が形成されていることを特徴とする送風機。
【請求項10】
請求項2、請求項4または請求項9に記載の送風機において、
前記ハブ壁面には、前記ベーンとは逆側の面に前記スクロール流路から前記出口部の外側に向けてガイドベーンが形成されていることを特徴とする送風機。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の送風機を備えたことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機およびこれを備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
送風機は、電動機によって羽根車を回転させて、空気の流れを作り出す。送風機の吸込口から流入した空気は、羽根車で昇圧および増速され、静止流路で減速されることによって、流入した空気のもつ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され圧力が上昇する。高効率な送風機を得るには、良好な圧力回復を行う静止流路が重要である。静止流路を持つ送風機として、特許文献1に記載されているものがある。この特許文献1には、羽根車の回転軸とディフューザの中心軸とが異なるようにした構成の送風機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-202102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の送風機は、ディフューザ下流に設けられたスクロールの影響でディフューザ内において周方向に生じた圧力分布による圧力回復率の低下すなわち効率の低下を抑えるために、ディフューザの中心軸を羽根車の回転軸に対してずらすことを特徴としている。これにより、ディフューザによる圧力回復率を周方向に変化させ、スクロールに起因する圧力分布と相殺させることにより、周方向圧力分布の均一化を図り、高効率化を実現している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された送風機では、ディフューザによる最大の圧力回復率は周方向に均一なディフューザベーンの長さによってほぼ決定される。この場合、送風機を小型化すると、ディフューザベーンの長さも周方向に均等に短くなり、圧力回復率が低下する。このため、小型化と高効率化の両立が困難であった。
【0006】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、小型化と高効率化の両立が可能な送風機およびこれを備えた洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電動機と、前記電動機に回転自在に設けられる回転軸と、前記回転軸に設けられる羽根車と、前記羽根車の軸方向の前記電動機が設置される側の面と対向して設けられる底板の外周縁部に形成されるディフューザ外側底面部と、前記羽根車の下流に設けられ、前記ディフューザ外側底面部の前記軸方向の当該羽根車が設置される側の上面に周方向に配置されたベーンによって構成されるディフューザ流路と、前記ディフューザ流路の下流に、当該ディフューザ流路に対して前記ディフューザ外側底面部の背面側に設けられるスクロール流路と、を備え、前記スクロール流路の舌部を基準として、前記ベーンの長さが前記羽根車の回転方向に向かうにつれて変化し、前記スクロール流路の出口には、前記ディフューザ流路と前記スクロール流路とを接続する連通路を有さないディフューザ流路が少なくとも一つ存在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化と高効率化の両立が可能な送風機およびこれを備えた洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の送風機が搭載された洗濯機を示す縦断面図である。
図2】第1実施形態の送風機を示す外観斜視図である。
図3】ファンカバー側から見たときの送風機の分解斜視図ある。
図4】電動機側から見たときの送風機の分解斜視図である。
図5】従来のディフューザの平面図である。
図6】従来のディフューザを搭載した送風機の平面図である。
図7】従来のディフューザによって形成される連通路を示す模式図である。
図8】第1実施形態のディフューザの平面図である。
図9】第1実施形態のディフューザを搭載した送風機の平面図である。
図10】第1実施形態のディフューザによって形成される連通路を示す模式図である。
図11】第2実施形態のディフューザを搭載した送風機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の送風機が搭載される洗濯機を示す縦断面図である。なお、以下では、縦型洗濯乾燥機を例に挙げて説明するが、前面側に洗濯物の出し入れ口が形成されたドラム式洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0011】
図1に示すように、洗濯機Sは、筐体である外枠1、洗濯水を貯留する外槽2、回転槽3、駆動モータ10、送風機22などを備える。外槽2は、外枠1内に内蔵されるとともに外枠1に防振支持されている。回転槽3は、洗浄、乾燥される衣類などの洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽であり、外槽2の内部に設けられている。また、回転槽3は、外槽2内に回転自在に支持される。
【0012】
回転槽3の底部には、洗濯物を撹拌して洗う攪拌翼4が回動自在に設けられている。この攪拌翼4は、洗濯運転時および乾燥運転時に、正転/逆転を繰り返す動作が行われる。また、攪拌翼4は、脱水運転時に、回転槽3と一緒に高速回転し、回転槽3内の洗濯物に含まれる水分を脱水するようになっている。
【0013】
駆動モータ10は、外枠1内に設けられ、攪拌翼4および回転槽3の回転駆動を行う。また、駆動モータ10は、例えばDCブラシレスモータが使用される。DCブラシレスモータは、ベクトル制御によって行われる。なお、本実施形態では、駆動モータ10により、攪拌翼4および回転槽3を直接回転駆動しているが、ベルトなど(図示せず)を用いて駆動してもよい。
【0014】
また、外枠1の上部には、外蓋5が設けられている。この外蓋5は、外枠1の上部に設けられたトップカバー6に開閉自在に設けられている。外槽2の上部には、内蓋34が開閉自在に設けられている。外蓋5および内蓋34を開くことで、回転槽3に対して洗濯物の出し入れを行うことができる。
【0015】
また、外枠1内には、トップカバー6の背面側に、給水ユニット7が設けられている。この給水ユニット7は、内部に複数の水路を有する給水ボックス(図示せず)を有し、給水ホース接続口8からの水道水や風呂水を外槽2に供給する。また、トップカバー6の前側には、洗剤、仕上剤の投入装置35が設けられている。洗剤、仕上剤は、投入ホース36により、外槽2と回転槽3の間に注がれる。
【0016】
また、洗濯機Sは、乾燥機構9を備えている。この乾燥機構9は、回転槽3内の洗濯物を乾燥する乾燥用空気の循環送風や除湿を行う。また、乾燥機構9は、大部分が乾燥用空気循環路で占められる。乾燥用空気循環路は、外槽2の底部に連通するように接続される底部循環路20、底部循環路20から上向きに延びる除湿用縦通路21を備える。
【0017】
送風機22の吸込側は、除湿用縦通路21の上側に接続される。送風機22の排出側は、戻り接続循環路25と連通するように接続されている。また、送風機22と除湿用縦通路21の間には乾燥フィルタ45が配置され、送風機22に異物が流入しないようになっている。なお、送風機22の詳細については後述する。
【0018】
戻り接続循環路25は、上部蛇腹ホース23を有し、この上部蛇腹ホース23を介して外槽2の上部に連通するように接続される。底部循環路20も下部蛇腹ホース26を有し、この下部蛇腹ホース26を介して外槽2の底部に連通するように接続される。
【0019】
下部蛇腹ホース26は、外槽2の底落込部31に接続される。この底落込部31は、下部連通管41を介して洗濯水排水路42と洗濯水循環水路43に連通する。洗濯水排水路42には排水弁44が設けられている。洗濯水循環水路43には異物除去トラップ32が設けられている。
【0020】
排水弁44は、洗濯運転時や乾燥運転時には閉じられている。また、排水弁44は、洗濯水を排水する排水時に開いて、外槽2に溜まっている洗濯水やすすぎ水を、洗濯水排水路42から洗濯機Sの外部(機外)に排出する。
【0021】
洗濯水循環水路43は、洗濯水循環水縦水路46に接続される。この洗濯水循環水縦水路46は、外槽2の外側面に沿って上昇して回転槽3の上側まで延び、回転槽3の上側に設けられている洗濯糸屑除去装置33に連通するように接続される。
【0022】
外槽2に溜まる洗濯水やすすぎ水は、洗濯水循環水縦水路46を流れて洗濯糸屑除去装置33から回転槽3に散布するように注がれる。この散布注水が続くなかで洗濯やすすぎが行われるので、少ない水量で洗濯、すすぎが行われる。
【0023】
また、洗濯機Sは、外槽2に溜まる洗濯水やすすぎ水の水位を検知する水位センサ47を備えている。外槽2の底部近傍にはエアートラップ50が設けられている。このエアートラップ50に連通するようにエアーチューブ49が接続されている。このエアーチューブ49の上端には水位センサ47が連通するように接続される。外槽2内の水位変動を水位センサ47が感知して水位検知が行われる。
【0024】
また、洗濯機Sでは、送風機22の遠心羽根車300(図2参照)が回転することによって乾燥用空気が回転槽3内を流通し、回転槽3内の洗濯物を乾燥させる。また、送風機22の電気ヒータ24(図3参照)によって、除湿領域で水分が凝縮された乾燥用空気が再加熱されて回転槽3を流れるので、洗濯物の水分をさらに蒸発させる。この水分除去が乾燥用空気の循環で繰り返されることにより洗濯物が乾燥される。
【0025】
図2は、第1実施形態の送風機を示す外観斜視図である。
図2に示すように、送風機22は、ファンカバー51、ファンケーシング52、電動機100、遠心羽根車300、ディフューザ400(図3参照)、電気ヒータ24(図3参照)を備えて構成されている。なお、送風機22を洗濯機S(図1参照)に搭載する場合には、例えば、送風機22のファンカバー51が略下向きとなるようにして外枠1(図1参照)内に設置される。
【0026】
ファンカバー51には、吸込口57と排出口58が形成されている。吸込口57は、乾燥フィルタ45(図1参照)を介して除湿用縦通路21(図1参照)に接続される。排出口58は、乾燥用空気循環路の戻り接続循環路25(図1参照)に接続される。
【0027】
図3は、ファンカバー側から見たときの送風機の分解斜視図である。
図3に示すように、ファンカバー51は、一方向に細長い形状を有し、長手方向の一方に吸込口57が形成され、長手方向の他方に排出口58が形成されている。吸込口57は、円形状の貫通孔であり、遠心羽根車300の吸込開口302の中央と対向する。排出口58は、円形状の貫通孔であり、電気ヒータ24の下流側に位置している。また、排出口58の直径は、吸込口57の直径よりも大きく形成されている。また、吸込口57と排出口58は、略同じ方向を向いて形成されている。
【0028】
また、ファンカバー51は、吸込口57の周囲に、円環状の突出部51aが軸方向Axに突出して形成されている。なお、軸方向Axとは、電動機100の回転軸101が延びる方向を意味する。また、ファンカバー51は、電気ヒータ24が設けられる位置に略矩形状の突出部51bが形成されている。
【0029】
また、ファンカバー51の周縁部には、ファンケーシング52とねじ固定されるねじ固定部91が複数箇所に形成されている。
【0030】
ファンケーシング52は、ファンカバー51に対応する形状を有している。ファンケーシング52とファンカバー51とを組み合わせたときに、ファンカバー51とファンケーシング52との間に、遠心羽根車300、ディフューザ400および電気ヒータ24が配置される空間が形成されるように構成されている。
【0031】
また、ファンケーシング52は、ディフューザ400が配置される背面(下面)側にスクロール流路70が形成されている。このスクロール流路70は、舌端部71側の流路幅が狭く形成され、舌端部71から時計回り方向に向けて流路幅が徐々に広くなるように構成されている。なお、舌端部71は、スクロール流路70の開始点である。また、スクロール流路70の出口は、ケーシング吐出口59である(斜線部参照)。
【0032】
また、ファンケーシング52は、スクロール流路70から電気ヒータ24に空気を導入する導入路72aが形成されている。電気ヒータ24は、多数のフィンを備え、スクロール流路70から流出し、導入路72aを通過した空気を加熱する。導入路72aは、電気ヒータ24に向けて流路幅が広がるように構成されている。詳述すると、導入路72aは、電気ヒータ24の加熱部分24aの幅と略同一の幅に広がるように構成されている。また、ファンカバー51の導入路72b(図4参照)についても、導入路72aと同様に下流に向けて流路幅が広がるように構成されている。ファンケーシング52とファンカバー51とを組み合わせることで、電気ヒータ24の矩形状の加熱部分24aに沿った形状の導入路72(図2参照)が形成される。
【0033】
また、ファンケーシング52は、電気ヒータ24の下流側に、ファンカバー51の排出口58に連通する凹形状の流路77が形成されている。また、流路77は、排出口58に向けて傾斜するように、斜め上向きとなるように構成されている。
【0034】
また、ファンケーシング52は、電気ヒータ24の加熱部分から外れた位置が空気の流れの邪魔にならないように、幅方向に突出する形状を有している。
【0035】
また、ファンケーシング52には、スクロール流路70の中心に、電動機100の回転軸101が挿入される軸挿入孔80が形成されている。また、ファンケーシング52の外周縁部には、ファンカバー51のねじ固定部91に対応する位置に、ねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通部92が形成されている。
【0036】
また、ファンケーシング52には、軸挿入孔80とスクロール流路70との間に、ディフューザ400をファンケーシング52に固定するためのねじ穴93が複数箇所(本実施形態では4箇所)に形成されている。これらのねじ穴93は、軸挿入孔80を囲むように形成されている。また、ファンケーシング52は、ねじ穴93の周縁に、円形の凹部93aが形成されている。
【0037】
また、ファンケーシング52には、ねじ穴93の径方向外周側に、ファンケーシング凹部94(凹状の溝部)が形成されている。このファンケーシング凹部94は、環状に形成されている。
【0038】
電動機100は、径方向の中心に遠心羽根車300と結合される回転軸101を有し、ファンケーシング52に取り付けられる。また、電動機100は、回転軸101に固定されるロータ(回転子)、ロータの周囲に設けられるステータ(固定子)、回転軸101を回転自在に支持する軸受を有している。また、電動機100は、ロータ、ステータおよび軸受を収容する略円柱状のケース102を有している。このケース102の外周面(側面)には、円環状のつば部103が形成されている。つば部103には、電動機100をファンケーシング52にねじ固定するためのねじ挿通孔104が周方向に間隔を置いて複数箇所(本実施形態では4箇所)に形成されている。
【0039】
ディフューザ400は、例えば合成樹脂によって形成され、遠心羽根車300の軸方向Axの面と対向する円形の底板400aを有している。この底板400aは、径方向の中心に円形の貫通孔400bが形成されている。この貫通孔400bは、ファンケーシング52の軸挿入孔80よりも大径に形成されている。また、底板400aは、貫通孔400bの周囲に、該ディフューザ400をファンケーシング52に固定するためのねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通孔430が複数箇所に形成されている。このねじ挿通孔430は、ファンケーシング52のねじ穴93と対応(対向)する位置に形成されている。
【0040】
また、ディフューザ400は、ねじ挿通孔430の周縁に、図示しないねじの頭部が、底板400aの表面(図示上面)から突出しないようにするための窪み部430aが形成されている。これにより、遠心羽根車300が回転したときに、底板400aと遠心羽根車300との距離を縮めつつ、遠心羽根車300がねじ(不図示)に接触しないようになっている。
【0041】
底板400aの外周縁部の全体には、該底板400aよりも軸方向Axに一段高く形成されたディフューザ外側底面部(基部)400cが形成されている。このディフューザ外側底面部400cの軸方向Axの上面(ファンカバー51側の面)には、ディフューザベーン401(ベーン)が周方向に沿って等間隔に形成されている。
【0042】
図4は、電動機側から見たときの送風機の分解斜視図である。
図4に示すように、ファンカバー51の吸込口57には、ベルマウス部57aが形成されている。また、ファンカバー51は、ベルマウス部57aの周囲にリング状のシール部材(不図示)が収容される凹部51cが形成されている。また、ファンカバー51には、シール部材(不図示)を凹部51cに保持させる環状の抑え部材(不図示)が設けられている。この抑え部材(不図示)は、凹部51cの周囲に形成され、凹部51cよりも一段高く(浅く)形成された環状の凹部51dに載置される。また、抑え部材(不図示)は、凹部51dの周囲に形成された固定部51eを介して固定される。
【0043】
また、ファンカバー51には、円環状に形成された弾性部材90が設けられている。なお、図4では、弾性部材90がファンカバー51に取り付けられた状態を図示している。この弾性部材90は、ディフューザベーン401の先端(上端)と対向する位置に配置されている。
【0044】
また、ファンカバー51は、スクロール流路70(図3参照)から電気ヒータ24に向けて延びる導入路72bが形成されている。この導入路72bは、導入路72a(図3参照)に沿って形成されている。また、導入路72bは、スクロール流路70(図3参照)側から電気ヒータ24に向けて流路の深さ寸法H(流路高さ)が深く(高く)なるように構成されている。
【0045】
ファンケーシング52のスクロール流路70は、電動機100が設置される側(電動機設置側)に膨らむようにして構成されている。また、スクロール流路70は、舌端部71(図3参照)側の流路から、導入路72a(図3参照)側に向けて、流路深さ(軸方向Axの深さ)が徐々に深くなるように構成されている。また、導入路72aは、電気ヒータ24に向けて流路深さが略一定となるように構成されている。電気ヒータ24の下流側の流路77は、ファンカバー51側に持ち上がるようにして構成されている。
【0046】
また、ファンケーシング52には、電動機100を該ファンケーシング52に固定するためのねじボス78が複数箇所(本実施形態では4箇所)に形成されている。
【0047】
ディフューザ400は、ディフューザベーン401が設けられる面とは反対側(背面側)に凸条部440が形成されている。この凸条部440は、ファンケーシング52のファンケーシング凹部94(図3参照)と嵌合する。
【0048】
また、ディフューザ400のねじ挿通孔430には、ファンケーシング52の凹部93a(図3参照)と凹凸嵌合する突起部430bが形成されている。それぞれの突起部430bは、ファンケーシング52のそれぞれの対応する凹部93aと嵌合する。
【0049】
また、ディフューザ400が有するねじ挿通孔430とファンケーシング52のねじ穴93とが、ねじ(図示せず)によって固定される。電動機100の回転軸101(図3参照)は、ファンケーシング52の軸挿入孔80に挿通される。そして、回転軸101は、ディフューザ400の貫通孔400bに挿通され、遠心羽根車300に回転軸101の先端が結合(固定)される。
【0050】
ファンカバー51とファンケーシング52は、ねじ(図示せず)がねじ挿通部92に挿通され、ねじ固定部91に固定されることで互いに結合される。これにより、送風機22は、遠心羽根車300とディフューザ400を配置するケーシング部61(図2参照)と、電気ヒータ24を配置するヒータ部62(図2参照)と、を形成する。なお、ケーシング部61とヒータ部62との接続空間境界面をケーシング吐出口59(図3参照)とする。
【0051】
また、遠心羽根車300は、羽根321の内径端部が、吸込開口302(図3参照)よりも径方向外側に位置している。また、遠心羽根車300は、羽根321の外径端部が、シュラウド板301の外周縁部とハブ板311の外周縁部と略一致するように構成されている。
【0052】
なお、第1実施形態では、シュラウド板301を有するクローズドタイプの遠心羽根車300を例に挙げて説明するが、樹脂によりハブ板311と羽根321を一体成型したオープンタイプの遠心羽根車としてもよい。これにより、部品点数を低減でき、低コスト化が図られる。また、樹脂型とすることで、三次元化も容易となり、高効率化も図られる。なお、三次元化とは、羽根にさらにひねりを加えて形成することである。これにより、さらに効率化が図れる。
【0053】
また、第1実施形態では、後向き羽根を持つターボファンを例に挙げて説明するが、前向き羽根を持つシロッコファンを適用しもよい。また、羽根車の形状は遠心型に限定されるものではなく、斜流型でもよい。斜流型とすることで、羽根車の外径を小型化でき、送風機22の小型化が可能となる。
【0054】
次に、従来例としてのディフューザを備えた送風機について説明する。図5は、従来のディフューザの平面図である。図6は、従来のディフューザを搭載した送風機の平面図である。図7は、従来のディフューザによって形成される連通路を示す模式図である。
図5に示すように、ディフューザ1400は、底板1400aの周囲に、複数のディフューザベーン1401が周方向全体に等間隔で配置されるようにして構成されている。このディフューザベーン1401は、底板1400aの周囲に形成されたディフューザ外側底面部1400cに対して軸方向Ax(図3図4参照)の向きに立ち上がるようにして形成されている。また、ディフューザベーン1401は、遠心羽根車300(図3図4参照)の外周縁部よりも外側に位置している。
【0055】
ディフューザベーン1401は、薄板状に形成され、平面視において周方向に延びて形成されている。また、ディフューザベーン1401は、その前縁1412(一端)よりも後縁1402(他端)が径方向外側に位置するように構成されている。また、ディフューザベーン1401A(1401)は、周方向の略中央、かつ、ディフューザベーン1401Aの径方向の内側に、周方向に隣り合うディフューザベーン1401B(1401)の前縁1412が位置している。換言すると、ディフューザベーン1401B(1401)は、周方向の略中央、かつ、ディフューザベーン1401Bの径方向の外側に、周方向に隣り合うディフューザベーン1401A(1401)の後縁1402が位置している。また、隣り合うディフューザベーン1401A、1401B間には後記するディフューザ流路1410が形成されている。このディフューザ流路1410は、前縁1412側から後縁1402側に向けて径方向の幅が徐々に広くなるように構成されている。
【0056】
また、ディフューザベーン1401A(1401)は、ディフューザ外側底面部1400cの外周縁部が、後縁1402から、隣接するディフューザベーン1401Bの圧力面1403に対して略垂直に延びるようにして切込部1404が形成されている。なお、圧力面1403とは、ディフューザベーン1401の径方向外側に向いている前縁1412から後縁1402までの全体の面を意味している。このような切込部1404が形成されることで、ディフューザ外側底面部1400cの外周縁部に、軸方向Ax(図3図4参照)に貫通する略三角形状の切欠部1405が形成されている。換言すると、ディフューザ1400の外周縁部は、周方向に沿って鋸歯状になるように形成されている。
【0057】
図6に示すように、ディフューザ1400をファンケーシング52に取り付けたときに、ファンケーシング52と、ディフューザベーン1401と、切込部1404とで形成された略三角形状の連通路1420が形成される。また、ディフューザ1400の径方向の外周には、略三角形状の連通路1420が周方向に並んで形成されている。この連通路1420の上流側は、隣り合うディフューザベーン1401,1401と、ディフューザ外側底面部1400cと、ファンカバー51(図3図4参照)とで囲まれるディフューザ流路1410と連通する。遠心羽根車300がW方向に回転することで、遠心羽根車300の外周から空気(流体)が吐出される。
【0058】
また、吐出された空気は、ディフューザ流路1410(矢印参照)を通り、略三角形状の連通路1420に流れ込み、ディフューザ1400の背面側に設けられたスクロール流路70(図6の紙面垂直方向の奥側)に流れ込む。
【0059】
スクロール流路70に流れた空気は、スクロール部75を通り、吐出部76に吐出される。そして、吐出部76を通過した空気は、ケーシング吐出口59を通り、導入路72に導入される。なお、吐出部76は、点Bからケーシング吐出口59までのスクロール流路70を意味している。
【0060】
図7に示すように、従来のディフューザ1400を備えた送風機では、連通路1420の断面積が一定にも拘わらず、ディフューザベーン1401の後縁1402の外径が一定値のため、後縁1402と径方向外側壁面74との距離S100が、遠心羽根車300の回転方向Wに向けて大きくなる。これにより、ディフューザベーン1401の後縁1402とファンケーシング52の径方向外側壁面74との間では、ディフューザ流路1410を通過した空気の流れが径方向外側壁面74によって拘束されないので、この領域(距離S100の隙間)では高い圧力回復率を得ることができない。
【0061】
このような送風機を実装する際の制約の中において、より効率よく圧力回復を得るためには、できる限りディフューザベーン1401の長さを長くし、ディフューザ1400内における圧力回復率を高くすることが、送風機の設計上、極めて重要となる。また、このような場合には、ディフューザ流路1410の出口からスクロール流路70へと導くための連通路1420の流路断面積も、周方向に(回転方向Wに向けて)変化させる必要がある。これは、連通路1420を通過する際の急収縮・拡大に伴う圧力損失を抑えるためである。
【0062】
次に、第1実施形態の送風機22の構造について図8ないし図10を参照して説明する。図8は、第1実施形態のディフューザの平面図である。図9は、ファンカバーを取り外した状態を示す、第1実施形態のディフューザを搭載した送風機の平面図である。図10は、第1実施形態のディフューザによって形成される連通路を示す模式図である。なお、以下に示すディフューザ400の形状は一例であって、第1実施形態に限定されるものではない。
【0063】
図8に示すように、第1実施形態の送風機22(図3図4参照)は、従来例(図5ないじ図7参照)のディフューザ1400に替えて、ディフューザ400を備えたものである。このディフューザ400は、ディフューザベーン401の長さが周方向において異なっている。より具体的には、ディフューザベーン401の前縁412の位置は周方向に同一であるが、後縁402の位置が径方向に異なっている。
【0064】
また、ディフューザ400は、符号R1で示す領域(90°の範囲)において、従来例と同様に、底板400aの周囲に、複数のディフューザベーン401が周方向に等間隔で配置されている。なお、領域R1の基準位置(0°の位置)は、舌端部71の先端と遠心羽根車300の回転中心Oを通るラインである。このディフューザベーン401は、底板400aの周囲に形成されたディフューザ外側底面部400cに対して軸方向Ax(図3図4参照)の向き(図8の紙面垂直手前側の向き)に立ち上がるようにして形成されている。また、ディフューザベーン401は、遠心羽根車300(図3図4参照)の外周縁部よりも外側に位置している。
【0065】
ディフューザベーン401は、薄板状に形成され、平面視において周方向に延びて形成されている。また、ディフューザベーン401は、その前縁412(一端または内径側の端部)よりも後縁402(他端または外径側の端部)が径方向外側に位置している。また、領域R1のディフューザベーン401A(401)は、周方向の略中央、かつ、ディフューザベーン401Aの径方向の内側に、周方向に隣り合うディフューザベーン401B(401)の前縁412が位置している。換言すると、ディフューザベーン401B(401)は、周方向の略中央、かつ、ディフューザベーン401Bの径方向の外側に、周方向に隣り合うディフューザベーン401A(401)の後縁402が位置している。また、隣り合うディフューザベーン401A,401B間には後記するディフューザ流路410が形成されている。このディフューザ流路410は、前縁412側から後縁402側に向けて径方向の幅が徐々に広くなるように構成されている。
【0066】
また、ディフューザベーン401A(401)は、ディフューザ外側底面部400cの外周縁部が、後縁402から、隣接するディフューザベーン401Bの圧力面403に対して略垂直に延びるようにして切込部404が形成されている。なお、圧力面403とは、ディフューザベーン401の径方向外側に向いている前縁412から後縁402までの全体の面を意味している。このような切込部404が形成されることで、ディフューザ外側底面部400cの外周縁部に、軸方向Axに貫通する略三角形状の切欠部405が形成されている。換言すると、領域R1におけるディフューザ400の外周縁部は、周方向に沿って鋸歯状になるように形成されている。
【0067】
また、領域R2(90°の範囲)におけるディフューザ400は、符号R1と同様に、周方向の長さが同じ長さのディフューザベーン401が周方向(回転方向W)に等間隔で配置されている。
【0068】
また、領域R3(90°の範囲)におけるディフューザ400は、ディフューザベーン401が回転方向Wに向かうにつれて長くなるように構成されている。具体的には、ディフューザベーン401Dは、隣り合うディフューザベーン401Cよりも回転方向Wに長く形成されている。ディフューザベーン401Eは、隣り合うディフューザベーン401Dよりも回転方向Wに長く形成されている。ディフューザベーン401Fは、隣り合うディフューザベーン401Eよりも回転方向Wに長く形成されている。ディフューザベーン401Gは、隣り合うディフューザベーン401Fよりも回転方向Wに長く形成されている。ディフューザベーン401Hは、隣り合うディフューザベーン401Gよりも回転方向Wに長く形成されている。
【0069】
また、領域R4(90°の範囲)における一部のディフューザ400は、ディフューザベーン401が回転方向Wに向かうにつれて長くなるように構成されている。具体的には、ディフューザベーン401Jは、隣り合うディフューザベーン401Iよりも回転方向Wに長く形成されている。ディフューザベーン401Kは、隣り合うディフューザベーン401Jよりも回転方向Wに長く形成されている。ディフューザベーン401Lは、隣り合うディフューザベーン401Kよりも回転方向Wに長く形成されている。
【0070】
また、領域R4(90°の範囲)における他部のディフューザ400は、ディフューザベーン401が回転方向Wに向かうにつれて短くなるように構成されている。具体的には、ディフューザベーン401Mは、隣り合うディフューザベーン401Lよりも回転方向Wに短く形成されている。ディフューザベーン401Nは、隣り合うディフューザベーン401Mと回転方向Wに同じ長さになるように形成されている。なお、ディフューザベーン401M,401Nは、符号R1で示す領域のディフューザベーン401よりも回転方向Wに向けて長く形成されている。
【0071】
また、ディフューザ400は、領域R4において、ディフューザ外側底面部400cが、ディフューザベーン401J,401K,401Lの後縁402まで延びて形成されている。また、ディフューザ400は、領域R4において、ディフューザベーン401Mの後縁402よりも径方向外側まで延びている。このように、ディフューザ400は、領域R4において、ディフューザ外側底面部400cが、ディフューザベーン401J,401K,401L,401M,401Nにかけて略円弧状に形成された円弧部400c1を有している。換言すると、ディフューザ400は、領域R4の一部において、前記した連通路420が形成されない形状(前記した鋸刃状ではない形状)を有している。
【0072】
図9に示すように、ディフューザ400をファンケーシング52に搭載すると、ディフューザベーン401Nの先端(後縁402)が舌端部71に当接する。また、ディフューザ外側底面部400cの円弧部400c1(ハブ壁面)は、ケーシング吐出口59(スクロール流路70の出口)に向けて延びている。
【0073】
また、第1実施形態では、スクロール流路70の舌端部71の位置を基準とし、そこから遠心羽根車300の回転方向Wにディフューザベーン401の周方向の長さが長くなっている。詳述すると、第1実施形態では、舌端部71の先端と遠心羽根車300の回転中心Oとを結ぶ位置P1を基準(0°)とした場合、基準の位置P1から回転方向Wに90°回転した位置をP2、基準の位置P1から回転方向Wに180°回転した位置をP3、基準の位置P1から回転方向Wに270°回転した位置をP4とする。なお、位置P1から位置P2までは、前記した領域R1に相当する。位置P2から位置P3までは、前記した領域R2に相当する。位置P3から位置P4までは、前記した領域R3に相当する。位置P4から位置P1までは、前記した領域R4に相当する。
【0074】
このように第1実施形態では、0°から180°までの間(図8の領域R1,R2)では、回転方向Wに向けて同じ長さのディフューザベーン401となり、180°から270°までの間(図8の領域R3)では、回転方向Wに向けてディフューザベーン401の長さが徐々に長くなるように構成されている。また、第1実施形態では、270°から360°(0°)までの間(図8の領域R4)では、一部において回転方向Wに向けてディフューザベーン401の長さが徐々に長くなるように構成されている。また、第1実施形態では、270°から360°(0°)までの間(図8の領域R4)では、他部(残りの一部)において回転方向Wに向けてディフューザベーン401の長さが短くなるように構成されている。
【0075】
また、第1実施形態では、0°の位置P1と90°の位置P2とでは、ディフューザベーン401の周方向の長さが同じに形成されている。また、90°の位置P2と180°の位置P3とでは、ディフューザベーン401の周方向の長さが同じに形成されている。180°の位置P3と、270°の位置P4とでは、270°の位置P4のディフューザベーン401が、180°の位置P3のディフューザベーン401よりも長く形成されている。
【0076】
また、第1実施形態では、ディフューザベーン401が、従来例での距離S100(図7参照)を埋めるように、回転方向Wに向けて長く形成されている。このように、第1実施形態の送風機22(図3図4参照)は、特に、ファンケーシング52の径方向外側壁面74(図9参照)が周方向に変化する場合において特に有効である。なお、洗濯機S(図1参照)のように、送風機22(図3図4参照)の製品内への実装スペースが限定される場合、ファンケーシング52の径方向外側壁面74は、円型を確保できるわけではない。
【0077】
そこで、第1実施形態では、図10に示すように、ディフューザベーン401の長さが長いディフューザ流路410であればあるほど、連通路420の流路断面積を大きくする必要がある。すなわち、周方向(回転方向W)に向けて長くなるディフューザベーン401に対応するように、連通路420の流路断面積も、周方向(回転方向W)に大きくなる。
【0078】
この場合、ディフューザベーン401の後縁402は、スクロール流路70の径方向外側壁面74と接してもいいし、離しても構わない。接する方が、よりディフューザベーン401を長くできるため、高効率化になる。ただし、製品組み立ての観点等により、接することが困難な場合も多いため、数mm程度の隙間を設ける構成にしてもよい。このような隙間を設ける場合、ディフューザベーン401の後縁402と径方向外側壁面74との隙間幅S1(図9参照)は、周方向に一定値とすることが好ましい。
【0079】
また、ディフューザ流路410から連通路420、スクロール流路70を経て導入路72(図9参照)へと流入する際、ディフューザ流路410から連通路420を経ずに直接導入路72へと流入できる箇所(図9の領域R4a参照)では、直接に導入路72へと流れを流入させた方が、圧力回復率は高くなり、効率は高くなる。換言すると、ディフューザ400は、ディフューザ流路410のうち、導入路72と直接接続可能な領域R4aにおいて連通路420を有さないディフューザ流路410A(図9参照)が設けられている。これにより、ディフューザ流路410Aを経た空気の流れが、径方向から軸方向Axに転向されることなく、直接導入路72へと導かれることになる。その結果、空気の流れの転向に伴う圧力損失を抑制することができ、送風機22の高効率化を実現できる。
【0080】
以上説明したように、第1実施形態の送風機22は、電動機100と、電動機100に回転自在に設けられる回転軸101と、回転軸101に設けられる遠心羽根車300と、遠心羽根車300の下流に設けられ、周方向に配置されたディフューザベーン401によって構成されるディフューザ流路410と、ディフューザ流路410の下流に、該ディフューザ流路410に対して軸方向Axとは逆側に設けられるスクロール流路70と、を備える。スクロール流路70の舌端部71を基準として、ディフューザベーン401の周方向の長さが遠心羽根車300の回転方向Wに向かうにつれて変化する(図9参照)。すなわち、領域R3では、ディフューザベーン401が回転方向Wに向かうにつれて長く形成されている。また、領域R4の一部では、ディフューザベーン401が回転方向Wに向かうにつれて長く形成されている。これによれば、ファンケーシング52の径方向外側壁面74(図9参照)が周方向に変化する場合(例えば、スクロール流路70が周方向に向けて径方向に拡大する場合)において、ディフューザ流路410を通過した空気の流れを拘束することができ、高い圧力回復率を得ることができる。その結果、スクロール流路70をディフューザベーン401に対して軸方向Axとは逆側に配置して送風機22を小型化した場合であっても、送風機22の高効率化を図ることができる。
【0081】
また、第1実施形態は、舌端部71を基準位置として、ディフューザベーン401の周方向の長さが遠心羽根車300の回転方向Wに向けて大きくなる(図9参照)。これによれば、スクロール流路70が回転方向Wに拡大する形状において、ディフューザ流路410を通過した空気の流れを拘束でき、高い圧力回復率を得ることができる。
【0082】
また、第1実施形態は、ディフューザ流路410とスクロール流路70とを接続する連通路420の断面積が遠心羽根車300の回転方向Wに向けて変化する(図10参照)。これによれば、連通路420を通過する際の急収縮・拡大に伴う圧力損失を抑えることができ、送風機22のさらなる高効率化を図ることができる。
【0083】
また、第1実施形態は、ディフューザ流路410とスクロール流路70とを接続する連通路420の断面積が遠心羽根車300の回転方向Wに向けて大きくなる(図10参照)。これによれば、スクロール流路70が回転方向Wに拡大する形状において、連通路420を通過する際の急収縮・拡大に伴う圧力損失を抑えることができ、送風機22のさらなる高効率化を図ることができる。
【0084】
また、第1実施形態は、スクロール流路70の出口には、ディフューザ流路410とスクロール流路70とを接続する連通路420を有さないディフューザ流路410Aが存在する(図9参照)。これによれば、ディフューザ流路410を経た空気の流れが、径方向から軸方向に転向されることなく、直接導入路72へと導かれることになる。その結果、空気の流れの転向に伴う圧力損失を抑制することができ、送風機22の高効率化を実現できる。
【0085】
また、第1実施形態は、電動機100と、電動機100に回転自在に設けられる回転軸101と、回転軸101に設けられる遠心羽根車300と、遠心羽根車300の下流に設けられ、周方向に配置されたディフューザベーン401によって構成されるディフューザ流路410と、ディフューザ流路410の下流に、当該ディフューザ流路410に対して軸方向Axとは逆側に設けられスクロール流路70と、を備える。遠心羽根車300の回転中心Oとスクロール流路70の舌端部71とを結ぶ直線を0°とした場合、ディフューザベーン401の長さL(図8参照)が遠心羽根車300の回転方向Wを正として、270°の位置P4が、90°の位置P2、180°の位置P3とは異なっている(90°の位置、180°の位置、270°の位置の少なくとも1箇所の位置において異なる)。これによれば、ファンケーシング52の径方向外側壁面74(図9参照)が周方向に変化する場合(例えばスクロール流路70が周方向に向けて径方向に拡大する場合)において、ディフューザ流路410を通過した空気の流れを拘束でき、高い圧力回復率を得ることができる。その結果、スクロール流路70をディフューザベーン401に対して軸方向Axとは反対側に配置して送風機22を小型化した場合であっても、送風機22の高効率化を図ることができる。
【0086】
また、第1実施形態は、ディフューザベーン401の長さL(図8参照)は、0°の位置P1=90°の位置P2=180°の位置P3<270°の位置P4の関係を満たす。これによれば、スクロール流路70が回転方向Wに向けて拡大する形状において、ディフューザ流路410を通過した空気の流れを拘束でき、高い圧力回復率を得ることができる。
【0087】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態のディフューザを搭載した送風機の斜視図である。なお、図11では、図9と同様に、ファンカバー51を取り外した状態を示している。
図11に示すように、第2実施形態の送風機は、第1実施形態のディフューザ400に替えてディフューザ400Aを備えている。
【0088】
ディフューザ400Aは、ディフューザ外側底面部400cがスクロール流路70の径方向外側壁面74と近接する構成に加えて、ディフューザ外側底面部400cが吐出部76のさらに外径側の導入路72まで延長して形成されたディフューザ外側延長底面部400dを備えている。このディフューザ外側延長底面部400dは、吐出部76から導入路72に向けて、径方向外側壁面74と連続して延びて形成される壁面74aに近接して形成されるとともに、舌端部71から導入路72に向けて壁面74aに対向して延びる壁面74bに近接して形成されている。
【0089】
これにより、導入路72内では、ディフューザ外側延長底面部400dが、ある種のガイドベーンの役割を果たし、導入路72内においても、より効率的に圧力回復が可能となる。特に、洗濯機Sのように送風機22の実装スペースが限られる場合、ケーシング吐出口59から導入路72の出口にかけての流路断面積の変化率が大きくなる傾向にある。それにより、導入路72内での流れが壁面からはく離し、圧力損失が大きくなる。この圧力損失を防ぐためにも、ディフューザ外側延長底面部400dを導入路72まで延長することによる流れの制御は、高効率化に効果的である。
【0090】
また、ディフューザ外側延長底面部400dは、ディフューザベーン401の一部を吐出部76のさらに外径側の導入路72まで延長するディフューザベーン延長部406を備えている。このディフューザベーン延長部406は、ディフューザ外側延長底面部400dの導入路72側の縁部(端部)まで形成されている。このようなディフューザベーン延長部406を追加して設けることによって、より高い整流効果が得られる。
【0091】
また、ディフューザ外側延長底面部400dは、裏面のスクロール流路70側にスクロール流路70内から吐出部76を経て導入路72へと連続して形成されるガイドベーン407を備えている。このようなガイドベーン407を追加して設けることによっても、高い整流効果を得る点において有効である。
【0092】
第1実施形態および第2実施形態では、送風機22が洗濯機Sに備えられている(図1参照)。これにより、搭載性が良く、乾燥運転時の送風機22への入力電力を低減できるため、消費電力量を抑えた洗濯機Sを提供することができる。また、径方向に小さくできるため、同じ筐体の洗濯機に第1および第2実施形態の送風機22を搭載した場合、径方向の空いた空間に吸音材等を設置することができ、洗濯機の低騒音化を図ることが可能になる。
【0093】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態では、ディフューザベーン401の周方向の長さが回転方向Wに向けて大きくなる場合を例に挙げて説明したが、ディフューザ401の周方向の長さが回転方向Wに向けて小さくなる構成を備えていてもよい。
【0094】
また、第2実施形態では、1本のディフューザベーン延長部406を設けた場合を例に挙げて説明したが、複数のディフューザベーン延長部を設ける構成であってもよい。
【0095】
また、第2実施形態では、1本のガイドベーン407を設けた場合を例に挙げて説明したが、複数のガイドベーンを設ける構成であってもよい。
【0096】
また、90°の位置P2のディフューザベーン401が、0°の位置P1のディフューザベーン401よりも周方向の長さを長くした構成であってもよい。また、180°の位置P3のディフューザベーン401が、90°の位置P2のディフューザベーン401よりも周方向の長さを長くした構成であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 外枠
2 外槽
3 回転槽
22 送風機
51 ファンカバー
52 ファンケーシング
57 吸込口
59 ケーシング吐出口(スクロール流路の出口部)
61 ケーシング部
70 スクロール流路
71 舌端部(舌部)
72,72a,72b 導入路
74 径方向外側壁面
75 スクロール部
76 吐出部
90 弾性部材
100 電動機
101 回転軸
300 遠心羽根車(羽根車)
400,400A ディフューザ
400c ディフューザ外側底面部
400d ディフューザ外側延長底面部
401,401A ディフューザベーン(ベーン)
402 後縁
406 ディフューザベーン延長部(ベーン延長部)
407 ガイドベーン
410 ディフューザ流路
412 前縁
420 連通路
Ax 軸方向
P1 0°の位置
P2 90°の位置
P3 180°の位置
P4 270°の位置
S 洗濯機
W 回転方向
図1
図2
図3
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