(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像情報処理装置、画像情報処理方法及び画像情報処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240312BHJP
G08G 1/017 20060101ALI20240312BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240312BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240312BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/017
G08G1/04 C
G07C5/00 Z
G08B21/00 U
(21)【出願番号】P 2020011882
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】光永 直喜
(72)【発明者】
【氏名】友野 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁太
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151887(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163980(WO,A1)
【文献】特開2019-169190(JP,A)
【文献】特開2019-040368(JP,A)
【文献】特開2019-91230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/017
G08G 1/04
G07C 5/00
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を記録する関連付け情報記録手段と、
前記他の移動体のうちで前記移動体の搭乗者により指定された移動体についての前記移動体識別情報である特定移動体識別情報を
、当該指定に基づいて取得する取得手段と、
前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報を検索する検索手段と、
前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記移動体識別情報が抽出された前記周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記タイミング情報により示される前記タイミングに対応する当該周囲画像情報を保存する保存手段と、
を備えることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像情報処理装置において、
前記取得手段は、前
記搭乗者による前記特定移動体識別情報の入力を受け付ける受付手段であることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像情報処理装置において、
前記取得手段は、
撮像された前記周囲画像情報を表示する表示手段と、
前記周囲画像情報に含まれて前記表示手段に表示されている前記特定移動体識別情報の
前記指定を受け付ける受付手段と、
を備えることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像情報処理装置において、
前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報が検索されない場合に、前記保存手段は、前記周囲画像情報の全てを保存することを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像情報処理装置において、
前記タイミングは、前記周囲画像情報から前記移動体識別情報が抽出された時刻であり、
前記タイミング情報は、当該時刻を示す時刻情報であることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像情報処理装置において、
前記移動体は車両であり、
前記移動体識別情報は、当該車両の車両ナンバーを示す車両ナンバー情報であることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像情報処理装置において、
前記保存手段による前記周囲画像情報の保存先が、不揮発性のカード型記録媒体における保存領域であることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項8】
抽出手段と、関連付け情報記録手段と、取得手段と、検索手段と、保存手段と、を備える画像情報処理装置において実行される画像情報処理方法であって、
移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、前記周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を前記抽出手段により抽出する抽出工程と、
前記抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を前記関連付け情報記録手段により記録する関連付け情報記録工程と、
前記他の移動体のうちで前記移動体の搭乗者により指定された移動体についての前記移動体識別情報である特定移動体識別情報を
、当該指定に基づいて前記取得手段により取得する取得工程と、
前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報を前記検索手段により検索する検索工程と、
前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記移動体識別情報が抽出された前記周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記タイミング情報により示される前記タイミングに対応する当該周囲画像情報を、前記保存手段により保存する保存工程と、
を含むことを特徴とする画像情報処理方法。
【請求項9】
画像情報処理装置に含まれるコンピュータを、
移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、前記周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する抽出手段、
前記抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を記録する関連付け情報記録手段、
前記他の移動体のうちで前記移動体の搭乗者により指定された移動体についての前記移動体識別情報である特定移動体識別情報を
、当該指定に基づいて取得する取得手段、
前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報を検索する検索手段、及び、
前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記移動体識別情報が抽出された前記周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記タイミング情報により示される前記タイミングに対応する当該周囲画像情報を保存する保存手段、
として機能させることを特徴とする画像情報処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像情報処理装置、画像情報処理方法及び画像情報処理用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、移動体の周囲を撮像した周囲画像に関する情報処理を行う画像情報処理装置及び画像情報処理方法、並びに当該画像情報処理装置において実行される画像情報処理用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるあおり運転等の迷惑運転又は危険運転が話題に挙がることが多い。なお以下の説明において、上記危険運転又は迷惑運転を、纏めて「危険運転」と称する。ここで、他の車両により行われている危険運転が自車両の運転に影響を及ぼすような場面に遭遇した場合、例えばいわゆるドライブレコーダ等を用いて当該他の車両の状況を示す画像等を記録しておくことが望ましい。このような画像等の記録に関連する従来技術を開示した先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【0003】
この特許文献1に記載された従来技術では、自車両にカメラを備えて周囲を撮像すると共に、自車両の周辺で他の車両が危険な運転を行った場合、その状況を撮像した画像を、その位置・日時及び当該他の車両の車両登録番号等と共に一つのデータとして保存し、これを外部のサーバへ送信する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自車両が上述したような危険な場面に遭遇した場合、特許文献1に開示されている従来技術では、運転者自らが車内に設置されたボタンを操作して上記カメラによる撮像を開始することとされている。そして、このような構成では、運転者がボタンを操作しない限り、当該撮像が行われない(換言すれば、対応するデータの保存も行われない)こととなる。
【0006】
一方、上記のような危険な場面では、運転者が上記ボタンの操作を行う前から上記危険運転が開始されている場合、又は危険運転の兆候がある他の車両が存在している場合が多い。よって、記録した画像等を上記危険運転の証拠として後ほど使用する場合等においては、運転者による上記ボタンの操作よりも前の危険運転の状況を映した画像等が重要となる場合がある。従って、当該操作前の画像等まで記録しておくことが望まれる。
【0007】
そこで本願は、上記の要望に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、危険運転をしている他の車両を撮像した画像等の保存を、運転者の操作等がある前に遡って行うことが可能な画像情報処理装置及び画像情報処理方法、並びに当該画像情報処理装置において実行される画像情報処理用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を記録する関連付け情報記録手段と、前記他の移動体のうちで前記移動体の搭乗者により指定された移動体についての前記移動体識別情報である特定移動体識別情報を、当該指定に基づいて取得する取得手段と、前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報を検索する検索手段と、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記移動体識別情報が抽出された前記周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記タイミング情報により示される前記タイミングに対応する当該周囲画像情報を保存する保存手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、抽出手段と、関連付け情報記録手段と、取得手段と、検索手段と、保存手段と、を備える画像情報処理装置において実行される画像情報処理方法であって、移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、前記周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を前記抽出手段により抽出する抽出工程と、前記抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を前記関連付け情報記録手段により記録する関連付け情報記録工程と、前記他の移動体のうちで前記移動体の搭乗者により指定された移動体についての前記移動体識別情報である特定移動体識別情報を、当該指定に基づいて前記取得手段により取得する取得工程と、前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報を前記検索手段により検索する検索工程と、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記移動体識別情報が抽出された前記周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記タイミング情報により示される前記タイミングに対応する当該周囲画像情報を、前記保存手段により保存する保存工程と、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、画像情報処理装置に含まれるコンピュータを、移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、前記周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する抽出手段、前記抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を記録する関連付け情報記録手段、前記他の移動体のうちで前記移動体の搭乗者により指定された移動体についての前記移動体識別情報である特定移動体識別情報を、当該指定に基づいて取得する取得手段、前記取得された特定移動体識別情報と一致する前記移動体識別情報が関連付けられている前記関連付け情報を検索する検索手段、及び、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記移動体識別情報が抽出された前記周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられている前記タイミング情報により示される前記タイミングに対応する当該周囲画像情報を保存する保存手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の画像情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例の車載装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例の危険運転車両画像記録/保存処理を示すフローチャートである。
【
図4】実施例の危険運転車両画像記録/保存処理を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態の画像情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る画像情報処理装置Tは、抽出手段11bと、関連付け情報記録手段11と、取得手段14と、検索手段11cと、保存手段11aと、を備えて構成されている。
【0014】
この構成において、抽出手段11bは、移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から、当該周囲を移動する他の移動体の移動体識別情報を抽出する。そして、関連付け情報記録手段11は、抽出手段11bにより抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を記録する。
【0015】
一方、取得手段14は、特定の移動体の移動体識別情報である特定移動体識別情報を取得する。そして、検索手段11cは、取得手段14により取得された特定移動体識別情報と一致する移動体識別情報が関連付けられている関連付け情報を検索する。
【0016】
これらにより、保存手段11aは、検索手段11cにより検索された関連付け情報により関連付けられている移動体識別情報が抽出された周囲画像情報であって、前記検索された関連付け情報により関連付けられているタイミング情報により示されるタイミングに対応する当該周囲画像情報を保存する。
【0017】
以上説明したように、実施形態の画像情報処理装置Tの構成によれば、移動体の周囲を撮像した周囲画像情報から抽出された移動体識別情報と、当該移動体識別情報が抽出されたタイミングを示すタイミング情報と、を関連付けた関連付け情報を記録すると共に、特定移動体識別情報を取得し、取得された特定移動体識別情報と一致する移動体識別情報が抽出された周囲画像情報を、当該特定移動体識別情報と一致する移動体識別情報に関連付けられているタイミング情報により示されるタイミングに対応させて保存する。よって、特定移動体識別情報と一致する移動体識別情報により識別される移動体が撮像された周囲画像情報を、当該特定移動体識別情報の取得タイミングに拘わらず、当該一致する移動体識別情報が抽出されたタイミングに対応させて保存することができる。
【実施例】
【0018】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図4を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、車両に搭載された車載装置において、上記危険運転を行う車両を映した画像に相当する画像情報の記録及び保存を行う危険運転車両画像記録/保存処理に本願を適用した場合の実施例である。
【0019】
また、
図2は実施例の車載装置の概要構成を示すブロック図であり、
図3は実施例の危険運転車両画像記録/保存処理を示すフローチャートであり、
図4は当該危険運転車両画像記録/保存処理を示す概念図である。このとき
図2では、
図1に示した実施形態の画像情報処理装置Tにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該画像情報処理装置Tにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0020】
図2に示すように、具体的には例えばドライブレコーダ等として実現される実施例の車載装置Tは、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部11と、リーダ/ライタ12と、メモリ13と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ17と、操作ボタン及び上記ディスプレイ17の表面に備えられたタッチパネル等からなる操作部14と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなるカメラ15と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機又は加速度センサ等からなるセンサ部16と、により構成されている。また、処理部11は、実施例の記録/保存制御部11aと、実施例の抽出部11bと、実施例の検索部11cと、により構成されている。このとき、上記記録/保存制御部11a、上記抽出部11b及び上記検索部11cは、処理部11の上記CPU等からなるハードウェアロジック回路により実現されてもよいし、後述する実施例の危険運転車両画像記録/保存処理に対応するプログラムを当該CPUが読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。なお、以下の説明において、当該説明の対象となっている車載装置Tが搭載されている車両を「自車両」と称する。また、車載装置Tが実施形態の画像情報処理装置Tの一例に相当し、抽出部11bが実施形態の抽出手段11bの一例に相当し、記録/保存制御部11aが実施形態の保存手段11aの一例及び関連付け情報記録手段11の一例にそれぞれ相当する。更に、検索部11cが実施形態の検索手段11cの一例に相当し、操作部14が実施形態の取得手段14の一例及び本願の「受付手段」の一例にそれぞれ相当し、ディスプレイ17が本願の「表示手段」の一例に相当する。
【0021】
以上の構成において、カメラ15は、例えば自車両の前方及び後方をその撮像範囲とするものであり、処理部11の制御の下、当該撮像範囲を撮像した結果としての画像情報を処理部11に出力する。なお、カメラ15の撮像範囲は、例えば自車両の全周であってもよい。メモリ13は、処理部11の記録/保存制御部11aの制御の下、当該画像情報を一時的に記録する。センサ部16は、上記GNSS受信機による航法電波の受信結果等に基づいて、例えば自車両の位置を示す位置データを処理部11に出力する。操作部14は、自車両の例えば運転者等による操作に応じた操作信号を生成し、処理部11に出力する。このとき、操作部14には、当該運転者等が上記画像情報のSDカードCDへの保存を指示する際に用いられる例えばボタン式の保存指示部と、SDカードCDへの保存の対象とした上記画像情報に映っている他の車両を識別する車両識別情報(具体的には、当該他の車両の車両登録番号(いわゆるナンバープレートに記載されている車両ナンバー))を指定する際に操作される車両指定部と、が含まれている。ここで、上記保存指示部及び上記車両指定部は、例えば、危険運転を行っている(又は行う兆候が見られる)他の車両に自車両が遭遇することにより、その運転者等が当該他の車両が映っている上記画像情報のSDカードCDへの保存を指示する際に操作されるものである。そして、上記保存指示部は当該保存の指示に合わせて例えば押下され、上記車両指定部においては当該他の車両の車両識別情報の一部または全部が入力される。なお以下の説明において、上記危険運転を行っている(又は行う兆候が見られる)他の車両を、単に「危険運転車両」と称する。
【0022】
一方、記録/保存制御部11aは、リーダ/ライタ12を介して、SDカードCDに対するデータの保存及び読み出しを制御する。これに加えて記録/保存制御部11aは、メモリ13に対する上記画像情報の記録を制御する。処理部11の抽出部11bは、カメラ15から出力された画像情報に相当する画像に映っている他の車両を識別する上記車両識別情報と、当該他の車両の特徴を示す特徴量と、を、従来と同様の手法によりそれぞれ抽出する。このとき当該特徴量としては、例えば、当該他の車両の外形及び色の特徴量が含まれている。これにより記録/保存制御部11aは、抽出部11bにより抽出された車両識別情報と、当該車両識別情報が画像情報から抽出された時刻を示す時刻情報と、を含む実施例のタグ情報を生成し、当該タグ情報をメモリ13に記録する。このとき、当該タグ情報の記録先がSDカードCDであってもよい。記録/保存制御部11aによる実施例のタグ情報の生成及び記録は、カメラ15から出力された画像情報に相当する画像から新たな車両識別情報が抽出される度に、当該新たに抽出された車両識別情報と、これに対応する時刻情報と、を用いて実行される。そして、当該新たに抽出された車両識別情報ごとに、別個のタグ情報が生成されてメモリ13又はSDカードCDに記録される。
【0023】
次に、処理部11の検索部11cは、上記運転者等により操作される保存指示部及び車両指定部を含む操作部14を介して取得された車両識別情報と一致する車両識別情報を含むタグ情報を、上記記録されている各タグ情報において検索する。これにより記録/保存制御部11aは、メモリ13に記録されている画像情報のうち、検索部11cにより検索されたタグ情報に含まれている時刻情報により示される時刻以降に記録された画像情報を、SDカードCDに保存する。これらに加えて、処理部11は、操作部14からの上記操作信号及びセンサ部16からの上記位置データ等を用いて、車載装置Tとして所望される他の処理を実行する。
【0024】
次に、上述した構成を有する車載装置Tの処理部11を中心として実行される、実施例の危険運転車両画像記録/保存処理について、
図2乃至
図4を用いて纏めて説明する。
【0025】
対応するフローチャートを
図3に示すように、実施例の危険運転車両画像記録/保存処理は、例えば、車載装置Tの電源がオンとされたタイミング以降、予め設定された割込みタイミングごとに、割込み処理として開始される。そして
図3に示すように、実施例の危険運転車両画像記録/保存処理が開始されると、車載装置Tの処理部11は、カメラ15を制御して自車両の周囲を撮像させ、その撮像結果としての画像情報を取得する(ステップS1)。そして、処理部11の記録/保存制御部11aは、取得された画像情報をメモリ13に記録する(ステップS1)。この画像情報のメモリ13への記録は、例えば一定時間ごとにサイクリックに(巡回的に)行われる。また、この画像情報に相当する画像には、例えば、自車両の周囲に存在する他の車両や、歩行者等が映っている。次に処理部11の抽出部11bは、当該画像から、例えば従来と同様の画像解析処理により、当該他の車両の車両識別情報を抽出する(ステップS2)。その後、記録/保存制御部11aは、抽出部11bにより抽出された車両識別情報と、当該抽出時刻を示す上記時刻情報と、を含む上記タグ情報を生成し、メモリ13に記録する(ステップS3)。
【0026】
上記ステップS1乃至上記ステップS3が実行された後、処理部11は、危険運転車両に自車両が遭遇すること等の理由により、自車両の運転者等による上記保存指示部及び上記車両指定部を用いた画像情報の保存指示操作が実行されたか否かを監視する(ステップS4)。ステップS4の監視において、当該保存指示操作が実行されない場合(ステップS4:NO)、記録/保存制御部11aは、上記ステップS1に戻って上述したステップS3までの処理を繰り返す。
【0027】
一方、ステップS4の監視において、運転者等によりSDカードCDへの保存指示操作があった場合(ステップS4:YES)、次に、処理部11の検索部11cは、保存指示操作により車両指定部を介して取得された車両識別情報と一致する車両識別情報を含むタグ情報を、上記記録されている各タグ情報において検索する(ステップS5)。これにより記録/保存制御部11aは、ステップS5により検索されたタグ情報に含まれている時刻情報により示される時刻以降にメモリ13に記録されている画像情報を読み出し、リーダ/ライタ12を介してSDカードCDに保存する(ステップS6)。これにより、上記危険車両の状況を映した画像情報がSDカードCDへ保存される。このとき、ステップS5で検索されたタグ情報に含まれている車両識別情報が抽出された時刻よりも、上記保存指示操作が後に行われた場合、SDカードCDに保存される画像情報には、当該保存操作指示よりも前で且つ車両識別情報の抽出時刻以降に記録された画像情報が含まれることになる。
【0028】
次に、処理部11及び抽出部11bは、当該危険運転車両についての特徴量を抽出し、当該抽出した特徴量に基づいて、継続して撮像されている画像情報における当該他の車両の画像を追尾し、それを含む画像情報の保存を継続する(ステップS6)。このステップS6における追尾は、上記特徴量としての当該他の車両の外形又は色のいずれか一方又は双方に基づいて行われる。当該追尾の手法自体は、従来の画像特徴量の抽出方法及び追尾方法と同様である。
【0029】
その後、記録/保存制御部11aは、ステップS6で画像情報が保存されている他の車両が自車両から離れていったことにより上記追尾が不能となった場合、又は、当該離れていったこと以外の他の理由で上記追尾が不能となった時間が所定時間継続した場合に、ステップS6によるSDカードCDへの画像情報の当該保存を停止する(ステップS7)。その後処理部11は、車載装置Tとしての他の処理に移行する。
【0030】
なお、例えば何らかの理由で車両識別情報が画像情報から抽出されない等の理由により、当該抽出されなかった車両識別情報を含むべきタグ情報が生成されない場合もあり得る。このような場合において、当該タグ情報が生成されなかった危険運転車両について上記保存指示操作が行われた場合、記録/保存制御部11aは、上記ステップS5において対応するタグ情報が検索されないとの判断に基づき、その時点でメモリ13に記録されている画像情報の例えば全て又は一部をSDカードCDに保存するように制御するのが好ましい。
【0031】
次に、
図3に示すフローチャートに対応した実施例の危険運転車両画像記録/保存処理について、より具体的に
図4を用いて説明する。
図3に示すフローチャートにおけるステップS1乃至ステップS3が、画像情報に映っている複数の他の車両についてそれぞれ実行された場合、メモリ13には、カメラ15から出力された画像情報が、例えば一定時間ごとにサイクリックに記録される(
図3ステップS1参照)。そして、当該画像情報から車両識別情報が新たに抽出される度に(
図3ステップS2参照)、
図4に例示するタグ情報TG1、タグ情報TG2、タグ情報TG3、…、が、その車両識別情報及び対応する時刻情報をそれぞれに含んで生成されて、メモリ13又はSDカードCDに記録される(
図3ステップS3参照)。なお以下の説明において、タグ情報TG1、タグ情報TG2、タグ情報TG3、…を共通的に扱う場合、これらを単に「タグ情報TG」と称する。そして、運転者等により危険運転車両と認識された車両識別情報が、例えばタグ情報TG2に含まれている車両識別情報であったとする。この場合に、当該タグ情報TG2に含まれている車両識別情報の指定を含む保存指示操作が操作部14において例えば時刻t4に実行されると(
図3ステップS4:YES参照)、
図4に例示する場合は、タグ情報TG2に含まれている時刻t2から時刻t4までの画像情報d1と、時刻t4以降の画像情報d2と、が、それぞれSDカードCDの不揮発領域SAに保存される。なお、不揮発領域SAに保存された画像情報d1及び画像情報d2については、メモリ13から削除してもよいし、そのままにしておいて、その後の画像情報の上書き記録による自動消去としてもよい。また、SDカードCDに保存される上記画像情報d1の始まりの時刻については、上記時刻t2と上記時刻t4との間のいずれか任意の時刻を、例えば時刻t2又は時刻t4との関係において規定してもよい。
【0032】
以上それぞれ説明したように、実施例の危険運転車両画像記録/保存処理によれば、自車両の周囲を撮像した画像情報から抽出された車両識別情報と、当該車両識別情報が抽出された時刻を示す時刻情報と、を関連付けたタグ情報TGを記録する(
図3ステップS1乃至ステップS3参照)と共に、危険運転車両の車両識別情報を取得し(
図3ステップS4:YES参照)、取得された危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報が抽出された画像情報を、当該危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報に関連付けられている時刻情報により示される時刻に対応させて保存する(
図3ステップS5及びステップS6参照)。よって、危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報により識別される車両が撮像された画像情報を、上記ステップS4の監視タイミング(即ち、操作部14を用いた保存指示操作のタイミング)に拘わらず、当該一致する車両識別情報が抽出された時刻に対応させて保存することができる。
【0033】
このとき、タグ情報TGに含まれて記録される時刻情報が、予め設定された時刻起点を基準とするいわゆるタイムコード等のタイミング情報であってもよい。この場合でも、危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報により識別される車両が撮像された画像情報を、当該一致する車両識別情報が抽出されたタイミングに対応させて保存することができる。
【0034】
また、SDカードCDへの保存操作指示が、操作部14に含まれる保存指示部及び車両指定部を用いた操作による指示であるので、運転者等の意図する危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報により識別される車両が撮像された画像情報を、当該車両識別情報が抽出された時刻又はタイミングに対応させて保存することができる。
【0035】
更に、保存指示操作の対象となった危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報が関連付けられているタグ情報TGが検索されない場合に、その時点でメモリ13に記録されている画像情報の全てをSDカードCDに保存する構成によれば、タグ情報TGが検索されない場合でも、危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報により識別される車両が撮像された画像情報を保存することができる。
【0036】
更にまた、車両識別情報が車両ナンバーの情報である場合には、危険運転車両の車両ナンバーと一致する車両ナンバーにより識別される車両が撮像された画像情報を、当該車両ナンバーが抽出された時刻又はタイミングに対応させて保存することができる。
【0037】
また、保存指示操作に対応した画像情報の保存先がSDカードCDの不揮発領域SAであるので、保存が所望される画像情報を、確実且つ持ち運び可能に保存することができる。
【0038】
なお上述した実施例の危険運転車両画像記録/保存処理では、SDカードCDへの保存を、運転者等による操作部14の保存指示部及び車両指定部を用いた保存操作指示によるものとした。しかしながらこれ以外に、メモリ13への記録中(
図3ステップS1参照)の画像情報がディスプレイ17に表示される場合において、危険運転車両の画像に対する運転者等の上記タッチパネルに対するタッチ操作によりその危険運転車両を指定し(
図3ステップS4:YES参照)、その指定された危険運転車両の車両識別情報を抽出してタグ情報TGの検索(
図3ステップS5)に用いてもよい。この場合でも、上記タッチ操作により指定された危険運転車両の車両識別情報と一致する車両識別情報により識別される車両が撮像された画像情報を、当該車両識別情報が抽出された時刻又はタイミングに対応させて保存することができる。
【0039】
また、上述した実施例の危険運転車両画像記録/保存処理では、各タグ情報TGに含まれている車両識別情報と、運転者等による保存指示操作により取得された車両識別情報とを比較して、危険運転車両が映った画像情報を特定した。しかしながらこれ以外に、メモリ13に記録済みの画像情報から抽出される車両識別情報と、上記保存指示操作により取得された車両識別情報とを直接比較して、危険運転車両が映った画像情報を特定してもよい。
【0040】
更に、上述した実施例の危険運転車両画像記録/保存処理では、運転者等の保存操作指示に基づいてSDカードCDへの画像情報の保存を行うこととした(
図3ステップS4乃至ステップS6参照)。しかしながらこれ以外に、過去に危険運転をしたことがある車両の車両識別情報を蓄積した外部のサーバ装置から当該車両識別情報を危険運転車両識別情報として取得し、当該取得した危険運転車両識別情報と一致した車両識別情報を含むタグ情報TGが記録されている場合に、そのタグ情報TGに含まれている時刻情報(又はタイミング情報)により示される時刻(又はタイミング)以降の画像情報をSDカードCDへ保存するように構成してもよい。この場合には、当該サーバ装置からの車両識別情報の取得タイミングに拘わらず、実施例の危険運転車両画像記録/保存処理と同様の効果を得ることができる。
【0041】
更にまた、SDカードCDへの保存の対象となる画像情報に含まれるべき危険運転車両の車両識別情報の取得を、実施例の保存指示操作に代えて、運転者等の音声(当該車両識別情報の発話音声)の入力によってもよい。
【0042】
また、上述した実施例の危険運転車両画像記録/保存処理では、カメラ15から出力された画像情報の保存先をSDカードCDとしたが、これ以外に、実施例の車載装置Tがインターネット等のネットワークに接続されている場合は、当該保存先を、当該ネットワークに接続されたサーバ装置(いわゆる「クラウド」としてのサーバ装置)としてもよい。この場合には、他の車載装置における保存指示操作等に基づいて保存されている画像情報を自車両(実施例の車載装置T)において活用することができる。即ち、例えば高速道路では、煽り走行等の危険運転を複数の車両に対して次々と行う危険運転車両が出現し得るが、そのような危険運転車両が接近していることを、自車両の運転者等に認識させることができると共に、同様に、自車両に対する危険運転に関する情報を他の車両に伝達することも可能となる。
【0043】
更に、
図3に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を、実施例の処理部11として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
11 関連付け情報記録手段(処理部)
11a 保存手段(記録/保存制御部)
11b 抽出手段(抽出部)
11c 検索手段(検索部)
14 取得手段(操作部)
T 画像情報処理装置(車載装置)
CD SDカード
TG1、TG2、TG3 タグ情報