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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240312BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240312BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240312BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
G08G1/16 C
G06T7/60 200J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020018480
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021124996
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】久保田 守
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-120458(JP,A)
【文献】特開2015-165376(JP,A)
【文献】特開2014-106740(JP,A)
【文献】特開2017-010078(JP,A)
【文献】特開2019-096027(JP,A)
【文献】特開2016-004287(JP,A)
【文献】特開2002-175534(JP,A)
【文献】胡振程 外1名,一般道路状況を考慮した道路平面線形モデルの構築,電子情報通信学会論文誌,日本,社団法人電子情報通信学会,1998年04月25日,第J81-A巻 第4号,pp.590~598
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G08G 1/00 - 99/00
CSDB(日本国特許庁)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に描かれたマーカーを検出する画像処理装置であって、
車両の周囲の前記路面を撮像する撮像装置から出力される画像信号に基づく画像を所定方向に走査して、複数のエッジを検出するエッジ検出部と、
前記複数のエッジの各々に対して、当該エッジとの距離が最短となるエッジを検出し、当該エッジと前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点間の距離が閾値以下であるとき、2つのエッジを接続して一のエッジとするエッジ接続部と、
前記複数のエッジに基づいて、前記マーカーを検出するマーカー検出部と、を備え
前記エッジ接続部は、前記当該エッジを延長した直線と前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの始点との距離と、前記当該エッジを延長した線と前記当該エッジの最近接エッジの終点との距離がそれぞれ閾値以下のとき、前記当該エッジと、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジとを接続して一のエッジとすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記エッジ接続部は、前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの始点との距離が第1の閾値以下であり、かつ、前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点との距離が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下であること、及び前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの始点との距離が前記第2の閾値以下であり、かつ、前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点との距離が前記第1の閾値以下であること、の何れかを満たすときに、前記当該エッジと、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジとを接続して一のエッジとすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記エッジ接続部は、前記当該エッジと、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジとの端点間を、前記当該エッジが延びる方向に応じた方向で走査して、前記当該エッジと前記当該エッジとの距離が最短となるエッジとの間に、前記マーカーと判定できる情報が含まれているか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記エッジ接続部は、当該エッジから所定距離の範囲内にある他のエッジの数をカウントし、カウント数が所定数以上のときは、当該エッジを前記他のエッジと接続しないことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記エッジ接続部は、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジに近い端点とは反対側にある前記当該エッジの端点を、前記一のエッジの始点の座標とし、前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジに近い、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点とは反対側の端点のx座標との距離が閾値以内のとき、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点を、前記一のエッジの終点の座標とし、前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点のx座標との距離が閾値より大きいときは、前記当該エッジを延長した直線と、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点を通り前記当該エッジを延長した直線と垂直に交わる垂線との交点を、前記一のエッジの終点の座標とすることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記マーカーは、駐車スペースを区画する駐車区画線であり、
前記マーカー検出部によって検出された前記マーカーに基づいて、駐車枠を検出する駐車枠検出部を、備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記マーカーは、走行車線を区画する車線境界線であり、
前記マーカー検出部によって検出された前記マーカーに基づいて、前記走行車線を検出する走行車線検出部を、備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
路面に描かれたマーカーを検出する画像処理方法であって、
車両の周囲の前記路面を撮像する撮像装置から出力される画像信号に基づく画像を所定方向に走査して、複数のエッジを検出するエッジ検出工程と、
前記複数のエッジの各々に対して、当該エッジとの距離が最短となるエッジを検出し、当該エッジと前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点間の距離が閾値以下であるとき、2つのエッジを接続して一のエッジとするエッジ接続工程と、
前記複数のエッジに基づいて、前記マーカーを検出するマーカー検出工程と、を含み、
前記エッジ接続工程は、前記当該エッジを延長した直線と前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの始点との距離と、前記当該エッジを延長した線と前記当該エッジの最近接エッジの終点との距離がそれぞれ閾値以下のとき、前記当該エッジと、前記当該エッジとの距離が最短となるエッジとを接続して一のエッジとすることを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲の路面を撮像する撮像装置から出力される画像信号に基づいて、この路面に設けられた駐車枠や走行車線を推定する画像処理装置及び画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、車両を所定の駐車区画に駐車する際に、駐車目標とする駐車スペースを自動的に検出して、車両を自動駐車させる車両用駐車支援装置が実用化されている。駐車スペースを検出する際には、車両に搭載したカメラで車両周辺を撮影した画像に基づいて、駐車区画線を検出し、駐車区画線で囲まれた領域を駐車スペースとして検出する。また、車両の走行の際に、車両周辺を撮影した画像に基づいて、走行車線(走行レーン)を区画する車線境界線を自動的に検出して、車両を自動運転させる走行支援装置も実用化されている。
【0003】
このような駐車区画線や車線境界線等としての白線を検出する技術として、車両周辺を撮影した画像からエッジを検出し、検出したエッジに基づいて白線を検出する白線検出装置や白線検出方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-167023号公報
【文献】特開2007-179386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、自車両、他車両、壁、フェンス等の比較的大きな影や、木漏れ日、道路照明灯等による光の反射等によって、駐車区画線等が不検出となることがある。特に、影と影以外の領域とでは、駐車区画線の輝度や輝度差が異なるため、駐車区画線のエッジが検出されないことがあった。このため、駐車区画線等の検出精度、さらには駐車スペースや走行車線の検出精度を向上させるべく、エッジの誤検出や不検出を抑制できる技術の開発が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、駐車区画線や車線境界線等、路面に描かれたマーカーの検出を、高精度に行うことが可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、路面に描かれたマーカーを検出する画像処理装置であって、車両の周囲の前記路面を撮像する撮像装置から出力される画像信号に基づく画像を所定方向に走査して、複数のエッジを検出するエッジ検出部と、前記複数のエッジの各々に対して、当該エッジとの距離が最短となるエッジを検出し、当該エッジと前記当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点間の距離が閾値以下であるとき、2つのエッジを接続して一のエッジとするエッジ接続部と、前記複数のエッジに基づいて、前記マーカーを検出するマーカー検出部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明の画像処理装置では、撮影された画像から検出された複数のエッジについて、当該エッジとの距離が最短となるエッジを検出し、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点間の距離が閾値以下であるとき、2つのエッジを接続して一のエッジとする。これにより、影や照明等によるマーカーのエッジの途切れを抑制し、エッジの端点及びエッジの角度を、より高精度に検出できる。
【0009】
このことにより、駐車区画線や車線境界線等、路面に描かれたマーカーの検出を、高精度に行うことが可能となる。この結果、駐車場等の路面に設けられた駐車枠の検出や、車線境界線によって区画された走行車線の検出等を、高精度に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態である画像処理装置が適用される駐車支援装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態である駐車支援装置の撮像装置の配置位置の一例を示す図である。
図3】実施の形態である画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図4A】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図4B】エッジ接続部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図5】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、車両と、駐車場の路面上に描かれた駐車区画線の一例を示す。
図6A】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、俯瞰画像及び俯瞰画像から検出されたエッジを模式的に示した図である。
図6B】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、影によって途切れたエッジが接続されたイメージを示す。
図7】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、(a)は影によって途切れた駐車区画線のエッジを示し、(b)は木漏れ日の影響によって検出されたエッジを示す。
図8】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、(a)はエッジAと所定距離の範囲内で抽出されたエッジBの概略図であり、(b)は2つのエッジA、Bの端点間の走査手順を説明するための図である。
図9】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、(a)は短エッジA1と長エッジB1との組を示す図であり、(b)は長エッジA2と短エッジB2との組を示す図である。
図10】実施の形態である画像処理装置の動作の一例を説明するための図であり、(a)は長エッジA3と短エッジB3との組を示す図であり、(b)は短エッジA4と長エッジB4との組を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(駐車支援装置の概略構成)
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態である画像処理装置が適用される駐車支援装置の概略構成を示すブロック図である。図2は駐車支援装置の撮像装置の配置位置の一例を示す図である。なお、以下では、駐車支援装置について説明するが、本発明の実施の形態である画像処理装置が適用される装置は駐車支援装置に限定されることはなく、走行車線を走行する車両の走行を支援する走行支援装置等にも適用できる。
【0012】
図1に示すように、駐車支援装置1は、車両V(図2参照)に搭載され、駐車支援動作を行う。具体的には、駐車支援装置1は、この車両Vが駐車可能な駐車枠を認識する。そして、駐車支援装置1は、認識した駐車枠に車両Vを駐車させるようにこの車両Vを制御する。
【0013】
車両Vの前後左右には、図2に示すように複数の小型カメラ(撮像装置)が備えられている。
【0014】
具体的には、車両Vのフロントバンパまたはフロントグリルには、車両Vの前方に向けて前方カメラ20aが装着されている。車両Vのリアバンパまたはリアガーニッシュには、車両Vの後方に向けて後方カメラ20bが装着されている。車両Vの左ドアミラーには、車両Vの左側方に向けて左側方カメラ20cが装着されている。車両Vの右ドアミラーには、車両Vの右側方に向けて右側方カメラ20dが装着されている。
【0015】
前方カメラ20a、後方カメラ20b、左側方カメラ20c、右側方カメラ20dには、それぞれ、広範囲を観測可能な広角レンズや魚眼レンズが装着されており、4台のカメラ20a~20dで車両Vの周囲の路面を含む領域を漏れなく観測できるようになっている。これらカメラ20a~20dにより、車両Vの周囲の路面を撮像する撮像装置が構成されている。なお、以下の説明において、個々のカメラ(撮像装置)20a~20dを区別せずに説明する場合は単にカメラ20として説明する。
【0016】
図1に戻って、駐車支援装置1は、前方カメラ20a、後方カメラ20b、左側方カメラ20c、右側方カメラ20dと、カメラECU21と、ナビゲーション装置30と、車輪速センサ32と、操舵角センサ33とを有する。
【0017】
カメラECU21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成されたマイコンを主体として構成される。カメラECU21は、カメラ20を制御するとともに、カメラ20が検知した情報を用いて、俯瞰画像の生成処理や、駐車枠を検出する検出処理や、検出した駐車枠に車両Vを駐車できるか否かを判定する判定処理等を行う。
【0018】
ナビゲーション装置(表示装置)30は画像表示機能を有するモニター31を有する。ナビゲーション装置30は、経路案内用の地図データ等が格納された記憶部を有する。ナビゲーション装置30は、この地図データ等及び図略のGPS装置等により検出された車両Vの現在位置に基づいて、ナビゲーション装置30の操作者が設定した目標地点までの経路案内を行う。経路案内動作中の各種画像はモニター31に表示される。
【0019】
車輪速センサ32は、車両Vの車輪速を検知するセンサである。車輪速センサ32で検知された検知情報(車輪速)は、車両制御ECU40に入力される。
【0020】
操舵角センサ33は、車両Vのステアリングの操舵角を検知する。車両Vが直進状態で走行するときの操舵角を中立位置(0度)とし、その中立位置からの回転角度を操舵角として出力する。操舵角センサ33で検知された検知情報(操舵角)は、車両制御ECU40に入力される。
【0021】
さらに、駐車支援装置1は、車両制御ECU40と、ステアリング制御ユニット50と、スロットル制御ユニット60と、ブレーキ制御ユニット70とを有する。
【0022】
車両制御ECU40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成されたマイコンを主体として構成される。車両制御ECU40は、カメラECU21、車輪速センサ32及び操舵角センサ33から入力された各検知情報に基づいて、車両Vの駐車を支援する各種処理を実行する。
【0023】
すなわち、例えば図略の自動駐車開始スイッチを運転手がオン操作して駐車支援装置1を作動させると、車両制御ECU40は、カメラECU21が駐車可と判定した駐車枠に車両Vを自動で駐車させる自動駐車処理を実行する。
【0024】
ステアリング制御ユニット50は、車両制御ECU40で決定した車両制御情報に基づいて、パワステアクチュエータ51を駆動して、車両Vの操舵角を制御する。
【0025】
スロットル制御ユニット60は、車両制御ECU40で決定した車両制御情報に基づいて、スロットルアクチュエータ61を駆動して、車両Vのスロットルを制御する。
【0026】
ブレーキ制御ユニット70は、車両制御ECU40で決定した車両制御情報に基づいて、ブレーキアクチュエータ71を駆動して、車両Vのブレーキを制御する。
【0027】
なお、カメラECU21、車輪速センサ32及び操舵角センサ33と、車両制御ECU40との間は、車内LAN(Local Area Network)であるセンサ情報CAN(Controller Area Network)80によって接続される(「CAN」は登録商標)。
【0028】
また、ステアリング制御ユニット50、スロットル制御ユニット60及びブレーキ制御ユニット70と、車両制御ECU40との間は、車内LANである車両情報CAN81によって接続される。
【0029】
以上の構成を有する駐車支援装置1において、本実施の形態の画像処理装置100は、カメラECU21により主に構成されている。
【0030】
(画像処理装置の機能構成)
図3は、本実施の形態である画像処理装置100の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態である画像処理装置100は、制御部110及び記憶部120を有する。制御部110は、カメラECU21のCPUから主に構成されており、記憶部120は、カメラECU21のROM、RAM、フラッシュメモリ等から主に構成されている。
【0031】
制御部110は、画像処理装置100全体の制御を行う。加えて、制御部110は、後述するエッジ検出部111、エッジ接続部112、マーカー検出部113、及び駐車枠検出部114により検出、推定された駐車スペースを区画する駐車区画線や駐車スペースに基づいて、車両Vが駐車可と判定した駐車枠にこの車両Vを自動で駐車させる自動駐車処理を車両制御ECU40に実行させるために、自動駐車処理に必要な情報(駐車スペース、駐車枠の位置、形状など)をこの車両制御ECU40に送出する。
【0032】
車両制御ECU40は、制御部110から提供された情報に基づいて、さらに、車輪速センサ32及び操舵角センサ33(図3ではセンサとのみ図示している)が検知した検知情報に基づいて、パワステアクチュエータ51、スロットルアクチュエータ61及びブレーキアクチュエータ71(図3ではアクチュエータとのみ図示している)を駆動制御する。
【0033】
制御部110はCPU、FPGAなどのプログラマブルロジックデバイス、ASIC等の集積回路に代表される演算素子を有する。
【0034】
画像処理装置100の記憶部120には図略の制御用プログラムが格納されており、この制御用プログラムが画像処理装置100の起動時に制御部110により実行されて、画像処理装置100は図3に示すような機能構成を備えたものとなる。特に、本実施形態の画像処理装置100は、後述するように高速の画像処理を行うので、高速演算可能な演算素子、例えばFPGAなどを有することが好ましい。
【0035】
この図3に示すように、制御部110は、エッジ検出部111、エッジ接続部112、マーカー検出部113、駐車枠検出部114、及び表示制御部115を有する。なお、画像処理装置100及び画像処理方法を、走行支援装置及び走行支援方法に適用する場合は、図3の駐車枠検出部114に代えて走行車線検出部を有する構成とすることで、走行車線を検出する画像処理装置及び画像処理方法が得られる。
【0036】
エッジ検出部111は、車両Vの周囲の路面Rを撮像するカメラ20から出力される画像信号に基づいて、エッジ検出により駐車場等の路面上の駐車区画線のエッジを検出する。また、走行支援装置に適用されるときは、エッジ検出部111は、路面上の車線境界線等のマーカーのエッジを検出する。ここでいうマーカーとは、駐車区画線や走行車線等の境界線をいう。駐車区画線とは、主に路面R上に設けられた駐車領域を区画する境界線(直線)として描かれた線のことである。図5に、車両Vと、この車両Vが駐車を行おうとしている駐車場Pの路面R上に描かれた駐車区画線200の一例を示す。駐車区画線200の間が、駐車スペースを表す駐車枠201である。
【0037】
また、走行車線を検出する場合は、車線境界線は、主に路面上に設けられた走行車線(走行レーン)を区画する境界線として描かれ、途切れのない実線(直線又は曲線)、又は所定長さの短い線分が連続する破線(直線又は曲線)である。なお、マーカーは、駐車区画線や走行車線に限定されることはなく、例えば、駐停車禁止領域を表す斜線、横断歩道、車椅子マーク等も、マーカーとして挙げられる。
【0038】
駐車区画線及び車線区画線は、一般的には白線で示されるが、白線以外の、例えば黄色線等、白以外の色の線で描かれている場合もある。このため、エッジ検出部111によって検出される駐車区画線や車線境界線は、「白線」に限定されるものではなく、一般に、路面との間にコントラストを有する境界線を駐車区画線や車線境界線として検出すればよい。
【0039】
エッジ検出部111は、画像を所定方向に走査(スキャン)して、画像信号に含まれる輝度値又は色のパラメータ情報(例えば、RGB、RGBA等)が、閾値よりも大きく変化する画素を検出し、検出した画素の並びが所定以上の長さとなっている部分をエッジとして検出する。ここでいう走査とは、所定方向に向かって1つずつ画素を選択し、隣り合った画素間で、輝度又は色のパラメータを比較していくことをいう。
【0040】
なお、走査の方向は、路面Rに描かれた駐車区画線に直交する方向に設定するのが望ましい。すなわち、図5に示すように、駐車区画線200が車両Vの進行方向と直交する方向に延在しているときには、俯瞰画像G上で進行方向に沿って走査するのが望ましい。これに対して、駐車区画線200が車両Vの進行方向に沿って延在しているときは、俯瞰画像G上で進行方向と直交する方向に走査するのが望ましい。一般には、駐車区画線200が延びている方向は未知であるため、エッジ検出部111は、俯瞰画像G上で車両Vの進行方向及びこれに直交する方向にそれぞれ沿って、2回に分けて走査することが望ましい。
【0041】
輝度値に基づいてエッジを抽出する場合は、エッジ検出部111は、輝度が低く暗い画素(例えば黒い画素)から、閾値よりも大きな差を持って輝度が高く明るい画素(例えば白い画素)に変化するエッジ、つまり隣り合った画素の輝度差がプラス方向に所定値よりも大きくなるエッジを、プラスエッジ(「立上りエッジ」ともいう)として検出する。このプラスエッジの検出は、走査位置が路面Rから駐車区画線200と推定されるものに切替わったことを示す。
【0042】
また、エッジ検出部111は、輝度が高く明るい画素から、閾値よりも大きな差を持って輝度が低く暗い画素に変化したエッジ、つまり隣り合った画素の輝度差がマイナス方向に所定値よりも大きくなるエッジを、マイナスエッジ(「立下がりエッジ」ともいう)として検出する。このマイナスエッジの検出は、走査位置が駐車区画線200と推定されるものから路面Rに切替わったことを示す。
【0043】
これに対して、色のパラメータに基づいてエッジを抽出する場合は、路面Rの色のパラメータと、駐車区画線200の色のパラメータとを比較する。エッジ検出部111は、色のパラメータの値が大きくなる方向に変化(マイナス方向に変化)した画素の並びをマイナスエッジとして検出し、色のパラメータの値が小さくなる方向に変化(プラス方向に変化)した画素の並びをプラスエッジとして検出する。また、路面よりも駐車区画線の輝度が低い(或いは色のパラメータが大きい)場合は、輝度値や色のパラメータの変化は逆転する。いずれの場合でも駐車区画線等のマーカーでは、その両側縁にプラスエッジとマイナスエッジが検出されるため、後述のペアの抽出が可能である。
【0044】
上記走査を複数ライン(行)分繰り返すことで、走査方向と交差する方向に連続するプラスエッジで構成される線分(画素列)を、プラスエッジの線分として抽出する。さらに連続するマイナスエッジで構成される線分(画素列)を、マイナスエッジの線分として抽出する。
【0045】
図6Aに、俯瞰画像G及び俯瞰画像Gから検出されたエッジ(太直線と太破線)を模式的に示す。図6Aの例では、俯瞰画像GのX軸(ここでは車両Vの走行方向に沿う方向であって駐車区画線200の延在方向に直交する方向)を図中の左右方向に設定し、Y軸(ここでは駐車区画線200の延在方向)を図中の上下方向に設定する。エッジ検出部111は、俯瞰画像Gを、車両Vの走行方向に直交する方向であって図中の左から右(X軸正方向)に向けて走査し、プラスエッジ及びマイナスエッジを検出していく。なお、図中の右から左、つまりX軸負方向に画素を走査した場合、プラスエッジとマイナスエッジは逆転する。また、画像信号に含まれる色のパラメータ(例えば、RGB、RGBA等)の情報に基づいてプラスエッジ、マイナスエッジを検出してもよい。この場合、所定の色の大きさ(階調)の変化に基づいてこれらを検出する。
【0046】
ところで、車両Vの影等の大きな影が駐車区画線200に重なると、俯瞰画像G上でエッジを検出したときに、図6Aに示すように、一の駐車区画線のエッジが路面Rと影との境界近傍で途切れてしまうことがある。これは、影になっていない日向部分と、影になった日陰部分とで、路面の輝度が互いに異なるとともに、駐車区画線の輝度も互いに異なることに起因する。
【0047】
このため、日向部分と日陰部分での路面と駐車区画線との輝度差の値や、エッジの角度(方向)が異なって検出され、連続性がないことから、日向部分のエッジと日陰部分とのエッジとが別々のエッジとして検出される。また日向と日陰の境界近傍のエッジが不検出となることもある。この結果、駐車区画線のエッジが途切れて検出され、駐車枠の検出や車線検出の精度に影響することがある。また、道路照明灯やヘッドライト等で駐車区画線の一部が強く照明された場合、この強い照明部分と非照明部分とで、画像中の路面や駐車区画線の輝度差の値等が異なったり、白飛びが生じたりするため、同様の現象が起こり得る。
【0048】
このような検出精度への影響を回避するため、エッジ接続部112によって、途切れたエッジ同士を接続する処理を行っている。本実施の形態では、エッジ接続部112は、エッジ検出部111によって検出された複数のエッジの各々に対して、当該エッジとの距離が最短となるエッジを検出し、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジを、接続の候補となるエッジの組として検出する。また、当該エッジとは、複数のエッジから順に一つずつ選択し、所定距離の範囲内にある他のエッジを検出する対象となるエッジをいう。
【0049】
エッジ接続部112は、検出された各エッジの組に対して、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点間の距離が閾値以下であるとき、2つのエッジを接続して一のエッジ(以下、「接続エッジ」ということがある。)とする。エッジ接続部112は、当該エッジと、当該エッジとの距離が最短となるエッジとの端点間を、当該エッジが延びる方向に応じた方向で走査して、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジとの間に、マーカーと判定できる情報が含まれているか否かを判定する。エッジ接続部112はマーカーと判定できる情報が含まれていると判定した場合は、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジとを接続するが、含まれていないと判定した場合は、これらを接続しない。
【0050】
本実施の形態のエッジ接続部112での処理を、より具体的に説明する。本明細書では、各エッジの線分の2つの端点のうち、エッジ検出で先に検出された端点(Y座標が原点に近い側)を「始点」といい、後に検出された端点(Y座標が原点から遠い側)を「終点」という。
【0051】
当該エッジとの距離が最短となるエッジの検出手順について、図7を参照して説明する。図7(a)は図6Aの俯瞰画像Gにおいて、影によって途切れた駐車区画線のエッジを示し、図7(b)は木漏れ日の影響によって検出されたエッジを示す。この図7(b)及び図6Aに示すように、木漏れ日等の影響により、複数のエッジ(ノイズ)が密集して検出されることがある。このようなノイズとなるエッジを接続すると、駐車区画線以外の線が駐車区画線として検出され、検出効率や検出精度に影響する。
【0052】
これを抑制するため、エッジ接続部112は、複数のエッジの各々に対して、当該エッジから所定距離の範囲内にある他のエッジの数をカウントする。カウント数が所定数(閾値)以上のときは、当該エッジを他のエッジと接続しないようにしている。
【0053】
例えば、図7(a)に示す例では、プラスエッジの線分Aの終点E1から、所定距離の範囲内(図中に円で示す範囲)にある他のプラスエッジを検索していくと、プラスエッジの線分Bが検出される。この場合、カウント数が1個(閾値未満)となり、プラスエッジの線分Aとプラスエッジの線分Bとが接続候補のエッジの組となる。なお、エッジの線分が複数個(ただし、閾値未満)検出された場合は、プラスエッジの線分Aとの距離が最短となるエッジの線分Bが、接続先のエッジの線分となる。
【0054】
これに対して、影等(建物の影や木漏れ日等)によりノイズのエッジが検出された場合は、図7(b)に示すように、プラスエッジの線分A’に対して、その終点E’から所定距離の範囲内にある他のエッジを検索していくと、多数のエッジが検出され、カウント数が所定数(閾値)以上となる。つまり、当該エッジの線分A’もノイズの一つであると判定でき、当該エッジの線分A’を他のエッジと接続しない。これにより、光の反射やゴミ等によるノイズのエッジが不測に接続されることはなく、その後のフィルタリング等でノイズが除去され、マーカーの検出効率及び検出精度の向上が図られる。
【0055】
また、エッジ接続部112は、当該エッジの線分Aと、抽出された当該エッジの線分Aから所定距離の範囲内にあるエッジの成分Bのすべての始点及び終点との距離を算出する。その算出手順を、図8(a)を参照して説明する。図8(a)には、当該エッジの線分A(以下、「エッジA」という。)と、所定距離の範囲内で抽出されたエッジの成分B(以下、「エッジB」という。)の概略図である。エッジAの始点をSaとし、終点をEaとし、エッジBの始点をSbとし、終点をEbとする。
【0056】
そして、エッジAを含む直線L(エッジAを延長した直線)の式を算出し、この式と、エッジBの始点Sb及び終点Ebの画像上での位置座標に基づいて、直線LとエッジBの始点Sbとの距離Dsと、直線LとエッジBの終点Ebとの距離Deとを算出する。この直線Lとの距離Ds、Deが、所定値(閾値)以下であるか否かを判定する。閾値を超えたと判定された場合は、このエッジBはノイズである可能性があるため破棄する。以上の距離の算出と判定とを、当該エッジAに対して抽出されたすべてのエッジBについて行う。
【0057】
そして、距離Ds、Deが、所定値(閾値)以下であるエッジBが存在する場合は、この条件を満たすエッジBの中から、エッジAとの距離が最短となるエッジBを取得し、エッジAとの接続の候補とする。
【0058】
次に、エッジAと、エッジAとの距離が最短となるエッジBとの組の、互いに対向する端点間の走査手順について、図8(b)を参照して説明する。図8(b)は、2つのエッジAとエッジBの端点間の走査手順を説明するための図である。
【0059】
エッジAの終点EaとエッジBの始点Sbとの間を、エッジA及びエッジBの延びる方向と交差する方向に、所定長さ分走査する。この「所定長さ」は、駐車区画線の幅の長さ(又は画素数)+閾値とすることで、途切れた部分の駐車区画線のエッジを、より精度よく検出できる。
【0060】
このとき、終点Eaと始点Sbを含む画素のラインは、必ず走査することが望ましい。しかし、終点Ea1と始点Sb1との間は、必ずしもすべての画素のラインを走査する必要はなく、Y軸方向において所定間隔で複数ラインを走査すればよい。この走査での輝度差や方向の閾値は、エッジ検出部111がエッジを検出する際の輝度差や方向の閾値よりも小さくてよい。
【0061】
この走査によって、輝度の立上り(プラスエッジ)と立下がり(マイナスエッジ)が検出されたとき、マーカーと判定できる情報が検出されたと判定する。この図8(b)に、走査するラインと方向を矢印で示す。また、検出されたプラスエッジを白丸で示し、マイナスエッジを黒丸で示す。
【0062】
ここで、輝度の立上がりと立下りが、終点Ea、始点Sbをそれぞれ含む画素のライン及び他のすべてのラインでも検出された場合は、駐車区画線が検出されたと判定する。なお、他のラインの中で、1ライン程度が輝度の立上がりと立下りが検出されなかった場合でも、駐車区画線が検出されたと判定する。いずれの条件も満たさないときは、駐車区画線が検出されないと判定する。これにより、駐車区画線の検出精度が向上する。
【0063】
そして、2つのエッジの端点間に駐車区画線が検出され、かつ2つのエッジ間の距離が閾値以下である場合は、2つのエッジを接続して一のエッジ(接続エッジ)とする。つまり、図8(b)の例では、エッジAの始点を接続エッジの始点とし、エッジBの終点を接続エッジの終点とした接続エッジの情報を記憶部120に記憶する。よって、エッジAとエッジBの情報は記憶部120から削除される。
【0064】
これに対して、2つのエッジの端点間に線のエッジが検出されないか、2つのエッジ間の距離が閾値超である場合は、互いに異なる物体から検出されたエッジ、もともと分離したエッジであることから、接続を行わない。よって、エッジAとエッジBの情報(始点、終点の座標情報)は、そのまま記憶部120へ記憶される。
【0065】
ところで、接続候補のエッジの組は、同じ駐車区画線のエッジであるため、2つのエッジの延びる方向(角度)は原則同じであるが、撮影画像のゆがみ補正や俯瞰画像への変換処理の影響で角度に差を生じる場合がある。この角度差が大きいと、2つのエッジを連結したときに、駐車区画線の検出精度に影響するため、接続しないほうがよい場合がある。
【0066】
このため、本実施の形態では、接続候補とされたエッジの組の、当該エッジと、当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点間の距離を算出し、その距離が閾値以下であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、両エッジを接続するか否かを判定している。両エッジの角度差が大きい程、これらの距離が大きくなる。
【0067】
すなわち、エッジ接続部112は、接続の候補とされたエッジの組の2つのエッジのうち、長いエッジを長エッジとし、短いエッジを短エッジとし、長エッジが構成する直線の式を算出する。そして、下記(1)、(2)の条件の何れかを満たすときに、長エッジと短エッジとを接続して一のエッジとする。
【0068】
(1)長エッジで構成される直線と短エッジの始点との距離が第1の閾値以下であり、かつ、この直線と短エッジの終点との距離が第2の閾値(ただし、第1の閾値<第2の閾値)以下である。
(2)長エッジの直線と短エッジの始点との距離が第2の閾値以下であり、かつ、この直線と短エッジの終点との距離が第1の閾値以下である。
【0069】
図9(a)は、短エッジA1と長エッジB1の組において、上記(1)の条件を満たす場合の例である。長エッジB1を延長した直線(破線)L1と、短エッジA1の始点Sa1との距離D1が、第1の閾値(厳しめの閾値)以下であり、かつ、直線L1と短エッジA1の終点Ea1との距離D1が、第2の閾値(緩めの閾値)以下である。
【0070】
図9(b)は、短エッジA2と長エッジB2の組において、上記(2)の条件を満たす場合の例である。長エッジB2を延長した直線(破線)L2と、短エッジA2の始点Sa2との距離D3が、第2の閾値(緩めの閾値)以下であり、かつ、直線L2と短エッジA2の終点Ea2との距離D4が、第1の閾値(厳しめの閾値)以下である。
【0071】
また、上記条件(1)又は(2)を満足する2つのエッジを接続する場合、実際の駐車区画線の端縁の角度により近づけるため、本実施形態のエッジ接続部112は、当該エッジとの距離が最短となるエッジに近い端点とは反対側にある当該エッジの端点を、一のエッジの始点の座標とする。また、当該エッジを延長した直線と、当該エッジに近い、当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点とは反対側の端点のx座標との距離が閾値以内のとき、当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点を、一のエッジの終点の座標とする。これに対して、当該エッジを延長した直線と、当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点のx座標との距離が閾値より大きいときは、当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点のx座標から当該エッジを延長した直線へ垂直に向かった交点を、一のエッジの終点の座標とする。より詳細には、以下の処理を行っている。
【0072】
エッジ接続部112は、(3)長エッジの終点と短エッジの始点とが対向している場合は、長エッジの始点の座標を、接続した一のエッジの始点の座標とする。終点の座標は、以下の条件に応じて設定する。
【0073】
(3-1)長エッジを延長した直線と短エッジの終点のx座標との距離(差分)が第3の閾値(厳しめの閾値)以下であり、かつ直線と短エッジの終点との距離が第4の閾値(緩めの閾値)以下である条件を満たすとき、短エッジの終点の座標を、一のエッジの終点の座標とする。
(3-2)上記(3-1)の条件を満たさない場合は、短エッジの終点のx座標から直線へ垂直に向かった交点の座標を、一のエッジの終点の座標とする。
【0074】
これに対して、(4)長エッジの始点と短エッジの終点とが対向している場合は、長エッジの終点座標を、一のエッジの終点座標とし、短エッジの始点座標を、一のエッジの始点座標とする。
【0075】
図10に具体例を示す。図10(a)は、上記(3)の条件を満たす具体例である。当該エッジであるエッジA3が長エッジであり、エッジA3との距離が最短となるエッジB3が短エッジである。長エッジA3の終点Ea3と、短エッジB3の始点Sb3とが対向している。この場合において、長エッジA3が構成する直線L3と、短エッジB3の終点Eb3のX座標の差分をmとし、直線L3と短エッジB3の終点Eb3との距離をD5とする。
【0076】
長エッジA3と短エッジB3を接続した一のエッジ(接続エッジ)の始点の座標は、長エッジA3の始点Sa3の座標(x3,y3)となる。また、差分m、距離D5が、(3-1)の条件:差分m≦第3の閾値、かつ距離D5≦第4の閾値を満たす場合は、短エッジB3の終点Eb3の座標(x4,y4)が、接続エッジの終点の座標となる。これに対して、(3-2)場合、短エッジB3の終点Eb3からの垂線hと直線L3との交点の座標(x5,y5)が、接続エッジの終点の座標となり、終点の位置が補正される。
【0077】
図10(b)は、上記(4)の条件を満たす具体例であり、当該エッジであるエッジA4が短エッジであり、エッジBが長エッジである。短エッジA4の終点Ea4と、長エッジB4(距離が最短となるエッジ)の始点Sb4とが対向している。この場合は、短エッジA4の始点Sa4の座標(x6,y6)が接続エッジの始点の座標となる。また、長エッジB4の終点Eb4の座標(x9,y9)が接続エッジの終点の座標となる。
【0078】
このように当該エッジと、当該エッジとの距離が最短となるエッジとの長短の相違、長エッジの直線と短エッジの終点との距離に応じて、接続エッジの始点と端点の座標を設定する。また、何れかの距離が閾値を超えたときは、接続エッジの終点に、補正した座標を設定する。これにより、接続エッジの端点を、より正確な位置に設定できる。
【0079】
以上のエッジ接続部112の動作により、途切れたエッジが接続される。図6Bに、エッジ接続部112によって途切れたエッジが接続されたイメージを示す。
【0080】
マーカー検出部113は、エッジ検出部111によって検出されたエッジ、及びエッジ接続部112によって接続されたエッジに基づいて、マーカーとしての駐車区画線を検出する。より詳細には、まず、予め決められた基準長さ以上の長さを有し、かつ予め決められた方向(角度)に延びるプラスエッジの線分及びマイナスエッジの線分を抽出する。
【0081】
基準長さは、例えば、車両Vの車長分(例えば5m)の長さとすることができるが、駐車区画線が短い場合等は、車長よりも短い長さとしている。角度は、車両Vの走行方向、画像を撮影したカメラ20の向き等を考慮した角度としている。図6の場合は、駐車区画線は、走行方向に対して駐車スペースに向かって略直角に延びる直線であるため、角度=90°±閾値としている。
【0082】
次いで、抽出された複数のプラスエッジの線分及びマイナスエッジの線分の各々の始点及び終点の位置(座標)を算出し、この位置に基づいて、所定間隔で隣り合うプラスエッジの線分とマイナスエッジの線分を抽出し、駐車区画線を構成するエッジのペアであると判定する。例えば、プラスエッジとマイナスエッジの距離が、例えば、駐車区画線の線幅±閾値の範囲内であるときに、これらをペアと判定する。これに対して、基準長さより短いエッジや、垂直方向以外に延びる長いエッジの線分、ペアの見つからないエッジの線分はノイズとして破棄する。図6Bに示す例では、駐車区画線K1,K2,K3,K4,K5,K6が検出される。
【0083】
駐車枠検出部114は、マーカー検出部113により検出された駐車区画線に基づいて、駐車枠及び駐車スペースを検出し、駐車枠登録データ121を記憶部120に記憶する。
【0084】
より具体的には、駐車枠検出部114は、まず、マーカー検出部113で検出された複数の駐車区画線のプラスエッジの線分及びマイナスエッジの線分のペアの中で、駐車スペースを構成する可能性のある向い合う2本の線を選択する。ここで選択される2本の線は、駐車スペースを仕切る一対の駐車区画線の左右両端を構成する線であり、所定の駐車区画線(例えば、図6Bに示すK3)のマイナスエッジの線分と、これに向かい合う駐車区画線(図6Bに示すK4)のプラスエッジの線分である。
【0085】
そして、駐車枠検出部114は、選択された2本のエッジの線分間の距離(隣り合う駐車区画線の内法寸法)を、各エッジの端点の座標に基づいて算出する。算出された距離が、所定範囲内(例えば、駐車スペース幅幅±閾値の範囲内)にあるか判定する。この距離が所定範囲内であれば、2本のエッジの線分で仕切られた領域を駐車スペースとして検出する。駐車スペース幅としては、普通自動車や小型貨物車用の駐車スペースであれば2m~3mが望ましい。大型貨物車やバス用の駐車スペースであれば、3.3m以上が望ましい。
【0086】
検出された駐車スペースを構成する向かい合うプラスエッジの線分とマイナスエッジの線分に沿った線を長辺とし、向かい合う両端をそれぞれ結んだ線を短辺とする矩形状の枠が駐車枠201(図5参照)であり、その内部が駐車スペースであると推定できる。
【0087】
エッジ接続部112によってエッジが高精度に検出され、その後のマーカー検出部113の処理によって駐車区画線が高精度に行われているので、駐車枠検出部114による駐車スペースの検出も高精度に行うことができる。つまり、影によって途切れた駐車区画線の端点がより正確な位置に補正され、駐車枠及び駐車スペースの形状や位置もより正確に検出できる。
【0088】
そして、駐車枠検出部114は、駐車スペースを区画する駐車枠201を構成する向かい合うプラスエッジの線分及びマイナスエッジの線分の端点の座標値を各々算出し、駐車枠登録データ121として記憶部120に登録する。このとき、駐車枠201の少なくとも車両Vに近い側の2つの端点の座標値を登録すれば、記憶容量をできるだけ少なくしつつ、駐車枠201を特定できるが、4点の座標値を登録してもよい。また、駐車区画線200の角度(延在方向)、その他自動駐車処理に必要な情報を駐車枠登録データ121に加えることもできる。
【0089】
また、駐車枠検出部114は、検出した駐車枠に車両Vを駐車できるか否かを判定する判定処理等を行うこともできる。例えば、検出された駐車スペースに他車両や障害物等が存在するときには、駐車ができないと判断して、駐車枠登録データ121として記憶部120に登録しないようにする。また、駐車枠検出部114は、車両Vから近い駐車枠、又は駐車し易い駐車枠を、駐車可能な駐車枠と判定し、駐車枠登録データ121として記憶部120に登録することもできる。
【0090】
表示制御部115は、カメラ20により撮像された車両Vの周囲の路面画像や、駐車枠検出部114により検出、推定された駐車枠を示す画像をこの路面画像に適宜重複して、あるいは単独でナビゲーション装置(表示装置)30のモニター31に表示させるための表示制御信号をナビゲーション装置30に送出する。
【0091】
記憶部120は、ハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体やROM、RAM等の半導体記憶媒体などの記憶媒体を有する。記憶部120には、制御部110における各種動作の際に用いられる各種データが一時的または非一時的に格納される。
【0092】
また、前述したように、記憶部120には、駐車枠登録データ121、パラメータデータ122が格納される。パラメータデータ122として、エッジ検出時の閾値、当該エッジとの距離が最短となるエッジを検出する際のエッジ間の距離の閾値、エッジの直線とエッジの始点、端点間の各種距離の閾値(第1、第2、第3、第4の閾値、)、カウント数の閾値、駐車区画線や車線境界線等、マーカーとしての境界線の基準長さ、駐車スペース幅及びその閾値等を格納できる。さらに、境界線の幅、延在方向の角度等、画像処理装置100が使用する様々なパラメータを格納できる。また、駐車支援装置1が使用される国、地域、駐車スペース(駐車枠)の形状や大きさ、走行車線間の距離や車線境界線の形状等に対応して、複数のパラメータを格納し、適切なパラメータを選択する構成とすることもできる。
【0093】
(画像処理装置の動作)
次に、本実施の形態である画像処理装置100の動作の一例を図4A図4Bのフローチャートを参照して説明する。
【0094】
図4は画像処理装置100の動作を説明するためのフローチャートであり、図4Bはエッジ接続部112の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図4A図4Bのフローチャートに示す動作は、運転者が図略の自動駐車開始スイッチを操作して自動駐車開始の指示入力を行うことにより開始する。
【0095】
図4Aに示すステップS1では、画像処理装置100の制御部110が、カメラ20により撮像された車両Vの周囲の路面Rの画像信号を取得する。
【0096】
ステップS2では、ステップS1により取得された画像信号に基づき、制御部110がこれら画像信号を合成した信号を生成する。ステップS2において合成して生成される信号は、あたかも車両Vの上方にカメラを設置して真下を見下ろしたような画像(俯瞰画像)をナビゲーション装置30に表示させるための信号である。このような俯瞰画像を表示するための信号を生成する技術は公知であり、一例として、特開平3-99952号公報や特開2003-118522号公報に開示された技術が知られている。
【0097】
図6は、合成して生成された信号に基づく俯瞰画像Gの一例である。この俯瞰画像Gは、カメラ20a~20dで撮影された画像信号に基づいて、それぞれ車両Vを真上から見下ろした俯瞰画像g1,g2,g3,g4を表示するための画像信号に変換して、さらに各画像信号を合成して生成された信号に基づいて表示される画像である。俯瞰画像Gの中心部分には、車両Vを真上から見下ろした状態を示すアイコンIが表示される。
【0098】
なお、ステップS2において、俯瞰画像Gを表示するための信号合成作業を行わず、あるいは、次のステップS3におけるプラスエッジとマイナスエッジの抽出の後にステップS2における信号合成作業を行うこともできる。しかしながら、信号合成作業を行ってからプラスエッジとマイナスエッジの抽出作業を行うほうが画像処理装置100の処理負担が低減できる。
【0099】
ステップS3(エッジ検出工程)では、前述したように、エッジ検出部111がステップS2で合成した俯瞰画像Gを所定方向に走査し、画像信号の輝度値に基づいて、画像中のプラスエッジ及びマイナスエッジを検出する(図6A参照)。
【0100】
次のステップS4(エッジ接続工程)では、エッジ接続部112が途切れたエッジ同士を接続する。エッジ接続部112によるエッジ接続工程の詳細を、図4Bのフローチャートを参照しながら説明する。
【0101】
エッジ接続工程では、図4Bに示すように、ステップS401~S405の近傍(「所定距離の範囲内」を意味する。)のエッジBの検出ループ処理を実行して、エッジ検出部111によって検出された複数のエッジ(エッジA)に対して、近傍に存在するエッジを抽出する。このステップS401~S405のループ処理は、すべてのエッジAに対する処理が終了するまで繰り返す。
【0102】
まず、ステップS402で、複数のエッジの中から、1つのエッジを選択し、これを当該エッジ(エッジA)とする。このエッジAの端点を中心として、所定距離の範囲内にあるエッジ(エッジB)を抽出する。エッジBを抽出したら、エッジ点数をカウントアップする。
【0103】
ステップS403で、所定距離の範囲内にあるエッジBが検出されたか判定し、検出された(エッジ点数>0)と判定したときは(YES)、エッジ点数と、検出したエッジBの情報を、エッジAの情報と対応して記憶部120に登録する。一方、1つも検出されない(エッジ点数=0)と判定したときは(NO)、ステップS404の処理をスキップし、S402に戻って、次のエッジAについて処理を行う。
【0104】
すべてのエッジAに対する処理が終了して、近傍のエッジBの検出ループ処理が終了したら、ステップS406へ進む。そして、ステップS406~SS416のエッジの接続ループ処理を実行して、影や照明等によって途切れたエッジを接続する。このステップS406~S416のループ処理は、すべてのエッジAとエッジBとの組み合わせに対する処理が終了するまで繰り返す。
【0105】
まず、ステップS407で、エッジAと1以上のエッジBとの組み合わせの中から、順番に選択された一組の組み合わせに関して、エッジ点数が閾値以下か否かを判定する。エッジ点数が閾値以下であると判定した場合は(YES)、ノイズが少なく、エッジAと接続可能なエッジBが存在し得るとして、ステップS408へと進む。
【0106】
これに対して、エッジ点数が閾値を超えたと判定した場合は(NO)、エッジBは木漏れ日等による多くのノイズであると推定され、当該エッジAをエッジの接続対象とせず、ステップS408以降の処理をスキップする。次のエッジAとエッジBとの組み合わせが存在すれば、ステップS407へ戻り、存在しない場合はエッジの接続ループを終了する。
【0107】
次のステップS408では、エッジAの直線と、すべてのエッジBの始点、終点との距離を算出する(図8(a)参照)。次のステップS409で、エッジAの直線とエッジBの始点、終点との距離が閾値以下のものが存在するか否かを判定する。閾値以下のものが存在すると判定した場合には(YES)、ステップS410へと進む。これに対して、閾値以下のものが存在しないと判定した場合には(NO)、ステップS410以降の処理をスキップする。次のエッジAとエッジBとの組み合わせが存在すれば、ステップS407へ戻り、存在しない場合はエッジの接続ループを終了する。
【0108】
ステップS410では、ステップS408で算出された距離に基づいて、エッジAとの距離が最短のエッジBを抽出する。次に、ステップS411で、エッジAの終点と、エッジBの始点との間を走査し、プラスエッジ及びマイナスエッジ(つまり、駐車区画線と判定できる情報)を検出する。ステップS412で、駐車区画線が検出されたと判定した場合は(YES)、ステップS413へと進む。前述のように、端点間の走査によってプラスエッジとマイナスエッジとが検出されたら、駐車区画線が検出されたと判定する。これに対して、駐車区画線が検出されなかった場合、つまりエッジが検出されなかった場合は(NO)、エッジAとエッジBとは互いに異なる物体から検出されたエッジであることから、接続対象から除外すべく、ステップS413以降の処理をスキップする。次のエッジAとエッジBとの組み合わせが存在すれば、ステップS407へ戻り、存在しない場合はエッジの接続ループを終了する。
【0109】
ステップS413では、エッジAとエッジBとを比較して、長いほうを長エッジとし、短いほうを短エッジとする。そして、図9(a)、図9(b)を用いて上記で説明したように、長エッジの直線の式を算出し、長エッジの直線と、短エッジの始点及び終点との距離を算出する。
【0110】
そして、ステップS414で、算出した各々の距離が、閾値以下か否かを判定する。より具体的には、長エッジで構成される直線と短エッジの始点との距離が第1の閾値以下であり、かつ、この直線と短エッジの終点との距離が第2の閾値(ただし、第1の閾値<第2の閾値)以下であるか、若しくは、直線と短エッジの始点との距離が第2の閾値以下であり、かつ、直線と短エッジの終点との距離が第1の閾値以下であるか判定する。
【0111】
このステップS414で、上記何れかの条件を満たすと判定した場合は(YES)、ステップS415へと進み、長エッジと短エッジとを接続し、一のエッジ(接続エッジ)として記憶部120に登録する。具体的には、上記で条件(3)、(4)、図10(a)、図10(b)を用いて説明したように、条件に応じて一方のエッジの始点を接続エッジの始点とし、他方のエッジの終点を接続エッジの終点として、各々の位置座標を記憶部120に登録する。次のエッジAとエッジBとの組み合わせが存在すれば、ステップS407へ戻り、存在しない場合はエッジの接続ループを終了する。
【0112】
これに対して、ステップS414で、上記何れの条件も満たさないと判定した場合は(NO)、ステップS415の処理をスキップし、エッジの接続を行わない。次のエッジAとエッジBとの組み合わせが存在すれば、ステップS407へ戻り、存在しない場合はエッジの接続ループを終了する。
【0113】
以上により、影や照明等によって途切れたエッジが適切に接続される。また、エッジが3以上に分断されている場合にも、これらが適切に接続される。つまり、1つ目のエッジについてエッジ接続処理を実行すると、1つ目と2つ目のエッジが接続されて接続エッジが生成される。その後、3つ目のエッジについてエッジ接続処理が実行されることで、3つ目のエッジに接続エッジが接続され、新たな接続エッジが生成される。同様に、4つ目以降のエッジと接続エッジとが接続されていき、複数に分断されたエッジが、最終的に一のエッジとなる。
【0114】
上記ステップS4のエッジ接続工程が終了したら、図4Aに戻り、次のステップS5へと進む。このステップS5(マーカー(駐車区画線)検出工程)では、エッジ検出部111によって検出された複数のプラスエッジ及びマイナスエッジ、並びに、エッジ接続部112によって接続されたプラスエッジ及びマイナスエッジに基づいて、前述したような手順で、マーカー検出部113がマーカーとしての駐車区画線を検出する。すなわち、所定の基準長さ以上の長さを有し、所定間隔で隣り合うプラスエッジの線分とマイナスエッジの線分のペアを検出し、駐車区画線を構成するペアと判定する。これに対して、木漏れ日やゴミ等によって検出されたノイズのエッジや、ペアが見つからないエッジは、駐車区画線のエッジとして抽出されず、破棄される。
【0115】
次いで、ステップS6で、マーカー検出部113は、プラスエッジの線分及びマイナスエッジの線分の始点及び終点の座標情報を、駐車区画線のデータとして記憶部120に登録する。
【0116】
その後、ステップS7へと進み、駐車枠検出部114は、記憶部120に登録された駐車区画線(図6Bの例では、駐車区画線K1~K6)に基づいて、前述したような手順で駐車枠及び駐車スペースを検出する。
【0117】
次のステップS8では、駐車枠検出部114が、各駐車枠201を構成する向かい合うプラスエッジの線分及びマイナスエッジの線分の端点の座標値を各々算出し、駐車枠登録データ121として記憶部120に登録する。記憶部120には、検出したすべての駐車枠登録データ121を登録してもよいし、駐車に適した駐車枠登録データ121のみを登録してもよい。
【0118】
以上により、画像処理装置100による処理が終了する。画像処理装置100によって検出された駐車枠登録データ121が、車両制御ECU40に送出され、車両Vの駐車を支援する各種処理が実行される。
【0119】
(画像処理装置の効果)
以上のように構成された本実施の形態である画像処理装置100では、エッジ検出部111が複数のエッジを検出し、エッジ接続部112が影や照明等によって途切れたエッジを接続する。そして、検出された複数のエッジ及び接続されたエッジに基づいて、マーカー検出部113がマーカーとしての駐車区画線を検出する。これにより、各エッジの端点が、より正確な位置に検出される。また、エッジの延びる方向(角度)もより真値に近い値とすることができる。したがって、路面に描かれたマーカーとしての駐車区画線の検出を、高精度に行うことが可能な画像処理装置100及び画像処理方法を提供できる。
【0120】
また、エッジ接続部112は、当該エッジと、当該エッジとの距離が最短となるエッジとの端点間を、当該エッジが延びる方向に応じた方向で走査して、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジとの間に、マーカーと判定できる情報が含まれているか否かを判定する。これにより、マーカーと判定できる情報が含まれている場合に、当該エッジと当該エッジとの距離が最短となるエッジとが接続され、途切れたマーカーを確実に接続でき、マーカーの端点座標をより真値に近い値とすることができる。よって、マーカーをより高精度に検出できる。
【0121】
また、エッジ接続部112は、当該エッジから所定距離の範囲内にある他のエッジの数をカウントし、カウント数が所定数以上のときは、当該エッジを他のエッジと接続しない構成である。これにより、影(建物の影や木漏れ日等)や光の反射によって検出されたノイズとなるエッジを接続の対象から除外でき、処理効率及び処理精度を向上できる。
【0122】
また、エッジ接続部112は、当該エッジとの距離が最短となるエッジに近い端点とは反対側にある当該エッジの端点を、一のエッジの始点の座標とする。また、当該エッジを延長した直線と、当該エッジに近い、当該エッジとの距離が最短となるエッジの端点とは反対側の端点のx座標との距離が閾値以内のとき、当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点を、一のエッジの終点の座標とする。これに対して、当該エッジを延長した直線と、当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点のx座標との距離が閾値より大きいときは、当該エッジとの距離が最短となるエッジの終点のx座標から当該エッジを延長した直線へ垂直に向かった交点を、一のエッジの終点の座標とする。この構成により、一のエッジの端点を、より正確に検出できるとともに、一のエッジの延びる方向を、実際のマーカーの延びる方向に、より近づけることができ、マーカーの検出精度を向上できる。
【0123】
また、マーカーが、駐車スペースを区画する駐車区画線である場合は、マーカー検出部113によって検出されたマーカーに基づいて、駐車枠を検出する駐車枠検出部114を備える構成とすることで、駐車枠をより高精度に検出可能となる。このため、画像処理装置100及び画像処理方法を、駐車支援装置及び駐車支援方法に適用することで、最終的な駐車位置の精度の向上が図られ、より適切な駐車支援が可能となる。
【0124】
また、マーカーが、走行車線を区画する車線境界線である場合は、マーカー検出部113によって検出されたマーカーに基づいて、走行車線を検出する走行車線検出部を備える構成とすることで、走行車線をより高精度に検出可能となる。このため、画像処理装置100及び画像処理方法を、走行支援装置及び走行支援方法に好適に用いることができ、より適切な走行支援が可能となる。
【0125】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0126】
例えば、上述の実施の形態である画像処理装置100では、画像信号に含まれる輝度や色のパラメータ(例えば、RGB、RGBA等)の情報の変化の大きさ及び変化の方向(プラス方向又はマイナス方向)に基づいてエッジを検出しているが、これらに限定されることはなく、画像信号に含まれる他の情報の変化の大きさ及び変化の方向に基づいてエッジを検出してもよい。
【符号の説明】
【0127】
20 カメラ(撮像装置) 20a 前方カメラ(撮像装置)
20b 後方カメラ(撮像装置) 20c 左側方カメラ(撮像装置)
20d 右側方カメラ(撮像装置) 100 画像処理装置
111 エッジ検出部 112 エッジ接続部
113 マーカー検出部 114 駐車枠検出部
200 駐車区画線(マーカー) 201 駐車枠
A エッジ(当該エッジ) B エッジ(距離が最短となるエッジ)
E 終点 G 俯瞰画像(画像)
L エッジを延長した直線 R 路面
S 始点 V 車両
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10