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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】光コネクタ挿抜工具
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G02B6/36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020046606
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021148871
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591044647
【氏名又は名称】株式会社 スズキ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】江藤 忠輝
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 雄一
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048174(JP,A)
【文献】特開2002-350677(JP,A)
【文献】米国特許第09595786(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタプラグ本体と前記コネクタプラグ本体から突出する係合ラッチとを有する光コネクタプラグを受け側コネクタに対して挿抜する光コネクタ挿抜工具であって、
基体と、
前記受け側コネクタに接続された前記光コネクタプラグの前記コネクタプラグ本体を保持するコネクタ保持部と、
前記係合ラッチを前記コネクタプラグ本体に近づく方向に押し倒す押圧部と、
を備え、
前記基体は、
主方向に延在する基体主部と、
前記基体主部から間隔をおいて前記基体主部に沿って延在する可動部と、
前記可動部の変位を規制する規制部材と、
を有し、
前記可動部の少なくとも先端部は、前記可動部の弾性的な曲げ変形によって、前記基体主部に近づくとともに前記コネクタ保持部から離れる第1方向、および前記基体主部から離れるとともに前記コネクタ保持部に近づく第2方向に変位可能であり、
前記規制部材は、前記可動部の変位を規制しない非規制位置と、前記可動部の前記第1方向の変位を規制する規制位置と、を切り替え可能であり、
前記押圧部は、前記可動部の先端部に、前記可動部から先端方向に突出して設けられ
前記押圧部は、前記可動部から先端方向に延出し、突出端部が前記光コネクタプラグに対して接近および離間する方向に弾性的に曲げ変形可能である、
光コネクタ挿抜工具。
【請求項2】
前記押圧部に、押し倒された前記係合ラッチに係止する係止凸部が形成されている、請求項1記載の光コネクタ挿抜工具。
【請求項3】
前記コネクタ保持部は、向かい合って配置されて前記光コネクタプラグを両側から保持する一対の保持板を有し、
一対の前記保持板は、前記基体から突出する側板と、前記側板の内面から互いに近づく方向に突出して設けられた返し部とを備える、請求項1または2に記載の光コネクタ挿抜工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ挿抜工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光ラックなどでは、複数の光コネクタプラグが接続される受け側光コネクタ(光レセプタクルなど)が用いられている。光コネクタプラグは、例えば、受け側光コネクタに係脱可能に係合する係合ラッチを備える。受け側光コネクタに対して光コネクタプラグを挿入および抜出するには、光コネクタ挿抜工具が用いられることがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4776332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記工具では、受け側光コネクタから光コネクタプラグを挿入および抜出する操作がしにくくなることがあった。
本発明の一態様は、光コネクタプラグの挿入および抜出操作がしやすい光コネクタ挿抜工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、コネクタプラグ本体と前記コネクタプラグ本体から突出する係合ラッチとを有する光コネクタプラグを受け側コネクタに対して挿抜する光コネクタ挿抜工具であって、基体と、前記受け側コネクタに接続された前記光コネクタプラグの前記コネクタプラグ本体を保持するコネクタ保持部と、前記係合ラッチを前記コネクタプラグ本体に近づく方向に押し倒す押圧部と、を備え、前記基体は、主方向に延在する基体主部と、前記基体主部から間隔をおいて前記基体主部に沿って延在する可動部と、前記可動部の変位を規制する規制部材と、を有し、前記可動部の少なくとも先端部は、前記基体主部に近づくとともに前記コネクタ保持部から離れる第1方向、および前記基体主部から離れるとともに前記コネクタ保持部に近づく第2方向に移動可能であり、前記規制部材は、前記可動部の変位を規制しない非規制位置と、前記可動部の前記第1方向の変位を規制する規制位置と、を切り替え可能であり、前記押圧部は、前記可動部の先端部に、前記可動部から先端方向に突出して設けられている、光コネクタ挿抜工具を提供する。
【0006】
前記押圧部は、前記基体から先端方向に延出する舌片状に形成され、突出端部が前記光コネクタプラグに対して接近および離間する方向に弾性的に曲げ変形可能であり、前記押圧部に、押し倒された前記係合ラッチに係止する係止凸部が形成されていることが好ましい。
【0007】
前記コネクタ保持部は、向かい合って配置されて前記光コネクタプラグを両側から保持する一対の保持板を有し、一対の前記保持板は、前記基体から突出する側板と、前記側板の内面から互いに近づく方向に突出して設けられた返し部とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、光コネクタプラグの挿入および抜出操作がしやすい光コネクタ挿抜工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の光コネクタ挿抜工具の第1形態の斜視図である。
図2図1に示す光コネクタ挿抜工具の斜視図である。
図3図1に示す光コネクタ挿抜工具の側面図である。
図4図1に示す光コネクタ挿抜工具の内部構造を示す断面図である。
図5図1に示す光コネクタ挿抜工具の第2形態の斜視図である。
図6図1に示す光コネクタ挿抜工具の斜視図である。
図7図1に示す光コネクタ挿抜工具の側面図である。
図8図1に示す光コネクタ挿抜工具の内部構造を示す断面図である。
図9】光コネクタプラグの一例の斜視図である。
図10】光レセプタクルの一例の斜視図である。
図11】光レセプタクルおよび光コネクタプラグの側面図である。
図12図1に示す光コネクタ挿抜工具を用いて光コネクタプラグを光レセプタクルから抜き出す操作を示す説明図である。
図13図1に示す光コネクタ挿抜工具を用いて光コネクタプラグを光レセプタクルから抜き出す操作を示す説明図である。
図14図1に示す光コネクタ挿抜工具を用いて光コネクタプラグを光レセプタクルから抜き出す操作を示す説明図である。
図15図1に示す光コネクタ挿抜工具を用いて光コネクタプラグを光レセプタクルに挿入する操作を示す説明図である。
図16】抜き出しの対象光コネクタプラグを誤った場合の操作を示す説明図である。
図17】抜き出しの対象光コネクタプラグを誤った場合の操作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の光コネクタ挿抜工具の説明に先だって、光コネクタプラグおよび光レセプタクルについて説明する。
【0011】
[光コネクタプラグ]
図9は、光コネクタプラグの一例の斜視図である。
図9に示すように、光コネクタプラグ51(光コネクタ)は、例えば、LC形光コネクタ(JIS C5964に準拠)である。光コネクタプラグ51は、外部光ファイバ61の端末に設けられる。
【0012】
光コネクタプラグ51は、ハウジング52と、光フェルール53と、係合ラッチ54と、ブーツ55とを備える。ハウジング52は、スリーブ状のプラグフレーム56と、ストップリング57とを備える。プラグフレーム56は、矩形筒状とされている。ハウジング52と光フェルール53とは、コネクタプラグ本体60を構成する。
【0013】
係合ラッチ54は、第1弾性片58と、第2弾性片59とを備える。第1弾性片58は、ハウジング52の側面から斜め後方に突出している。第1弾性片58は、光レセプタクル23の光コネクタ挿入孔27の内面に形成された被係合部(図示略)に係脱可能に係止する(図11参照)。第2弾性片59は、ハウジング52の側面における第1弾性片58の基端より後方の位置を基端として、斜め前方に突出している。
【0014】
第1弾性片58および第2弾性片59は、先端部が重なるように形成されている。そのため、第2弾性片59がコネクタプラグ本体60に近づく方向に弾性的に曲げ変形すると、第1弾性片58は第2弾性片59に押圧され、コネクタプラグ本体60に近づく方向に弾性的に曲げ変形する。
【0015】
[光レセプタクル]
図10は、光レセプタクルの一例の斜視図である。図11は、光レセプタクルおよび光コネクタプラグの側面図である。
図10に示すように、光レセプタクル23は、ハウジング25と、複数の光フェルール(図示略)とを備える。光レセプタクル23は、受け側コネクタの一例である。受け側コネクタとしては、光レセプタクルに代えて、光コネクタアダプタを用いてもよい。
【0016】
ハウジング25は、概略、直方体状に形成されている。ハウジング25には、複数の光コネクタ挿入孔27が形成されている。光コネクタ挿入孔27は、ハウジング25の前面に開口している。複数の光コネクタ挿入孔27は、一列に並んで形成されている。
【0017】
光コネクタ挿入孔27は、主部31と、ラッチ挿入部32とを有する。主部31には、光コネクタプラグ51のハウジング52(詳しくはプラグフレーム56)(図9参照)が挿入される。主部31は、矩形状の開口を有する。
【0018】
ラッチ挿入部32は、主部31の内面から外方に向けた凹状に形成されている。ラッチ挿入部32には、光コネクタプラグ51の係合ラッチ54(詳しくは第1弾性片58)(図9参照)が挿入される。ラッチ挿入部32の幅は、主部31の幅より小さい。
【0019】
光レセプタクル23の光フェルール(図示略)は、複数の光コネクタ挿入孔27内にそれぞれ設けられる。図11に示すように、光コネクタプラグ51が光コネクタ挿入孔27に挿入されると、光フェルール53(図9参照)は、光レセプタクル23の光フェルール(図示略)に突き合わせ接続される。
【0020】
[光コネクタ挿抜工具]
図1は、実施形態の光コネクタ挿抜工具10の第1形態の斜視図である。図2は、光コネクタ挿抜工具10の斜視図である。図3は、光コネクタ挿抜工具10の側面図である。図4は、光コネクタ挿抜工具10の内部構造を示す断面図である。
【0021】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用することがある。図1に示すように、X方向(主方向)は、基体1(詳しくは基体主部5)の長さ方向である。Y方向は基体1の幅方向である。Y方向はX方向と直交する。Z方向は基体1の高さ方向である。Z方向はX方向およびY方向に直交する。
【0022】
X方向のうち一方向を+X方向といい、その反対方向を-X方向という。-X方向は前方である。+X方向は後方である。Y方向のうち一方向を+Y方向といい、その反対方向を-Y方向という。Z方向のうち一方向を+Z方向(第1方向)といい、その反対方向を-Z方向(第2方向)という。+Z方向は上方である。-Z方向は下方である。上下方向を「高さ方向」ともいう。ここで定めた位置関係は、光コネクタ挿抜工具10の使用時の姿勢を限定しない。
【0023】
図1に示すように、光コネクタ挿抜工具10は、基体1と、コネクタ保持部2と、押圧部3と、把持部4とを備える。
図2に示すように、基体1は、基体主部5と、可動部6と、規制部材7とを備える。基体主部5は、XY平面に沿う板状に形成されている。基体主部5は、X方向(主方向)に延在する。
【0024】
可動部6は、棒状(スティック状)に形成されている。可動部6は、X方向(主方向)に延在する。可動部6は、基体主部5の下方に配置されている。可動部6は、基体主部5から間隔をおいて、基体主部5に沿って延在する。可動部6の断面(YZ平面に沿う断面)は、例えば矩形状である。可動部6の上面6aは、基体主部5の下面5bに対向する。可動部6の上面6aと、基体主部5の下面5bとは平行である。可動部6の幅(Y方向寸法)は、基体主部5の幅と同じである。
【0025】
可動部6は、先端部6c(前端部)(図4参照)が上昇および下降する方向に弾性的に曲げ変形可能である。先端部6cが上昇する方向(第1方向)は、先端部6cが基体主部5に近づくとともに、コネクタ保持部2から離れる方向である。先端部6cが下降する方向(第2方向)は、先端部6cが基体主部5から離れるとともに、コネクタ保持部2に近づく方向である。
【0026】
可動部6の下面6bには、段部8が形成されている。段部8は、光コネクタプラグ51を光レセプタクル23に対して抜き出しまたは挿入するときに、光コネクタプラグ51の傾きを規制する。これにより、光コネクタプラグ51の姿勢を適正化し、光コネクタプラグ51の抜き出しおよび挿入の操作性を良好とする。
【0027】
規制部材7は、規制部材本体11と、一対の側板部12,12と、一対の操作部13,13とを備える。規制部材本体11は、XY平面に沿う板状に形成されている。規制部材本体11は、X方向(主方向)に延在する。規制部材本体11の厚さは、基体主部5と可動部6との間隔と同じ、または基体主部5と可動部6との間隔より小さい。規制部材本体11は、基体主部5と可動部6との間に配置されている。
【0028】
側板部12は、XZ平面に沿う板状に形成されている。側板部12は、X方向(主方向)に延在する。側板部12,12は、それぞれ規制部材本体11の両方の側縁部(幅方向の両端)から上方に延出する。
操作部13は、YZ平面に沿う板状に形成されている。操作部13,13は、それぞれ側板部12,12の後端部に設けられている。操作部13は、側板部12の後端部から上方および外側方に突出している。
【0029】
規制部材7は、前後方向にスライド移動可能である。規制部材7が最も前進した位置を非規制位置P1(図1図4参照)という。非規制位置P1において、規制部材7は可動部6の上昇(上方への変位)を規制しない。規制部材7が非規制位置P1にあるときの光コネクタ挿抜工具10の形態を「第1形態」という。
【0030】
図1に示すように、把持部4は、基体主部5および可動部6の後端部に設けられている。把持部4は、作業者が光コネクタ挿抜工具10を手指で把持する。これにより、光コネクタプラグ51を光レセプタクル23に対して抜き出しまたは挿入する操作を容易にする。
【0031】
図5は、実施形態の光コネクタ挿抜工具10の第2形態の斜視図である。図6は、光コネクタ挿抜工具10の斜視図である。図7は、光コネクタ挿抜工具10の側面図である。図8は、光コネクタ挿抜工具10の内部構造を示す断面図である。
【0032】
規制部材7が最も後退した位置を規制位置P2(図5図8参照)という。規制位置P2において、規制部材7は可動部6の上昇(上方への変位)を規制する。規制部材7が規制位置P2にあるときの光コネクタ挿抜工具10の形態を「第2形態」という。規制部材7は、前後方向のスライド移動によって、非規制位置P1と規制位置P2とを切り替え可能である。
基体主部5、可動部6、および規制部材は、例えば、樹脂、金属等で構成される。
【0033】
図2に示すように、コネクタ保持部2は、一対の保持板15,15を備える。一対の保持板15,15は、向かい合って配置されている。保持板15は、固定部16と、側板17と、返し部18とを備える。一対の保持板15,15は、基体主部5の先端部5c(前端部)を含む部分の一方および他方の側面にそれぞれ設けられる。
【0034】
図2および図3に示すように、固定部16は、固定具19によって基体主部5の側面に固定される。
側板17は、固定部16から下方に延出する。側板17は、概略、XZ平面に沿う矩形板状とされている。基体主部5の一方の側面に設けられた保持板15の側板17と、基体主部5の他方の側面に設けられた保持板15の側板17とは、Y方向に間隔をおいて向かい合って配置されている。内面17a,17aは、一対の側板17,17の向かい合う面である。
【0035】
図4に示すように、返し部18は、側板17の下端部(突出端部)に設けられている。一対の側板17,17に形成された返し部18,18は、側板17,17の内面17a,17aから内方(互いに近づく方向)に突出する。返し部18は、光コネクタプラグ51が下方に移動するのを規制する。返し部18は、側板17の下端部に、側板17の全長にわたってX方向に沿って形成されている。返し部18は、概略、XY平面に沿う板状に形成されている。 一対の保持板15,15は、光レセプタクル23に接続された光コネクタプラグ51のコネクタプラグ本体60を両側から保持する。
保持板15は、例えば、金属、樹脂等で構成される。
【0036】
押圧部3は、可動部6の先端部6c(図4参照)に設けられている。押圧部3は、先端部6cから先端方向(前方、-X方向)に突出している。押圧部3は、板状(詳しくは舌片状)に形成されている。押圧部3は、未変形状態においては、XY平面に沿う板状である。押圧部3は、上下方向に弾性変形可能である。詳しくは、押圧部3は、突出端部3aが、光レセプタクル23に接続された光コネクタプラグ51のコネクタプラグ本体60に接近および離間する方向に弾性的に曲げ変形可能である。
【0037】
押圧部3の突出端部3aの下面(-Z方向側の面)には、係止凸部20が形成されている。係止凸部20は、押圧部3の突出端部3aの下面から下方に突出している。係止凸部20のXZ断面の形状は、例えば、半円形状である。係止凸部20のXZ断面の形状は特に限定されず、楕円弧状、多角形状(矩形状など)等としてよい。係止凸部20は、幅方向(Y方向)に延在する。係止凸部20は、押圧部3の全幅にわたって形成されていることが好ましい。
【0038】
[光コネクタ挿抜工具の使用方法]
(光コネクタプラグの抜き出し)
図12(A)~図14は、光コネクタ挿抜工具10を用いて光コネクタプラグ51を光レセプタクル23から抜き出す操作を示す説明図である。
図12(A)に示すように、光コネクタ挿抜工具10の規制部材7は規制位置P2にある。そのため、可動部6の上昇は規制される。
【0039】
図12(A)、図12(B)および図13に示すように、光コネクタ挿抜工具10を、基体1を光レセプタクル23に向けた姿勢として、光コネクタプラグ51に向けて前進させる。光コネクタプラグ51のコネクタプラグ本体60をコネクタ保持部2の側板17,17間に挿通させる(図2参照)。コネクタ保持部2は、コネクタプラグ本体60を保持する。
【0040】
図13に示すように、押圧部3は、光コネクタプラグ51の第2弾性片59をコネクタプラグ本体60に近づく方向に押し倒す。これにより、第1弾性片58は押圧され、コネクタプラグ本体60に近づく方向に弾性的に曲げ変形する。第1弾性片58は、光レセプタクル23のハウジング25の被係合部(図示略)から外れる。
【0041】
図14に示すように、押圧部3の係止凸部20は、第2弾性片59を乗り越え、第2弾性片59の先端部に係止する。係止凸部20は、押圧部3が上方に弾性的に曲げ変形した状態で第2弾性片59に係止するのが好ましい。係止凸部20は、押圧部3の弾性力によって係合ラッチ54(第2弾性片59)に係止するため、係合ラッチ54から外れにくくなる。
規制部材7によって可動部6の上昇は規制されるため、押圧部3の上昇は抑制される。そのため、係止凸部20は係合ラッチ54から外れにくくなる。
【0042】
図12(C)に示すように、光コネクタ挿抜工具10を光レセプタクル23から離れる方向に移動させると、光コネクタプラグ51は光レセプタクル23の光コネクタ挿入孔27から抜き出される。
【0043】
(光コネクタプラグの挿入)
図15(A)~図15(C)は、光コネクタ挿抜工具10を用いて光コネクタプラグ51を光レセプタクル23に挿入する操作を示す説明図である。
図15(A)に示すように、光コネクタ挿抜工具10の規制部材7は非規制位置P1にある。そのため、可動部6は上昇規制されていない。規制部材7を規制位置P2から非規制位置P1に移動させるには、操作部13,13を後方に押圧すればよい。
【0044】
図15(A)および図15(B)に示すように、光コネクタプラグ51を保持した光コネクタ挿抜工具10を光レセプタクル23に近づく方向に移動させる。
【0045】
可動部6の先端部6cは、光コネクタプラグ51の一部(例えば第2弾性片59)を、光レセプタクル23に近づく方向に押圧できる。段部8は、光コネクタプラグ51の一部(例えばブーツ55)を、光レセプタクル23に近づく方向に押圧できる。
光コネクタプラグ51は光レセプタクル23の光コネクタ挿入孔27に挿入される。第1弾性片58は、光レセプタクル23のハウジング25の被係合部(図示略)に係合する。
【0046】
図15(B)に示すように、可動部6は上昇規制されていないため、押圧部3の上昇は抑制されない。そのため、光コネクタ挿抜工具10を後退させると、可動部6の先端部および押圧部3の突出端部3aは上昇し、係止凸部20は、係合ラッチ54(第2弾性片59)から外れやすくなる。これにより、図15(C)に示すように、光コネクタ挿抜工具10を光コネクタプラグ51から外すことができる。
【0047】
(抜き出しの対象とする光コネクタプラグを誤った場合の操作)
図16(A)~図17(C)は、抜き出しの対象光コネクタプラグ51を誤った場合の操作を示す説明図である。
図16(A)および図16(B)に示すように、規制部材7は規制位置P2に配置した光コネクタ挿抜工具10を、光コネクタプラグ51に向けて前進させる。コネクタ保持部2は、コネクタプラグ本体60を保持する。第1弾性片58は、光レセプタクル23のハウジング25の被係合部(図示略)から外れる。押圧部3の係止凸部20は、第2弾性片59を乗り越え、第2弾性片59の先端部に係止する。
【0048】
ここで、光コネクタ挿抜工具10が保持した光コネクタプラグ51が、目的とする光コネクタプラグ51ではなく他の光コネクタプラグ51であったとする。このような場合に、光コネクタ挿抜工具10を光コネクタプラグ51から外す操作について説明する。
【0049】
図16(C)に示すように、操作部13,13を後方に押圧し、規制部材7を規制位置P2から非規制位置P1に移動させる。可動部6の上昇規制は解除される。
図17(A)に示すように、光コネクタ挿抜工具10を前進させ、第1弾性片58を、光レセプタクル23のハウジング25の被係合部(図示略)に係合させる。
【0050】
図17(B)に示すように、可動部6は上昇規制されていないため、押圧部3の上昇は抑制されない。そのため、光コネクタ挿抜工具10を後退させると、係止凸部20は、係合ラッチ54(第2弾性片59)から外れる。図17(C)に示すように、これにより、光コネクタ挿抜工具10を光コネクタプラグ51から外すことができる。
【0051】
[光コネクタ挿抜工具が奏する効果]
光コネクタ挿抜工具10では、規制部材7は、前後方向のスライド移動によって、非規制位置P1と規制位置P2とを切り替え可能である。そのため、規制部材7を規制位置P2に配置することで容易に光コネクタプラグ51を光レセプタクル23から抜き出すことができる。規制部材7を非規制位置P1に配置することで容易に光コネクタプラグ51を光レセプタクル23に挿入することができる。このように、光コネクタ挿抜工具10では、容易な操作で光レセプタクル23に対して光コネクタプラグ51を抜き出しおよび挿入することができる。
【0052】
光コネクタ挿抜工具10は、弾性変形可能な押圧部3を備え、押圧部3に、光コネクタプラグ51に係止する係止凸部20が形成されているため、容易な操作で光レセプタクル23に対して光コネクタプラグ51を抜き出しすることができる。係止凸部20は、押圧部3の弾性力によって係合ラッチ54に係止するため、係合ラッチ54から外れにくい。
【0053】
押圧部3は、舌片状に形成されているため、安定的に曲げ変形しやすい。そのため、光コネクタ挿抜工具10の操作性を高めることができる。
基体1は、X方向に沿う棒状に形成されているため、光レセプタクル23の前面側のスペースが小さい場合でも、光レセプタクル23に対して光コネクタプラグ51を抜き出しする操作が容易となる。
【0054】
コネクタ保持部2は、一対の保持板15,15を備える。一対の保持板15,15は、それぞれ側板17および返し部18を備えるため、光コネクタプラグ51を安定的に保持できる。
【0055】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
押圧部には、前記押圧部の延出方向と交差する方向に延出する操作部が設けられていてもよい。この構成によれば、操作部によって、押圧部を光コネクタプラグに接近および離間する方向に曲げ変形させることができるため、押圧部を係合ラッチに対して係止および解除することができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・基体、2・・・第1コネクタ保持部(コネクタ保持部)、3・・・押圧部、3a・・・突出端部、5・・・基体主部、6・・・可動部、6c・・・先端部、7・・・規制部材、10・・・光コネクタ挿抜工具、15・・・保持板、17・・・側板、18・・・返し部、20・・・係止凸部、23・・・光レセプタクル(受け側コネクタ)、51・・・光コネクタプラグ(光コネクタ)、54・・・係合ラッチ、60・・・コネクタプラグ本体、P1・・・非規制位置、P2・・・規制位置。
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