IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社三五の特許一覧

特許7453032排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体
<>
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図1
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図2
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図3
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図4
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図5
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図6
  • 特許-排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20240312BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F01N3/20 K
F01N3/28 311U
F01N3/28 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020054895
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156185
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高田 傑士
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 英介
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-133021(JP,A)
【文献】特開平8-326526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に排気ガスの流路を有する排気ガス浄化装置であって、
前記排気ガスの流路の上流側に設けられている柱状の電気加熱式担体と、
前記排気ガスの流路の下流側において、前記電気加熱式担体と離間して設けられている柱状ハニカム構造体と、
前記電気加熱式担体及び前記柱状ハニカム構造体の外周面を覆うように設けられている缶体状のハウジングと、
前記電気加熱式担体の外周面に電気的に接続されている導電体と、
を備え、
前記ハウジングが、前記電気加熱式担体と前記柱状ハニカム構造体との離間位置に対応する部位に貫通孔を有し、
前記導電体が、前記電気加熱式担体の外周面から、前記電気加熱式担体と前記柱状ハニカム構造体との離間位置まで延びる延伸部を有し、且つ、
前記導電体の延伸部が、外部電源に接続するための電気接続端子を前記ハウジングの外側から前記貫通孔を介して前記電気加熱式担体の径方向に挿入した際に、前記電気接続端子と接続可能な位置に配置されており、
前記導電体の延伸部の少なくとも一部が、前記電気加熱式担体の下流側の端面から、前記電気加熱式担体の径方向外側へ向かって傾斜している排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記柱状ハニカム構造体の径が前記電気加熱式担体の径より大きく、
前記ハウジングの、前記電気加熱式担体と前記柱状ハニカム構造体との間に対応する部位が、前記排気ガスの流路の下流側に向かうにつれて拡径している請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記排気ガス浄化装置が、外部電源に接続するための電気接続端子を有し、
前記電気接続端子が、前記ハウジングの外側から前記貫通孔を介して前記導電体の延伸部と接続されている請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記ハウジングと前記電気加熱式担体との間、及び、前記ハウジングと前記柱状ハニカム構造体との間に設けられ、前記電気加熱式担体及び前記柱状ハニカム構造体を保持する保持マットを更に備えた請求項1~3のいずれか一項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記電気加熱式担体が、
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1の端面から第2の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、
前記柱状ハニカム構造部の外周壁の表面に配設された電極層と、
を備え、
前記導電体が、前記電気加熱式担体の前記電極層に電気的に接続されている請求項1~4のいずれか一項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記電気加熱式担体の前記柱状ハニカム構造部の外周壁の表面に配設された電極層が、前記柱状ハニカム構造部の外周壁の表面に、前記柱状ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように配設された一対の電極層である請求項5に記載の排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン始動直後の排気ガス浄化性能の低下を改善するため、電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは、例えば、導電性セラミックスからなる柱状のハニカム構造体に金属電極を接続し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、エンジン始動前に触媒の活性温度まで昇温できるようにしたものである。
【0003】
EHCを自動車等の排気ガスの流路の上流側へ設け、下流側にハニカム構造体を設けた排気ガス浄化装置が知られている。当該排気ガス浄化装置において、EHCに電流を流すためには、EHCを外部配線に電気的に接続させる必要がある。その接続方法として、特許文献1には、導電体を、下流側のハニカム構造体の表面或いは内部へ通して、上流側のEHCまで配線する方法が開示されている。また、特許文献2には、EHCの上流側からEHCまで、導電体で配線する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6248952号公報
【文献】特許第5625796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、導電体を、下流側のハニカム構造体の表面或いは内部へ通して、上流側のEHCまで配線しているが、このような構成では、EHCと下流側のハニカム構造体とは、振動や熱膨張によって個々別々に変位するため、配線が変位によって変形し断線する問題が生じるおそれがある。
【0006】
特許文献2では、EHCの上流側からEHCまで、導電体で配線しているが、このような構成では、上流側でEHCの圧損によりEHC外周部にススや水蒸気が堆積することが考えられ、EHCと配線とが端部から短絡し、局所発熱することによってEHCのハニカム構造体が破損する問題が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、電気加熱式担体に電気的に接続している導電体の破断及び短絡を良好に抑制することが可能な排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明によって解決されるものであり、本発明は以下のように特定される。
(1)内部に排気ガスの流路を有する排気ガス浄化装置であって、
前記排気ガスの流路の上流側に設けられている柱状の電気加熱式担体と、
前記排気ガスの流路の下流側において、前記電気加熱式担体と離間して設けられている柱状ハニカム構造体と、
前記電気加熱式担体及び前記柱状ハニカム構造体の外周面を覆うように設けられている缶体状のハウジングと、
前記電気加熱式担体の外周面に電気的に接続されている導電体と、
を備え、
前記ハウジングが、前記電気加熱式担体と前記柱状ハニカム構造体との離間位置に対応する部位に貫通孔を有し、
前記導電体が、前記電気加熱式担体の外周面から、前記電気加熱式担体と前記柱状ハニカム構造体との離間位置まで延びる延伸部を有し、且つ、
前記導電体の延伸部が、外部電源に接続するための電気接続端子を前記ハウジングの外側から前記貫通孔を介して前記電気加熱式担体の径方向に挿入した際に、前記電気接続端子と接続可能な位置に配置されている排気ガス浄化装置。
(2)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1の端面から第2の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部と、
前記柱状ハニカム構造部の外周壁の表面に配設された電極層と、
を備えた電気加熱式担体と、
前記電気加熱式担体の前記電極層に電気的に接続されている導電体と、
を備え、
前記導電体が、前記電気加熱式担体の第2の端面から軸方向外側に延びる延伸部を有し、
前記導電体の延伸部の少なくとも一部が、前記電気加熱式担体の第2の端面から、前記電気加熱式担体の径方向外側へ向かって傾斜している導電体付き電気加熱式担体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気加熱式担体に電気的に接続している導電体の破断及び短絡を良好に抑制することが可能な排気ガス浄化装置及び導電体付き電気加熱式担体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1における排気ガス浄化装置の電気加熱式担体のセルの延伸方向に平行な断面模式図である。
図2】本発明の実施形態1における電気加熱式担体の外観模式図である。
図3】本発明の実施形態1における電気加熱式担体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
図4】本発明の実施形態2における排気ガス浄化装置の電気加熱式担体のセルの延伸方向に平行な断面模式図である。
図5図4に示す排気ガス浄化装置の電気加熱式担体の導電体の傾斜部分の拡大図である。
図6】本発明の実施形態3における排気ガス浄化装置の電気加熱式担体のセルの延伸方向に平行な断面模式図である。
図7図6に示す排気ガス浄化装置のハウジングの拡径部位の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0012】
<実施形態1>
(排気ガス浄化装置)
図1は、本発明の実施形態1における排気ガス浄化装置100の電気加熱式担体10のセル18の延伸方向に平行な断面模式図である。排気ガス浄化装置100は、内部に排気ガスの流路を有し、排気ガスの流路の上流側に設けられている柱状の電気加熱式担体10と、排気ガスの流路の下流側において、電気加熱式担体10と離間して設けられている柱状ハニカム構造体21と、ハウジング15と、導電体14とを備える。
【0013】
(1.電気加熱式担体)
図2は、本発明の実施形態1における電気加熱式担体10の外観模式図である。図3は、本発明の実施形態1における電気加熱式担体10のセル18の延伸方向に垂直な断面模式図である。電気加熱式担体10は、外周壁12と、外周壁12の内側に配設され、第1の端面から第2の端面まで貫通して流路を形成する複数のセル18を区画形成する隔壁19とを有するセラミックス製の柱状ハニカム構造部11と、柱状ハニカム構造部11の外周壁12の表面に配設された電極層13a、13bとを備える。
【0014】
(1-1.柱状ハニカム構造部)
柱状ハニカム構造部11の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、柱状ハニカム構造部11の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、底面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
【0015】
柱状ハニカム構造部11は、セラミックス製であり、導電性を有する。導電性の柱状ハニカム構造部11が通電してジュール熱により発熱可能である限り、当該セラミックスの電気抵抗率については特に制限はないが、0.1~200Ωcmであることが好ましく、1~200Ωcmがより好ましく、10~100Ωcmであることが更に好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率は、四端子法により400℃で測定した値とする。
【0016】
柱状ハニカム構造部11の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスからなる群から選択することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、柱状ハニカム構造部11の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを含有していることが好ましい。柱状ハニカム構造部11の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。柱状ハニカム構造部11の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造部11が、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0017】
柱状ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、柱状ハニカム構造部11に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、柱状ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、柱状ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。10質量%以上であると、柱状ハニカム構造部11の強度が十分に維持される。40質量%以下であると、焼成時に形状を保持しやすくなる。
【0018】
セル18の延伸方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、四角形及び六角形が好ましい。セルの形状をこのようにすることにより、柱状ハニカム構造部11に排気ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点からは、四角形が特に好ましい。
【0019】
セル18を区画形成する隔壁19の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.15~0.25mmであることがより好ましい。隔壁19の厚みが0.1mm以上であることで、ハニカム構造体の強度が低下するのを抑制可能である。隔壁19の厚みが0.3mm以下であることで、ハニカム構造体を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排気ガスを流したときの圧力損失が大きくなるのを抑制できる。本発明において、隔壁19の厚みは、セル18の延伸方向に垂直な断面において、隣接するセル18の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁19を通過する部分の長さとして定義される。
【0020】
柱状ハニカム構造部11は、セル18の流路方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排気ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2以上であると、触媒担持面積が十分に確保される。セル密度が150セル/cm2以下であると柱状ハニカム構造部11を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排気ガスを流したときの圧力損失が大きくなりすぎることが抑制される。セル密度は、外周壁12部分を除く柱状ハニカム構造部11の一つの底面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
【0021】
柱状ハニカム構造部11の外周壁12を設けることは、柱状ハニカム構造部11の構造強度を確保し、また、セル18を流れる流体が外周壁12から漏洩するのを抑制する観点で有用である。具体的には、外周壁12の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁12を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁19との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁12の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁12の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁12の箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁12の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0022】
隔壁19は多孔質とすることができる。隔壁19の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率が35%以上であると、焼成時の変形をより抑制しやすくなる。気孔率が60%以下であるとハニカム構造体の強度が十分に維持される。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0023】
柱状ハニカム構造部11の隔壁19の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μm以上であると、電気抵抗率が大きくなりすぎることが抑制される。平均細孔径が15μm以下であると、電気抵抗率が小さくなりすぎることが抑制される。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0024】
(1-2.電極層)
柱状ハニカム構造部11の外周壁12の表面に、電極層13a、13bが配設されている。電極層13a、13bは、柱状ハニカム構造部11の中心軸を挟んで対向するように配設された一対の電極層13a、13bであってもよい。
【0025】
電極層13a、13bの形成領域に特段の制約はないが、柱状ハニカム構造部11の均一発熱性を高めるという観点からは、各電極層13a、13bは外周壁12の外面上で外周壁12の周方向及びセルの延伸方向に帯状に延設することが好ましい。具体的には、各電極層13a、13bは、柱状ハニカム構造部11の両底面間の80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが、電極層13a、13bの軸方向へ電流が広がりやすいという観点から望ましい。
【0026】
各電極層13a、13bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。各電極層13a、13bの厚みが0.01mm以上であると、電気抵抗が適切に制御され、より均一に発熱することができる。5mm以下であると、キャニング時に破損する恐れが低減される。各電極層13a、13bの厚みは、厚みを測定しようとする電極層13a、13bの箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、各電極層13a、13bの外面の当該測定箇所における接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0027】
各電極層13a、13bの電気抵抗率を柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率より低くすることにより、電極層13a、13bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がセルの流路方向及び周方向に広がりやすくなる。電極層13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の電気抵抗率の差が大きくなりすぎると対向する電極層13a、13bの端部間に電流が集中して柱状ハニカム構造部の発熱が偏ることから、電極層13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本発明において、電極層13a、13bの電気抵抗率は、四端子法により400℃で測定した値とする。
【0028】
各電極層13a、13bの材質は、金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属よりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。導電性セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層13a、13bの材質としては、上記の各種金属及び導電性セラミックスの中でも、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材との組合せとすることが、柱状ハニカム構造部と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
【0029】
(2.柱状ハニカム構造体)
柱状ハニカム構造体21は、排気ガス浄化装置100の排気ガスの流路の下流側において、電気加熱式担体10と離間して設けられている。柱状ハニカム構造体21は、形状、材質、及び、大きさ等について、電気加熱式担体10の柱状ハニカム構造部11について上述したものと同様に構成することができる。柱状ハニカム構造体21は、形状、材質、及び、大きさ等について、電気加熱式担体10の柱状ハニカム構造部11と同じであってもよく、異なっていてもよい。異なる場合には、従来公知の範囲での、形状、材質、大きさの柱状ハニカム構造体を用いることができる。なお、柱状ハニカム構造体21の大きさが電気加熱式担体10の柱状ハニカム構造部11と異なる場合については、後述の実施形態3で例示している。
【0030】
柱状ハニカム構造体21は、電気加熱式担体10に対して離間する程度については特に限定されないが、排気ガス浄化装置100の設置スペース、柱状ハニカム構造体21及び電気加熱式担体10の大きさ等に基づき、適宜設計することができる。例えば、電気加熱式担体10の柱状ハニカム構造部11及び柱状ハニカム構造体21の底面の面積が、それぞれ2000~20000mm2であり、長さがそれぞれ2~10cmである場合、柱状ハニカム構造体21は、電気加熱式担体10に対して2~10cm離間させることができる。
【0031】
排気ガス浄化装置100の排気ガスの流路の上流側に設けられている電気加熱式担体10、及び、下流側に設けられている柱状ハニカム構造体21に、それぞれ触媒を担持することにより、電気加熱式担体10及び柱状ハニカム構造体21を触媒体として使用することができる。複数のセル18の流路には、例えば、自動車排気ガス等の流体を流すことができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択される2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
【0032】
(3.ハウジング)
ハウジング15は、缶体状に形成されており、電気加熱式担体10及び柱状ハニカム構造体21の外周面を覆うように設けられている。ハウジング15としては、例えば、金属製の筒状部材等を用いることができる。ハウジング15は、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置に対応する部位に貫通孔17を有している。ハウジング15における、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置に対応する部位とは、図1に点線dで示す部位であり、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21とが離間して形成するハウジング15内の空間を構成するハウジング15側面を示す。貫通孔17は、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置に対応する部位であれば、どこに形成されていてもよい。
【0033】
貫通孔17の形状は特に限定されず、円形状または矩形状など適宜設計することができる。貫通孔17の大きさは、電気接続端子22をハウジング15の外側から貫通孔17へ挿入可能な大きさに形成されていれば、特に限定されず、適宜設計することができる。
【0034】
ハウジング15と電気加熱式担体10との間、及び、ハウジング15と柱状ハニカム構造体21との間に、電気加熱式担体10及び柱状ハニカム構造体21を保持する保持マット16を設けてもよい。保持マット16としては、公知の材料を用いることができ、例えばセラミックファイバーまたはガラスファイバー等で構成することができる。
【0035】
(4.導電体)
導電体14は、電気加熱式担体10の外周面に電気的に接続されている。導電体14は、電気加熱式担体10の外周面から、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置まで延びる延伸部14aを有している。導電体14の延伸部14aは、外部電源に接続するための電気接続端子22をハウジング15の外側から貫通孔17を介して電気加熱式担体10の径方向に挿入した際に、電気接続端子22と接続可能な位置に配置されている。延伸部14aの先端の位置は、電気接続端子22を挿入したときに接続しやすいため、図1に示すように、貫通孔17に隣接する位置であるのが好ましい。実施形態1において、延伸部14aは、電気加熱式担体10の外周面から、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置まで傾斜せず真っ直ぐに延びている。
【0036】
導電体14は、上述のように、電気加熱式担体10の外周面から横へ突出するように設けられておらず、電気加熱式担体10の外周面から、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置まで延びるように形成されている。このような構成によれば、保持マット16等で導電体14を電気加熱式担体10方向へ良好に押圧することができる。従って、導電体14の剥離や破損などを良好に抑制することができる。また、導電体14を電気接続端子22と接合させる部位(接合点)を自由に設計することができる。具体的には、例えば、本実施形態とは異なり、電気加熱式担体の外周面から横へ突出するように設けられている導電体は、電気加熱式担体前方もしくは後方に電気接続端子との接合点を配置すると、当該接合点に直接排気ガスが触れることとなるため、耐食性に問題が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態のように、導電体14を電気接続端子22と接合させる部位(接合点)を自由に設計することができると、全面に保持マットを巻くことができ、このような耐食性の問題を抑制することができる。
【0037】
導電体14は、電極層13a、13bを介して電圧を印加すると通電してジュール熱により柱状ハニカム構造部11を発熱させることが可能である。このため、電気加熱式担体10はヒーターとしても好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、64~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
【0038】
導電体14の材質としては、単体金属及び合金等を採用することができ、耐食性、電気抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。導電体14の形状及び大きさは、特に限定されず、薄板状、線状など、電気加熱式担体10の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
【0039】
本発明の実施形態1における排気ガス浄化装置100は、上述のように、ハウジング15における電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置に対応する部位に設けられた貫通孔17を介して、電気接続端子22を電気加熱式担体10の径方向に挿入した際に、導電体14の延伸部14aが、電気接続端子22と接続可能な位置に配置されている。このような構成によれば、排気ガス浄化装置100の振動や熱膨張によって、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21とが個々別々に変位しても、導電体14が変位によって変形して断線することを良好に抑制することができる。
【0040】
また、電気加熱式担体10の上流側から電気加熱式担体10まで、導電体14で配線する構成ではないため、上流側で電気加熱式担体10の圧損が生じることが抑制される。従って、電気加熱式担体10の外周部にススや水蒸気が堆積し、電気加熱式担体10と導電体14とが端部から短絡することを、良好に抑制することができる。
【0041】
実施形態1における排気ガス浄化装置100は、外部電源に接続するための電気接続端子22を構成要素として含んでもよい。すなわち、図1に示す構成において、排気ガス浄化装置100が、導電体14の延伸部14aの先端に電気的に接続し、且つ、ハウジング15の貫通孔17から突出する電気接続端子22を有していてもよい。
【0042】
(5.排気ガス浄化装置の製造方法)
次に、本発明に係る排気ガス浄化装置100を製造する方法について例示的に説明する。本発明の電気加熱式担体10の製造方法は一実施形態において、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る工程A1と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を焼成して柱状ハニカム構造部を得る工程A2と、柱状ハニカム構造部に導電体を溶接または溶射などで固定して電気加熱式担体を得る工程A3と、柱状ハニカム構造体を準備する工程B1と、電気加熱式担体と柱状ハニカム構造体とを、貫通孔を有するハウジングに収容する工程C1とを含む。
【0043】
工程A1は、ハニカム構造部の前駆体であるハニカム成形体を作製し、ハニカム成形部の側面に電極層形成ペーストを塗布して、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る工程である。ハニカム成形体の作製は、公知のハニカム構造部の製造方法におけるハニカム成形体の作製方法に準じて行うことができる。例えば、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造部の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造部の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0044】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
【0045】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
【0046】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
【0047】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
【0048】
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両底部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。当該ハニカム成形体またはハニカム乾燥体が、柱状ハニカム構造部となる。
【0049】
また、上記柱状ハニカム構造部をもう一体作製することで、下流側に設置予定の柱状ハニカム構造体とする(工程B1)。なお、下流側に設置予定の柱状ハニカム構造体としては、上流側のハニカム構造部と同じ材質、大きさ、形状等に形成する必要はなく、適宜設計することができる。
【0050】
次に、電極層を形成するための電極層形成ペーストを調合する。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。電極層を積層構造とする場合、第一の電極層用のペースト中の金属粉末の平均粒子径に比べて、第二の電極層用のペースト中の金属粉末の平均粒子径を大きくすることにより、金属端子と電極層の接合強度が向上する傾向にある。金属粉末の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0051】
次に、得られた電極層形成ペーストを、ハニカム成形体(典型的にはハニカム乾燥体)の側面に塗布し、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る。電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層をハニカム構造部に比べて低い電気抵抗率にするために、ハニカム構造部よりも金属の含有比率を高めたり、金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。
【0052】
柱状ハニカム構造部の製造方法の変更例として、工程A1において、電極層形成ペーストを塗布する前に、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変更例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に、電極層形成ペーストを塗布する。
【0053】
工程A2では、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を焼成して、柱状ハニカム構造部を得る。焼成を行う前に、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を乾燥してもよい。また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
【0054】
工程A3では、金属材料等で構成された導電体を、柱状ハニカム構造部の外周面から一方の端面を超えて、さらに延伸部を形成するように固定して電気加熱式担体を得る。固定方法については特に限定されず、公知のレーザー溶接または超音波溶接、溶射等で行うことができる。
【0055】
工程C1では、電気加熱式担体と柱状ハニカム構造体とを、貫通孔を有するハウジングに収容する。このとき、電気加熱式担体と柱状ハニカム構造体とがハウジング内で離間するように配置する。また、ハウジングの貫通孔を、電気加熱式担体と柱状ハニカム構造体との離間位置に対応する部位に配置する。このようにして、排気ガス浄化装置を作製することができる。
【0056】
<実施形態2>
図4は、本発明の実施形態2における排気ガス浄化装置200の電気加熱式担体10のセル18の延伸方向に平行な断面模式図である。排気ガス浄化装置200は、実施形態1における排気ガス浄化装置100に対し、導電体24の構成が異なる以外は、同様の構成とすることができる。
【0057】
排気ガス浄化装置200の導電体24は、電気加熱式担体10の外周面から、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との離間位置まで延びる延伸部24aを有している。導電体24は、電気加熱式担体10の第2(下流側)の端面から、電気加熱式担体10の径方向外側へ向かって傾斜するように延びる傾斜部を有している。このように、導電体24の延伸部24aの少なくとも一部が、電気加熱式担体10の下流側の端面から、電気加熱式担体10の径方向外側へ向かって傾斜している。排気ガス浄化装置200の導電体24は、延伸部24aが当該傾斜部を構成していてもよい。このような構成によれば、実施形態1における排気ガス浄化装置100について上述したものと同様に、排気ガス浄化装置200の振動や熱膨張によっても、導電体24が変形して断線することを良好に抑制することができる。また、上流側で電気加熱式担体10の圧損が生じることが抑制されるため、電気加熱式担体10の外周部にススや水蒸気が堆積し、電気加熱式担体10と導電体24とが端部から短絡することを、良好に抑制することができる。さらに、導電体24が、電気加熱式担体10の下流側の端面から、電気加熱式担体10の径方向外側へ向かって傾斜するため、上流側の電気加熱式担体10の柱状ハニカム構造部11を通過したススや水蒸気を、電気接続端子22が直接受けることなく、下流側の柱状ハニカム構造体21の前方に堆積する。ここで、ススや水蒸気が下流側の柱状ハニカム構造体21の前方に堆積しても、電気加熱式担体10の端面にまで堆積する可能性は低い。従って、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体21との絶縁性が向上する。
【0058】
排気ガス浄化装置200の導電体24の材料は、実施形態1における排気ガス浄化装置100の導電体14と同様の材料を用いることができる。
【0059】
図5に、排気ガス浄化装置200の電気加熱式担体20の導電体24の傾斜部分の拡大図を示す。傾斜部の傾斜角θ1は特に限定されないが、ススや水蒸気の堆積抑制という効果が得られるため、30度以上であるのが好ましい。また、振動による応力緩和という効果が得られるため、60度以下であるのが好ましい。傾斜部の傾斜角θ1は、30~60度であるのがより好ましい。
【0060】
<実施形態3>
図6は、本発明の実施形態3における排気ガス浄化装置300の電気加熱式担体10のセル18の延伸方向に平行な断面模式図である。排気ガス浄化装置300は、実施形態1における排気ガス浄化装置100に対し、柱状ハニカム構造体31、導電体34、及び、ハウジング35の構成が異なる以外は、同様の構成とすることができる。
【0061】
柱状ハニカム構造体31の径は、電気加熱式担体10の径より大きく形成されている。特に限定されないが、柱状ハニカム構造体31の径は、電気加熱式担体10の径の1.1~2倍に形成することができる。排気ガス浄化装置300の柱状ハニカム構造体31は、電気加熱式担体10の径より大きく形成されている以外は、実施形態1における排気ガス浄化装置100の柱状ハニカム構造体21と同様の構成とすることができる。
【0062】
導電体34は、電気加熱式担体10の外周面から、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体31との離間位置まで延びる延伸部34aを有している。導電体34は、電気加熱式担体10の第2(下流側)の端面から、電気加熱式担体10の径方向外側へ向かって傾斜するように延びる傾斜部34bを有している。本実施形態では、導電体34の延伸部34aの先端方向の一部が傾斜部34bを構成している。傾斜部34bの傾斜角は、特に限定されないが、延伸部34aの長さ、ハウジング35の貫通孔37の位置、及び、ハウジング35の拡径部位の傾斜角θ2によって適宜設計することができる。
【0063】
ハウジング35は、缶体状を有し、電気加熱式担体10及び柱状ハニカム構造体31の外周面を覆うように設けられている。ハウジング35は、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体31との間に対応する部位が、排気ガスの流路の下流側に向かうにつれて拡径している。このような構成によれば、実施形態1における排気ガス浄化装置100について上述したものと同様に、排気ガス浄化装置300の振動や熱膨張によっても、導電体34が変形して断線することを良好に抑制することができる。また、上流側で電気加熱式担体10の圧損が生じることが抑制されるため、電気加熱式担体10の外周部にススや水蒸気が堆積し、電気加熱式担体10と導電体34とが端部から短絡することを、良好に抑制することができる。また、ハウジング35における、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体31との間に対応する部位が、排気ガスの流路の下流側に向かうにつれて拡径しているため、上流側の電気加熱式担体10の柱状ハニカム構造部11を通過したススや水蒸気を、電気接続端子22が直接受けることなく、下流側の柱状ハニカム構造体31の前方に堆積する。ここで、ススや水蒸気が下流側の柱状ハニカム構造体31の前方に堆積しても、電気加熱式担体10の端面にまで堆積する可能性は低い。従って、電気加熱式担体10と柱状ハニカム構造体31との絶縁性が向上する。さらに、下流側の柱状ハニカム構造体31と、電気接続端子22との距離を長くすることができるため、柱状ハニカム構造体31と、電気接続端子22との絶縁性が高くなる。
【0064】
排気ガス浄化装置300のハウジング35の材料は、実施形態1における排気ガス浄化装置100のハウジング15と同様の材料を用いることができる。
【0065】
図7に、排気ガス浄化装置300のハウジング35の拡径部位の拡大図を示す。ハウジング35の拡径部位の傾斜角θ2は特に限定されないが、ススや水蒸気の堆積抑制という効果が得られるため、30度以上であるのが好ましい。また、振動による応力緩和という効果が得られるため、60度以下であるのが好ましい。ハウジング35の拡径部位の傾斜角θ2は、30~60度であるのがより好ましい。
【符号の説明】
【0066】
10 電気加熱式担体
11 柱状ハニカム構造部
21、31 柱状ハニカム構造体
12 外周壁
13a、13b 電極層
14、24、34 導電体
14a 延伸部
24a 延伸部(傾斜部)
34a 延伸部
34b 傾斜部
15、35 ハウジング
16 保持マット
17、37 貫通孔
18 セル
19 隔壁
22 電気接続端子
100、200、300 排気ガス浄化装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7