(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
F01N 13/00 20100101AFI20240312BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20240312BHJP
【FI】
F01N13/00 A
F01N13/08 Z
(21)【出願番号】P 2020076707
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】大上 裕久
(72)【発明者】
【氏名】小堀 清道
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-168805(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194201(WO,A1)
【文献】特開2014-43853(JP,A)
【文献】特開2016-98769(JP,A)
【文献】特開2016-109007(JP,A)
【文献】特開2011-149430(JP,A)
【文献】特開2017-186926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を排ガスが通過する排気管と、
前記排気管に取り付けられた複数のセンサと、
を備え、
前記複数のセンサは、第1のセンサと第2のセンサと
第3のセンサとを含み、
前記第3のセンサは、前記第2のセンサとは前記排気管の周方向において整列する位置であって、前記第2のセンサとは前記排気管の周方向においてずれた位置に設置され、
前記第1のセンサは、
前記第2のセンサ及び前記第3のセンサとは排ガスの流れ方向においてずれた位置であって、前記排気管の周方向において前記第2のセンサと前記第3のセンサとの間に対応する位置に設置され、
前記第1のセンサ
及び前記第3のセンサの検出側の先端部
は、前記排気管の前記流れ方向に垂直な断面であって前記第2のセンサの検出側の先端部が位置する断面上に位置
しており、
前記排気管は、少なくとも第1の部材と第2の部材とを用いて管状に構成され、
前記複数のセンサは、前記第1の部材に設けられている、センサユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載のセンサユニットであって、
前記排気管は、前記排気管の外周面において複数の平面を備え、
前記複数の平面には、前記複数のセンサを取り付けるためのセンサボスが設けられている、センサユニット。
【請求項3】
内部を排ガスが通過する排気管と、
前記排気管に取り付けられた複数のセンサと、
を備え、
前記排気管は、前記排気管の外周面において前記複数のセンサに対応する複数の平面を備え、
前記複数のセンサは、前記複数の平面のうちの、対応する平面で前記排気管に取り付けられ、
前記複数のセンサは、第1のセンサと第2のセンサと
第3のセンサとを含み、
前記第1のセンサと前記第2のセンサとは、排ガスの流れ方向において互いにずれて設置され
、
前記第3のセンサは、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのうちの少なくとも一方と前記排気管の周方向においてずれて設置され、
前記第1のセンサの検出側の先端部と前記第2のセンサの検出側の先端部と
前記第3のセンサの検出側の先端部とが前記排気管内の特定エリアに位置し、
前記特定エリアは、前記複数の平面のそれぞれの垂直空間が交差する箇所であり、
前記複数の平面のそれぞれの前記垂直空間は、当該平面に垂直な法線方向に沿って当該平面を前記排気管の内側に移動させたときに当該平面の軌跡の範囲であり、
前記排気管は、少なくとも第1の部材と第2の部材とを用いて管状に構成され、
前記複数のセンサは、前記第1の部材に設けられている、センサユニット。
【請求項4】
請求項
3に記載のセンサユニットであって、
前記複数の平面には、前記複数のセンサを取り付けるためのセンサボスが設けられている、センサユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載のセンサユニットであって、
前記
複数のセン
サの前記検出側の先端部に排ガスを案内する案内部を備える、センサユニット。
【請求項6】
請求項
5に記載のセンサユニットであって、
前記案内部は、前記排気管に形成された突部であり、
前記突部は、前記排気管の内側に突出し、前記突部に排ガスが当たることで排ガスが前記
複数のセン
サの前記検出側の先端部に案内される、センサユニット。
【請求項7】
請求項
5又は請求項
6に記載のセンサユニットであって、
前記案内部は、排ガスを拡散する拡散板であり、
前記拡散板は、前記排気管の内部において排ガスの流れ方向における前記複数のセンサの上流に設けられる、センサユニット。
【請求項8】
請求項
5から請求項
7までのいずれか1項に記載のセンサユニットであって、
前記案内部は、排ガスの流れ方向における前記複数のセンサの上流に設けられ、前記排気管の内周面の少なくとも一部に形成された凹凸面である、センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排気管と、排気管に取り付けられた2つのセンサと、を備えるセンサユニットが開示されている。このセンサユニットでは、2つのセンサが排気管の周方向に並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気管の車両への搭載の都合等で、複数のセンサを、排ガスの流れ方向に並べて排気管に取り付けることがある。この場合、排ガスの流れ方向の上流側に位置するセンサに排ガスが当たると排ガスの流れが変わる。そして、排ガスの流れ方向の上流側に位置するセンサと下流側に位置するセンサとで、センサにより検出される排ガスの成分が変わる可能性がある。換言すれば、複数のセンサで同一の排ガス成分について被測定項目を検出できない可能性がある。この場合、センサによる制御が正確に行われないおそれがある。なお、排ガスの同一成分とは、特性(空燃比、圧力、温度等)が同一の排ガスの塊、又は、排ガス中の領域を意味する。被測定項目は、例えば、空燃比、圧力、温度等の項目である。
【0005】
本開示の一局面は、複数のセンサが排ガスの流れ方向に並べて排気管に取り付けられる場合において、複数のセンサが排ガスの同一成分について検出を行えるようにする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、センサユニットであって、排気管と、複数のセンサと、を備える。排ガスは、排気管の内部を通過する。複数のセンサは、排気管に取り付けられる。複数のセンサは、第1のセンサと第2のセンサとを含む。第1のセンサと第2のセンサとは、排ガスの流れ方向において互いにずれて設置される。第1のセンサの検出側の先端部と第2のセンサの検出側の先端部とが排気管内の同一箇所を向いている。
【0007】
このような構成によれば、第1のセンサと第2のセンサとの検出側の先端部が比較的同じ場所に位置する。したがって、複数のセンサが排ガスの同一成分について検出を行うことができる。ひいては、複数のセンサの検出側の先端部が排気管内の同一箇所を向いていない構成と比較して、複数のセンサによる制御をより正確に行うことができる。なお、本明細書でいう検出側の先端部とは、センサの先端部のうち測定対象の排ガス中の被測定項目を検出する検出部が設けられている先端部を意味する。また、本明細書でいう「同一成分」、「同一箇所」とは、厳密な意味での「同一成分」、「同一箇所」に限るものではなく、上記と同様の効果を奏するのであれば厳密に「同一成分」、「同一箇所」でなくてもよい。
【0008】
本開示の一態様では、複数のセンサは、第3のセンサを含んでいてもよい。第3のセンサは、第1のセンサ及び第2のセンサのうちの少なくとも一方と排気管の周方向においてずれて設置されてもよい。そして、第3のセンサの検出側の先端部が前記同一箇所を向いていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、少なくとも3つのセンサを用いて、排ガスの同一成分について検出を行うことができる。
本開示の一態様では、排気管は、排気管の外周面において複数の平面を備えてもよい。複数の平面には、複数のセンサを取り付けるためのセンサボスが設けられていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、複数のセンサボスが互いに離れる。その結果、センサをセンサボスに取り付ける際の作業性を向上することができる。
なお、本明細書でいう「平面」とは、厳密な意味での平面に限るものではなく、上記と同様の効果を奏するのであれば厳密に「平面」でなくてもよい。
【0011】
本開示の一態様では、前記同一箇所は、前記複数の平面のそれぞれの垂直空間が交差する箇所であってもよい。複数の平面のそれぞれの垂直空間は、当該平面に垂直な法線方向に沿って当該平面を排気管の内側に移動させたときに当該平面の軌跡の範囲である。
【0012】
本開示の一態様では、複数のセンサの検出側の先端部は、前記同一箇所に位置していてもよい。
このような構成によれば、複数のセンサが排ガスの同一成分について検出を行うことができる。ひいては、複数のセンサの検出側の先端部が前記同一箇所に位置していない構成と比較して、複数のセンサによる制御をより正確に行うことができる。
【0013】
本開示の一態様では、センサユニットは、案内部を備えていてもよい。案内部は、第1のセンサ及び第2のセンサのうちの少なくとも一方の検出側の先端部に排ガスを案内する。
このような構成によれば、センサユニットが案内部を備えない場合と比較して、センサの検出側の先端部に当たりやすい。よって、センサによる排ガスの検出精度を向上させることができる。
【0014】
本開示の一態様では、案内部は、排気管に形成された突部であってもよい。突部は、排気管の内側に突出する。そして、突部に排ガスが当たることで排ガスが第1のセンサ及び第2のセンサのうちの少なくとも一方の検出側の先端部に案内される。
【0015】
このような構成によれば、安価かつ簡易な構成で案内部を形成できる。
本開示の一態様では、案内部は、排ガスを拡散する拡散板であってもよい。拡散板は、排ガスの流れ方向における複数のセンサの上流に設けられてもよい。
【0016】
このような構成によれば、拡散板によって、排気流路の流路断面において排ガスが均一に撹拌されやすい。その結果、複数のセンサに対する排ガスの当たり方のばらつきを抑制できる。ひいては、複数のセンサ間の排ガスの検出量のばらつきを抑制できる。
【0017】
本開示の一態様では、案内部は、凹凸面であってもよい。当該凹凸面は、複数のセンサの上流に設けられ、排気管の内周面の少なくとも一部に形成される。
このような構成によれば、安価かつ簡易な構成で案内部を形成できる。
【0018】
本開示の一態様では、排気管は、少なくとも第1の部材と第2の部材とを用いて管状に構成されてもよい。そして、複数のセンサは、第1の部材に設けられていてもよい。
このような構成によれば、第1の部材を取り替えることで、所望の数のセンサを組み付けることができる。また、第1の部材を取り替えることで、所望の検出精度が得られるようにセンサ位置等を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】
図4は排ガスの流れ方向から見たときのセンサユニットを示す図である。
【
図6】
図6はアッパー部材とロア部材とが分かれた状態のセンサユニットを示す図である。
【
図7】
図7はアッパー部材の多面体構造を示す図である。
【
図8】
図8はロア部材に形成された突部を示す図である。
【
図9】
図9は複数の平面の垂直空間を説明する図である。
【
図10】
図10は突部が形成された排気管における排ガスの流れを説明する図である。
【
図11】
図11は拡散板によって拡散された排ガスの流れを説明する図である。
【
図12】
図12は排気管の内周面に凹凸面が形成されている場合の排ガスの流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す排気系部品1は、車両用内燃機関の排気系の少なくとも一部を構成する部品である。排気系部品1は、排気流路2、A/Fセンサ3、2つの触媒コンバータ4,5及び2つのセンサユニット6,7を備える。
<排気流路>
排気流路2は、エンジン8から排出される排ガスが通過する流路である。排気流路2は、排気管や触媒コンバータ4,5等の内部に形成される。なお、エンジン8は、例えばガソリンエンジンである。以下では、排ガスの流れ方向Dの上流及び下流を単に上流及び下流ともいう。
<A/Fセンサ>
A/Fセンサ3は、排ガス中に含まれる空燃比(A/F)を検出するセンサである。A/Fセンサ3は、排気流路2に設けられる。
<触媒コンバータ>
触媒コンバータ4は、三元触媒を備える。触媒コンバータ4は、A/Fセンサ3の下流に設けられる。一方、触媒コンバータ5は、三元触媒とガソリンパティキュレートフィルタ(以下、GPF)とを備える。触媒コンバータ5は、触媒コンバータ4の下流に設けられる。
<センサユニット>
センサユニット6,7のそれぞれは、複数のセンサを備える。
【0021】
2つのセンサユニット6,7は、触媒コンバータ5を挟むように配置される。具体的には、2つのセンサユニット6,7のうちの第1のセンサユニット6は、2つの触媒コンバータ4,5の間に設けられる。一方、第2のセンサユニット7は、触媒コンバータ5の下流に設けられる。2つのセンサユニット6,7は、触媒コンバータ5、具体的には、GPFの監視と故障の有無(OBD:On-board Diagnostics)を判定するために設けられる。
【0022】
2つのセンサユニット6,7の構成は基本的には同一である。以下では主に第1のセンサユニット6について説明する。
第1のセンサユニット6は、
図2~
図5に示すように、排気管61と複数(本実施形態では3つ)のセンサ62~64とを備える。
【0023】
なお、
図2~
図5等では、第1のセンサユニット6及び排気管61の上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向をそれぞれ「UP」、「DW」、「FR」、「RR」、「L」及び「R」で示している。
<排気管>
排気管61は、内部を排ガスが通過する管状の部材である。排気管61は、排気流路2の少なくとも一部を構成する。
【0024】
図6~
図8に示すように、排気管61は、アッパー部材611とロア部材613との2部材を用いて構成される。アッパー部材611とロア部材613とは排ガスの流れ方向Dに垂直な断面形状が半円弧状の部材である。
【0025】
アッパー部材611は、排気管61の上半分を構成する。一方、ロア部材613は、排気管61の下半分を構成する。ロア部材613は、アッパー部材611と対向するようにアッパー部材611の下側に配置される。アッパー部材611の半円弧の縁部とロア部材613の半円弧の縁部とを互いに突き合わせて接合することで管状の排気管61が構成される。アッパー部材611及びロア部材613は、排ガスの流れ方向Dに平行な断面によって排気管61を複数の部材に分割した場合の当該複数の部材である。
【0026】
本実施形態では、アッパー部材611は、複数のセンサ62~64の取付け部材として機能する。また、ロア部材613は、排ガスの流れ方向及び/又は排ガスの流れの速度を調整する調整部材として機能する。
【0027】
具体的には、
図7に示すように、アッパー部材611は、多面体構造612を備える。多面体構造612は、アッパー部材611の外周面において互いに隣接した複数(本実施形態では3つ)の平面612a~612cを備える。
図6等に示すように、複数の平面612a~612cには、複数のセンサ62~64を取り付けるためのセンサボス62a~64aがそれぞれ設けられる。なお、本明細書でいう「隣接」とは、厳密な意味での「隣接」に限るものではなく、後述する効果と同様の効果を奏するのであれば厳密に「隣接」していなくてもよい。
【0028】
ここで、
図3等に示すように、3つの平面612a~612cのうちの第1の平面612aは、他の平面612b,612cよりも上流に位置している。また、他の2つの平面612b,612cは、排ガスの流れ方向Dにおいて互いに同一位置に設けられている。
【0029】
図4等に示すように、第1の平面612aは、排ガスの流れ方向Dから見たときに、アッパー部材611の上方における中央部に位置する。また、第1の平面612aは、
図3等に示すように、排気管61を側方から見たときに、排ガスの流れ方向Dの下流に向かうにつれて排気管61の上方向に向かうように傾斜している。
【0030】
一方、2つの平面612b,612cは、
図4等に示すように、排ガスの流れ方向Dから見たときに、排気管61の上下方向に平行な中心軸Cについて左右対称に設けられている。具体的には、第2の平面612bは、排気管61における左右方向の一方側(
図4では左側)の斜め上に設けられている。また、第3の平面612cは、排気管61における左右方向の他方側(
図4では右側)の斜め上に設けられている。また、2つの平面612b,612cは、排ガスの流れ方向Dから見たときに、下方向に向かうにつれて左右方向の外側に向かうように傾斜している。換言すれば、2つの平面612b,612cは、下方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように中心軸Cに対して傾斜している。
【0031】
一方、ロア部材613は、
図3、
図6、
図8等に示すように、突部613aを有する。突部613aは、排気管61の内側に突出する。本実施形態では、突部613aは、流れ方向Dにおいて多面体構造612、すなわち複数のセンサ62~64の下方、例えば真下に形成されている。これにより、排気ガスの流れ方向Dに垂直な断面において、排気管61の突部613aが設けられている部分の断面積は、突部613aが設けられていない部分の断面積よりも小さくなる。また、後述するとおり、突部613aに排ガスが当たることで排ガスが複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bに案内される。
【0032】
なお、本実施形態では、複数の平面612a~612cの全てにセンサボス62a~64aが取り付けられる。そして、当該センサボス62a~64aにセンサ62~64が取り付けられる。仮に複数の平面612a~612cの数よりも取り付けられるセンサの数が少ない場合には、プレス加工により複数の平面612a~612cにセンサボス用の穴を空けない工夫等で対応することが考えられる。
<センサ>
複数のセンサ62~64は、排気管61に互いに近接して取り付けられる。
【0033】
複数のセンサ62~64は、例えば、排ガスの測定対象成分(例えば窒素酸化物(NOx)、粒状物質(PM)、酸素(O2)等)の濃度、排ガスの温度等を測定するように構成されている。なお、これらの測定対象は一例である。複数のセンサ62~64は、検出側の先端部62b~64bから排ガスの一部を内部に取り込んで測定を行う棒状の装置である。
【0034】
複数のセンサ62~64のうちの第1のセンサ62は、多面体構造612の第1の平面612aに設けられたセンサボス62aに組み付けられる。本実施形態では、第1のセンサ62はA/Fセンサである。
【0035】
一方、複数のセンサ62~64のうちの第2のセンサ63及び第3のセンサ64は、多面体構造612の2つの平面612b,612cに設けられたセンサボス63a,64aに組み付けられる。本実施形態では、センサ63,64は、排ガスの温度を検出する温度センサ、又は、排ガスの粒状物質(PM)の濃度を検出するPMセンサである。
【0036】
前述のとおり、第1のセンサ62は第1の平面612aのセンサボス62aに取り付けられる。また、2つのセンサ63,64は2つの平面612b,612cのセンサボス63a,64aに取り付けられる。
【0037】
このため、第1のセンサ62と第2のセンサ63及び第3のセンサ64とは、排ガスの流れ方向Dにおいてずれて設置される。具体的には、第1のセンサ62は、第2のセンサ63及び第3のセンサ64よりも排ガスの流れ方向Dの上流に配置される。また、第2のセンサ63及び第3のセンサ64は、排気管61の周方向にずれて互いに配置される。
【0038】
さらに、
図4に示すように、第1のセンサ62は、排気管61の上部における中央部に配置される。また、第2のセンサ63及び第3のセンサ64は、排気管61の上部における中央部からずれて配置される。具体的には、第2のセンサ63及び第3のセンサ64は、排ガスの流れ方向Dから見たときに、第2のセンサ63の中心軸P2及び第3のセンサ64の中心軸P3が、下方に向かうようにつれて排気管61の中心線C2に近づくように中心線C2に対して傾斜して設けられる。
【0039】
また、
図3及び
図9に示すように、第1のセンサ62は、排気管61を側方から見たときに、検出側の先端部62bの向きが排ガスの流れ方向Dに対向しないように設けられる。具体的には、第1のセンサ62は、検出側の先端部62bが排ガスの流れ方向Dの下流側を向くように、排ガスの流れ方向Dに対して傾斜するように設けられている。また、
図3に示すように、第2のセンサ63及び第3のセンサ64は、排気管61を側方から見たときに、第2のセンサ63及び第3のセンサ64が排ガスの流れ方向Dに対してと略垂直になるように設けられている。なお、
図9及び後述する
図10等においては、説明の都合上、第2のセンサ63及び第3のセンサ64を図示省略している。
【0040】
このように、第1のセンサ62(A/Fセンサ)の先端部62bの向きは排ガスの流れ方向Dに対向しない。よって、上流側から流れる排ガスに含まれる水が第1のセンサ62の内部に浸入することを抑制でき、第1のセンサ62の破損が起こりにくい。
【0041】
ここで、本実施形態では、
図3、
図4等に示すように、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bが、排気管61内の同一の箇所乃至同一のエリア(以下、同一箇所A)を向いている。また、
図4等に示すように、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bは、同一箇所Aに位置している。ただし、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bの位置はこれに限られず、先端部62b~64bは同一箇所Aに位置していなくてもよい。
【0042】
同一箇所Aとは、例えば複数の平面612a~612cのそれぞれの垂直空間が交差する箇所である。複数の平面612a~612cのそれぞれの垂直空間とは、当該平面612a~612cに垂直な法線方向N1~N3(
図3、
図4及び
図9参照)に沿って当該平面612a~612cを排気管61の内側に移動させたときに当該平面612a~612cの軌跡の範囲である。なお、
図9には、第1の平面612aの垂直空間612bと第3の平面614aの垂直空間614bとが示されている。
図9では、第1の平面612aの垂直空間612bの境界線は符号612cで示されている。また、第3の平面614aの垂直空間614bの境界線は符号614cで示されている。
【0043】
同一箇所Aは、上述以外に、排気管61内の排ガスの流れ方向Dに垂直な断面において任意の箇所である。好ましくは、排気管61を側方から見たときに、排気管61の上下方向の中心部の位置であってもよく、排気管61の左右方向の中心部の位置であってもよい。また、同一箇所Aは、アッパー部材611の裏側の箇所であってもよい。このように、本実施形態では、複数のセンサ62~64の先端部62b~64bが同一箇所Aに集中している。
【0044】
ここで、ロア部材613に形成された突部613aにより排ガスが同一箇所Aに案内される。具体的には、
図10に示すように、突部613aに排ガスが当たることで排ガスが同一箇所A、換言すれば、複数のセンサ62~64の先端部62b~64bの位置に案内される。なお、
図10及び後述する
図11等において、矢印は排ガスの流れを示す。その結果、基本的に排ガスが排気管61の中心に沿って流れるため、偏りが生じることなく均一に排ガスを触媒コンバータ5内の触媒51に当てることができる。このように、ロア部材613の形状変更によりガス流れがコントロールされる。
【0045】
なお、第2のセンサユニット7は、第1のセンサユニット6と基本的には同様の構成であるため、その説明を省略する。
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0046】
(1)本実施形態では、第1のセンサ62と第2のセンサ63とは、排ガスの流れ方向Dにおいて互いにずれて設置される。また、第1のセンサ62の検出側の先端部62bと第2のセンサ63の検出側の先端部63bとが排気管61内の同一箇所Aを向いている。
【0047】
よって、第1のセンサ62と第2のセンサ63との検出側の先端部62b,63bが比較的同じ場所に位置する。したがって、複数のセンサ62,63が排ガスの同一成分について検出を行うことができる。ひいては、複数のセンサ62,63の検出側の先端部62b,63bが排気管61内の同一箇所Aを向いていない構成と比較して、複数のセンサ62,63による制御をより正確に行うことができる。
【0048】
また、センサユニット6,7が搭載される車両や、センサユニット6,7の搭載位置、排気流路2等に依らず複数のセンサ62,63の検出側の先端部62b,63bへのガス当たりを安定化することができる。
【0049】
(2)本実施形態では、第3のセンサ64は、第2のセンサ63と排気管61の周方向においてずれて設置される。そして、第3のセンサ64の検出側の先端部64bが同一箇所Aを向いている。
【0050】
したがって、3つのセンサ62~64を用いて、排ガスの同一成分について検出を行うことができる。
(3)本実施形態では、排気管61は、排気管61の外周面において複数の平面612a~612cを備える。そして、複数の平面612a~612cには、それぞれセンサボス62a~64aが設けられている。
【0051】
したがって、複数のセンサボス62a~64aが互いに離れる。その結果、例えば第3のセンサ64をセンサボス64aに取り付ける際に他のセンサ62,63が邪魔になりにくく、作業性を向上することができる。また、センサボス62a~64aを平面612a~612cに抵抗溶接で固定する場合、センサボス62a~64aをセットしやすく、かつ、平面612a~612cを一対の電極で上下方向から挟みやすくすることができる。
【0052】
(4)本実施形態では、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bは、同一箇所Aに位置している。
したがって、複数のセンサ62~64が排ガスの同一成分について検出を行うことができる。ひいては、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bが同一箇所Aに位置していない構成と比較して、複数のセンサ62~64による制御をより正確に行うことができる。
【0053】
(5)本実施形態では、センサユニット6は、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bに排ガスを案内する案内部である突部613aを備える。なお、ここでいう案内部は、同一箇所Aに排ガスを案内してもよい。
【0054】
したがって、センサユニット6が案内部を備えない場合と比較して、複数のセンサ62~64の検出側の先端部62b~64bに排ガスが当たりやすい。よって、センサ62~64による排ガスの検出精度を向上させることができる。
【0055】
(6)本実施形態では、案内部は、排気管61に形成された突部613aである。
したがって、排気管61にプレス加工を行うことで案内部を容易に形成できる。したがって、安価かつ簡易な構成で案内部を形成できる。
【0056】
(7)本実施形態では、排気管61は、アッパー部材611とロア部材613とを用いて構成される。そして、複数のセンサ62~64は、アッパー部材611に設けられている。
【0057】
したがって、アッパー部材611を取り替えることで、所望の数のセンサをアッパー部材611に組み付けることができる。また、アッパー部材611を取り替えることで、所望の検出精度が得られるようにセンサ位置等を調整できる。また、例えば前記案内部としての突部613aを設けるに当たり簡易にロア部材613を加工できる。また、抵抗溶接で複数のセンサ62~64をアッパー部材611に接合する場合において、アッパー部材611の表及び裏側から電極で挟みやすくすることができる。そして、複数のセンサ62~64が組み付けられたアッパー部材611と、ロア部材613と、を組み付けることで第1のセンサユニット6を構成することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、アッパー部材611が第1の部材に相当し、ロア部材613が第2の部材に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0059】
(1)複数のセンサ63~65の搭載位置は上記実施形態の搭載位置に限られない。例えば、第2のセンサ63及び/又は第3のセンサ64は、第1のセンサ62と排気管61の周方向において同一位置に配置されてもよい。また例えば、第3のセンサ64は、排ガスの流れ方向Dにおいて第2のセンサ63とずれて配置されてもよい。この場合において、第3のセンサ64は、排ガスの流れ方向Dにおいて第1のセンサ62と同一位置に形成されてもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では、排気管61は、アッパー部材611及びロア部材613の2部材を用いて構成されるが、排気管を構成する部材の数はこれに限られない。例えば、排気管を、当該排気管の排ガスの流れ方向Dに垂直な断面において3つ以上の部材になるように分割してもよい。そして、当該3つ以上の部材を互いに組み付けることで管状の排気管が構成されてもよい。この場合も、排気管は、少なくとも第1の部材と第2の部材とを用いて管状に構成されている。
【0061】
(3)突部613aの位置は上記実施形態の位置に限られない。例えば、突部613aは、排ガスの流れ方向Dにおいて複数のセンサ62~64の上流に設けられてもよい。
(4)上記実施形態では、排ガスを複数のセンサ62~64の先端部62b~64bに案内する案内部はロア部材613に形成された突部613aである。しかし、案内部はこれに限られない。
【0062】
例えば、案内部は、
図11に示すように、排ガスを拡散する拡散板65であってもよい。
拡散板65は、排気管61において排ガスの流れ方向Dにおける複数のセンサ62~64の上流に設けられる。拡散板65は、支持部65bと、排ガスを拡散するための複数の羽根部65cと、を備えていてもよい。羽根部65cは、支持部65bから排ガスの流れ方向Dの上流又は下流側に向けて延伸して設けられた板状の部材である。羽根部65cは、排ガスの流れ方向Dに対して傾斜して上流側及び下流側それぞれに面を向けるように設けられている。
【0063】
このような構成によれば、拡散板65によって排ガスが拡散され、排気流路2の流路断面において排ガスが均一に分布しやすい。その結果、複数のセンサ62~64に対する排ガスの当たり方のばらつきを抑制できる。ひいては、複数のセンサ62~64間の排ガスの検出量のばらつきを抑制できる。
【0064】
また例えば、案内部は、
図12に示すように、排気管61の内周面に形成された凹凸面であってもよい。
図12では、凹凸面は、破線Bで囲まれた箇所に形成されている。凹凸面は、複数のセンサ62~64の上流に設けられる。凹凸面は、排気管61の周方向の全部又は一部に沿って形成されていてもよい。また、凹凸面は、例えば、エンボス加工が施された面であってもよい。また例えば、凹凸面は、ザラザラした表面であってもよい。ザラザラした表面は、換言すれば、微少な凹凸が複数形成された表面である。
【0065】
このような構成によれば、凹凸面によって排ガスの乱流を発生させることができる。その結果、排気流路2の流路断面において排ガスが均一に撹拌されやすい。したがって、安価かつ簡易な構成で案内部を形成でき、複数のセンサ62~64間の排ガスの検出量のばらつきを抑制できる。
【0066】
なお、1つのセンサユニットにおいて、突部613a、拡散板65、凹凸面のうちの少なくとも2つを設けてもよい。具体的には例えば、排気管61に突部613aを形成しつつ、拡散板65を設ける、及び/又は、凹凸面を形成してもよい。このような構成によれば、案内部として突部613a、拡散板65、凹凸面のうちのいずれか1つを設ける構成と比較して、複数のセンサ62~64間の排ガスの検出量のばらつきを更に抑制できる。
【0067】
(5)上記実施形態では、第1のセンサ62はA/Fセンサ、第2のセンサ63及び第3のセンサ64は温度センサ又はPMセンサであるが、複数のセンサの種類はこれに限られない。複数のセンサのそれぞれは、A/Fセンサ、圧力センサ、温度センサ及びPMセンサのいずれであってもよく、また、これら以外のセンサであってもよい。
【0068】
(6)上記実施形態において2つのセンサユニット6,7のそれぞれは、3つではなく2つのセンサを備えていてもよく、また、4つ以上のセンサを備えていてもよい。
(7)上記実施形態において、アッパー部材611に突部613aが設けられてもよい。また、ロア部材613に複数のセンサ62~64が設けられてもよい。この場合、ロア部材613が第1の部材に相当し、アッパー部材611が第2の部材に相当する。
【0069】
(8)上記実施形態において、第1のセンサユニット6及び第2のセンサユニット7の構成が互いに異なっていてもよい。この場合において例えば、第1のセンサユニット6及び第2のセンサユニット7のセンサ数、センサの搭載位置等が互いに異なっていても良い。
【0070】
(9)上記実施形態において、排気系部品1は、1つ、又は、3つ以上のセンサユニットを備えていてもよい。
(10)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…排気系部品、2…排気流路、6,7…センサユニット、61…排気管、
611…アッパー部材、612a~612c…平面、613…ロア部材、
613a…突部、62…第1のセンサ、62a~64a…センサボス、
62b~64b…先端部、63…第2のセンサ、64…第3のセンサ、65…拡散板、
A…同一箇所。