(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ヒューズユニットのカバー
(51)【国際特許分類】
H01H 85/20 20060101AFI20240312BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01H85/20 B
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2020085870
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大橋 紀弘
(72)【発明者】
【氏名】小澤 匡義
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1230080(KR,B1)
【文献】特開2016-015231(JP,A)
【文献】特開2002-289171(JP,A)
【文献】特開2011-076993(JP,A)
【文献】特開2018-063814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 - 87/00
H02G 3/08 - 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに設置されているヒューズユニットに固定される固定部と、
前記固定部に設けられているヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介して前記固定部に接続されており、前記ヒンジ部を回動中心にして前記固定部に対して回動する開閉部と、
前記開閉部の先端部に設けられ、外力を受けたときに変形する保護壁と、
を有し、
前記保護壁は、前記固定部が前記ヒューズユニットにされている状態で前記開閉部が前記固定部に対して回動することで、前記バッテリの突出部に当接したときに、この当接によって前記バッテリの突出部から外力を受けて弾性変形するように構成されてい
て、
前記開閉部は、底壁部と、一対の側壁部とを備えて構成されており、
前記一対の側壁部は、前記ヒンジ部の近傍から前記ヒンジ部から離れる方向に延びお互いが対向して前記底壁部から起立しており、
前記保護壁は、前記一対の側壁部を間にして前記ヒンジ部とは反対で前記一対の側壁部から僅かに離れ、前記底壁部から前記一対の側壁部と同方向に起立しており、
前記外力を受けたときに、前記保護壁が前記一対の側壁部側に撓むように構成されている、ヒューズユニットのカバー。
【請求項2】
前記一対の側壁部のそれぞれは、側壁部本体部と保護壁当接部とを備えて構成されており、前記保護壁当接部は、前記保護壁と前記一対の側壁部との間に形成されている間隙を溝状にするために設けられている請求項
1に記載のヒューズユニットのカバー。
【請求項3】
前記一対の側壁部のそれぞれは、側壁部本体部と保護壁当接部とを備えて構成されており、前記一対の側壁部本体部のそれぞれは、平板状に形成されており厚さ方向がお互いに一致しており、厚さ方向でお互いが離れており、また、厚さ方向が前記ヒンジ部における前記開閉部の旋回中心軸の延伸方向と一致しており、
前記保護壁は平板状に形成されており、厚さ方向が前記側壁部の厚さ方向に対して直交しており、前記外力を受けたときにこの厚さ方向で撓むように構成されており、
前記一対の保護壁当接部のうちの一方の保護壁当接部である第1の保護壁当接部は、前記一対の側壁部本体部のうちの一方の側壁部本体部である第1の側壁部本体部の、前記保護壁側の端から、前記一対の側壁部本体部のうちの他方の側壁部本体部である第2の側壁部本体部側に僅かに突出するようにして、前記底壁部から起立しており、
前記一対の保護壁当接部のうちの他方の保護壁当接部である第2の保護壁当接部は、前記一対の側壁部本体部のうちの他方の側壁部本体部である第2の側壁部本体部の、前記保護壁側の端から、前記一対の側壁部本体部のうちの一の側壁部本体部である第1の側壁部本体部側に僅かに突出するようにして、前記底壁部から起立している請求項
1に記載のヒューズユニットのカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、JISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーが知られている(特許文献1参照)。従来のJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーは、開閉部と固定部とからなり、開閉部の側面に保護壁が設定されている。JISバッテリにヒューズユニットが搭載された状態で、従来のJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーがヒューズユニットに装着される。なお、ヒューズユニットはバッテリ端子を介してJISバッテリのバッテリポストに取り付けられている。
【0003】
ヒューズユニットに従来のJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーが設置された状態でも、開閉部がヒンジを支点とし開閉することができる。これにより、従来のJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーをヒューズユニットから取り外すことなくメンテナンス作業を行うことができる。
【0004】
また、従来、DINバッテリ用のヒューズユニット保護カバーが知られている。従来のDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバーは、開閉部と固定部とからなり、開閉部の側面には、切り欠きが形成されている。この切り欠きは、ヒンジを支点とした開閉軌跡とDINバッテリ壁部(上側の突出部)とがお互いにが干渉しないようするために形成されている。
【0005】
なお、従来のJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーと従来のDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバーとの違いは保護壁と切り欠きの違いであり、その他は同じ形状および構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバーをDINバッテリに使用すると、ヒューズユニット保護カバーの保護壁がDINバッテリの壁部に干渉し、開閉部を操作する事ができない。
【0008】
また、従来のDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバーをJISバッテリに使用すると、従来のDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバーに切り欠きが形成されているので、所定の方向で見ると切り欠きを介してバッテリ端子等が覗けてしまう。すなわち、所定の方向で見ると切り欠きを介してバッテリ端子等が露出しており、好ましくない。
【0009】
このように、従来の態様では、搭載されるバッテリの仕様に合わせて、ヒューズユニット保護カバーを別々に準備しなければならないという問題がある。
【0010】
本発明は、JISバッテリとDINバッテリとのいずれのバッテリにも好ましい状態で設置することができるバッテリ用のヒューズユニット保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様に係るヒューズユニットのカバーは、バッテリに設置されているヒューズユニットに固定される固定部と、前記固定部に設けられているヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記固定部に接続されており、前記ヒンジ部を回動中心にして前記固定部に対して回動する開閉部と、前記開閉部の先端部に設けられ、外力を受けたときに変形する保護壁と有する。
【0012】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットのカバーでは、前記保護壁が、前記固定部が前記ヒューズユニットにされている状態で前記開閉部が前記固定部に対して回動することで、前記バッテリの突出部に当接したときに、この当接によって前記バッテリの突出部から外力を受けて弾性変形するように構成されている。
【0013】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットのカバーでは、前記開閉部が、底壁部と、一対の側壁部とを備えて構成されており、前記一対の側壁部が、前記ヒンジ部の近傍から前記ヒンジ部から離れる方向に延びお互いが対向して前記底壁部から起立しており、前記保護壁が、前記一対の側壁部を間にして前記ヒンジ部とは反対で前記一対の側壁部から僅かに離れ、前記底壁部から前記一対の側壁部と同方向に起立しており、前記外力を受けたときに、前記保護壁が前記一対の側壁部側に撓むように構成されている。
【0014】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットのカバーでは、前記一対の側壁部のそれぞれが、側壁部本体部と保護壁当接部とを備えて構成されており、前記保護壁当接部は、前記保護壁と前記一対の側壁部との間に形成されている間隙を溝状にするために設けられている。
【0015】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットのカバーでは、前記一対の側壁部のそれぞれが、側壁部本体部と保護壁当接部とを備えて構成されており、前記一対の側壁部本体部のそれぞれは、平板状に形成されており、厚さ方向がお互いに一致しており、厚さ方向でお互いが離れており、また、厚さ方向が前記ヒンジ部における前記開閉部の旋回中心軸の延伸方向と一致しており、前記保護壁が平板状に形成されており、厚さ方向が前記側壁部の厚さ方向に対して直交しており、前記外力を受けたときにこの厚さ方向で撓むように構成されており、前記一対の保護壁当接部のうちの一方の保護壁当接部である第1の保護壁当接部が、前記一対の側壁部本体部のうちの一方の側壁部本体部である第1の側壁部本体部の、前記保護壁側の端から、前記一対の側壁部本体部のうちの他方の側壁部本体部である第2の側壁部本体部側に僅かに突出するようにして、前記底壁部から起立しており、前記一対の保護壁当接部のうちの他方の保護壁当接部である第2の保護壁当接部が、前記一対の側壁部本体部のうちの他方の側壁部本体部である第2の側壁部本体部の、前記保護壁側の端から、前記一対の側壁部本体部のうちの一の側壁部本体部である第1の側壁部本体部側に僅かに突出するようにして、前記底壁部から起立している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、JISバッテリとDINバッテリとのいずれのバッテリにも好ましい状態で設置することができるバッテリ用のヒューズユニット保護カバーを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバーの斜視図である。
【
図5】(a)は、本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバーを、JIS規格のバッテリに設置されているヒューズユニットに設置した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)におけるVB矢視図であってヒューズユニットのカバーとこの周辺部を示す図である。
【
図6】(a)は、本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバーを、DIN規格のバッテリに設置されているヒューズユニットに設置した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)におけるVIB矢視図であってヒューズユニットのカバーとこの周辺部を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバーの設置について説明する図であり、(a)はヒューズユニットのカバーの開閉部が解放位置にある状態を示している。(b)は開閉部が閉鎖位置に至る途中の状態を示しており、(c)は(b)におけるVIIC部の拡大図である。
【
図8】(a)は、本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバーの設置について説明する図であり、ヒューズユニットのカバーの開閉部が閉鎖位置にある状態を示している。(b)は変形例に係るヒューズユニットのカバーを示す図である。
【
図9】比較例に係るヒューズユニットのカバーの斜視図である。
【
図10】比較例に係るヒューズユニットのカバーの斜視図である。
【
図11】(a)は、
図9で示す比較例に係るヒューズユニットのカバーを、JIS規格のバッテリに設置されているヒューズユニットに設置した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)におけるXIB矢視図であってヒューズユニットのカバーとこの周辺部を示す図である。
【
図12】(a)は、
図10で示す比較例に係るヒューズユニットのカバーを、DIN規格のバッテリに設置されているヒューズユニットに設置した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)におけるVIIB矢視図であってヒューズユニットのカバーとこの周辺部を示す図である。
【
図13】(a)は、
図9で示す比較例に係るヒューズユニットのカバーを、DIN規格のバッテリに設置されているヒューズユニットに設置した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)におけるVIIIB矢視図であってヒューズユニットのカバーとこの周辺部を示す図である。
【
図14】(a)は、
図10で示す比較例に係るヒューズユニットのカバーを、JIS規格のバッテリに設置されているヒューズユニットに設置した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)におけるXIV矢視図であってヒューズユニットのカバーとこの周辺部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバー(ヒューズユニット保護カバー)1は、
図5、
図6で示すように、車両のバッテリ3に一体的に設置されているヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット)5のカバーとして使用されるものである。
【0019】
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向を縦方向とし、水平な所定の他の一方向であって縦方向に対して直交する方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向(高さ方向)とする。
【0020】
ヒューズユニットのカバー1は、
図1から
図4で示すように、固定部7とヒンジ部9と開閉部11と保護壁13とを備えて構成されている。固定部7は、ヒューズユニット5に固定されるようになっている。ヒューズユニット5は、たとえば、バッテリ3のバッテリポスト4に図示しないバッテリ端子を介して設置されている。
【0021】
ヒンジ部9は、固定部7の端(縁)の一部に設けられている。開閉部11は、ヒンジ部9を介して固定部7に接続されており、ヒンジ部9を回動中心にして固定部7に対して回動するようになっている。保護壁13は、開閉部11の先端部に設けられており、外力を受けたときに変形(たとえば弾性変形)するようになっている。なお、説明の便宜上、保護壁13を開閉部11に含めていないが、保護壁13を含んだものを開閉部11としてもよい。
【0022】
固定部7がヒューズユニット5に設置される途中の状態で開閉部11が固定部7に対して回動することで、
図7(b)、(c)で示すように、保護壁13がDIN規格のバッテリ3の突出部15に当接するようになっている。突出部15は、DIN規格のバッテリ3の上面から上側に突出している。また、保護壁13は、DIN規格のバッテリ3の突出部15に当接したときに、この当接によってバッテリ3の突出部15から外力を受けて弾性変形するように構成されている。
【0023】
開閉部11は、底壁部(底板部)17と、一対の側壁部19、21とを備えて構成されている。すなわち、一対の側壁部19、21は、第1の側壁部(第1の側板部)19と第2の側壁部(第2の側板部)21とで構成されている。底壁部17は、ヒンジ部9に直接つながっている。
【0024】
一対の側壁部19、21は、ヒンジ部9の近傍からヒンジ部9から離れる方向に延びているとともに、お互いが対向して底壁部17から下側に起立している。
【0025】
保護壁13は、一対の側壁部19、21を間にして、ヒンジ部9とは反対で一対の側壁部19、21から僅かに離れ、底壁部17から一対の側壁部19、21と同方向に起立している。また、保護壁13は、上記外力を受けたときに、一対の側壁部19、21側に撓んで一対の側壁部19、21に当接するように構成されている。
【0026】
一対の側壁部19,21のそれぞれは、
図4で示すように、側壁部本体部23と保護壁当接部25とを備えて構成されている。保護壁当接部25は、保護壁13と一対の側壁部19、21との間に形成されている間隙27を溝状にするために設けられている。
【0027】
間隙27が溝状に形成されていることによって、間隙27が、上下方向と縦方向と横方向とのそれぞれで所定の寸法になっている直方体状の立体形状に形成されている。すなわち、保護壁13と一対の側壁部19、21とで囲まれた内部空間29と、保護壁13と一対の側壁部19、21とで囲まれた空間29の外の外部空間31とをつないでいる間隙27の横方向での道のりが長くなっている。
【0028】
なお、保護壁当接部25が設けられていないと仮定すると、横方向における間隙27の寸法の値は、板状の側壁部本体部23の厚さ寸法の値と等しくなる。
【0029】
底壁部17は平板状に形成されており、厚さ方向が上下方向になっている。 一対の側壁部19、21を構成している一対の側壁部本体部23のそれぞれは、平板状に形成されている。一対の側壁部本体部23のそれぞれは、底壁部17から下側に突出している。また、一対の側壁部本体部23のそれぞれは、厚さ方向が横方向になっており、横方向でお互いが離れており、また、厚さ方向がヒンジ部9における開閉部11の旋回中心軸の延伸方向である横方向と一致している。
【0030】
保護壁13は、片持ち梁状で平板状に形成されており、底壁部17から下側に突出している。保護壁13は、厚さ方向が縦方向になっており、厚さ方向が側壁部21の厚さ方向に対して直交しており、上記外力を受けたときにこの厚さ方向で、一対の側壁部19、21側に撓むように構成されている(
図7(b)(c)参照)。
【0031】
ここで、
図4で示すように、一対の側壁部19、21を構成している一対の側壁部本体部23のうちの一方の側壁部本体部を第1の側壁部本体部23Aとする。一対の側壁部19、21を構成している一対の保護壁当接部25のうちの一方の保護壁当接部を第1の保護壁当接部25Aとする。
【0032】
また、一対の側壁部19、21を構成している一対の側壁部本体部23のうちの他方の側壁部本体部を第2の側壁部本体部23Bとする。一対の側壁部19、21を構成している一対の保護壁当接部25のうちの他方の保護壁当接部を第2の保護壁当接部25Bとする。
【0033】
第1の保護壁当接部25Aは、縦方向における第1の側壁部本体部23Aの保護壁13側の端から、第2の側壁部本体部23B側に僅かに突出するようにして、底壁部17から起立している。
【0034】
第2の保護壁当接部25Bは、縦方向における第2の側壁部本体部23Bの保護壁13側の端から、第1の側壁部本体部23A側に僅かに突出するようにして、底壁部17から起立している。
【0035】
なお、上下方向で見ると、第1の側壁部本体部23Aと第1の保護壁当接部25Aとは、お互いの端部がつながっていることで、「L」字状に形成されている。第2の側壁部本体部23Bと第2の保護壁当接部25Bも、お互いの端部がつながっていることで、「L」字状に形成されている。
【0036】
ここで、ヒューズユニットのカバー1等についてさらに詳しく説明する。
【0037】
JIS規格のバッテリ(JISバッテリ)3は、
図5で示すように、直方体状のバッテリ本体部33と、円柱状に形成されておりバッテリ本体部33の上面から上側に突出している一対のバッテリポスト4とを備えて構成されている。
【0038】
DIN規格のバッテリ(DINバッテリ)3は、
図6で示すように、直方体状のバッテリ本体部33と、このバッテリ本体部33の上面から上側に突出している突出部15と一対のバッテリポスト4とを備えて構成されている。突出部15は矩形な平板状になっており高さ方向が上下方向になっている。上下方向で見ると、突出部15はバッテリ本体部33よりも小さくなっており、突出部15はバッテリ本体部33の内側に位置している。これにより、縦方向の一方の側であってバッテリポスト4の周辺には、突出部15が非存在である突出部非存在部位35が形成されており、矩形状のバッテリ本体部33の上面が露出している。一対のバッテリポスト4は、横方向でお互いが離れ、突出部非存在部位35でバッテリ本体部33の上面から上側に突出している。
【0039】
ヒューズユニット5は、矩形な板状の第1の部位37と矩形な板状の第2の部位39とを備えて構成されている。バッテリ3に設置されているヒューズユニット5を横方向で見ると、第1の部位37と第2の部位39とで「L」字状になっている。
【0040】
JIS規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている状態では、第1の部位37の厚さ方向が上下方向になっており、第2の部位39の厚さ方向が縦方向になっている。また、JIS規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている状態では、第1の部位37が図示しないバッテリ端子を介してバッテリ3のバッテリポスト4に設置されている。さらに、JIS規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている状態では、第1の部位37がバッテリ本体部33の上側に位置しており、第2の部位39がバッテリ本体部33の側面に沿って第1の部位37から下側に延出している。
【0041】
DIN規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている状態でも、第1の部位37の厚さ方向が上下方向になっており、第2の部位39の厚さ方向が縦方向になっている。また、DIN規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている状態でも、第1の部位37が図示しないバッテリ端子を介してバッテリ3のバッテリポスト4に設置されている。さらに、DIN規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている状態では、第1の部位37がバッテリ本体部33の上側で突出部非存在部位35のところに位置しており、第2の部位39がバッテリ本体部33の側面に沿って第1の部位37から下側に延出している。なお、DIN規格のバッテリ3に設置されている状態では、上下方向で、第1の部位37の上面と突出部15の上面とがお互いにほぼ同じところに位置している。
【0042】
ヒューズユニットのカバー1の固定部7は、開閉部11と同様にして、底壁部41と側壁部43とを備えて構成されている。固定部7には図示しない被係止部が設けられており、ヒューズユニット5の第2の部位39には、図示しない係止部が設けられている。そして、ヒューズユニットのカバー1の固定部7をヒューズユニット5の第2の部位39に設置したときには、上記被係止部が上記係止部で係止され、固定部7が第2の部位39に一体的に設置されるようになっている。
【0043】
ヒューズユニットのカバー1の固定部7をヒューズユニット5の第2の部位39に設置したときには、ヒューズユニット5の第2の部位39と第1の部位37の一部とが固定部7の底壁部41と側壁部43内に入る。そして、底壁部41と側壁部43とで覆われるようになっている。
【0044】
また、ヒューズユニットのカバー1の開閉部11は、上述したように、ヒンジ部9によって横方向に延びている回動中心軸を中心にして、固定部7に対して、概ね90°回動するようになっている。すなわち、開閉部11は、
図7(a)で示す解放位置と、
図8(a)で示す閉鎖位置との間で、固定部7に対して回動するようになっている。
【0045】
開閉部11が解放位置にあるときには、ヒューズユニット5の第1の部位37の一部とバッテリ端子(図示せず)とバッテリポスト4とが露出するようになっている。開閉部11が閉鎖位置にあるときには、保護壁13と開閉部11の底壁部17と一対の側壁部19、21との内側に、ヒューズユニット5の第1の部位37の一部とバッテリ端子(図示せず)とバッテリポスト4とが入るようになっている。そして、開閉部11によって、第1の部位37の一部とバッテリ端子(図示せず)とバッテリポスト4も覆われるようになっている。
【0046】
また、ヒューズユニットのカバー1の開閉部11にも、図示しない被係止部が設けられており、ヒューズユニット5の第1の部位37にも、図示しない係止部が設けられている。そして、ヒューズユニットのカバー1の開閉部11が閉鎖位置にあるときには、上記被係止部が上記係止部で係止され、開閉部11が第1の部位37に一体的に設置されるようになっている。
【0047】
次に、ヒューズユニットのカバー1の設置動作等について説明する。
【0048】
初期状態では、バッテリ3にヒューズユニット5が設置されているものとする。バッテリ3は、JIS規格のものであってもよいし、DIN規格のものであってもよい。
【0049】
まず、初期状態において、DIN規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている場合について説明する。
【0050】
初期状態で、ヒューズユニットのカバー1の固定部7をヒューズユニット5の第2の部位39に設置する。固定部7を第2の部位39に設置するときとし終えた状態では、
図7(a)で示すように、開閉部11が解放位置に位置するものとする。
【0051】
続いて、
図7(a)で示す状態から、ヒンジ部9を回動中心にして、矢印7Aaの方向に開閉部11を回動すると、
図7(b)(c)で示す状態になる。
図7(b)(c)で示す状態では、保護壁13がバッテリ3の突出部15に干渉して当接している。この当接によって、保護壁13が二点鎖線で示す位置から実線で示すように撓むので、開閉部11の回動が阻害されることはない。なお、作業者が保護壁13に手で力を加えて撓ませることで
図7(b)(c)で示す状態にすることもできる。
【0052】
図7(b)(c)で示す状態から、ヒンジ部9を回動中心にして、矢印7Abの方向に開閉部11をさらに回動すると、
図8(a)で示すように、開閉部11が閉鎖位置に位置し、保護壁13が復元する。
【0053】
次に、初期状態において、JIS規格のバッテリ3にヒューズユニット5が設置されている場合について説明する。
【0054】
初期状態で、ヒューズユニットのカバー1の固定部7をヒューズユニット5の第2の部位39に設置する。固定部7を第2の部位39に設置するときとし終えた状態でも、開閉部11が解放位置に位置するものとする。
【0055】
続いて、開閉部11が解放位置に位置している状態から、ヒンジ部9を回動中心にして、開閉部11を回動すると、開閉部11が閉鎖位置に位置する。JIS規格のバッテリ3にヒューズユニット5にヒューズユニットのカバー1を設置する場合、JIS規格のバッテリ3のバッテリ本体部33の上面には突出部15のような突出部が非存在であるので、保護壁13の干渉、当接、撓みは発生しない。
【0056】
ヒューズユニットのカバー1によれば、外力を受けたときに変形する保護壁13が、開閉部11の先端部に設けられているので、JISバッテリとDINバッテリとのいずれのバッテリ3にも好ましい状態で設置することができる。
【0057】
すなわち、ヒューズユニットのカバー1をJISバッテリ3に設置した場合、保護壁13が設けられているので、開閉部11が閉鎖位置になれば、バッテリ端子等が露出することがない。つまり、開閉部11が閉鎖位置になれば、底壁部17と一対の側壁部19、21と保護壁13とでバッテリ端子等が囲まれる。
【0058】
また、ヒューズユニットのカバー1をDINバッテリ3に設置する場合、保護壁13がDINバッテリ3の突出部15に干渉しても保護壁13が変形する。この変形により、開閉部11を操作する事ができ、DINバッテリ3にヒューズユニットのカバー1を設置することができる。
【0059】
ヒューズユニットのカバー1は、JISバッテリ3に設置した場合であっても、DINバッテリ3に設置した場合であっても、カバーとしての機能を発揮することができる。
【0060】
これに対して、比較例に係るJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバー301をDINバッテリ3に使用すると、
図13で示すように、比較例に係るヒューズユニット保護カバー301の保護壁303がDINバッテリ3の突出部15に干渉する。この干渉により、開閉部305を操作する事ができない。
【0061】
一方、
図11で示すように、比較例に係るJISバッテリ用のヒューズユニット保護カバー301をJISバッテリ3に使用した場合は、上記干渉は発生せず、問題は生じない。
【0062】
また、比較例に係るDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバー311をJISバッテリ3に使用すると、
図14で示すように、バッテリ端子等が覗けてしまい好ましくない。すなわち、比較例に係るDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバー311に切り欠き313が形成されているので、縦方向で見ると切り欠き313を介してバッテリ端子等が覗けてしまう。さらには、切り欠き313から周辺部品もしくは工具が、DINバッテリ用のヒューズユニット保護カバー311内に侵入し、バッテリ端子等に接することで不具合が発生するおそれがある。
【0063】
一方、
図12で示すように、比較例に係るDINバッテリ用のヒューズユニット保護カバー311をDINバッテリ3に使用した場合は、突出部15があるので、上記問題は生じない。
【0064】
また、ヒューズユニットのカバー1では、開閉部11が固定部7に対して回動することでDINバッテリ3の突出部15に当接したときに、この当接によってバッテリの突出部15から外力を受けて弾性変形するように保護壁13が構成されている。これにより、ヒューズユニットのカバー1をDINバッテリ3に設置した状態で、開閉部11を容易に回動させることができる。そして、ヒューズユニットのカバー1をDINバッテリ3に設置したままの状態でDINバッテリ3のメンテナス等を容易に行うことができる。
【0065】
また、ヒューズユニットのカバー1では、想定外のなんらかの外力を受けたときに保護壁13が一対の側壁部19、21側に撓むように構成されている。これにより、保護壁13の撓み量が大きくなると、保護壁13が一対の側壁部19、21に当接し、保護壁13の撓み量が大きくなりすぎることが防止される。
【0066】
また、ヒューズユニットのカバー1によれば、保護壁13と一対の側壁部19、21との間に形成されている間隙27が保護壁当接部25によって横方向に長い溝状になっているので、ヒューズユニットのカバー1内への工具等の侵入を一層防止することができる。
【0067】
ヒューズユニットのカバー1では、第1の保護壁当接部25Aが第1の側壁部本体部23Aの端から第2の側壁部本体部23B側に僅かに突出している。また、第2の保護壁当接部25Bが第2の側壁部本体部23Bの端から第1の側壁部本体部23A側に僅かに突出している。
【0068】
これにより、保護壁13と一対の側壁部19、21との間に形成されている間隙27が横方向に長い溝状になっているとともに、第1の保護壁当接部25Aが第1の側壁部本体部23Aの補強リブの役割を果たしている。また、第2の保護壁当接部25Bが第2の側壁部本体部23Bの補強リブの役割を果たしており、側壁部19、21の剛性が高くなっている。
【0069】
ところで、保護壁13の先端部に、
図8(b)で示すように斜めのガイド面45を設けてもよい。ガイド面45を設けることで、
図7(a)で示す状態から
図7(b)で示す状態に至るまでの間で、保護壁13の先端がDINバッテリ3の突出部15の角部47(
図7等参照)に当接して、突出部15に上面に乗り上げてしまうという不具合の発生が防止される。
【0070】
なお、
図9で示すヒューズユニット保護カバー301において、寸法L9の値を小さくすれば、上述した突出部15への干渉、バッテリ端子の露出は、発生しない。しかし、このようにすると、ヒューズユニット保護カバー301のサイズが小さくなるので、バッテリ端子等を内部に収容することができない事態が発生するおそれがある。
【0071】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 ヒューズユニットのカバー
3 バッテリ
5 ヒューズユニット
7 固定部
9 ヒンジ部
11 開閉部
13 保護壁
15 突出部(バッテリの突出部)
17 底壁部(開閉部の底壁部)
19、21 側壁部(開閉部の側壁部)
23 側壁部本体部(側壁部の側壁部本体部)
23A 第1の側壁部本体部
23B 第2の側壁部本体部
25 保護壁当接部(側壁部の保護壁当接部)
25A 第1の保護壁当接部
25B 第2の保護壁当接部
27 間隙