(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】プロテクタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240312BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20240312BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G11/00
B60R16/02 623T
(21)【出願番号】P 2020088718
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰斗
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 将典
(72)【発明者】
【氏名】三浦 清嗣
(72)【発明者】
【氏名】細木 崇仁
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-041841(JP,A)
【文献】特開2017-073850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 11/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクタ端部に位置する部分として形成されるハーネス導出部が、壁状の第一対向壁部及び該第一対向壁部に対向する壁状の第二対向壁部と、壁状の第三対向壁部及び該第三対向壁部に対向する壁状の第四対向壁部と、ハーネス本体の移動が可能な広口の開口部とを備えて構成され、
前記第一対向壁部及び前記第二対向壁部は、これらの端となる第一端部及び第二端部が、前記第三対向壁部の第三端部及び前記第四対向壁部の第四端部を結ぶ位置よりもプロテクタ軸方向の外側に位置するように配置され、且つ、前記第一対向壁部及び前記第二対向壁部には、前記第一端部及び前記第二端部から前記プロテクタ軸方向に直交する方向で外向きに立ち上がる第一リブ及び第二リブが一体に形成され
、
当該プロテクタは、前記第三対向壁部の前記第三端部及び前記第四対向壁部の前記第四端部にロック部を更に備える
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタにおいて、
前記第一リブ及び前記第二リブは、これらの基端部分で且つ前記開口部の側の面がそれぞれ曲面に形成される
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロテクタにおいて、
前記第一リブ及び前記第二リブは、前記第一端部の全体及び前記第二端部の全体にわたり配置される
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のプロテクタにおいて、
前記第一対向壁部及び前記第二対向壁部は、平面視で前記第一端部及び前記第二端部が湾曲した外形となる部分を有するように形成される
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項5】
請求項1、2、3
又は
4に記載のプロテクタと、該プロテクタに収容されるハーネス本体とを備えて構成され、
該ハーネス本体は、前記プロテクタの第一リブ及び第二リブが形成されたハーネス導出部の広口の開口部から移動可能に導出される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネス本体を収容保護するプロテクタと、このプロテクタ及びハーネス本体を備えるワイヤハーネスとに関する。
【背景技術】
【0002】
プロテクタは、自動車に配索されるワイヤハーネスのハーネス本体の所定位置に設けられる。プロテクタは、ハーネス本体の一部である上記所定位置を収容保護するための樹脂成形品であって、溝状のプロテクタ本体と、このプロテクタ本体の溝開口を覆うプロテクタカバーとを備えて構成される。
図9において、下記特許文献1には、固定側プロテクタ1と、可動側プロテクタ2とが開示される。以下、固定側プロテクタ1について説明をする。
【0003】
固定側プロテクタ1は、プロテクタ本体3にハーネス本体4を収容し、この後にプロテクタカバー(図示省略)で覆うことにより、ハーネス本体4の一部を外装することができるように形成される。固定側プロテクタ1は、筒状に形成される。固定側プロテクタ1には、この端部に位置する部分としてハーネス導出部5が形成される。ハーネス導出部5は、ハーネス本体4の移動が可能な広口の開口部6と、上記移動の際のガイドをするガイド部7とを有する。尚、ハーネス本体4の上記移動とは、ハーネス導出部5から導出された直後(開口部6から導出された直後)のハーネス本体4を、実線で示すU字状に屈曲させた状態にしたり、二点鎖線で示すのばした状態にしたりする際に必要となる移動のことである。ハーネス導出部5におけるガイド部7は、上記移動の際にハーネス本体4が摺接するような部分に形成される。このようなガイド部7は、プロテクタ本体3における側壁8の端部9及び側壁10の端部11を仮に直線で結ぶと、この直線の外側に板状となる形状で突出する部分に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術にあっては、ハーネス導出部5から導出されたハーネス本体4が開口部6の広がり方向(開口がのびる長手方向)に移動すると、この移動の際にハーネス本体4が板状のガイド部7を摺接するようになることから、板状のガイド部7には、
図9の紙面垂直方向に、摺接に起因した力が作用することになる。そのため、プロテクタ本体3に対して図示しないプロテクタカバーが離れるような「開き」の状態が生じてしまうという虞がある。上記移動に伴い「開き」が繰り返されると、これがハーネス導出部5へのストレスになってしまうことにもなる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ハーネス本体の移動に伴うハーネス導出部の「開き」を防止することが可能なプロテクタを提供することを課題とする。また、このプロテクタを備えるワイヤハーネスを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明のプロテクタは、プロテクタ端部に位置する部分として形成されるハーネス導出部が、壁状の第一対向壁部及び該第一対向壁部に対向する壁状の第二対向壁部と、壁状の第三対向壁部及び該第三対向壁部に対向する壁状の第四対向壁部と、ハーネス本体の移動が可能な広口の開口部とを備えて構成され、前記第一対向壁部及び前記第二対向壁部は、これらの端となる第一端部及び第二端部が、前記第三対向壁部の第三端部及び前記第四対向壁部の第四端部を結ぶ位置よりもプロテクタ軸方向の外側に位置するように配置され、且つ、前記第一対向壁部及び前記第二対向壁部には、前記第一端部及び前記第二端部から前記プロテクタ軸方向に直交する方向で外向きに立ち上がる第一リブ及び第二リブが一体に形成され、当該プロテクタは、前記第三対向壁部の前記第三端部及び前記第四対向壁部の前記第四端部にロック部を更に備えることを特徴とする。
【0008】
このような請求項1の特徴を有する本発明によれば、ハーネス導出部における第一対向壁部及び第二対向壁部が上記のような外側に位置して、従来なら「開き」の状態が生じ易い形状であったとしても、第一端部及び第二端部に第一リブ及び第二リブが一体に形成されることから、この第一リブ及び第二リブによる強度向上にて、ハーネス本体の移動に伴うハーネス導出部の「開き」を防止することができる。
更に、請求項1の特徴を有する本発明によれば、第三対向壁部の第三端部及び第四対向壁部の第四端部にロック部があることから、このロック部をハーネス導出部の「開き」防止に寄与させることができる。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のプロテクタにおいて、前記第一リブ及び前記第二リブは、これらの基端部分で且つ前記開口部の側の面がそれぞれ曲面に形成されることを特徴とする。
【0010】
このような請求項2の特徴を有する本発明によれば、ハーネス本体の移動に伴い摺接を受ける面が曲面に形成されることから、ハーネス本体の摩耗等を防止することができる。また、本発明によれば、上記の如く曲面に形成されることから、引っ掛かりが起こり難く、結果、スムーズなハーネス本体の移動を可能にすることもできる。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載のプロテクタにおいて、前記第一リブ及び前記第二リブは、前記第一端部の全体及び前記第二端部の全体にわたり配置されることを特徴とする。
【0012】
このような請求項3の特徴を有する本発明によれば、第一リブ及び第二リブの形成範囲が広いことから強度向上が図れ、結果、ハーネス本体の移動に伴うハーネス導出部の「開き」をより確実に防止することができる。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1、2又は3に記載のプロテクタにおいて、前記第一対向壁部及び前記第二対向壁部は、平面視で前記第一端部及び前記第二端部が湾曲した外形となる部分を有するように形成されることを特徴とする。
【0014】
このような請求項4の特徴を有する本発明によれば、湾曲した外形となる部分を有し本来なら「開き」の状態が生じ易い形状であっても、第一リブ及び第二リブによる強度向上にて、ハーネス本体の移動に伴うハーネス導出部の「開き」を防止することができる。また、本発明によれば、ハーネス本体の曲げ伸ばしに合わせた外形形状になることから、ハーネス本体を確実にガイドすることができる。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた請求項5に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1、2、3又は4に記載のプロテクタと、該プロテクタに収容されるハーネス本体とを備えて構成され、該ハーネス本体は、前記プロテクタの第一リブ及び第二リブが形成されたハーネス導出部の広口の開口部から移動可能に導出されることを特徴とする。
【0018】
このような請求項5の特徴を有する本発明によれば、請求項1、2、3又は4に記載のプロテクタを構成に含むことから、より良いワイヤハーネスを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプロテクタによれば、ハーネス本体の移動に伴うハーネス導出部の「開き」を第一リブ及び第二リブにて防止することができるという効果を奏する。また、本発明のワイヤハーネスによれば、上記プロテクタを備えることから、より良いものを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のプロテクタ及びワイヤハーネスの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1のプロテクタ及びワイヤハーネスの分解斜視図である。
【
図9】従来例のプロテクタ及びワイヤハーネスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ワイヤハーネスは、プロテクタと、このプロテクタに収容されるハーネス本体とを備えて構成される。プロテクタは、プロテクタ端部に位置する部分として形成されるハーネス導出部が、壁状の第一対向壁部及びこれに対向する壁状の第二対向壁部と、壁状の第三対向壁部及びこれに対向する壁状の第四対向壁部と、ハーネス本体の移動が可能な広口の開口部とを備えて構成される。第一対向壁部及び第二対向壁部は、これらの端となる第一端部及び第二端部が、第三対向壁部の第三端部及び第四対向壁部の第四端部を結ぶ位置よりもプロテクタ軸方向の外側に位置するように配置される。第一対向壁部及び第二対向壁部には、第一端部及び第二端部からプロテクタ軸方向に直交する方向で外向きに立ち上がる第一リブ及び第二リブが一体に形成される。第一リブ及び第二リブは、第一端部の全体及び第二端部の全体にわたり配置される。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明のプロテクタ及びワイヤハーネスの一実施形態を示す斜視図である。また、
図2は
図1のプロテクタ及びワイヤハーネスの分解斜視図、
図3はプロテクタ端部の拡大斜視図、
図4は
図3のプロテクタ本体の斜視図、
図5は
図3のプロテクタカバーの斜視図、
図6は
図3の矢印A方向から見た斜視図、
図7は
図6のプロテクタカバーの斜視図、
図8は
図6のプロテクタ本体の斜視図である。
【0023】
<ワイヤハーネス21について>
図1において、ワイヤハーネス21は、自動車に搭載される機器同士などを電気的に接続するために用いられる。自動車においては、所定の経路で配索されるものと、自動車の可動部位に合わせて曲げ伸ばしが生じるように配索されるものとがあるが、本発明では後者のワイヤハーネス21が該当するものとする。曲げ伸ばしが生じるワイヤハーネス21は、ハーネス本体22と、このハーネス本体22を部分的に収容保護する固定側プロテクタ23(プロテクタ)及び可動側プロテクタ24とを備えて構成される。尚、ワイヤハーネス21の配索先は上記自動車に限らないものとする。自動車の場合の例としては、窓ガラスの昇降部分や、ルーフの開閉部分、バックドアの開閉部分、スライドドアのスライド部分、座席のスライド部分等が配索先に挙げられるものとする。
【0024】
<ハーネス本体22について>
図1及び
図2において、ハーネス本体22は、一又は複数本の電線、若しくはケーブルであって、曲げが自在となるような曲げ柔軟性を有する。ハーネス本体22の端末には、図示しない機器に対するコネクタが設けられる(これに限らず、例えば電気接続箱などが設けられてもよいものとする)。上記電線としては、公知のものが採用され、導体部と絶縁体部とを備えて構成される。導体部は、銅製又は銅合金製の複数の素線を撚り合わせてなるものである(アルミニウム製又はアルミニウム合金製のものであってもよいものとする)。導体部は、断面円形状に形成される。一方、絶縁体部は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の絶縁性を有する樹脂部分であって、導体部の周囲に断面円筒形状に押出成形される。絶縁体部は、導体部に対する被覆部材であって、所定の厚みに形成される。以上のようなハーネス本体22は、図示しない可動部材に固定された可動側プロテクタ24と共に移動して曲げ伸ばしが行われるようになる。
【0025】
<固定側プロテクタ23について>
図1及び
図2において、固定側プロテクタ23は、特許請求の範囲に記載された「プロテクタ」に該当する部材である。固定側プロテクタ23は、樹脂成形により全体が例えば図示形状に形成される。すなわち固定側プロテクタ23は、長尺な筒状となる形状に形成される。ここで
図1の矢印Pを上下方向、矢印Qを左右方向、矢印Rを前後方向と定義すると、固定側プロテクタ23は、上壁25及びこの上壁25に対向する下壁26と、左側壁27及びこの左側壁27に対向する右側壁28とを有して長尺な筒状となる形状に形成される。固定側プロテクタ23には、複数のロック部29や複数種の固定部30、31、32も形成される。複数のロック部29は、上記の筒形状を維持する部分として形成される。複数のロック部29は、公知のロック構造(係止構造や嵌合構造と呼ばれることもある)が採用される。尚、一部のロック部29に関しては
図3ないし
図8を参照しながら後述するものとする。複数種の固定部30、31、32は、図示しない固定部材に対する固定部分であって、ボルトで固定する構造やクリップで固定する構造等、公知の構造が採用される。
【0026】
固定側プロテクタ23には、この前後となる位置の端部にプロテクタ端部33、34が形成される。前側のプロテクタ端部33には、本発明の特徴部分であるハーネス導出部35が形成される。また、後側のプロテクタ端部34には、公知のハーネス導出部36が形成される。以上のような固定側プロテクタ23は、溝状のプロテクタ本体37と、このプロテクタ本体37の溝開口を覆うプロテクタカバー38、39とを備えて構成される。
【0027】
<プロテクタ本体37及びプロテクタカバー38について>
図2において、プロテクタ本体37は、ハーネス本体22の一部を収容するために溝形状に形成される。プロテクタ本体37は、底壁40と、この底壁40の両側部分から立ち上がる左側壁41及び右側壁42とを有する。尚、底壁40は、
図1の固定側プロテクタ23における下壁26に相当する壁部分であるものとする。また、左側壁41及び右側壁42は、
図1の固定側プロテクタ23における左側壁27及び右側壁28を構成する内側の壁部分であるものとする。プロテクタ本体37には、上記の他に、
図1の固定側プロテクタ23のハーネス導出部35を構成する第二対向壁部47(後述する)も形成される。この第二対向壁部47は、底壁40に連続する壁部分に形成される。プロテクタ本体37には、複数種の固定部30、31、32も形成される。
【0028】
一方、プロテクタカバー38は、プロテクタ本体37の溝開口を覆うために蓋形状に形成される。プロテクタカバー38は、天井壁43と、この天井壁43の両側部分から垂れ下がる左側壁44及び右側壁45とを有する。尚、天井壁43は、
図1の固定側プロテクタ23における上壁25に相当する壁部分であるものとする。また、左側壁44及び右側壁45は、
図1の固定側プロテクタ23における左側壁27及び右側壁28を構成する外側の壁部分であるものとする。左側壁44及び右側壁45は、本実施例において、プロテクタ本体37の左側壁41及び右側壁42よりも高く形成される(一例であるものとする)。プロテクタカバー38には、上記の他に、
図1の固定側プロテクタ23のハーネス導出部35を構成する第一対向壁部46(後述する)も形成される。この第一対向壁部46は、天井壁43に連続する壁部分に形成される。
【0029】
<ハーネス導出部35について>
図1及び
図3において、ハーネス導出部35は、可動側プロテクタ24に追従してハーネス本体22を矢印S方向に移動可能に引き出せるような部分(導出できるような部分)に形成される。ハーネス導出部35は、第一対向壁部46と、第二対向壁部47と、第三対向壁部48と、第四対向壁部49と、広口の開口部50とを備えて構成される。第一対向壁部46は、上壁25に連続して前方へ(外側へ)突出する壁部分に形成される。また、第二対向壁部47も下壁26に連続して前方へ(外側へ)突出する壁部分に形成される。第三対向壁部48は、左側壁27がこれに該当するように形成される。また、第四対向壁部49も右側壁28がこれに該当するように形成される。広口の開口部50は、第一対向壁部46~第四対向壁部49に囲まれる開口部分に形成される。広口の開口部50は、矢印S方向に開口が長くのびるように形成される。
【0030】
<第一対向壁部46及び第二対向壁部47について>
図3ないし
図8において、第一対向壁部46及び第二対向壁部47は、矢印Pの上下方向に所定の間隔をあけて対向するように配置される。第一対向壁部46及び第二対向壁部47は、ハーネス本体22に対するガイド部として機能するように形成される。第一対向壁部46及び第二対向壁部47は、上記の如く前方へ(外側へ)突出する壁部分である。第一対向壁部46及び第二対向壁部47は、これらの端となる第一端部51及び第二端部52が、平面視で、湾曲した外形となる部分(湾曲外形部51a、52a)と、ストレートな外形となる部分(ストレート外形部51b、52b)とを有するように形成される(一例であるものとする。湾曲外形部51a、52aのみの外形であってもよいものとする)。湾曲外形部51a、52aは、ハーネス本体22の移動による軌跡に合わせて湾曲するように形成される。第一対向壁部46及び第二対向壁部47は、第三対向壁部48の第三端部53及び第四対向壁部49の第四端部54を結ぶ位置、すなわち二点鎖線Lよりもプロテクタ軸CLの方向(ここでは矢印Rの前後方向と同じであるものとする)の外側に第一端部51及び第二端部52が位置するように配置・形成される。このような第一対向壁部46及び第二対向壁部47における第一端部51及び第二端部52には、第一リブ55及び第二リブ56(後述する)が形成される。
【0031】
<第三対向壁部48及び第四対向壁部49について>
図3ないし
図8において、第三対向壁部48及び第四対向壁部49は、この外側がプロテクタカバー38の左側壁44及び右側壁45にて構成され、且つ、内側がプロテクタ本体37の左側壁41及び右側壁42にて構成される。第三対向壁部48及び第四対向壁部49は、二重壁のような部分に形成される。第三対向壁部48は、ハーネス本体22の曲げに配慮して、平面視で湾曲するような形状に形成される。第三対向壁部48及び第四対向壁部49には、ロック部29が形成される。このロック部29は、プロテクタ本体37に形成される凸状ロック部57(係止突起)と、プロテクタカバー38に形成される凹状ロック部58(係止枠部)とで構成される。尚、第三対向壁部48及び第四対向壁部49にロック部29がそれぞれ形成されることから、プロテクタ端部33においての「開き」やハーネス導出部35の「開き」が防止されるのは勿論である。すなわちロック部29が近くに形成されない場合には、例えば外力にてプロテクタカバー38がプロテクタ本体37から離れるような状態に開いてしまうという虞があるが、本実施例のように第三端部53及び第四端部54の近くに配置・形成すれば「開き」が防止されるからである。
【0032】
<第一リブ55及び第二リブ56について>
図3ないし
図8において、第一リブ55及び第二リブ56は、第一対向壁部46及び第二対向壁部47における第一端部51及び第二端部52に対して一体に形成される。第一リブ55及び第二リブ56は、プロテクタ軸CLの方向に直交する方向(矢印Pの上下方向)で外向きに短く立ち上がる突条部分に形成される。第一リブ55及び第二リブ56は、特に限定するものでないが、同じ高さで突出するように形成される。第一リブ55及び第二リブ56は、第三対向壁部48の第三端部53及び第四対向壁部49の第四端部54の位置に合わせ、ここからのびるように形成される。第一リブ55及び第二リブ56は、本実施例において、第一端部51の全体及び第二端部52の全体にわたり配置される(部分的でも良いが、全体にわたっての配置が好ましいものとする)。第一リブ55及び第二リブ56は、これらの基端部分で且つ広口の開口部50の側の面59、60がそれぞれ曲面に形成される。面59、60は、ハーネス本体22が摺接するための曲面に形成される。以上のような第一リブ55及び第二リブ56は、ハーネス本体22の移動に伴い第一対向壁部46及び第二対向壁部47が離間してしまうような「開き」の防止を目的として形成される。「開き」が防止されれば、ハーネス導出部35へのストレスが生じないことになる。
【0033】
ハーネス導出部35における第一対向壁部46及び第二対向壁部47が上記のような外側に位置し、従来なら「開き」の状態が生じ易い形状であったとしても、第一端部51及び第二端部52に第一リブ55及び第二リブ56が一体に形成されることから、この第一リブ55及び第二リブ56による強度向上にて、ハーネス本体22の移動に伴うハーネス導出部35の「開き」が防止される。
【0034】
<第一リブ55及び第二リブ56による効果について>
以上、
図1ないし
図8を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態である固定側プロテクタ23によれば、ハーネス導出部35に第一リブ55及び第二リブ56が形成されることから、ハーネス本体22の移動に伴うハーネス導出部35の「開き」を防止することができるという効果を奏する。また、本発明の一実施形態であるワイヤハーネス21によれば、固定側プロテクタ23を備えることから、より良いものを提供することができるという効果を奏する。
【0035】
本発明は、本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。上記説明においては、第一対向壁部46及び第二対向壁部47の第一端部51及び第二端部52に第一リブ55及び第二リブ56が形成されるが、第一対向壁部46の第一端部51に第一リブ55が形成されるだけや、第二対向壁部47の第二端部52に第二リブ56が形成されるだけであってもよいものとする。ハーネス本体22の移動に伴って受けることになる力に合わせて適宜配置すればよいものとする。
【符号の説明】
【0036】
21…ワイヤハーネス、 22…ハーネス本体、 23…固定側プロテクタ(プロテクタ)、 24…可動側プロテクタ、 25…上壁、 26…下壁、 27…左側壁、 28…右側壁、 29…ロック部、 30~32…固定部、 33、34…プロテクタ端部、 35、36…ハーネス導出部、 37…プロテクタ本体、 38、39…プロテクタカバー、 40…底壁、 41…左側壁、 42…右側壁、 43…天井壁、 44…左側壁、 45…右側壁、 46…第一対向壁部、 47…第二対向壁部、 48…第三対向壁部、 49…第四対向壁部、 50…広口の開口部(開口部)、 51…第一端部、 52…第二端部、 53…第三端部、 54…第四端部、 55…第一リブ、 56…第二リブ、 57…凸状ロック部、 58…凹状ロック部、 59、60…面、 CL…プロテクタ軸