(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】内燃機関のピストン
(51)【国際特許分類】
F02F 3/22 20060101AFI20240312BHJP
F01M 1/06 20060101ALI20240312BHJP
F16J 1/08 20060101ALI20240312BHJP
F16J 1/09 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F02F3/22 A
F01M1/06 C
F16J1/08
F16J1/09
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020126303
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】10 2019 122 877.8
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タラト・シェール
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-272453(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013002232(DE,A1)
【文献】中国実用新案第205013072(CN,U)
【文献】米国特許第02266192(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00737714(GB,A)
【文献】特開2014-169695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/06
F02F 3/22
F16J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のピストン(12)であって、
ピストン上側部分(10)と、
前記ピストン上側部分(10)に接続されたピストン下側部分(11)と、
前記ピストン下側部分(11)に取り付けられ、かつ前記ピストンを前記内燃機関のコネクティングロッド(13)に接続するように機能するピストンピンと、
前記ピストンを冷却するための冷却油のための、前記ピストン上側部分(10)と前記ピストン下側部分(11)との間に形成された第1の冷却スペース(15)であって、前記第1の冷却スペース(15)は、前記ピストン上側部分(10)と前記ピストン下側部分(11)との間に形成された第2の冷却スペース(16)に少なくとも1つの移送ボア(17)を介して接続される、第1の冷却スペース(15)と、
冷却油誘導スリーブ(19)であって、前記冷却油誘導スリーブ(19)は、前記第1の冷却スペース(15)の方向に前記コネクティングロッド(13)のボア(18)を通って誘導される冷却油を誘導するように機能し、前記冷却油誘導スリーブ(19)のガイド面(22)が前記ピストン下側部分(11)の支持面(23)に隣接する、冷却油誘導スリーブ(19)と、を有するピストンにおいて、
周方向に広がる少なくとも1つの溝(28、29)が、前記冷却油誘導スリーブ(19)の前記ガイド面(22)に、および/または前記ピストン下側部分(11)の前記支持面(23)に、導入され
、
前記冷却油誘導スリーブ(19)には、径方向又は軸方向に前記溝(28、29)と連通する流路が形成されており、潤滑油が、前記流路を介して、前記冷却油誘導スリーブ(19)と前記ピストン下側部分(11)との間の領域に供給されることを特徴とするピストン。
【請求項2】
前記流路が、前記冷却油誘導スリーブ(19)
に形成されたスリット(21)
であり、前記スリット(21)は、軸方向に延在し、前記冷却油誘導スリーブ(19)は、前記ガイド面(22)により前記ピストン下側部分(11)の前記支持面(23)をばね弾性的に押圧
することを特徴とする請求項1に記載のピストン。
【請求項3】
前記流路が、径方向に延在しかつ前記冷却油誘導スリーブ(19)を貫通する少なくとも1つの凹部(30)
であることを特徴とする請求項1または2に記載のピストン。
【請求項4】
前記潤滑油が、それぞれの前記凹部(30)を介して、前記冷却油誘導スリーブ(19)および/または前記ピストン下側部分(11)のそれぞれの前記溝(28、29)に供給されることができることを特徴とする請求項3に記載のピストン。
【請求項5】
前記冷却油誘導スリーブ(19)の前記ガイド面(22)に、および/または前記ピストン下側部分(11)の前記支持面(23)に、周方向に区画された少なくとも1つの油ポケット(31)が導入されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のピストン。
【請求項6】
内燃機関のピストン(12)であって、
ピストン上側部分(10)と、
前記ピストン上側部分(10)に接続されたピストン下側部分(11)と、
前記ピストン下側部分(11)に取り付けられ、かつ前記ピストンを前記内燃機関のコネクティングロッド(13)に接続するように機能するピストンピンと、
前記ピストンを冷却するための冷却油のための、前記ピストン上側部分(10)と前記ピストン下側部分(11)との間に形成された第1の冷却スペース(15)であって、前記第1の冷却スペース(15)は、前記ピストン上側部分(10)と前記ピストン下側部分(11)との間に形成された第2の冷却スペース(16)に少なくとも1つの移送ボア(17)を介して接続される、第1の冷却スペース(15)と、
冷却油誘導スリーブ(19)であって、前記冷却油誘導スリーブ(19)は、前記第1の冷却スペース(15)の方向に前記コネクティングロッド(13)のボア(18)を通って誘導される冷却油を誘導するように機能し、前記冷却油誘導スリーブ(19)のガイド面(22)が前記ピストン下側部分(11)の支持面(23)に隣接する、冷却油誘導スリーブ(19)と、を有するピストンにおいて、
前記冷却油誘導スリーブ(19)の前記ガイド面(22)に、および/または前記ピストン下側部分(11)の前記支持面(23)に、周方向に区画された少なくとも1つの油ポケット(31)が導入されることを特徴とするピストン。
【請求項7】
径方向に延在しかつ前記冷却油誘導スリーブ(19)を貫通する少なくとも1つの凹部(30)が、前記冷却油誘導スリーブ(19)に導入され、潤滑油が、前記凹部(30)を介して、前記冷却油誘導スリーブ(19)と前記ピストン下側部分(11)との間の領域に供給されることができることを特徴とする請求項6に記載のピストン。
【請求項8】
潤滑油が、それぞれの前記凹部(30)を介して、前記冷却油誘導スリーブ(19)および/または前記ピストン下側部分(11)のそれぞれの前記油ポケット(31)に供給されることができることを特徴とする請求項7に記載のピストン。
【請求項9】
前記冷却油誘導スリーブ(19)が、スリット(21)を有するスリットスリーブとして形成され、前記スリット(21)は、軸方向に延在し、前記冷却油誘導スリーブ(19)は、前記ガイド面(22)により前記ピストン下側部分(11)の前記支持面(23)をばね弾性的に押圧することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルまたは請求項6のプリアンブルに記載の内燃機関のピストンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、内燃機関のピストンであって、ピストンは、ピストン上側部分とピストン下側部分とを備え、それらピストン上側部分およびピストン下側部分は優先的には互いに螺合される、内燃機関のピストンが知られている。ピストン下側部分に、ピストンピンが取り付けられ、ピストンピンは、ピストンを内燃機関のコネクティングロッドに接続するように機能する。特許文献1に記載のピストンは、油冷式であり、ピストン上側部分とピストン下側部分との間に、一方では冷却油のための第1の内部冷却スペースが、他方では冷却油のための第2の外部冷却スペースが、形成され、内部冷却スペースは、少なくとも1つの移送ボアを介して外部冷却スペースに接続される。内部冷却スペース内に冷却油を導入するために、冷却油のための供給ボアが、この従来技術によるコネクティングロッドに統合され、コネクティングロッドから出てきた冷却油は、複数パーツの冷却油誘導スリーブの支援により、内部冷却スペース内に移送可能である。特許文献1によると、冷却油誘導スリーブの第1の首状部分は、ピストンのピストン下側部分に移動不可能に固定される。冷却油誘導スリーブの漏斗状可動部分は、冷却油誘導スリーブのこの固定された首状部分と、冷却油誘導スリーブの2つの部分の間に作用するばね要素がコネクティングロッドの小端部に滑り接触で冷却油誘導スリーブの漏斗状部分を弾性的に押し付けるように、相互作用する。コネクティングロッドのボアから出てきた冷却油を内部冷却スペース内に移送するためにこのようなばねで負荷をかけられた冷却油誘導スリーブを使用することは、このような冷却油誘導スリーブの組み立てが多大な費用をともなうので、不利である。さらに、別個のばね要素は、冷却油誘導スリーブとコネクティングロッドとの間に高い摩擦力を引き起こす。
【0003】
特許文献2から、内燃機関のピストンであって、冷却油誘導スリーブが、スリットスリーブとして形成され、スリーブは、ガイド面により、ピストン下側部分の支持面をばね弾性的に押圧する、内燃機関のピストンが知られている。この従来技術によると、スリットスリーブとして設計されたピストンの冷却油誘導スリーブは、一パーツで形成され、かつピストン下側部分をばね弾性的に押圧するので、別個のばね要素がなくてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許第3518721号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013002232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内燃機関の冷却式ピストンの機能をさらに改善する必要がある。
【0006】
これから出発して、本発明は、内燃機関の新しいタイプのピストンを創出するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、この課題は、請求項1に記載のピストンによって解決される。したがって、周方向に広がる少なくとも1つの溝が、冷却油ガイドスリーブのガイド面に、および/またはピストン下側部分の支持面に、導入される。
【0008】
本発明の第2の態様によると、この目的は、請求項6に記載のピストンによって解決される。したがって、周方向に区画された少なくとも1つの油ポケットが、冷却油誘導スリーブのガイド面に、および/またはピストン下側部分の支持面に、導入される。
【0009】
本発明による双方の態様により、冷却油誘導スリーブのガイド面とピストン下側部分の支持面との間の領域に、規定された方法で潤滑のための油を導入することが可能である。これにより、ピストン下側部分および冷却油誘導スリーブの摩擦と摩擦起因の摩耗とは低減され、あるいはさらに完全に回避される。これは冷却式ピストンの機能を改善する。
【0010】
本発明の第1または第2の態様の有利なさらなる発展によると、少なくとも1つの凹部、優先的には少なくとも2つの凹部が、径方向に延在しかつ冷却油誘導スリーブを貫通し、潤滑油が、凹部を介して、冷却油誘導スリーブとピストン下側部分との間の領域に供給されることができる。これは、周方向に広がる溝および/または周方向に区画された油ポケットへの潤滑油の特に有利な提供を可能にする。
【0011】
本発明の好ましいさらなる発展は、従属請求項および下記の説明から得られる。本発明の例示的な実施形態は、これに限定されることなく、図面によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】冷却油誘導スリーブの領域における本発明による第1のピストンの抜粋の形態の断面図を示す。
【
図2】冷却油誘導スリーブの領域における
図1の詳細部IIを示す。
【
図3】冷却油誘導スリーブの領域における本発明による第2のピストンの代替の詳細部を示す。
【
図4】
図2または
図3によるピストンの冷却油誘導スリーブのさらなる発展を示す。
【
図5】ピストンの代替の冷却油誘導スリーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中の発明は、内燃機関の、特に、例えば船舶のディーゼル内燃機関のような、ディーゼルエンジンまたはガスエンジンまたはディーゼルガスエンジンとして具体化された内燃機関の、油冷式ピストンに関する。
【0014】
このようなピストンは、トランクピストンとも称される。
【0015】
図1および
図2はそれぞれ、本発明による内燃機関の第1のピストン12の異なる断面方向の断面図を示し、ピストン12は、ピストン上側部分10およびピストン下側部分11を備える。ピストン上側部分10およびピストン下側部分11は、優先的には、軽金属、鋼または球状黒鉛鋳鉄から製造される。ピストン上側部分10およびピストン下側部分11は互いに支持し合い、かつ優先的には引張ねじとして具体化された固定手段を介して互いに接続される。
【0016】
ピストン下側部分11のボアに、ピストンピン(図示されず)が取り付けられ、ピストンピンは、ピストンを内燃機関のコネクティングロッド13に接続するように機能する。コネクティングロッド13の、いわゆる小端部14が
図2に示される。
【0017】
ピストン上側部分10とピストン下側部分11との間に、一方では第1の内部冷却スペース15が、他方では第2の外部冷却スペース16が、冷却油のために形成され、
図2によると、内部冷却スペース15は、移送ボア17を介して外部冷却スペース16に接続される。
【0018】
ピストン12を冷却するように機能する冷却油は、ピストン12に、すなわちピストン12の第1の内部冷却スペース15に、コネクティングロッド13と小端部14とを通って延在するボア18を介して供給されることができる。ここで、冷却油誘導スリーブ19は、コネクティングロッド13またはコネクティングロッド13の小端部14と相互作用する。冷却油の流れは矢印20によって可視化される。
【0019】
冷却油誘導スリーブ19は、スリットスリーブとして形成される。冷却油誘導スリーブ19のスリット21は、ピストンまたは冷却油誘導スリーブ19の軸方向に延在する。
【0020】
分解状態では、冷却油誘導スリーブ19は、ピストン下側部分11の凹部の内径よりも大きい外径を有し、冷却油誘導スリーブ19が、ピストン下側部分11の凹部内に挿入される。冷却油誘導スリーブ19をピストン下側部分11のこの凹部内に挿入するために、冷却油誘導スリーブ19は、スリット21のいわゆる口幅を減少させるように圧縮され、冷却油誘導スリーブ19のピストン下側部分11内への挿入後に、冷却油誘導スリーブ19のガイド面22は、ピストン下側部分11の対応する支持面23をばね弾性的に押圧する。
【0021】
冷却油誘導スリーブ19は、別個のばね要素なしに、一部品または一パーツで具体化されかつピストン下側部分11に取り付けられる。
【0022】
優先的には、冷却油誘導スリーブ19のガイド面22と、冷却油誘導スリーブ19の第1のガイド面22がばね弾性的に押圧するピストン下側部分11の支持面23と、は、円錐台のように輪郭が形成される。これにより、冷却油誘導スリーブ19が、さらなるガイド面24によりコネクティングロッド13の小端部14の支持面25をさらにばね弾性的に押圧することが保証される。
【0023】
冷却油誘導スリーブ19の優先的には円錐台状のガイド面22およびピストン下側部分11の対応する支持面23は、ピストンのまたは冷却油誘導スリーブ19の軸方向に見ると、コネクティングロッド13を向く冷却油誘導スリーブ19の端部26から出発して、コネクティングロッド13から離れる方を向く冷却油誘導スリーブ19の端部27の方向へテーパとなっている。
【0024】
既に説明したように、冷却油誘導スリーブ19を、ピストン下側部分11の対応する凹部へ組み立てた後、冷却油誘導スリーブ19は、ガイド面22によりピストン下側部分の支持面23にばね弾性的に押し付けられる。
【0025】
特に、コネクティングロッド13が続いて取り付けられるとき、冷却油誘導スリーブ19はさらに圧縮され、ガイド面22および支持面23の円錐台状に形成された輪郭の結果として、冷却油誘導スリーブ19は、さらなるガイド面24により、コネクティングロッド13の小端部14の対応する支持面25をばね弾性的に押圧する。これにより、コネクティングロッド13の小端部14からの冷却油誘導スリーブ19の浮き上がりが防止され、かつ、コネクティングロッド13の小端部14と冷却油誘導スリーブ19との間の良好なシールが常に保証される。
【0026】
本発明の第1の態様によると、周方向に広がる少なくとも1つの溝が、優先的には円錐台のようにテーパに輪郭が形成された、冷却油誘導スリーブ19のガイド面22に、および/または対応するように輪郭が形成された、ピストン下側部分11の支持面23に、導入される。
図1および
図2は、このような溝28が、冷却油誘導スリーブ19のガイド面22のみに導入された例示的な実施形態を示す。周方向に広がるこの溝28は、特に、スリット冷却油誘導スリーブ19のスリット21を介して、潤滑油を提供されることができ、潤滑油は、スリット21を通過しかつ冷却油誘導スリーブ19の溝28に入り込む。これにより、冷却油誘導スリーブ19とピストン下側部分11との間の接触領域は、そこでの摩擦および摩耗を低減するために、規定された方法で潤滑されることができる。
【0027】
図3は、本発明の第1の態様の第2の例示的な実施形態によるピストンの詳細部を示し、この実施形態では、周方向に広がる溝29がピストン下側部分11の支持面23に導入される。この溝29もまた、スリット21を介して潤滑油を提供されることができる。
【0028】
図1および
図2の例示的な実施形態の溝28への、または
図3の例示的な実施形態の溝29への、潤滑油の提供を改善するために、
図4の例示的な実施形態では、径方向に延在しかつ冷却油誘導スリーブ19を貫通する少なくとも1つの凹部30が、冷却油誘導スリーブ19に導入される。
【0029】
図4では、少なくとも2つのこのような凹部30が、冷却油誘導スリーブ19に導入される。これらの凹部30により、冷却油誘導スリーブ19とピストン下側部分11との間の領域は、潤滑油を提供されることができ、特に、この潤滑油は、それぞれの凹部30を介してそれぞれの溝28、溝29に供給されることができる。
【0030】
ここで、溝28が冷却油誘導スリーブ19へ、また同時に溝29もピストン下側部分11へ、双方とも導入されることができることが指摘される。この場合、油は、凹部30を介して双方の溝28、溝29に供給されることができる。
【0031】
本明細書中の発明の第2の態様によると、優先的には円錐台のように輪郭が形成された、冷却油誘導スリーブ19のガイド面22、および/またはピストン下側部分11の支持面23に、周方向に区画された少なくとも1つの油ポケット31が導入されることが規定される。
図5は、本発明の第2の態様による冷却油誘導スリーブ19の側面図を示し、
図5では、周方向に区画された複数の油ポケット31が、冷却油誘導スリーブ19のガイド面22に導入される。
【0032】
図示されていないが、このように周方向に区画された油ポケット31は、付加的にまたは代替的に、ピストン下側部分11の支持面23にも導入されることができる。
【0033】
さらに、本発明の第1の態様と第2の態様とを互いに組み合わせることが可能であり、すなわち、周方向に広がる溝28および/または溝29は、油ポケット31と組み合わせられて双方利用することが可能である。ここでは、任意の組み合わせが考えられる。
【0034】
したがって、周方向溝28が冷却油誘導スリーブ19のガイド面22に導入されることができ、かつ、複数の油ポケットがピストン下側部分11の支持面23に導入されることができる。また、周方向に区画された複数の油ポケット31を冷却油誘導スリーブ19のガイド面22に導入し、かつ、周方向溝29をピストン下側部分11の支持面23に導入することも可能である。
【0035】
さらに、
図5では、次に、径方向に延在しかつ冷却油誘導スリーブ19を貫通する少なくとも1つの、優先的には少なくとも2つの凹部30が、冷却油誘導スリーブ19に導入されることが可能であり、特に、潤滑油がそれぞれの凹部30を介してそれぞれの油ポケット31に供給されることができるように、潤滑油が凹部30を介して冷却油誘導スリーブ19とピストン下側部分11との間の領域に供給されることができる。
【0036】
本発明により、冷却油誘導スリーブ19とピストン下側部分11との間の摩擦および摩耗を最小化する、あるいはさらに完全に回避するために、冷却油誘導スリーブ19とピストン下側部分11との間の接触領域に、規定された方法で潤滑油を提供することが可能である。
【0037】
本発明は、特に、船舶用途のディーゼルエンジンまたはガスエンジンまたはディーゼルガスエンジンのような大型エンジンのピストンに採用され、ピストンの外径は、特に、100mmと600mmとの間の範囲にある。
【符号の説明】
【0038】
10 ピストン上側部分
11 ピストン下側部分
12 ピストン
13 コネクティングロッド
14 小端部
15 冷却スペース
16 冷却スペース
17 移送ボア
18 ボア
19 冷却油誘導スリーブ
20 冷却油流れ
21 スリット
22 ガイド面
23 支持面
24 ガイド面
25 支持面
26 端部
27 端部
28 溝
29 溝
30 凹部
31 油ポケット