(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240312BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01N35/10 A
G01N35/02 B
(21)【出願番号】P 2020134145
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】横倉 泰郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健司
(72)【発明者】
【氏名】村松 友美
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】地福 佳広
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-101295(JP,A)
【文献】特開2008-145124(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033641(WO,A1)
【文献】特開昭63-132169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応容器を保持するための、保持部と、
検体又は試薬を分注プローブから前記反応容器に分注する、分注機構と、
前記保持部に保持された前記複数の反応容器を移動させる、駆動機構と、
前記検体と前記試薬とが混合された混合液に光を照射し、この混合液から出射する光を測定する、測光部と、
前記測定部で測定した結果に基づいて、前記検体に含まれる成分の分析結果を求める分析処理部と、
前記保持部の上方に設けられて、前記検体又は試薬を分注する際に前記分注プローブが挿入される挿入口が設けられた第1遮光カバーであって、前記挿入口付近に、前記挿入口付近以外の部分よりも高く突出した第1遮光部が設けられている、第1遮光カバーと、
を備える、自動分析装置。
【請求項2】
前記第1遮光カバーに設けられた前記第1遮光部は、前記分注プローブが挿入される前記挿入口の開口周囲を囲うリムである、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記第1遮光カバーに設けられた前記第1遮光部が突出している高さは、前記反応容器と前記第1遮光カバーとの間の空間の高さより高い、請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記分注プローブから分注をしない場合に、前記駆動機構の駆動を制御して、隣接する2つの反応容器の間が、前記挿入口の下方に位置するように待避移動させる、第1待避駆動制御手段を、さらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
待避信号に基づいて、前記駆動機構の駆動を制御して、隣接する2つの反応容器の間が、前記挿入口の下方に位置するように待避移動させる、第2待避駆動制御手段を、さらに備える、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
待避信号に基づいて、前記駆動機構の駆動を制御して、前記複数の反応容器のうち検体の分注されていない反応容器又は前記測光部による前記混合液の測定が終了した反応容器が、前記挿入口の下方に位置するように待避移動をさせる、第2待避駆動制御手段を、さらに備える、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記第1遮光カバーには、前記保持部に前記反応容器を供給し、且つ、前記保持部から前記反応容器を回収するための供給回収開口部が形成されており、
前記自動分析装置は、前記保持部に前記反応容器を供給し、且つ、前記保持部から前記反応容器を回収する、反応容器供給回収機構であって、前記供給回収開口部を覆う第2遮光部が取り付けられた、反応容器供給回収機構を、さらに備える、請求項5又は請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記待避信号に基づいて、前記反応容器供給回収機構を制御して、前記反応容器供給回収機構に取り付けられた前記第2遮光部を、待機位置から前記供給回収開口部を覆う位置に移動させる、遮光部制御手段を、さらに備える請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記第1遮光カバーの上方から前記第1遮光カバーを覆って遮光する、第2遮光カバーをさらに備える、請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記待避信号は、ユーザが入力インターフェースから、前記第2遮光カバーを開ける前に入力する開操作情報に基づいて生成される、請求項9に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記第2遮光カバーが開けられることをロックするロック機構をさらに備えており、
前記第2待避駆動制御手段が、前記複数の反応容器を前記待避移動させた後、且つ、前記遮光部制御手段が、前記供給回収開口部を覆う位置に前記第2遮光部を移動させた後に、前記ロック機構が解除され、前記第2遮光カバーを開けることが可能となる、請求項9又は請求項10に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検体の分析を行う自動分析装置の中には、血液検体の凝固特性に基づいて対象成分の分析を行う血液凝固分析装置がある。このような自動分析装置は、血液検体と凝固試薬とを混合し、この混合液に光を照射し、その透過光又は散乱光を測光部で検出することにより、対象成分の定量分析を行う。複数の反応容器が反応ディスクに配置されており、これら複数の反応容器のそれぞれに測定用の測光部が取り付けられている。
【0003】
このような自動分析においては、測定動作中に、外部からの光など、光源以外からの光が測光部に入ってしまうと、目的の対象成分が正しく測定できなくなる。このため、測光部の上方を遮光カバーで覆い、外部からの光を遮断する。しかし、緊急時に頻繁に遮光カバーを開け閉めすると、外部からの光を測光部が拾ってしまう可能性がある。また、遮光カバーを開けて消耗品を交換する際にも、外部の光が測光部に入ってしまう可能性がある。
【0004】
また、自動分析装置にシャッター機構を設けて、分析機構に外部からの光が入らないようにする技術も知られている。しかし、この場合、シャッター機構を設けるために自動分析装置の製造コストが増大するばかりでなく、自動分析装置のユーザやサービス技術者が、誤って動作時にシャッター機構に触れてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-072799号公報
【文献】特開2017-536692号公報
【文献】特開昭63-132169号公報
【文献】特開2012-002733号公報
【文献】特開平1-313762号公報
【文献】特開2011-047793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、遮光性の向上を図った自動分析装置を提供することである。但し、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る自動分析装置は、複数の反応容器を保持するための、保持部と、検体又は試薬を分注プローブから前記反応容器に分注する、分注機構と、前記保持部に保持された前記複数の反応容器を移動させる、駆動機構と、前記検体と前記試薬とが混合された混合液に光を照射し、この混合液から出射する光を測定する、測光部と、前記測定部で測定した結果に基づいて、前記検体に含まれる成分の分析結果を求める分析処理部と、前記保持部の上方に設けられて、前記検体又は試薬を分注する際に前記分注プローブが挿入される挿入口が設けられた第1遮光カバーであって、前記挿入口付近に、前記挿入口付近以外の部分よりも高く突出した第1遮光部が設けられている、第1遮光カバーと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る自動分析装置の機能構成を示したブロック図。
【
図2】
図1に示す自動分析装置における分析機構の構成の一例を示す図。
【
図3】
図2に示す分析機構が備える測光ユニットを上面から見た構成図。
【
図4】
図2に示す分析機構が備える測光ユニットを側面から見た構成図。
【
図5】
図2に示す分析機構が備える測光ユニットの別の例を上面から見た構成図。
【
図6】
図2に示す分析機構において、遮光カバーと反応容器供給回収機構が設けられた状態を示す構成図(待機位置)。
【
図7】反応ディスクと遮光カバーと分注プローブとを側面から見た部分的な構成図(待避位置)。
【
図8】遮光カバーに形成された遮光部の構造を説明するための遮光カバーの部分的な断面図。
【
図9】遮光カバーに形成された遮光部の別の構造を説明するための遮光カバーの部分的な断面図。
【
図10】遮光カバーに形成された遮光部のさらに別の構造を説明するための遮光カバーの部分的な断面図。
【
図11】反応ディスクと遮光カバーと分注プローブとを側面から見た部分的な構成図(分注位置)。
【
図12】
図1に示す自動分析装置の外観斜視図の一例を示す図。
【
図13】
図2に示す分析機構において、遮光カバーと反応容器供給回収機構が設けられた状態を示す構成図(待避位置)。
【
図14】
図1に示す自動分析装置で実行される遮光制御処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る自動分析装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。本実施形態においては、この自動分析装置1は、例えば、血液凝固分析装置である。この
図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、分析機構2と、解析回路3と、駆動機構4と、入力インターフェース5と、出力インターフェース6と、通信インターフェース7と、記憶回路8と、制御回路9とを備えて構成されている。
【0011】
分析機構2は、被検者の検体である血液検体と、各検査項目で用いられる試薬である凝固試薬とを混合した混合液を生成する。また、分析機構2は、検査項目によっては、所定の倍率で希釈した標準液と、この検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、血液検体と試薬との混合液や標準液と試薬との混合液の光学的な物性値を連続的に測定する。この測定により、例えば、透過光強度、吸光度、散乱光強度等で表される標準データ、及び被検データが生成される。
【0012】
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析することで、血液検体の凝固に関する検量データ、及び分析データを生成するプロセッサである。解析回路3は、例えば、記憶回路8から解析プログラムを読み出し、読み出した解析プログラムに従って標準データ、及び被検データを解析する。なお、解析回路3は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
【0013】
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0014】
入力インターフェース5は、例えば、操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された血液検体に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インターフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インターフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本明細書において入力インターフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース5の例に含まれる。
【0015】
出力インターフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インターフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路、及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
【0016】
通信インターフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
【0017】
記憶回路8は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0018】
記憶回路8は、解析回路3で実行される解析プログラム、及び制御回路9に備わる機能を実現するための制御プログラムを記憶している。記憶回路8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データを血液検体毎に記憶する。記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、又は通信インターフェース7が病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダを記憶する。
【0019】
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
【0020】
図2は、
図1に示される分析機構2の構成の一部における一例を示す模式図である。この
図2に示すように、本実施形態に係る分析機構2は、反応ディスク201と、恒温部202と、ラックサンプラ203と、試薬庫204とを備えて構成されている。
【0021】
反応ディスク201は、複数の反応容器(キュベット)2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、検体の分析動作中、反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応容器2011は、例えば、ポリプロピレン(PP)又はアクリ
ルにより形成されている。この反応ディスク201が、本実施形態における保持部を構成している。
【0022】
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される混合液を昇温する。
【0023】
ラックサンプラ203は、複数の試料容器を保持可能な試料ラック2031を、移動可能に支持しており、これら複数の試料容器には、測定を依頼された検体である血液検体が収容されている。
図2に示す例では、5本の試料容器を並列して保持可能な試料ラック2031が示されている。
【0024】
ラックサンプラ203には、試料ラック2031を搬送する搬送領域2032が設けられている。すなわち、この搬送領域2032を使用して、試料ラック2031が投入される投入位置から、測定が完了した試料ラック2031を回収する回収位置まで、試料ラック2031が搬送される。搬送領域2032では、長手方向に整列された複数の試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D1へ移動される。
【0025】
また、ラックサンプラ203には、試料ラック2031で保持される試料容器を所定のサンプル吸引位置へ移動させるため、試料ラック2031を搬送領域2032から引き込む引き込み領域2033が設けられている。サンプル吸引位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、ラックサンプラ203で支持されて試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。引き込み領域2033では、搬送されてきた試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D2へ移動される。
【0026】
また、ラックサンプラ203には、試料が吸引された試料容器を保持する試料ラック2031を搬送領域へ戻すための戻し領域2034が設けられている。戻し領域2034では、試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D3へ移動される。
【0027】
試薬庫204は、標準液、及び血液検体に対して実施される各検査項目で用いられる試薬等を収容する複数の試薬容器100を保冷しながら保持する。試薬庫204内には、回転テーブルが回転自在に設けられている。回転テーブルは、複数の試薬容器100を円環状に載置して保持する。なお、本実施形態において、
図2では図示していないが、試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。
【0028】
さらに、
図2に示される本実施形態に係る分析機構2は、サンプル分注アーム206と、サンプル分注プローブ207と、試薬分注アーム208と、試薬分注プローブ209とを備える。
【0029】
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207を保持する。
【0030】
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器から試料を吸引するためのサンプル吸引位置が設けられている。また、サンプル分注プローブ207の回動軌道上には、サンプル分注プローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ分注するためのサンプル分注位置が設けられている。サンプル分注位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0031】
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置、又はサンプル分注位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、サンプル吸引位置の直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した試料を、サンプル分注位置の直下に位置する反応容器2011へ分注する。これらサンプル分注アーム206とサンプル分注プローブ207とにより、本実施形態における分注機構の一例が構成される。
【0032】
試薬分注アーム208は、反応ディスク201と試薬庫204との間に設けられている。試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。試薬分注アーム208は、一端に試薬分注プローブ209を保持する。
【0033】
試薬分注プローブ209は、試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、試薬吸引位置が設けられている。試薬吸引位置は、例えば、試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬庫204の回転テーブルに円環状に載置される試薬容器100の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。また、試薬分注プローブ209の回動軌道上には、試薬分注プローブ209が吸引した試薬を反応容器2011へ分注するための試薬分注位置が設定されている。試薬分注位置は、例えば、試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0034】
試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、又は試薬分注位置において上下方向に移動する。また、試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、試薬吸引位置で停止している試薬容器から試薬を吸引する。また、試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した試薬を、試薬分注位置の直下に位置する反応容器2011へ分注する。これら試薬分注アーム208と試薬分注プローブ209とにより、本実施形態における分注機構の別の例が構成される。
【0035】
さらに、本実施形態に係る分析機構2においては、その内部に、反応ディスク201に保持可能な反応容器2011と同数の測光ユニットが設けられている。この測光ユニットが、本実施形態における測光部を構成する。
図3及び
図4は、この測光ユニット211の構成例を示す模式図である。
図3は、測光ユニット211を、反応ディスク201の上方向から臨んだ際の各構成要素の位置関係の例を表す模式図である。
図4は、測光ユニット211を、反応ディスク201の断面方向から臨んだ際の各構成要素の位置関係の例を表す模式図である。
【0036】
測光ユニット211は、反応容器2011内に分注された試料と試薬との混合液の光学的な物性値を連続的に測定する。本実施形態に係る分析機構2においては、測光ユニット211は、複数設けられている。例えば、測光ユニット211は、反応ディスク201で保持可能な反応容器と同数だけ設けられている。すなわち、反応ディスク201で保持される1つの反応容器に対して、1つの測光ユニット211が設けられている。それぞれの測光ユニット211の構成は同様であるため、
図3及び
図4においては、1つの測光ユニット211を代表して図示している。
【0037】
図3及び
図4に示す測光ユニット211は、例えば、光源2111と、光検出器2112、2113とを有する。例えば、測光ユニット211は、反応ディスク201で環状に保持される反応容器2011の環状中心側に光源2111を有する。光源2111は、反応容器2011が配列されている環の外側へ向けて光を照射するように設けられている。
【0038】
光源2111は、2種類の波長の光を発生する、光照射部の一例である。光源2111は、例えば、波長が長い第1の光と、波長が短い第2の光とを発生する。例えば、第1の光の波長は、620~750nmの赤色の波長域に含まれ、第2の光の波長は、380~495nmの紫から青色の波長域に含まれる。なお、第1及び第2の光の波長は、620~750nmの赤色の波長域にそれぞれ含まれていても構わない。光源2111は、例えば、複数の波長の光を発生可能な多波長LED、所定の波長の光をそれぞれ発生する2つのLED、及び広い波長域の光からフィルタによって所望の波長の光を透過させる光源ユニット等により実現される。
【0039】
光源2111は、制御回路9の制御に従い、第1及び第2の光を発生する。具体的には、例えば、光源2111は、所定の周期で第1及び第2の光を交互に発生する。このとき、光源2111は、例えば、第1及び第2の光を、凝固の最小測定単位である、例えば0.1秒の半分である0.05秒周期で交互に光を発生する。光源2111から照射された光は、反応容器2011へ入射される。
【0040】
なお、光源2111は、制御回路9により指定される一方の波長の光を発生するようにしてもよい。また、光源2111は、第1及び第2の光を同時に発生するようにしてもよい。ただし、このとき、不要な波長の光を除外するためのフィルタを光検出器2112、2113に設ける必要がある。
【0041】
光検出器2112は、反応容器2011を挟んで光源2111と対向する位置に配設される。光源2111から出射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。光検出器2112は、反応容器2011から出射された光を検出する。光検出器2112は、例えば、透過光受光部の一例である。
【0042】
具体的には、例えば、光検出器2112は、反応容器2011内の標準液と試薬との混合液を透過した光を検出する。光検出器2112は、検出した光を所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔でサンプリングし、透過光強度、又は吸光度等で表される標準データを生成する。所定の時間間隔は、例えば、第1の光の発生頻度と同期する。なお、光検出器2112は、例えば、第1の光の波長と対応した波長の光のみを検出するようにしてもよい。また、光検出器2112は、反応容器2011内の血液検体と試薬との混合液を透過した光を検出する。光検出器2112は、検出した光を所定の時間間隔でサンプリングし、透過光強度、又は吸光度等により表される被検データを生成する。光検出器2112は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
【0043】
光検出器2113は、光源2111の光の照射軸と、光検出器2113の受光軸とが反応容器2011内において略90度で交わるように配設される。光源2111から出射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、混合液内の粒子により散乱された後、第1側壁と90度隔てて隣接する第3側壁から出射される。光検出器2113は、反応容器2011から出射された光を検出する。光検出器2113は、例えば、散乱光受光部の一例である。
【0044】
具体的には、例えば、光検出器2113は、反応容器2011内の標準液と試薬との混合液で散乱された光を検出する。光検出器2113は、検出した光を所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔でサンプリングし、散乱光強度等で表される標準データを生成する。所定の時間間隔は、例えば、第2の光の発生頻度と同期する。なお、光検出器2113は、例えば、第2の光の波長と対応した波長の光のみを検出するようにしてもよい。また、光検出器2113は、反応容器2011内の血液検体と試薬との混合液で散乱された光を検出する。光検出器2113は、検出した光を所定の時間間隔でサンプリングし、散乱光強度等により表される被検データを生成する。光検出器2113は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
【0045】
なお、光検出器2112、2113は、検出した光の強度を検出信号として解析回路3へ出力しても構わない。このとき、解析回路3が、所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔で検出信号をサンプリングし、標準データ、及び被検データを生成する。
【0046】
図5は、本実施形態に係る測光ユニット211の別の構成例を表す模式図である。
図5は、
図3と同様に、測光ユニット211を、反応ディスク201の上方向から臨んだ際の各構成要素の位置関係の例を表している。
図5に示される測光ユニット211は、光源2111として、2つのLED51、52を有している。
図5に示される例では、LED52の光の照射軸が、LED51の光の照射軸に対して所定の角度だけ傾けられている。
【0047】
光検出器2112は、
図3及び
図4の例と同様に、反応容器2011を挟んでLED51と対向する位置に配設されている。一方、光検出器2113は、LED52の光の照射軸と、光検出器2113の受光軸とが反応容器2011内において略90度で交わるように配設されている。
【0048】
再び
図1に示すように、解析回路3は、記憶回路8に記憶されている解析プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、解析回路3は、解析プログラムを実行することで、解析機能31、及び複合解析機能32を有する。すなわち、解析回路3は、本実施形態において、測光ユニット211で測定した結果に基づいて、検体に含まれる成分の分析結果を求める分析処理部を構成する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって解析機能31、及び複合解析機能32が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて解析回路を構成し、各プロセッサが解析プログラムを実行することにより解析機能31、及び複合解析機能32を実現しても構わない。
【0049】
解析機能31は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析する機能であり、解析部の一例である。具体的には、例えば、解析機能31において解析回路3は、標準データに基づいて凝固時間を算出し、算出した凝固時間から検量データを生成する。解析回路3は、生成した検量データを制御回路9へ出力する。
【0050】
また、解析機能31において解析回路3は、例えば、被検データを解析することで、混合液中の凝固の過程を測定する。具体的には、解析回路3は、例えば、反応が強い試薬が添加された混合液の解析については、透過光を検出して得られる被検データを解析する。解析回路3は、被検データに基づいて血液凝固反応についての受光強度変化を取得する。なお、以下では、受光強度変化を反応曲線として説明を進める。解析回路3は、反応曲線における変曲点、及び飽和到達点等を凝固終了点として検出する。このときの変曲点、及び飽和到達点等の検出は、数学的なアルゴリズム、例えば、反応曲線の1次微分、2次微分、又は他の演算法を用いて実施される。解析回路3は、検出した凝固終了点に基づき、凝固点と、凝固点に到達する時間である凝固時間を算出する。なお、解析回路3は、反応が強い試薬を添加した後、凝固が進まない異常検体に対しては、散乱光を検出して得られる被検データを解析しても構わない。
【0051】
また、解析回路3は、例えば、反応が弱くて遅い試薬を添加した混合液の解析については、散乱光を検出して得られる被検データを解析する。なお、本実施形態において、反応が弱くて遅い試薬について、反応が弱い試薬と記載する箇所もあるが、これらは同意のものとして扱うものとする。解析回路3は、被検データに基づいて反応曲線を取得し、取得した反応曲線から、血液検体の凝固に関する情報、例えば、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間を算出する。
【0052】
また、解析回路3は、検査項目によっては、算出した凝固時間と、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、濃度値等を算出する。解析回路3は、凝固終了点、凝固点、凝固時間、及び濃度値等を含む分析データを制御回路9へ出力する。
【0053】
複合解析機能32は、分析機構2により生成される2種類の被検データを複合して解析する機能であり、複合解析部の一例である。具体的には、複合解析機能32において解析回路3は、透過光を検出して得られる被検データと、散乱光を検出して得られる被検データとを取得する。解析回路3は、透過光についての被検データに基づく反応曲線、及び、散乱光についての被検データに基づく反応曲線から、血液検体の凝固に関する情報、例えば、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間等を算出する。
【0054】
複合解析機能32は、例えば、制御回路9からの制御、及び解析機能31での解析結果に従って実施される。例えば、解析回路3は、制御回路9からの指示に応じ、複合解析機能32を実施する。また、解析回路3は、例えば、解析機能31において、反応が弱い試薬を添加した後、想定よりも反応が遅い等の場合、複合解析機能32を実施する。
【0055】
解析回路3は、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間等を含む分析データを制御回路9へ出力する。
【0056】
図1に示される制御回路9は、記憶回路8に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、制御プログラムを実行することで、システム制御機能91と、測光制御機能92と、待避駆動制御機能93と、遮光部制御機能94とを有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91と、測光制御機能92と、待避駆動制御機能93と、遮光部制御機能94とが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが制御プログラムを実行することにより、これらの各種機能を実現しても構わない。
【0057】
システム制御機能91は、入力インターフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。例えば、システム制御機能91において制御回路9は、検査項目に応じた解析を実施するように解析回路3を制御する。
【0058】
測光制御機能92は、測定に用いられる光の波長を制御する機能であり、測光制御部の一例である。具体的には、測光制御機能92において制御回路9は、例えば、記憶回路8に記憶されている検査オーダを参照し、次に測定される検査項目で用いられる試薬情報を取得する。制御回路9は、例えば、取得した試薬情報に含まれる検査項目名、試薬名、反応に関する情報、及び再検に関する情報等に基づき、次に使用される試薬の反応が弱いか否かを判断する。
【0059】
待避駆動制御機能93は、駆動機構4の駆動を制御して反応ディスク201を回動させることにより、反応ディスク201に保持されている複数の反応容器2011を待避移動させて、待避位置まで移動させる。この待避駆動制御機能93が、本実施形態における第1待避駆動制御手段及び第2待避駆動制御手段を構成する。
【0060】
遮光部制御機能94は、詳しくは後述するが、
図6に示す反応容器供給回収機構310を制御して、この反応容器供給回収機構310に取り付けられた開口遮光部314を、待機位置から供給回収開口部306を覆う位置に移動させる。この遮光部制御機能94が、本実施形態における遮光部制御手段を構成する。
【0061】
図6は、本実施形態に係る分析機構2に遮光カバー300を取り付けた状態を示す模式図であり、分析機構2を僅かに斜めから見た平面図を示している。すなわち、
図2においては、この遮光カバー300を取り外した状態で、反応ディスク201を図示している。なお、この遮光カバー300が、本実施形態における第1遮光カバーを構成している。
【0062】
この
図6に示すように、遮光カバー300は、反応ディスク201を全体的に覆うような円盤状の形状をなしている。すなわち、検体の分析動作中、反応ディスク201は、回動と停止を繰り返す構造であることから、平面視で略円形の形状をなしている。このため、遮光カバー300も、この略円形の反応ディスク201を覆うように、略円形の形状をなしている。
【0063】
遮光カバー300には、サンプル分注プローブ207の分注動作を妨げないように、サンプル挿入口302(サンプル分注プローブ207を挿入する孔)が形成されている。すなわち、反応容器2011に試料である検体を分注する際に、サンプル分注位置において、サンプル分注プローブ207は上下方向に移動する。このため、遮光カバー300には、サンプル分注プローブ207の上下方向への動作を実現するために、サンプル挿入口302が形成されている。
【0064】
本実施形態においては、サンプル挿入口302は、サンプル分注プローブ207の水平方向断面の形状に合わせて、平面視で円形の形状の開口である。但し、サンプル挿入口302の開口の形状は、円形に限るものではなく、種々の形状が考えられる。例えば、サンプル挿入口302の開口の形状は、楕円形であってもよく、また、正方形、矩形、三角形、五角形などの多角形であってもよい。
【0065】
また、遮光カバー300には、試薬分注プローブ209の分注動作を妨げないように、試薬挿入口304が形成されている。すなわち、反応容器2011に試薬を突出する際に、試薬突出位置において、試薬分注プローブ209は上下方向に移動する。このため、遮光カバー300には、試薬分注プローブ209の上下方向への動作を実現するために、試薬挿入口304が形成されている。
【0066】
上述したように、本実施形態においては、2種類の試薬を検体の分析に必要としている。このため、試薬分注プローブ209が2本設けられている。これに対応して、試薬挿入口304も2つ形成されており、1つが一方の試薬分注プローブ209用の開口であり、もう1つが他方の試薬分注プローブ209用の開口となる。
【0067】
本実施形態においては、試薬挿入口304は、試薬分注プローブ209の水平方向断面の形状に合わせて、平面視で円形の形状の開口である。但し、試薬挿入口304の開口の形状も、円形に限るものではなく、種々の形状が考えられる。例えば、試薬挿入口304の開口の形状は、楕円形であってもよく、また、正方形、矩形、三角形、五角形などの多角形であってもよい。
【0068】
図7は、反応ディスク201と遮光カバー300を側面から見た部分的な模式図であり、
図8は、サンプル挿入口302と試薬挿入口304の近傍の遮光カバー300に関する部分的な拡大断面図である。本実施形態においては、サンプル挿入口302と試薬挿入口304は、同一の形状及び構造をなしているため、
図7及び
図8は、両者の形状及び構造を表している。以下では、サンプル挿入口302を例に開口部分の構造を説明するが、試薬挿入口304にもこの説明は適用される。
【0069】
これら
図7及び
図8に示すように、サンプル挿入口302には、遮光部308が形成されている。この遮光部308は、外乱光が測光ユニット211に入り込むのを防止するために設けられている。すなわち、検体血液の凝固特性に基づいて対象成分の分析を行う自動分析装置1では、短い時間周期で血液検体と試料との混合液の光学的測定を測光ユニット211で行っている。このため、外部からの光が測光ユニット211に入り込むと、正しい測定ができなくなってしまう。そこで、本実施形態に係る遮光カバー300においては、サンプル挿入口302に、遮光カバー300の表面よりも高く突出した遮光部308を設けている。すなわち、サンプル挿入口302付近に、このサンプル挿入口302付近以外の部分よりも高く突出した遮光部308が設けられている。
【0070】
本実施形態においては、遮光部308は、円形のサンプル挿入口302の開口周囲を、円形にぐるりと囲うリムにより構成されている。換言すれば、サンプル挿入口302の開口縁部が起立していて、外乱光がサンプル挿入口302から下方に入り込みにくい構造をなしている。また、本実施形態においては、この遮光部308の厚さTは、遮光カバー300の厚さTと同等である。例えば、この遮光カバー300が鉄やアルミ等の金属で形成されている場合には、プレス加工で金属板を打ち抜いて遮光カバー300を形成する際に、このプレス加工でサンプル挿入口302用の開口も打ち抜き、その後、開口縁部を曲げ加工することにより、遮光部308を形成することができる。
【0071】
一方、遮光カバー300が、例えば、プラスチック等の樹脂で形成されている場合には、この樹脂を流し込む金型の形状に、サンプル挿入口302及び遮光部308の形状を作り込んでおき、その金型に樹脂を流し込む樹脂加工により、サンプル挿入口302及び遮光部308を一体形成することができる。但し、サンプル挿入口302及び遮光部308を有する遮光カバー300の製造方法及び材料はこれらに限定されるものではなく、種々の方法及び材料で、サンプル挿入口302及び遮光部308を有する遮光カバー300を実現することができる。
【0072】
遮光部308の突出している高さは任意であるが、サンプル挿入口302から測光ユニット211に外乱光が入らない程度の高である必要がある。これは、サンプル挿入口302の開口直径のみならず、反応容器2011と遮光カバー300との間の空間の高さH2にも依存する。例えば、本実施形態においては、遮光部308の高さH1は、反応容器2011と遮光カバー300との間の空間の高さH2よりも、高く形成されている。これにより、外乱光が遮光部308で遮光されて、測光ユニット211に入りにくくしている。
【0073】
なお、遮光部308の形状や構造は任意である。例えば、
図9に示すように、遮光部308の厚さT1を、遮光カバー300の厚さTよりも厚くなるように、形成してもよい。この遮光部308の厚さT1は、円形に形成されている遮光部308の円周方向の幅と定義することもできる。このように肉厚な遮光部308とすることにより、遮光部308が物理的に破損する恐れを低減することができる。
【0074】
また、
図10に示すように、遮光部308の断面形状を滑らかな湾曲形状とすることもできる。この
図10の例においては、遮光部308の断面は、外周に向かうにしたがって滑らかに湾曲しながら下がって、遮光カバー300における遮光部308以外の表面に接するような形状をなしている。このような滑らかな形状の遮光部308とすることにより、ユーザが遮光カバー300を反応ディスク201に取り付けたり、反応ディスク201から取り外したりする際に、遮光部308がユーザの指に引っかからないようにすることができる。これらの種々の態様の遮光部308がそれぞれ、本実施形態における第1遮光部を構成している。
【0075】
図11は、上述した
図7と同様に、反応ディスク201と遮光カバー300を側面から見た部分的な模式図であるが、
図7は、反応容器2011が待避位置にある状態を示しており、
図11は、反応容器2011が分注位置にある場合を示している。
【0076】
すなわち、
図11は、分析機構2において、検体の分析動作において、反応容器2011を1ピッチ単位で移動させて、反応容器2011をサンプル分注位置や試薬突出位置である分注位置に移動させている状態を示している。ここで、1ピッチとは、隣接する2つの反応容器2011の間の距離を意味している。複数の反応容器2011に検体や試薬を連続的に分注する場合、反応容器2011が1ピッチ単位で移動するように、駆動機構4は分析機構2における反応ディスク201の回動と停止を繰り返す。つまり、この
図11は、この分析機構2が分析動作中に検体の分注や試薬の分注を行うための分注位置に、反応容器2011がある状態を示している。
【0077】
一方、
図7は、分析機構2において、反応容器2011を1ピッチ単位の移動から半ピッチずらした待避位置に移動させた状態を示している。本実施形態においては、このように、反応容器2011を移動させることを、待避移動という。この待避移動がなされると、隣接する2つの反応容器の間に、サンプル挿入口302が位置することとなり、試薬挿入口304が位置することとなる。
【0078】
なお、この
図7に示す待避位置に反応容器2011が位置する場合、必ずしも、隣接する2つの反応容器の中間点が、サンプル挿入口302の真下に位置する必要はない。つまり、機械動作や設計上の多少のずれは許容され、隣接する2つの反応容器2011の間が、およそ、サンプル挿入口302の下方に位置すれば足りる。
【0079】
本実施形態においては、この待避移動は、サンプル分注プローブ207による検体の分注や、試薬分注プローブ209による試薬の分注が、行われない場合になされる。例えば、本実施形態においては、検体の分析動作中において、システム制御機能91及び測光制御機能92による分注が所定の時間行われない場合には、待避駆動制御機能93は、待避移動を行い、隣接する2つの反応容器2011の間が、サンプル挿入口302の下方に位置するようにし、隣接する別の2つの反応容器2011の間が、試薬挿入口304の下方に位置するように待避移動を行う。この待避移動の動作において、制御回路9の待避駆動制御機能93は、第1待避駆動制御手段を構成する。なお、この第1待避駆動制御手段による待避移動は、必ずしも行う必要はなく、省略することも可能である。例えば、このような分析動作中における分注を行わない期間の半ピッチずらした待避移動は、分析機構2の遮光性が十分に保てる場合には、実行しないようにすることができる。
【0080】
さらに、本実施形態においては、反応容器2011の待避移動は、外乱光が測光ユニット211に入る可能性がある場合に、ユーザの指示によってなされる。これは、ユーザが、外乱光が入るような操作を意図的に自動分析装置1に対して行う場合である。
【0081】
図12は、本実施形態に係る自動分析装置1の外観斜視図の一例を示している。この
図12に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1においては、全体を覆う筐体10の内部に、上述した分析機構2及び駆動機構4が格納されている。その他、解析回路3や制御回路9、入力インターフェース5、出力インターフェース6、通信インターフェース7、記憶回路8などは、この筐体10の内部に格納されていてもよいし、或いは、この筐体10の外部に別途配置されていてもよい。
【0082】
分析機構2及び駆動機構4を収容する筐体10には、装置カバー12が開閉自在に設けられている。この装置カバー12は、遮光性を有する部材で構成されており、分析機構2に設けられている遮光カバー300を、上方から覆って遮光する。すなわち、装置カバー12が閉状態である場合には、筐体10内に格納されている分析機構2や駆動機構4には、外部からの光が入らない構成が実現される。一方、装置カバー12が開状態である場合には、筐体10内に格納されている分析機構2や駆動機構4に、外部からの光が入る恐れがある。この外部からの光が、測光ユニット211にとっては外乱光となる。
【0083】
このため、本実施形態においては、ユーザは、この装置カバー12を開ける際には、入力インターフェース5を操作して、これから装置カバー12を開けることを開操作情報として自動分析装置1に入力する。この開操作情報が入力されると、待避信号が生成されて、制御回路9に入力される。そして、この待避信号が入力されると、制御回路9は駆動機構4の駆動を制御して待避移動を行い、反応容器2011を
図7に示す待避位置に移動する。
【0084】
なお、自動分析装置1は、装置カバーが開けられることをロックするロック機構14を備えていてもよい。このロック機構14は、ユーザが、分析機構2の分析動作中に誤って装置カバー12を開けてしまうことを機械的構造で防止する。つまり、ロック機構14がロック状態となっている間は、装置カバー12は機械的にロックされて開けられない構造となっている。そして、このロック機構14は、例えば、反応容器2011が
図7に示す待避位置に待避した場合に、このロックは解除されて、装置カバー12を開けられるようになる。なお、この装置カバー12が、本実施形態における第2遮光カバーを構成している。
【0085】
再び
図6に示すように、遮光カバー300には、反応ディスク201に反応容器2011を供給し、また、反応ディスク201から反応容器2011を回収するための供給回収開口部306が形成されている。すなわち、自動分析装置1が血液凝固分析装置である場合、反応容器2011は1つの血液検体の分析を行った後は再利用できないため、分析機構2から回収して、新しい空の反応容器2011を供給する必要がある。このための開口が、供給回収開口部306である。
【0086】
本実施形態に係る自動分析装置1の分析機構2においては、この反応容器2011の交換動作を自動的に行うための反応容器供給回収機構310が設けられている。すなわち、この反応容器供給回収機構310は、反応ディスク201に反応容器2011を供給し、また、反応ディスク201から反応容器2011を回収する動作を自動的に行う。
【0087】
反応容器供給機構320には、新しい未使用の反応容器2011が順次供給されている。このため、新しい反応容器2011を反応ディスク201に供給する際には、反応容器供給回収機構310は、新しい反応容器2011を、反応容器供給機構320から取得して、反応ディスク201に供給する。この反応容器2011の供給動作の妨げとならないように、遮光カバー300には、供給回収開口部306が形成されている。また、使用済みの反応容器2011を反応ディスク201から回収する際には、反応容器供給回収機構310は、使用済みの反応容器2011を、反応ディスク201から回収して、図示しない反応容器廃棄機構に廃棄させる。この反応容器2011の回収動作の妨げにもならないように、供給回収開口部306は形成されている。
【0088】
この反応容器2011の供給動作及び回収動作において、反応容器供給回収機構310及び反応容器支持アーム312は、回動動作及び上下動作を繰り返す。具体的には、反応容器供給回収機構310の反応容器支持アーム312は、新しい反応容器2011を反応容器供給回収機構310から取得する反応容器取得位置、及び、新しい反応容器2011を反応ディスク201に供給する反応容器供給位置において、上下方向に移動する。また、反応容器供給回収機構310の反応容器支持アーム312は、これら反応容器取得位置と反応容器供給位置との間を水平方向に回動する。
【0089】
さらに、反応容器供給回収機構310の反応容器支持アーム312は、使用済みの反応容器2011を反応ディスク201から回収する反応容器回収位置、及び、使用済みの反応容器2011を反応容器廃棄機構に廃棄する反応容器廃棄位置において、上下方向に移動する。また、反応容器供給回収機構310の反応容器支持アーム312は、これら反応容器回収位置と反応容器廃棄位置との間を水平方向に回動する。
【0090】
また、本実施形態においては、反応容器支持アーム312の回動方向先端部には、開口遮光部314が設けられている。この開口遮光部314は、反応容器供給回収機構310における反応容器2011の供給動作や回収動作には影響を与えない位置に設けられている。
【0091】
図7では、反応容器供給回収機構310が待機位置にある状態を示している。つまり、反応容器支持アーム312及び開口遮光部314が待機位置にある状態を示している。反応容器供給回収機構310の反応容器支持アーム312が回動して待避位置に移動すると、
図13に示すように、開口遮光部314が供給回収開口部306を覆って封止する。特に本実施形態においては、開口遮光部314が供給回収開口部306の上方位置まで回動して停止すると、反応容器支持アーム312が下方に移動する。この下方に移動した開口遮光部314により、供給回収開口部306を覆うことができる。
【0092】
また、本実施形態においては、供給回収開口部306の開口形状と、開口遮光部314の形状が合致している。このため、開口遮光部314が供給回収開口部306を覆って封止する位置である待避位置に移動すると、この供給回収開口部306を介して外乱光が反応ディスク201に実質的に入らないようにすることができる。
【0093】
反応容器供給回収機構310における待機位置から待避位置への移動は、上述した反応容器2011の待避移動と同様に、ユーザが入力インターフェース5を操作して、装置カバー12の開操作情報を入力することにより実行される。すなわち、ユーザが入力インターフェース5から開操作情報を入力すると、待避信号が生成さて、制御回路9に入力される。この待避信号が入力された制御回路9は、この待避信号に基づいて、反応容器供給回収機構310を制御して、反応容器供給回収機構310の反応容器支持アーム312に取り付けられた開口遮光部314を、待機位置から供給回収開口部306を覆う位置である待避位置に移動させる。この開口遮光部314が、本実施形態における第2遮光部を構成する。
【0094】
以上が本実施形態に係る自動分析装置1の全体的な構成であるが、次に、この自動分析装置1で実行される遮光制御処理について説明する。
図14は、本実施形態に係る自動分析装置1が実行する遮光制御処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。この遮光制御処理は、制御回路9における待避駆動制御機能93と遮光部制御機能94とが協働して実現される処理である。また、この遮光制御処理は、自動分析装置1の分析機構2にて分析動作が開始された場合に、起動される処理である。
【0095】
この
図14に示すように、遮光部制御機能94において制御回路9は、ユーザが装置カバー12を開けようとしていることを示す待避信号が入力されたか否かを判断する(ステップS10)。上述したように、本実施形態においては、ユーザは、分析機構2にて分析動作が行われているときに装置カバー12を開けようとする際には、入力インターフェース5を操作して、開操作情報を自動分析装置1に入力する。この開操作情報の入力は、例えば、自動分析装置1の外部に設けられている「開ボタン」を押下することにより入力できるようにしてもよいし、或いは、自動分析装置1が備えるタッチパネルの「開操作」のアイコンをタッチすることにより入力できるようにしてもよい。
【0096】
ユーザが開操作情報を入力すると、制御回路9には待避信号が入力される。このため、制御回路9は、この待避信号に基づいて、ユーザが装置カバー12を開けようとしているか否かを判断できる。この待避信号が入力されていない場合(ステップS10:NO)、すなわち、ユーザが装置カバー12を開けようとしていない場合には、このステップS10を繰り返して待機する。
【0097】
一方、この待避信号が入力された場合(ステップS10:YES)、すなわち、ユーザが装置カバー12を開けようとしている場合には、待避駆動制御機能93において制御回路9は、反応容器2011を半ピッチずらす待避移動を行う(ステップS12)。すなわち、隣接する2つの反応容器2011の間が、サンプル挿入口302の下方に位置するように移動させ、隣接する別の2つの反応容器2011の間が、試薬挿入口304の下方に位置するように移動させる。このステップS12の待避移動の動作において、制御回路9の待避駆動制御機能93が、本実施形態における第2待避駆動制御手段を構成する。
【0098】
分析機構2による分析動作中において、試料や試薬の分注を行う際には、
図11に示すように、駆動機構4は、反応容器2011をサンプル分注位置や試薬突出位置である分注位置に位置させて分注を行う。
【0099】
しかし、ユーザが装置カバー12を開けようとしているので、ステップS12においては、
図7に示すように、駆動機構4は、反応容器2011を半ピッチずらした待避位置に反応容器2011を待避移動する。この分注位置から半ピッチずらす待避移動を行うことにより、隣接する2つの反応容器2011の間に、サンプル挿入口302が位置することとなり、隣接する別の2つの反応容器2011の間に、試薬挿入口304が位置することとなる。この待避移動において、駆動機構4が反応容器2011を移動させる量は任意である。例えば、ステップS10で待避信号が入力されたときの反応容器2011が分注位置にある場合、そこから、0.5ピッチ移動させてもよいし、1.5ピッチ移動させてもよい。つまり、結果として、サンプル挿入口302や試薬挿入口304の下に、反応容器2011ではなく、これら反応容器2011の間が、位置すればよい。
【0100】
このように、半ピッチずらした位置に反応容器2011を移動させることにより、サンプル挿入口302や試薬挿入口304から光が分析機構2に入るのを抑制することができ、測光ユニット211に外乱光が入るのを抑制することができる。特に、本実施形態においては、サンプル挿入口302や試薬挿入口304の周囲に遮光部308を形成していることから、分析機構2の外部からの光がサンプル挿入口302や試薬挿入口304を介して入るのを、より一層抑制することができる。
【0101】
なお、このステップS12における反応容器2011の待避移動においては、複数ある反応容器2011のうち検体の分注されていない未使用の反応容器を分注位置に移動させるようにしてもよい。すなわち、分析機構2の反応ディスク201には未使用の反応容器2011が保持されていることもある。この未使用の反応容器2011には、検体血液も分注されておらず、試薬も分注されていない。つまり、空の状態である。空の状態であれば、その反応容器2011についての測光ユニット211による光学的な物性値の測定は開始されておらず、光が入射されても測定結果に影響を与えることはない。このため、サンプル挿入口302や試薬挿入口304の下方である分注位置に、未使用の反応容器2011を待避移動で位置させることにより、測光ユニット211による測定結果に影響が出ないようにすることができる。どの反応容器2011が使用中であり、どの反応容器2011が未使用であるかは、システム制御機能91及び測光制御機能92による制御回路9にて、判断することが可能である。ステップS12における、このような態様の待避移動の動作においても、制御回路9の待避駆動制御機能93が、本実施形態における第2待避駆動制御手段を構成する。
【0102】
また、この反応容器2011の待避移動においては、検体と試薬の混合液が収容されている反応容器2011のうち、測光ユニット211による測定が終了した反応容器を分注位置に移動させるようにしてもよい。すなわち、分析機構2の反応ディスク201には測定を終えた反応容器2011が保持されていることもある。この測定を終えた反応容器2011に収容されている混合液は、今後、測光ユニット211による測定がなされることはない。このため、サンプル挿入口302や試薬挿入口304の下方である分注位置に、測定を終えた反応容器2011を待避移動で位置させるようにしてもよい。どの反応容器2011が測定を終えた混合液を収容しているのかは、システム制御機能91及び測光制御機能92による制御回路9にて、判断することが可能である。ステップS12における、このような態様の待避移動の動作においても、制御回路9の待避駆動制御機能93が、本実施形態における第2待避駆動制御手段を構成する。
【0103】
次に、
図14に示すように、遮光部制御機能94において制御回路9は、反応容器供給回収機構310を制御して、反応容器供給回収機構310における開口遮光部314を待機位置から、供給回収開口部306を覆う位置に移動させる(ステップS14)。すなわち、ユーザが装置カバー12を開けようとしているので、開口遮光部314を、
図6に示す待機位置から、
図13に示す供給回収開口部306を覆う位置に待避移動させる。このように、供給回収開口部306が開口遮光部314により覆われることから、装置カバー12が開けられたとしても、この供給回収開口部306を介して、光が分析機構2に入るのを抑制することができ、測光ユニット211に外乱光が入るのを抑制することができる。特に、本実施形態においては、供給回収開口部306の開口形状と開口遮光部314の形状とが合致していることから、分析機構2の外部からの光が供給回収開口部306を介して入るのを、より一層抑制することができる。
【0104】
なお、本実施形態においては、ステップS12にて反応容器2011の待避移動を行った後、ステップS14にて開口遮光部314の待避移動を行ったが、この2つの待避移動の順番は逆でもよいし、或いは、同時でもよい。
【0105】
次に、
図14に示すように、遮光部制御機能94において制御回路9は、ロック機構14のロックを解除する(ステップS16)。すなわち、本実施形態においては、分析機構2による分析動作が行われている間は、ユーザが誤って装置カバー12を開けないように、ロック機構14が装置カバー12をロックしている。しかし、ステップS12による反応容器2011の待避移動が終了し、ステップS14による供給回収開口部306の封止が終了したことから、ステップS16において、ロック機構14による装置カバー12のロックを解除する。これにより、ユーザは、装置カバー12を開けて、自動分析装置1の内部を覗くことができる。
【0106】
このステップS16により、本実施形態に係る遮光制御処理における一連の処理が終了し、上述したステップS10に戻る。すなわち、装置カバー12が一旦閉められた後、ユーザが再び装置カバー12を開ける可能性がある。このため、本実施形態に係る自動分析装置1は、上述した遮光制御処理を繰り返して実行する。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、遮光カバー300におけるサンプル挿入口302や試薬挿入口304の周囲に遮光部308を設けたので、状況の如何に関わらず、外部からの散乱光が分析機構2における測光ユニット211に入るのを抑制することができる。
【0108】
また、ユーザが装置カバー12を開けるために開操作情報を自動分析装置1に入力した場合には、自動分析装置1は、反応容器2011ではなく、隣接する2つの反応容器2011の間が、サンプル挿入口302や試薬挿入口304の下方に位置するように、反応ディスク201を回動させ、停止させることとした。このため、反応容器2011に対応づけて設けられている測光ユニット211に、外部からの散乱光が入るのをさらに抑制することができる。
【0109】
また、ユーザが装置カバー12を開けるために開操作情報を自動分析装置1に入力した場合には、自動分析装置1は、供給回収開口部306を開口遮光部314で覆うことにより封止することとした。このため、供給回収開口部306からの外乱光が分析機構2における測光ユニット211に入るのをより一層抑制することができる。
【0110】
なお、上述した実施形態では、自動分析装置1が、(1)遮光部308による遮光機能、(2)反応容器2011の待避移動、及び、(3)供給回収開口部306を開口遮光部314で覆う待避移動の3つの遮光機能を備える例を説明したが、自動分析装置1は、必ずしも3つの遮光機能をすべて備える必要はない。すなわち、自動分析装置1は、3つの遮光機能のうち、任意の1つを備えていてもよいし、任意の組み合わせの2つを備えていてもよい。例えば、自動分析装置1は、(1)遮光部308による遮光機能を1つ備えていてもよく、(2)反応容器2011の待避移動による遮光機能を1つ備えてもよく、(3)供給回収開口部306を開口遮光部314で覆う待避移動による遮光機能を1つ備えてもよい。
【0111】
また、自動分析装置1は、(1)遮光部308による遮光機能、及び、(2)反応容器2011の待避移動の2つの遮光機能を備えていてもよく、或いは、(1)遮光部308による遮光機能、(3)供給回収開口部306を開口遮光部314で覆う待避移動の2つの遮光機能を備えていてもよい。さらには、(2)反応容器2011の待避移動、及び、(3)供給回収開口部306を開口遮光部314で覆う待避移動の2つの遮光機能を備えていてもよい。
【0112】
また、上述した装置カバー12のロック機構14は任意の構成要素であり、自動分析装置1から省略することも可能である。この場合、入力インターフェース5を介して、開操作情報を入力したユーザは、自動分析装置1の動作音や振動などから、(2)反応容器2011の待避移動が終了したか否か、或いは、(3)供給回収開口部306を開口遮光部314で覆う待避移動が終了したか否かを判断し、これらの動作が終了したと判断したユーザが、装置カバー12を開くようにすればよい。
【0113】
さらに、上述した実施形態では、自動分析装置1は、サンプル分注プローブ207による分注が行われず、また、試薬分注プローブ209による分注が行われない場合に、待避移動をして、サンプル挿入口302の下方には隣接する2つの反応容器2011の間が位置するようにし、また、試薬挿入口304の下方には隣接する別の2つの反応容器2011の間が位置するようにしたが、この待避動作は必ずしも必要なものではない。すなわち、装置カバー12による遮光性が十分であるような場合には、このような分注動作時の待避移動をしないようにすることもできる。
【0114】
また、上述した実施形態においては、分析機構2と駆動機構4が、反応容器2011を円周状に配置して回動させる自動分析装置1を一例として説明をしたが、分析機構2と駆動機構4は、反応容器2011を直線的に移動させる自動分析装置1であってもよい。この場合でも、分析機構2の上方には遮光カバー300が設けられているため、上述した3つの遮光機能を実現することができる。
【0115】
上記説明では、制御部60や画像処理装置120における「プロセッサ」が各処理機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで各処理機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該処理機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その処理機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその処理機能を実現するようにしてもよい。
【0116】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0117】
1…自動分析装置、2…分析機構、3…解析回路、4…駆動機構、5…入力インターフェース、6…出力インターフェース、7…通信インターフェース、8…記憶回路、9…制御回路、10…筐体、12…装置カバー、14…ロック機構、31…解析機能、32…複合解析機能、60…制御部、91…システム制御機能、92…測光制御機能、93…待避駆動制御機能、94…遮光部制御機能、100…試薬容器、120…画像処理装置、201…反応ディスク、202…恒温部、203…ラックサンプラ、204…試薬庫、206…サンプル分注アーム、207…サンプル分注プローブ、208…試薬分注アーム、209…試薬分注プローブ、211…測光ユニット、300…遮光カバー、302…サンプル挿入口、304…試薬挿入口、306…供給回収開口部、308…遮光部、310…反応容器供給回収機構、312…反応容器支持アーム、314…開口遮光部、320…反応容器供給機構、2011…反応容器、2031…試料ラック、2032…搬送領域、2033…領域、2034…領域、2111…光源、2112…光検出器、2113…光検出器、