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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240312BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/64
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020135565
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032086
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 将寿
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-095403(JP,A)
【文献】特開2019-133758(JP,A)
【文献】特開2015-170489(JP,A)
【文献】特開2022-032089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被ロック部を有した相手方ハウジングと、
前記相手方ハウジングと嵌合し、離脱されるハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、中途部に前記相手方ハウジングの被ロック部に係止し、離脱されるロック部を設けると共に、先端部に手動でも操作可能な操作部及び前記被ロック部と前記ロック部の係止状態を解除するロック解除部をそれぞれ設けた可撓性のロックアームと、を有し、
前記ハウジングに組付けられ、前記相手方ハウジングと前記ハウジングの嵌合の際に仮係止位置と本係止位置との間で移動可能な嵌合検知部材を更に備え、
前記ハウジングは、前記嵌合検知部材を収容する部材収容部を更に有し、
前記ロック解除部は、前記嵌合検知部材の傾斜部に沿って摺動して、前記相手方ハウジングの前記被ロック部と前記ロック部の係止状態を解除し、
前記嵌合検知部材は、前記部材収容部の係止突起に係止し、離脱される抜止係止部を設けた可撓性のアーム部と、前記ハウジングの前記可撓性のロックアームのロック部に係止し、離脱される、前記可撓性のアーム部の先端に設けられた被ロック部と、を有し、
前記可撓性のロックアームの先端部は、前記部材収容部まで延設され、
前記嵌合検知部材の仮係止位置において、前記可撓性のロックアームの先端部の上方が前記嵌合検知部材の操作部で覆われている、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングに前記嵌合検知部材を組付けて、前記可撓性のロックアームのロック部に前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部の被ロック部を当接させた状態を前記嵌合検知部材の仮係止状態とし、
前記相手方ハウジングの被ロック部で前記可撓性のロックアーム及び前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部をそれぞれ撓み変形させて前記可撓性のロックアームのロック部と前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部の被ロック部の当接による前記嵌合検知部材の仮係止状態を解除させてから、前記可撓性のロックアームのロック部の係止孔に前記可撓性のアーム部の被ロック部を係止させて前記両ハウジングの正規の嵌合状態である前記嵌合検知部材の本係止状態とする、請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記可撓性のロックアームの先端部に設けられた前記操作部は、二股に分けられた突出片部を有し、前記二股状の突出片部の外側に前記ロック解除部がそれぞれ設けられ、前記二股状の突出片部が前記部材収容部内に配設されている、請求項又はに記載のコネクタ。
【請求項4】
前記嵌合検知部材は、本体としての前記操作部と、前記操作部の両端側に設けられた両側部と、前記両側部の各下部間に設けられた前記可撓性のアーム部と、を有し
記両側部の各内面側に形成された突出壁部の後側に前記傾斜部としての傾斜面が設けられ、
前記嵌合検知部材の仮係止位置において、前記操作部が前記可撓性のロックアームの操作部を覆う、請求項からのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記嵌合検知部材の本係止位置において、前記二股状の突出片部間に前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部が配設されて、前記可撓性のロックアームの先端部側の撓み方向が開放されている、請求項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPA(嵌合検知部材)付きのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとして、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたコネクタは、相手方ハウジングと嵌合・離脱されるハウジングと、このハウジングに組み付けられ、相手方ハウジングとの嵌合後に仮係止位置と本係止位置との間で移動可能な嵌合検知部材と、を備えている。
【0003】
ハウジングは、相手方ハウジングの被ロック部に係止・離脱されるロック部とロック解除部を設けた可撓性のロックアームを有している。また、嵌合検知部材は、仮係止部と本係止部を設けた可撓性のアーム部と、後端から前端に向けて下方向に傾斜してロックアームのロック解除部が沿ってロック解除方向へ移動する傾斜面を設けた傾斜レール部とを有している。そして、ハウジングのロックアームが嵌合検知部材及び両側壁の各ロックアーム保護壁で覆われているため、輸送時等に外力によるロックアームの変位、損傷等を防止することができるようになっている。また、ロックアームを直接操作することなくロック解除操作を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-133758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のコネクタでは、嵌合検知部材を用いない場合に、手作業によりロックアームを下方に撓み変形させればハウジング同士の嵌合を解除できるが、ロックアーム保護壁はCPA収容部側に設けられないため、ロックアームが短くなり、解除操作力が大きくなる。したがって、嵌合検知部材が有り、無しの仕様では、ハウジングの共用化を図ることができなかった。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、嵌合検知部材が有り、無しのどちらの仕様においても、ロックアームのロックの解除作業ができ、ハウジングの共用化が可能となるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るコネクタは、被ロック部を有した相手方ハウジングと、前記相手方ハウジングと嵌合・離脱されるハウジングと、を備え、前記ハウジングは、中途部に前記相手方ハウジングの被ロック部に係止・離脱されるロック部を設けると共に、先端部に手動でも操作可能な操作部及び前記被ロック部と前記ロック部の係止状態を解除するロック解除部をそれぞれ設けた可撓性のロックアームと、を有するコネクタである。
【0008】
前記ハウジングに組付けられ、前記相手方ハウジングと前記ハウジングの嵌合の際に仮係止位置と本係止位置との間で移動可能な嵌合検知部材を更に備え、前記ハウジングは、前記嵌合検知部材を収容する部材収容部を更に有し、前記ロック解除部は、前記嵌合検知部材の傾斜部に沿って摺動して前記被ロック部と前記ロック部の係止状態を解除し、前記嵌合検知部材は、前記可撓性のロックアームのロック部に係止・離脱される前記被ロック部と、前記部材収容部の係止突起に係止・離脱される抜止係止部を設けた可撓性のアーム部と、を有し、前記可撓性のロックアームの先端部は、前記部材収容部まで延設され、前記嵌合検知部材の仮係止位置において、前記可撓性のロックアームの先端部の上方が前記嵌合検知部材の操作部で覆われていることが好ましい。
【0009】
前記ハウジングに前記嵌合検知部材を組付けて、前記可撓性のロックアームのロック部に前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部の被ロック部を当接させた状態を前記嵌合検知部材の仮係止状態とし、前記相手方ハウジングの被ロック部で前記可撓性のロックアーム及び前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部をそれぞれ撓み変形させて前記可撓性のロックアームのロック部と前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部の被ロック部の当接による前記嵌合検知部材の仮係止状態を解除させてから、前記可撓性のロックアームのロック部の係止孔に前記可撓性のアーム部の被ロック部を係止させて前記両ハウジングの正規の嵌合状態である前記嵌合検知部材の本係止状態とすることが好ましい。
【0010】
前記可撓性のロックアームの先端部に設けられた前記操作部は、二股に分けられた突出片部を有し、前記二股状の突出片部の外側に前記ロック解除部がそれぞれ設けられ、前記二股状の突出片部が前記部材収容部内に配設されていることが好ましい。
【0011】
前記嵌合検知部材は、本体としての前記操作部と、前記操作部の両端側に設けられた両側部と、前記両側部の各下部間に設けられた前記可撓性のアーム部と、を有し、前記可撓性のアーム部の先端に前記被ロック部が設けられ、前記両側部の各内面側に形成された突出壁部の後側に前記傾斜部としての傾斜面が設けられ、前記嵌合検知部材の仮係止位置において、前記操作部が前記可撓性のロックアームの操作部を覆うことが好ましい。
【0012】
前記嵌合検知部材の本係止位置において、前記二股状の突出片部間に前記嵌合検知部材の可撓性のアーム部が配設されて、前記可撓性のロックアームの先端部側の撓み方向が開放されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、嵌合検知部材が有り、無しのどちらの仕様においても、ロックアームのロックの解除作業ができ、ハウジングの共用化が可能となるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るコネクタの一例を示す分解斜視図である。
図2】(a)は上記コネクタの雌コネクタを裏側から見た斜視図、(b)は同雌コネクタを表側から見た斜視図である。
図3】上記コネクタの嵌合検知部材の正面図である。
図4図3中IV-IV線に沿う断面図である。
図5図3中V-V線に沿う断面図である。
図6】上記コネクタの雄コネクタの正面図である。
図7図6中VII-VII線に沿う断面図である。
図8】上記嵌合検知部材が仮係止状態のコネクタの正面図である。
図9】上記嵌合検知部材の仮係止状態を示す図8中Y-Y線に沿う断面図である。
図10】上記嵌合検知部材の仮係止解除の状態を示す図8中Y-Y線に沿う断面図である。
図11】上記雌コネクタが嵌合前のコネクタの正面図である。
図12】上記雌コネクタの嵌合途中の状態を示す図11中Y-Y線に沿う断面図である。
図13】上記雌コネクタの嵌合完了の状態を示す図11中Y-Y線に沿う断面図である。
図14】上記嵌合検知部材の本係止状態を示す図11中Y-Y線に沿う断面図である。
図15】上記雌コネクタの嵌合解除前のコネクタの正面図である。
図16】上記雌コネクタの嵌合解除途中の状態を示す図15中Y-Y線に沿う断面図である。
図17】上記雌コネクタの嵌合解除途中の状態を示す図15中Z-Z線に沿う断面図である。
図18】上記雌コネクタの嵌合解除完了の状態を示す図15中Z-Z線に沿う断面図である。
図19】上記嵌合検知部材を用いない場合の雌コネクタの斜視図である。
図20】上記嵌合検知部材を用いない場合で雌コネクタの嵌合解除前のコネクタの正面である。
図21】上記嵌合検知部材を用いない場合で雌コネクタの嵌合解除途中の状態を示す図20中Y-Y線に沿う断面図である。
図22】上記嵌合検知部材を用いない場合で雌コネクタの嵌合解除完了の状態を示す図20中Y-Y線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係るコネクタの一例を示す分解斜視図である。図2(a)はコネクタの雌コネクタを裏側から見た斜視図、図2(b)は雌コネクタを表側から見た斜視図である。図3はコネクタの嵌合検知部材の正面図である。図4図3中IV-IV線に沿う断面図である。図5図3中V-V線に沿う断面図である。図6はコネクタの雄コネクタの正面図である。図7図6中VII-VII線に沿う断面図である。図8は嵌合検知部材が仮係止状態のコネクタの正面図である。図9は嵌合検知部材の仮係止状態を示す図8中Y-Y線に沿う断面図である。図10は嵌合検知部材の仮係止解除の状態を示す図8中Y-Y線に沿う断面図である。図11は雌コネクタが嵌合前のコネクタの正面図である。図12は雌コネクタの嵌合途中の状態を示す図11中Y-Y線に沿う断面図である。図13は雌コネクタの嵌合完了の状態を示す図11中Y-Y線に沿う断面図である。図14は嵌合検知部材の本係止状態を示す図11中Y-Y線に沿う断面図である。図15は雌コネクタの嵌合解除前のコネクタの正面図である。図16は雌コネクタの嵌合解除途中の状態を示す図15中Y-Y線に沿う断面図である。図17は雌コネクタの嵌合解除途中の状態を示す図15中Z-Z線に沿う断面図である。図18は雌コネクタの嵌合解除完了の状態を示す図15中Z-Z線に沿う断面図である。図19は嵌合検知部材を用いない場合の雌コネクタの斜視図である。図20は嵌合検知部材を用いない場合で雌コネクタの嵌合解除前のコネクタの正面である。図21は嵌合検知部材を用いない場合で雌コネクタの嵌合解除途中の状態を示す図20中Y-Y線に沿う断面図である。図22は嵌合検知部材を用いない場合で雌コネクタの嵌合解除完了の状態を示す図20中Y-Y線に沿う断面図である。
【0017】
図1図14に示すように、コネクタ1は、合成樹脂製の雌ハウジング(ハウジング)11を有した雌コネクタ10と、雌ハウジング11が挿入されて嵌合される合成樹脂製の雄ハウジング(相手方ハウジング)31を有した雄コネクタ30と、を備えている。
【0018】
図9に示すように、雌コネクタ10は、雌ハウジング11のCPA収容部13に組付けられ、雌雄両ハウジング11,31の嵌合状態を検知する合成樹脂製の嵌合検知部材(CPA:Connector Position Assurance)20を備えている。
【0019】
図2(a),(b)に示すように、雌ハウジング11は、下段側に図示しない雌端子が収容される複数(この実施形態では4つ)の端子収容室12を有している。また、雌ハウジング11は、上段の前側に嵌合検知部材20を収容するCPA収容部(部材収容部)13を有している。このCPA収容部13は、嵌合検知部材20のスライド空間となっている。さらに、雌ハウジング11は、上段の後側から前側のCPA収容部13上にかけて、可撓性のロックアーム16を有している。
【0020】
図2(a),(b)に示すように、CPA収容部13は、底壁13aと、この底壁13aの両端側より垂直に延びる一対の保護壁(両側壁)13b,13bと、この一対の保護壁13b,13bの上端後側間に掛け渡された保護板部13cと、を有している。底壁13aの中央の前側には、後述する嵌合検知部材20の可撓性のアーム部23の抜止係止部25に係止・離脱される傾斜面状の前面14aを有した係止突起14が設けられている。また、一対の保護壁13b,13bの中央の相対向する内側には、凹状の溝部15が嵌合検知部材20のスライド方向に延びるようにそれぞれ設けられている。
【0021】
図2(a),(b)に示すように、可撓性のロックアーム16は、中途部16aに雄ハウジング31の係止突起(被ロック部)34に係止・離脱されるロック突起(ロック部)17を、先端部16bに手動でも操作可能な操作部18を、それぞれ有している。このロック突起17は、図2(a)、図14に示すように、係止突起34に係止・離脱される係止部17aと、傾斜部17bと、後述する嵌合検知部材20の係止突起(被ロック部)24に係止・離脱される係止孔17cと、を有している。
【0022】
さらに、図2(b)に示すように、操作部18は、その基端側がロックアーム16の先端部16bから突出して、前方側が二股に分かれた突出片部18a,18aを有している。この二股状の突出片部18a,18aは、雌ハウジング11のCPA収容部13内に配設されている。また、操作部18は、各突出片部18aの外側に突出し、後述する嵌合検知部材20の傾斜面(傾斜部)29に沿って摺動する一対のボス部(ロック解除部)19を有している。そして、図14に示すように、嵌合検知部材20の本係止位置において、操作部18のブリッジ状に突出した中央部18bの下側に、アーム部23の段差部26が潜り込んで当接することで、ロックアーム16の変位が規制されるようになっている。
【0023】
図2(a),(b)に示すように、可撓性のロックアーム16の中途部16aは、雌ハウジング11の端子収容室12上に一体突出形成された一対の側壁13d,13d間に位置している。また、可撓性のロックアーム16の先端部16bに設けられた操作部18は、CPA収容部13の一対の保護壁13b,13b間に配置されていて、操作部18を手動で下方に押してロックアーム16を下方に撓み変形させることができるようになっている。すなわち、図16図21に示すように、雌雄両ハウジング11,31を嵌合解除する際に、操作部18は、嵌合検知部材20のスライド移動、或いは、手動でもロックアーム16の先端部16b側を下方に撓み変形させることができるようになっている。
【0024】
図9図14に示すように、嵌合検知部材20は、雌ハウジング11のCPA収容部13に組付けられ、仮係止位置から本係止位置の本係止方向Rへスライド移動することで、雌雄両ハウジング11,31の嵌合状態を検知するものである。即ち、図3図5に示すように、嵌合検知部材20は、本体としての操作部21と、この操作部21の両端側に設けられた両側部22,22と、操作部21の下面21aの中央に前側へ断面略L字状に延びるように突設された可撓性のアーム部23と、を有している。
【0025】
図8図9に示すように、嵌合検知部材20の仮係止位置において、嵌合検知部材20の操作部21が可撓性のロックアーム16の操作部18を覆うようになっている。また、図14に示すように、嵌合検知部材20の本係止位置において、嵌合検知部材20のアーム部23が操作部18の二股状の突出片部18a,18a間に配設されている。これにより、図16図17に示すように、雌ハウジング11のロックアーム16の先端部16b側の撓み方向が開放されていて、該ロックアーム16の先端部16b側が下方へ撓み変形可能になっている。
【0026】
また、図3図5に示すように、可撓性のアーム部23の先端には、ロックアーム16のロック突起(ロック部)17の係止孔17cに係止・離脱される係止突起(被ロック部)24が設けられている。さらに、可撓性のアーム部23の下面23bの中央には、CPA収容部13の係止突起14に係止・離脱される凹状の抜止係止部25が設けられている。さらに、図4図14に示すように、可撓性のアーム部23の上面23aの上部側には、嵌合検知部材20の本係止位置において、操作部18のブリッジ状の中央部18bの下側に潜り込んでロックアーム16の変位を規制する段差部26が設けられている。
【0027】
また、図3図5に示すように、嵌合検知部材20の両側部22,22の各外面22bの下側には、CPA収容部13の凹状の溝部15に挿入されるレール部27がスライド方向に沿って延びるように突設されている。さらに、嵌合検知部材20の両側部22,22の各内面22a側に形成された突出壁部28の後面28a側には、下面28bの前側まで斜めに傾斜した傾斜面(傾斜部)29が設けられている。そして、図17に示すように、雄ハウジング31から雌ハウジング11が嵌合解除される途中において、傾斜面29に沿ってロックアーム16のボス部19が下方へ摺動することで、嵌合検知部材20が抜止方向Lへスライド移動できるようになっている。
【0028】
図6図7に示すように、雄ハウジング31は、図示しない雄端子を収容させる複数の端子収容孔32aを有するハウジング本体32と、このハウジング本体32の前側に一体突出形成され、雌ハウジング11を挿入して嵌合させるフード部33と、を有している。このフード部33は、略四角筒状に形成されていて、雌ハウジング11の前側から中途側を収容する収容部になっている。また、フード部33の上壁33aの前端33b側の内面には、ロック突起(ロック部)17に係止・離脱される係止突起(被ロック部)34が設けられている。そして、図12図13に示すように、雌ハウジング11をフード部33へ嵌合する際に、係止突起34に嵌合検知部材20のアーム部23の係止突起24が当接して下方に押圧されるようになっている。この下方への押圧により、アーム部23が下方に撓み変形(弾性変形)して変位するようになっている。また、図16に示すように、雌ハウジング11をフード部33の嵌合から解除する際に、係止突起34にロックアーム16のロック突起17が当接して下方に押圧されるようになっている。この下方への押圧により、可撓性のロックアーム16の先端部16b側が下方に撓み変形(弾性変形)して変位するようになっている。
【0029】
なお、雄ハウジング31のフード部33の上壁33aの両側には、段差部33cがそれぞれ設けられていて、この一対の段差部33c,33c間に雌ハウジング11の一対の側壁13d,13dが挿入されるようになっている。また、雄ハウジング31のハウジング本体32の端子収容孔32aに収容されて固定された雄端子は、雌ハウジング11の端子挿通孔12aから端子収容室12内に挿入されて雌端子と電気的に接続されるようになっている。さらに、雌ハウジング11の端子収容室12に収容された雌端子は、リレーナの可撓性ランス12bにより係止されるようになっている。
【0030】
以上実施形態のコネクタ1を組付ける場合には、まず、雌ハウジング11のCPA収容部13に操作部21の押圧操作により嵌合検知部材20を挿入して収容する。このCPA収容部13への収容により嵌合検知部材20のアーム部23の抜止係止部25とCPA収容部13の係止突起14が当接することで、アーム部23の係止突起24側が上方へ撓み変形する。このアーム部23の撓み変形に合わせて、アーム部23の係止突起24が雌ハウジング11のロックアーム16の操作部18を上方に押圧し、操作部18の両側のボス部19が突出壁部28を乗り越えることで、嵌合検知部材20が仮係止となる。この仮係止状態が図9に示す嵌合検知部材20の仮係止位置である。
【0031】
図9に示すように、嵌合検知部材20の仮係止位置において、雌ハウジング11のCPA収容部13に収容された嵌合検知部材20は、CPA収容部13の係止突起14とアーム部23の抜止係止部25で抜止方向Lに係止されている。また、嵌合検知部材20のアーム部23の係止突起24と雌ハウジング11のロックアーム16のロック突起17が当接することで本係止方向Rに係止されている。
【0032】
そして、図10に示すように、嵌合検知部材20をCPA収容部13にさらに挿入すると、雄ハウジング31の係止突起34の傾斜面34aによりロックアーム16のロック突起17とアーム部23の係止突起24が下方に押されることで仮係止状態が解除される。
【0033】
嵌合検知部材20の仮係止が解除された状態で、図12に示すように、雌ハウジング11を雄ハウジング31にさらに挿入すると、図13に示すように、雄ハウジング31の係止突起34にロックアーム16のロック突起17の係止部17aが係止される。この係止状態が雌雄両ハウジング11,31の嵌合完了の状態となり、雌ハウジング11は抜止方向Lに係止されている。そして、図14に示すように、嵌合検知部材20のアーム部23の係止突起24が雌ハウジング11のロックアーム16のロック突起17の係止孔17cに挿入されて係止されることで、嵌合検知部材20が本係止となる。この嵌合検知部材20の本係止状態(本係止位置)により雌雄両ハウジング11,31の正規嵌合が検知される。さらに、嵌合検知部材20の本係止位置において、操作部18のブリッジ状の中央部18bの下側に、アーム部23の段差部26が潜り込む位置に移動することで、ロックアーム16の位置が規制されてその変位が防止される。
【0034】
次に、雌雄両ハウジング11,31の嵌合解除(可撓性のロックアーム16のロックの解除作業)について説明する。
【0035】
嵌合検知部材20の本係止状態で、図16に示すように、嵌合検知部材20の操作部21を抜止方向Lに操作することで、図17に示すように、ロックアーム16の操作部18に設けられたボス部19が突出壁部28の傾斜面29に沿って下方に摺動する。このボス部19の摺動により、ロックアーム16が下方に撓み変形することで、雄ハウジング31の係止突起34とロックアーム16のロック突起17の係止(ロック)が解除される。嵌合検知部材20を操作中は、嵌合検知部材20がCPA収容部13上の抜止方向Lにスライドしているが、嵌合検知部材20のアーム部23と雌ハウジング11のロックアーム16及び操作部18は干渉しない設定になっている。このため、嵌合検知部材20は、CPA収容部13上をスライドできる。
【0036】
また、図19に示すように、雌ハウジング11に嵌合検知部材20を用いない仕様では、図21に示すように、雌雄両ハウジング11,31が嵌合した状態で、ロックアーム16の操作部18を手動で下方に押圧操作してロックアーム16を下方に撓み変形させる。このロックアーム16の下方への撓み変形により、図22に示すように、雄ハウジング31の係止突起34とロックアーム16のロック突起17の係止(ロック)が解除される。
【0037】
このように、嵌合検知部材20を用いた雌雄両ハウジング11,31の嵌合解除機能とロックアーム16の操作部18の手動による嵌合解除機能とを両立させることができる。この各嵌合解除機能の両立により、嵌合検知部材20が有り、無しのどちらの仕様においても、雌雄両ハウジング11,31の嵌合解除を行うことができ、嵌合検知部材無し専用のハウジングが不要となり、ハウジングの共用化が可能となる。
【0038】
また、雌雄両ハウジング11,31の嵌合解除において、ロックアーム16の変位領域に嵌合検知部材20の可撓性のアーム部23が介在しない構造であるため、可撓性のロックアーム16の反発力だけをロック(嵌合)の解除力とすることができる。さらに、ロックの解除力を可撓性のロックアーム16だけの荷重にすることで、嵌合検知部材20の可撓性のアーム部23の合成を考えることが無くなり、安定したロックの解除力が得られる。すなわち、ロックの解除力の設定が容易となる。
【0039】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0040】
すなわち、前記実施形態によれば、嵌合検知部材のレール部を雌ハウジングの凹状の溝部に単に挿入するようにしたが、嵌合検知部材のレール部に係合突起を設け、かつ、雌ハウジングの凹状の溝部に係止凸部を設けても良い。この場合、嵌合検知部材を本係止方向へ押し込むと、レール部の係合突起が溝部の係止凸部に係止されて嵌合検知部材が本係止完了の状態となり、この状態で雌雄両ハウジングの正規の嵌合状態が確実に検知できる。
【符号の説明】
【0041】
1 コネクタ
11 雌ハウジング(ハウジング)
13 CPA収容部(部材収容部)
14 係止突起
16 可撓性のロックアーム
16a 中途部
16b 先端部
17 ロック突起(ロック部)
17c 係止孔
18 操作部
18a,18a 二股状の突出片部
19 ボス部(ロック解除部)
20 嵌合検知部材(CPA)
21 操作部(本体)
22,22 両側部
22a 内面
23 可撓性のアーム部
24 係止突起(被ロック部)
25 抜止係止部
28 突出壁部
29 傾斜面(傾斜部)
31 雄ハウジング(相手方ハウジング)
34 係止突起(被ロック部)
図1
図2
図3
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